特開2017-125059(P2017-125059A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッドの特許一覧

特開2017-125059多段式バッフルを備えた流動床反応器
<>
  • 特開2017125059-多段式バッフルを備えた流動床反応器 図000003
  • 特開2017125059-多段式バッフルを備えた流動床反応器 図000004
  • 特開2017125059-多段式バッフルを備えた流動床反応器 図000005
  • 特開2017125059-多段式バッフルを備えた流動床反応器 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-125059(P2017-125059A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】多段式バッフルを備えた流動床反応器
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/86 20060101AFI20170623BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20170623BHJP
   B01J 8/44 20060101ALI20170623BHJP
   B01J 8/24 20060101ALI20170623BHJP
   B01J 29/85 20060101ALI20170623BHJP
   B01J 29/40 20060101ALI20170623BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170623BHJP
【FI】
   C07C2/86
   C07C15/08
   B01J8/44
   B01J8/24
   B01J29/85 M
   B01J29/40 M
   C07B61/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-59864(P2017-59864)
(22)【出願日】2017年3月24日
(62)【分割の表示】特願2014-522960(P2014-522960)の分割
【原出願日】2012年7月25日
(31)【優先権主張番号】61/512,271
(32)【優先日】2011年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】ハン ルー
(72)【発明者】
【氏名】ダヴルリ ラトナ ピー
(72)【発明者】
【氏名】スモーリー クリストファー ジー
(72)【発明者】
【氏名】ハゲマイスター マーク ピー
(72)【発明者】
【氏名】杉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】ファモラロ ジョセフ エス
(72)【発明者】
【氏名】ティンジャー ロバート ジー
【テーマコード(参考)】
4G070
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB06
4G070BB32
4G070CA06
4G070CA16
4G070CB07
4G070CB17
4G070CB30
4G070DA22
4G169AA15
4G169BA07A
4G169CC11
4G169DA08
4G169ZA11A
4G169ZA41A
4G169ZD03
4G169ZD07
4G169ZF02A
4H006AA02
4H006AC23
4H006BA35
4H006BA71
4H006BC13
4H006BD80
4H006BE10
4H006DA10
4H039CA11
(57)【要約】
【課題】芳香族炭化水素をアルキル化するプロセスを提供する。
【解決手段】本発明は、芳香族炭化水素をアルキル化するプロセス、より詳細には、メタノールおよび/またはジメチルエーテルによるベンゼンおよび/またはトルエンのアルキル化によってパラキシレンを作製するプロセスと、前記プロセスを実施するための装置とに関し、この改善点には、反応物の1種の多段式注入が含まれ、これらの段は構造充填物により離間して、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つが最小限に抑えられるようになされている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル化反応を促進させる触媒の存在下、アルキル化剤と、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物から選択される芳香族炭化水素とを接触させることを含む、前記アルキル化反応によってキシレンを製造するための流動床反応器システムにおいて、改善点には、前記アルキル化剤および前記芳香族炭化水素の少なくとも1種の多段式注入が含まれ、前記反応器システムは、前記アルキル化反応によるキシレンの製造中に、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つを低下させるのに適切であることを特徴とするバッフル材により離間された複数の注入段によって特徴付けられる、流動床反応器システム。
【請求項2】
前記アルキル化剤が、前記多段式注入によってベンゼンおよび/またはトルエンの下流で導入される、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項3】
前記アルキル化剤が、メタノール、ジメチルエーテル、およびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項4】
