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特開2017-126218情報端末、情報システム、音響部材、情報処理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-126218(P2017-126218A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】情報端末、情報システム、音響部材、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/038 20130101AFI20170623BHJP
   G06F 3/0484 20130101ALI20170623BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170623BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALN20170623BHJP
【FI】
   G06F3/038 310Y
   G06F3/0484
   G06F3/041 450
   G06F3/0354 450
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-5463(P2016-5463)
(22)【出願日】2016年1月14日
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 眞
(72)【発明者】
【氏名】津坂 知成
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直人
(72)【発明者】
【氏名】熊田 君夫
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 厚男
(72)【発明者】
【氏名】池田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】奥本 健二
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087AE09
5B087BC06
5B087BC13
5B087BC16
5B087CC02
5B087CC15
5B087CC26
5B087DD05
5B087DE06
5E555AA04
5E555AA06
5E555BA03
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB03
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC17
5E555BE12
5E555CA13
5E555CA47
5E555CB09
5E555CB14
5E555CB66
5E555CC01
5E555DA02
5E555DC02
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タッチパネルのベゼル部分に設けられた凹凸形状部分を指で摺動した際に発生する音に応じて、実行可能な操作を対応付けることにより、コストを抑えてユーザが実行しやすい片手操作を実現する情報端末、情報システム、音響部材、情報処理方法、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】ユーザが筐体に対して行う接触行為によって響く音を検出する音検出部101と、音検出部101により検出された音が予め所定のコマンドに対応づけて記録された記録音と一致するか否かを判定する判定部102と、判定部102により、音検出部101により検出された音が記録音と一致すると判定された場合、一致すると判定された該記録音に対応する所定のコマンドを実行するコマンド実行部104とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが筐体に対して行う接触行為によって響く音を検出する音検出手段と、
前記音検出手段により検出された音が予め所定のコマンドに対応づけて記録された記録音と一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記音検出手段により検出された音が前記記録音と一致すると判定された場合、一致すると判定された該記録音に対応する所定のコマンドを実行するコマンド実行手段と
を備えることを特徴とする情報端末。
【請求項2】
前記筐体は該筐体の内部に中空構造を有し、
前記音検出手段は、ユーザが前記筐体を叩くことによって響く音を検出することを特徴とする請求項1記載の情報端末。
【請求項3】
前記筐体は該筐体の表面に凹凸形状を有し、
前記音検出手段は、ユーザが前記筐体の凹凸形状部分を擦ることによって発生する音を検出することを特徴とする請求項1又は2記載の情報端末。
【請求項4】
前記凹凸形状を前記筐体の側面、裏面、及び/又は前記筐体の表面の一部に有することを特徴とする請求項3記載の情報端末。
【請求項5】
形状の異なる2種以上の凹凸形状を複数個所有することを特徴とする請求項3又は4記載の情報端末。
【請求項6】
前記凹凸形状は波板形状であって、
ピッチを変えた異なる2以上の前記波板形状を有する
ことを特徴とする請求項5記載の情報端末。
【請求項7】
前記音検出手段により予め検出された音を前記記録音として記録する記録手段を備え、
前記記録手段は、前記音検出手段により予め検出された音の回数、発生間隔、及び/又は連続発生時間を前記記録音として、それぞれ異なるコマンドに対応づけて記録する
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の情報端末。
【請求項8】
少なくとも2つの前記音検出手段を前記筐体における対向する位置に備え、
前記判定手段は、2つの前記音検出手段によりそれぞれ検出された音の音量の差に基づいて、ユーザが筐体に対して行った接触行為の位置を判定する
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の情報端末。
【請求項9】
前記所定のコマンドは前記筐体が有する表示部に表示される画面上の文字及び/又は画を上下左右に動かしながら表示するスクロール操作である
