【解決手段】連通路溶接工程により連通路2が台座Pに溶接固定された後に、背面溶接工程によりシアプレート1の背面1bが台座Pに溶接固定されるので、先の連通路溶接工程における溶接部分(連通路2と台座Pとの結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート1の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート1の反りを抑制できる。その結果、支持部材Sとシアプレート1との間に隙間が形成されることを抑制できる。
直方体形状に形成されるシアプレートを備え、そのシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面が前記台座に溶接固定されたシアプレートの取付構造において、
前記シアプレートは、その底面に一端が開口されると共に他端が前記底面を除く外面に開口される連通路を備え、その連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接固定されていることを特徴とするシアプレートの取付構造。
前記連通路は、一端が前記底面に開口されると共に他端が前記背面に開口され、前記底面に凹設される凹溝として形成されることを特徴とする請求項1記載のシアプレートの取付構造。
前記連通路は、一端が前記底面に開口されると共に他端が前記側面に開口され、前記底面に凹設される凹溝として形成されることを特徴とする請求項1記載のシアプレートの取付構造。
直方体形状に形成されるシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面を前記台座に溶接固定されたシアプレートの取付方法において、
一端が底面に開口されると共に他端が前記底面を除く外面に開口される連通路を備える前記シアプレートを、前記当接面を前記支持部材の側面に当接させると共に前記底面を前記台座に当接させた状態に設置する設置工程と、
その設置工程により前記台座に設置した前記シアプレートの前記連通路の少なくとも一端を前記台座に溶接固定する連通路溶接工程と、
その連通路溶接工程により前記連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接された前記シアプレートの前記背面を前記台座に溶接固定する背面溶接工程と、を備えることを特徴とするシアプレートの取付方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、シアプレートの背面を溶接すると、溶接部分の凝固時の引けによりシアプレートが傾斜したり、溶接ひずみによりシアプレートに反りが発生して、支持部材との間に隙間が形成されるという問題点があった。シアプレートの強度は、溶接部分のせん断力によるところ、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されていると、せん断力を受けることができないため、十分な強度を発揮することができない。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できるシアプレートの取付構造およびシアプレートの取付方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載のシアプレートの取付構造は、直方体形状に形成されるシアプレートを備え、そのシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面が前記台座に溶接固定されたものであり、前記シアプレートは、その底面に一端が開口されると共に他端が前記底面を除く外面に開口される連通路を備え、その連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接固定されている。
【0007】
請求項2記載のシアプレートの取付構造は、請求項1記載のシアプレートの取付構造において、前記連通路は、前記底面とその底面の反対面となる上面との間を貫通する貫通孔として形成される。
【0008】
請求項3記載のシアプレートの取付構造は、請求項2記載のシアプレートの取付構造において、前記連通路は、前記当接面および背面の間の中間位置よりも前記当接面に近い位置に配設される。
【0009】
請求項4記載のシアプレートの取付構造は、請求項2又は3に記載のシアプレートの取付構造において、前記シアプレートは、前記当接面および背面を連結する一対の側面が前記台座に溶接固定され、前記連通路は、前記当接面および背面に沿って複数が列設され、複数の前記連通路のうちの最外方に位置する前記連通路と前記側面との間の間隔が、複数の前記連通路のうちの隣接するものどうしの間の間隔よりも大きな間隔に設定される。
【0010】
請求項5記載のシアプレートの取付構造は、請求項1記載のシアプレートの取付構造において、前記連通路は、一端が前記底面に開口されると共に他端が前記背面に開口され、前記底面に凹設される凹溝として形成される。
【0011】
請求項6記載のシアプレートの取付構造は、請求項1記載のシアプレートの取付構造において、前記連通路は、一端が前記底面に開口されると共に他端が前記側面に開口され、前記底面に凹設される凹溝として形成される。
【0012】
請求項7記載のシアプレートの取付方法は、直方体形状に形成されるシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面を前記台座に溶接固定されたシアプレートを取り付ける方法であって、一端が底面に開口されると共に他端が前記底面を除く外面に開口される連通路を備える前記シアプレートを、前記底面を前記台座に当接させた状態に設置する設置工程と、その設置工程により前記台座に設置した前記シアプレートの前記連通路の少なくとも一端を前記台座に溶接固定する連通路溶接工程と、その連通路溶接工程により前記連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接された前記シアプレートの前記背面を前記台座に溶接固定する背面溶接工程と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のシアプレートの取付構造によれば、シアプレートは、その底面に一端が開口されると共に他端が底面を除く外面に開口される連通路を備え、その連通路の少なくとも一端が台座に溶接固定されている。よって、かかる連通路の一端を台座に溶接固定した後に、シアプレートの背面を台座に溶接固定することで、溶接部分の凝固時の引けによりシアプレートが傾斜することや溶接ひずみによりシアプレートに反りが発生することを抑制できる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0014】
なお、シアプレートの底面を除く外面とは、直方体形状の6面のうちの底面を除く5面を意味する。よって、かかる外面には、当接面および背面が含まれる。また、連通路の他端は、前記5面のうちの少なくとも1の面に開口されていれば足りる趣旨である。
【0015】
請求項2記載のシアプレートの取付構造によれば、請求項1記載のシアプレートの取付構造の奏する効果に加え、連通路は、底面とその底面の反対面となる上面との間を貫通する貫通孔として形成されるので、台座に載置したシアプレートの上面から溶接トーチを連通路へ挿入して、溶接作業を行うことができる。よって、かかる溶接作業の作業性の向上を図ることができる。また、連通路が底面と上面とを貫通する貫通孔として形成されることで、溶接金属を連通路内に留めておくことができる。よって、溶接金属が、台座の上面(支持部材の載置面)やシアプレートの当接面(支持部材の側面に当接される面)にはみ出すことを抑制できる。従って、はみ出した溶接金属を除去する作業が必要となることを未然に回避できる。
【0016】
請求項3記載のシアプレートの取付構造によれば、請求項2記載のシアプレートの取付構造の奏する効果に加え、連通路は、当接面および背面の間の中間位置よりも当接面に近い位置に配設されるので、連通路の一端を台座に溶接固定した後に、シアプレートの背面を台座に溶接固定する際には、背面と台座との間の溶接部分における凝固時の引けによるシアプレートの傾斜や溶接ひずみによるシアプレートの反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0017】
請求項4記載のシアプレートの取付構造によれば、請求項2又は3に記載のシアプレートの取付構造の奏する効果に加え、シアプレートは、当接面および背面を連結する一対の側面が台座に溶接固定され、連通路は、当接面および背面に沿って複数が列設され、複数の連通路のうちの最外方に位置する連通路と側面との間の間隔が、複数の連通路のうちの隣接するものどうしの間の間隔よりも大きな間隔に設定されるので、連通路の形成個数を少なくすることができる。
【0018】
即ち、背面と台座との間の溶接部分における凝固時の引けや溶接ひずみによる反りに対する抗力は、連通路よりも側面の方が大きいため、最外方に位置する連通路と側面との間の間隔を広くしておくことで、これらの抗力が重複して無駄になることを抑制でき、その分、連通路の形成個数を少なくできる。
【0019】
請求項5記載のシアプレートの取付構造によれば、請求項1記載のシアプレートの取付構造の奏する効果に加え、連通路は、一端が底面に開口されると共に他端が背面に開口され、底面に凹設される凹溝として形成されるので、シアプレートの連通路と台座との溶接面積を確保できる。よって、その分、背面と台座との間の溶接部分における凝固時の引けや溶接ひずみによる反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0020】
