特開2017-125085(P2017-125085A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大日精化工業株式会社の特許一覧

特開2017-125085顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-125085(P2017-125085A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20170623BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20170623BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20170623BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20170623BHJP
   B01F 17/12 20060101ALI20170623BHJP
   B01F 17/16 20060101ALI20170623BHJP
   B01F 17/18 20060101ALI20170623BHJP
   B01F 17/40 20060101ALI20170623BHJP
   B01F 17/22 20060101ALI20170623BHJP
【FI】
   C09B67/20 L
   C09B67/46 A
   C09B67/20 F
   C09D17/00
   G02B5/20 101
   B01F17/12
   B01F17/16
   B01F17/18
   B01F17/40
   B01F17/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-3238(P2016-3238)
(22)【出願日】2016年1月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】柳本 宏光
【テーマコード(参考)】
2H148
4D077
4J037
【Fターム(参考)】
2H148BE13
2H148BE15
2H148BE23
2H148BF16
2H148BH02
2H148BH03
2H148BH17
4D077AA01
4D077AA08
4D077AB03
4D077AB06
4D077AC05
4D077BA07
4D077DC03X
4D077DC04X
4D077DC10X
4D077DC13X
4D077DC38X
4D077DC39X
4D077DC42X
4D077DC48X
4D077DC64X
4D077DC71X
4D077DC76X
4J037CB28
4J037EE08
4J037EE28
4J037FF23
(57)【要約】
【課題】顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であるとともに、顔料の粒子凝集を防止することができ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示し、かつ、カラーフィルター製造時の230℃以上の高温処理によっても輝度が低下しにくい着色物品を製造可能な顔料分散剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)(D−NH−は、アミノ基を有する有機色素に由来する構造部分、Rは、単結合等、mは0.2〜3の数、nは1〜4の数)で表される化合物、その第4級アンモニウム塩、そのアミン塩、又はその金属塩である顔料分散剤である。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物、その第4級アンモニウム塩、そのアミン塩、又はその金属塩である顔料分散剤。
(前記一般式(1)中、D−NH−は、アミノ基を有する有機色素に由来する構造部分を示し、Rは、単結合又は炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基を示し、mは0.2〜3の数を示し、nは1〜4の数を示す)
【請求項2】
前記有機色素が、フタロシアニン系色素、ジケトピロロピロール系色素、キナクリドン系色素、アントラキノン系色素、ペリレン系色素、モノアゾ系色素、ジスアゾ系色素、縮合アゾ系色素、キノフタロン系色素、又はこれらの色素にアミノメチル基若しくはアミノフタルイミドメチル基が導入された有機色素である請求項1に記載の顔料分散剤。
【請求項3】
前記一般式(1)中、Dが、下記式(2)〜(9)のいずれかで表される基である請求項1に記載の顔料分散剤。
(前記式(2)〜(9)中、*は、前記一般式(1)中の−NHとの結合位置を示す。
前記式(2)中、R1は、単結合、メチレン基、又は下記式(I)で表される2価の基を示し、
前記式(4)中、R2は、それぞれ独立に、水素原子又はフェニル基を示し、
前記式(5)中、Yは、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲンを示し、pは、0〜2の数を示し、
前記式(4)中のR3、前記式(5)中のR4、及び前記式(7)中のR5は、メチレン基又は下記式(I)で表される2価の基を示し、
前記式(7)中、R6は、下記式(7−1)又は(7−2)で表される基を示し、
前記式(8)中、Xは、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲンを示す)
【請求項4】
顔料と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の顔料分散剤と、を含有する顔料組成物。
【請求項5】
前記顔料100質量部に対する、前記顔料分散剤の配合量が、0.5〜40質量部である請求項4に記載の顔料組成物。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の顔料組成物と、皮膜形成材料と、を含有する顔料着色剤。
【請求項7】
画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、又は塗料用である請求項6に記載の顔料着色剤。
【請求項8】
カラーフィルター用である請求項6に記載の顔料着色剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、塗料、グラビアインキ、オフセットインキなどのビヒクル中に顔料(粒子)を安定した状態で混合分散させることは困難である。例えば、ビヒクル中に一旦分散した微細な顔料粒子は、そのビヒクル中で凝集する傾向がある。顔料粒子が凝集したビヒクルは、その粘度が上昇してしまうといった問題がある。また、凝集した顔料粒子が分散されたビヒクルを用いると、インキや塗料の着色力が低下したり、塗膜のグロスが低下したりするなどの種々の問題が生じやすい。
【0003】
ところで、液晶カラーディスプレイや撮像素子などを製造するために使用されるカラーフィルターは、顔料分散液を用いて、例えば、以下のような方法で製造されている。まず、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の三色の顔料を感光性樹脂液中にそれぞれ分散させたカラーフィルター用の顔料分散液(カラーフィルター(CF)用顔料着色剤)を用意する。これらのCF用顔料着色剤を、スピンコート法によってカラーフィルター用の基板に塗布して着色皮膜を形成する。次いで、フォトマスクを介して形成した着色皮膜を露光した後、現像して着色皮膜をパターン化し、基板に所望の画素を形成させればカラーフィルターを得ることができる。
