特開2017-125299(P2017-125299A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017125299-チュービング装置の輸送用治具 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-125299(P2017-125299A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】チュービング装置の輸送用治具
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/20 20060101AFI20170623BHJP
   B66C 13/08 20060101ALI20170623BHJP
【FI】
   E21B7/20
   B66C13/08 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-3186(P2016-3186)
(22)【出願日】2016年1月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】谷田 優也
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA00
2D129BA30
2D129BB03
2D129HA00
(57)【要約】
【課題】チュービング装置のフレームを水平に吊り上げて載置した後、傾斜させた状態とするチュービング装置の輸送用治具を提供する。
【解決手段】輸送用治具11は、基台12と、基台12の車両前方側に設けた第1連結部13に上下方向に回動可能に連結し、チュービング装置のフレームを載置する支持枠14と、支持枠14の車両後方側と基台12の車両後方側とに亘って設ける支柱15とを備える。支柱15は、基台12の第2連結部16に回動可能に連結する下部支柱15aと、下部支柱15aの先端と支持枠14の第3連結部22とに回動可能に連結する上部支柱15bとで形成し、支柱15を起立させた際に、第2連結部16に下部支柱15aを固定させる固定手段を備える。基台12の第1連結部13よりも車両前方に、フレームを支持枠14と共に傾斜させた際に、フレームの車両前方側面が当接する当接部20を設ける。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央にケーシングチューブを挿通させるケーシングチューブ挿通孔を備えたチュービング装置のフレームを、輸送車両の荷台に、車両左右方向一側を上昇させた傾斜状態で載置して保持させるチュービング装置の輸送用治具において、
該輸送用治具は、前記荷台に載置する基台と、該基台の車両左右方向他側に設けた第1連結部に、上下方向に回動可能に連結され、前記フレームを載置させる支持枠と、該支持枠の車両左右方向一側と前記基台の車両左右方向一側とに亘って設けられる折畳み可能な支柱とを備え、
該支柱は、前記基台の車両左右方向一側に突設した第2連結部に基端部が回動可能に連結される下部支柱と、該下部支柱の先端と前記支持枠の車両左右方向一側に設けた第3連結部とに回動可能にそれぞれ連結される上部支柱とで形成されるとともに、前記支持枠の車両左右方向一側を上昇させて前記支柱を起立させた際に、前記第2連結部に前記下部支柱を固定させる固定手段を備え、
前記基台の前記第1連結部よりも車両左右方向他側に、前記支持枠に載置した前記フレームを前記支持枠と共に傾斜させた際に、前記フレームの車両左右方向他側面が当接する当接部を設けたことを特徴とするチュービング装置の輸送用治具。
【請求項2】
前記支柱は、前記ケーシングチューブ挿通孔の内側に位置していることを特徴とする請求項1記載のチュービング装置の輸送用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チュービング装置の輸送用治具に関し、詳しくは、チュービング装置をトレーラの荷台に斜めに傾斜させた状態で輸送する際に用いられるチュービング装置の輸送用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎工事で使用されるチュービング装置のフレームを輸送する際には、大型のフレームを輸送制限内に抑えて輸送するため、トレーラの荷台に傾斜支持台を介して斜めに傾斜させた状態にして輸送することが行われている。このフレームをクレーンによって吊り上げて傾斜支持台上に載置する際には、フレームを傾斜させた状態で吊り上げて傾斜支持台上に載置していた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−10578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の特許文献1のものでは、重量のある大型のフレームを斜めに吊り上げることから、作業に危険が伴う虞があった。また、クレーンの複数のワイヤの巻出し量を調節してフレームの傾斜角度を調整することから、作業に手間が掛かっていた。
【0005】