ことを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の情報端末。
【請求項10】
前記所定のコマンドは前記筐体が有する表示部に表示される画面上の文字及び/又は画を拡大又は縮小する拡大・縮小操作である
ことを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の情報端末。
【請求項11】
物体の接触により音が響く音響部材と、該音発生部材が取り付けられる情報端末と、を含む情報システムであって、
前記音響部材は所定の厚み、及び/又は凹凸形状を有し、
前記情報端末は、
ユーザが筐体に取り付けられた前記音響部材に対して行う接触行為によって響く音を検出する音検出手段と、
前記音検出手段により検出された音が予め所定のコマンドに対応づけて記録された記録音と一致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記音検出手段により検出された音が前記記録音と一致すると判定された場合、一致すると判定された該記録音に対応する所定のコマンドを実行するコマンド実行手段と
を備えることを特徴とする情報システム。
【請求項12】
形状の異なる2種以上の前記音響部材を有することを特徴とする請求項11記載の情報システム。
【請求項13】
前記凹凸形状は波板形状であって、
前記音響部材は、ピッチを変えた異なる2以上の前記波板形状を有する
ことを特徴とする請求項12記載の情報システム。
【請求項14】
情報端末に脱着可能に取り付けられ、物体の接触により音が響く音響部材であって、
所定の厚み、及び/又は凹凸形状を有し、
前記情報端末が、音を検出する音検出手段と、前記音検出手段により検出された音が予め所定のコマンドに対応づけて記録された記録音と一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記音検出手段により検出された音が前記記録音と一致すると判定された場合、一致すると判定された該記録音に対応する所定のコマンドを実行するコマンド実行手段と、を備え、
当該情報端末の筐体に取付られた状態で、ユーザによる接触行為を受けて、前記情報端末に対して響く音を発生させることを特徴とする音響部材。
【請求項15】
コンピュータが、ユーザが筐体に対して行う接触行為によって響く音を音検出手段に検出させるステップと、
コンピュータが、前記音検出手段により検出された音が予め所定のコマンドに対応づけて記録手段に記録された記録音と一致するか否かを判定するステップと、
コンピュータが、前記音検出手段により検出された音が前記記録手段に記録された記録音と一致すると判定した場合、一致すると判定した該記録音に対応する所定のコマンドを実行するステップと
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
ユーザが筐体に対して行う接触行為によって響く音を音検出手段に検出させる処理と、
前記音検出手段により検出された音が予め所定のコマンドに対応づけて記録手段に記録された記録音と一致するか否かを判定する処理と、
前記音検出手段により検出された音が前記記録手段に記録された記録音と一致すると判定された場合、一致すると判定された該記録音に対応する所定のコマンドを実行する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報端末、情報システム、音響部材、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばスマートフォン、タブレットPC又はスレートPCなどの情報端末を、例えば電車の車内等で利用するユーザの姿が多く見られるようになってきている。スマートフォン等の普及に伴って、これらの情報端末には操作性を向上させる各種の機能が次々と盛り込まれてきている。
【0003】
例えば特許文献1には、タブレットPCの傾きを検出し、その検出結果に基づいて画面上のポインタを移動させる技術が開示されている。特許文献1に開示された技術によれば、ユーザは、例えば片方の手で荷物を持っている場合等のように、片方の手を使用できない状況においても、片手の簡単な操作で高速にポインタを移動することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−5250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
他方、特許文献1には、片手で操作できる端末側の動作としてポインタを移動させることは開示されている。他方、ユーザが望む片手での操作はポインタ操作に限られるものではない。例えばスマートフォンやタブレット等の情報端末にはタッチパネルが搭載されており、これらを片手で所持しつつ、片手でスワイプ等の操作を行う場合や、筐体の正面に設けられたハードウェアボタン等を片手で操作する場合もある。しかし、これらの片手操作は誤入力や指が届かない等、不便な一面もある。
【0006】
そこで、これらの片手操作を支援するために、筐体の背面や側面に例えばタッチパッドやジョグダイヤル等の補助デバイスを追加で設けたり、音声認識機能を設け、音声によりコマンドを入力したりすることが行われている。
【0007】
しかし、上記のタッチパッドやジョグダイヤル等を追加することは、筐体のコスト増につながる。また、音声によるコマンド入力は、例えば電車等の公共の場において憚られることが多く、これを実行することは難しい。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、コストを抑えてユーザが実行しやすい片手操作を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の情報端末は、ユーザが筐体に対して行う接触行為によって響く音を検出する音検出手段と、音検出手段により検出された音が予め所定のコマンドに対応づけて記録された記録音と一致するか否かを判定する判定手段と、判定手段により、音検出手段により検出された音が記録音と一致すると判定された場合、一致すると判定された該記録音に対応する所定のコマンドを実行するコマンド実行手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コストを抑えてユーザが実行しやすい片手操作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態における情報端末の概略図である。
