(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-12472(P2017-12472A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】電動式腸洗浄器
(51)【国際特許分類】
A61M 3/02 20060101AFI20161222BHJP
【FI】
A61M3/02 110
A61M3/02 126
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-132305(P2015-132305)
(22)【出願日】2015年7月1日
(71)【出願人】
【識別番号】515015218
【氏名又は名称】白石 茂彬
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】白石 茂彬
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA02
4C066BB02
4C066CC01
4C066DD11
4C066GG08
4C066QQ23
(57)【要約】
【課題】温水を腸内に注入することにより、穏やかに無理なく洗腸ができ、特に家庭や病院、介護施設等において手軽に、短時間で排便と腸洗浄ができる使用勝手の良い電動式腸洗浄器を提供することを目的とする。
【解決手段】本体ケース2と、本体ケース2の内部に設けられたポンプPと、ポンプPを駆動するモータMと、モータMの電源部Bと、モータMから貯水容器6へ向かって垂下する吸水チューブ4と、ポンプPにより汲み上げられた温水を肛門に挿着する温水注出用のノズル10へ給送するための導水チューブ5とを備えた。また本体ケース2に、ノズル10への温水給送量を選択するための温水給送時間設定用のタイマー8を備えた電動式腸洗浄器。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、本体ケースの内部に設けられたポンプと、このポンプを駆動するモータと、モータの電源部と、モータから貯水容器へ向かって垂下する吸水チューブと、ポンプにより汲み上げられた温水を肛門に挿着する温水吐出用のノズルへ給送するための導水チューブとを備えたことを特徴とする電動式洗浄器。
【請求項2】
前記本体ケースに、前記ノズルへの温水給送量を選択するための温水給送時間設定用のタイマーを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動式腸洗浄器。
【請求項3】
前記ノズルが、肛門への挿入部と、挿入部の下部に形成されて肛門への挿入深度を規定するつば部と、つば部の下部に設けられて前記導水チューブに連結される連結部とを有し、前記挿入部の上端に前記挿入部の内部に供給された温水を直腸内に向って吐出する吐出孔を形成するとともに、前記挿入部の下部にあって前記つば部の直上に肛門括約筋によって抱き込まれる絞り部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動式腸洗浄器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手軽にまた短時間に便秘解消や腸洗浄を行う事ができる使用勝手の良い電動式腸洗浄器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、便秘解消や腸洗浄の手段として浣腸や下剤を使用することが知られている。しかしながら、従来の方法では、長く使用すると、薬剤や、浣腸の効果が得られなくなり習慣性の弊害が出やすいという問題があった。
【0003】
また手動ポンプを用いて温水を腸内に送り込む腸洗浄器も知られていた。また、温水を貯溜した容器を高位置に設置し、この高位置の位置圧力で温水を肛門から注入する腸洗浄器も知られていた。しかしながら、このような従来手段では準備が大変で、また操作も複雑で使用勝手が悪いという問題点があった。
【0004】
また、電動式ポンプを備えた大型の腸洗浄器も知られているが、この種のものは構造が複雑で、高価であり、更にかなりの重量を有し、業務用として使用されるものが多く、家庭等において手軽に使用しづらく、また旅行等に手軽に携行しづらいものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3075555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、温水を腸内に注入することにより、穏やかに無理なく洗腸ができ、特に家庭や病院、介護施設等において手軽に、短時間で排便と腸洗浄ができる使用勝手の良い電動式腸洗浄器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電動式腸洗浄器は、本体ケースと、本体ケースの内部に設けられたポンプと、このポンプを駆動するモータと、モータの電源部と、モータから貯水容器へ向かって垂下する吸水チューブと、ポンプにより汲み上げられた温水を肛門に挿着する温水吐出用のノズルへ給送するための導水チューブとを備えたものである。
【0008】
また本発明の電動式腸洗浄器は、前記本体ケースに、前記ノズルへの温水給送量を選択するための温水給送時間設定用のタイマーを備えたものである。
【0009】
