【解決手段】CD70特異的T細胞が採用される。特定の側面においては、T細胞受容体複合体のゼータ・シグナル伝達ドメインに融合される全長のCD70受容体(CD27)を含む新規な分子をコードするポリヌクレオチドに関する。また、当該分子を発現するT細胞は、CD70陽性腫瘍細胞を認識し、CD70陽性腫瘍細胞に対して細胞溶解活性を有した。
前記ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである、請求項5に記載のポリヌクレオチド。
【実施例】
【0050】
下記の実施例が、本発明のいくつかの実施形態を実証するために含められる。下記の実施例において開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者らによって発見された技術を表しており、したがって、その実施のためのいくつかの態様を構成すると見なされ得ることが当業者によって理解されるはずである。しかしながら、当業者は本開示に照らして、多くの変化が、開示される具体的な実施形態において行われ得ること、そして、多くの変化により、同様な結果または類似する結果が依然として、本発明の精神および範囲から逸脱することなく得られ得ることを理解しなければならない。
【0051】
CD19またはCD20を標的化する遺伝子改変されたT細胞によるT細胞治療は、血液学的悪性腫瘍の免疫療法のために有望である。しかしながら、これらの標的はB細胞由来の悪性腫瘍の表面に存在するだけであり、また、これらの標的は造血系では広範囲に発現されるので、それらの標的化は望まれない結果を有するかもしれない。T細胞治療をB細胞由来でない血液学的悪性腫瘍に拡大するために、本発明者らは、T細胞が、CD70に、すなわち、限定されたサブセットの正常なリンパ球および樹状細胞によって発現されるが、広範囲の様々な血液学的悪性腫瘍および一部の固形腫瘍によって異常に発現される抗原に仕向けられ得るかどうかを明らかにした。CD70特異的T細胞を作製するために、本発明者らは、CD3−ζ鎖に融合されるCD70受容体(CD27)を含むキメラな抗原受容体(CAR)を構築した。CD70特異的CARを発現するT細胞の刺激は、IFN−γおよびIL−2の分泌ならびに腫瘍細胞の殺傷によって示されるように、CD27共刺激、ならびに、CD70陽性腫瘍細胞株および原発性腫瘍細胞の認識がもたらされた。養子移入されたCD70特異的T細胞は、定着したマウス異種移植片の持続した退行を誘導した。したがって、CD70特異的T細胞はCD70陽性悪性腫瘍のための有用な免疫療法取り組みである。
【0052】
実施例1
例示的な材料および方法
細胞株および腫瘍細胞
【0053】
血液サンプルおよび原発性腫瘍細胞を得るためのプロトコルが、Baylor College of Medicineの施設内倫理委員会(IRB)によって承認された。Daudi、CCL−120、U266およびK562の細胞株を、American Type Culture Collection(ATCC、Rockville、MD、米国)から得た。CD70を発現するK562細胞(K562.70)が、K562細胞を、ヒトCD70およびGFPをコードする自己不活性化レンチウイルスベクターにより形質導入することによって作製された。L1236をDSMZ(Braunschweig、ドイツ)から得た。SNK6およびSNT16が清水則夫博士(東京医科歯科大学、日本)から譲渡された(Nagata et al., 2001)。原発性B細胞非ホジキンリンパ腫(インビトロ培養されることなく凍結保存されていたもの)が、Stephan Ansell博士(Mayo Clinic、Rochester、MN、米国)によって提供された。
【0054】
CD70特異的CAR構築物の作製
【0055】
全長のヒトCD27(CD70受容体)を、オーバーラップポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用してT細胞受容体のζ鎖(TCR−ζ)のシグナル伝達ドメイン(アミノ酸52〜164)に読み枠を合わせて融合した;pORF.CD27(Invitrogen、Carlsbad、CA)およびpSFG.FRP5.ζ(Ahmed et al., 2007)がPCRテンプレートとして役立った。プライマーを、5’−NcoI制限部位および3’−SphI制限部位を作製するために改変し、CD27 TCR−ζ融合遺伝子(CD70−CAR)をSFGレトロウイルスベクターにサブクローニングした。形質導入されたT細胞の明確な検出を容易にするために、内部リボソーム進入配列(IRES)により短縮化されたCD19(tCD19)(Tey et al., 2007)発現カセット(IRES−tCD19)をオーバーラップPCRによって作製し、CD27 TCR−ζ融合遺伝子の3’において、SFGレトロウイルスベクターの5’−SphI制限部位および3’−AccIII制限部位にサブクローニングした(pSFG.CD70−CAR−IRES−tCD19;
図1A)。加えて、CD70−CAR−IRES−DsRed発現カセット、または、CD27の23アミノ酸のTRAF2結合部位(残基238〜260)が欠失されたΔCD70−CAR−IRES−DsRed発現カセット(Yamamoto et al., 1998)を含有するレトロウイルスベクターを作製した(