【0004】
カラーフィルターを製造するための顔料としては、緑色顔料、赤色顔料、及び青色顔料などがある。緑色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン(以下、「PG」と記す)36、PG7、PG58などのフタロシアニングリーンが一般的である。赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(以下、「PR」と記す)254などのジケトピロロピロール系レッド;PR177などのアントラキノン系レッド;PR242などのアゾ系レッドが一般的である。また、青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(以下、「PB」と記す)15:6などのフタロシアニンブルーが一般的である。
【0005】
なお、これらの顔料の色相と、液晶ディスプレイに要求される色特性には差があるため、補色用の顔料が併用されている。例えば、緑色顔料及び赤色顔料に対しては、C.I.ピグメントイエロー(以下、「PY」と記す)138、PY139、PY150などの黄色顔料が補色用の顔料として少量使用されている。また、青色顔料に対しては、C.I.ピグメントバイオレット(以下、「PV」と記す)23などの紫色顔料が補色用の顔料として少量使用されている。そして、カラーフィルターの良好な画素を形成するためには、主となる顔料と補色用の顔料とは、CF用顔料着色剤に均一な状態で存在することが望まれる。
【0006】
しかし、顔料を併用する場合は勿論、通常の分散機を使用して上記の顔料を、感光性樹脂液などの分散媒体中に分散させることは困難であり、顔料の分散状態が良好ではない顔料分散液しか得られない場合がある。顔料の分散状態が良好ではないCF用顔料着色剤を用いて形成されたカラーフィルターの画素は光透過性が不十分になってしまい、カラーフィルターの画素としての光透過率が不足してしまう。すなわち、通常の分散機を使用して顔料を分散させて得られるCF用顔料着色剤は、カラーフィルターの画素を形成するための着色剤としては十分ではない場合があった。
【0007】
一方、顔料の分散媒体であるフォトレジスト用の感光性樹脂としては、露光後の着色皮膜が現像液であるアルカリ水溶液で容易に現像可能となるように、酸価の高いアクリル系ポリマーが主として採用されている。しかしながら、前述の顔料と、酸価の高いアクリル系ポリマーとを含有する顔料着色剤は、顔料が凝集しやすく、粘度が高くなりやすいといった問題がある。また、経時的に顔料の凝集が進行して増粘するので、貯蔵安定性が低いといった問題もある。さらに、粘度が高い、又は顔料が凝集してチクソトロピックな粘性を示す顔料着色剤を用いてカラーフィルターを製造しようとすると、露光前の着色皮膜の中央部が盛り上がってしまうことがある。このため、基板の中央部に位置する画素と、周辺部に位置する画素とでは、色相にむらや濃度差が発生するという問題が生ずる。そして、この問題は、より大画面のカラーフィルターを製造しようとする際により顕著になる。
【0008】
したがって、CF用顔料着色剤(フォトレジスト)は、高濃度に顔料を含みながらも、顔料の分散媒体である感光性樹脂への分散状態が良好であるとともに、一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比して低粘度であることが要求される。一般的には、顔料濃度が5〜20質量%であっても、顔料が凝集せず、その粘度が5〜20mPa・s程度であり、しかも貯蔵安定性が良好であることが要求される。
【0009】
上記の要求を満たすべく、従来、顔料誘導体を顔料の分散剤として添加する方法や、顔料を顔料誘導体で処理して用いる方法などが提案されている。具体的には、顔料としてPB15:6などのフタロシアニン系ブルーを用いる場合には、顔料分散剤としてフタロシアニンの置換誘導体を用いることが提案されている。また、顔料としてPR177などのアントラキノン系レッドを用いる場合には、顔料分散剤としてアントラキノンの置換誘導体を用いることが提案されている。また、顔料としてPR254などのジケトピロロピロール系レッドを用いる場合には、顔料分散剤としてジケトピロロピロールの置換誘導体を用いることが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−55224号公報
【特許文献2】特開2001−240780号公報
【特許文献3】特開2009−029886号公報
【特許文献4】特開2004−91497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、カラーフィルターの性能をさらに向上させたいとの要望がある。具体的には、着色画素の透過光の輝度をアップさせること;着色画素の透過光のコントラストをアップさせること;カラーフィルターを製造する際の230℃以上の高温処理による輝度の低下を抑制すること;などが求められている。しかしながら、特許文献1〜4等で提案されたような従来の技術では、上記の性能を満足させるカラーフィルターを製造しうる顔料着色剤を得ることは困難であった。さらに、従来の技術で得られた顔料着色剤は、カラーフィルター用に限らず、形成される塗膜(着色皮膜)中に異物が発生することがあるため、改善が要望されている。
【0012】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であるとともに、顔料の粒子凝集を防止することができ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示し、かつ、カラーフィルター製造時の230℃以上の高温処理によっても輝度が低下しにくい着色物品を製造可能な顔料分散剤を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記顔料分散剤を用いて得られる顔料組成物及び顔料着色剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明によれば、以下に示す顔料分散剤が提供される。
[1]下記一般式(1)で表される化合物、その第4級アンモニウム塩、そのアミン塩、又はその金属塩である顔料分散剤。
【0014】
(前記一般式(1)中、D−NH−は、アミノ基を有する有機色素に由来する構造部分を示し、Rは、単結合又は炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基を示し、mは0.2〜3の数を示し、nは1〜4の数を示す)
【0015】
[2]前記有機色素が、フタロシアニン系色素、ジケトピロロピロール系色素、キナクリドン系色素、アントラキノン系色素、ペリレン系色素、モノアゾ系色素、ジスアゾ系色素、縮合アゾ系色素、キノフタロン系色素、又はこれらの色素にアミノメチル基若しくはアミノフタルイミドメチル基が導入された有機色素である前記[1]に記載の顔料分散剤。
[3]前記一般式(1)中、Dが、下記式(2)〜(9)のいずれかで表される基である前記[1]に記載の顔料分散剤。
【0016】
(前記式(2)〜(9)中、*は、前記一般式(1)中の−NHとの結合位置を示す。前記式(2)中、R1は、単結合、メチレン基、又は下記式(I)で表される2価の基を示し、前記式(4)中、R2は、それぞれ独立に、水素原子又はフェニル基を示し、前記式(5)中、Yは、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲンを示し、pは、0〜2の数を示し、前記式(4)中のR3、前記式(5)中のR4、及び前記式(7)中のR5は、メチレン基又は下記式(I)で表される2価の基を示し、前記式(7)中、R6は、下記式(7−1)又は(7−2)で表される基を示し、前記式(8)中、Xは、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲンを示す)