また、連通路の他端は、背面に開口されるので、連通路から溶接金属がはみ出したとしても、そのはみ出し方向を支持部材とは反対側とできる。即ち、支持部材の載置面となる台座の上面やシアプレートの当接面(支持部材の側面に当接する面)には、はみ出さないので、はみ出した溶接金属を除去する作業を不要とできる。
【0021】
請求項6記載のシアプレートの取付構造によれば、請求項1記載のシアプレートの取付構造の奏する効果に加え、シアプレートは、当接面および背面を連結する側面が台座に溶接固定され、連通路は、一端が底面に開口されると共に他端が側面に開口され、底面に凹設される凹溝として形成されるので、シアプレートの連通路と台座との溶接面積を確保できる。よって、その分、背面と台座との間の溶接部分における凝固時の引けや溶接ひずみによる反りに対する抗力を高めることができ、その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0022】
請求項7記載のシアプレートの取付方法によれば、一端が底面に開口されると共に他端が底面を除く外面に開口される連通路を備えるシアプレートを、底面を台座に当接させた状態に設置する設置工程と、その設置工程により台座に設置したシアプレートの連通路の少なくとも一端を台座に溶接固定する連通路溶接工程と、その連通路溶接工程により連通路の少なくとも一端が台座に溶接されたシアプレートの背面を台座に溶接固定する背面溶接工程とを備えるので、背面溶接工程における溶接部分(背面と台座との間の溶接部分)の凝固時の引けによりシアプレートが傾斜することや溶接ひずみによりシアプレートに反りが発生することを抑制できる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0023】
即ち、連通路溶接工程により連通路の少なくとも一端が台座に溶接固定された後に、背面溶接工程によりシアプレートの背面が台座に溶接固定されるので、先の連通路溶接工程における溶接部分(連通路の一端と台座との結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面と台座との間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレートの傾斜や溶接ひずみによるシアプレートの反りを抑制できる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態におけるシアプレート1の取付構造の上面図であり、
図1(b)は、シアプレート1の取付構造の側面図である。なお、
図1では、被支持体Mが二点鎖線を用いて模式的に図示される。
【0026】
図1に示すように、台座Pには、被支持体Mを支持する支持部材Sが複数のボルトBにより締結固定される。被支持体Mは、モーターやエンジンなどの振動発生体や水門などの構造体であり、振動発生体の振動や構造体が受ける荷重により、支持部材Sにせん断力を作用させる。そのため、支持部材SのボルトBは、せん断力を受けて、破損する恐れがある。
【0027】
この場合、支持部材Sには、台座Pに溶接固定されたシアプレート1が当接される。シアプレート1は、その当接面1aを支持部材Sの側面(
図1(a)右側の面)に当接させた状態で、当接面1aの反対側の面となる背面1bと当接面1a及び背面1bを連結する側面1cとが台座Pに溶接固定される。これにより、被支持体Mから受けるせん断力をシアプレート1が負担することで、支持部材SのボルトBに作用するせん断力を低減して、かかるボルトBの破断を抑制できる。
【0028】
次いで、
図2を参照して、シアプレート1の詳細構成について説明する。
図2(a)は、シアプレート1の上面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のIIb−IIb線におけるシアプレート1の断面図であり、
図2(c)は、
図2(a)のIIc方向視におけるシアプレート1の側面図である。
【0029】
図2に示すように、シアプレート1は、支持部材S(
図1参照)に当接される当接面1aと、その当接面1aの反対側の背面1bと、それら当接面1a及び背面1bを連結する一対の側面1cと、台座P(
図1参照)の上面に載置される底面1dと、その底面1dの反対側の上面1eとの6面を有する直方体形状に鉄鋼材料から形成される。なお、本実施形態では、シアプレート1は、縦横比が1:1に設定される。即ち、側面1cが正方形に形成される。
【0030】
シアプレート1には、一端が底面1dに開口されると共に他端が上面1eに開口される連通路2が複数箇所(本実施形態では5箇所)に形成される。連通路2は、溶接固定の際に溶接トーチが挿通される部位(空間)であり、底面1d及び上面1eの間をそれら底面1d及び上面1eに垂直な方向に沿って直線状に延設される断面円形の貫通孔として形成される。
【0031】
このように、連通路2は、断面円形の貫通孔として形成されるので、かかる連通路2の加工をドリルを使用して容易に行うことができると共に、肉抜き量を抑制して、シアプレート1の剛性を確保できる。また、連通路2の一端を溶接固定する際には(
図3(b)参照)、穴埋め溶接として溶接作業を行うことができ、その作業性を向上できる。更に、この連通路2を台座Pに溶接する際には、シアプレート1の上面1e側から溶接トーチを連通路2へ挿入できるので、他の部材(支持部材Sや台座P)に邪魔され難く、溶接作業に要する作業スペースを確保しやすい。よって、溶接作業の作業性の向上を図ることができる。
【0032】
複数の連通路2は、互いの間に間隔W1を隔てつつ、シアプレート1の長手方向(
図2(a)上下方向)に沿って等間隔に列設される。この場合、本実施形態では、複数の連通路2のうちの最外方に位置する連通路2と側面1cとの間の間隔W2が、複数の連通路2のうちの隣接するものどうしの間の間隔W1よりも大きな間隔に設定される(W1<W2)。
【0033】
なお、本実施形態では、間隔W1は、連通路2の直径よりも大きな寸法に設定される。また、連通路2は、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設される。即ち、連通路2の軸心と当接面1aとの間の距離L1が、連通路2の軸心と背面1bとの間の距離L2よりも小さな距離に設定される(L1<L2)。
【0034】
次いで、
図3を参照して、シアプレート1の取付方法を説明する。
図3(a)から
図3(d)は、シアプレート1の上面図であり、シアプレート1を台座Pに溶接固定する際の各工程が順に図示される。なお、
図3(a)から
図3(d)では、理解を容易とするために、溶接個所(溶接金属)にドット状のハッチングを付して図示する。
【0035】
シアプレート1の台座Pへの取付は、シアプレート1を台座Pに設置する設置工程、背面1b及び側面1cを台座Pに仮付け溶接する仮付け溶接工程(
図3(a))、連通路2の内周面を台座Pに溶接固定する連通路溶接工程(
図3(b))、側面1cを台座Pに溶接固定(本溶接)する側面溶接工程(
図3(c))、及び、背面1bを台座Pに溶接固定(本溶接)する背面溶接工程(
図3(d))の各工程を順に実施することで行われる。以下、各工程の詳細について説明する。
【0036】
設置工程では、当接面1aを支持部材Sの側面に当接させると共に底面1dを台座Pの上面に当接させた状態で、シアプレート1を台座Pに設置する。シアプレート1を設置した後は、仮付け溶接工程へ移行する。
【0037】
図3(a)に示すように、仮付け溶接工程では、背面1b及び側面1cを台座Pに断続的に仮付け溶接する。これにより、次工程である連通路溶接工程において、シアプレート1が位置ずれすることを抑制できる。仮付け溶接を行った後は、連通路溶接工程へ移行する。
【0038】
なお、仮付け溶接工程において、仮付け溶接の対象は、背面1b又は側面1cのいずれか一方のみであっても良い。また、仮付け溶接の数は、1の面に対して、1箇所のみでも良く、複数箇所であっても良い。
【0039】
図3(b)に示すように、連通路溶接工程では、連通路2へ溶接トーチを挿入し、穴埋め溶接を行うことで、連通路2の一端(底面1d側)の内周面を台座Pに溶接固定する。この場合、連通路2は、底面1dと上面1eとを貫通する貫通孔として形成されるので、溶接金属を連通路2内に留めておくことができる。よって、溶接金属が、台座Pの上面(支持部材Sの載置面)や当接面1aにはみ出すことを抑制できる。従って、はみ出した溶接金属を除去する作業が必要となることを未然に回避できる。連通路2の穴埋め溶接を行った後は、側面溶接工程へ移行する。
【0040】
図3(c)に示すように、側面溶接工程では、一対の側面1cをそれぞれ台座Pに溶接固定(本溶接)する。側面1cの本溶接を行った後は、背面溶接工程に移行する。
【0041】
なお、側面溶接工程で溶接固定される一対の側面1cは、対称に配置されるので、台座Pとの間の溶接部分の凝固時の引けや溶接ひずみを、一方の側面1cと他方の側面1cとで相殺させることができる。よって、シアプレート1の傾斜や反りを抑制できる。また、先に、連通路溶接工程により連通路2の一端の内周面が台座Pに溶接固定されているので、かかる溶接部分(連通路2と台座Pとの結合)を利用して、側面溶接工程における凝固時の引けや溶接ひずみによるシアプレート1の傾斜や反りを抑制できる。