図8)。
【0056】
レトロウイルスの産生およびTリンパ球の形質導入
【0057】
RD114偽型レトロウイルス粒子を、GeneJuiceトランスフェクション試薬(Novagen、San Diego、CA)を使用して、CD70−CAR SFGレトロウイルスベクター、MoMLV gag−polのための配列を含有するPeg−Pam−eプラスミド、および、RD114エンベロープを含有するRDFプラスミド(Kelly et al., 2000)を用いた293T細胞の一過性トランスフェクションによって生じさせた(Vera et al., 2006)。レトロウイルスを含有する上清を48時間〜72時間の後で集めた。レトロウイルス形質導入のために、組織培養非処理の24ウエルプレートをOKT3抗体(Ortho Biotech、Bridgewater、NJ)およびCD28抗体(Becton Dickinson、Mountain View、CA)により一晩処理した。翌日、0.5×10
6個の末梢血単核細胞(PBMC)をそれぞれのウエルに加え、10%の熱不活化ウシ胎児血清(FCS)および1%のGlutaMax(商標)(Gibco−BRL)を含有するRPMI1640完全培地(Gibco−BRL、Gaithersburg、MD)で培養した。組換えヒトインターロイキン−2(rhIL−2;200U/mL;Proleukin;Chiron、Emeryville、CA)を3日目に培養物に加えた。ウイルス上清を、RetroNectin(登録商標)(宝酒造、大津、日本)により前処理された24ウエルプレートに加え、培養されたOKT3/CD28刺激の細胞をそれぞれのウエルに加えた(5×10
5細胞/ウエル)。細胞を遠心分離し、5%CO
2において37℃でインキュベーションした。T細胞におけるCAR発現を72時間後に測定し、細胞を、rhIL−2(50〜100U/mL)が3日毎に加えられる完全培地における培養で維持した。非形質導入のT細胞(これはコントロールとして使用された)をOKT3/CD28により活性化し、使用前の10日間〜15日間、50ユニット/mL〜100ユニット/mLのIL−2の存在下で拡大培養した。
【0058】
フローサイトメトリー
【0059】
FACS Calibur装置(BD Biosciences)を使用して、免疫蛍光データを取得し、免疫蛍光データをFCS Expressソフトウエア(バージョン3)(De Novo Software、Los Angeles、CA)により分析した。表面染色のためのすべての抗体をBD Biosciencesから購入した。イソ型コントロールが、免疫グロブリンG1−フルオレセインイソチオシアナート(IgG1−FITC)、IgG1−フィコエリトリン(IgG1−PE)、IgG1−ペリジニンクロロフィルタンパク質(IgG1−PerCP)およびIgG1−アロフィコシアニン(IgG1−APC)であった。前方散乱ゲーティングおよび側方散乱ゲーティングを使用して、生細胞を死細胞から識別した。CD70−CARの発現を、CD27−FITC、CD19−PEを使用して293T細胞に対して、また、CD19−PE、CD3−FITC、CD4−PerCPおよびCD8−APCを使用してヒトCD3/CD28刺激T細胞に対して分析した。腫瘍細胞におけるCD70の発現を、CD70−PEを使用して求めた。細胞内染色のために、細胞を4%パラホルムアルデヒド(BD)により固定処理し、1%サポニン(Sigma)により透過処理した。Bcl−xlに対するマウスモノクローナル抗体(Santa Cruz Biotechnology,Inc.、Santa Cruz、CA)を一次染色のために使用し、ヤギ抗マウスAPC(GAM−APC;BD)を二次染色のために使用した。イソ型コントロールは、GAMAPC単独とインキュベーションされた細胞であった。
【0060】
サイトカイン産生の分析
【0061】
健康なドナーに由来するCD70特異的T細胞または非形質導入T細胞を、CD70陽性細胞株または原発性CD70陽性リンパ腫と、2:1のエフェクター対標的の比率で48ウエルプレートにおいて共培養した。24時間のインキュベーションの後、培養上清を集め、本発明者らはIFN−γおよびIL−2を製造者の説明書(R&D Systems、Minneapolis、MN)に従ってELISAによって測定した。
【0062】
IFN−γのELISPOTアッセイ
【0063】
本発明者らは以前の記載(Gottschalk et al., 2003)のようにELISPOTアッセイを使用して、IFN−γ分泌T細胞の頻度を求めた。CD70−CARまたは非形質導入のT細胞を1×10
5個で播種し、適切な刺激とともに18時間インキュベーションした。その後、プレートを発色させ、一晩乾燥し、定量化のためにZellNet Consulting(New York、NY)に送付した。
【0064】
共免疫沈殿
【0065】