そこで本発明は、チュービング装置のフレームを水平に吊り上げて載置した後、傾斜させた状態とすることができるチュービング装置の輸送用治具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のチュービング装置の輸送用治具は、中央にケーシングチューブを挿通させるケーシングチューブ挿通孔を備えたチュービング装置のフレームを、輸送車両の荷台に、車両左右方向一側を上昇させた傾斜状態で載置して保持させるチュービング装置の輸送用治具において、該輸送用治具は、前記荷台に載置する基台と、該基台の車両左右方向他側に設けた第1連結部に、上下方向に回動可能に連結され、前記フレームを載置させる支持枠と、該支持枠の車両左右方向一側と前記基台の車両左右方向一側とに亘って設けられる折畳み可能な支柱とを備え、該支柱は、前記基台の車両左右方向一側に突設した第2連結部に基端部が回動可能に連結される下部支柱と、該下部支柱の先端と前記支持枠の車両左右方向一側に設けた第3連結部とに回動可能にそれぞれ連結される上部支柱とで形成されるとともに、前記支持枠の車両左右方向一側を上昇させて前記支柱を起立させた際に、前記第2連結部に前記下部支柱を固定させる固定手段を備え、前記基台の前記第1連結部よりも車両左右方向他側に、前記支持枠に載置した前記フレームを前記支持枠と共に傾斜させた際に、前記フレームの車両左右方向他側面が当接する当接部を設けたことを特徴としている。
【0007】
また、前記支柱は、前記ケーシングチューブ挿通孔の内側に位置していると好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明のチュービング装置の輸送用治具によれば、輸送用治具をトレーラの荷台に所定の手段で固定し、支柱を折畳んだ状態とし、輸送用治具の基台の上部に支持枠が水平に配置され、折畳まれた状態の支柱の上部は、支持枠の空間部を介して、支持枠よりも上方に突出する。チュービング装置のフレームをクレーンで水平に吊って輸送用治具の支持枠上に載置し、次いで、所定の手段で、フレームと支持枠とを固定する。また、この時、支持枠よりも上方に突出した折畳まれた状態の支柱の上部は、フレームに形成されたケーシングチューブ挿通孔内に配置される。次に、第4連結部にクレーンのワイヤを連結して支持枠の車両左右方向一側を吊り上げ、これに伴って支柱が起立する。起立した状態の下部支柱を固定手段によって第2連結部に固定させ、支持枠を傾斜させた状態に保持する。支持枠に固定されたフレームは、支持枠と共に傾斜し、フレームの車両左右方向他側面を当接部に当接させることにより、トレーラの荷台上にフレームを傾斜させた状態で安定して保持させることができる。
【0009】
このように、チュービング装置のフレームは、クレーンにより水平に吊られた状態で支持枠上に載置されることから、フレームを安全に且つ容易に支持枠上に載置させることができる。また、第4連結部にクレーンのワイヤを連結して支持枠の車両後方を吊り上げ、支柱を起立させた状態で下部支柱を固定手段によって第2連結部に固定させるだけで、支持枠とともにフレームを安全、且つ、容易に傾斜させることができる。
【0010】
また、支柱は、ケーシングチューブ挿通孔の内側に位置していることから、基台の上部に水平に配置された支持枠の上部にフレームを載置させる際に、折畳まれた支柱がフレームに干渉する虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一形態例を示す輸送用治具とベースフレームの説明図である。
図2】同じく輸送用治具を用いてベースフレームを傾けた際の正面図である。
図3】同じく輸送用治具を用いてベースフレームを傾けた際の側面図である。
図4】同じくチュービング装置の正面図である。
図5】同じくチュービング装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図3は、本発明のチュービング装置の輸送用治具の一形態例を示す図である。図4及び図5は、チュービング装置を示す図で、本形態例のチュービング装置1は、地上に据え付けられるベースフレーム2と、該ベースフレーム2の上方に昇降シリンダを介して昇降可能に設けられたドライブフレーム3と、該ドライブフレーム3の上方にチャックシリンダを介して昇降可能に設けられたチャックフレーム4とを備え、各フレーム2,3,4は、平面視長方形状にそれぞれ形成されており、中央部には鉛直方向に貫通してそれぞれ設けられるケーシングチューブ挿通孔5が形成されている。
【0013】
チュービング装置は、基礎工事開始前に現地に搬入され、基礎工事終了後に現地から搬出されるもので、輸送に際しては、ベースフレーム、ドライブフレーム及びチャックフレームを別々にして輸送することが行われている。幅寸法が大きなこれらのフレームは、輸送制限内に抑えて輸送するため、トレーラの荷台に輸送用治具11を介して、車両左右方向一側を上昇させた傾斜状態にして輸送する。
【0014】
輸送用治具11は、トレーラの荷台に載置され、適宜な固定手段で荷台に固定される基台12と、基台12の車両左右方向他側に設けた一対の第1連結部13,13に、上下方向に回動可能に連結され、チュービング装置のフレームを載置させる支持枠14と、支持枠14の車両左右方向一側と基台12の車両左右方向一側とに亘って設けられ、支持枠14の車両左右方向一側を上昇させた状態で保持させる折畳み可能な一対の支柱15,15とを備えている。
【0015】
