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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-126495(P2017-126495A)
(43)【公開日】2017年7月20日
(54)【発明の名称】コネクタ及び電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/02 20060101AFI20170623BHJP
【FI】
   H01R31/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-5287(P2016-5287)
(22)【出願日】2016年1月14日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】特許業務法人ワンディーIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】谷口 亮平
(72)【発明者】
【氏名】西田 佳史
(57)【要約】      (修正有)
【課題】部品点数及び組立工程が少なく構成が簡素化された分岐用のコネクタを提供する。
【解決手段】導電線に直接又は他の部材を介して電気的に接続される第1接続部32と、第1接続部32と一体に設けられ相手側コネクタが有する相手側コンタクト部に嵌合する第1コンタクト部31とを有し、第1接続部32及び第1コンタクト部31の少なくとも一方が複数設けられている端子30、を備えたコネクタを構成する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電線に直接又は他の部材を介して電気的に接続される第1接続部と、該第1接続部と一体に設けられ相手側コネクタが有する相手側コンタクト部に嵌合する第1コンタクト部とを有し、前記第1接続部及び前記第1コンタクト部の少なくとも一方が複数設けられている端子、を備えていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項2】
導電線に直接又は他の部材を介して電気的に接続される第1接続部と、該第1接続部と一体に設けられ相手側コネクタが有する相手側コンタクト部に嵌合する第1コンタクト部とを有し、前記第1接続部が前記導電線の長手方向における中途部分に接続される端子、を備えていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコネクタにおいて、
前記第1接続部は、前記導電線に圧着又は圧接されることを特徴とする、コネクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、
前記第1コンタクト部は、前記相手側コンタクト部が有する一対の板バネ部によって挟まれて保持されることにより、該相手側コンタクト部と嵌合し、
前記第1コンタクト部における前記相手側コンタクト部が挿入される側の部分を覆うカバー部を有するハウジングを更に備えていることを特徴とする、コネクタ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタと、
前記コネクタの第1コンタクト部と嵌合する相手側コンタクト部を有する相手側コネクタと、
を備えていることを特徴とする、電気的接続装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気的接続装置において、
導電線の終端部に電気的に接続される第2接続部と、該第2接続部と一体に設けられ前記相手側コンタクト部に嵌合する第2コンタクト部とを有し、前記第2接続部及び前記第2コンタクト部が1つずつ設けられている第2端子、を含む終端コネクタ、を更に備えていることを特徴とする、電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを分岐するためのコネクタ、及びこのコネクタを備えた電気的接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている分岐用のコネクタとしては、例えば特許文献1の図2に開示されている3分岐コネクタ1が挙げられる。このコネクタ1では、特許文献1の図3を参照して、2本の電線24,25のそれぞれの所定箇所の被覆が除去され、それぞれの被覆が除去された部分がリングスリーブ26で固定されることにより、2本の電線24,25が略T字状に形成される。