CD70−CARまたはΔCD70−CARを安定的に発現する293T細胞をレトロウイルス形質導入によって作製した。CARを発現する細胞を、GeneJuiceトランスフェクション試薬(Novagen、San Diego、CA)を使用して2μgのFLAGタグ化TRAF2(これはJinhua Yang博士(Baylor College of Medicine)によって譲渡された)によりトランスフェクションした。トランスフェクション後24時間で、細胞を1:1の比率でK562.70細胞と共培養して、受容体を架橋した。12時間後、細胞を氷冷PBS(Sigma、St.Louis、MO)により洗浄し、非接着性のK562.70細胞を培養物から吸引した。残留する293T細胞を溶解し、タンパク質を、μMACS(商標)Protein G MicroBeadsおよびμColumn(Miltenyi Biotec Inc.、Auburn、CA)を使用して抗FLAG(登録商標)M2抗体(Sigma)により沈殿させた。免疫沈殿物をSDS−PAGEによって分離し、CD3−ζ抗体(Santa Cruz Biotechnology)によるブロッティングに供した。
【0066】
クロム放出アッセイ
【0067】
標準的なクロム放出アッセイを以前の記載(Gottschalk et al., 2003)のように三連で行った。簡単に記載すると、1×10
6個の標的細胞を0.1mCi(3.7MBq)の
51Crにより標識し、減少する数のエフェクター細胞と混合して、40:1、20:1、10:1および5:1のエフェクター対標的の比率を得た。完全培地単独、または、1%のTriton X−100においてインキュベーションされた標的細胞を、自発的
51Cr放出および最大
51Cr放出を求めるためにそれぞれ使用した。4時間後、上清を集め、放射能をガンマカウンター(Cobra Quantum;PerkinElmer;Wellesley;MA)で測定した。三連ウエルの特異的溶解の平均百分率を下記の式に従って計算した:[試験放出−自発的放出]/[最大放出−自発的放出]×100。
【0068】
CFSE増殖アッセイおよび長期殺傷アッセイ
【0069】
T細胞の増殖および長期殺傷を測定するために、本発明者らは1×10
7個のT細胞を1.5μMのカルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル(CFSE;Molecular Probes,Inc.、Eugene、OR)と室温で10分間インキュベーションした。本発明者らは、CFSE標識されたT細胞を、外因性IL−2の非存在下、適切なCD70陽性腫瘍細胞またはCD70陰性腫瘍細胞と2:1のエフェクター:標的の比率で培養した。5日〜7日の共培養の後、細胞を集め、CD3に関して染色し、FACS分析によってCFSE希釈について分析した。増殖実験のための陽性コントロールおよび陰性コントロールがそれぞれ、100U/mlのrhIL−2の存在下で培養されたT細胞、および、サイトカインを全く伴わないT細胞単独であった。長期殺傷実験のために、FACS分析を、生細胞を求めるために前方散乱ゲーティングおよび側方散乱ゲーティングを使用して行い、一方で、CFSE染色およびCD3陽性を、CD70特異的T細胞または非形質導入T細胞をCD3陰性の非標識腫瘍細胞から区別するために使用した。
【0070】
異種移植片モデルおよび生物発光画像化
【0071】
すべての動物実験が、Baylor College of Medicineの施設内動物管理使用委員会によって承認されたプロトコルのもとで行われた。CD70特異的T細胞の抗腫瘍効果をインビボで評価するために、本発明者らは2つのSCIDマウスモデルおよびIVIS(Caliper Life Sciences)インビボ画像化システムを使用した(Ahmed et al., 2007)。8週齢〜10週齢のSCIDマウス(IcrTac:ICR−Prkdc
scid;Taconic)を亜致死的放射線照射(2.5Gy)に供し、2日後、強化型GFP(eGFP)−ホタルルシフェラーゼ(eGFP−FFLuc)融合遺伝子を発現する5×10
5個のDaudi細胞をMatrigel(BD Biosciences)に懸濁させてIP注入した。腫瘍の成長をモニターするために、イソフルラン麻酔のマウスにD−ルシフェリン(150mg/kg)をIP注射し、生物発光画像を10分後に得て、Living Imageソフトウエア(バージョン4.0)(Caliper Life Sciences)を使用して分析した。目的とする一定領域を腫瘍領域の上に描き、総光子数/秒/平方センチメートル/ステラジアン(p/s/cm
2/sr)として測定されるシグナルの強度を得た。10日後、腫瘍のシグナルが一貫して増大し続けているときであるが、マウスをCD70特異的T細胞または非形質導入T細胞により処置した。1×10
7個のT細胞の3回のIP注入を、10日目、11日目および17日目に与え、その後、1500UのrhIL−2(R&D Systems)もまたIP注射により与えた。マウスをそれぞれのT細胞注入の前に画像化し、その後は週に3回、画像化した。本発明者らは、Raji SCID異種移植片を使用して、CD70特異的T細胞の抗腫瘍活性を全身的非ホジキンリンパ腫モデルにおいて評価した(Brentjens et al., 2003; Cheadle et al., 2008; Tammana et al., 2010)。簡単に記載すると、2×10
5個のRaji.FFluc細胞を亜致死的放射線照射(2.5Gy)のSCIDマウスにIV注入し、4日後、マウスを1×10