前記触媒が、前記接触前に水蒸気処理された、リン含有モレキュラーシーブを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の流動床反応器システム。
【請求項5】
前記流動床反応器システム内に、少なくとも1つの内部サイクロンセパレーターをさらに含む、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項6】
前記バッフル材が構造充填物を含む、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項7】
前記流動床反応器システム内に、少なくとも1つの外部サイクロンセパレーターをさらに含む、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項8】
アルキル化反応を促進させる触媒の存在下、アルキル化剤と、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物から選択される芳香族炭化水素とを接触させることを含む、前記アルキル化反応によってキシレンを製造するための流動床プロセスにおいて、前記プロセスは、流動床反応器システム内に気泡を生成することを特徴とし、改善点には、前記反応器システム内の複数の場所であって各場所が少なくとも1つのその他の段から間隔を空けて配された段であると定義された場所での注入によって前記反応物の少なくとも1種を導入することが含まれ、少なくとも1つの段は、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つを低下させるようにバッフル材によって少なくとも1つのその他の段から離間しているプロセス。
【請求項9】
前記アルキル化剤が、複数の場所での前記注入によって導入され、前記芳香族炭化水素が、前記アルキル化剤とは独立して前記プロセスに導入される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記アルキル化剤が、メタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記触媒が、メタ−およびオルトキシレンよりもパラキシレンの生成に対して選択的である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項12】
前記触媒が、前記接触前に水蒸気処理されたリン含有モレキュラーシーブを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項13】
複数の段を有し、少なくとも1つの段が構造充填物によって少なくとも1つのその他の段から間隔を空けて配されている、単一反応器を含む、請求項8から12までのいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記流動床反応器システムが、少なくとも1つの内部サイクロンセパレーターを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項15】
前記流動床反応器システムが、少なくとも1つの外部サイクロンセパレーターを含む、請求項8に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、参照によりその開示全体が組み込まれる、2011年7月27日に出願された仮出願第61/512,271号の利益を主張する。
本発明は、芳香族炭化水素をアルキル化するプロセス、より詳細には、メタノールによるベンゼンおよび/またはトルエンのアルキル化によってパラキシレンを作製するプロセスと、前記プロセスを実施するための装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
メタノールによるトルエンおよび/またはベンゼンのアルキル化によってキシレンを製造すること、特に、ゼオライト触媒を使用してパラキシレン(PX)生成物を選択的に作製することは、周知である。例えば、米国特許第4,002,698号;第4,356,338号;第4,423,266号;第5,675,047号;第5,804,690号;第5,939,597号;第6,028,238号;第6,046,372号;第6,048,816号;第6,156,949号;第6,423,879号;第6,504,072号;第6,506,954号;第6,538,167号;および第6,642,426号を参照されたい。「パラキシレン選択性」および「パラ選択的」などの用語は、パラキシレンが、通常の処理温度では約24mol%である熱力学的平衡時のキシレン異性体の混合物中に存在するよりも、多い量で生成されることを意味する。パラキシレン選択性は、メタ−およびオルトキシレンよりもパラキシレンが経済的に重要であることにより、非常に求められている。キシレン異性体のそれぞれには、重要で周知の最終用途があるが、パラキシレンは現在、最も経済的に価値があり、ボトル用プラスチックおよびポリエステル繊維などの重要で多様な最終用途での中間体として働く。
【0003】
このプロセスでは、典型的には、図1に概略的に示されるシステムの反応器内で、適切な触媒の存在下でトルエンおよび/またはベンゼンをメタノールでアルキル化することによりキシレンを形成するが、この場合、反応物を含む供給材がコンジット1を介して流動床反応器11に進入し、生成物を含む流出物がコンジット5を通して出て行き、触媒は、流動床反応器11、流体を触媒から取り除く装置12、および触媒再生器13の間をそれぞれコンジット2、3、および4を介して循環する。水は、供給ライン内のトルエンのコーキングとメタノールの自己分解とが最小限に抑えられるように、典型的にはトルエンおよびメタノールと共に同時供給される。その他の副反応には、パラキシレンをその他のキシレン異性体またはより重質の芳香族に変換する反応として、軽質オレフィン、軽質パラフィンの形成が含まれる。
