(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-123914(P2017-123914A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】糸埋め工具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/06 20060101AFI20170623BHJP
A61B 17/34 20060101ALI20170623BHJP
【FI】
A61B17/06 310
A61B17/34
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-3597(P2016-3597)
(22)【出願日】2016年1月12日
(11)【特許番号】特許第6106294号(P6106294)
(45)【特許公報発行日】2017年3月29日
(71)【出願人】
【識別番号】515236662
【氏名又は名称】黄文賢
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】黄文賢
(72)【発明者】
【氏名】李進雄
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB15
4C160FF43
4C160MM32
(57)【要約】
【課題】本体の側縁に切欠き溝が設けられているため、美容糸材のローディングが容易となる糸埋め工具を提供する。
【解決手段】差込端と、差込端の反対端に位置する握り端と、を有し、差込端と握り端の間に切欠き溝が設けられており、切欠き溝は本体の軸方向に沿って設けられており、開口を有する本体と、本体の側縁に設けられており、差込端の近傍に位置し、切欠き溝と連通する係り溝と、本体の側縁に設けられており、握り端の近傍に位置し、切欠き溝と連通する入り穴と、を含み、美容糸材は、入り穴から切欠き溝に進入して、切欠き溝に収容され可能であり、その一端が入り穴に位置し、その他端が係り溝に引っ掛けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込端と、前記差込端の反対端に位置する握り端と、を有し、前記差込端と前記握り端の間に切欠き溝が設けられており、前記切欠き溝は、前記本体の軸方向に沿って設けられており、開口を有する本体と、
前記本体の側縁に設けられており、前記差込端の近傍に位置し、前記切欠き溝と連通する係り溝と、
前記本体の側縁に設けられており、前記握り端の近傍に位置し、前記切欠き溝と連通する入り穴と、を含み、
美容糸材は、前記入り穴から前記切欠き溝に進入して、前記切欠き溝に収容され可能であり、その一端が前記入り穴に位置し、その他端が前記係り溝に引っ掛けられることを特徴とする、
糸埋め工具。
【請求項2】
前記係り溝は、垂直部と、二つの横切部と、を有し、前記垂直部は前記開口に垂直し、前記二つの横切部は、それぞれ前記垂直部の両端と連接し、前記開口に平行することを特徴とする、請求項1に記載の糸埋め工具。
【請求項3】
更に、少なくとも一つの中央穴を含み、前記中央穴は、前記係り溝と前記入り穴との間に設けられており、前記切欠き溝と連通し、前記美容糸材は、前記入り穴または前記少なくとも一つの中央穴から前記切欠き溝に進入可能であることを特徴とする、請求項1に記載の糸埋め工具。
【請求項4】
前記本体の前記差込端は、鈍い状態、又は斜めに切られた状態を呈することを特徴とする、請求項1に記載の糸埋め工具。
【請求項5】
更に、ハンドルを含み、前記ハンドルは、前記握り端に固定されており、前記切欠き溝に対応する箇所にマークが付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の糸埋め工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸埋め工具に関し、特に、美容糸材に適用可能な糸埋め工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
美容手術を行う場合には、まず、糸埋め工具内に美容糸材をローディングする。当該糸埋め工具は、外針と、内針と、を有する。前記外針は中空である。前記内針は、前記外針内に挿入可能であり、その先端が鈍い。これにより、手術に使用したい美容糸材を前記外針の内部にローディングして、患者の顔部の皮膚に前記外針を予定位置まで差し込んだ後、前記外針をゆっくり引き出すと共に、前記内針を押し込むと、前記外針の内部に位置する前記美容糸材を前記外針の外部に押し出すことが可能である。このように、前記美容糸材を患者の顔部の皮膚に残して、美容手術の次のプロセスに利用することができる。
【0003】
