特開2017-124093(P2017-124093A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017124093-靴用中敷 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-124093(P2017-124093A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】靴用中敷
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/18 20060101AFI20170623BHJP
【FI】
   A43B17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-6255(P2016-6255)
(22)【出願日】2016年1月15日
(71)【出願人】
【識別番号】506204047
【氏名又は名称】プラスワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】寺西 良祐
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050EA01
4F050HA56
(57)【要約】
【課題】靴内に繰り返して装着することができ、装着後にずれることがない。
【解決手段】靴用中敷1は足裏の輪郭形状の平面体をしており、足裏に当接する表面層2と、この表面層2の裏側に熱融着や接着剤等により貼り付けた吸着層3とから成っている。表面層2は起毛布帛、不織布、低反発弾性を有する合成樹脂等から成り、通気性を備え、吸着層3の下面は、多数の微細な窪みを有している。吸着層3全体を靴の中底に押圧することで吸着層3の下面に存在する微細な窪みから空気が抜け、吸着層3は中底に吸着し、固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴の中底に装着する中敷において、
該中敷は表面層と該表面層の裏面に積層された吸着層とを備え、
該吸着層は表面に多数の微細な窪みを生成した発泡合成樹脂から成り、前記中底への再吸着及び剥離を反復可能としたことを特徴とする靴用中敷。
【請求項2】
前記表面層と前記吸着層との間に中間層を介在したことを特徴とする請求項1に記載の靴用中敷。
【請求項3】
前記中敷の周囲に内側に向けて多数の切込部を形成し、これらの切込部により周縁部を起立部として立ち上げ可能としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の靴用中敷。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の中底上に装着する中敷に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所有する靴に対して流通している中敷を単独で装着して、使用者の履き心地や保温性を改善することは広く行われている。特許文献1には、使用中に中敷が移動することを防止するために、底面に粘着剤を塗布した中敷が開示されており、中敷の底面を靴の中底に貼り付けて使用している。
【0003】
また、単独で流通している中敷は、複数のサイズ、例えば大人男性用では大中小の3種類程度が用意されており、使用者は自分の靴サイズに対応した中敷を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−288548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の靴用中敷のように、靴内に粘着剤によって強く貼り付けた中敷であっても、長時間の使用により粘着剤の粘着性が徐々に低下するので、使用により中敷全体がつま先方向にずれてゆくことになる。
【0006】
そして、ずれ過ぎるとつま先に中敷の一部が集まり不快を感ずるため、一度中敷を靴から取り出して貼り直すことになる。しかし、一度靴の中底から剥がした中敷は、粘着力が不足してしまい、またすぐにずれてしまうという問題がある。
【0007】
また、中敷のサイズについても、自分の靴サイズの中敷が売り切れの場合には、適切な中敷を使用することができず、購入した中敷が自分の靴のサイズに対して大き過ぎたり、小さ過ぎたりすることもある。
【0008】
このようにサイズが合わない場合には、長時間の使用に伴い中敷がずれてしまい、使用者は位置調整のために中敷を貼り直すことがある。このため粘着力が不足し、更にずれ易くなるという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、靴内に繰り返して装着することが可能な中敷を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、靴サイズに拘らず、装着可能な中敷を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る靴用中敷は、靴の中底に装着する中敷において、該中敷は表面層と該表面層の裏面に積層された吸着層とを備え、該吸着層は表面に多数の微細な窪みを生成した発泡合成樹脂から成り、前記中底への再吸着及び剥離を反復可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る靴用中敷によれば、底面に吸着力が低下しない合成樹脂の発泡体を採用することで、ずれても吸着力が落ちずに貼り直すことが可能である。