【0004】
図1に示される要素のそれぞれに適切な装置は、それ自体は当技術分野で周知であり、しかし当業者なら理解されるように、利用可能なものを単に入手し選択するだけでは、商用として実現可能なシステムには到達しない。克服すべき非常に数多くの問題があり、アルキル交換およびトルエン不均化など、パラキシレンを選択的に作製するその他の公知の方法と競合できるシステムに到達することは、当産業で集中的になされている現行の研究の課題である。これらの問題のいくつかについて、以下に述べる。
流動床の底部で形成された気泡は、最大限の安定な泡サイズに達するまで、流動床内を上昇するにつれ成長することになる。泡は種々の速度で成長することになるので、典型的には、流動床において広範な分布の泡サイズが存在することになる。広範な泡サイズ分布は、乱流の渦の形成により局所レベルで、ならびに水平方向を横断する不均一な軸速度プロファイルにより全体レベルで、共に著しい気相逆混合を引き起こす可能性がある。そのような気体逆混合は、所望の生成物の部分を活性触媒に接触させた状態で、予測される栓流反応器の滞留時間よりも長い時間にわたって保つ。一方、逆混合は気相の滞留時間を延ばすが、別の現象が同時に生じて気相滞留時間が短縮する可能性がある。大きな泡は、気体バイパスをもたらす連続的な湾流の流れ構造(continuous gulf−streaming flow structure)を形成する可能性もあり、したがって気体は、触媒にほとんど接触することなく流動床内を素早く通過することが可能になる。バイパスゾーンでの気体と活性触媒との不十分な接触は、反応物の変換を低減させ、流動床(反応器の容積)の利用を低下させる。
【0005】
バッフル付きシステムの使用は、米国特許第7,935,857号により公知である。その他の関連ある参考文献には、米国特許第4,251,484号;第3,982,903号;第4,855,111号;第6,642,426号;およびGB803458が含まれる。
逆混合は、一般にメタノール変換に関しては良好と見なされるが、本発明者らは、バッフルシステムの存在下での多段式注入によって、所望のパラキシレンからそれほど望ましくはないその異性体への異性化などの二次反応が回避され、パラキシレンに対する選択性が約60〜70重量%から80重量%超、例えば実施形態では80〜90重量%に改善されることを発見した。理論に拘泥するものではないが、本発明者らは驚くべきことに、低減した気相逆混合とバイパス現象との組合せが一緒に作用することによって変換および選択性の両方を改善することができ、それと共に、深い流動床内で多段式バッフルを使用することにより触媒利用を増大させることができ、その結果、より小さくより均一な、したがって制御可能な泡サイズを得ることができ、また、反応器の流動床への多段式メタノール注入と、選択的に多段式バッフルとして構造化された充填層の使用とを組み合わせることによって、所望の生成物をより効率的に提供することができる、プロセスおよびそれに適合された装置またはシステムを発見した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、芳香族炭化水素をアルキル化するプロセス、より詳細には、メタノールおよび/またはジメチルエーテル(DME)によるベンゼンおよび/またはトルエンのアルキル化によってパラキシレンを作製するプロセスと、前記プロセスを実施するための装置とを対象とし、この改善点には、反応物、ベンゼンおよび/またはトルエン、およびメタノールの少なくとも1種の多段式注入が含まれ、複数の注入段は、バッフル材、好ましくは構造材により離間しており、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つが低減されるようになされている。
これらおよびその他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な記述、好ましい実施形態、例、および添付される特許請求の範囲を参照することによって明らかにされよう。
本発明およびその利点のより完全な理解は、同様の符号が同様の特徴を示している以下の記述および添付図面を参照することによって、得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】当技術分野でそれ自体が公知である、反応器および再生器およびいくつかの関連ある補助デバイスおよび移送配管を含む、反応器システムの概略図である。
図2】本発明による、反応器および再生器およびいくつかの関連ある補助デバイスおよび移送配管を含む反応器システムの概略図である。
図3A】本発明による反応器システムの実施形態を概略的に示す図である。
図3B】本発明による反応器システムの実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によれば、選択的にパラキシレンを製造するためのプロセスであって、流動床反応器内でベンゼンおよび/またはトルエンと触媒とを接触させることによって、即ち前記接触からパラキシレンの選択的生成を促進させる触媒(または「適切な触媒」)とを接触させることによって製造するためのプロセスがあり、この改善点には、段階的に前記反応器内に少なくとも1種の反応物を注入することが含まれ、各段は、バッフル材によって、好ましくは構造充填物によって次の段から離間している。好ましい実施形態では、アルキル化を促進させる触媒の存在下で反応物を接触させることによって芳香族炭化水素の前記アルキル化のための流動床プロセスがあり、前記プロセスは、流動床反応器システム内での気泡の発生を特徴とし、この改善点には、前記反応器システム内の複数の場所で注入することにより前記反応物の少なくとも1種を導入することが含まれ、各場所は、少なくとも1つのその他の段から間隔を空けて配された段と定義され、少なくとも1つの段は、構造充填物などのバッフル材により少なくとも1つのその他の段から離間して、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つが低減するようになされている。