しかしながら、前記外針の内部に前記美容糸材をローディングするときには、前記外針の底端からゆっくり差し込むことが必要であるが、前記外針が長すぎるため、このようなローディング方式は時間がかなり掛る。そして美容糸材が柔らかいため、ローディングが極めて難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、本体の側縁に切欠き溝が設けられているため、美容糸材のローディングが容易となる糸埋め工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の糸埋め工具は、差込端と、差込端の反対端に位置する握り端と、を有し、差込端と握り端の間に切欠き溝が設けられており、切欠き溝は、本体の軸方向に沿って設けられており、開口を有する本体と、本体の側縁に設けられており、差込端の近傍に位置し、切欠き溝と連通する係り溝と、本体の側縁に設けられており、握り端の近傍に位置し、切欠き溝と連通する入り穴と、を含み、美容糸材は、入り穴から切欠き溝に進入して、切欠き溝に収容され可能であり、その一端が入り穴に位置し、その他端が係り溝に引っ掛けられることを特徴とする。
【0006】
本発明の糸埋め工具は、係り溝は、垂直部と、二つの横切部と、を有し、垂直部は開口に垂直し、二つの横切部は、それぞれ垂直部の両端と連接し、開口に平行することを特徴とする。
【0007】
本発明の糸埋め工具は、更に、少なくとも一つの中央穴を含み、中央穴は、係り溝と入り穴との間に設けられており、切欠き溝と連通し、美容糸材は、入り穴または少なくとも一つの中央穴から切欠き溝に進入可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明の糸埋め工具は、本体の差込端は、鈍い状態、又は斜めに切られた状態を呈することを特徴とする。
【0009】
本発明の糸埋め工具は、更に、ハンドルを含み、ハンドルは、握り端に固定されており、切欠き溝に対応する箇所にマークが付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の糸埋め工具によれば、本体の側縁に切欠き溝が設けられていることにより、美容糸材を入り穴または中央穴から切欠き溝に進入することが可能であり、切欠き溝に美容糸材を進入した後、美容糸材を引くと美容糸材が係り溝に引っ掛けられることにより、美容糸材が切欠き溝に収容される。このため、糸埋め工具に美容糸材をローディングする作業が容易となり、工数を減少することが可能である。また、糸埋め工具が長くても、美容糸材のローディングが容易であり、美容糸材をローディングした糸埋め工具の本体を患者の顔部の皮膚に予定位置まで差し込んだ後、本体を引き出すと、美容糸材が、患者の顔部の皮膚に残って、美容手術の次のプロセスに利用できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】本発明の一実施形態の使用状態を示す
図1であって、美容糸材を入り穴から切欠き溝に入れる状態を示す。
【
図5】本発明の一実施形態の使用状態を示す
図2であって、美容糸材を中央穴から切欠き溝に入れる状態を示す。
【
図6】本発明の一実施形態の使用状態を示す
図3であって、二つの美容糸材が同時にローディングされている状態を示す。
【
図7】本発明の別の実施形態を示す図であって、本体の差込端が斜めに切られた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1から
図7を参照する。
図1は本発明の一実施形態を示す外観図であり、
図2は本発明の一実施形態を示す側面図であり、
図3は本発明の一実施形態を示す縦断面図であり、
図4は、本発明の一実施形態の使用状態を示す
図1であって、美容糸材が入り穴から切欠き溝に入る状態を示し、
図5は、本発明の一実施形態の使用状態を示す
図2であって、美容糸材が中央穴から切欠き溝に入る状態を示し、
図6は、本発明の一実施形態の使用状態を示す
図3であって、二つの美容糸材が同時にローディングされている状態を示し、
図7は、本発明の別の実施形態を示す図であって、本体の差込端が斜めに切られた状態を示す。
本発明に係る糸埋め工具100は、本体10と、係り溝20と、入り穴30と、少なくとも一つの中央穴40と、ハンドル50と、を含む。
【0014】
本体10は、中空状を呈し、差込端11と、差込端11の反対端に位置する握り端12と、を有する。本体10の側縁13において、差込端11と握り端12の間に切欠き溝14が設けられている。切欠き溝14は、
図3に示すように、本体10の軸方向に沿って設けられており、開口15を有する。
【0015】
本体10の差込端11は、封止状態を呈し、
図1から
図6に示すように、鈍く、又は
図7に示すように、斜めに切られた状態を呈する。ユーザは、状況を見て適当な差込端11を選択して利用可能である。
【0016】
係り溝20は、本体10の側縁13に設けられており、差込端11の近傍に位置し、切欠き溝14と連通し、開口15と同じ側に位置する。
【0017】
本実施形態では、係り溝20は、垂直部21と、二つの横切部22と、を有する。垂直部21は切欠き溝14の開口15に垂直である。二つの横切部22は、
図2に示すように、それぞれ垂直部21の両端と連接し、開口15に平行する。
【0018】
入り穴30は、本体10の側縁13に設けられており、握り端12の近傍に位置し、切欠き溝14と連通し、開口15の反対側に位置する。これにより、美容糸材200は、入り穴30から切欠き溝14に進入して、切欠き溝14に収容され可能である。美容糸材200は、一端が入り穴30に位置し、他端が係り溝20の二つの横切部22のうちの一つに引っ掛けられる。
【0019】
中央穴40は、係り溝20と入り穴30との間に設けられており、切欠き溝14と連通する。美容糸材200は、入り穴30または中央穴40から切欠き溝14に進入可能である。糸埋め工具100は一つの中央穴40を有し、中央穴40は開口15の反対側に位置することが好ましい。