そして、T字状に形成された電線の各端部にスリーブ21,22,23(コンタクト部)が配置され、これらがリングスリーブ21a,22a,23aによってかしめられ且つ半田付けされることにより、電線とコンタクト部とが電気的且つ機械的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−135499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した分岐コネクタには、多数の部品、具体的には、複数の電線24,25、及びリングスリーブ21a,22a,23a,26等が必要となるため、部品点数が増大してしまう。また、このコネクタを組み立てる際には、リングスリーブ21a,22a,23a,26をかしめる作業、電線24,25の被覆を除去する作業等、多くの作業工程が必要となる。更には、コネクタ1の成型時に電線加工品2のインサート成形も必要となる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、その目的は、部品点数及び組立工程が少なく構成が簡素化された分岐用のコネクタ、及び該コネクタを備えた電気的接続装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るコネクタは、導電線に直接又は他の部材を介して電気的に接続される第1接続部と、該第1接続部と一体に設けられ相手側コネクタが有する相手側コンタクト部に嵌合する第1コンタクト部とを有し、前記第1接続部及び前記第1コンタクト部の少なくとも一方が複数設けられている端子、を備えている。
【0007】
この構成では、第1接続部が導電線に電気的に接続されたコネクタの第1コンタクト部に、相手側コネクタの相手側コンタクト部を嵌合させることにより、コネクタ側の機器(以下、便宜上第1機器と称する)と、相手側コネクタ側の機器(以下、便宜上第2機器と称する)とを電気的に接続することができる。
【0008】
また、この構成では、上述のように、第1接続部及び第1コンタクト部の少なくとも一方が複数、設けられている。そうすると、第1接続部が複数設けられている場合には、第1機器側の第1接続部に接続されている導電線を、第1機器と反対側に接続されている導電線と、相手側コネクタに接続された導電線とに分岐することができる。一方、第1コンタクト部が複数設けられている場合には、第1接続部に接続されている導電線を、各第1コンタクト部に嵌合する相手側コネクタのそれぞれに接続された各導電線に分岐することができる。すなわち、この構成によれば、第1機器側の導電線を、第2機器側へ向けて複数に分岐することができる。
【0009】
そして、この構成では、第1接続部及び第1コンタクト部を有する端子が、一体に設けられている。すなわち、この構成によれば、第1機器側の導電線を第2機器側へ向けて複数に分岐可能なコネクタの端子を、1つの部材で形成することができる。そうすると、例えば複数の部材を組み立てることによりコネクタの端子を形成する場合と比べて、部品点数及び組立工数を削減することができる。
【0010】
従って、この構成によると、部品点数及び組立工程が少なく、構成が簡素化された分岐用のコネクタを提供できる。
【0011】
(2)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係るコネクタは、導電線に直接又は他の部材を介して電気的に接続される第1接続部と、該第1接続部と一体に設けられ相手側コネクタが有する相手側コンタクト部に嵌合する第1コンタクト部とを有し、前記第1接続部が前記導電線の長手方向における中途部分に接続される端子、を備えている。
【0012】
この構成によれば、第1接続部が導電線に電気的に接続されたコネクタの第1コンタクト部に、相手側コネクタの相手側コンタクト部を嵌合させることにより、コネクタ側の機器(以下、便宜上第1機器と称する)と、相手側コネクタ側の機器(以下、便宜上第2機器と称する)とを電気的に接続することができる。
【0013】
また、この構成によれば、第1機器側の導電線を、相手側コネクタに接続された導電線に分岐することができる。すなわち、この構成によれば、第1機器側の導電線を、第2機器側へ向けて複数に分岐することができる。
【0014】
そして、この構成では、第1接続部及び第1コンタクト部を有する端子が、一体に設けられている。すなわち、この構成によれば、第1機器側の導電線を第2機器側へ向けて複数に分岐可能なコネクタの端子を、1つの部材で形成することができる。そうすると、例えば複数の部材を組み立てることによりコネクタの端子を形成する場合と比べて、部品点数及び組立工数を削減することができる。
【0015】
従って、この構成によると、部品点数及び組立工程が少なく、構成が簡素化された分岐用のコネクタを提供できる。
【0016】
(3)好ましくは、前記第1接続部は、前記導電線に圧着又は圧接される。
【0017】
