【課題】基板へのはんだ付けの際にフラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制でき、加工能率及び寸法精度の低下を招いてしまうことを抑制でき、端子単体の強度の低下及び通電時の発熱量の増大も抑制できる、端子、を提供する。
【解決手段】本体部11は、長手方向を有し、相手側端子接続部12、ハウジング固定部13、及び基板接続部14が、前記長手方向に沿ってこの順番で並んで設けられている。断面積拡大部15は、ハウジング固定部13と基板接続部14との間において、本体部11に設けられている。断面積拡大部15は、本体部11におけるハウジング固定部13と基板接続部14との間の部分であって断面積拡大部15に隣接する部分16よりも、前記長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示された端子は、フラックスを、端子の全周に設けられたフラックスガイド溝に誘導してフラックスストラップ穴に捕捉することで、導電性の頭部にまでフラックスが到達してしまうことを抑制することを目的としている。一方、基板に接続される端子は、通常、長手方向に垂直な断面が小さくて相当に細い形状に形成される。このため、特許文献1に開示されたようなフラックスガイド溝及びフラックスストラップ穴を、基板に接続される端子に設けるためには、非常に難しい加工作業が必要となる。このため、特許文献1に開示された端子の場合、加工能率の低下を招き易いという問題がある。
【0011】
また、細長い形状の端子に対して、特許文献1に開示されたようなフラックスガイド溝及びフラックスストラップ穴を設ける加工を行う場合、加工の際に、端子の外形を大きく変形させてしまい易いという問題がある。このため、上記のフラックスガイド溝及びフラックスストラップ穴を設ける加工を行う場合、端子の寸法精度の低下を招いてしまうことになる。
【0012】
また、特許文献1に開示された端子は、全周に亘って溝が掘られるとともに穴があけられる加工が行われることで、フラックスガイド溝及びフラックスストラップ穴が設けられる。このため、特許文献1に開示された端子は、端子単体としての強度が低下し易くなるという問題がある。そして、端子単体としての強度が低下し易くなるため、荷重負荷が大きくなった場合、端子が破損し易くなってしまう虞がある。
【0013】
また、特許文献1に開示された端子は、フラックスガイド溝及びフラックスストラップ穴の加工が行われているため、それらの加工が行われた部分において、断面積が小さくなっている。このため、通電時の発熱量の増大を招き易いという問題がある。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、基板へのはんだ付けの際に用いられるフラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できるとともに、加工能率及び寸法精度の低下を招いてしまうことも抑制でき、更に、端子単体の強度の低下及び通電時の発熱量の増大も抑制することができる、端子、を提供することを目的とする。また、その端子を備えるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係る端子は、相手側端子に対して電気的に接続されるための部分として構成された相手側端子接続部と、基板に接続されるコネクタのハウジングに対して固定されるための部分として構成されたハウジング固定部と、前記基板にはんだ付けによって接続されるための部分として構成された基板接続部と、長手方向を有し、前記相手側端子接続部、前記ハウジング固定部、及び前記基板接続部が、前記長手方向に沿ってこの順番で並んで設けられている本体部と、前記ハウジング固定部と前記基板接続部との間において、前記本体部に設けられている断面積拡大部と、を備え、前記断面積拡大部は、前記本体部における前記ハウジング固定部と前記基板接続部との間の部分であって前記断面積拡大部に隣接する部分よりも、前記長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成の端子は、ハウジング固定部においてコネクタのハウジングに固定される。そして、ハウジングに固定された端子が基板に対してはんだ付けされる際、例えば、基板に設置されたコネクタが下方に配置され、基板が上方に配置される。そして、端子の基板接続部は、基板のスルーホールに挿通された状態で、配置される。この状態において、基板接続部に対して、フラックスが塗布され、或いは、フラックスが混合されたはんだペーストが塗布される。
【0017】
上記の状態で端子の基板へのはんだ付けが行われると、フラックスの一部が、端子の本体部の長手方向に沿って流動し易くなる。そして、流動し始めた一部のフラックスは、本体部において、基板接続部側からハウジング固定部側へと流動する。しかし、本体部においては、ハウジング固定部と基板接続部との間において、断面積拡大部が設けられている。そして、断面積拡大部は、断面積拡大部に隣接する部分よりも、長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられている。このため、基板接続部側からハウジング固定部側へと本体部に沿って流動するフラックスは、断面積拡大部において、ハウジング固定部側への流動が抑制されることになる。
【0018】
上記のように断面積拡大部においてハウジング固定部側へのフラックスの流動が抑制されるため、フラックスが、ハウジング固定部を経て相手側端子接続部まで流動してしまうことも抑制される。そして、流動が抑制されたフラックスは、断面積拡大部において固化し、相手側端子接続部まで到達しないため、基板に接続された端子と相手側端子との間の電気的な導通不良が発生してしまうことが抑制される。即ち、上記の構成の端子によると、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できる。
【0019】
尚、はんだ付けの際に、基板が下方に配置され、基板に接続される端子が基板から上方に向かって延びるように配置された場合であっても、上記の構成の端子によると、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できる。即ち、毛細管現象によって上方に吸い上げられたフラックスは、断面積拡大部においてハウジング固定部側へのフラックスの流動が抑制される。このため、フラックスが、ハウジング固定部を経て相手側端子接続部まで流動してしまうことも抑制される。よって、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できる。
【0020】
また、上記の構成の端子によると、フラックスの流動を抑制するための構成が、本体部におけるハウジング固定部と基板接続部との間に断面積拡大部が設けられた簡素な構造によって実現される。このため、特許文献1に開示された端子の場合に要求されるような非常に難しい加工作業が不要となり、加工能率の低下を招いてしまうことが抑制される。
【0021】
また、上記の構成の端子によると、フラックスの流動を抑制するための構成が、断面積拡大部に隣接する部分よりも断面積が大きい部分である断面積拡大部として設けられている。このため、端子の素材を加工して端子を形成する際に、断面積拡大部において端子の外形が変形し易くなることが抑制される。このため、特許文献1に開示された端子の場合とは異なり、端子の寸法精度の低下を招いてしまうことが抑制される。
【0022】
また、上記の構成の端子によると、上述の通り、フラックスの流動を抑制するための部分が、隣接部分よりも断面積が大きい部分である断面積拡大部として、設けられている。このため、上記の構成の端子は、断面積拡大部において強度の低下が生じ易くなることがないため、端子単体としての強度の低下を抑制することができる。更に、上記の構成の端子によると、フラックスの流動を抑制するための部分の断面積が隣接部分の断面積よりも大きいため、通電時の発熱量の増大を招いてしまうことも抑制することができる。