また本発明の電動式腸洗浄器は、前記ノズルが、肛門への挿入部と、挿入部の下部に形成されて肛門への挿入深度を規定するつば部と、つば部の下部に設けられて前記導水チューブに連結される連結部とを有し、前記挿入部の上端に前記挿入部の内部に供給された温水を直腸内に向って吐出する吐出孔を形成するとともに、前記挿入部の下部にあって前記つば部の直上に肛門括約筋によって抱き込まれる絞り部を形成したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特に介護施設、病院、家庭あるいは旅行先(携行先)等において、手近に存在するペットボトルや洗面器等を貯水容器として利用し、手軽かつ簡便に腸洗浄を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態における電動式腸洗浄器の斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態における電動式腸洗浄器の断面図
【
図3】本発明の一実施の形態における電動式腸洗浄器のノズルの一部切欠正面図
【
図4】本発明の一実施の形態における電動式腸洗浄器のノズルの使用状態図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1及び
図2において、電動式腸洗浄器(以下、単に腸洗浄器という)は、本体ケース2を主体としている。本体ケース2の下部に設けられた底板3上には、ポンプP、ポンプPを駆動するモータM、モータMの電源部としての交換式の乾電池Bが配設されている。
【0013】
ポンプPから吸水チューブ4が垂下している。またポンプPには、ポンプPにより汲み上げられた温水を温水吐出用のノズル10へ給送するための導水チューブ5が接続されている。吸水チューブ4の下端部は、家庭等に手近にあるペットボトル、洗面器等の貯水容器6に突入している。貯水容器6には適温(40〜42℃程度)の温水が適量(例えば500〜1000cc程度)貯溜されている。
【0014】
本体ケース2の上面等の適所には、押圧式等の電源スイッチ7と、ダイヤル式のタイマー8が設けられている。本例では、タイマー8は、15秒、30秒、45秒、60秒の任意秒数に設定できる。タイマー8は、モータMとポンプPの駆動時間を設定する温水給送時間設定用のタイマーであり、この設定値(温水給送時間の長さ)によって吸水チューブ4から汲み上げられてノズル10から腸内へ送り込まれる温水量が選択決定される。タイマーとしては、デジタル型のタイマーも適用できる。
【0015】
次に、
図3及び
図4を参照してノズル10を説明する。ノズル10は、肛門に挿入される筒状の挿入部10aと、挿入部10aの下部に設けられた円板状のつば部10bと、つば部10bの下部に設けられた筒状の連結部10cから成っている。連結部10cは、導水チューブ5の先端部に交換自在に装着されている。つば部10bは、挿入部10aの肛門への挿入深度を規定するストッパーとなっている。
【0016】
挿入部10aの上端は、肛門壁等を傷つけないよう、半球状のエッジのない滑らかな面となっている。
【0017】
挿入部10aの内部には、通水路10eが形成されている。通水路10eには連結部10cを通して導水チューブ5から温水が送られ、上端の吐出孔10fから吐出される。
【0018】
つば部10bの直上における挿入部10aの下部は、下方へ向ってテーパ状に縮径する絞り部(縮径部)10gとなっており、この絞り部10gの下部につば部10bが設けられている。ノズル10の挿入部10aは、つば部10bが肛門の下端部に当接するまで挿入する。完全に挿入した状態で、絞り部10gは肛門括約筋にしっかり抱き込まれる。この状態で、ノズル10から手を離してもノズル10は肛門から脱落しないので、使用者は両手を自由に使用して電源スイッチ7やタイマー8の操作等を自由に行うことができる。
【0019】
この腸洗浄器1は、上記のような構成より成り、次にその使用方法を説明する。まず、
図2に示すように貯水容器6に適温の温水を適量貯溜する。次に吸水チューブ4の下端部を貯水容器6に挿入するとともに、ノズル10を肛門に挿着する。上述したように、ノズル10を肛門に挿着した状態で使用者は両手を自由に使用することが可能なので、タイマー8で注水時間を設定し、電源スイッチ7を入れる。するとモータMとポンプPは駆動、ノズル10の上端の吐出孔10fから腸内に温水が吐出され、腸洗浄が行われるとともに、タイマー8で設定した時間が経過すると、ノズル10を肛門から取り外す。すると腸内を洗浄した温水は肛門から吐出と共に排便され、腸洗浄は終了する。腸内に送り込む温水の量は、便秘の状態等に応じて加減する。勿論、上記した腸洗浄は、腸内を十分に洗浄するために複数回繰り返しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、介護施設、病院、家庭、旅行先等において、手近にあるペットボトルや洗面器等を貯水容器として利用しながら、手軽に使用勝手よく腸洗浄を行うことができる。
【符号の説明】
【0021】
1 電動式腸洗浄器
2 本体ケース
4 吸水チューブ
5 導水チューブ
6 貯水容器
7 電源スイッチ
8 タイマー
10 ノズル
10a 挿入部
10b つば部
10c 連結部
10e 通水路
10f 吐出孔
10g 絞り部
P ポンプ
M モータ
B 電源部