【0017】
【0018】
また、本発明によれば、以下に示す顔料組成物が提供される。
[4]顔料と、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の顔料分散剤と、を含有する顔料組成物。
[5]前記顔料100質量部に対する、前記顔料分散剤の配合量が、0.5〜40質量部である前記[4]に記載の顔料組成物。
【0019】
さらに、本発明によれば、以下に示す顔料着色剤が提供される。
[6]前記[4]又は[5]に記載の顔料組成物と、皮膜形成材料と、を含有する顔料着色剤。
[7]画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、又は塗料用である前記[6]に記載の顔料着色剤。
[8]カラーフィルター用である前記[6]に記載の顔料着色剤。
【発明の効果】
【0020】
本発明の顔料分散剤は、顔料を含有するインキや塗料などの流動性を著しく改善可能であるとともに、顔料の粒子凝集を防止することができ、異物の発生を防止しつつ、優れた光沢及び鮮明性を示し、かつ、カラーフィルター製造時の230℃以上の高温処理によっても輝度が低下しにくい着色物品を製造可能なものである。このため、本発明の顔料分散剤は、オフセットインキやグラビアインキなどの印刷インキ、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、カラーフィルター用レジスト、筆記具用インキなどに用いられるビヒクルに対して好適に使用することができる。また、本発明の顔料分散剤を用いれば、各種の塗料などの流動性を著しく改善し、顔料の粒子凝集を防止し、異物の発生が有効に防止された着色被膜を形成しうる顔料組成物及び顔料着色剤を提供することができる。さらに、本発明の顔料着色剤は、貯蔵時の増粘やゲル化が生じにくいとともに、優れた光沢と鮮明性を有する着色物を製造することができる。特に、230℃以上の高温で処理した場合であっても輝度が低下しにくく、高輝度の着色物を製造することができる。このため、本発明の顔料着色剤は、カラーフィルター用の顔料着色剤等として、特に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<顔料分散剤>
以下、好ましい実施形態を例に挙げて本発明の詳細について説明する。本発明の顔料分散剤は、下記一般式(1)で表される化合物、その第4級アンモニウム塩、そのアミン塩、又はその金属塩であることを主要な特徴の一つとする。このような特徴を有する本発明の顔料分散剤は、種々の顔料に対して優れた親和性を有しており、有機・無機を問わず、様々な顔料を分散させるための顔料分散剤として好適に使用することができる。また、本発明の顔料分散剤は、優れた顔料分散効果を有しているので、種々の用途の顔料着色剤を調製するための材料として使用することができる。
【0022】
(前記一般式(1)中、D−NH−は、アミノ基を有する有機色素に由来する構造部分を示し、Rは、単結合又は炭素数1〜4の直鎖状のアルキレン基を示し、mは0.2〜3の数を示し、nは1〜4の数を示す)
【0023】
市販の酸化防止剤などの添加剤を配合した顔料着色剤を用いても、230℃以上の高温で処理すると、得られる着色物の輝度は低下しやすい。これは、酸化防止剤などの一般的な添加剤は低分子量の化合物であるために、ブリードアウト、抽出、及び分散媒体中への拡散などにより、顔料の近傍に存在し続けることが困難となり、添加剤の効果が不十分になるためであると考えられる。これに対して、本発明の顔料分散剤は、有機色素の母体にヒンダードフェノール基及びスルホン酸基を導入した構造を有する、比較的高分子量の化合物である。このため、顔料粒子の表面に吸着しやすく、ヒンダードフェノール基の酸化防止能と、スルホン酸基の分散能とが有効に発揮される。これにより、顔料粒子の凝集及び異物発生を防止しつつ、230℃以上の高温で処理した場合であっても輝度の低下を抑制することができるので、優れた光沢及び鮮明性を有するカラーフィルターなどの着色物を製造することができる。
【0024】
一般式(1)中、D−NH−は、アミノ基を有する有機色素に由来する構造部分を示す。アミノ基を有する有機色素としては、一般に市販されている顔料又は染料を使用することができる。アミノ基を有する有機色素としては、フタロシアニン系色素、ジケトピロロピロール系色素、キナクリドン系色素、アントラキノン系色素、ペリレン系色素、モノアゾ系色素、ジスアゾ系色素、縮合アゾ系色素、及びキノフタロン系色素などの顔料及び染料を挙げることができる。
【0025】
また、アミノ基を有する有機色素として、上記の顔料及び染料などの色素にアミノメチル基又はアミノフタルイミドメチル基が導入された有機色素を用いることもできる。アミノメチル基が導入された有機色素は、例えば、公知の方法によりフタルイミドメチル基を導入した有機色素を加水分解して合成することができる。その他、種々の方法によって製造されたアミノ基を有する有機色素を使用することができる。
【0026】
アミノ基を有する有機色素の具体例としては、テトラアミノフタロシアニン、1置換(又は2〜4置換)アミノメチルフタロシアニン、1置換(又は2〜4置換)4−アミノフタルイミドメチルフタロシアニン、2,2’−ジアミノ−1,1’−ビアントラキノン、4,4’−ジアミノ−1,1’−ビアントラキノン、1−アミノアントラキノン、2−アミノアントラキノン、1−アミノ−4−ヒドロキシアントラキノン、2−アミノ−3−ヒドロキシアントラキノン、1−アミノ−2−メチルアントラキノン、1,4−ジアミノアントラキノン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,4−ジアミノ−2,3−ジシアノ−9,10−アントラキノン、1,4−ジアミノ−2,3−ジクロロアントラキノン、1,5−ジアミノ−4,8−ジヒドロキシアントラキノン、2,6−ジアミノアントラキノン、1置換(又は2〜4置換)アミノメチルジケトピロロピロール(例えば、PR254、PR255、PR272、PR264、PO71、PO73など)、1置換(又は2〜4置換)4−アミノフタルイミドメチルジケトピロロピロール(例えば、PR254、PR255、PR272、PR264、PO71、PO73など)、1置換(又は2〜4置換)アミノメチルキナクリドン(例えば、PV19、PR122、PR202、PR209など)、1置換(又は2〜4置換)4−アミノフタルイミドメチルキナクリドン(例えば、PV19、PR122、PR202、PR209など)、N,N’−(1,4−フェニレン)ビス[4−[(4−メタンアミノフェニル)アゾ]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド]、N,N’−(2,5−ジクロロ−1,4−フェニレン)ビス[4−[(4−メタンアミノフェニル)アゾ]−3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボアミド]、N,N’−ビス(2−アミノフェニル)−3,4,9,10−ペリレンビス(ジカルボイミド)、N,N’−ビス(3−アミノフェニル)−3,4,9,10−ペリレンビス(ジカルボイミド)、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−3,4,9,10−ペリレンビス(ジカルボイミド)、2−(8−アミノキノリン−2−イル)