【0023】
以上のように、上記の構成によると、基板へのはんだ付けの際に用いられるフラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できるとともに、加工能率及び寸法精度の低下を招いてしまうことも抑制でき、更に、端子単体の強度の低下及び通電時の発熱量の増大も抑制することができる、端子、を提供することができる。
【0024】
(2)前記本体部には、前記ハウジング固定部と前記基板接続部との間において、複数の前記断面積拡大部が設けられていることが好ましい。
【0025】
この構成によると、基板接続部側からハウジング固定部側へと本体部に沿って流動するフラックスは、ハウジング固定部と基板接続部との間で複数設けられた断面積拡大部において、より確実に、ハウジング固定部側への流動が抑制される。このため、上記の構成によると、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0026】
(3)複数の前記断面積拡大部のそれぞれは、前記本体部において前記長手方向に対して垂直な方向である幅方向の両側面から幅方向外側に向かって一対で突出した凸部を備えて構成されていることが好ましい。
【0027】
この構成によると、端子の幅方向の外側に向かって一対で突出した凸部を複数対設けることで、複数の断面積拡大部を容易に形成することができる。とくに、平坦な板状の金属部材から端子を金型で打ち抜いて形成する場合、複数の断面積拡大部を容易に形成することができる。
【0028】
(4)前記断面積拡大部には、前記長手方向における前記基板接続部側において、前記基板接続部側から前記ハウジング固定部側に向かって前記長手方向に対して傾斜した傾斜面が設けられていることが好ましい。
【0029】
この構成によると、基板接続部側からハウジング固定部側へと本体部に沿って流動するフラックスは、基板接続部側からハウジング固定部側に向かって本体部の長手方向に対して傾斜した傾斜面に沿って流動し易くなる。このため、フラックスを傾斜面に沿って断面積拡大部により容易に捕捉できる。これにより、断面積拡大部において、より確実に、ハウジング固定部側への流動が抑制されることになる。このため、上記の構成によると、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0030】
(5)前述の目的を達成するための本発明のある局面に係るコネクタは、前述した本発明のある局面に係る端子のいずれかと、前記端子が固定された状態で当該端子を保持しているハウジングと、を備えていることを特徴とする。
【0031】
この構成によると、前述した本発明のある局面に係る端子と同様の効果を奏することができる。即ち、この構成によると、基板へのはんだ付けの際に用いられるフラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できるとともに、加工能率及び寸法精度の低下を招いてしまうことも抑制でき、更に、端子単体の強度の低下及び通電時の発熱量の増大も抑制することができる端子を備えるコネクタ、を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、基板へのはんだ付けの際に用いられるフラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できるとともに、加工能率及び寸法精度の低下を招いてしまうことも抑制でき、更に、端子単体の強度の低下及び通電時の発熱量の増大も抑制することができる、端子、を提供することができる。また、本発明によると、その端子を備えるコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、基板に対してはんだ付けによって接続される端子、及びその端子を備えるコネクタとして、広く適用することができる。
【0035】
(第1実施形態)
[コネクタ及び端子の概略]
図1は、本発明の第1実施形態に係る端子1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す端子1の平面図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ2を示す斜視図である。
図4は、コネクタ2の斜視図であって、
図3とは異なる角度から見た状態を示す図である。
図5は、コネクタ2の正面図である。
図6は、コネクタ2が基板100に接続された状態を示す斜視図である。
【0036】
図1乃至
図6に示す端子1は、一方の端部側において、基板100に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。そして、端子1は、他方の端部側において、即ち、基板100に対して接続される端部側とは反対の端部側において、後述する相手側端子に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。
【0037】
図3乃至
図6に示すコネクタ2は、複数の端子1を備えて構成されている。尚、複数の端子1は、コネクタ2のハウジング21に固定されて保持されるように構成されている。そして、コネクタ2は、基板100に対して複数の端子1において電気的に接続されるとともに、基板100に対して係合して機械的に接続されるように、構成されている。また、コネクタ2は、基板100に接続される端部とは反対側の端部において、後述する相手側コネクタに対して、電気的及び機械的に接続されるように、構成されている。
【0038】
尚、コネクタ2及び端子1が接続される基板100は、
図6においては、一部のみが切欠き状態で模式的に図示されている(後述する
図7乃至
図12も同様)。また、基板100は、表面100aにおいて回路パターンが設けられた基板として構成されている。尚、
図6では、基板100の表面100aに設けられた回路パターンの図示が省略されている(後述する
図7乃至
図12も同様)。
【0039】
また、基板100には、複数のスルーホール100bが設けられている。各スルーホール100bは、貫通孔として設けられている。複数のスルーホール100bのそれぞれには、複数の端子1のそれぞれが挿入される。各端子1は、各スルーホール100bに挿入された後、はんだ付けされることによって、基板100に対して接続される。即ち、各端子1は、各スルーホール100bにおいてはんだ付けされることにより、基板100の回路パターンに対して電気的に接続されるとともに、基板100に対して機械的に結合して固定される。
【0040】
[端子]
図1乃至
図6に示す端子1は、導電性の金属材料で形成され、長手方向を有する本体部11を備えて構成されている。本実施形態の端子1の本体部11の長手方向は、直線状に延びる方向として構成されている。
【0041】
図7は、コネクタ2及び基板100の斜視図であって、
図6とは異なる角度から見た状態を示す斜視図である。
図8は、コネクタ2及び基板100を示す図であって、基板100側から見た状態を示す図である。
図9及び
図10は、コネクタ2及び基板100の斜視図であって、一部の断面を切り欠き状態で示す図である。尚、
図9及び
図10は、互いに異なる角度から見た状態を示している。
図11及び
図12は、基板100に接続されたコネクタ2に対して相手側コネクタ101が接続された状態を示す斜視図であって、一部の断面を切り欠き状態で示す図である。尚、
図11及び
図12は、互いに異なる角度から見た状態を示している。
【0042】
図1乃至