【0020】
ハンドル50は本体10の握り端12に固定されている。糸埋め工具100を操作するときには、ユーザがハンドル50を握る。ハンドル50には、本体10の軸方向に沿う貫通孔51が設けられている。貫通孔51は切欠き溝14と連通する。ハンドル50は、本体10の切欠き溝14に対応する箇所にマーク52が付けられている。マーク52により、糸埋め工具100を操作しているときに、ユーザは本体10の切欠き溝14の方向を識別可能である。
【0021】
次に、本発明に係る糸埋め工具100の使用方法を説明する。
まず、必要とする長さを有する美容糸材200を、入り穴30または中央穴40から、本体10の切欠き溝14に進入させる。例えば美容糸材200を必要とする長さがより長い場合には、
図4に示すように、美容糸材200を入り穴30から切欠き溝14に進入させる。美容糸材200を必要とする長さがより短い場合には、
図5に示すように、美容糸材200を中央穴40から切欠き溝14に進入させる。
美容糸材200を切欠き溝14に進入させた後、美容糸材200の端部を開口15から外部に出させる。ユーザが美容糸材200を引くと、美容糸材200の端部が係り溝20に引っ掛けられる。これにより、美容糸材200は糸埋め工具100の切欠き溝14に収容される。
【0022】
この後、本体10を患者の顔部の皮膚に予定位置まで差し込んだ後、本体10を引き出すと、美容糸材200が、患者の顔部の皮膚に残って、美容手術の次のプロセスに利用できる。
【0023】
ハンドル50の貫通孔51が切欠き溝14と連通するため、糸埋め工具100を利用した後、貫通孔51を経由して、本体10を洗浄して殺菌することが可能である。
【0024】
このため、本体10の側縁13に切欠き溝14が設けられていることにより、使用したい美容糸材200を入り穴30または中央穴40から切欠き溝14に直接進入させることが可能である。
切欠き溝14に美容糸材200を進入させた後、美容糸材200を引くと美容糸材200が係り溝20に引っ掛けられることにより、美容糸材200が切欠き溝14に収容される。このように、糸埋め工具100に美容糸材200をローディングする作業が容易となり、工数を減少することが可能であり、糸埋め工具100が長くても、美容糸材200のローディングが容易である。
【0025】
一方、本体10を患者の顔部の皮膚に差し込むときに、ユーザは入り穴30及び中央穴40の本体10に対する位置によって、本体10の患者の顔部の皮膚に差し込む深さを推測することが可能である。本体10の側縁13に目盛や測定用マークが設けられていることが好ましい。これにより、本体10の患者の顔部の皮膚に差し込む深さを直接に測定することが可能である。
【0026】
また、係り溝20の二つの横切部22により、本発明に係る糸埋め工具100は、
図6に示すように、一回で美容糸材200、300を本体10内にローディングすることが可能である。美容糸材200、300は、一端が入り穴30に位置し、他端が係り溝20の二つの横切部22にそれぞれ引っ掛けられる。これにより、ユーザは、状況を見て美容糸材200、300を数量を調整可能である。
【0027】
本発明は、糸埋め工具に適用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 本体
11 差込端
12 握り端
13 側縁
14 切欠き溝
15 開口
20 係り溝
21 垂直部
22 横切部
30 入り穴
40 中央穴
50 ハンドル
51 貫通孔
52 マーク
100 糸埋め工具
200、300 美容糸材
【手続補正書】
【提出日】2016年11月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込端と、前記差込端の反対端に位置する握り端と、を有し、前記差込端と前記握り端の間に切欠き溝が設けられており、前記切欠き溝は、前記本体の軸方向に沿って設けられており、開口を有する本体と、
前記本体の側縁に設けられており、前記差込端の近傍に位置し、前記切欠き溝と連通する係り溝と、
前記本体の側縁に設けられており、前記握り端の近傍に位置し、前記切欠き溝と連通する入り穴と、
前記係り溝と前記入り穴との間に設けられており、前記切欠き溝と連通している少なくとも一つの中央穴と、を含み、
美容糸材は、前記入り穴から前記切欠き溝に進入して、前記切欠き溝に収容可能であり、その一端が前記入り穴に位置し、その他端が前記係り溝に引っ掛けられ、
前記美容糸材は、前記入り穴または前記少なくとも一つの中央穴から前記切欠き溝に進入可能であることを特徴とする、
糸埋め工具。
【請求項2】
前記係り溝は、垂直部と、二つの横切部と、を有し、前記垂直部は前記開口に垂直し、前記二つの横切部は、それぞれ前記垂直部の両端と連接し、前記開口に平行することを特徴とする、請求項1に記載の糸埋め工具。
【請求項3】
前記本体の前記差込端は、鈍い状態、又は斜めに切られた状態を呈することを特徴とする、請求項1に記載の糸埋め工具。
【請求項4】
更に、ハンドルを含み、前記ハンドルは、前記握り端に固定されており、前記切欠き溝に対応する箇所にマークが付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の糸埋め工具。