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン、2−(8−アミノキノリン−2−イル)−4,5,6,7−テトラクロロ−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン、2−(8−アミノキノリン−2−イル)−4,5,6,7−テトラブロモ−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン、5−((6−アミノメチル−2,4−ジヒドロキシキノリン−3−イル)ジアゼニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾル−2(3H)−オン、5−((7−アミノメチル−2,4−ジヒドロキシキノリン−3−イル)ジアゼニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾル−2(3H)−オン、5−アミノ−2−((2,4−ジヒドロキシ−3−((2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾル−5−イル)ジアゼニル)キノリン−7−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、5−アミノ−2−((2,4−ジヒドロキシ−3−((2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]イミダゾル−5−イル)ジアゼニル)キノリン−6−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオンなどを挙げることができる。
【0027】
一般式(1)中のDは、下記式(2)〜(9)のいずれかで表される基であることが好ましい。
【0028】
(前記式(2)〜(9)中、*は、前記一般式(1)中の−NHとの結合位置を示す。前記式(2)中、R1は、単結合、メチレン基、又は下記式(I)で表される2価の基を示し、前記式(4)中、R2は、それぞれ独立に、水素原子又はフェニル基を示し、前記式(5)中、Yは、炭素数1〜4のアルキル基又はハロゲンを示し、pは、0〜2の数を示し、前記式(4)中のR3、前記式(5)中のR4、及び前記式(7)中のR5は、メチレン基又は下記式(I)で表される2価の基を示し、前記式(7)中、R6は、下記式(7−1)又は(7−2)で表される基を示し、前記式(8)中、Xは、それぞれ独立に、水素原子又はハロゲンを示す)
【0029】
【0030】
一般式(1)中のスルホン酸基とアミン塩を形成するアミンとしては、例えば、(モノ、ジ又はトリ)アルキルアミン類、置換又は未置換のアルキレンジアミン類、アルカノールアミン類、アルキルアンモニウムクロライドなどを挙げることができる。なかでも、第4級アンモニウム塩が好ましい。また、一般式(1)中のスルホン酸基と金属塩を形成する金属としては、例えば、Li、Na、Kなどのアルカリ金属;Ca、Ba、Al、Mn、Sr、Mg、Ni、Znなどの多価金属などを挙げることができる。
【0031】
本発明の顔料分散剤は、少量であっても顔料の分散剤として優れた作用を示す。また、本発明の顔料分散剤を用いて調製される顔料組成物及び顔料着色剤は、貯蔵時の増粘やゲル化が生じにくく、これらを用いて形成される塗膜中に異物が発生しにくい。本発明の顔料分散剤の具体例としては、下記式(A)〜(H)で表される化合物等を挙げることができる。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
本発明の顔料分散剤のさらなる具体例として、下記式(1−1)〜(1−12)で表される化合物等を挙げることができる。
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)は、例えば、以下のようにして合成することができる。まず、テトラアミノフタロシアニンなどのアミノ基を有する色素に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゼン)プロピオン酸クロリドなどのヒンダードフェノール基を有する酸塩化物を反応させて中間体を得る。なお、ヒンダードフェノール基を有する酸塩化物は、例えば、ヒンダードフェノール基を有するカルボン酸化合物から合成することができる。次いで、得られた中間体を発煙硫酸などの公知のスルホン化剤を用いて常法によりスルホン化すれば、一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)を得ることができる。また、8−アミノ−2−(4,5,6,7−テトラクロロ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)キノリンモノスルホン酸などのアミノ基及びスルホン酸基を有する色素に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゼン)プロピオン酸クロリドなどのヒンダードフェノール基を有する酸塩化物を反応させても、一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)を得ることができる。なお、本発明の顔料分散剤には未反応の原料が少量含まれる可能性があるが、本発明の効果が得られる限りにおいて、未反応の原料が若干含まれていてもよい。
【0040】
ヒンダードフェノール基を有するカルボン酸化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、4−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン酸、5−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸などを挙げることができる。なかでも、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸が好ましい。
【0041】
本発明の顔料分散剤の使用方法は特に制限されないが、以下に示すような使用方法が例示される。いずれの方法であっても、目的とする顔料分散効果を得ることができる。
(1)顔料と顔料分散剤とを予め公知の方法で混合し、得られた顔料組成物をビヒクルなどに添加して顔料をビヒクル中に分散させる。
(2)ビヒクルなどに顔料と顔料分散剤を所定の割合で別々に添加して、顔料をビヒクル中に分散させる。
(3)顔料と顔料分散剤をそれぞれビヒクルなどに別々に分散させた後、得られた各分散液を所定の割合で混合し、顔料をビヒクル中に分散させる。
(4)ビヒクルなどに顔料を分散させて得られた分散液に、顔料分散剤を所定の割合で添加して、顔料をビヒクル中に分散させる。
【0042】
上記(1)〜(4)の方法において、一般式(1)中で表される化合物(顔料分散剤)中のイオン性基のカウンターのイオン性基(対イオン性基)を有する高分子分散剤を添加して分散させることが好ましい。特に、上記(1)又は(2)の方法において、対イオン性基を有する高分子分散剤と併用して分散させることが望ましい。
【0043】
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物は、顔料と、前述の顔料分散剤とを含有する。顔料100質量部に対する顔料分散剤の配合量は、0.5〜40質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがさらに好ましい。顔料分散剤の配合量が上記した範囲内よりも少ないと、目的とする分散剤の効果が十分に得られなくなる場合がある。一方、上記した範囲内よりも顔料分散剤の配合量が多いと、分散剤の効果が頭打ちになり、それ以上の効果が期待できず、材料がコスト高になるなど、生産性の面で不利になる場合がある。さらには、このような顔料分散剤を過剰に含有する顔料組成物を用いた塗料やインキにおいて、ビヒクルの諸物性が低下したり、顔料分散剤自体の色によって、顔料のもつ色相が大きく変化したりする場合もある。