【0042】
図3(d)に示すように、背面溶接工程では、背面1bを台座Pに溶接固定(本溶接)する。これにより、シアプレート1の台座Pへの取付が完了する。
【0043】
以上のように、本実施形態のシアプレート1の取付方法によれば、連通路溶接工程により連通路2の一端の内周面が台座Pに溶接固定されると共に、側面溶接工程により側面1cが台座Pに溶接固定された後に、背面溶接工程により背面1bが台座Pに溶接固定されるので、先の連通路溶接工程および側面溶接工程における溶接部分(連通路2の一端と台座Pとの結合および側面1cと台座Pとの結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート1の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート1の反りを抑制できる。その結果、支持部材Sとシアプレート1との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0044】
特に、本実施形態では、上述したように、連通路2が、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設されるので(L1<L2、
図2(a)参照)、連通路2と背面1bとの離間距離を確保することができる。よって、その分、背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート1の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート1の反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材Sとシアプレート1との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0045】
ここで、背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート1の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート1の反りに対する抗力としては、1の連結路2と台座Pとの結合よりも1の側面2cと台座Pとの結合の方が大きな抗力が得られる。
【0046】
この場合、本実施形態によれば、上述したように、最外方に位置する連通路2と側面1cとの間の間隔W2が、隣接する連通路2どうしの間の間隔W1よりも大きな間隔に設定される(W1<W2、
図2(a)参照)ので、これらの抗力が重複して無駄になることを抑制でき、その分、連通路2の形成個数を少なくできる。
【0047】
次いで、
図4及び
図5を参照して、第2実施形態について説明する。まず、
図4を参照して、第2実施形態におけるシアプレート201の詳細構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0048】
図4(a)は、第2実施形態におけるシアプレート201の上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のIVb−IVb線におけるシアプレート201の断面図であり、
図4(c)は、
図4(a)のIVc−IVc線におけるシアプレート201の断面図である。
【0049】
図4に示すように、シアプレート201には、一端(
図4(a)左側の端部)が底面1dに開口されると共に他端(
図4(a)右側の端部)が背面1bに開口される連通路202が複数箇所(本実施形態では5箇所)に形成される。連通路202は、底面1dに凹設され、シアプレート201の短手方向(
図4(a)左右方向)に沿って延設される凹溝として形成される。よって、連通路202は、一端から他端までの全体が底面1dに開口される。
【0050】
ここで、支持部材Sからシアプレート201が受けるせん断力は、シアプレート201の短手方向に沿って作用されるところ、連通路202は、シアプレート201の短手方向に沿って延設されるので、連通路202が凹設された場合でも、せん断力に対するシアプレート201の剛性を確保しやすくできる。
【0051】
また、シアプレート201によれば、シアプレート201の背面1b側から溶接トーチを連通路202へ挿入できるので、支持部材Sに邪魔されずに、溶接作業を行うことができる。よって、溶接作業の作業性の向上を図ることができる。
【0052】
複数の連通路202は、互いの間に間隔W3を隔てつつ、シアプレート1の長手方向(
図4(a)上下方向)に沿って等間隔に列設される。この場合、本実施形態では、複数の連通路202のうちの最外方に位置する連通路202と側面1cとの間の間隔W4が、複数の連通路202のうちの隣接するものどうしの間の間隔W3よりも大きな間隔に設定される(W3<W4)。
【0053】
なお、本実施形態では、間隔W3は、連通路202の幅寸法(
図4(a)上下方向寸法)よりも大きな寸法に設定される。また、連通路202は、その一端(当接面1a側(
図4(a)左側)の端部)が、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設される。即ち、連通路202と当接面1aとの間の距離L3が、連通路202と背面1bとの間の距離L4よりも小さな距離に設定される(L3<L4)。
【0054】
次いで、
図5を参照して、シアプレート201の取付方法を説明する。
図5(a)、
図5(c)、
図5(e)及び
図5(g)は、シアプレート201の上面図であり、
図5(b)、
図5(d)、
図5(f)及び
図5(h)は、シアプレート201の断面図であり、シアプレート201を台座Pに溶接固定する際の各工程が順に図示される。
【0055】
なお、
図5(a)から
図5(h)では、理解を容易とするために、溶接個所(溶接金属)にドット状のハッチングを付して図示する。また、
図5(b)、
図5(d)、
図5(f)及び
図5(h)は、
図5(a)のVb−Vb線、
図5(c)のVd−Vd線、
図5(e)のVf−Vf線および
図5(g)のVh−Vh線におけるシアプレート201の断面にそれぞれ対応する。
【0056】
シアプレート201の台座Pへの取付は、第1実施形態の場合と同様に、まず、当接面1aを支持部材Sの側面に当接させると共に底面1dを台座Pの上面に当接させた状態で、シアプレート201を台座Pに設置し(設置工程)、次いで、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、背面1b及び側面1cを台座Pに断続的に仮付け溶接する(仮付け溶接工程)。その後、連通路溶接工程へ移行する。
【0057】
図5(c)及び
図5(d)に示すように、連通路溶接工程では、連通路202へ溶接トーチを挿入し、連通路202及び台座Pの間に形成される空間を埋める穴埋め溶接を行うことで、連通路202の少なくとも一端(当接面1a側)の内周面を台座Pに溶接固定する。
【0058】
この場合、連通路202の他端は、背面1bに開口されるので、連通路202から溶接金属がはみ出したとしても、そのはみ出し方向を支持部材Sとは反対側とできる。即ち、支持部材Sの載置面となる台座Pの上面や当接面1aには、はみ出さないので、はみ出した溶接金属を除去する作業を不要とできる。
【0059】
なお、連通路溶接工程は、連通路202の少なくとも一端が溶接されていれば足りる。但し、本実施形態のように、連通路202の延設長さ(
図5(c)及び
図5(d)左右方向の長さ)の半分以上が溶接されていることが好ましい。後述するシアプレート201の傾斜や反りに対する抗力を大きくできるからである。よって、連通路202の延設長さの全体が溶接されていても良い。
【0060】
連通路溶接工程を行った後は、
図5(e)及び
図5(f)に示すように。一対の側面1cをそれぞれ台座Pに溶接固定(本溶接)し(側面溶接工程)、次いで、
図5(g)及び
図5(h)に示すように、背面1bを台座Pに溶接固定(本溶接)する(背面溶接工程)。これにより、シアプレート201の台座Pへの取付が完了する。
【0061】
以上のように、本実施形態のシアプレート201の取付方法によれば、連通路溶接工程により連通路202の少なくとも一端の内周面が台座Pに溶接固定されると共に、側面溶接工程により側面1cが台座Pに溶接固定された後に、背面溶接工程により背面1bが台座Pに溶接固定されるので、先の連通路溶接工程および側面溶接工程における溶接部分(連通路202の少なくとも一端と台座Pとの結合および側面1cと台座Pとの結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート201の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート201の反りを抑制できる。その結果、支持部材Sとシアプレート201との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0062】
特に、本実施形態では、連通路202が、底面1dに凹設される凹溝として形成されるので、連通路202と台座Pとの溶接面積を確保できる。よって、その分、背面1bと台座Pとの間の溶接部分における凝固時の引けや溶接ひずみによる反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材Sとシアプレート202との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0063】