【0009】
本発明は、流動床反応器内でベンゼンおよび/またはトルエンと適切なモレキュラーシーブ触媒とを接触させることにより、選択的にパラキシレンを製造するための装置も対象とし、この改善点には、段階的に前記反応器内に少なくとも1種の反応物を注入することが含まれ、各段は、バッフル材により、好ましくは構造充填物により、次の段から離間している。代替例では、これらの段は、直列の1つまたは複数の個別の反応器にあってもよく、前記段の少なくとも1つは、本発明の目的を達成するために、バッフル材に隣接しかつバッフル材の上流にある。好ましい実施形態では、アルキル化反応を促進させる触媒の存在下でアルキル化剤とベンゼンおよび/またはトルエンとを接触させることを含む前記アルキル化反応によって、キシレンを製造するための流動床反応器システムがあり、この改善点には、反応物、ベンゼンおよび/またはトルエン、およびメタノールおよび/またはジメチルエーテルの少なくとも1種の多段式注入が含まれ、複数の注入段は、構造充填物などのバッフル材により離間しており、前記バッフル材は、前記アルキル化反応によるキシレンの製造において、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つを低減させるのに適切であることを特徴とする。以下の考察では、アルキル化剤としてメタノールが挙げられるが、ジメチルエーテルを単独でまたはメタノールと混合して使用してもよいことが理解されよう。
【0010】
本明細書で使用される「バッフル材」という用語は、構造および非構造材、例えば凝集またはカラム充填材を指す。本発明者らは、構造材が、非構造材に比べて本発明ではある追加の利益をもたらすことを見出した。「構造材」という用語は、それ自体は当技術分野で周知であり、個々の部材が互い対しておよびカラム軸に対して特定の向きを有する充填物と定義することができる。米国特許第5,132,056号を参照されたい。
【0011】
理論に拘泥するものではないが、気相逆混合とバイパス低減現象との組合せは一緒に作用して変換および選択性の両方を改善し、それと共に、メタノールの副反応を最小限に抑えるための多段式メタノール注入と段を離間させるための構造充填物とを含んだ深い流動床のデザインを使用することにより、触媒の利用を増大させる。
所望の生成物は反応連鎖の中間体であり、深い流動床が通常は引き起こし易い気体逆混合および気体バイパスを制御するのに重要である。所望のパラキシレン生成物に対する選択性は、流動床反応器の多段式バッフルとして機能する数層の構造充填物で気相逆混合を低減させることにより、最大限になる。多段式バッフルは、制御されない場合は反応器の利用を低減させる可能性がある気体バイパスを、最小限に抑えるという追加の有益な効果も発揮する。
【0012】
本発明は、図2により概略的に示される本発明の特定の実施形態を参照することによって、より良く理解することができる。
図2では、1種または複数の反応物は、流動床反応器1011の複数のスパージャー102a〜102dに供給されるように、複数のコンジット1a〜1dを通して段階的に提供される。実施形態において、反応物は、気体として、液体として、またはそれらの組合せとして散布してもよい。その他の実施形態では、種々の反応物を種々のコンジットに通して提供してもよく、したがって例えば、トルエンおよび/またはベンゼンをコンジット1aに通して提供してもよく、メタノールを複数のコンジット1b、1c、および1dのそれぞれに通して提供してもよい。実施形態では、水および/または水蒸気を、1種または複数の反応物と共に複数のコンジットの1つまたは複数に通して提供してもよい。コンジット1002は、ストリッパー1012への移送ラインを表し、この場所および図面のその他の場所で「V」の記号により示される弁を備えており、;コンジット3は再生器13への移送ラインであり;コンジット1004は流動床反応器1011への移送ラインであり;5は、流動床反応器1011の流出物出口であり(即ち、所望の生成物であるパラキシレンを含む。);要素1012は触媒ストリッパー装置を表し、その詳細な特徴そのものは当技術分野で公知であり、他に本明細書に明示されるものを除いて本発明の一部を形成するものではなく;要素1013は流動床再生器を表し、その詳細な特徴そのものは当技術分野で公知であり、他に本明細書に明示されるものを除いて本発明の一部を形成するものではなく;コンジット33は、再生器1013への上昇移送ラインである。要素291は、煙道気体(例えば、CO2、CO、H20、N2、O2)用のベントである。
【0013】
図2の説明を続けると、要素102a〜102dは、当技術分野で公知のタイプのものであってもよい複数の多段式スパージャーであり;要素103a〜103cは、以下により詳細に記述される複数の構造充填物層を表す。
【0014】