【0044】
本発明の顔料分散剤は、さらに、公知のスルホン酸系の顔料誘導体を含有してもよい。調製しようとする顔料着色剤の色相が青色系であれば、フタロシアニンスルホン化物を顔料誘導体として用いることが好ましい。また、顔料着色剤の色相が赤色系であれば、ジケトピロロピロールスルホン化物、キナクリドンスルホン化物、又はアントラキノンスルホン化物を顔料誘導体として用いることが好ましい。さらに、顔料着色剤の色相が黄色系であれば、PY138のスルホン化物を顔料誘導体として用いることが好ましい。
【0045】
本発明の顔料分散剤を用いることによって、有効な分散効果が得られる顔料の具体例としては、溶性・不溶性アゾ顔料、高分子量アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノフタロン顔料、メチン・アゾメチン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、金属錯体顔料などを挙げることができる。
【0046】
本発明の顔料組成物を製造する方法は特に限定されない。例えば、顔料と顔料分散剤を従来公知の方法により混合すれば、本発明の顔料組成物を得ることができる。なお、本発明の顔料組成物を製造する方法の具体例としては、以下に示す(1)〜(4)の方法を挙げることができる。
(1)顔料の紛末と顔料分散剤の粉末とを、分散機を使用せずに混合する方法。
(2)顔料と顔料分散剤とを、ニーダー、ロール、アトライター、横型ビーズミルなどの各種分散機で機械的に混合する方法。
(3)顔料の水系又は有機溶剤系のサスペンションに、顔料分散剤を溶解又は微分散させた液を添加及び混合し、顔料の表面に顔料分散剤を均一に沈着させる方法。
(4)硫酸などの強い溶解力を持った溶媒に顔料及び顔料分散剤を溶解させた後、水などの貧溶媒によって共析出させる方法。
【0047】
顔料組成物を調製するのに用いる顔料分散剤の性状は、溶液、スラリー、ペースト、及び粉末のいずれであってもよい。いずれの性状の顔料分散剤を用いた場合であっても、所望の効果を得ることができる。
【0048】
<顔料着色剤>
本発明の顔料着色剤は、前述の顔料組成物と、皮膜形成材料とを含有する。本発明の顔料着色剤は、例えば、微細化した前述の顔料組成物と、その用途に応じて選択された樹脂((共)重合体)、オリゴマー、又はモノマーなどの皮膜形成材料とを混合することで得ることができる。本発明の顔料着色剤は、画像表示用、画像記録用、印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、塗料用などの着色剤として広範な分野で用いることができる。特に、着色画素の透明性が問題となる画像表示材料として、なかでもカラーフィルター用顔料着色剤として好適である。勿論、本発明の顔料着色剤は、電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、電着記録液、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの画像記録剤用の材料としても有用である。これらの画像記録剤用の材料は、それぞれ、インクジェット記録方法、電着記録方式、電子写真方式などの各種の画像記録方法に使用される。本発明の顔料着色剤を用いれば、いずれの画像記録方法であっても高品位な画像を提供しうる画像記録剤用の材料を調製することができる。
【0049】
以下、本発明の顔料着色剤のさらなる詳細について、画像表示用の顔料着色剤であるカラーフィルター用顔料分散液(カラーフィルター(CF)用顔料着色剤)を代表例に挙げて説明する。カラーフィルター用顔料分散液(フォトレジスト)を調製するには、まず、前述の顔料組成物を、皮膜形成材料を含有する液に添加し、プレミキシングする。次いで、分散処理すれば、カラーフィルター用顔料分散液を得ることができる。より具体的には、縦型媒体分散機、横型媒体分散機、ボールミルなどの分散機械を使用して均一に摩砕した顔料組成物を、皮膜形成性材料を含有する液に添加及び混合することで、カラーフィルター用顔料分散液を得ることができる。また、顔料と顔料分散剤を硫酸などに溶解させて得られた溶液と水を混合して、顔料と顔料分散剤とを含む顔料組成物を固溶体又は共析体として析出させて分離する。分離した顔料組成物を、皮膜形成材料や高分子分散剤などを含有する液に添加して混合した後、ダイノミルなどの横型湿式媒体分散機(ビーズミル)を使用して摩砕分散しても、カラーフィルター用顔料分散液を得ることができる。
【0050】
本発明の顔料着色剤は、高分子分散剤をさらに含有してもよい。高分子分散剤としては、塩基性の高分子分散剤が好ましい。本発明の顔料着色剤中の顔料の表面は、一般式(1)で表される酸性の顔料分散剤で処理されている。このため、塩基性の高分子分散剤を含有させることで、より低粘度かつ高コントラストなカラーフィルター用顔料分散液を得ることができる。なお、酸性の高分子分散剤を含有させると、顔料が凝集し、顔料着色剤が増粘しやすくなる場合がある。
【0051】
高分子分散剤としては、公知の分散剤を用いることができる。また、塩基性の高分子分散剤の具体例としては、以下商品名で、DISPERBYK−160、同161、同162、同163、同164、同166、同171、同182、同184、同2000、同200 1、同2070、同2150(以上、ビックケミー社製);EFKA−44、同46、同47、同48、同4010、同4015、同4020、同4050、同4055、同4060、同4300、同4330、同4400、同4406、同4510、同4800(以上、BASF社製);SOLSPERS−24000、同32550、NBZ−4204/10(以上、Lubrizol社製);ヒノアクトT−6000、同7000、同8000(以上、川研ファインケミカル社製);アジスパーPB−821、同822、同823(以上、味の素ファインテクノ社製)等を挙げることができる。
【0052】
高分子分散剤の配合量は、顔料100質量部に対して、2〜100質量部とすることが好ましく、10〜50質量部とすることがさらに好ましい。高分子分散剤の配合量が2質量部未満であると、良好な顔料分散安定性を得ることが困難になる場合がある。一方、高分子分散剤の配合量が100質量部超であると、形成される皮膜の現像性が低下する場合がある。
【0053】
カラーフィルター用顔料分散液を調製するために用いる、皮膜形成材料を含有する液としては、従来公知のカラーフィルター用顔料分散液に含有される皮膜形成性重合体の溶液を用いることができる。また、皮膜形成材料を含有する液に用いられる液媒体としては、有機溶剤、水、及び有機溶剤と水との混合液などを挙げることができる。なお、カラーフィルター用顔料分散液には、必要に応じて、例えば、分散助剤、平滑化剤、密着化剤などの従来公知の添加剤を添加することができる。
【0054】
