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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-125687(P2017-125687A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】電源変動検出装置及び処理システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20170623BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20170623BHJP
   B62D 111/00 20060101ALN20170623BHJP
   B62D 137/00 20060101ALN20170623BHJP
【FI】
   G01R19/165 K
   B62D6/00ZYW
   B62D111:00
   B62D137:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-3248(P2016-3248)
(22)【出願日】2016年1月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】成田 幸一
【テーマコード(参考)】
2G035
3D232
【Fターム(参考)】
2G035AA01
2G035AA26
2G035AB02
2G035AC01
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD14
2G035AD23
2G035AD56
2G035AD65
3D232CC20
3D232DA29
3D232DA33
3D232DA87
3D232DA90
3D232FF01
3D232FF07
(57)【要約】
【課題】グランド電位と電源電圧が同時に同様に変化する電源の変動も検出することのできる「電源変動検出装置及び処理システム」を提供するを提供する。
【解決手段】第1検出部11と第2検出部14は、検出電圧入力Vinの検出グランド入力Ginに対する電圧変動を検出する。バッテリ1の供給電力で動作する負荷装置5と第1検出部11は並列接続されており、第2検出部14の検出電圧入力Vinはバッテリ1の正極に接続し、第2検出部14の検出グランド入力Ginは、第1検出部11の検出グランド入力Ginにインピーダンスを介して接続されている。そして、第2電界コンデンサ13は、第2検出部14と並列接続している。変動検出部15は、第1検出部11と第2検出部14の少なくとも一方が電圧変動を検出したときに、電源の変動を検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の変動を検出する電源変動検出装置であって、
正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第1検出部と、
正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第2検出部と、
インピーダンス素子と、
前記第2検出部の正極入力と負極入力との間の電圧を平滑化するキャパシタと、
前記第1検出部と前記第2検出部の少なくとも一方が電圧変動を検出したときに前記電源の変動を検出する変動検出部とを備え、
前記第1検出部の正極入力と前記第2検出部の正極入力には前記電源の正極の電圧が印加され、
前記第1検出部の負極入力には、前記電源の負極の電圧が印加され、
前記第1検出部の負極入力と前記第2検出部の負極入力は、前記インピーダンス素子を介して接続されていることを特徴とする電源変動検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源変動検出装置であって、
前記電源の負極は、第1のアースポイントに接続し、
前記第2検出部の負極入力は、第2のアースポイントに接続しており
前記第1のアースポイントと第2のアースポイントは、導電体の相互に離間した異なるポイントであることを特徴とする電源変動検出装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の電源変動検出装置であって、
前記変動検出部は、前記第1検出部と前記第2検出部の双方が電圧変動を検出したときに、前記電源の正極の当該電源の負極に対する電圧の変動を検出し、前記電源の前記第1検出部と前記第2検出部の一方のみが電圧変動を検出したときに電源の正極と当該電源の負極双方の電位の変動を検出することを特徴とする電源変動検出装置。
【請求項4】
電源の変動を検出する電源変動検出装置であって、
正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第1検出部と、
正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第2検出部と、
前記第2検出部の正極入力と負極入力との間の電圧を平滑化するキャパシタと、
前記第1検出部と前記第2検出部の少なくとも一方が電圧変動を検出したときに前記電源の変動を検出する変動検出部とを備え、
前記第1検出部の正極入力と前記第2検出部の正極入力には前記電源の正極の電圧が印加され、
前記第1検出部の負極入力には、前記電源の負極の電圧が印加され、
前記電源の負極は、第1のアースポイントに接続し、
前記第2検出部の負極入力は、第2のアースポイントに接続しており
前記第1のアースポイントと前記第2のアースポイントは、インピーダンスのある導電体の相互に離間した異なるポイントであることを特徴とする電源変動検出装置。