図2】本発明の実施形態における情報端末のハードウェア構成図である。
図3】本発明の実施形態における情報端末の機能ブロック図である。
図4】本発明の実施形態における情報端末に記録される記録音とコマンドの対応関係を規定するテーブル例である。
図5】本発明の実施形態における情報端末における操作例を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態における情報端末における操作例について説明する図である。
図7】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態の情報端末について図面を用いて以下説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化乃至省略する。また、以下に記載する実施形態は本発明の最良の形態であって、本発明に係る特許請求の範囲を限定するものではない。
【0013】
なお、以下の説明においては、本実施形態における情報端末としてタブレットPCを例に説明するが、本発明における情報端末はタブレットPCに限定されず、スマートフォン、ノートPC、スレートPC、PDA、その他の片手で操作することが有用な端末全般に適用可能であってよい。
【0014】
<本実施形態における情報端末について>
本実施形態における情報端末について図1を参照して説明する。本実施形態における情報端末1は、図1(a)に示すように、筐体の表面に例えば液晶ディスプレイ等の表示画面3を有している。また、本実施形態における情報端末1は、表示画面3の周囲に配されるベゼル5(のここでは右側部)に波板形状10aが設けられている。なお、本発明において「波板形状」は「凹凸形状」に含まれる概念とする。凹凸形状部分にユーザが指等を摺動、擦過、あるいは滑らせることによって、所定周波数の音が発生する。また、波形状のピッチや、凹凸の段差や、凹凸の外形等の凹凸形状を変えることにより、ユーザが指等を滑らせた場合に発生する音が変化することを利用して、凹凸形状を変えた異なる2以上の波板形状を情報端末1の筐体に設けてもよい。なお、上記の凹凸形状は、ユーザが片手で操作しやすい個所に設けられることが好ましい。その意味で、図1(a)で示した情報端末1のベゼル5の右側部分に波板形状10aが設けられている構造は一例にすぎず、ベゼル5の左側部分や上下部分に設けられていてもよい。
【0015】
なお、本発明においては、情報端末1等の端末の筐体に対して、叩いたり、擦ったり、滑らせたりする等の「ユーザが筐体に対して行う接触行為」によって「音が響く」の概念に「音が鳴る」「音が発生する」等の表現が含まれるものとする。また、本発明における「音が発生する」の概念には、予め筐体内のメモリ等に記録された音声がスピーカ等から出力される概念は含まれないものとする。
【0016】
また、図1(b)に示すように、波板形状10bを情報端末1の筐体の側面7(上下左右いずれ側でもよい)に設けてもよい。筐体の側面に波板形状10bのような凹凸形状を設けたとしても片手操作しやすくなる。
【0017】
また、図1(c)に示すように、波板形状10cを情報端末1の筐体の裏面9に設けてもよい。また、波板形状と異なる形状の凹凸形状10dを設けてもよい。なお、波板形状10a〜10c、凹凸形状10dの長さ、幅、面積、又はその数や位置等は図1(a)〜図1(c)に示したものに限定されず、筐体のベゼル部分、裏面の広さに応じて適宜変更可能に構成することができる。また、複数の波形形状や凹凸形状をベゼル5、側面7、裏面9に設けてもよい。ただし、波板形状10cや凹凸形状10dは、片手(の親指や人差し指等)のみによって操作可能な位置に設けることが好ましい。
【0018】
また、図1(d)に示すように、本実施形態における情報端末1は、内部に中空構造6aや6bを有してもよい。斜線部は、情報端末1の液晶ディスプレイやCPU等が載せられたチップセット等が配されている様子を示している。つまり、中空構造6aや6bはこれらの部品等が設けられていない筐体の空隙部分を指す。この斜線部の両側に配された中空構造6aや6bの筐体表面側をユーザが叩くことにより、筐体内部が共鳴し、特定の共振周波数を有する音が発生する。
【0019】
さらに、図1(e)に示すように、本実施形態における情報端末1aとして、例えばその筐体の長手方向を側面から見た場合に、その肉厚を一方の端部を薄く、他方の端部を厚くするように形成されるようにしてもよい。この場合、筐体の厚みの薄い部分Aを叩くことによって響く音(あるいは周波数)と、筐体の厚みの厚い部分Bを叩くことによって響く音(あるいは周波数)は異なる。このように筐体の厚みを変化させることで異なる音を発生させることができる。
【0020】
さらに、図1(f)に示すように、本実施形態における情報端末1bの例えばその筐体の裏面9bに、波板形状を有する音響部材10c'や凹凸形状を有する音響部材10’を脱着可能に構成してもよい。なお、本発明においては、これらの音響部材と情報端末を含む構成を情報システムとする。音響部材を情報端末から脱着可能にすることにより、凹凸の外形や材質等の凹凸形状を変化させて、様々な(音を発生させる)バリエーションの音響部材を提供することが可能となる。
【0021】
<本実施形態における情報端末のハードウェア構成について>
本実施形態における情報端末1のハードウェア構成について図2を参照して説明する。本実施形態における情報端末1は、ハードウェア構成として、CPU11と、RAM12と、ROM13と、NW I/F14と、HDD15と、入力部16と、表示部17と、マイク18を備えている。なお、これらは、情報端末1が後述する機能(処理)を実行するための構成の一例を示したものであり、これら以外のハードウェアを排除するものではない。また、これらの構成を全て備える必要もない。例えば、HDD15は必須の構成でなくてもよい。
【0022】
CPU11は、情報端末1における後述する各処理を実現するためのメイン制御部である。CPU11は、ROM13に格納された各処理を規定する処理プログラムがRAM12に読み込まれたものを実行することで、情報端末1における各機能を実現する。
【0023】