【0013】
また、周縁に内向きの切込みを入れることで、靴サイズに拘らず適切に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の靴用中敷の斜視図である。
図2】横断面図である。
図3】使用状態の説明図である。
図4】実施例2の中敷の斜視図である。
図5】使用状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は実施例1の靴用中敷1の斜視図であり、図2は横断面図である。中敷1は足裏の輪郭形状の平面体をしており、足裏に当接する表面層2と、この表面層2の裏側に熱融着や接着剤等により貼り付けた吸着層3とから成っている。
【0017】
また、中敷1の大きさは、平均的な靴のサイズと同サイズであり、前後数cmの大きさの靴に対応可能である。なお、平均的な靴のサイズは、男性用、女性用とでは異なることから、男性用、女性用とで別の中敷1を製造することになる。
【0018】
表面層2は起毛布帛、不織布、低反発弾性を有する合成樹脂等から成り、通気性を備え、更に保温性を有することが好ましい。吸着層3は専ら発泡合成樹脂から成り、吸着層3の少なくとも下面は、多数の微細な窪みを有している。この微細な窪みは、直径300μm以下の空隙であり、各々が微細な吸盤のような作用を奏することになる。
【0019】
発泡合成樹脂層から成る吸着層3は、アクリル酸エマルジョンを発泡させた後に加熱乾燥することにより得られる。なお、このアクリル樹脂に代えてポリウレタン樹脂としてもよい。また、発泡合成樹脂にはゴム成分の他に、発泡剤、整泡剤、界面活性剤、増粘剤その他の添加剤を含めることもできる。
【0020】
表面層2と吸着層3との積層は例えば接着剤により行い、表面層2と吸着層3との積層面は、互いの全面を接着したものである。或いは、互いの面の周縁部分のみを接着したものであってもよく、スポット的に接着するようにしても支障はない。
【0021】
表面層2、吸着層3の他に、緩衝性や保温性を高めるために、表面層2と吸着層3との間に不織布や低反発弾性を有する合成樹脂から成る中間層を介して積層してもよい。
【0022】
図3に示すように、靴Sは表面側に中底S1を有する靴底S2と、この靴底S2の周縁部分を取り囲むように連結した甲革S3とから成る。中底S1は使用者の足裏を中敷1を介して乗せる部分である。
【0023】
甲革S3は使用者の足を上方から覆う部分であり、その爪先部は足の甲の形状に沿う形状をなす袋状に形成され、後方は踵を覆う筒状体とされており、この筒状体が足を挿入するための履き口S4を形成している。
【0024】
中敷1を使用する場合には、先ず靴Sの履き口S4から中敷1を内部に挿入する。中敷1の挿入後に位置合わせを行い、吸着層3全体を中底S1に押圧する。このように押圧することで吸着層3の下面に存在する微細な窪みから空気が抜ける。これにより、この微細な窪みの内圧は大気圧より小さくなるため、吸着層3は中底S1に吸着し、中敷1が中底S1に固定される。
【0025】
使用者は中敷1を踏み付けることで、より一層、中敷1が中底S1に吸着されることになる。中敷1を装着した靴Sを履いて、歩行者が自在に歩き回ると、歩行者の足から発汗し、汗は湿気として、靴Sの内部に留まることになる。
【0026】
靴S内に充満した湿気は、吸着層3と中底S1との間に入り込み、微量の水分が中敷1の吸着層3に浸透すると、吸着層3の発泡合成樹脂は膨潤軟化すると同時に、中敷1の吸着層3と中底S1と表面張力が作用して、吸着力がより高まる。
【0027】
このように、中底S1に強固に吸着した中敷1を装着した靴Sによれば、歩行者が長時間歩き回っても、中敷1が浮き上がったり、ずれ動いたりすることがない。
【実施例2】
【0028】
図4は実施例2の中敷1’の斜視図であり、実施例1と同一の部位は同一の符号を付している。中敷1’の材料構成は実施例1の中敷1と同様であり、中敷1’は中底S1に強固に吸着可能である。
【0029】
実施例2においては、中敷1’の周囲には5〜10mm程度の長さの多数の内側を向く切込部4が設けられており、この切込部4により中敷1の周縁は、点線Lに沿って上方に起立部5として折曲可能とされている。
【0030】
点線Lの外周は平均的な靴のサイズより若干小さいサイズであり、中敷1’の全体の大きさは、平均的な靴のサイズより若干大きいサイズである。この大きさにより、異なるサイズの靴に取り付けが可能である。
【0031】
この中敷1は靴Sの中底S1に実施例1と同様に装着することができる。サイズが小さい靴Sに対して、中敷1’が大き過ぎる場合であっても、図5に示すように、起立部5を立ち上げてすぼめると、中敷1の底面積は一廻り小さくなるので、中底S1上に装着することができる。なお、サイズが大きい靴Sに対して中敷1’を装着する場合は、起立部5を立ち上げることなく、中敷1’を平面状のまま使用することになる。
【0032】
また、中敷1又は中敷1’を装着した靴Sを履いた後は、中敷1又は中敷1’を中底S1から剥離して洗濯することが可能である。中敷1又は中敷1’の吸着層3は、洗濯しても吸着力が劣化することはないので、中敷1を常に清潔に保ちながら、繰り返して靴Sに装着することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 中敷
2 表面層
3 吸着層
4 切込部
5 起立部
S 靴
図1
図2
図3
図4
図5