この構成によれば、導電線に第1接続部を圧着又は圧接することにより、コネクタの端子を、導電線に対して電気的且つ機械的に適切に接続することができる。
【0018】
(4)好ましくは、前記第1コンタクト部は、前記相手側コンタクト部が有する一対の板バネ部によって挟まれて保持されることにより、該相手側コンタクト部と嵌合し、前記コネクタは、前記第1コンタクト部における前記相手側コンタクト部が挿入される側の部分を覆うカバー部を有するハウジングを更に備えている。
【0019】
この構成によれば、第1機器と電気的に接続されている第1コンタクト部が、カバー部によって覆われている。こうすると、例えば作業者が相手側コネクタをコネクタへ嵌合する際に誤って第1コンタクト部に触れてしまうことを、カバー部によって未然に防止することができる。すなわち、この構成によれば、組立作業時における作業者の感電を防止できる。
【0020】
(5)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係る電気的接続装置は、上述したいずれかのコネクタと、該コネクタの第1コンタクト部と嵌合する相手側コンタクト部を有する相手側コネクタと、を備えている。
【0021】
この構成によれば、部品点数及び組立工程が少なく構成が簡素化された分岐用のコネクタ、を備えた電気的接続装置を構成することができる。
【0022】
(6)好ましくは、前記電気的接続装置は、導電線の終端部に電気的に接続される第2接続部と、該第2接続部と一体に設けられ前記相手側コンタクト部に嵌合する第2コンタクト部とを有し、前記第2接続部及び前記第2コンタクト部が1つずつ設けられている第2端子、を含む終端コネクタ、を更に備えている。
【0023】
例えば、第1接続部が複数設けられている端子を有する複数のコネクタと、複数の相手側コネクタとを適宜、組み合わせて各導電線を結線し、システムを構築した場合、基線側の導電線における終端部に設けられたコネクタにおいて、導電線が接続されない第1接続部が生じてしまい、その部分が開放されたままの状態となってしまう。
【0024】
この点につき、この構成によれば、導電線の終端部に終端コネクタを設けることにより、上述のように開放されたままの第1接続部が生じてしまうことを防止できる。これにより、より安全性に優れた電気的接続装置を提供できる。しかも、終端コネクタには、第2接続部及び第2コンタクト部が1つずつ設けられているため、その構成を簡素化できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、部品点数及び組立工程が少なく構成が簡素化された分岐用のコネクタ、及び該コネクタを備えた電気的接続装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態に係る電気的接続装置の使用形態を模式的に示す図である。
図2】互いに嵌合した状態の基線側コネクタ及び分岐線側コネクタの斜視図である。
図3】互いに嵌合した状態の基線側コネクタ及び分岐線側コネクタを後方から視た図である。
図4図3のIV−IV線における断面図である。
図5】基線側コネクタの斜視図である。
図6図5に示す基線側コネクタを後方から視た図である。
図7図6のVII−VII線における断面図である。
図8】ハウジング本体部の斜視図である。
図9図8に示すハウジング本体部を左側から視た図である。
図10図8に示すハウジング本体部を前方から視た図である。
図11】基線ケーブルが圧着された状態のタブ端子の斜視図である。
図12】タブ端子の斜視図である。
図13】カバーハウジングの斜視図である。
図14】分岐線側コネクタの斜視図である。
図15図14に示す分岐線側コネクタを前方から視た図である。
図16図15のXVI−XVI線における断面図である。
図17】分岐線側ハウジングの斜視図である。
図18】分岐ケーブルが圧着された状態のリセ端子の斜視図である。
図19】リセ端子の斜視図である。
図20】変形例に係る基線側コネクタのタブ端子の斜視図であって、該タブ端子が圧着された基線ケーブルとともに示す図である。
図21】変形例に係る基線側コネクタのタブ端子の斜視図であって、該タブ端子が圧着された基線ケーブルとともに示す図である。
図22】変形例に係る基線側コネクタのタブ端子の斜視図である。
図23図22に示すタブ端子と、該タブ端子が圧着された基線ケーブルとを示す斜視図である。
図24】変形例に係る基線側コネクタのタブ端子の斜視図である。
図25図24に示すタブ端子と、該タブ端子が圧接された基線ケーブルとを示す斜視図である。
図26】変形例に係る電気的接続装置の使用形態を模式的に示す図である。