RAM12は、上記のようにCPU11のワークメモリとして機能する記憶部である。ROM13は、上記のように各処理を規定した処理プログラムやその他情報端末1の制御に要する各種パラメータ等を記憶する記憶部である。
【0024】
NW I/F14は、情報端末1がインターネット等に接続するためのネットワークインタフェースである。HDD15は、例えばドキュメントやコンテンツ等を記憶する大容量記憶部である。
【0025】
入力部16は、例えばユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル等の入力デバイスである。表示部17は、例えば液晶ディスプレイ等である。
【0026】
マイク18は、ユーザが筐体に対して行う接触行為によって響く音、つまり空気の振動をダイヤフラム等で受け止め、これを電気信号に変換する機器であり、マイクロフォンの略称である。
【0027】
また、上記のユニット以外に、例えば「Wi Fi(登録商標)」等により無線通信を行う無線LAN通信デバイスを備えてもよい。
【0028】
<本実施形態における情報端末の機能ブロックについて>
本実施形態における情報端末1の機能ブロックについて図3(a)を参照して説明する。本実施形態における情報端末1は、機能ブロックとして、音検出部101と、判定部102と、記憶部103と、コマンド実行部104を備える。
【0029】
音検出部101は、ユーザが筐体に対して行う接触行為によって響く音(周波数)を検出する音検出手段であり、図2に示したマイク18によりその機能が実現される。例えば、音検出部101は、ユーザが情報端末1の筐体における上述した中空構造6aや6bを叩くことによって響く音(共振周波数)を検出することができる。また例えば、音検出部101は、ユーザが情報端末1の筐体における上述した凹凸形状10dを擦ることによって発生する音(摺動音あるいは擦過音)を検出することができる。
【0030】
判定部102は、音検出部101により検出された音が予め所定のコマンドに対応づけて記録された記録音と一致するか否かを判定する判定手段であり、図2に示したCPU11、RAM12、ROM13、HDD15によりその機能が実現される。「所定のコマンド」としては、例えば、図2に示した表示部17に表示される画面上の文字や画を上下左右に動かしながら表示するスクロール操作や、筐体が有する表示部17に表示される画面上の文字や画を拡大又は縮小する拡大・縮小操作などがある。
【0031】
記録部103は、音検出部101により予め検出された音を記録音として記録する記録手段であり、図2に示したCPU11、ROM13、HDD15によりその機能が実現される。また、記録部103は、音検出部101により予め検出された音の回数、発生間隔、連続発生時間を記録音として、それぞれ異なるコマンドに対応づけて記録することが好適である。
【0032】
情報端末1の筐体における対向する位置に2つの音検出部101を備える場合、判定部102は、2つの音検出部101によりそれぞれ検出された音の音量の差に基づいて、ユーザが筐体に対して行った接触行為の位置を判定することができる。
【0033】
<記録音とコマンドの対応関係について>
上述した記録音とコマンドとの対応関係を規定したテーブルについて図4を参照して説明する。なお、本テーブルは一例であって本発明の範囲を限定するものではない。本テーブルは、一番左の列に主なアプリケーションを並べ、一番上の行に操作音を並べ、各操作音が、各アプリケーションにおけるどのコマンドに対応しているかを示している。
【0034】
ここでは、左列第2行目から「Web Browser」「Mail」「Music Player」「OS」の各アプリケーションを示し、最も上の行に「タッピング1」「タッピング2」「タッピング3」「タッピング4」「タッピング5」「摺動音1」「摺動音2」の各操作音を示している。これらの操作音は、図1で説明したように中空構造6aや6bを叩いたときの音の違いや、筐体の厚みが異なる部分を叩いたときの音の違いや、音の回数の違いや、発生間隔の違いや、連続発生時間の違いや、また、これらの要素を組み合わせること等により、違いを持たせることができる。
【0035】
アプリケーション「Web Browser」について、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング1」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「ページ送り」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング2」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「ページ戻し」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング3」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「リンクボタンの選択を先に移動」するコマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング4」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「リンクボタンの選択を後に移動」するコマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング5」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「リンクを開く」コマンドを実行する。さらに、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「摺動音1」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「上下スクロール」コマンドを実行する。さらに、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「摺動音2」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「左右スクロール」コマンドを実行する。
【0036】