7個のCD70特異的T細胞または非形質導入T細胞のIV投与によって処置した。本発明者らは3回のT細胞(4日目、5日目および11日目)を1500UのrhIL−2とともに与えた。本発明者らは、生物発光画像化を使用して転移腫瘍を定量化した。生存分析のために、マウスを、歩行時の片足または両足の引きずりとして特定される後肢麻痺の最初の徴候のときに安楽死させた。
【0072】
統計学的分析
【0073】
CD70特異的T細胞と、非形質導入T細胞との間におけるIFN−γ分泌およびIL−2分泌の比較を、ウィルコクスン符号付順位検定を使用して行った。腫瘍体積データをlog変換し、最初のT細胞注入から処置後の測定までの変化を計算した。ペア毎の比較を、2つのT細胞群の間での光強度における何らかの統計学的有意差を特定するために用いた。0.05未満のp値を、統計学的に有意であると見なした。生存曲線を、カプラン・マイヤー法を使用して作製し、重みつきロングレンジ検定を使用して比較した。
【0074】
実施例2
CD70特異的T細胞の作製
本発明者らは、T細胞受容体のζ鎖のシグナル伝達ドメインに融合されるCD70受容体(CD27)(CD70−CAR)をコードするSFGレトロウイルスベクターを構築した。ほとんどのナイーブなメモリーT細胞は低レベルのCD27を内因的に発現するので、IRES−tCD19発現カセットもまた、形質導入された細胞の明確な検出について可能にするためにレトロウイルスベクターに含まれた(
図1A)。CD27およびtCD19は直線的な共発現パターンを示した。このことは、tCD19がCD70−CAR発現のための好適なマーカーであることを示している(
図1B)。CD3/CD28活性化T細胞を、CD70−CAR−IRES−tCD19をコードするRD114偽型レトロウイルス粒子により形質導入し、形質導入後10日〜14日で、tCD19の発現をFACS分析によって求めた。平均して45%(+/−6;n=5)のT細胞がtCD19を発現し、CD4陽性細胞およびCD8陽性細胞の両方を形質導入した(
図1C〜
図1D)。
【0075】
実施例3
CD70特異的T細胞はCD70陽性腫瘍細胞への暴露の後で免疫刺激サイトカインを分泌し、増殖する
遺伝子組換えT細胞によるCD70の認識を検出するために、本発明者らは最初、CD70陰性K562細胞およびCD70遺伝子組換えK562細胞を使用した(
図2)。3名のドナーのCD70特異的T細胞および非形質導入T細胞をK562またはK562.CD70により刺激し、48時間後、本発明者らはIFN−γおよびIL−2の放出を測定した(
図3A、
図3B)。CD70特異的T細胞は、非形質導入T細胞と比較した場合、K562.CD70にさらされた後、著量のIFN−γ(p=0.03)およびIL−2(p=0.02)を産生した。加えて、CD70陰性K562細胞はCD70特異的T細胞を活性化しなかった。このことは、サイトカインの産生には、標的細胞表面におけるCD70の発現と、T細胞表面におけるCD70−CARの存在との両方が要求されることを示している。本発明者らがこれらの培養組合せのそれぞれにおけるT細胞の増殖を比較したとき、類似した結果が認められた(
図3C)。
【0076】
本発明者らは、上記の知見を、CD70の発現が様々なレベルではあるが、生来的に存在する腫瘍細胞を使用することによって確認した。本発明者らは、非ホジキンリンパ腫を表すCD70陽性腫瘍細胞株(Daudi、SNK6、SNT16)、ホジキンリンパ腫を表すCD70陽性腫瘍細胞株(L1236)、白血病を表すCD70陽性腫瘍細胞株(CCL−120)、および、多発性骨髄腫を表すCD70陽性腫瘍細胞株(U266)のパネルを使用した(
図2)。CD70特異的T細胞は非形質導入T細胞よりも有意に多いIFN−γ(p<0.0001)およびIL−2(p<0.0001)を分泌した(
図3A、
図3B)。T細胞の増殖は標的細胞におけるCD70の発現に依存し、CD70
微弱の腫瘍細胞(Daudi)はCD70
明瞭の腫瘍細胞よりも少ないT細胞増殖を誘導した。加えて、本発明者らは、非形質導入T細胞の増殖をSNT16細胞による刺激の後で認めた。本発明者らは、それらはCD70特異的T細胞のIL−2産生を誘導することができることによって判断されるように(
図1B)、このことが、SNT16細胞による低レベルのIL−2分泌(10〜50pg/mL)、および、それらの共刺激能が堅固であることに起因すると考えた。CD70の発現が、健康なドナーに由来する末梢血のB細胞およびT細胞では低かったか、存在しなかった(
図2)。したがって、本発明者らはCD70特異的T細胞のIFN−γ産生またはIL−2産生を初代B細胞または初代T細胞との共培養の後で検出することができなかった。CD70特異的T細胞がB細胞またはT細胞によって刺激されないことを確認するために、本発明者らはIFN−γのELISPOTアッセイを使用した。ELISPOTアッセイでは、初代B細胞または初代T細胞との共培養の後におけるCD70特異的T細胞の活性化が全く示されなかった(
図8A)。
【0077】
実施例4
CD70特異的T細胞はCD70陽性腫瘍細胞を殺すが、CD70陰性細胞を殺さない
本発明者らは次に、標準的な4時間の