【請求項5】
電源の変動を検出する電源変動検出装置であって、
正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第1検出部と、
正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第2検出部と、
インピーダンス素子と、
前記第2検出部の正極入力と負極入力との間の電圧を平滑化するキャパシタと、
前記第1検出部と前記第2検出部の少なくとも一方が電圧変動を検出したときに前記電源の変動を検出する変動検出部とを備え、
前記第1検出部の負極入力と前記第2検出部の負極入力には前記電源の負極の電圧が印加され、
前記第1検出部の正極入力には、前記電源の正極の電圧が印加され、
前記第1検出部の正極入力と前記第2検出部の正極入力は、前記インピーダンス素子を介して接続されていることを特徴とする電源変動検出装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5記載の電源変動検出装置であって、
前記キャパシタの一端は前記第2検出部の正極入力に接続し、前記キャパシタの他端は前記第2検出部の負極入力に接続していることを特徴とする電源変動検出装置。
【請求項7】
請求項2または4記載の電源変動検出装置であって、
前記導電体は、自動車のボディであることを特徴とする電源変動検出装置。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7記載の電源変動検出装置と、前記電源の電力で稼働するセンサと、前記変動検出部が検出した電源の変動の有無に応じて前記センサの出力値の信頼度を算定する信頼度算定部とを有することを特徴とする処理システム。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6または7記載の電源変動検出装置を備えた、自動車に搭載される処理システムであって、
前記電源の電力で稼働する、前記自動車の挙動を検知するセンサ装置と、
前記変動検出部が検出した電源の変動の有無に応じて、電源の変動が検出されているときの前記センサの出力値の信頼度が低くなるように、前記センサの出力値の信頼度を設定する信頼度算定部と、
低い信頼度が設定されていない前記センサの出力値を用いて前記自動車の現在位置を算出する現在位置算出部とを備えたことを特徴とする処理システム。
【請求項10】
請求項10記載の処理システムであって、
前記現在位置算出部が算出した現在位置に基づいて、前記自動車の自動運転を行う運転制御部を有することを特徴とする処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の変動を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電源の変動を検出する技術としては、所定の基準電圧と電源電圧を比較して、グランド電位に対する電源電圧の変動を検出する技術(たとえば、特許文献1、2、3、4)や、電源電圧で駆動される発振回路の発振周波数の変化から、グランド電位に対する電源電圧の変動を検出する技術(たとえば、特許文献5)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-211761号公報
【特許文献2】特開2012-32254号公報
【特許文献3】特開2004-348323号公報
【特許文献4】特開平10-68747
【特許文献5】特開2014-106112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した各技術によれば、グランド電位に対する電源電圧の変動を検出するものであるため、グランド電位と電源電圧が同時に同様に変化する電源の変動については検出することができない。
【0005】
一方で、グランド電位と電源電圧が同時に同様に変化する電源の変動によって動作に有意な影響を受ける装置を用いる場合には、装置の誤動作等を抑制するため、このような変動も検出することが望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、グランド電位と電源電圧が同時に同様に変化する電源の変動も検出することのできる電源変動検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、電源の変動を検出する電源変動検出装置に、正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第1検出部と、正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第2検出部と、インピーダンス素子と、前記第2検出部の正極入力と負極入力との間の電圧を平滑化するキャパシタと、前記第1検出部と前記第2検出部の少なくとも一方が電圧変動を検出したときに前記電源の変動を検出する変動検出部とを備えたものである。ただし、前記第1検出部の正極入力と前記第2検出部の正極入力には前記電源の正極の電圧が印加され、前記第1検出部の負極入力には、前記電源の負極の電圧が印加され、前記第1検出部の負極入力と前記第2検出部の負極入力は、前記インピーダンス素子を介して接続されているものである。
【0008】
ここで、このような電源変動検出装置において、前記電源の負極は、第1のアースポイントに接続し、前記第2検出部の負極入力は、第2のアースポイントに接続してもよい。ただし、前記第1のアースポイントと第2のアースポイントは、導電体の相互に離間した異なるポイントである。