本発明の顔料着色剤に含有される顔料組成物の量は、皮膜形成材料100質量部に対して5〜500質量部であることが好ましく、50〜250質量部であることがさらに好ましい。また、皮膜形成材料を含有する液としては、感光性の皮膜形成材料を含有する液、又は非感光性の皮膜形成材料を含有する液を、用途に応じて適宜選択して用いることができる。感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、紫外線硬化性インキや電子線硬化インキなどに用いられる感光性の皮膜形成材料を含有する液などを挙げることができる。また、非感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、凸版インキ、平版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキなどの印刷インキに使用するワニス;常温乾燥又は焼き付け塗料に使用するワニス;電着塗装に使用するワニス;熱転写リボンに使用するワニスなどを挙げることができる。
【0055】
カラーフィルター用顔料分散液は、高濃度に顔料を含みながらも、顔料の分散状態が良好であるとともに、一般的な常乾塗料や焼き付け塗料に比して低粘度であることが要求される。一般的には、顔料濃度が5〜20質量%であっても、顔料が凝集せず、その粘度が5〜20mPa・s程度であり、貯蔵安定性が良好であることが要求される。したがって、カラーフィルター用とする場合は、本発明の顔料分散液は上記の粘度条件を満たすことが好ましい。好ましくは、粘度が5〜15mPa・sであり、25℃で1ヶ月間放置した後(放置後)の粘度増加率が10%以内である。粘度が増加してしまうと、一定の膜厚に製膜することが困難になる。
【0056】
感光性の皮膜形成材料の具体例としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などの感光性樹脂を挙げることができる。なお、これらの感光性樹脂を含有する液には、反応性希釈剤として各種のモノマーを添加してもよい。
【0057】
皮膜形成材料として感光性樹脂を含有する顔料着色剤に、ベンゾインエーテル、ベンゾフェノンなどの光重合開始剤を添加し、従来公知の方法により練肉すれば、光硬化性の感光性顔料分散液とすることができる。また、上記の光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を用いれば、熱硬化性顔料分散液とすることができる。
【0058】
一方、非感光性の皮膜形成材料の具体例としては、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩、水溶性アミノポリエステル系樹脂などの樹脂及びその水溶性塩を挙げることができる。
【実施例】
【0059】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」とあるのは特に断らない限り質量基準である。
【0060】
<顔料分散剤の調製>
(実施例1)
ジメチルアセトアミド70部に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸13.9部、及び塩化チオニル6.5部を加え、40〜50℃で0.5時間撹拌した。テトラニトロフタロシアニンを還元して得られたテトラアミノフタロシアニン8.3部を加え、120〜130℃で3時間撹拌した。放冷後、水700部に投入して、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、中間体20.3部を得た。20%発煙硫酸100部に得られた中間体10部を溶解した後、50〜60℃で5時間反応させた。放冷後、氷水に投入して、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、下記式(A)で表される青色の顔料分散剤(A)10.3部を得た。
【0061】
【0062】
(実施例2)
テトラアミノフタロシアニン8.3部に代えて、PR177 11.1部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(B)で表される赤色の顔料分散剤(B)10.3部を得た。
【0063】
【0064】
(実施例3)
テトラアミノフタロシアニン8.3部に代えて、4−アミノフタルイミドメチル基が一分子中に約1個導入されたPR255 23.1部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(C)で表される赤色の顔料分散剤(C)10.6部を得た。
【0065】
【0066】
(実施例4)
テトラアミノフタロシアニン8.3部に代えて、4−アミノフタルイミドメチル基が一分子中に約1個導入されたPV19 24.3部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(D)で表される赤色の顔料分散剤(D)10.5部を得た。
【0067】
【0068】
(実施例5)
ジメチルアセトアミド30部に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸5.6部、及び塩化チオニル2.6部を加え、40〜50℃で0.5時間撹拌した。4’−アミノアセトアニリド3部を加え、90〜100℃で3時間撹拌し、次いで水30部、及び濃塩酸8.3部を加え、90〜100℃で1時間撹拌した。0〜10℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム1.4部を加えてジアゾ化した。水150部に水酸化ナトリウム5部及びN,N’−(1,4−フェニレン)ビス(3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボアミド)4.5部を溶解し、上記のジアゾ液を投入し、20〜30℃で4時間、次いで、70〜80℃で1時間撹拌した。ろ過、水洗、及び乾燥することにより、中間体11.6部を得た。20%発煙硫酸100部に得られた中間体10部を溶解した後、50〜60℃で5時間反応させた。放冷後、氷水に投入して、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、下記式(E)で表される赤色の顔料分散剤(E)10.2部を得た。
【0069】
【0070】
(実施例6)
テトラアミノフタロシアニン8.3部に代えて、5−アミノベンズイミダゾリノンをジアゾ化して2,4−ジヒドロキシキノリンにカップリングした化合物に、一分子中に約1個の4−アミノフタルイミドメチル基を導入した化合物24.7部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(F)で表される赤色の顔料分散剤(F)10.5部を得た。
【0071】
【0072】
(実施例7)
ジメチルアセトアミド30部に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸5.6部及び塩化チオニル2.6部を加え、40〜50℃で0.5時間撹拌した。PY138のモノスルホン化物を95%硫酸で加水分解して得た8−アミノ−2−(4,5,6,7−テトラクロロ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)キノリンモノスルホン酸10.1部を加え、120〜130℃で3時間撹拌した。放冷後、水300部に投入して、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、下記式(G)で表される黄色の顔料分散剤(G)14.6部を得た。
【0073】
【0074】
(実施例8)
ジメチルアセトアミド30部に、3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸5.6部、及び塩化チオニル2.6部を加え、40〜50℃で0.5時間撹拌した。PY138を95%硫酸で加水分解して得た8−アミノ−2−(4,5,6,7−テトラクロロ−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)キノリンを20%発煙硫酸でスルホン化したジスルホン化物11.7部を加え、120〜130℃で3時間撹拌した。放冷後、水300部に投入し、ろ過、水洗、及び乾燥することにより、下記式(H)で表される黄色の顔料分散剤(H)16.1部を得た。