51Cr放出アッセイと、5日〜7日の共培養アッセイとの両方で、CD70特異的T細胞によるCD70陽性標的の殺傷を測定した。4時間の
51Cr放出アッセイにおいて、CD70特異的T細胞はCD70陽性の標的細胞(K562.70、Daudi、U266、SNK6、SNK16)を殺したが、CD70陰性の細胞(K562)を殺さなかった。非形質導入T細胞は殺傷を全く示さず、このことから、CD70特異性が確認された(
図4A、
図4B)。共培養アッセイのために、CD70特異的T細胞または非形質導入T細胞をCFSEにより標識し、非標識の腫瘍細胞に2:1の比率で加えた。5日〜7日の後、腫瘍細胞の数をCD3陰性/CFSE陰性画分のFACS分析によって求めた(
図4C)。CD70特異的T細胞は、試験された4つすべてのCD70陽性株(Daudi、U266、SNK6、SNK16)を排除し、一方で、コントロールT細胞はこれらを排除することができなかった(
図4D)。CD3/CD28により刺激されたT細胞はCD70特異的T細胞によって殺されなかったが、MRC5細胞上のCD40リガンドにより「超生理学的に」活性化されたB細胞芽細胞はCD70特異的T細胞による殺傷に対して感受性であった(
図8B)。
【0078】
実施例5
CD27共刺激はCD70特異的刺激の後におけるT細胞の生存のために重要である
CD70−CAR(
図1A)の内部ドメイン内に位置するCD27の23アミノ酸の共刺激ドメインの役割を求めるために、本発明者らは、CD27の共刺激ドメインが欠失されたCD70−CAR(ΔCD70−CAR)を作製した。共刺激ドメインの機能的非存在を、ΔCD70−CARがTRAF2(CD27のシグナル伝達を媒介する重要なアダプタータンパク質)に結合することができないことによって確認した(
図5A)。T細胞を、CD70−CAR−I−dsRedまたはΔCD70−CAR−I−dsRed(
図9A)をコードするレトロウイルスベクターにより形質導入した。両方の構築物の形質導入効率は、dsRed発現によって判断されるように類似しており(65%〜90%;
図9B)、細胞毒性アッセイにおいて、CD70−CAR発現T細胞およびΔCD70−CAR発現T細胞はCD70陽性の標的を同じ効率により殺した(
図5B)。T細胞の活性化に対するCD27共刺激の寄与を評価するために、本発明者らは、共刺激分子を欠いているが、CD70を発現させるために遺伝子改変された自己由来の線維芽細胞(Fib.CD70)を利用した。Fib.CD70によるT細胞刺激の3日後から始まったが、活性化されたCD70−CAR T細胞の有意により大きい「凝集塊」が、ΔCD70−CAR T細胞との比較において認められた(
図5C)。T細胞の増殖における差(
図5D)およびIFN−γまたはIL−2の産生における差が何ら認められなかったが、ΔCD70−CAR T細胞の生存性が、CD70−CAR T細胞との比較において有意に低下した(
図5D;P<0.05)。他の研究者によって報告されるように、Bcl−xl(重要な抗アポトーシスタンパク質)がCD27のシグナル伝達によって誘導される(van Oosterwijk et al., 2007)。この知見と一致して、CD70−CAR T細胞は、ΔCD70−CAR T細胞との比較においてより高レベルのBcl−xlを一貫して発現した(
図5E)。これらの結果は、CD70−CAR内に位置するCD27の共刺激ドメインが共刺激シグナルを提供し、高まったT細胞生存をもたらすことを示している。したがって、すべてのその後の実験のために、本発明者らはCD70−CAR T細胞(CD70特異的T細胞)を使用した。
【0079】
実施例6
CD70特異的T細胞は原発性のB細胞リンパ腫およびT細胞リンパ腫の認識および殺傷を生じさせる
CD70特異的T細胞がCD70陽性のリンパ腫細胞株の認識および殺傷を生じさせることを示したので、本発明者らは次に、CD70抗原を原発性のB細胞リンパ腫およびT細胞リンパ腫の表面における標的としての妥当性について検証した。本発明者らは、原発性のCD70陽性B細胞非ホジキンリンパ腫細胞(MF1792、MF1731、MF888)およびT細胞急性リンパ芽球性白血病細胞(T007)を、健康なドナーに由来するCD70特異的T細胞と24時間にわたって共培養し、上清におけるIFN−γを測定した。コントロールのT細胞ではなく、CD70特異的T細胞が、CD70+の悪性腫瘍にさらされたとき、IFN−γの分泌をもたらした(
図6A)。5日の共培養アッセイにおいて、コントロールのT細胞ではなく、CD70特異的T細胞により、原発性CD70陽性細胞が排除された(
図6B、
図6C)、したがって、CD70特異的T細胞は原発性CD70陽性悪性腫瘍細胞のCD70特異的様式での認識および殺傷を生じさせる。
【0080】
実施例7
CD70特異的T細胞を投与した後における定着リンパ腫のインビボ退行
本発明者らはCD70特異的T細胞の抗腫瘍活性を異種SCIDマウスモデルにおいて測定した。本発明者らは、亜致死的放射線照射を受けたSCIDマウスに5×10
5個のDaudi.FFluc細胞をi.p.注入し、腫瘍の成長をマウスの連続生物発光画像化によってモニターした。10日後、マウスは、1日離して、その後は1週間離して3回(注入0日目、注入1日目および注入7日目に)与えられる1×10