再び図2を続けると、要素110、120、230、および240は、ある実施形態では本発明の重要な特徴でありかつ以下により詳細に記述されるサイクロンを表す。要素110は、流動床反応器1011用の二次サイクロンであり;112は触媒ストリッパー1002用の稠密床を表し、120は反応器1011用の一次サイクロンを表し、要素130は触媒冷却器であり、それ自体はやはり当技術分野で公知であり、その詳細な特徴は、他に本明細書に明示されるものを除いて本発明の一部を形成するものではない。追加の特徴は、145、二次サイクロンディップレッグ(dipleg);146、一次サイクロンディップレッグ;151、再生器気体スパージャー(再生器の気体は、入口では、有利には空気または酸素である。);191、ストリッパー気体出口;210、反応器1011内の好ましい稠密床レベルを示すもの;220、再生器1013内の好ましい稠密床レベルを示すもの;230、再生器1013用の二次サイクロン;240、再生器1013用の一次サイクロン;245、再生器の二次サイクロンディップレッグ;および246、再生器の一次サイクロンディップレッグを含む。
【0015】
サイクロンそれ自体は、流体−固体系でしばしば使用される。本発明のシステムでは、サイクロンは触媒粒子を気体流から分離するために使用され、したがって気体(反応器流出物または再生器煙道気体のいずれか)は容器から離れることができ、触媒を元の流動床に戻すことができる。気体−固体混合物は、最初に一次サイクロン(120、240)内を通り、そこで固形分の大部分が分離されかつディップレッグ(146、246)内を通って流動床に戻されると考えられる。次いで固形分の割合が非常に低い気体流が二次サイクロン(110、230)内を通り、固形分を気体流からさらに分離し、ディップレッグ(145、245)内を通って流動床に戻される。
【0016】
触媒粒子を分離するその他の手段を、図2に概略的に示されるものの代わりにまたはそのようなものに加えて使用してもよい。例として、1つまたは複数の急冷塔、遠心分離器、フィルター、および沈降タンクなどがある。有利には、1つまたは複数の外部サイクロンを、図2に概略的に示される内部サイクロンに加えて使用してもよい。そのような外部サイクロンは、例えば、反応器流出物熱交換器ネットワークの上流または下流に配置することができる(図面に示していない。)。本開示を所有する当業者ならそのような追加の装置を組み込むように適切な設計製作を行うことができる。
【0017】
見え方の都合上、追加の弁、配管、および機能する装置のその他の詳細を図示しないこと、および反応器1011では、追加の段の充填物、スパージャーなどのある特定の特徴よりも多くのまたは少ないものを使用してもよいこと、または流動床210、112、220のレベルが図2に特に示されるものとは異なっていてもよいことが、当業者に理解されよう。同様に、サイクロンおよび関連するディップレッグの正確な数および位置決めと、様々な供給材移送ラインの進入口および出口の位置と、弁などは、図2に正確に示されるものとは異なっていてもよい。したがって、開示の範囲および添付される特許請求の範囲から逸脱することなく、本明細書で特に具体化された以外の状態で本発明を実施してもよいことを、明らかにすべきである。それにもかかわらず、流動床210、112、220のレベルと、様々な装置1011、1012、および1013の割合、ならびにサイクロンおよびディップレッグ120、110、240、230、146、145、245、および246は、図2に示される通りである。
【0018】
複数の構造充填材および複数の多段式注入は、直列の複数の反応器を有することによって実現できることが、本開示を所有する当業者にさらに理解されよう。これに関しては図3を参照するが、図3aは図2に類似した構成を概略的に表し、即ち、例えばコンジット1001aを通したトルエンおよび/またはベンゼンの複数の注入と、コンジット1002a、1002b、および1002cを通したメタノールの注入が示されている。構造充填物は、要素1103a、1103b、および1103cにより表される。図3bでは、注入段はコンジット1001aおよび1002aにより提供され、次いで別の反応器内では1002bにより別に提供されて、コンジット1005により直列に接続され、構造充填要素1103aおよび1103bが個別の反応器内に設けられている。これらの図3aおよび3bで、複数のスパージャーおよびサイクロン/ディップレッグならびに触媒ストリッパーおよび再生器は、見え方の都合上図示していない。生成物の流出物5、キシレン流は、どちらの配置構成においても共通の生成物である。実施形態では、図3bに示されるシステムは、単一の触媒ストリッパーおよび/または再生器を共用することができる。
【0019】
図2では単一反応器内の複数の段状の位置103a〜103c、図3aでは単一反応器内の複数の段状の位置1103a〜1103c、または図3bでは直列の反応器内の複数の段状の位置1103a〜1103cで示される構造充填物に関しては、蒸留カラムで使用されるような構造充填材などの非常に数多くの構造充填材が当技術分野で公知である。本発明の好ましい実施形態では、1フィート(30〜31cm)などの多層のKoch−Glitsch(商標)KFBE(商標)IIBが、稠密流動床を多段に分離するのに特に有用である。このタイプの充填物は、アルキル化剤としてのメタノールとZSM−5などのモレキュラーシーブを含む触媒とを使用してベンゼンおよび/またはトルエンをアルキル化するための流動床反応器に特に有用であることがわかっているが、それは気体および触媒固形分の両方が通過するように広い孔面積がありかつ泡サイズを制御する能力があるからである。より低い段からより大きい泡が多段式バッフルに到達すると、気体が充填物構造により再分配され、次のより高い段に、より小さい泡を形成する。