アプリケーション「Mail」について、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング1」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「次のメールを開く」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング2」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「前のメールを開く」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング3」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「選択メールを削除」するコマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング4」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「選択メールを未読にする」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング5」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「添付ファイルを保存」コマンドを実行する。さらに、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「摺動音1」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「上下スクロール」コマンドを実行する。さらに、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「摺動音2」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「左右スクロール」コマンドを実行する。
【0037】
アプリケーション「Music Player」について、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング1」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「次の曲へ送る」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング2」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「前の曲に戻る」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング3」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「曲を止める」するコマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング4」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「曲を始める」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング5」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「スクロール」コマンドを実行する。さらに、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「摺動音1」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「音量を上げる」コマンドを実行する。さらに、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「摺動音2」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「音量を下げる」コマンドを実行する。
【0038】
アプリケーション「OS」について、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング1」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「次のアイコンを選択」するコマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング2」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「前のアイコンを選択」するコマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング3」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「選択したアイコンを実行」するコマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング4」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「HOMEのページに戻る」コマンドを実行する。また、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「タッピング5」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「スクロール」コマンドを実行する。さらに、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「摺動音1」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「次のページに送る」コマンドを実行する。さらに、音検出部101により検出された音が、記録部103に記録された「摺動音2」の操作音に一致すると判定部102により判定されたとき、コマンド実行部104は「前のページに戻る」コマンドを実行する。
【0039】
<本実施形態における情報端末におけるスクロール操作例について>