7個のCD70特異的T細胞の3回の注入を受けた(n=10)。腫瘍を有するマウスの第2の群には、非形質導入T細胞が注入された。非形質導入T細胞により処置されたマウスでは、腫瘍が、生物発光画像化によって判断されるように指数関数的に成長した(
図7A)。対照的に、腫瘍負荷量における有意差が、T細胞注入後7日目に、CD70特異的T細胞と、非形質導入T細胞との間で認められた(p=0.002)(
図7B)。成長する腫瘍を有する9匹のマウスのうちの8匹において、光子放射がCD70特異的T細胞の注入の後でベースラインに戻った。このことは、T細胞移入後の2週間超にわたって7匹のマウスにおいて持続した腫瘍退行を示している。
【0081】
第2のインビボ研究において、本発明者らは、CD70特異的T細胞の抗腫瘍活性を、全身リンパ腫モデルを使用して測定した。本発明者らは、亜致死的放射線照射を受けたSCIDマウスに2×10
5個のRaji.FFluc細胞をIV注入した。4日後、本発明者らは、マウスに、前記段落に記載される同じ処置スキームを使用して、1×10
7個のCD70特異的T細胞または非形質導入T細胞の3回のIV注入を与えた。全身の腫瘍の数を、生物発光画像化を使用して求めた。腫瘍細胞注入後の第3週および第4週で、非形質導入T細胞を受けたマウスにおいてCD70特異的T細胞の場合よりも有意に大きい腫瘍負荷量(それぞれ、P=0.012およびP=0.10)が認められた(
図7C)。このことは、CD70特異的T細胞により処置されたマウスでの全生存における有意な増大(P<0.05)につながった(
図7D)。
【0082】
実施例8
重症慢性活動性EBV感染を伴う原発性CD70陽性T細胞リンパ腫細胞がCD70特異的T細胞によって殺される
重症慢性活動性エプスタイン・バールウイルス感染(CAEBV)は潜在性EBV感染の希な合併症である。これは主として日本で発生するが、数例が西半球で報告されている(Kimura et al., 2003; Cohen et al., 2008)。CAEBVにおいて、ナチュラルキラー(NK)細胞、T細胞、または、希にはB細胞が感染し、患者を、命を脅かす合併症(例えば、血球貪食症候群、および、NK細胞またはT細胞のリンパ球増殖性疾患(LPD)など)に罹りやすくしている(Kimura et al,. 2001; Ishihara et al., 1997)。CAEBV関連LPDのための唯一の治癒選択肢が現在、幹細胞移植である。本実施例において、本発明者らは、攻撃的T細胞リンパ腫をCAEBVの状況で発症した患者を報告する。
【0083】
本発明者らは今回、CD70が原発性CAEBV関連T細胞リンパ腫細胞において発現されること、および、これらの細胞がCD70特異的T細胞による殺傷に対して感受性であることを明らかにし、これにより、CD70をCAEBV関連T細胞リンパ腫のための可能性のある免疫療法標的として特定する。
【0084】
実施例9
本発明のある種の実施形態の重要性
本発明者らは、CD70がいくつかの血液学的悪性腫瘍およびガン腫において異常に発現されるので、CD70が、CD27をCARの一部として発現するように操作されたT細胞によって標的化され得ることを示す。CD70特異的CARを発現するT細胞はCD70陽性腫瘍細胞株および原発性腫瘍サンプルのインビトロでの認識および殺傷を生じさせ、また、ヒトCD70腫瘍をマウス異種移植において排除した。
【0085】
多くの白血病およびリンパ腫の表面に存在するが、CD70は系譜特異的なマーカーではなく、生理学的には、CD70は、非常に活性化されたT細胞、B細胞および樹状細胞のサブセットにおいて一時的に発現されるだけである。CD70プロモーターは、AP−1、AP−2、Sp1およびNF−κBについての転写因子結合部位を含有し、メチル化に対して感受である;しかしながら、CD70の発現を調節する正確なシグナル伝達経路は十分には理解されていない(Lu et al., 2005)。CD70が、構成的なNF−κB活性化(CD70の発現を調節することに寄与しているかもしれない経路)に伴っているかもしれないが、ヒトTリンパ球向性ウイルス1型関連悪性腫瘍およびEBV関連悪性腫瘍ならびにホジキンリンパ腫においてアップレギュレーションされる(Nolte et al., 2009; Jost et al., 2007)。悪性腫瘍細胞での異常なCD70発現の役割はその生理学的寄与ほどには十分に理解されておらず、しかし、非ホジキンリンパ腫による免疫回避には寄与しているかもしれない(Yang et al., 2007)。他の研究者は、CD70/CD27の共刺激経路が、白血病特異的なT細胞応答を誘導するために非常に重要であることを示している(Glouchkova et al., 2009)。
【0086】
ほとんどのCARの細胞外ドメインが、腫瘍細胞のMHC非拘束様式での認識および殺傷を生じさせる抗原特異的なT細胞を調製するために使用することができる改変されたモノクローナル抗体結合部位からなる。これらのモノクローナル抗体フラグメントはヒト化されない限り、ヒト抗マウス抗体、および/または、注入細胞のエフェクター機能を省略する内因性のT細胞応答を誘導するかもしれない(Miotti et al., 1999; Kahlon et al., 2004; Jensen et al., 2010)。したがって、生理学的に存在する受容体−リガンド相互作用(Kahlon et al., 2004; Zhang et al., 2006)を利用することにより、この障害が回避され、したがって、ヒト対象におけるインビボでのエフェクター機能が、導入遺伝子に対する望まれない免疫応答によって中断されないことが保証されるにちがいない。したがって、本発明者らは、CD3−ζ鎖を天然に存在するCD70受容体(CD27)に融合することによってCD70特異的CARを構築した。