図27】変形例に係る電気的接続装置が有する終端コネクタの終端コネクタ用タブ端子の斜視図であって、該終端コネクタ用タブ端子が圧着された基線ケーブルとともに示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、ケーブルを分岐するためのコネクタに広く適用できる。
【0028】
図1は、本実施形態に係る電気的接続装置1の使用形態を模式的に示す図である。また、図2は、互いに嵌合した状態の基線側コネクタ2及び分岐線側コネクタ40の斜視図である。また、図3は、互いに嵌合した状態の基線側コネクタ2及び分岐線側コネクタ40を後方から視た図である。また、図4は、図3のIV−IV線における断面図である。
【0029】
なお、各図において、説明の便宜上、右と記載された矢印が指示する方向を右側と称し、左と記載された矢印が指示する方向を左側と称し、上と記載された矢印が指示する方向を上側又は上方と称し、下と記載された矢印が指示する方向を下側又は下方と称し、前と記載された矢印が指示する方向を前側又は前方と称し、後と記載された矢印が指示する方向を後側又は後方と称する。前方とは、分岐線側コネクタ40を基線側コネクタ2へ嵌合させる際の方向(嵌合方向)であり、後方とは、分岐線側コネクタ40を基線側コネクタ2から抜去する際の方向(抜去方向)である。
【0030】
本実施形態に係る電気的接続装置1は、例えば一例として図1に示すように、携帯電話基地局(図示省略)に複数の蓄電池モジュールBを接続するために用いられる。図1に示す例では、携帯電話基地局システムが有する制御モジュールCと接続された一対の基線70のそれぞれが複数の分岐ケーブル75へ分岐され、各分岐ケーブル75に蓄電池モジュールBが接続されている。
【0031】
電気的接続装置1は、図1を参照して、複数の基線側コネクタ2と、複数の分岐線側コネクタ40(相手側コネクタ)とを備えている。電気的接続装置1では、1つの基線側コネクタ2と1つの分岐線側コネクタ40とが嵌合することにより、分岐ケーブル75を介して分岐線側コネクタ40と接続された蓄電池モジュールBを、基線70へ電気的に接続することができる。なお、本実施形態に係る電気的接続装置1では、所定の長さを有する複数の基線ケーブル70a(導電線)によって基線70が構成されている。
【0032】
[基線側コネクタの構成]
図5は、基線側コネクタ2の斜視図である。また、図6は、図5に示す基線側コネクタ2を後方から視た図である。また、図7は、図6のVII−VII線における断面図である。
【0033】
基線側コネクタ2は、ハウジング本体部4及びカバーハウジング35で構成された基線側ハウジング部3と、タブ端子30とを有している。なお、タブ端子30は、基線側ハウジング部3内に収容されているため、図5及び図6では図示されていない。基線側コネクタ2では、基線ケーブル70aが接続されたタブ端子30が、基線側ハウジング部3に収容されている。
【0034】
図8は、ハウジング本体部4の斜視図である。また、図9は、図8に示すハウジング本体部4を左側から視た図である。また、図10は、ハウジング本体部4を前方から視た図である。
【0035】
ハウジング本体部4は、左右方向に延びるように設けられ、前方に開口する開口部を有する略箱状に形成された樹脂製の部材である。ハウジング本体部4は、箱状部5とタブ端子部収容部20とを有し、これらが一体に形成されている。
【0036】
箱状部5は、ハウジング本体部4のうち左右方向に延びるように設けられた箱状の部分である。箱状部5は、図8から図10を参照して、後壁部6、上壁部7、下壁部8、右壁部9、左壁部10、及び仕切部11を有し、これらが一体に形成されている。
【0037】
後壁部6は、左右方向に細長い壁状の部分である。後壁部6には、図10を参照して、格子状に形成された補強リブ6aが形成されている。また、後壁部6には、図8及び図10を参照して、該後壁部6から前方へ延びる4つの爪係合部6bが形成されている。図7を参照して、各爪係合部6bには、ロック孔部6cが形成されている。各爪係合部6bのロック孔部6cには、詳しくは後述するカバーハウジング35のロック爪36が嵌まり込む。これにより、ハウジング本体部4とカバーハウジング35とが嵌合した状態においてカバーハウジング35がハウジング本体部4から外れてしまうことを防止できる。
【0038】
上壁部7は、後壁部6の上側の縁部から前方へ延びるように形成された壁状の部分である。また、下壁部8は、後壁部6の下側の縁部から前方へ延びるように形成された壁状の部分である。
【0039】
右壁部9は、後壁部6の右側の縁部から前方へ延びるように形成された壁状の部分である。右壁部9には、円弧部9aが形成されている。この円弧部9aは、図5を参照して、ハウジング本体部4とカバーハウジング35とが嵌合した状態において、カバーハウジング35の右側に形成された円弧部37(図13参照)とともに、右側から視て円形穴状に形成された右側穴部12を構成する。この右側穴部12には、基線ケーブル70aが挿通する。