図12に示す端子1は、相手側端子接続部12と、ハウジング固定部13と、基板接続部14と、断面積拡大部15とを備えて構成されている。相手側端子接続部12、ハウジング固定部13、基板接続部14、及び断面積拡大部15は、長手方向を有する本体部11に設けられている。尚、本体部11の長手方向と平行な方向については、
図1及び
図2において、両端矢印Aで示している。そして、本体部11においては、相手側端子接続部12、ハウジング固定部13、及び基板接続部14が、本体部11の長手方向に沿ってこの順番で並んで設けられている。
【0043】
相手側端子接続部12は、端子1の長手方向(即ち、本体部11の長手方向)における一方の端部に設けられている。そして、相手側端子接続部12は、相手側端子102に対して電気的に接続されるための部分として構成されている。
【0044】
図11及び
図12においては、コネクタ2のハウジング21に保持された複数の端子1のそれぞれが、相手側端子接続部12において、相手側端子102に接続された状態が、図示されている。尚、
図11及び
図12においては、基板100に接続されたコネクタ1が、相手側コネクタ101に接続された状態が図示されている。相手側コネクタ101には、複数の相手側端子102が備えられている。そして、相手側コネクタ101に備えられた複数の相手側端子102のそれぞれは、電線103の端部に圧着されている。尚、
図11及び
図12においては、電線103は、一部のみが模式的に図示されている。
【0045】
相手側端子接続部12は、角柱状に延びた部分として設けられている。一方、相手側端子102は、電線103に圧着される側と反対側の端部において、相手側端子接続部12が挿入されて嵌合する略筒状の部分が設けられている。コネクタ2と相手側コネクタ101とが嵌合して接続されることで、コネクタ2に備えられた複数の端子1のそれぞれと、相手側コネクタ101に備えられた複数の相手側端子102のそれぞれとが、接続される。このとき、各端子1の相手側端子接続部12が、各相手側端子102の略筒状の端部の内側に嵌合し、各端子1と各相手側端子102とが、電気的及び機械的に接続されることになる。尚、上記のように、本実施形態では、端子1がオス型の端子として構成され、相手側端子102がメス型の端子として構成された形態が、例示されている。
【0046】
ハウジング固定部13は、基板100に接続されるコネクタ2のハウジング21に対して固定されるための部分として構成されている。即ち、端子1は、ハウジング固定部13において、ハウジング21に対して係合して固定される。コネクタ2のハウジング21の内部には、複数の端子1が固定される端子固定壁部22が設けられている(
図9乃至
図12を参照)。端子固定壁部22には、複数の端子1の本体部11がそれぞれ挿通されて固定される複数の貫通孔が設けられている。
【0047】
ハウジング固定部13には、圧入部13aと押圧部13bとが設けられている(
図1及び
図2を参照)。圧入部13aは、端子固定壁部22の貫通孔に対して圧入される部分として設けられている。そして、本実施形態では、圧入部13aは、相手側端子接続部12側に向かって楔状に断面積が減少する部分として設けられている。押圧部13bは、端子1が圧入部13aにおいて端子固定壁部22の貫通孔に圧入される際に、圧入方向に向かって工具によって押圧されるための部分として設けられている。本実施形態では、押圧部13bは、本体部11の長手方向に対して垂直な方向に向かって一対で突出した直方体状の部分として設けられている。本体部11の長手方向において、圧入部13aは、押圧部13bよりも、相手側端子接続部12側に設けられている。
【0048】
端子固定壁部22の貫通孔は、段状に断面積が変化する孔として設けられている。そして、この貫通孔には、圧入部13aの断面形状に対応した相対的に断面積の小さい孔の部分と、押圧部13bの断面形状に対応した相対的に断面積の大きい孔の部分とが設けられている。端子1が端子固定壁部22に固定される際には、端子1は、相手側端子接続部12側の端部から、端子固定壁部22に設けられた各貫通孔に対して挿入される。このとき、端子1は、前述の工具を用いて、端子固定壁部22の貫通孔に押し込まれるようにして挿入される。そして、端子固定壁部22の貫通孔において、圧入部13aが、前述の断面積の小さい孔の部分に圧入され、押圧部13bが、前述の断面積の大きい孔の部分に嵌め込まれる。これにより、端子1は、ハウジング固定部13において、ハウジング21に対して係合して固定される。
【0049】
基板接続部14は、端子1の長手方向(即ち、本体部11の長手方向)における他方の端部に設けられている。即ち、基板接続部14は、端子1の長手方向において、一方の端部に設けられた相手側端子接続部12とは反対側である他方の端部に設けられている。また、基板接続部14は、基板100に対してはんだ付けによって接続されるための部分として構成されている。
【0050】
基板接続部14は、端子1の端部において、角柱状に延びた部分として設けられている。基板接続部14は、端子1がハウジング21に保持された状態のコネクタ2が基板100に接続される際に、基板100のスルーホール100bに挿入される(
図6乃至
図10を参照)。各端子1の基板接続部14が各スルーホール100bに挿入された状態で、基板接続部14にフラックスが塗布され、次いで、基板接続部14と基板100とのはんだ付けが行われる。或いは、各端子1の基板接続部14が各スルーホール100bに挿入された状態で、フラックスが混合されたはんだペーストが塗布され、基板接続部14と基板100とのはんだ付けが行われる。
【0051】
断面積拡大部15は、ハウジング固定部13と基板接続部14との間において、本体部11に設けられている。また、本実施形態の端子1では、本体部11には、ハウジング固定部13と基板接続部14との間において、複数の断面積拡大部15が設けられている。
【0052】
そして、複数の断面積拡大部15のそれぞれは、本体部11におけるハウジング固定部13と基板接続部14との間の部分であって断面積拡大部15に隣接する部分である隣接部分16よりも、長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられている。尚、
図1及び
図2によく示すように、本実施形態の端子1の本体部11においては、複数の断面積拡大部15が設けられているため、断面積が小さい隣接部分16と断面積が大きい断面積拡大部15とが交互に並んで配置されている。
【0053】
また、本実施形態の端子1においては、複数の断面積拡大部15のそれぞれは、本体部11において長手方向に対して垂直な方向である幅方向の両側面から幅方向外側に向かって一対で突出した凸部(15a、15a)を備えて構成されている。即ち、各断面積拡大部15には、本体部11から幅方向外側に向かって互いに反対方向に突出する一対の凸部(15a、15a)が含まれている。また、本実施形態では、各凸部15aは、本体部11の幅方向外側に向かって突出した直方体状の部分として設けられている。尚、本体部11の幅方向と平行な方向、即ち、本体部11の長手方向に対して垂直な方向と平行な方向については、
図2において、両端矢印Bで示している。
【0054】
[コネクタ]
図3乃至
図12に示すコネクタ2は、前述の通り、基板100に接続されて用いられる。そして、基板100に対して電気的及び機械的に接続されたコネクタ2に対して、相手側コネクタ101が、電気的及び機械的に接続される。また、コネクタ2は、前述した複数の端子1、複数の端子1が固定された状態で複数の端子1を保持しているハウジング21、等を備えて構成されている。
【0055】
ハウジング21は、絶縁性の樹脂材料で形成されている。そして、ハウジング21には、前述した端子固定壁部22に加え、基板当接部23、嵌合部24、係合突起25、位置決め突起26、等が設けられている。