【0087】
CD70特異的T細胞をCD70陽性腫瘍細胞により刺激することにより、IFN−γおよびIL−2の両方の分泌がもたらされた。ζ−シグナル伝達ドメインのみを含有するCARを誘発することにより、IFN−γの産生がもたらされるが、IL−2は一般に、抗原依存的様式で分泌されるだけである(Ahmed et al., 2007)。CD70特異的T細胞のCD70陽性腫瘍細胞との共培養は、他のCAR発現T細胞について報告される範囲に含まれる、CD70特異的T細胞による4000pg/mL〜14000pg/mLのIFN−γの産生をもたらした(Ahmed et al., 2009)。CAR T細胞の活性化は、標的細胞上の抗原密度(Weijtens et al., 2000)、同様にまた、共刺激分子の存在(Zhao et al., 2009)に依存するので、IFN−γの産生が個々のCD70陽性腫瘍細胞株の間で変化したことは驚くべきことではない。Daudi細胞は、最も低いレベルのIFN−γ分泌を誘導した一方で、FACS分析によって判断されるように、CD70の最も低い発現を有した。IFN−γの産生に加えて、本発明者らは、腫瘍細胞にさらされた後で、一定しないが、IL−2の有意な分泌を認めた。これらの違いは、腫瘍のCD70発現レベルとは無関係であったが、従来の共刺激分子の発現に依存しているようではなかった。これは、本発明者らが、古典的な共刺激分子(例えば、CD80およびCD86など)を発現しないK562.70細胞によるT細胞刺激の後でIL−2の分泌を認めたからである。しかしながら、これらの細胞は、ヒトCD8陽性T細胞の表面に発現されるNKG2Dと相互作用することによって共刺激シグナルをもたらすことができるNKG2Dリガンドを発現する(Maasho et al., 2005)。そのうえ、SNT16およびSNK6の非ホジキンリンパ腫細胞はCD70特異的T細胞から高レベルのIL−2産生を誘導し、これは、EBV陽性のNK/T細胞非ホジキンリンパ腫細胞における接着分子の知られている高い発現と一致する影響であった(Kanno et al., 2008)。
【0088】
CD27共刺激により、T細胞における活性化誘導された細胞死が、部分的にはBcl−xl(抗アポトーシスタンパク質)のアップレギュレーションによって妨げられる(van Oosterwijk et al., 2007)。この知見と一致して、本発明者らは、CD27の共刺激ドメインが欠失されたΔCD70−CARを発現するT細胞が、低下した生存性、および、全長CD27を有するCD70−CARを発現するT細胞よりも低いレベルのBcl−xl発現を有したことを認めた。これらのデータは、CD70−CAR T細胞はまた、長期間に及ぶ永続性をインビボで示すかもしれないことを示している。興味深いことに、エクスビボ拡大された腫瘍浸潤リンパ球のインビボ効力データは、CD27の発現が抗腫瘍活性と相関することを示唆する(Huang et al., 2006)。CD27共刺激がCAR発現T細胞の永続性を高めるかどうかを明らかにすることができる。
【0089】
本発明者らは、CD70陽性腫瘍細胞の完全な殺傷を5日〜7日の共培養アッセイにおいて認めた(
図4C〜
図4D)一方で、より様々なレベルの腫瘍細胞殺傷を標準的な4時間の
51Cr放出アッセイにおいて認めた(
図4B)。これらの違いは、T細胞に依存していない可能性が最も高かった。これは、腫瘍細胞崩壊(クロム放出)の速度論は、T細胞自体のエフェクター機能における差ではなく、むしろ、T細胞由来の細胞毒性分子(例えば、パーフォリンまたはグランザイムBなど)に対するそれらの固有的な感受性に依存するからである(Perelson et al, 1984)。
【0090】
本発明の実施形態において、CD27−ζ CARを発現するCD70特異的T細胞は、有意なインビボ抗腫瘍活性をリンパ腫のIP DaudiモデルおよびIV Rajiモデルの両方において示した。IP DaudiモデルにおけるCD70特異的T細胞の認められた抗腫瘍活性は、以前の報告(Tammana et al., 2010; Kowolik et al., 2006; Hoyos et al., 2010)において示されるように、CD19−CARを発現するT細胞と類似していた。興味深いことに、CD70特異的T細胞に関して認められるような持続した抗腫瘍応答が、共刺激ドメインを含有するCARを発現するCD19特異的T細胞に関して認められただけであった。このことは、本発明者らがそのインビトロ実験で示しているように(