また、このような電源変動検出装置は、前記変動検出部において、前記第1検出部と前記第2検出部の双方が電圧変動を検出したときに、前記電源の正極の当該電源の負極に対する電圧の変動を検出し、前記電源の前記第1検出部と前記第2検出部の一方のみが電圧変動を検出したときに電源の正極と当該電源の負極双方の電位の変動を検出するように構成してもよい。
【0009】
また、前記課題達成のために、本発明は、電源の変動を検出する電源変動検出装置に、正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第1検出部と、正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第2検出部と、前記第2検出部の正極入力と負極入力との間の電圧を平滑化するキャパシタと、前記第1検出部と前記第2検出部の少なくとも一方が電圧変動を検出したときに前記電源の変動を検出する変動検出部とを備えたものである。ただし、前記第1検出部の正極入力と前記第2検出部の正極入力には前記電源の正極の電圧が印加され、前記第1検出部の負極入力には、前記電源の負極の電圧が印加され、前記電源の負極は、第1のアースポイントに接続し、前記第2検出部の負極入力は、第2のアースポイントに接続しており、前記第1のアースポイントと前記第2のアースポイントは、インピーダンスのある導電体の相互に離間した異なるポイントである。
【0010】
また、前記課題達成のために、本発明は、電源の変動を検出する電源変動検出装置に、正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第1検出部と、正極入力と負極入力を備え正極入力と負極入力との間の電圧変動を検出する第2検出部と、インピーダンス素子と、前記第2検出部の正極入力と負極入力との間の電圧を平滑化するキャパシタと、前記第1検出部と前記第2検出部の少なくとも一方が電圧変動を検出したときに前記電源の変動を検出する変動検出部とを備えたものである。ただし、前記第1検出部の負極入力と前記第2検出部の負極入力には前記電源の負極の電圧が印加され、前記第1検出部の正極入力には、前記電源の正極の電圧が印加され、前記第1検出部の正極入力と前記第2検出部の正極入力は、前記インピーダンス素子を介して接続されているものである。
【0011】
ここで、以上のような電源変動検出装置において、前記キャパシタの一端は前記第2検出部の正極入力に接続し、前記キャパシタの他端は前記第2検出部の負極入力に接続しているものであってもよい。
【0012】
また、上述した前記第2アースに前記第2検出部の負極入力を接続した電源変動検出装置において、前記導電体は、自動車のボディであってもよい。
以上のような電源変動検出装置によれば、インピーダンス素子やキャパシタによる、電位の変動の遅延や、第1アースと第2アースにおける電位の変動の態様の相違により、電源の正極と負極とが同時に同様に変化する変動電源変動が発生したときの、正極入力の負極入力に対する変動の大きさやタイミングは、第1検出部と第2検出部とで異なるものとなる。したがって、前記第1検出部と前記第2検出部の少なくとも一方が電圧変動を検出したときに前記電源の変動を検出することにより、電源の正極の負極に対する変動に加え、電源の正極と負極とが同時に同様に変化する変動も検出することができる。
【0013】
さて、本発明は、併せて、以上のような電源変動検出装置と、前記電源の電力で稼働する処理装置とを備えた処理システムを提供する。
また、併せて、本発明は、以上のような電源変動検出装置と、前記電源の電力で稼働するセンサと、前記変動検出部が検出した電源の変動の有無に応じて前記センサの出力値の信頼度を算定する信頼度算定部とを備えた処理システムを提供する。
【0014】
また、併せて、本発明は、以上のような電源変動検出装置を備えた、自動車に搭載される処理システムとして、前記電源の電力で稼働する、前記自動車の挙動を検知するセンサ装置と、前記変動検出部が検出した電源の変動の有無に応じて、電源の変動が検出されているときの前記センサの出力値の信頼度が低くなるように、前記センサの出力値の信頼度を設定する信頼度算定部と、低い信頼度が設定されていない前記センサの出力値を用いて前記自動車の現在位置を算出する現在位置算出部とを備えた処理システムを提供する。ここで、このような処理システムに、前記現在位置算出部が算出した現在位置に基づいて、前記自動車の自動運転を行う運転制御部を設けて、自動運転システムを構築するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、グランド電位と電源電圧が同時に同様に変化する電源の変動も検出することのできる電源変動検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る電源変動検出装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る第1検出部と第2検出部の構成例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る第1検出部と第2検出部の検出例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る電源変動検出装置の他の構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る電源変動検出装置の他の構成例を示すブロック図である。
図6】本発明の実施形態に係る電源変動検出装置を用いた自動運転システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る電源変動検出装置の構成を示す。