また、最外方に位置する連通路202と側面1cとの間の間隔W4が、隣接する連通路202どうしの間の間隔W3よりも大きな間隔に設定される(W3<W4、
図4(a)参照)ので、これらの抗力が重複して無駄になることを抑制でき、その分、連通路202の形成個数を少なくできる。
【0064】
更に、連通路202の一端が、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設されるので(L3<L4、
図4(a)参照)、連通路202の一端と背面1bとの間の離間距離を確保することができる。よって、その分、背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート201の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート201の反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材Sとシアプレート201との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0065】
次いで、
図6を参照して、第3実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0066】
図6(a)は、第3実施形態におけるシアプレート301の上面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のVIb−VIb線におけるシアプレート301の断面図であり、
図6(c)は、
図6(a)のVIc−VIc線におけるシアプレート301の断面図である。
【0067】
図6に示すように、シアプレート301には、一端(シアプレート301の長手方向中央側)が底面1dに開口されると共に他端が側面1cに開口される連通路302が複数箇所(本実施形態では2箇所)に形成される。連通路302は、底面1dに凹設され、シアプレート301の長手方向(
図6(a)上下方向)に沿って延設される凹溝として形成される。よって、連通路302は、一端から他端までの全体が底面1dに開口される。
【0068】
シアプレート301によれば、側面1c側から溶接トーチを連通路302へ挿入することができる。よって、支持部材Sに邪魔されることなく、溶接作業を行うことができるので、溶接作業の作業性の向上を図ることができる。また、連通路302から溶接金属がはみ出したとしても、そのはみ出し方向を支持部材Sとは異なる方向とできる。即ち、支持部材Sの載置面となる台座Pの上面や当接面1aには、はみ出さないので、はみ出した溶接金属を除去する作業を不要とできる。
【0069】
なお、連通路溶接工程(
図5(b)参照)における溶接範囲は、連通路302の少なくとも一端が溶接されていれば足りる。但し、上述した第2実施形態の場合と同様に、連通路302の延設長さ(
図6(a)上下方向の長さ)の半分以上が溶接されていることが好ましい。後述するシアプレート301の傾斜や反りに対する抗力を大きくできるからである。よって、連通路302の延設長さの全体が溶接されていても良い。
【0070】
また、本実施形態では、連通路302は、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設される。即ち、連通路302と当接面1aとの間の距離L5が、連通路302と背面1bとの間の距離L6よりも小さな距離に設定される(L5<L6)。
【0071】
シアプレート301の台座Pへの取付は、シアプレート301を台座Pに設置する設置工程、背面1b及び側面1cを台座Pに仮付け溶接する仮付け溶接工程(
図5(a)参照)、連通路302の内周面を台座Pに溶接固定する連通路溶接工程(
図5(c)参照)、側面1cを台座Pに溶接固定(本溶接)する側面溶接工程(
図5(e)参照)、及び、背面1bを台座Pに溶接固定(本溶接)する背面溶接工程(
図5(g))の各工程を順に実施することで行われる。なお、各工程は、上述した各実施形態の場合と実質同一であるので、その詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施形態のシアプレート301の取付方法によれば、連通路溶接工程により連通路302の少なくとも一端の内周面が台座Pに溶接固定されると共に、側面溶接工程により側面1cが台座Pに溶接固定された後に、背面溶接工程により背面1bが台座Pに溶接固定されるので、先の連通路溶接工程および側面溶接工程における溶接部分(連通路302の少なくとも一端と台座Pとの結合および側面1cと台座Pとの結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート301の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート301の反りを抑制できる。その結果、支持部材Sとシアプレート301との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0073】
特に、本実施形態では、連通路302が、底面1dに凹設される凹溝として形成されるので、連通路302と台座Pとの溶接面積を確保できる。また、連通路302が、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設されるので(L5<L6)、連通路302と背面1bとの間の離間距離を確保することができる。よって、背面溶接工程(
図5(d)参照)における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート301の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート301の反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材Sとシアプレート301との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0074】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0075】
上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、連通路2,202,302の個数は、上記各実施形態で例示した個数よりも少ない個数であっても良く、多い個数であっても良い。
【0076】
上記各実施形態のうちの一の実施形態における一部または全部を、他の実施形態における一部または全部と組み合わせても良い。例えば、第1実施形態または(及び)第2実施形態における連通路2,202の一部または全部を、第3実施形態のシアプレート301に追加しても良い。或いは、第1実施形態における連通路2の一部を、第2実施形態における連通路202に置き換えても良い。
【0077】
上記各実施形態では、複数の連通路2,202,302が互いに同一の形状(寸法)に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一部が異なる形状(寸法)に形成されていても良い。
【0078】
上記各実施形態では、側面溶接工程を行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、かかる側面溶接工程を省略しても良い。この場合でも、連通路2,202,302と台座Pとの結合により、シアプレート1,201,301の傾斜や反りを抑制できる。
【0079】
上記各実施形態では、シアプレート1,201,301の縦横比(底面1d及び上面1eの間の距離と当接面1a及び背面1bの間の距離との比)が1:1に設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の比率とすることは当然可能である。他の比率としては、縦横比を1:N(1<N)とするものが例示される。
【0080】
この場合、縦横比は、1:1から1:2までの範囲に設定することが好ましく、更に好ましくは、1:1から1:1.5の範囲に設定することが好ましい。
【0081】
従来品では、背面と台座Pとの間の溶接部分の凝固時の引けに対してシアプレートの重さを抗力として、または、側面と台座Pとの溶接長さを長くして、支持部材Sとシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制する構造であるため、縦横比(当接面1a及び背面1bの間の距離)が大きくなりやすい。そのため、シアプレートが大型化し、材料費が嵩むという問題点があった。これに対し、本発明によれば、連通路2,202,302と台座Pとの溶接固定(結合)を、背面1bと台座Pとの間の溶接部分の凝固時の引けに対する抗力とできるので、シアプレート1,201,301の重さを抗力とする必要がなく、縦横比をより小さくすることができる。よって、シアプレート1,201,301の小型化を図り、材料費を低減できる。
【0082】
上記第1実施形態では、連通路2を断面円形に形成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、断面楕円形や断面長円形であっても良い。また、連通路2は、その周縁が底面1d及び上面1eの外縁に交差しない位置に配置されたが、周縁の一部が底面1d及び上面1eの外縁に交差する位置に配置されても良い。