【0040】
左壁部10は、後壁部6の左側の縁部から前方へ延びるように形成された壁状の部分である。左壁部10には、右壁部9に形成された円弧部9aと同じ形状を有する円弧部10aが形成されている。この円弧部10aは、ハウジング本体部4とカバーハウジング35とが嵌合した状態において、カバーハウジング35の左側に形成された円弧部38(図13参照)とともに、左側から視て円形穴状に形成された左側穴部を構成する。この左側穴部には、基線ケーブル70aが挿通する。
【0041】
仕切部11は、図10を参照して、箱状部5における左右方向中央部分に形成された部分であって、箱状部5の内側の空間を右側空間SRと左側空間SLとに仕切っている。仕切部11は、図10に示すように、前方から視て略H状に形成されている。
【0042】
仕切部11は、右側壁部14と、左側壁部15と、連結壁部16とを有している。右側壁部14は、箱状部5における左右方向中央部よりもやや右側に形成された壁部である。左側壁部15は、箱状部5における左右方向中央部よりもやや左側に形成された壁部である。連結壁部16は、左右方向に延びる壁部であって、右側壁部14と左側壁部15とを連結している。
【0043】
仕切部11には、隙間部17が形成されている。隙間部17は、仕切部11における上側の部分に形成された左右方向に細長いスリット状の部分である。
【0044】
タブ端子部収容部20は、図8を参照して、前後方向に延びる略角筒状に形成された部分であって、箱状部5と一体に形成されている。タブ端子部収容部20は、角筒部21と、保護壁部25とを有し、これらが一体に形成されている。
【0045】
角筒部21は、前後方向に延びる角筒状に形成された部分である。角筒部21は、箱状部5の後壁部6の左右方向中央部分における上側寄りの部分から後方へ延びるように形成されている。図4及び図8を参照して、角筒部21における上側の壁部22には、片持ち梁状に形成された撓み部23が形成されている。この撓み部23に形成されたロック爪24は、図4を参照して、分岐線側コネクタ40に形成されたロック溝部46に嵌まり込む。これにより、分岐線側コネクタ40と基線側コネクタ2とが嵌合した状態において、分岐線側コネクタ40が基線側コネクタ2から抜けてしまうことを防止できる。
【0046】
保護壁部25は、角筒部21内を前後方向に延びる壁状に形成された部分であって、図8に示すように、角筒部21内の空間を上側の空間と下側の空間とに仕切っている。保護壁部25には、図4に示すように、該保護壁部25における前側の端面から後方へ延びるスリット部26が形成されている。スリット部26は、保護壁部25における後端部の手前側まで延びるように形成されている。スリット部26には、図4に示すように、タブ端子30のタブ端子部31が嵌まり込んでいる。タブ端子部31は、保護壁部25のスリット部26に嵌まり込んだ状態において、該タブ端子部31における先端側(後側)の部分が、前記保護壁部25における後側の部分25aによって覆われている。この部分25aは、タブ端子部31における後側の部分を後側から覆うカバー部25bとして設けられている。
【0047】
図11は、基線ケーブル70aが圧着された状態のタブ端子30の斜視図である。また、図12は、タブ端子30の斜視図である。
【0048】
タブ端子30は、板状の金属部材がプレス加工によって折り曲げられて形成された部品である。タブ端子30は、タブ端子部31(第1コンタクト部)と、2つの圧着部32,32(第1接続部)と、連結部33とを有し、これらが一体に形成されている。
【0049】
タブ端子部31は、タブ状に形成された部分であって、分岐線側コネクタ40のリセ端子部63と接触する部分である。タブ端子部31は、上下方向に所定の厚みを有し、前後方向に延びる平坦な板状に形成されている。
【0050】
2つの圧着部32,32は、右側圧着部32Rと左側圧着部32Lとを有している。各圧着部32R,32Lは、左右方向に延びる円筒状に形成されている。
【0051】
各圧着部32は、図11に示すように、基線ケーブル70aの導電部71に圧着されている。具体的には、右側の基線ケーブル70aの端部の被覆が除去されることにより露出した導電部71が右側圧着部32Rの右側から挿通され、その状態の導電部71に対して右側圧着部32Rがかしめられる。これにより、右側圧着部32Rが、右側の基線ケーブル70aに対して電気的且つ機械的に接続される。一方、左側の基線ケーブル70aの端部の被覆が除去されることにより露出した導電部71が左側圧着部32Lの左側から挿通され、その状態の導電部71に対して左側圧着部32Lがかしめられる。これにより、左側圧着部32Lが、左側の基線ケーブル70aに対して電気的且つ機械的に接続される。なお、各圧着部32が基線ケーブル70aにかしめられることにより、各圧着部32には凹状のかしめ痕32aが形成される。