図5)、CD27−ζ CARが具体的な実施形態では、共刺激シグナルをインビボでもたらすことを示している。CD19−CARがIV Rajiモデルにおいて腫瘍細胞を殺すために共刺激ドメインを必要とすることは、議論の余地があり、また、矛盾している(Brentjens et al., 2003; Cheadle et al., 2008; Tammana et al., 2010)。これらの相反する結果は、ある種の局面では、遺伝子改変されたT細胞のエクスビボ調製、免疫不全マウスの系統、および/または、インビボ実験のために使用される特定のRaji細胞株誘導体における違いによって説明されるかもしれない。
【0091】
CD70が生理学的には免疫細胞のあるサブセットによって活性化期間中に発現されるので、CAR T細胞によるこの受容体の標的化は潜在的には、細胞免疫応答を損なうかもしれない。しかしながら、CD70は、活性化されたリンパ球および樹状細胞の小さい割合で一時的に発現されるだけであるので、本発明者らは、これは可能性がないと考えている。加えて、CD27ノックアウトマウス(これはCD27/CD70共刺激を全く欠いている)はその免疫系におけるほんのかすかな変化を有するだけであり、保護的な一次の抗原特異的T細胞応答を、病原体暴露後の正常なマウスと比較して、より小さいメモリーT細胞区画を除いて有する(Hendriks et al., 2000; Nolte et al., 2009)。これらのかすかな変化は、前から存在するメモリー集団の再活性化が感染に対する優勢な応答である成人対象では大きな関連がない可能性がある。本研究において、CD70特異的T細胞は末梢血のB細胞およびT細胞に対する反応性を全く示さなかった。本発明者らはまた、活性化されたT細胞が細胞毒性アッセイにおいてCD70特異的T細胞によって殺されないことを示した(
図8B)。対照的に、B細胞芽細胞がCD70特異的T細胞による殺傷に対して感受性であった。しかし、これは、CD40リガンドによる活性化の後、および、同種フィーダー細胞がCD70の発現を誘導した後においてのみであった(
図8B)。これらの結果は、CD70特異的T細胞が、活性化されたB細胞を殺す潜在的能力を有することを示している一方で、この知見の生理学的関連性は依然として不明のままである。これは、長期に及ぶCD70発現をもたらすこのタイプの「超生理学的な」B細胞活性化がインビボでは生じていないからである。実際、CD70が、CD40モノクローナル抗体およびリポ多糖によりインビトロで刺激されたマウスB細胞の表面に容易に発現されることが明らかにされている;しかしながら、インフルエンザウイルスによる攻撃を受けたマウスは、肺および流入領域リンパ節に浸潤するB細胞におけるCD70の表面発現を事実上示さない(Tesselaar et al., 2003)。同様に、CD70発現B細胞はヒトでは希にしか認められず、試験された扁桃の10%未満における限られた数の胚中心B細胞において、また、二次的リンパ系器官および末梢血における散在したリンパ球において見出される(Hintzen et al., 1994)。副作用が、CD70モノクローナル抗体の安全性および耐容性を評価する2件の第1相臨床研究(MDX−1203、NCT00944905;SGN−75、NCT01015911)において今までのところ何ら報告されていない。
【0092】
まとめると、CD70特異的T細胞は、CD27−ζをコードするCARによる遺伝子移入によって容易に作製することができ、これらの細胞はヒト腫瘍をインビトロおよびインビボで殺すことができる。CD70に仕向けられたT細胞の養子移入は、B細胞またはT細胞に由来する血液学的悪性腫瘍および他のCD70陽性の固形腫瘍のための魅力的な免疫療法取り組みであるかもしれない。
【0093】
参考文献
本明細書において言及されるすべての特許および刊行物は、本発明が関連する技術分野における当業者のレベルを示すものである。すべての特許および刊行物が、それぞれの個々の刊行物が、参照によって組み込まれることが具体的かつ個々に示されていたかのように同じ程度に参照によって本明細書中に組み込まれる。
特許文献
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本発明およびその利点が詳しく記載されているが、様々な変化、置換および変更が、添付された請求項によって定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書中で行われ得ることを理解しなければならない。そのうえ、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法および工程の特定の実施形態に限定されることが意図されない。当業者が本発明の開示から容易に理解するであろうように、本明細書中に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすか、または、本明細書中に記載される対応する実施形態と実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか、または、後に開発されることになる様々なプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法または工程を本発明に従って利用することができる。したがって、添付された請求項は、それらの範囲内において、そのようなプロセス、装置、製造、組成物、手段、方法または工程を包含することが意図される。