【0083】
上記第1実施形態および第2実施形態では、複数の連通路2,202が等間隔(間隔W1,W3)で列設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、不等間隔であっても良い。また、第3実施形態では、一方の側面1c側の連通路302と他方の側面1c側の連通路302とが同じ位置に形成される場合を説明したが、互いに異なる位置に形成されても良い。
直方体形状に形成されるシアプレートを備え、そのシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面が前記台座に溶接固定されたシアプレートの取付構造において、
前記シアプレートは、その底面に一端が開口されると共に他端が前記底面を除く外面に開口される連通路を備え、
前記連通路は、前記底面とその底面の反対面となる上面との間を貫通する貫通孔として形成されると共に、前記当接面および背面の間の中間位置よりも前記当接面に近い位置に配設され、その連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接固定されていることを特徴とするシアプレートの取付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、シアプレートの背面を溶接すると、溶接部分の凝固時の引けによりシアプレートが傾斜したり、溶接ひずみによりシアプレートに反りが発生して、支持部材との間に隙間が形成されるという問題点があった。シアプレートの強度は、溶接部分のせん断力によるところ、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されていると、せん断力を受けることができないため、十分な強度を発揮することができない。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できるシアプレートの取付構造およびシアプレートの取付方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、請求項1記載のシアプレートの取付構造は、直方体形状に形成されるシアプレートを備え、そのシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面が前記台座に溶接固定されたものであり、前記シアプレートは、その底面に一端が開口されると共に他端が前記底面を除く外面に開口される連通路を備え、
前記連通路は、前記底面とその底面の反対面となる上面との間を貫通する貫通孔として形成されると共に、前記当接面および背面の間の中間位置よりも前記当接面に近い位置に配設され、その連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接固定されている。
【0007】
【0008】
【0009】
請求項
2記載のシアプレートの取付構造は、
直方体形状に形成されるシアプレートを備え、そのシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面が前記台座に溶接固定されたものであり、前記シアプレートは、
その底面に一端が開口されると共に他端が前記底面を除く外面に開口される連通路を備え、前記当接面および背面を連結する一対の側面が前記台座に溶接固定され、前記連通路は、
前記底面とその底面の反対面となる上面との間を貫通する貫通孔として形成されると共に、前記当接面および背面に沿って複数が列設され、
それら連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接固定され、複数の前記連通路のうちの最外方に位置する前記連通路と前記側面との間の間隔が、複数の前記連通路のうちの隣接するものどうしの間の間隔よりも大きな間隔に設定される。
【0010】
請求項
3記載のシアプレートの取付構造は、
直方体形状に形成されるシアプレートを備え、そのシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面が前記台座に溶接固定されたものであり、前記シアプレートは、その底面に
一端が開口されると共に他端が前記背面に開口され
る連通路を備え、前記連通路は、前記底面に凹設され
前記シアプレートの短手方向に沿って延設される凹溝として形成され
、その連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接固定されていることを特徴とするシアプレートの取付構造。
【0011】
請求項4記載のシアプレートの取付構造は、
直方体形状に形成されるシアプレートを備え、そのシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面が前記台座に溶接固定されたものであり、前記シアプレートは、その底面に
一端が開口されると共に他端が前記
当接面および背面を連結する側面に開口され
る連通路を備え、前記連通路は、前記底面に凹設され
前記シアプレートの長手方向に沿って延設される凹溝として形成され
、その連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接固定されている。
【0012】
請求項
5記載のシアプレートの取付方法は、直方体形状に形成されるシアプレートの長手方向に沿う当接面が、台座に締結固定される支持部材の側面に当接されると共に、前記当接面の反対面となる背面を前記台座に溶接固定されたシアプレートを取り付ける方法であって、一端が底面に開口されると共に他端が前記底面を除く外面に開口される連通路を備える前記シアプレートを、前記底面を前記台座に当接させた状態に設置する設置工程と、その設置工程により前記台座に設置した前記シアプレートの前記連通路の少なくとも一端を前記台座に溶接固定する連通路溶接工程と、その連通路溶接工程により前記連通路の少なくとも一端が前記台座に溶接された前記シアプレートの前記背面を前記台座に溶接固定する背面溶接工程と、を備え
、前記連通路は、少なくとも前記一端が前記当接面および背面の間の中間位置よりも前記当接面に近い位置に配設される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1
から4に記載のシアプレートの取付構造によれば、シアプレートは、その底面に一端が開口されると共に他端が底面を除く外面に開口される連通路を備え、その連通路の少なくとも一端が台座に溶接固定されている。よって、かかる連通路の一端を台座に溶接固定した後に、シアプレートの背面を台座に溶接固定することで、溶接部分の凝固時の引けによりシアプレートが傾斜することや溶接ひずみによりシアプレートに反りが発生することを抑制できる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0014】
なお、シアプレートの底面を除く外面とは、直方体形状の6面のうちの底面を除く5面を意味する。よって、かかる外面には、当接面および背面が含まれる。また、連通路の他端は、前記5面のうちの少なくとも1の面に開口されていれば足りる趣旨である。
【0015】
請求項
1又は2
に記載のシアプレートの取付構造によれば
、連通路は、底面とその底面の反対面となる上面との間を貫通する貫通孔として形成されるので、台座に載置したシアプレートの上面から溶接トーチを連通路へ挿入して、溶接作業を行うことができる。よって、かかる溶接作業の作業性の向上を図ることができる。また、連通路が底面と上面とを貫通する貫通孔として形成されることで、溶接金属を連通路内に留めておくことができる。よって、溶接金属が、台座の上面(支持部材の載置面)やシアプレートの当接面(支持部材の側面に当接される面)にはみ出すことを抑制できる。従って、はみ出した溶接金属を除去する作業が必要となることを未然に回避できる。
【0016】
請求項
1記載のシアプレートの取付構造によれば
、連通路は、当接面および背面の間の中間位置よりも当接面に近い位置に配設されるので、連通路の一端を台座に溶接固定した後に、シアプレートの背面を台座に溶接固定する際には、背面と台座との間の溶接部分における凝固時の引けによるシアプレートの傾斜や溶接ひずみによるシアプレートの反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0017】
請求項
2記載のシアプレートの取付構造によれば
、シアプレートは、当接面および背面を連結する一対の側面が台座に溶接固定され、連通路は、当接面および背面に沿って複数が列設され、複数の連通路のうちの最外方に位置する連通路と側面との間の間隔が、複数の連通路のうちの隣接するものどうしの間の間隔よりも大きな間隔に設定されるので、連通路の形成個数を少なくすることができる。
【0018】
即ち、背面と台座との間の溶接部分における凝固時の引けや溶接ひずみによる反りに対する抗力は、連通路よりも側面の方が大きいため、最外方に位置する連通路と側面との間の間隔を広くしておくことで、これらの抗力が重複して無駄になることを抑制でき、その分、連通路の形成個数を少なくできる。
【0019】
請求項
3記載のシアプレートの取付構造によれば
、連通路は、一端が底面に開口されると共に他端が背面に開口され、底面に凹設される凹溝として形成されるので、シアプレートの連通路と台座との溶接面積を確保できる。よって、その分、背面と台座との間の溶接部分における凝固時の引けや溶接ひずみによる反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0020】