【0056】
端子固定壁部22は、ハウジング21における略中央部分に設けられ、ハウジング22の内部で複数の端子1を保持する壁部として設けられている。端子固定壁部22には、前述の通り、複数の端子1のそれぞれが挿入されて固定される複数の貫通孔が設けられている。各端子1は、前述の通り、端子固定壁部22の各挿入孔に対してハウジング固定部13において固定される。
【0057】
基板当接部23は、ハウジング21における一方の端部側に設けられ、基板100に対して当接する部分として設けられている。本実施形態では、脚状に設けられた3つの基板当接部23がハウジング21に設けられた形態が例示されている。コネクタ2が基板100に接続される際には、3つの基板当接部23のそれぞれが基板100の表面100aに当接した状態で、ハウジング21が基板100に設置される(
図6、
図9乃至
図12を参照)。
【0058】
嵌合部24は、基板100に接続されたコネクタ2が相手側コネクタ101に接続される際に、相手側コネクタ101のハウジングに対して嵌合して接続される部分として設けられている。本実施形態では、嵌合部24が2つ設けられたハウジング21の形態が例示されている。2つの嵌合部24は、ハウジング21において、他方の端部、即ち、基板当接部23側と反対側の端部に設けられている。
【0059】
また、各嵌合部24は、ハウジング21において筒状に突出した部分として設けられている。各嵌合部24は、コネクタ2と相手側コネクタ101とが嵌合する方向と平行に突出している。また、筒状に設けられた各嵌合部24の内側においては、端子固定壁部22に固定された複数の端子1における相手側端子接続部12が、片持ち状に突出した状態で露出されて配置されている。コネクタ2と相手側コネクタ101とが嵌合して接続された状態では、嵌合部24が相手側コネクタ101のハウジングに対して嵌合して接続され、各端子1と各相手側端子102とが嵌合して接続される。
【0060】
位置決め突起25は、ハウジング21において複数(本実施形態では、2つ)設けられている。そして、位置決め部25は、コネクタ2が基板100に対して接続される際に、基板100へのコネクタ2の位置決めを行う部分として、即ち、コネクタ2の基板100に対する表面100a上における接続位置を規定するための部分として設けられている。
【0061】
より具体的には、各位置決め部25は、ハウジング21の一方の端部において、柱状に突出した突起として設けられている。また、基板100には、各位置決め部25に対応する貫通孔が設けられている。そして、コネクタ2が基板100に接続される際に、基板100に設けられた貫通孔に対して各位置決め部25が貫通して嵌め込まれる。基板100の各貫通孔に各位置決め部25が嵌め込まれることで、コネクタ2の基板100に対する位置決めが行われる。
【0062】
係合突起26は、ハウジング21において複数(本実施形態では、3つ)設けられている。そして、係合突起26は、コネクタ2が位置決め部25で位置決めされて基板100に対して接続される際に、コネクタ2を基板100に対して係合させる部分として、設けられている。
【0063】
より具体的には、各係合突起26は、ハウジング21の一方の端部において、柱状に突出した突起として設けられている。そして、各係合突起26の先端部には、基板100に対して係合する係合爪が設けられている。また、基板100には、各係合突起26に対応する貫通孔が設けられている。そして、コネクタ2が基板100に接続される際に、基板100に設けられた貫通孔に対して各係合突起26が貫通して嵌め込まれる。各係合突起26は、基板100の貫通孔に嵌め込まれる際、一端弾性変形して撓んだ後、基板100の貫通孔の縁部分に対して、先端部の係合爪において係合する。
【0064】
コネクタ2は、基板100に対して接続される際、上述の通り、複数の位置決め部25が基板100に対して嵌め込まれてるとともに、複数の係合突起26が基板100に対して係合する。これにより、コネクタ2は、基板100に対して機械的に固定されて設置される。そして、このようにコネクタ2が基板100に設置された状態では、ハウジング21に保持された複数の端子1のそれぞれは、基板100における複数のスルーホール100bに挿入されて嵌め込まれる。
【0065】
[作用効果]
次に、上述した本実施形態に係る端子1及びコネクタ2の作用効果について説明する。端子1が用いられる際、端子1は、ハウジング固定部13において、ハウジング21の端子固定壁部22に固定される。ハウジング21に複数の端子1が固定されて保持されることで、コネクタ2が構成される。
【0066】
複数の端子1を備えるコネクタ2は、基板100に対して接続される。コネクタ2が基板100に接続される際、ハウジング21は、基板当接部23において基板100に当接し、位置決め部25によって基板100に対して位置決めされ、係合突起26によって基板100に固定される。そして、このようにコネクタ2が基板100に接続される際には、ハウジング21に固定された各端子1の基板接続部14が、基板100の各スルーホール100bに挿通されて嵌め込まれる。
【0067】
コネクタ2が基板100に固定されて設置され、各端子1が各スルーホール100bに嵌め込まれた状態で、端子1の基板100へのはんだ付けが行われる。はんだ付けが行われる際には、
図7及び
図10に示すように、基板100に設置されたコネクタ2が下方に配置され、基板100が上方に配置される。そして、端子1の基板接続部14は、基板100のスルーホール100bに挿通された状態で、配置される。この状態において、基板接続部14に対して、フラックスが塗布され、或いは、フラックスが混合されたはんだペーストが塗布される。
【0068】
上記の状態ではんだが加熱され、端子1の基板100へのはんだ付けが行われる。はんだ付けが行われると、フラックスの一部が、端子1の本体部11の長手方向に沿って下方に流動し易くなる。そして、流動し始めた一部のフラックスは、本体部11において、基板接続部14側からハウジング固定部13側へと流動する。しかし、本体部11においては、ハウジング固定部13と基板接続部14との間において、断面積拡大部15が設けられている。そして、断面積拡大部15は、断面積拡大部15に隣接する隣接部分16よりも、本体部11の長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられている。このため、基板接続部14側からハウジング固定部13側へと本体部11に沿って流動するフラックスは、断面積拡大部15において、ハウジング固定部13側への流動が抑制されることになる。
【0069】
上記のように断面積拡大部15においてハウジング固定部13側へのフラックスの流動が抑制されるため、フラックスが、ハウジング固定部13を経て相手側端子接続部12まで流動してしまうことも抑制される。そして、流動が抑制されたフラックスは、断面積拡大部15において固化し、相手側端子接続部12まで到達しないことになる。このため、コネクタ2が相手側コネクタ101と接続され、各端子1と各相手側端子102とが接続された際に、基板100に接続された各端子1と相手側端子102との間の電気的な導通不良が発生してしまうことが抑制される。即ち、本実施形態の端子1及びコネクタ2によると、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できる。
【0070】
また、本実施形態の端子1及びコネクタ2によると、フラックスの流動を抑制するための構成が、本体部11におけるハウジング固定部13と基板接続部14との間に断面積拡大部15が設けられた簡素な構造によって実現される。このため、特許文献1に開示された端子の場合に要求されるような非常に難しい加工作業が不要となり、加工能率の低下を招いてしまうことが抑制される。