図2は、特定の割合の要素を示すが、構造充填物103a〜103c(図3Aでは1103a〜1103b、または図3Bでは1003a〜1003b)の各段の厚さは、上記にて論じたタイプの構造充填物が例えば5〜35cmの厚さ、例えば5cm、10cm、18cm、27cm、30cm、31cm、35cmなどであってもよく、各層が個々に選択され、またはそれらが均一な厚さであってもよくまたは均一な厚さおよび不均一な厚さの混合物であってもよく、稠密床全体(図2では210;図3Aまたは3Bには示されていない。)は300から1000cmの高さ、例えば約350cm、または450cm、または600cm、または700cm、または900cmの高さを有する。本発明によるこの多段式デザインによれば、泡が成長する最大高さを低減させることができ、大きい泡の形成および気体のバイパスが最小限に抑えられる。好ましい実施形態では、トルエン主要スパージャーが第1のより低い段の底部に位置付けられ、3〜5個のより小さいスパージャーがメタノールを稠密床の段のそれぞれに注入する。各メタノールスパージャーは、流動床に注入されたメタノールの気体を最適に分布させるために、充填物の層の下に位置付けられる。
【0020】
本明細書ではスパージャーについて特に言及するが、一般に、非常に数多くの特定の装置を、反応物を注入するのに使用することができることが、当業者に理解されよう。
別の特定の実施形態では、反応器の底部で注入されたトルエンは、トルエンとメタノールとの混合物用の単一スパージャーの代わりに、底部レベルのメタノール注入とは別のスパージャーを有する。この個別のスパージャー構成は、装置構造および操作の両方に柔軟性をもたらす。例えば、個別のトルエンスパージャーは、トルエンスパージャーへの水同時供給レベルを低減させることによって、反応器内に供給された不活性流の量を最小限に抑えることが可能になる。トルエン供給ラインからメタノールを分離することにより、反応器のエネルギーバランスが維持されるようにより多くの熱を与えるため、トルエンに関してより高い供給温度も可能になる。好ましい実施形態では、(1つまたは複数の)メタノールスパージャーは、高温流動床からスパージャー内のメタノールへの熱伝達が低減するように、耐熱材で裏打ちしてもよい。これは、トルエンおよび触媒に接触する前にメタノールが分解温度にまで加熱されるのを回避する。
【0021】
様々な数のメタノール注入レベルを、図2の反応器11により示される範囲内の反応器寸法を有する流動床反応器を使用して試験し、4つのメタノールスパージャーが利益のほとんどをもたらすことがわかった。
構造充填物を用いない実験操作中、少量の微粉を有する触媒粒子を使用して大きい泡が形成された。泡は時々、4インチ(約10cm)の流動床の直径ほどの大きさになり、スラッギング(slugging)を引き起こした。性能データにおけるメタノール変換およびパラキシレン選択性の著しい低下を、そのような不十分な流動化に相関させた。これは、本発明により提供されるように、より小さい泡サイズおよび均一な流動化を流動床反応器内で維持するのに有益であることを示す。
【0022】
3フィートの直径(約91cm)の流動床での別の低温流れ研究では、同じ厚さおよび高さの構成を有する同じタイプの充填物を試験した。メタノールおよびトルエンのスパージャーも、同じ高さおよび流量の構成でシミュレートした。データを、多段式バッフルを用いた場合とそうでない場合とで得た。トレーサー技法および高周波圧力降下測定を使用することにより、多段式バッフルを備えた構成は気相逆混合および気体バイパスを大幅に低減させることが証明されたことが、観察された。当技術分野で周知のタイプの動力学的モデリング研究を使用すれば、パラキシレンに対する選択性を、多段式バッフルのない反応器と比べたときに、本発明による反応器およびプロセスを使用して約60〜70重量%から80重量%またはそれ以上に、例えば90重量%に増加させることができるのを示すことができる。
【0023】
好ましい実施形態では、多段式バッフルおよび多段式メタノール注入として構造充填物を有する深い流動床の構成は、下記の事項:
a)泡サイズを制御し気相逆混合および気体バイパスを低減させる多段式バッフルとしての、深い稠密流動床の構造充填物(Koch−Glitsch(商標)KFBE(商標)IIBなど)層;
b)それぞれが多段式バッフルの層の下にある多数のスパージャーによる多段式メタノール注入;および
c)トルエンが反応器の底部で散布され、メタノールがトルエンスパージャーの上流にある複数の段で散布される、個別のトルエンおよびメタノールのスパージャー
によって特徴付けることができる。
【0024】
触媒滞留(catalyst holdup)、触媒活性、またはその両方の組合せを調節することによって一定レベルでメタノール変換を維持することが、さらに有益である。触媒滞留は、触媒引出し速度を変化させることによって上にまたは下に変えることができる反応器の稠密床レベル(図2では210)の高さを意味する。触媒活性は、重量毎時空間速度および/または触媒再生条件を変化させることを含めたいくつかの方法によって制御することができる。メタノール変換の変動を低減させる目的で、これらの操作態様を制御し、その結果、反応器流出物組成物を一定に保つことにより下流の材料分離および再生利用ならびに全体的なプロセス生産性に対する影響を最小限に抑えることが有益である。
【0025】