また、連通路の他端は、背面に開口されるので、連通路から溶接金属がはみ出したとしても、そのはみ出し方向を支持部材とは反対側とできる。即ち、支持部材の載置面となる台座の上面やシアプレートの当接面(支持部材の側面に当接する面)には、はみ出さないので、はみ出した溶接金属を除去する作業を不要とできる。
【0021】
請求項
4記載のシアプレートの取付構造によれば
、シアプレートは、当接面および背面を連結する側面が台座に溶接固定され、連通路は、一端が底面に開口されると共に他端が側面に開口され、底面に凹設される凹溝として形成されるので、シアプレートの連通路と台座との溶接面積を確保できる。よって、その分、背面と台座との間の溶接部分における凝固時の引けや溶接ひずみによる反りに対する抗力を高めることができ、その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0022】
請求項
5記載のシアプレートの取付方法によれば、一端が底面に開口されると共に他端が底面を除く外面に開口される連通路を備えるシアプレートを、底面を台座に当接させた状態に設置する設置工程と、その設置工程により台座に設置したシアプレートの連通路の少なくとも一端を台座に溶接固定する連通路溶接工程と、その連通路溶接工程により連通路の少なくとも一端が台座に溶接されたシアプレートの背面を台座に溶接固定する背面溶接工程とを備えるので、背面溶接工程における溶接部分(背面と台座との間の溶接部分)の凝固時の引けによりシアプレートが傾斜することや溶接ひずみによりシアプレートに反りが発生することを抑制できる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0023】
即ち、連通路溶接工程により連通路の少なくとも一端が台座に溶接固定された後に、背面溶接工程によりシアプレートの背面が台座に溶接固定されるので、先の連通路溶接工程における溶接部分(連通路の一端と台座との結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面と台座との間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレートの傾斜や溶接ひずみによるシアプレートの反りを抑制できる。その結果、支持部材とシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態におけるシアプレート1の取付構造の上面図であり、
図1(b)は、シアプレート1の取付構造の側面図である。なお、
図1では、被支持体Mが二点鎖線を用いて模式的に図示される。
【0026】
図1に示すように、台座Pには、被支持体Mを支持する支持部材Sが複数のボルトBにより締結固定される。被支持体Mは、モーターやエンジンなどの振動発生体や水門などの構造体であり、振動発生体の振動や構造体が受ける荷重により、支持部材Sにせん断力を作用させる。そのため、支持部材SのボルトBは、せん断力を受けて、破損する恐れがある。
【0027】
この場合、支持部材Sには、台座Pに溶接固定されたシアプレート1が当接される。シアプレート1は、その当接面1aを支持部材Sの側面(
図1(a)右側の面)に当接させた状態で、当接面1aの反対側の面となる背面1bと当接面1a及び背面1bを連結する側面1cとが台座Pに溶接固定される。これにより、被支持体Mから受けるせん断力をシアプレート1が負担することで、支持部材SのボルトBに作用するせん断力を低減して、かかるボルトBの破断を抑制できる。
【0028】
次いで、
図2を参照して、シアプレート1の詳細構成について説明する。
図2(a)は、シアプレート1の上面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のIIb−IIb線におけるシアプレート1の断面図であり、
図2(c)は、
図2(a)のIIc方向視におけるシアプレート1の側面図である。
【0029】
図2に示すように、シアプレート1は、支持部材S(
図1参照)に当接される当接面1aと、その当接面1aの反対側の背面1bと、それら当接面1a及び背面1bを連結する一対の側面1cと、台座P(
図1参照)の上面に載置される底面1dと、その底面1dの反対側の上面1eとの6面を有する直方体形状に鉄鋼材料から形成される。なお、本実施形態では、シアプレート1は、縦横比が1:1に設定される。即ち、側面1cが正方形に形成される。
【0030】
シアプレート1には、一端が底面1dに開口されると共に他端が上面1eに開口される連通路2が複数箇所(本実施形態では5箇所)に形成される。連通路2は、溶接固定の際に溶接トーチが挿通される部位(空間)であり、底面1d及び上面1eの間をそれら底面1d及び上面1eに垂直な方向に沿って直線状に延設される断面円形の貫通孔として形成される。
【0031】
このように、連通路2は、断面円形の貫通孔として形成されるので、かかる連通路2の加工をドリルを使用して容易に行うことができると共に、肉抜き量を抑制して、シアプレート1の剛性を確保できる。また、連通路2の一端を溶接固定する際には(
図3(b)参照)、穴埋め溶接として溶接作業を行うことができ、その作業性を向上できる。更に、この連通路2を台座Pに溶接する際には、シアプレート1の上面1e側から溶接トーチを連通路2へ挿入できるので、他の部材(支持部材Sや台座P)に邪魔され難く、溶接作業に要する作業スペースを確保しやすい。よって、溶接作業の作業性の向上を図ることができる。
【0032】
複数の連通路2は、互いの間に間隔W1を隔てつつ、シアプレート1の長手方向(
図2(a)上下方向)に沿って等間隔に列設される。この場合、本実施形態では、複数の連通路2のうちの最外方に位置する連通路2と側面1cとの間の間隔W2が、複数の連通路2のうちの隣接するものどうしの間の間隔W1よりも大きな間隔に設定される(W1<W2)。
【0033】
なお、本実施形態では、間隔W1は、連通路2の直径よりも大きな寸法に設定される。また、連通路2は、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設される。即ち、連通路2の軸心と当接面1aとの間の距離L1が、連通路2の軸心と背面1bとの間の距離L2よりも小さな距離に設定される(L1<L2)。
【0034】
次いで、
図3を参照して、シアプレート1の取付方法を説明する。
図3(a)から
図3(d)は、シアプレート1の上面図であり、シアプレート1を台座Pに溶接固定する際の各工程が順に図示される。なお、
図3(a)から
図3(d)では、理解を容易とするために、溶接個所(溶接金属)にドット状のハッチングを付して図示する。
【0035】
シアプレート1の台座Pへの取付は、シアプレート1を台座Pに設置する設置工程、背面1b及び側面1cを台座Pに仮付け溶接する仮付け溶接工程(
図3(a))、連通路2の内周面を台座Pに溶接固定する連通路溶接工程(
図3(b))、側面1cを台座Pに溶接固定(本溶接)する側面溶接工程(
図3(c))、及び、背面1bを台座Pに溶接固定(本溶接)する背面溶接工程(
図3(d))の各工程を順に実施することで行われる。以下、各工程の詳細について説明する。
【0036】
設置工程では、当接面1aを支持部材Sの側面に当接させると共に底面1dを台座Pの上面に当接させた状態で、シアプレート1を台座Pに設置する。シアプレート1を設置した後は、仮付け溶接工程へ移行する。
【0037】
図3(a)に示すように、仮付け溶接工程では、背面1b及び側面1cを台座Pに断続的に仮付け溶接する。これにより、次工程である連通路溶接工程において、シアプレート1が位置ずれすることを抑制できる。仮付け溶接を行った後は、連通路溶接工程へ移行する。
【0038】
なお、仮付け溶接工程において、仮付け溶接の対象は、背面1b又は側面1cのいずれか一方のみであっても良い。また、仮付け溶接の数は、1の面に対して、1箇所のみでも良く、複数箇所であっても良い。
【0039】
図3(b)に示すように、連通路溶接工程では、連通路2へ溶接トーチを挿入し、穴埋め溶接を行うことで、連通路2の一端(底面1d側)の内周面を台座Pに溶接固定する。この場合、連通路2は、底面1dと上面1eとを貫通する貫通孔として形成されるので、溶接金属を連通路2内に留めておくことができる。よって、溶接金属が、台座Pの上面(支持部材Sの載置面)や当接面1aにはみ出すことを抑制できる。従って、はみ出した溶接金属を除去する作業が必要となることを未然に回避できる。連通路2の穴埋め溶接を行った後は、側面溶接工程へ移行する。
【0040】
図3(c)に示すように、側面溶接工程では、一対の側面1cをそれぞれ台座Pに溶接固定(本溶接)する。側面1cの本溶接を行った後は、背面溶接工程に移行する。
【0041】
なお、側面溶接工程で溶接固定される一対の側面1cは、対称に配置されるので、台座Pとの間の溶接部分の凝固時の引けや溶接ひずみを、一方の側面1cと他方の側面1cとで相殺させることができる。よって、シアプレート1の傾斜や反りを抑制できる。また、先に、連通路溶接工程により連通路2の一端の内周面が台座Pに溶接固定されているので、かかる溶接部分(連通路2と台座Pとの結合)を利用して、側面溶接工程における凝固時の引けや溶接ひずみによるシアプレート1の傾斜や反りを抑制できる。
【0042】