基台12は、車両左右方向他側の車両前後方向両端部に一対の前記第1連結部13,13が、車両左右方向一側の車両前後方向中間位置に、所定の間隔を空けて一対の第2連結部16,16がそれぞれ突設され、第1連結部13,13には、第1連結ピン17,17を介して支持枠14が、第2連結部16,16の基端側には第2連結ピン18,18を介して支柱15,15の基端部がそれぞれ回動可能に連結されている。また、各第2連結部16の先端側には、固定ピン19を挿通させる第1挿通孔16aが形成されている。さらに、基台12の第1連結部13,13よりも車両左右方向他側には、支持枠14に載置したフレームを支持枠14と共に傾斜させた際に、フレームの車両左右方向他側面が当接する当接部20が設けられている。
【0016】
支持枠14は、車両左右方向の縦枠14a,14aと、車両前後方向の横枠14b,14bとを備え、車両左右方向他端部が前記第1連結部13,13に前記第1連結ピン17,17を介して上下方向に回動可能に連結される。支持枠14は、水平状態で、基台12の車両左右方向一側端よりも車両左右方向一側に突出し、突出した下部に、支柱15の先端部を第3連結ピン21を介して回動可能に連結する第3連結部22が突設されている。さらに、支持枠14の車両左右方向一側の上部には、クレーンのワイヤを連結する第4連結部23が設けられる。
【0017】
各支柱15は、第2連結部16に基端部が回動可能に連結される下部支柱15aと、該下部支柱15aの先端と第3連結部22とに回動可能にそれぞれ連結される上部支柱15bとで形成される。下部支柱15a及び上部支柱15bは、2枚の偏平な角材でそれぞれ形成され、下部支柱15aの2枚の角材の間に、上部支柱15bを配置し、下部支柱15aと上部支柱15bの重合部を支軸15cによって回動可能に連結することにより折畳み部が形成される。また、下部支柱15aには、支持枠14の車両左右方向一側を上昇させて支柱15を起立させた際に、第2連結部16の第1挿通孔16aと同軸となる第2挿通孔15dが設けられ、第1挿通孔16aと第2挿通孔15dとに亘って挿通される固定ピン19によって、支柱15を起立状態に固定する固定手段が形成される。また、支柱15は、支持枠14にフレームを載置させた際に、ケーシングチューブ挿通孔5の内側に位置する。
【0018】
次に、図1乃至図3に基づいて、上述の輸送用治具11を用いて、チュービング装置のベースフレーム2をトレーラの荷台に載置する手順について説明する。まず、トレーラの荷台にチェーン等の所定の手段を用いて輸送用治具11の基台を固定する。この時、支柱15は折畳まれた状態となっており、基台12の上部に支持枠14が水平に配置され、折畳まれた状態の支柱15の折畳み部は、支持枠14の空間部を介して、支持枠14よりも上方に突出している。
【0019】
次いで、図1に示されるように、ベースフレーム2の複数の吊り金具2aに、クレーンのワイヤ31を架け渡し、クレーンでベースフレーム2を水平に吊って輸送用治具11の支持枠14上に載置する。この時、支持枠14から上方に突出している折畳まれた状態の支柱15の折畳み部は、ベースフレーム2のケーシングチューブ挿通孔5内に配置される。
【0020】
次に、図2に示されるように、第4連結部23にクレーンのワイヤ32を連結して、支持枠14の車両左右方向一側を吊り上げ、支柱15を起立させる。起立した状態の下部支柱15aの第2挿通孔15dと、第2連結部16の第1挿通孔16aとに亘って固定ピン19を挿通し、第2連結部16に下部支柱15aを固定し、支持枠14を傾斜させた状態に保持する。支持枠14に固定されたベースフレーム2は、支持枠14と共に傾斜し、ベースフレーム2の車両左右方向他側面を当接部20に当接させる。これにより、トレーラの荷台上にベースフレーム2を傾斜させた状態で安定して保持させることができる。
【0021】
本形態例は上述のように、ベースフレーム2を、クレーンにより水平に吊って支持枠14上に載置することから、ベースフレーム2を安全に且つ容易に支持枠14上に載置させることができる。また、第4連結部23にクレーンのワイヤ32を連結して支持枠14の車両左右方向一側を吊り上げ、支柱15を起立させた状態で、固定ピン19によって下部支柱を第2連結部16に固定させるだけで、支持枠14とともにベースフレーム2を容易に傾斜させることができる。また、支柱15は、ケーシングチューブ挿通孔5の内側に位置していることから、基台の上部に水平に配置された支持枠の上部にフレームを載置させる際に、折畳まれた支柱15がフレームに干渉する虞がない。また、チュービング装置のチャックフレームやドライブフレームについても、上記したベースフレームと同様に、輸送用治具11によってトレーラの荷台に傾斜した状態で安定して載置させることができる。
【0022】
なお、本発明の輸送用治具は、上述の形態例に限るものではなく、支柱の数は任意であり、また、基台及び支持枠を構成する縦枠や横枠の形状や数も任意である。
【符号の説明】
【0023】
1…チュービング装置、2…ベースフレーム、3…ドライブフレーム、4…チャックフレーム、5…ケーシングチューブ挿通孔、6…、7…、8…、9…、10…、11…輸送用治具、12…基台、13…第1連結部、14…支持枠、14a…縦枠、14b…横枠、15…支柱、15a…下部支柱、15b…上部支柱、15c…支軸、15d…第2挿通孔、16…第2連結部、16a…第1挿通孔、17…第1連結ピン、18…第2連結ピン、19…固定ピン、20…当接部、21…第3連結ピン、22…第3連結部、23…第4連結部、31,32…ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5