【0071】
また、本実施形態の端子1及びコネクタ2によると、フラックスの流動を抑制するための構成が、隣接部分16よりも断面積が大きい部分である断面積拡大部15として設けられている。このため、端子1の素材を加工して端子1を形成する際に、断面積拡大部15において端子1の外形が変形し易くなることが抑制される。このため、特許文献1に開示された端子の場合とは異なり、端子の寸法精度の低下を招いてしまうことが抑制される。
【0072】
また、本実施形態の端子1及びコネクタ2によると、上述の通り、フラックスの流動を抑制するための部分が、隣接部分16よりも断面積が大きい部分である断面積拡大部15として、設けられている。このため、端子1は、断面積拡大部15において強度の低下が生じ易くなることがないため、端子単体としての強度の低下を抑制することができる。更に、本実施形態の端子1及びコネクタ2によると、フラックスの流動を抑制するための部分の断面積が隣接部分16の断面積よりも大きいため、通電時の発熱量の増大を招いてしまうことも抑制することができる。
【0073】
以上のように、本実施形態によると、基板100へのはんだ付けの際に用いられるフラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できるとともに、加工能率及び寸法精度の低下を招いてしまうことも抑制でき、更に、端子単体の強度の低下及び通電時の発熱量の増大も抑制することができる、端子1、及び端子1を備えるコネクタ2、を提供することができる。
【0074】
また、本実施形態の端子1及びコネクタ2によると、基板接続部14側からハウジング固定部13側へと本体部11に沿って流動するフラックスは、ハウジング固定部13と基板接続部14との間で複数設けられた断面積拡大部15において、より確実に、ハウジング固定部13側への流動が抑制される。このため、本実施形態の端子1及びコネクタ2によると、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態の端子1及びコネクタ2によると、端子1の幅方向の外側に向かって一対で突出した凸部(15a、15a)を複数対設けることで、複数の断面積拡大部15を容易に形成することができる。とくに、平坦な板状の金属部材から端子1を金型で打ち抜いて形成する場合、複数の断面積拡大部15を容易に形成することができる。
【0076】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る端子3及びコネクタ4について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係る端子3を示す斜視図である。
図14は、本発明の第2実施形態に係るコネクタ4を示す斜視図である。
図15は、コネクタ4の斜視図であって、
図14とは異なる角度から見た状態を示す図である。
図16は、コネクタ4の側面図である。
図17及び
図18は、コネクタ4が基板104に接続された状態を示す斜視図であって、一部の断面を切り欠き状態で示す図である。
図17及び
図18は、互いに異なる角度から見た状態を示す図である。
【0077】
尚、以下の第2実施形態の説明においては、第1実施形態と同様に構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は、第1実施形態の要素の説明を引用することで、重複する説明を適宜省略する。
【0078】
[端子]
図13乃至
図18に示す端子3は、一方の端部に設けられた基板接続部14において、基板104に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。そして、端子3は、他方の端部に設けられた相手側端子接続部12において、図示が省略された相手側端子に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。
【0079】
尚、端子3が接続される基板104は、
図17及び
図18においては、一部のみが切欠き状態で模式的に図示されている。また、基板104は、表面104aにおいて回路パターンが設けられた基板として構成されている。尚、
図17及び
図18では、基板104の表面104aに設けられた回路パターンの図示が省略されている。
【0080】
また、基板104には、複数のスルーホール104bが設けられている。各スルーホール104bは、貫通孔として設けられている。複数のスルーホール104bのそれぞれには、複数の端子3のそれぞれの基板接続部14が挿入される。各端子3の基板接続部14は、各スルーホール104bに挿入された後、はんだ付けされることによって、基板104に対して接続される。即ち、各端子4は、各スルーホール104bにおいてはんだ付けされることにより、基板104の回路パターンに対して電気的に接続されるとともに、基板104に対して機械的に結合して固定される。
【0081】
端子3は、導電性の金属材料で形成され、長手方向を有する本体部31を備えて構成されている。但し、端子3の本体部31は、第1実施形態の端子1の本体部11とは異なり、1箇所において略90度に屈曲した屈曲部31aが設けられている。よって、端子3の本体部31の長手方向は、一旦直線状に延びた後、屈曲部31aにて略90度に屈曲し、その後、再び直線状に延びる方向として、構成されている。
【0082】
端子3は、相手側端子接続部12と、ハウジング固定部32と、基板接続部14と、断面積拡大部15とを備えて構成されている。相手側端子接続部12、ハウジング固定部32、基板接続部14、及び断面積拡大部15は、長手方向を有する本体部31に設けられている。そして、本体部31においては、相手側端子接続部12、ハウジング固定部32、及び基板接続部14が、本体部31の長手方向に沿ってこの順番で並んで設けられている。
【0083】
端子3の相手側端子接続部12は、第1実施形態の端子1の相手側端子接続部12と同様に構成されている。端子3の基板接続部14は、第1実施形態の端子1の基板接続部14と同様に構成されている。端子3の断面積拡大部15は、第1実施形態の端子1の断面積拡大部15と同様に構成されている。端子3の断面積拡大部15は、ハウジング固定部32と基板接続部14との間において、本体部31に設けられている。
【0084】
また、端子3の本体部31においても、第1実施形態の端子1の本体部11と同様に、ハウジング固定部32と基板接続部14との間において、複数の断面積拡大部15が設けられている。そして、本体部31においては、本体部31の長手方向における屈曲部31aの両側のそれぞれに、複数の断面積拡大部15が設けられている。
【0085】
複数の断面積拡大部15のそれぞれは、本体部31におけるハウジング固定部32と基板接続部14との間の部分であって断面積拡大部15に隣接する部分である隣接部分16よりも、本体部31の長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられている。また、複数の断面積拡大部15のそれぞれは、本体部31において長手方向に対して垂直な方向である幅方向の両側面から幅方向外側に向かって一対で突出した凸部(15a、15a)を備えて構成されている。
【0086】
ハウジング固定部32は、基板104に接続されるコネクタ4のハウジング33に対して固定されるための部分として構成されている。即ち、端子3は、ハウジング固定部32において、ハウジング33に対して係合して固定される。コネクタ4のハウジング33の内部には、複数の端子3が固定される端子固定壁部34が設けられている(
図15乃至
図18を参照)。端子固定壁部34には、複数の端子3の本体部31がそれぞれ挿通されて固定される複数の貫通孔が設けられている。