図3(d)に示すように、背面溶接工程では、背面1bを台座Pに溶接固定(本溶接)する。これにより、シアプレート1の台座Pへの取付が完了する。
【0043】
以上のように、本実施形態のシアプレート1の取付方法によれば、連通路溶接工程により連通路2の一端の内周面が台座Pに溶接固定されると共に、側面溶接工程により側面1cが台座Pに溶接固定された後に、背面溶接工程により背面1bが台座Pに溶接固定されるので、先の連通路溶接工程および側面溶接工程における溶接部分(連通路2の一端と台座Pとの結合および側面1cと台座Pとの結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート1の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート1の反りを抑制できる。その結果、支持部材Sとシアプレート1との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0044】
特に、本実施形態では、上述したように、連通路2が、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設されるので(L1<L2、
図2(a)参照)、連通路2と背面1bとの離間距離を確保することができる。よって、その分、背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート1の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート1の反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材Sとシアプレート1との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0045】
ここで、背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート1の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート1の反りに対する抗力としては、1の連結路2と台座Pとの結合よりも1の側面2cと台座Pとの結合の方が大きな抗力が得られる。
【0046】
この場合、本実施形態によれば、上述したように、最外方に位置する連通路2と側面1cとの間の間隔W2が、隣接する連通路2どうしの間の間隔W1よりも大きな間隔に設定される(W1<W2、
図2(a)参照)ので、これらの抗力が重複して無駄になることを抑制でき、その分、連通路2の形成個数を少なくできる。
【0047】
次いで、
図4及び
図5を参照して、第2実施形態について説明する。まず、
図4を参照して、第2実施形態におけるシアプレート201の詳細構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0048】
図4(a)は、第2実施形態におけるシアプレート201の上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)のIVb−IVb線におけるシアプレート201の断面図であり、
図4(c)は、
図4(a)のIVc−IVc線におけるシアプレート201の断面図である。
【0049】
図4に示すように、シアプレート201には、一端(
図4(a)左側の端部)が底面1dに開口されると共に他端(
図4(a)右側の端部)が背面1bに開口される連通路202が複数箇所(本実施形態では5箇所)に形成される。連通路202は、底面1dに凹設され、シアプレート201の短手方向(
図4(a)左右方向)に沿って延設される凹溝として形成される。よって、連通路202は、一端から他端までの全体が底面1dに開口される。
【0050】
ここで、支持部材Sからシアプレート201が受けるせん断力は、シアプレート201の短手方向に沿って作用されるところ、連通路202は、シアプレート201の短手方向に沿って延設されるので、連通路202が凹設された場合でも、せん断力に対するシアプレート201の剛性を確保しやすくできる。
【0051】
また、シアプレート201によれば、シアプレート201の背面1b側から溶接トーチを連通路202へ挿入できるので、支持部材Sに邪魔されずに、溶接作業を行うことができる。よって、溶接作業の作業性の向上を図ることができる。
【0052】
複数の連通路202は、互いの間に間隔W3を隔てつつ、シアプレート1の長手方向(
図4(a)上下方向)に沿って等間隔に列設される。この場合、本実施形態では、複数の連通路202のうちの最外方に位置する連通路202と側面1cとの間の間隔W4が、複数の連通路202のうちの隣接するものどうしの間の間隔W3よりも大きな間隔に設定される(W3<W4)。
【0053】
なお、本実施形態では、間隔W3は、連通路202の幅寸法(
図4(a)上下方向寸法)よりも大きな寸法に設定される。また、連通路202は、その一端(当接面1a側(
図4(a)左側)の端部)が、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設される。即ち、連通路202と当接面1aとの間の距離L3が、連通路202と背面1bとの間の距離L4よりも小さな距離に設定される(L3<L4)。
【0054】
次いで、
図5を参照して、シアプレート201の取付方法を説明する。
図5(a)、
図5(c)、
図5(e)及び
図5(g)は、シアプレート201の上面図であり、
図5(b)、
図5(d)、
図5(f)及び
図5(h)は、シアプレート201の断面図であり、シアプレート201を台座Pに溶接固定する際の各工程が順に図示される。
【0055】
なお、
図5(a)から
図5(h)では、理解を容易とするために、溶接個所(溶接金属)にドット状のハッチングを付して図示する。また、
図5(b)、
図5(d)、
図5(f)及び
図5(h)は、
図5(a)のVb−Vb線、
図5(c)のVd−Vd線、
図5(e)のVf−Vf線および
図5(g)のVh−Vh線におけるシアプレート201の断面にそれぞれ対応する。
【0056】
シアプレート201の台座Pへの取付は、第1実施形態の場合と同様に、まず、当接面1aを支持部材Sの側面に当接させると共に底面1dを台座Pの上面に当接させた状態で、シアプレート201を台座Pに設置し(設置工程)、次いで、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、背面1b及び側面1cを台座Pに断続的に仮付け溶接する(仮付け溶接工程)。その後、連通路溶接工程へ移行する。
【0057】
図5(c)及び
図5(d)に示すように、連通路溶接工程では、連通路202へ溶接トーチを挿入し、連通路202及び台座Pの間に形成される空間を埋める穴埋め溶接を行うことで、連通路202の少なくとも一端(当接面1a側)の内周面を台座Pに溶接固定する。
【0058】
この場合、連通路202の他端は、背面1bに開口されるので、連通路202から溶接金属がはみ出したとしても、そのはみ出し方向を支持部材Sとは反対側とできる。即ち、支持部材Sの載置面となる台座Pの上面や当接面1aには、はみ出さないので、はみ出した溶接金属を除去する作業を不要とできる。
【0059】
なお、連通路溶接工程は、連通路202の少なくとも一端が溶接されていれば足りる。但し、本実施形態のように、連通路202の延設長さ(
図5(c)及び
図5(d)左右方向の長さ)の半分以上が溶接されていることが好ましい。後述するシアプレート201の傾斜や反りに対する抗力を大きくできるからである。よって、連通路202の延設長さの全体が溶接されていても良い。
【0060】
連通路溶接工程を行った後は、
図5(e)及び
図5(f)に示すように。一対の側面1cをそれぞれ台座Pに溶接固定(本溶接)し(側面溶接工程)、次いで、
図5(g)及び
図5(h)に示すように、背面1bを台座Pに溶接固定(本溶接)する(背面溶接工程)。これにより、シアプレート201の台座Pへの取付が完了する。
【0061】
以上のように、本実施形態のシアプレート201の取付方法によれば、連通路溶接工程により連通路202の少なくとも一端の内周面が台座Pに溶接固定されると共に、側面溶接工程により側面1cが台座Pに溶接固定された後に、背面溶接工程により背面1bが台座Pに溶接固定されるので、先の連通路溶接工程および側面溶接工程における溶接部分(連通路202の少なくとも一端と台座Pとの結合および側面1cと台座Pとの結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート201の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート201の反りを抑制できる。その結果、支持部材Sとシアプレート201との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0062】
特に、本実施形態では、連通路202が、底面1dに凹設される凹溝として形成されるので、連通路202と台座Pとの溶接面積を確保できる。よって、その分、背面1bと台座Pとの間の溶接部分における凝固時の引けや溶接ひずみによる反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材Sとシアプレート202との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0063】