【0052】
連結部33は、タブ端子部31と圧着部32とを連結する部分である。連結部33は、左右方向に延びるように設けられ、左右両側の各端部に圧着部32が設けられているとともに、後側の縁部にタブ端子部31が設けられている。連結部33は、平坦部33a、右側傾斜部33R、及び左側傾斜部33Lを有し、これらが一体に形成されている。
【0053】
平坦部33aは、連結部33における左右方向中央部分に設けられた部分であって、上下方向に所定の厚みを有する平坦な板状に形成されている。平坦部33aの厚みは、タブ端子部31の厚みと同じである。平坦部33aの後端縁部に、タブ端子部31が設けられている。
【0054】
右側傾斜部33Rは、平坦部33aにおける右側の縁部から右斜め下方向へ緩やかに傾斜しながら延びている。右側傾斜部33Rの先端部分は、右側圧着部32Rの左端部における下側の端部と繋がっている。一方、左側傾斜部33Lは、平坦部33aにおける左側の縁部から左斜め下方向へ緩やかに傾斜しながら延びている。左側傾斜部33Lの先端部分は、左側圧着部32Lの右端部における下側の部分と繋がっている。
【0055】
基線側コネクタ2では、基線ケーブル70aが圧着された状態のタブ端子30が、以下のようにしてハウジング本体部4内に収容される。具体的には、図4を参照して、タブ端子30が、ハウジング本体部4の前側から後側へ向けて挿入される。このとき、タブ端子30のタブ端子部31が、隙間部17を介して、タブ端子部収容部20内に形成されたスリット部26へ挿入されるとともに、平坦部33aが隙間部17に挿入される。また、これと同時に、図示は省略するが、右側圧着部32R及び右側傾斜部33Rが右側空間SRへ挿入され、且つ左側圧着部32L及び左側傾斜部33Lが左側空間SLへ挿入される。これにより、基線ケーブル70aが圧着された状態のタブ端子30が、ハウジング本体部4内に収容される。
【0056】
図13は、カバーハウジング35の斜視図である。カバーハウジング35は、タブ端子30が収容された状態のハウジング本体部4の前側の部分を覆うための部材であって、左右方向に細長い形状を有している。カバーハウジング35は、ハウジング本体部4と嵌合した状態では、図7を参照して、4つのロック爪36(図7では2つのみ図示)が、ハウジング本体部4の各ロック孔部6cと係合している。これにより、ハウジング本体部4に対してカバーハウジング35が固定される。
【0057】
基線側コネクタ2では、図4及び図5を参照して、タブ端子部31の先端部分が、基線側ハウジング部3のカバー部25bによって覆われている。すなわち、基線側コネクタ2のタブ端子部31は、カバー部25bによって外部に露出しない状態となっている。こうすると、作業者による基線側コネクタ2と分岐線側コネクタ40との嵌合作業が行われる際、作業者の指がタブ端子部31に触れることを防止できる。すなわち、カバー部25bは、作業者の感電を防止するフィンガープロテクト部として機能する。
【0058】
[分岐線側コネクタの構成]
図14は、分岐線側コネクタ40の斜視図である。また、図15は、図14に示す分岐線側コネクタ40を前方から視た図である。また、図16は、図15のXVI−XVI線における断面図である。
【0059】
分岐線側コネクタ40は、図14から図16を参照して、分岐線側ハウジング41と、リセ端子60とを有している。
【0060】
図17は、分岐線側ハウジング41の斜視図である。分岐線側ハウジング41は、図14から図17を参照して、第1角筒部42と、第2角筒部43と、2つの保護壁部44とを有し、これらが一体に形成されている。
【0061】
第1角筒部42は、分岐線側ハウジング41における後側に設けられた部分である。第1角筒部42は、前後方向に延びる略角筒状に形成されている。図16を参照して、第1角筒部42における左側の壁部の内側には、ランス部45が設けられている。これにより、分岐線側ハウジング41内に挿入された状態のリセ端子60が後方に抜けてしまうことを防止できる。
【0062】
第2角筒部43は、分岐線側ハウジング41における前側に設けられた部分である。第2角筒部43は、前後方向に延びる略角筒状に形成されている。第2角筒部43は、図17を参照して、第1角筒部42と比べて、前後方向の長さが短く且つ上下方向の長さが長くなるように構成されている。
【0063】