【0075】
【0076】
実施例1〜8で得た各化合物(顔料分散剤)について、MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法の略称)による質量分析を行ったところ、以下の分子量に相当するピークが検出された。また、S分析により、スルホン酸基の置換個数が「1」又は「2」の計算値(理論値)に近い値が得られた。使用した原材料、質量分析の結果、及びS分析の結果から、目的とする組成の化合物(顔料分散剤)が得られたことを確認した。
・化合物(A):分子量1789.8、S分析値:計算値1.79%、実測値1.81%
・化合物(B):分子量1045.3、S分析値:計算値3.07%、実測値3.09%
・化合物(C):分子量802.9、S分析値:計算値3.99%、実測値3.98%
・化合物(D):分子量826.9、S分析値:計算値3.88%、実測値3.91%
・化合物(E):分子量1287.6、S分析値:計算値2.49%、実測値2.48%
・化合物(F):分子量835.9、S分析値:計算値3.84%、実測値3.84%
・化合物(G):分子量766.5、S分析値:計算値4.18%、実測値4.20%
・化合物(H):分子量846.6、S分析値:計算値7.57%、実測値7.53%
【0077】
<顔料組成物(1)〜(8)の調製>
(実施例9)
顔料分が100部になるように秤量したPB15:6のプレスケーキ(固形分濃度37%)に水2000部を加えて、十分にリスラリー化してスラリーを得た。水100部に、実施例1で得た顔料分散剤(A)5部及び水酸化ナトリウム1部を分散させてスラリー化したものを加えて混合スラリーとした。この混合スラリーを70℃まで加熱し、1%希硫酸を滴下してpHを4〜5に調整した。0.5時間撹拌後、ろ過、水洗、乾燥、及び粉砕して顔料組成物(1)を得た。
【0078】
(実施例10)
PB15:6のプレスケーキに代えてPR177のプレスケーキ(固形分濃度24%)を用いた。さらに、顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(B)を用いた。これらのこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(2)を得た。
【0079】
(実施例11)
PB15:6のプレスケーキに代えてPR254のプレスケーキ(固形分濃度23%)を用いた。さらに、顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(C)を用いた。これらのこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(3)を得た。
【0080】
(実施例12)
PB15:6のプレスケーキに代えてPR254のプレスケーキを用いた。さらに、顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(D)を用いた。これらのこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(4)を得た。
【0081】
(実施例13)
PB15:6のプレスケーキに代えてPR254のプレスケーキを用いた。さらに、顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(E)を用いた。これらのこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(5)を得た。
【0082】
(実施例14)
PB15:6のプレスケーキに代えてPR254のプレスケーキを用いた。さらに、顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(F)を用いた。これらのこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(6)を得た。
【0083】
(実施例15)
PB15:6のプレスケーキに代えてPY138のプレスケーキ(固形分濃度26%)を用いた。さらに、顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(G)を用いた。これらのこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(7)を得た。
【0084】
(実施例16)
PB15:6のプレスケーキに代えてPY138のプレスケーキを用いた。さらに、顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(H)を用いた。これらのこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(8)を得た。
【0085】
顔料組成物(1)〜(8)を調製する際に用いた顔料及び顔料分散剤の組み合わせを表1に示す。
【0086】
【0087】
<顔料分散液(カラーフィルター(CF)用顔料着色剤)の調製>
(実施例17)
メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン/ヒドロキシエルアクリレートを、25/50/15/10のモル比で共重合させて得た、平均分子量が12,000、固形分濃度が40%のアクリル樹脂ワニスを使用し、以下に示す方法に従って顔料分散液を調製した。上記のアクリル樹脂ワニス50部、顔料組成物(1)20部、塩基性の高分子分散剤(商品名「DISPERBYK−2001」、ビックケミー社製、固形分46%)17.4部、及び溶剤としてプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート20部を混合し、プレミキシングした後、横型ビーズミルを使用して分散処理してCF用顔料着色剤(実施例17)を得た。
【0088】
(実施例18〜24)
顔料組成物(1)に代えて、顔料組成物(2)〜(8)を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にしてCF用顔料着色剤(実施例18〜24)を得た。
【0089】
(比較例1)
顔料分散剤(A)を使用しないこと以外は、前述の実施例9と同様にして、顔料分散剤で処理していないPB15:6を含有する組成物を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た組成物を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例1)を得た。
【0090】
(比較例2)
顔料分散剤(A)に代えて、顔料分散剤(I)(フタロシアニンスルホン化物(商品名「SOLSPERS−12000」、Lubrizol社製))を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(9)を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た顔料組成物(9)を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例2)を得た。
【0091】
(比較例3)
顔料分散剤(A)を使用しないこと以外は、前述の実施例9と同様にして、顔料分散剤で処理していないPR177を含有する組成物を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た組成物を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例3)を得た。