また、最外方に位置する連通路202と側面1cとの間の間隔W4が、隣接する連通路202どうしの間の間隔W3よりも大きな間隔に設定される(W3<W4、
図4(a)参照)ので、これらの抗力が重複して無駄になることを抑制でき、その分、連通路202の形成個数を少なくできる。
【0064】
更に、連通路202の一端が、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設されるので(L3<L4、
図4(a)参照)、連通路202の一端と背面1bとの間の離間距離を確保することができる。よって、その分、背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート201の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート201の反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材Sとシアプレート201との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0065】
次いで、
図6を参照して、第3実施形態について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0066】
図6(a)は、第3実施形態におけるシアプレート301の上面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のVIb−VIb線におけるシアプレート301の断面図であり、
図6(c)は、
図6(a)のVIc−VIc線におけるシアプレート301の断面図である。
【0067】
図6に示すように、シアプレート301には、一端(シアプレート301の長手方向中央側)が底面1dに開口されると共に他端が側面1cに開口される連通路302が複数箇所(本実施形態では2箇所)に形成される。連通路302は、底面1dに凹設され、シアプレート301の長手方向(
図6(a)上下方向)に沿って延設される凹溝として形成される。よって、連通路302は、一端から他端までの全体が底面1dに開口される。
【0068】
シアプレート301によれば、側面1c側から溶接トーチを連通路302へ挿入することができる。よって、支持部材Sに邪魔されることなく、溶接作業を行うことができるので、溶接作業の作業性の向上を図ることができる。また、連通路302から溶接金属がはみ出したとしても、そのはみ出し方向を支持部材Sとは異なる方向とできる。即ち、支持部材Sの載置面となる台座Pの上面や当接面1aには、はみ出さないので、はみ出した溶接金属を除去する作業を不要とできる。
【0069】
なお、連通路溶接工程(
図5(b)参照)における溶接範囲は、連通路302の少なくとも一端が溶接されていれば足りる。但し、上述した第2実施形態の場合と同様に、連通路302の延設長さ(
図6(a)上下方向の長さ)の半分以上が溶接されていることが好ましい。後述するシアプレート301の傾斜や反りに対する抗力を大きくできるからである。よって、連通路302の延設長さの全体が溶接されていても良い。
【0070】
また、本実施形態では、連通路302は、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設される。即ち、連通路302と当接面1aとの間の距離L5が、連通路302と背面1bとの間の距離L6よりも小さな距離に設定される(L5<L6)。
【0071】
シアプレート301の台座Pへの取付は、シアプレート301を台座Pに設置する設置工程、背面1b及び側面1cを台座Pに仮付け溶接する仮付け溶接工程(
図5(a)参照)、連通路302の内周面を台座Pに溶接固定する連通路溶接工程(
図5(c)参照)、側面1cを台座Pに溶接固定(本溶接)する側面溶接工程(
図5(e)参照)、及び、背面1bを台座Pに溶接固定(本溶接)する背面溶接工程(
図5(g))の各工程を順に実施することで行われる。なお、各工程は、上述した各実施形態の場合と実質同一であるので、その詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施形態のシアプレート301の取付方法によれば、連通路溶接工程により連通路302の少なくとも一端の内周面が台座Pに溶接固定されると共に、側面溶接工程により側面1cが台座Pに溶接固定された後に、背面溶接工程により背面1bが台座Pに溶接固定されるので、先の連通路溶接工程および側面溶接工程における溶接部分(連通路302の少なくとも一端と台座Pとの結合および側面1cと台座Pとの結合)を利用して、後の背面溶接工程における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート301の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート301の反りを抑制できる。その結果、支持部材Sとシアプレート301との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0073】
特に、本実施形態では、連通路302が、底面1dに凹設される凹溝として形成されるので、連通路302と台座Pとの溶接面積を確保できる。また、連通路302が、当接面1a及び背面1bの間の中間位置よりも当接面1aに近い位置に配設されるので(L5<L6)、連通路302と背面1bとの間の離間距離を確保することができる。よって、背面溶接工程(
図5(d)参照)における溶接部分(背面1bと台座Pとの間の溶接部分)の凝固時の引けによるシアプレート301の傾斜や溶接ひずみによるシアプレート301の反りに対する抗力を高めることができる。その結果、支持部材Sとシアプレート301との間に隙間が形成されることを抑制できる。
【0074】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0075】
上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、連通路2,202,302の個数は、上記各実施形態で例示した個数よりも少ない個数であっても良く、多い個数であっても良い。
【0076】
上記各実施形態のうちの一の実施形態における一部または全部を、他の実施形態における一部または全部と組み合わせても良い。例えば、第1実施形態または(及び)第2実施形態における連通路2,202の一部または全部を、第3実施形態のシアプレート301に追加しても良い。或いは、第1実施形態における連通路2の一部を、第2実施形態における連通路202に置き換えても良い。
【0077】
上記各実施形態では、複数の連通路2,202,302が互いに同一の形状(寸法)に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、一部が異なる形状(寸法)に形成されていても良い。
【0078】
上記各実施形態では、側面溶接工程を行う場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、かかる側面溶接工程を省略しても良い。この場合でも、連通路2,202,302と台座Pとの結合により、シアプレート1,201,301の傾斜や反りを抑制できる。
【0079】
上記各実施形態では、シアプレート1,201,301の縦横比(底面1d及び上面1eの間の距離と当接面1a及び背面1bの間の距離との比)が1:1に設定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の比率とすることは当然可能である。他の比率としては、縦横比を1:N(1<N)とするものが例示される。
【0080】
この場合、縦横比は、1:1から1:2までの範囲に設定することが好ましく、更に好ましくは、1:1から1:1.5の範囲に設定することが好ましい。
【0081】
従来品では、背面と台座Pとの間の溶接部分の凝固時の引けに対してシアプレートの重さを抗力として、または、側面と台座Pとの溶接長さを長くして、支持部材Sとシアプレートとの間に隙間が形成されることを抑制する構造であるため、縦横比(当接面1a及び背面1bの間の距離)が大きくなりやすい。そのため、シアプレートが大型化し、材料費が嵩むという問題点があった。これに対し、本発明によれば、連通路2,202,302と台座Pとの溶接固定(結合)を、背面1bと台座Pとの間の溶接部分の凝固時の引けに対する抗力とできるので、シアプレート1,201,301の重さを抗力とする必要がなく、縦横比をより小さくすることができる。よって、シアプレート1,201,301の小型化を図り、材料費を低減できる。
【0082】
上記第1実施形態では、連通路2を断面円形に形成したが、必ずしもこれに限られるものではなく、断面楕円形や断面長円形であっても良い。また、連通路2は、その周縁が底面1d及び上面1eの外縁に交差しない位置に配置されたが、周縁の一部が底面1d及び上面1eの外縁に交差する位置に配置されても良い。
【0083】
上記第1実施形態および第2実施形態では、複数の連通路2,202が等間隔(間隔W1,W3)で列設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、不等間隔であっても良い。また、第3実施形態では、一方の側面1c側の連通路302と他方の側面1c側の連通路302とが同じ位置に形成される場合を説明したが、互いに異なる位置に形成されても良い。