図1において、電源変動検出装置10は、バッテリ1から、チョークコイル2、電源電圧の平滑化を行う第1電界コンデンサ3、電源電圧の高周波ノイズ除去用のコンデンサ4を介して、負荷装置5に供給される電源の変動を検出する装置である。
【0018】
ここで、バッテリ1の正極は、電源入力Vccに接続している。また、バッテリ1の負極は第1アースE1と、グランド入力Vssに接続している。
そして、チョークコイル2の第1端は電源入力Vccに接続し、チョークコイル2の第2端は第1電界コンデンサ3の+極に接続し、第1電界コイルの-極はグランド入力Vssに接続している。また、コンデンサ4の第1端は第1電界コンデンサ3の+極に接続し、コンデンサ4の第2端は第1電界コンデンサ3の-極に接続している。そして、負荷装置5の電源入力端子Vはコンデンサ4の第1端に接続し、負荷装置5のグランドGは、コンデンサ4の第2端に接続している。
【0019】
次に、電源変動検出装置10は、第1検出部11、インピーダンス素子12、第2電界コンデンサ13、第2検出部14、変動検出部15を備えている。ここで、インピーダンス素子12としては、たとえば、抵抗を用いることができる。
【0020】
第1検出部11は、負荷装置5と並列に設けられており、第1検出部11の検出電圧入力Vinは負荷装置5の電源入力端子Vに接続し、第1検出部11の検出グランド入力Ginは負荷装置5のグランドGに接続している。また、インピーダンス素子12の第1端は負荷装置5のグランドGに接続している。そして、第2電界コンデンサ13の+極は電源入力Vccに接続し、第2電界コンデンサ13の-極はインピーダンス素子12の第2端に接続している。また、第2検出部14の検出電圧入力Vinは第2電界コンデンサ13の+極に接続し、第2検出部14の検出グランド入力Ginは第2電界コンデンサ13の-極に接続している。また、第2検出部14の検出グランド入力Ginは、第2アースE2に接続している。
【0021】
ここで、第1アースE1と第2アースE2は、導電体により接続されている。導電体は、たとえば、自動車のボディであり、第1アースE1と第2アースE2は、自動車のボディの離間した異なる位置を、それぞれアースポイントとするボディアースである。
【0022】
さて、第1検出部11と第2検出部14は、検出グランド入力Ginの電位に対する検出電圧入力Vinの電圧の変動を検出し、検出結果を変動検出部15に出力する装置である。
【0023】
ここで、第1検出部11と第2検出部14としては、たとえば、上述の先行技術文献に示されているグランド電位に対する電源電圧の変動を検出する装置などを用いることができる。
【0024】
または、第1検出部11と第2検出部14としては、たとえば、図2aに示すコンパレータ21を用いた検出回路を用いることもできる。図2aの検出回路において、検出電圧入力Vinの検出グランド入力Ginの電位に対する電圧は、抵抗R1、R2で分圧される。そして、別途レギュレータなどで生成した安定な電源Vddで動作するコンパレータ21は、分圧された電圧と、定電圧回路などで生成した所定の基準電圧Vrefとを比較し、比較結果を変動検出部15に出力する。
【0025】
または、第1検出部11と第2検出部14としては、たとえば、図2bに示すADコンバータ22を用いた検出回路を用いることもできる。図2aにおいて、コンパレータ21は、検出電圧入力Vinの検出グランド入力Ginの電位に対する電圧を抵抗R1、R2で分圧し、分圧した電圧を、別途レギュレータなどで生成した安定な電源Vddで動作するADコンバータ22でデジタル変換し変動検出部15に出力する。
【0026】
さて、このような電源変動検出部によれば、第1検出部11の検出グランド入力Ginと第2検出部14の検出グランド入力Ginとの間に設けたインピーダンス素子12と第2検出部14と並列に設けた第2電界コンデンサ13による、グランド電位の変動の遅延や、第1アースE1と第2アースE2におけるグランド電位の変動の態様の相違により、バッテリ1の電源変動が発生したときに、第1検出部11と第2検出部14とで異なる態様で変動が検出される。
【0027】
すなわち、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)がグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)に対して変動した場合には、たとえば、図3aに示すように第1検出部11と第2検出部14の双方において、検出電圧入力Vinの変動が検出される。
【0028】
また、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)とグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)とが同時に同様に変化した場合にも、たとえば、図3bに示すように、第1検出部11と第2検出部14の一方で検出電圧入力Vinの変動が検出されることとなる。
【0029】
そこで、変動検出部15では、第1検出部11と第2検出部14の少なくとも一方が検出電圧入力Vinの変動を検出したときに電源の変動の発生を検出する。なお、変動検出部15では、第1検出部11と第2検出部14の双方が検出電圧入力Vinの変動を検出しているときに、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)がグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)に対して変動していることを検出し、第1検出部11と第2検出部14の一方のみがが検出電圧入力Vinの変動を検出しているときに、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)とグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)とが同時に同様に変化していることを検出するようにしてもよい。