本実施形態における情報端末1におけるスクロール操作例について図5を参照して説明する。図5(a)では、情報端末1の表示画面3に表示された「Web Browser」によるWeb画面を矢印『C⇔D』方向にスクロールさせる場合の操作例を紹介する。ユーザは右手200で情報端末1の右側のベゼル5辺りを把持しており、右手200の親指で情報端末1の右側のベゼル5に設けられた波板形状10aを矢印『c⇔d』方向に擦る動作により摺動音が発生する。この摺動音を情報端末1の音検出部101が検出し、記録部103に記録された摺動音1に一致すると判定部102が判定した場合、コマンド実行部104は「上下スクロール」コマンドを実行する。なお、ここではユーザが右手で情報端末1の右側のベゼル5辺りを把持する例を示しているが、情報端末1の左側のベゼル辺りをユーザが左手で把持し、左手親指で左側のベゼル5に設けられた波板形状を擦る動作によっても「上下スクロール」コマンドを実行できることは言うまでもない。また、検出音の連続発生時間に応じてスクロール量を決定してもよい。
【0040】
また、図5(b)では、情報端末1の表示画面3に表示された「Web Browser」によるWeb画面を矢印『C’⇔D’』方向にスクロールさせる場合の操作例を紹介する。ユーザは右手200で情報端末1の下側のベゼル5’辺りを把持しており、右手200の親指で下側のベゼル5’に設けられた波板形状10a’を矢印『c⇔d』方向に擦る動作により摺動音が発生する。この摺動音を情報端末1の音検出部101が検出し、記録部103に記録された摺動音2に一致すると判定部102が判定した場合、コマンド実行部104は「左右スクロール」コマンドを実行する。なお、ここではユーザが右手で情報端末1の下側のベゼル5’辺りを把持する例を示しているが、情報端末1の上側のベゼル辺りをユーザが把持し、親指で上側のベゼルに設けられた波板形状を擦る動作によっても「左右スクロール」コマンドを実行できることは言うまでもない。
【0041】
<本実施形態における情報端末におけるカーソル移動操作例について>
本実施形態における情報端末1cにおけるカーソル移動操作例について図6を参照して説明する。ここでは、情報端末1cの表示画面3cに表示されたWeb画面上にカーソル300が表示されており、このカーソル300を移動させる操作例を紹介する。情報端末1cは筐体下部の対向する左右側付近にマイク18L及びマイク18Rを備えている。ユーザは、情報端末1cにおけるベゼル5c上下左右のEFGH辺りをタッピング操作することにより、カーソル300をefgh方向へ移動させる。情報端末1cの判定部102は、マイク18L及びマイク18Rにより検出された左右の音の音量差に基づいて、ユーザがベゼル5におけるEFGHのどの部分をタッピングしたか、その位置を判定する。例えば、判定部102によりユーザがFの位置をタッピングしたと判定された場合、カーソル300は矢印f方向へ移動される。この場合、マイク18Rにより検出された音の音量が大きく、マイク18Lにより検出された音の音量が小さいことによる音量差に基づいて、判定部102はFの位置がタッピングされたと判定する。また、例えば、判定部102によりユーザがEの位置をタッピングしたと判定された場合、カーソル300は矢印e方向へ移動される。この場合、マイク18Rにより検出された音の音量が小さく、マイク18Lにより検出された音の音量が大きいことによる音量差に基づいて、判定部102はEの位置がタッピングされたと判定する。さらに、例えば、判定部102によりユーザがHの位置をタッピングしたと判定された場合、カーソル300は矢印h方向へ移動される。この場合、マイク18Rとマイク18Lにより検出された音の音量差はないが、音量が共に大きいことにより、判定部102はHの位置がタッピングされたと判定する。さらに、例えば、判定部102によりユーザがGの位置をタッピングしたと判定された場合、カーソル300は矢印g方向へ移動される。この場合、マイク18Rとマイク18Lにより検出された音の音量差はないが、音量が共に小さいことにより、判定部102はGの位置がタッピングされたと判定する。なお、タッピング音として検出される検出音の回数や発生間隔等に応じてカーソル300を段階的に移動させることも可能である。
【0042】
<本実施形態における処理手順について>
本実施形態における処理手順について図7を参照して説明する。まず、音検出部101により予め検出された検出音とこの検出音に所定のコマンド対応させるようにして図4を用いて説明したテーブルを記録部103に記録しておく(ステップS1)。
【0043】
次に、音検出部101は、ユーザによって行われた情報端末1の筐体に対して行われた接触行為によって響く音を検出する(ステップS2)。
【0044】
判定部102は、音検出部101により検出された検出音が記録部103に記録された記録音と一致するか否かを判定する(ステップS3)。判定部102により検出音が記録音と一致すると判定された場合(ステップS3、YES)、コマンド実行部104は記録音に対応するコマンドを実行する(ステップS4)。他方、判定部102により検出音が記録音と不一致であると判定された場合(ステップS3、NO)、音検出部101による音検出処理に戻る(ステップS2)。
【0045】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、上述した本実施形態の情報端末における各処理を、ハードウェア、又は、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実行することも可能である。
【0046】
なお、ソフトウェアを用いて処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させることが可能である。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 情報端末
3 表示画面
5 ベゼル
7 側面
9 裏面
10a〜10c 波板形状
10d 凹凸形状
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 NW I/F
15 HDD
16 入力部
17 表示部
18 マイク
101 音検出部
102 判定部
103 記録部
104 コマンド実行部
200 右手
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7