実施形態では、3、4、5、6段などのメタノール注入があり、各段で導入されるメタノールの量は、注入されるメタノールの総量に対して0〜99mol%、または0〜40mol%、または0〜33mol%である。本明細書のその他の場所に記述されるように、システムは、直列の個別の反応器における1つもしくはそれ以上または複数の注入段およびバッフル段で操作されてもよい。好ましい実施形態では、全ての段は、実質的に類似の量のメタノール注入で動作し、例えば3つのスパージャー段はそれぞれが、注入される全メタノールの約30〜35mol%の間、例えばそれぞれが約33mol%で注入され、または4つのスパージャー段は、それぞれが、注入される全メタノールの約20〜30mol%の間、例えばそれぞれが約25mol%で注入される。この好ましい実施形態では、予想外に、スパージャー段の1つまたは複数を0〜50mol%の範囲内で修正し、その他を相応に修正することが、さらにより好ましい。典型的には、最上スパージャー段(第3または第4または第5段とすることができる。)は、その範囲内で調節されまたは遮断もなされると考えられ、したがってその他の3つのスパージャー段(4つの全スパージャー段の場合)は、通常の動作条件を再度確立することができるまで、注入される全メタノールの約33mol%で動作する。代替の実施形態では、メタノール注入の少なくとも2つの段があり、その各注入段は、全ての注入段で注入される全てのメタノールの総量の少なくとも5重量%を導入する。その他の代替例として、少なくとも3つの注入段があり、各段は、全ての注入段で注入される全てのメタノールの少なくとも10重量%を導入する。非常に数多くの追加の動作シナリオを、本開示を所有する当業者なら容易に考え出すことができる。
【0026】
アルキル化反応を促進させる1種または複数の触媒を、本発明で使用してもよい。例えば、WO98/14415または上記背景技術のセクションで述べた従来技術の特許のいずれかに開示されるようなZSM−5ゼオライトが、本発明に適切である。ある実施形態では、水蒸気処理されたリン含有ZSM−5ゼオライトが好ましい。触媒は、好ましくは結合剤としてクレーも含む。
【0027】
特に、パラキシレンを生成するためメタノールを用いてトルエンをメチル化するのに適切な反応条件は、本開示を所有する当業者が容易に決定することができる。そのような適切な反応条件は、下記の範囲:(a)温度−−約500°〜約700℃、好ましくは約500°〜約600℃の間;(b)圧力−−約1気圧〜約1000psig(約100〜約7000kPa)、好ましくは約10psig〜約200psig;(c)トルエンのモル数/メタノールのモル数(反応器装入物中)−−少なくとも約0.2、好ましくは約0.2〜約20;および(d)(1つまたは複数の)反応器への全炭化水素供給材に関する重量毎時空間速度(「WHSV」)が、(1つまたは複数の)反応器中の全触媒に対して、約0.2〜約1000、好ましくは芳香族反応物に関して約0.5〜約500、および合わせたアルキル化試薬段流に関して約0.01〜約100であることを含む。
【0028】
全ての特許および特許出願、試験手順(ASTM法、UL法、および同様のものなど)、および本明細書に引用されるその他の文書は、参照により十分に組み込まれるが、それはそのような開示が本発明と矛盾しない程度までかつそのような組込みが可能な全ての法域(jurisdiction)でなされるものである。本明細書で使用される商標名は、(商標)という記号または(登録商標)という記号によって示され、これらの名称は、ある商標権によって保護することができ、例えば様々な法域での登録商標とすることができる。数値下限および数値上限を本明細書に列挙する場合、任意の下限から任意の上限までの範囲が考えられる。
【0029】
本発明について、非常に数多くの実施形態および特定の例を参照しながら記述してきた。多くの変形例は、その内容が上記詳細な説明に照らして当業者に示唆されることになる。そのような全ての明らかな変形例は、添付される特許請求の完全な意図される範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
【手続補正書】
【提出日】2017年4月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル化反応を促進させる触媒の存在下、アルキル化剤と、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物から選択される芳香族炭化水素とを接触させることを含む、前記アルキル化反応によってキシレンを製造するための流動床反応器システムにおいて、改善点には、前記アルキル化剤および前記芳香族炭化水素の少なくとも1種の多段式注入が含まれ、前記反応器システムは、前記アルキル化反応によるキシレンの製造中に、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つを低下させるのに適切であることを特徴とするバッフル材により離間された複数の注入段によって特徴付けられる、流動床反応器システム。
【請求項2】
前記アルキル化剤が、前記多段式注入によってベンゼンおよび/またはトルエンの下流で導入される、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項3】
前記アルキル化剤が、メタノール、ジメチルエーテル、およびこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項4】
前記触媒が、前記接触前に水蒸気処理された、リン含有モレキュラーシーブを含む、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項5】
前記流動床反応器システム内に、少なくとも1つの内部サイクロンセパレーターをさらに含む、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項6】