【0087】
ハウジング固定部32は、ハウジング33の端子固定壁部34の貫通孔に対して圧入される部分として設けられている。本実施形態では、端子固定壁部34に圧入されるハウジング固定部32は、本体部31の長手方向に対して垂直な方向に向かって一対で突出した直方体状の部分として設けられている。
【0088】
[コネクタ]
図14乃至
図18に示すコネクタ4は、基板104に接続されて用いられる。そして、基板104に対して電気的及び機械的に接続されたコネクタ4に対して、図示が省略された相手側コネクタが、電気的及び機械的に接続される。また、コネクタ4は、前述した複数の端子3、複数の端子3が固定された状態で複数の端子3を保持しているハウジング33、等を備えて構成されている。
【0089】
ハウジング33は、絶縁性の樹脂材料で形成されている。そして、ハウジング33には、前述した端子固定壁部34に加え、基板当接部35、筒状壁部36、等が設けられている。
【0090】
筒状壁部36は、4つの壁部が角筒状に一体化された部分として設けられ、ハウジング33の本体部分を構成している。筒状壁部36の一方の端部には、端子固定壁部34が設けらている。そして、筒状壁部36の他方の端部には、外部に対して内部を露出させる開口37が設けられている。
【0091】
コネクタ4に対して接続される相手側コネクタ(図示省略)は、筒状壁部36の開口37から、ハウジング33に対して嵌合するように、構成される。即ち、コネクタ4と相手側コネクタとが接続される際には、ハウジング33に対して、相手側コネクタのハウジング(図示省略)が、開口37から挿入され、筒状壁部36が筒状に延びる方向に沿って、嵌合する。これにより、コネクタ4と相手側コネクタとが嵌合して機械的に接続される。
【0092】
また、筒状壁部36の内側においては、端子固定壁部34に固定された複数の端子3における相手側端子接続部12が、片持ち状に突出した状態で露出されて配置されている。コネクタ4と相手側コネクタ(図示省略)とが嵌合して接続された状態では、ハウジング33の筒状壁部36に対して相手側コネクタのハウジング(図示省略)が嵌合して接続され、各端子3と相手側コネクタの各相手側端子(図示省略)とが嵌合して接続される。尚、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、端子3がオス型の端子として構成され、相手側端子(図示省略)がメス型の端子として構成される。
【0093】
端子固定壁部34は、ハウジング33において筒状壁部36が筒状に延びる方向における一方の端部に設けられている。そして、端子固定壁部34は、ハウジング33の端部で複数の端子3を保持する壁部として設けられている。端子固定壁部34には、前述の通り、複数の端子3のそれぞれが挿入されて固定される複数の貫通孔が設けられている。各端子3は、前述の通り、端子固定壁部34の各挿入孔に対してハウジング固定部32において固定される。
【0094】
基板当接部35は、基板104に対して当接する部分として設けられている。そして、基板当接部35は、ハウジング33の筒状壁部36における一つの壁部から、細長い凸状又は突起状或いはブロック状に突出した部分として、設けられている。本実施形態では、4つの基板当接部35がハウジング33に設けられた形態が例示されている。コネクタ4が基板104に接続される際には、4つの基板当接部35のそれぞれが基板104の表面104aに当接した状態で、ハウジング33が基板104に設置される(
図17及び
図18を参照)。
【0095】
コネクタ4が基板104に対して接続される際、ハウジング33に保持された複数の端子3のそれぞれは、基板104における複数のスルーホール104bに挿入されて嵌め込まれる。そして、基板当接部35が基板104の表面104aに当接した状態で、コネクタ4が基板104に設置される。
【0096】
[作用効果]
次に、上述した本実施形態に係る端子3及びコネクタ4の作用効果について説明する。端子3が用いられる際、端子3は、ハウジング固定部32において、ハウジング33の端子固定壁部34に固定される。ハウジング33に複数の端子3が固定されて保持されることで、コネクタ4が構成される。
【0097】
複数の端子3を備えるコネクタ4は、基板104に対して接続される。コネクタ4が基板104に接続される際、ハウジング33は、基板当接部35が基板104に当接した状態で基板104に設置される。そして、ハウジング33に固定された各端子3の基板接続部14が、基板104の各スルーホール104bに挿通されて嵌め込まれる。
【0098】
コネクタ4が基板104に設置され、各端子3が各スルーホール104bに嵌め込まれた状態で、端子3の基板104へのはんだ付けが行われる。はんだ付けが行われる際には、
図18に示すように、基板104に設置されたコネクタ4が下方に配置され、基板104が上方に配置される。そして、端子3の基板接続部14は、基板104のスルーホール104bに挿通された状態で、配置される。この状態において、基板接続部14に対して、フラックスが塗布され、或いは、フラックスが混合されたはんだペーストが塗布される。
【0099】
上記の状態ではんだが加熱され、端子3の基板104へのはんだ付けが行われる。はんだ付けが行われると、フラックスの一部が、端子3の本体部31の長手方向に沿って流動し易くなる。そして、流動し始めた一部のフラックスは、本体部31において、基板接続部14側からハウジング固定部32側へと流動する。しかし、本体部31においては、ハウジング固定部32と基板接続部14との間において、隣接部分16よりも断面積が大きい断面積拡大部15が設けられている。このため、基板接続部14側からハウジング固定部32側へと本体部31に沿って流動するフラックスは、断面積拡大部15において、ハウジング固定部32側への流動が抑制されることになる。
【0100】
上記のように断面積拡大部15においてハウジング固定部32側へのフラックスの流動が抑制されるため、フラックスが、ハウジング固定部32を経て相手側端子接続部12まで流動してしまうことも抑制される。そして、流動が抑制されたフラックスは、断面積拡大部15において固化し、相手側端子接続部12まで到達しないことになる。このため、コネクタ4が相手側コネクタ(図示省略)と接続され、各端子3と各相手側端子(図示省略)とが接続された際に、基板104に接続された各端子1と相手側端子(図示省略)との間の電気的な導通不良が発生してしまうことが抑制される。即ち、本実施形態の端子3及びコネクタ4によると、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できる。
【0101】
また、本実施形態の端子3及びコネクタ4によると、フラックスの流動を抑制するための構成が、本体部31におけるハウジング固定部32と基板接続部14との間に断面積拡大部15が設けられた簡素な構造によって実現される。このため、特許文献1に開示された端子の場合に要求されるような非常に難しい加工作業が不要となり、加工能率の低下を招いてしまうことが抑制される。
【0102】
また、本実施形態の端子3及びコネクタ4によると、フラックスの流動を抑制するための構成が、隣接部分16よりも断面積が大きい部分である断面積拡大部15として設けられている。このため、端子3の素材を加工して端子3を形成する際に、断面積拡大部15において端子3の外形が変形し易くなることが抑制される。このため、特許文献1に開示された端子の場合とは異なり、端子の寸法精度の低下を招いてしまうことが抑制される。
【0103】