【0030】
以上、本実施形態に係る電源変動検出装置10について説明した。
ここで、以上の電源変動検出装置10は、第1アースE1と第2アースE2間のインピーダンスが大きい場合には、図4に示すようにインピーダンス素子12を設けず、第2電界コンデンサ13の-極と、第2検出部の検出グランド入力Ginは第2アースE2にのみ接続するようにしてもよい。
【0031】
このようにしても、図1に示した電源変動検出装置10と同様に、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)のグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)に対する変動に加え、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)とグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)とが同時に同様に変化する変動を検出することができる。
【0032】
また、以上の実施形態で示した電源変動検出装置10は、図5に示すように、第1検出部11の検出グランド入力Ginと第2検出部14の検出グランド入力Ginとの間にインピーダンス素子12を設ける代わりに、第1検出部11の検出電圧入力Vinと第2検出部14の検出電圧入力Vinとの間にインピーダンス素子12を設けるようにしてもよい。図1の構成との対称性よりも理解されるように、このようにしても、インピーダンス素子12と第2検出部14と並列に設けた第2電界コンデンサ13による電源電圧の変動の遅延等により、バッテリ1の電源変動が発生したときに、第1検出部11と第2検出部14とで異なる態様で変動が検出され、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)のグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)に対する変動に加え、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)とグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)とが同時に同様に変化する変動を検出することができる。
【0033】
以下、以上のような電源変動検出装置10の適用例を示す。
図6は、電源変動検出装置10を適用した自動車の自動運転システムの構成を示している。
図示するように、この自動運転システムでは、図1、4、5に示した負荷装置5として、計測装置50を備えている。また、自動運転システムは、地図データ等を記憶した記憶装置51、現在位置算出処理部52、運転制御装置53を備えている。
【0034】
計測装置50は、衛星測位によって自動車の位置を算定するGNSS受信機501、3Dジャイロセンサ502、加速度センサ503、これらの動作電圧を、電源入力端子Vから入力する電源電圧から生成するレギュレータ504を備えている。
【0035】
そして、現在位置算出処理部52は、三次元の角速度を検出する3Dジャイロセンサ502や、加速度を検出する加速度センサ503の検出した自動車の挙動や、別途計測した自動車の速度などより自律航法で算定した自動車の位置や、GNSS受信機501が衛星測位した自動車の位置と、記憶装置51に記憶されている地図データとのマップマッチングを行って、最も確からしい自動車の現在位置と進行方向を算出し、運転制御装置53に出力する。
【0036】
ここで、精密なセンサである3Dジャイロセンサ502や加速度センサ503は、電源入力Vcc(バッテリ1の正極電圧)がグランド入力Vss(バッテリ1の負極電圧)に対して変動した場合のみならず、電源入力Vccとグランド入力Vss(バッテリ1の正極電圧)とが同時に同様に変化した場合にも、検出値に無視できない誤差が表れる。
【0037】
そこで、現在位置算出処理部52は、変動検出部15が電源の変動の検出の有無に従って、3Dジャイロセンサ502や加速度センサ503の検出値の信頼度を設定しつつ、自動車の現在位置や進行方向の算出を行う。
【0038】
すなわち、現在位置算出処理部52は、たとえば、変動検出部15が電源の変動を検出しているときには、3Dジャイロセンサ502や加速度センサ503の検出値の信頼度として低い信頼度を設定する。そして、低い信頼度が設定されているときには、3Dジャイロセンサ502や加速度センサ503の検出値を用いずに現在位置と進行方向の算出を行うようにする。
【0039】
そして、運転制御装置53は、現在位置算出処理部52が算出した自動車の現在位置や進行方向と、記憶装置51に記憶されている地図データと、設定されているルート等に基づいて、自動車の舵角やアクセル開度やブレーキやギヤシフトを制御する自動車の自動運転を行い、ルートに沿って自動車を進行させる。
【符号の説明】
【0040】
1…バッテリ、2…チョークコイル、3…第1電界コンデンサ、4…コンデンサ、5…負荷装置、10…電源変動検出装置、11…第1検出部、12…インピーダンス素子、13…第2電界コンデンサ、14…第2検出部、15…変動検出部、21…コンパレータ、22…ADコンバータ、50…計測装置、51…記憶装置、52…現在位置算出処理部、53…運転制御装置、501…GNSS受信機、502…3Dジャイロセンサ、503…加速度センサ、504…レギュレータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6