前記バッフル材が構造充填物を含む、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項7】
前記流動床反応器システム内に、少なくとも1つの外部サイクロンセパレーターをさらに含む、請求項1に記載の流動床反応器システム。
【請求項8】
アルキル化反応を促進させる触媒の存在下、アルキル化剤と、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物から選択される芳香族炭化水素とを接触させることを含む、前記アルキル化反応によってキシレンを製造するための流動床プロセスにおいて、前記プロセスは、流動床反応器システム内に気泡を生成することを特徴とし、改善点には、前記反応器システム内の複数の場所であって各場所が少なくとも1つのその他の段から間隔を空けて配された段であると定義された場所での注入によって前記反応物の少なくとも1種を導入することが含まれ、少なくとも1つの段は、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つを低下させるようにバッフル材によって少なくとも1つのその他の段から離間しているプロセス。
【請求項9】
前記アルキル化剤が、複数の場所での前記注入によって導入され、前記芳香族炭化水素が、前記アルキル化剤とは独立して前記プロセスに導入される、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
複数の段を有し、少なくとも1つの段が構造充填物によって少なくとも1つのその他の段から間隔を空けて配されている、単一反応器を含む、請求項8に記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
本発明について、非常に数多くの実施形態および特定の例を参照しながら記述してきた。多くの変形例は、その内容が上記詳細な説明に照らして当業者に示唆されることになる。そのような全ての明らかな変形例は、添付される特許請求の完全な意図される範囲内にある。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕アルキル化反応を促進させる触媒の存在下、アルキル化剤と、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物から選択される芳香族炭化水素とを接触させることを含む、前記アルキル化反応によってキシレンを製造するための流動床反応器システムにおいて、改善点には、前記アルキル化剤および前記芳香族炭化水素の少なくとも1種の多段式注入が含まれ、前記反応器システムは、前記アルキル化反応によるキシレンの製造中に、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つを低下させるのに適切であることを特徴とするバッフル材により離間された複数の注入段によって特徴付けられる、流動床反応器システム。
〔2〕前記アルキル化剤が、前記多段式注入によってベンゼンおよび/またはトルエンの下流で導入される、前記〔1〕に記載の流動床反応器システム。
〔3〕前記アルキル化剤が、メタノール、ジメチルエーテル、およびこれらの混合物から選択される、前記〔1〕に記載の流動床反応器システム。
〔4〕前記触媒が、前記接触前に水蒸気処理された、リン含有モレキュラーシーブを含む、前記〔1〕から〔3〕までのいずれか1項に記載の流動床反応器システム。
〔5〕前記流動床反応器システム内に、少なくとも1つの内部サイクロンセパレーターをさらに含む、前記〔1〕に記載の流動床反応器システム。
〔6〕前記バッフル材が構造充填物を含む、前記〔1〕に記載の流動床反応器システム。
〔7〕前記流動床反応器システム内に、少なくとも1つの外部サイクロンセパレーターをさらに含む、前記〔1〕に記載の流動床反応器システム。
〔8〕アルキル化反応を促進させる触媒の存在下、アルキル化剤と、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合物から選択される芳香族炭化水素とを接触させることを含む、前記アルキル化反応によってキシレンを製造するための流動床プロセスにおいて、前記プロセスは、流動床反応器システム内に気泡を生成することを特徴とし、改善点には、前記反応器システム内の複数の場所であって各場所が少なくとも1つのその他の段から間隔を空けて配された段であると定義された場所での注入によって前記反応物の少なくとも1種を導入することが含まれ、少なくとも1つの段は、気相逆混合、バイパス現象、および気泡サイズの少なくとも1つを低下させるようにバッフル材によって少なくとも1つのその他の段から離間しているプロセス。
〔9〕前記アルキル化剤が、複数の場所での前記注入によって導入され、前記芳香族炭化水素が、前記アルキル化剤とは独立して前記プロセスに導入される、前記〔8〕に記載のプロセス。
〔10〕前記アルキル化剤が、メタノールおよび/またはジメチルエーテルを含む、前記〔8〕に記載のプロセス。
〔11〕前記触媒が、メタ−およびオルトキシレンよりもパラキシレンの生成に対して選択的である、前記〔8〕に記載のプロセス。
〔12〕前記触媒が、前記接触前に水蒸気処理されたリン含有モレキュラーシーブを含む、前記〔8〕に記載のプロセス。
〔13〕複数の段を有し、少なくとも1つの段が構造充填物によって少なくとも1つのその他の段から間隔を空けて配されている、単一反応器を含む、前記〔8〕から〔12〕までのいずれか1項に記載のプロセス。
〔14〕前記流動床反応器システムが、少なくとも1つの内部サイクロンセパレーターを含む、前記〔8〕に記載のプロセス。
〔15〕前記流動床反応器システムが、少なくとも1つの外部サイクロンセパレーターを含む、前記〔8〕に記載のプロセス。