また、本実施形態の端子3及びコネクタ4によると、上述の通り、フラックスの流動を抑制するための部分が、隣接部分16よりも断面積が大きい部分である断面積拡大部15として、設けられている。このため、端子3は、断面積拡大部15において強度の低下が生じ易くなることがないため、端子単体としての強度の低下を抑制することができる。更に、本実施形態の端子3及びコネクタ4によると、フラックスの流動を抑制するための部分の断面積が隣接部分16の断面積よりも大きいため、通電時の発熱量の増大を招いてしまうことも抑制することができる。
【0104】
以上のように、本実施形態によると、基板104へのはんだ付けの際に用いられるフラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できるとともに、加工能率及び寸法精度の低下を招いてしまうことも抑制でき、更に、端子単体の強度の低下及び通電時の発熱量の増大も抑制することができる、端子3、及び端子3を備えるコネクタ4、を提供することができる。
【0105】
また、本実施形態の端子3及びコネクタ4によると、端子1の幅方向の外側に向かって一対で突出した凸部(15a、15a)を複数対設けることで、複数の断面積拡大部15を容易に形成することができる。とくに、平坦な板状の金属部材から端子3の素材を金型で打ち抜いて形成する場合、複数の断面積拡大部15を容易に形成することができる。また、端子3には、屈曲部31aが設けられているが、平坦な板状の金属部材から端子3の素材を金型で打ち抜いた後に、この素材を略90度に屈曲することで、容易に屈曲部31aを形成することができる。
【0106】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る端子5及びコネクタ6について説明する。
図19は、本発明の第3実施形態に係る端子5を示す斜視図である。
図20は、端子5の平面図である。
図21及び
図22は、コネクタ6が基板100に接続された状態を示す斜視図であって、一部の断面を切り欠き状態で示す図である。尚、
図21及び
図22は、互いに異なる角度から見た状態を示す図である。
【0107】
尚、以下の第3実施形態の説明においては、第1実施形態と同様に構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は、第1実施形態で説明した要素の説明を引用することで、重複する説明を適宜省略する。
【0108】
[端子]
図19乃至
図22に示す端子5は、第1実施形態の端子1と同様に、基板100と、図示が省略された相手側コネクタ101の相手側端子102とに対して、接続されるように構成されている。即ち、端子5は、一方の端部に設けられた基板接続部14において、基板100に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。そして、端子5は、他方の端部に設けられた相手側端子接続部12において、図示が省略された相手側端子102に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。
【0109】
端子5は、導電性の金属材料で形成され、長手方向を有する本体部41を備えて構成されている。端子5の本体部41の長手方向は、直線状に延びる方向として構成されている。端子5は、相手側端子接続部12と、ハウジング固定部13と、基板接続部14と、断面積拡大部42とを備えて構成されている。相手側端子接続部12、ハウジング固定部13、基板接続部14、及び断面積拡大部42は、長手方向を有する本体部41に設けられている。尚、本体部41の長手方向と平行な方向については、
図19及び
図20において、両端矢印Aで示している。そして、本体部41においては、相手側端子接続部12、ハウジング固定部13、及び基板接続部14が、本体部41の長手方向に沿ってこの順番で並んで設けられている。
【0110】
端子5の相手側端子接続部12は、第1実施形態の端子1の相手側端子接続部12と同様に構成されている。端子5のハウジング固定部13は、第1実施形態の端子1のハウジング固定部13と同様に構成されている。端子5の基板接続部14は、第1実施形態の端子1の基板接続部14と同様に構成されている。
【0111】
断面積拡大部42は、ハウジング固定部13と基板接続部14との間において、本体部41に設けられている。また、本実施形態の端子5では、本体部41には、ハウジング固定部13と基板接続部14との間において、複数の断面積拡大部42が設けられている。
【0112】
そして、複数の断面積拡大部42のそれぞれは、本体部41におけるハウジング固定部13と基板接続部14との間の部分であって断面積拡大部42に隣接する部分である隣接部分16よりも、長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられている。尚、
図19及び
図20によく示すように、本実施形態の端子5の本体部41においては、複数の断面積拡大部42が設けられているため、断面積が小さい隣接部分16と断面積が大きい断面積拡大部42とが交互に並んで配置されている。
【0113】
また、本実施形態の端子5においては、複数の断面積拡大部42のそれぞれは、本体部41において長手方向に対して垂直な方向である幅方向の両側面から幅方向外側に向かって一対で突出した凸部(42a、42a)を備えて構成されている。即ち、各断面積拡大部42には、本体部41から幅方向外側に向かって互いに反対方向に突出する一対の凸部(42a、42a)が含まれている。また、本実施形態では、各凸部42aは、本体部41の幅方向外側に向かって突出した直方体状の部分として設けられている。尚、本体部41の幅方向と平行な方向、即ち、本体部41の長手方向に対して垂直な方向と平行な方向については、
図20において、両端矢印Bで示している。
【0114】
また、本実施形態の端子5においては、複数の断面積拡大部42のそれぞれには、本体部41の長手方向における基板接続部14側において、基板接続部14側からハウジング固定部13側に向かって本体部41の長手方向に対して傾斜した傾斜面42bが設けられている。より具体的には、各傾斜面42bは、本体部41の長手方向が基板接続部14側を上側にして上下方向を向くように端子5が配置された場合に、本体部41の幅方向外側に向かって下り傾斜する傾斜面として、構成されている。
【0115】
また、傾斜面42bは、各断面積拡大部42において、一対で設けられている。より具体的には、各断面積拡大部42の一対の凸部(42a、42a)のそれぞれに、傾斜面42bが設けられている。各傾斜面42bは、各凸部42aにおいて、本体部41の長手方向における基板接続部14側に設けられている。そして、各傾斜面42bは、各凸部42aにおいて、基板接続部14側からハウジング固定部13側に向かって本体部41の長手方向に対して傾斜している。
【0116】
[コネクタ]
図21及び
図22に示すコネクタ6は、基板100に接続されて用いられる。そして、基板100に対して電気的及び機械的に接続されたコネクタ6に対して、図示が省略された相手側コネクタ101が、電気的及び機械的に接続される。また、コネクタ6は、前述した複数の端子5、複数の端子5が固定された状態で複数の端子5を保持しているハウジング21、等を備えて構成されている。
【0117】
コネクタ6のハウジング21は、第1実施形態のコネクタ2のハウジング21と同様に構成されている。そして、コネクタ6は、端子5の断面積拡大部42の構成が端子1の断面積拡大部15の構成と異なる点を除いて、第1実施形態のコネクタ2と同様に構成されている。
【0118】
[作用効果]
本実施形態に係る端子5及びコネクタ6は、第1実施形態の端子1及びコネクタ2と同様の構成を備えているため、第1実施形態の端子1及びコネクタ2と同様の作用効果を奏することができる。即ち、本実施形態によると、基板100へのはんだ付けの際に用いられるフラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことを抑制できるとともに、加工能率及び寸法精度の低下を招いてしまうことも抑制でき、更に、端子単体の強度の低下及び通電時の発熱量の増大も抑制することができる、端子5、及び端子5を備えるコネクタ6、を提供することができる。