【0092】
(比較例4)
顔料分散剤(A)に代えて、特許文献2に記載された下記式(J)で表される顔料分散剤(J)を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(10)を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た顔料組成物(10)を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例4)を得た。
【0093】
【0094】
(比較例5)
顔料分散剤(A)を使用しないこと以外は、前述の実施例9と同様にして、顔料分散剤で処理していないPR254を含有する組成物を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た組成物を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例5)を得た。
【0095】
(比較例6)
顔料分散剤(A)に代えて、特許文献2に記載された下記式(K)で表される顔料分散剤(K)を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(11)を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た顔料組成物(11)を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例6)を得た。
【0096】
【0097】
(比較例7)
顔料分散剤(A)を使用しないこと以外は、前述の実施例9と同様にして、顔料分散剤で処理していないPY138を含有する組成物を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た組成物を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例7)を得た。
【0098】
(比較例8)
顔料分散剤(A)に代えて、特許文献4に記載された顔料分散剤(L)(PY138のスルホン化物)を用いたこと以外は、前述の実施例9と同様にして顔料組成物(12)を得た。そして、顔料組成物(1)に代えて、上記で得た顔料組成物(12)を用いたこと以外は、前述の実施例17と同様にしてCF用顔料着色剤(比較例8)を得た。
【0099】
<評価>
実施例17〜24及び比較例1〜8の各CF用顔料着色剤について、(1)流動性(貯蔵安定性)、(2)展色面のグロス、(3)塗膜中の異物、(4)コントラスト、及び(5)輝度(Y値)を評価した。それぞれの評価方法を以下に示す。また、評価結果を表2及び3に示す。
【0100】
(1)流動性(貯蔵安定性)
E型粘度計を使用し、調製直後(初期)と、25℃で1ヶ月間放置した後(放置後)のCF用顔料着色剤の粘度(mPa・s)をそれぞれ測定して流動性の評価基準とした。なお、測定条件は、温度:室温(25℃)、ローターの回転数:6rpmとした。また、「放置後粘度/初期粘度(%)」を算出するとともに、得られた算出値を用い、以下に示す基準に従って「貯蔵安定性」を評価した。
○:「放置後粘度/初期粘度」が110%以下
×:「放置後粘度/初期粘度」が110%超
【0101】
(2)展色面のグロス
バーコーター(巻線の太さ0.45mm)を使用して、CF用顔料着色剤をポリプロピレンフィルムに展色して展色面を形成した。形成された展色面のグロスを、目視観察、及びグロスメーターを使用して観察し、以下に示す基準に従って「展色面のグロス」を評価した。なお、展色面のグロスが高いものほど良好であると判定することができる。
◎:非常に良好
○:良好
×:不良
【0102】
(3)塗膜中の異物
スピンナーを使用してCF用顔料着色剤をガラス基板に塗布し、90℃で2分間乾燥後、270℃で30分間加熱して塗膜を形成した。顕微鏡を使用し、形成された塗膜の表面(塗布面)を200倍で観察して異物の有無を確認し、以下に示す基準に従って「塗膜中の異物」を評価した。
◎:異物なし
○:わずかに異物あり
×:異物あり
【0103】
(4)コントラスト
スピンナーを使用してCF用顔料着色剤をガラス基板に塗布し、90℃で2分間乾燥後、230℃で30分間加熱して塗膜を形成した。また、スピンナーの速度を変えて3枚の塗膜を形成した。コントラストメーター(アイシステム社製)を使用して形成した塗膜の明輝度及び暗輝度を測定し、コントラスト(明輝度/暗輝度)を算出した。さらに、分光光度計(商品名「U−2000A」、日立製作所社製)を使用して塗膜を測色し、色度x又はyを測定した。色度x又はyに対してコントラストをプロットして作成したグラフに近似直線を引き、(i)PB15:6の場合には色度y=0.120のコントラストを、(ii)PR177及びPR254の場合には色度x=0.650のコントラストを、(iii)PY138の場合には色度x=0.426のコントラストを、それぞれ読み取った。そして、比較例2、4、6及び8のコントラストを「100%」として、各実施例及び比較例のコントラスト比(%)を算出するとともに、以下に示す基準に従って「コントラスト」を評価した。
◎:110%以上
○:90%以上110%未満
×:90%未満
【0104】
(5)輝度(Y値)
スピンナーを使用してCF用顔料着色剤をガラス基板に塗布し、90℃で2分間乾燥し、塗膜を形成した。また、スピンナーの速度を変えて3枚の塗膜を形成した。分光光度計を使用して塗膜を測色し、色度x又はyを測定した。色度x又はyに対して、輝度(Y値)をプロットして作成したグラフに近似直線を引き、(i)PB15:6の場合には色度y=0.120のY値を、(ii)PR177及びPR254の場合には色度x=0.650のY値を、(iii)PY138の場合には色度x=0.426のY値を、それぞれ読み取った。また、上記の各塗膜を230℃で30分間加熱したものについて、同様に測色してY値を読み取った。230℃で処理した塗膜のY値と、90℃で処理した塗膜のY値の差(ΔY)を算出し、以下に示す基準に従って「輝度」を評価した。
○:ΔY≧−0.1
×:ΔY<−0.1
【0105】
【0106】
【0107】
表2及び3に示すように、実施例のCF用顔料着色剤は、比較例のCF用顔料着色剤と比較して、粘度が低く、貯蔵安定性が良好であり、展色面のグロスが良好であり、塗膜中に異物が発生せず、高コントラストであり、かつ230℃での輝度が90℃での輝度と比較してほとんど低下していないことが分かる。以上より、実施例の顔料分散剤が優れた効果を有することが明らかである。
【0108】
さらに、実施例の顔料組成物を、オフセットインキなどの印刷インキ;ニトロセルロースラッカー、メラミンアルキッド塗料などの各種塗料;塩化ビニール樹脂などの合成樹脂の着色剤などに使用した。その結果、いずれの場合にも顔料は凝集せず、良好な分散性を示した。また、最近、高分散性であることが特に要求されている電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、筆記具用インキなどの調製に実施例の顔料分散剤を用いた。その結果、いずれの場合にも優れた分散性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の顔料分散剤は、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、カラーフィルター用レジスト、筆記具用インキなどに配合される分散剤として有用であり、その利用が期待される。