【0119】
また、本実施形態の端子5及びコネクタ6によると、基板接続部14側からハウジング固定部13側へと本体部41に沿って流動するフラックスは、基板接続部14側からハウジング固定部13側に向かって本体部41の長手方向に対して傾斜した傾斜面42bに沿って流動し易くなる。このため、フラックスを傾斜面42bに沿って断面積拡大部42により容易に捕捉できる。これにより、断面積拡大部42において、より確実に、ハウジング固定部13側への流動が抑制されることになる。このため、本実施形態の端子5及びコネクタ6によると、フラックスの影響によって電気的な導通不良が発生してしまうことをより確実に抑制することができる。
【0120】
(変形例)
以上、本発明の第1乃至第3実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0121】
(1)前述の第1乃至第3実施形態においては、オス型の端子がメス型の相手側端子に対して接続される形態、即ち、端子における相手側端子接続部が相手側端子の略筒状の端部の内側に嵌合して接続される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。メス型の端子がオス型の相手側端子に対して接続される形態が実施されてもよい。即ち、端子における相手側端子接続部が略筒状の端部として構成され、相手側端子の端部が略筒状の相手側端子接続部の内側に嵌合して接続される形態が、実施されてもよい。
【0122】
(2)前述の第1乃至第3実施形態においては、端子におけるハウジング固定部が、コネクタのハウジングに対して圧入されて固定される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。ハウジング固定部が圧入以外の形態でハウジングに対して固定される形態が実施されてもよい。例えば、ハウジング固定部が凸状の部分として設けられ、ハウジングに設けられた凹みに対してハウジング固定部が嵌まり込んで係合することで、ハウジング固定部がハウジングに対して固定される形態が実施されてもよい。
【0123】
(3)前述の第1乃至第3実施形態においては、端子において断面積拡大部が複数設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。断面積拡大部が1つ設けられた形態の端子が実施されてもよい。
【0124】
(4)前述の第1乃至第3実施形態においては、断面積拡大部が、本体部の幅方向の両側面から幅方向外側に向かって一対で突出した凸部を備えて構成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。断面積拡大部は、本体部におけるハウジング固定部と基板接続部との間の部分であって断面積拡大部に隣接する部分よりも、本体部の長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられている形態であればよい。例えば、
図23及び
図24に例示するような断面積拡大部を備える端子の形態が実施されてもよい。
【0125】
図23は、変形例に係る端子7を示す斜視図である。
図24は、端子7の平面図である。尚、以下の変形例の説明においては、第1実施形態と同様に構成される要素については、図面において同一の符号を付すことで、又は、第1実施形態で説明した要素の説明を引用することで、重複する説明を適宜省略する。
【0126】
図23及び
図24に示す端子7は、第1実施形態の端子1と同様に、基板100と、図示が省略された相手側コネクタ101の相手側端子102とに対して、接続されるように構成されている。即ち、端子7は、一方の端部に設けられた基板接続部14において、基板100に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。そして、端子7は、他方の端部に設けられた相手側端子接続部12において、図示が省略された相手側端子102に対して電気的及び機械的に接続されるように構成されている。
【0127】
また、複数の端子7が、図示が省略されたハウジング21に保持されることで、相手側コネクタ101に接続されるコネクタが構成される。即ち、複数の端子7と、複数の端子7が固定された状態で複数の端子7を保持しているハウジング21と、を備えたコネクタは、基板100に接続されるように構成されるとともに、相手側コネクタ101に対して接続されるように構成されることになる。
【0128】
端子7は、導電性の金属材料で形成され、長手方向を有する本体部51を備えて構成されている。端子7の本体部51の長手方向は、直線状に延びる方向として構成されている。端子7は、相手側端子接続部12と、ハウジング固定部13と、基板接続部14と、断面積拡大部52とを備えて構成されている。相手側端子接続部12、ハウジング固定部13、基板接続部14、及び断面積拡大部52は、長手方向を有する本体部51に設けられている。尚、本体部51の長手方向と平行な方向については、
図23及び
図24において、両端矢印Aで示している。そして、本体部51においては、相手側端子接続部12、ハウジング固定部13、及び基板接続部14が、本体部51の長手方向に沿ってこの順番で並んで設けられている。
【0129】
端子7の相手側端子接続部12は、第1実施形態の端子1の相手側端子接続部12と同様に構成されている。端子7のハウジング固定部13は、第1実施形態の端子1のハウジング固定部13と同様に構成されている。端子7の基板接続部14は、第1実施形態の端子1の基板接続部14と同様に構成されている。
【0130】
断面積拡大部52は、ハウジング固定部13と基板接続部14との間において、本体部51に設けられている。また、本変形例の端子7では、本体部51には、ハウジング固定部13と基板接続部14との間において、複数の断面積拡大部52が設けられている。
【0131】
そして、複数の断面積拡大部52のそれぞれは、本体部51におけるハウジング固定部13と基板接続部14との間の部分であって断面積拡大部52に隣接する部分である隣接部分16よりも、長手方向に対して垂直な断面の断面積が大きい部分として設けられている。尚、
図23及び
図24に示すように、本変形例の端子7の本体部51においては、複数の断面積拡大部52が設けられているため、断面積が小さい隣接部分16と断面積が大きい断面積拡大部52とが交互に並んで配置されている。
【0132】
また、本変形例の端子7の断面積拡大部52は、本体部51の長手方向に対して垂直な方向に向かって突出した部分を備えて構成されている。そして、端子7の断面積拡大部52における本体部51の長手方向に垂直な方向に突出した部分は、本体部51の軸周りの全周に亘って凸状に突出した部分として設けられている。尚、
図23及び
図24に示す変形例においては、本体部51の長手方向に対して垂直な断面における断面積拡大部52の断面形状が正方形又は長方形である形態が、例示されている。
【0133】
図23及び
図24において変形例として例示した端子7のように、本体部の長手方向に対して垂直な方向に向かって突出した部分であって且つ本体部の軸周りの全周に亘って突出した部分を含む断面積拡大部を備えた端子が実施されてもよい。
【0134】
(5)コネクタのハウジングの形状については、前述の実施形態で例示したものに限らず、種々変更されてもよい。また、コネクタが接続される基板及び相手側コネクタの形態についても、前述の実施形態で例示したものに限らず、種々変更されてもよい。