第2角筒部43は、図2及び図4を参照して、基線側コネクタ2と分岐線側コネクタ40とが嵌合した状態において、基線側ハウジング部3のタブ端子部収容部20の外側を覆い、該タブ端子部収容部20と嵌合している。具体的には、図4を参照して、第2角筒部43における上側の壁部及び下側の壁部には、それぞれ、各壁部における内側の部分を前後方向に延びる2本のロック溝部46が形成されている。
【0064】
図4を参照して、電気的接続装置1では、基線側コネクタ2と分岐線側コネクタ40とが嵌合した状態において、タブ端子部収容部20に形成された各ロック爪24が、4本形成されたロック溝部46のうち上側に形成された各ロック溝部46に嵌まり込む。これにより、基線側コネクタ2に嵌合した状態の分岐線側コネクタ40が後方へ抜けてしまうことを防止できる。なお、分岐線側コネクタ40を基線側コネクタ2から抜く場合には、基線側ハウジング部3のロック解除ツマミ27を押圧してロック爪24とロック溝部46との係合を解除した状態で分岐線側コネクタ40を後方へ引っ張ることにより、分岐線側コネクタ40を基線側コネクタ2から抜くことができる。
【0065】
各保護壁部44は、第2角筒部43内において、リセ端子60のリセ端子部63を覆うように設けられている。各保護壁部44は、図15及び図16を参照して、第1角筒部42と第2角筒部43との間に設けられた区画壁部47から前方へ延びるように形成された延出部48と、該延出部48の先端部分を覆う先端壁部49とを有し、これらが一体に形成されている。
【0066】
各延出部48は、図16及び図17を参照して、リセ端子部63の上下方向における外側(リセ端子部63にタブ端子部31が挿入されたときにリセ端子部63が広がる方向側)を覆う外側延出部50と、リセ端子部63の右側を覆う右側延出部51と、リセ端子部63の左側を覆う左側延出部52とを有し、これらが一体に形成されている。
【0067】
先端壁部49は、延出部48の先端(前側の部分)を覆う矩形の板状の部分である。各先端壁部49は、リセ端子部63における前側の部分を覆っている。すなわち、先端壁部49は、リセ端子部63における前側の部分を前側から覆うカバー部54として設けられている。
【0068】
図18は、分岐ケーブル75が圧着された状態のリセ端子60の斜視図である。また、図19は、リセ端子60の斜視図である。
【0069】
リセ端子60は、板状の金属部材がプレス加工によって折り曲げられて形成された部品であって、前後方向に延びるように形成されている。リセ端子60は、角筒部61と、ケーブル圧着部62と、リセ端子部63(相手側コンタクト部)とを有し、これらが一体に形成されている。
【0070】
角筒部61は、リセ端子60における前後方向中央部分に設けられた部分である。角筒部は51、前側及び後側に開口部を有する角筒状であって、上下方向よりも左右方向の方が長くなるように形成されている。
【0071】
ケーブル圧着部62は、受け部64と2つのバレル65とを有し、これらが一体に形成されている。受け部64は、分岐ケーブル75が載せ置かれる部分として設けられている。ケーブル圧着部62では、受け部64に分岐ケーブル75の導電部76が載せ置かれた状態で、各バレル65が導電部76側へ折れ曲げられる。これにより、受け部64とバレル65との間で導電部76が挟まれて保持されるため、リセ端子60が分岐ケーブル75の導電部76に電気的且つ機械的に接続される。
【0072】
リセ端子部63は、リセ端子60のうちタブ端子部31と接触する部分である。リセ端子部63は、2つの上側板バネ部66と、2つの下側板バネ部67とを有している。電気的接続装置1では、図4を参照して、基線側コネクタ2と分岐線側コネクタ40とが嵌合した状態において、2つの上側板バネ部66(図4では1つのみ図示)と2つの下側板バネ部67(図4では1つのみ図示)とが、一対の板バネ部としてタブ端子部31を挟んで保持する。これにより、タブ端子30とリセ端子60とが電気的に接続されるため、蓄電池モジュールBと携帯電話基地局システムとを電気的に接続することができる。
【0073】
分岐線側コネクタ40では、分岐ケーブル75が圧着された状態のリセ端子60が、以下のようにして分岐線側ハウジング41内に収容される。具体的には、図16を参照して、リセ端子60が、分岐線側ハウジング41の後側から前側へ向けて挿入される。このとき、2つの上側板バネ部66が分岐線側ハウジング41の上側の保護壁部44内に収容され、且つ2つの下側板バネ部67が下側の保護壁部44内に収容される。これにより、分岐ケーブル75が圧着された状態のリセ端子60が、分岐線側ハウジング41内に収容される。
【0074】
分岐線側コネクタ40では、図14及び図15を参照して、リセ端子部63の先端部分が、分岐線側ハウジング41のカバー部54によって覆われている。すなわち、分岐線側コネクタ40のリセ端子部53は、カバー部54によって外部に露出しない状態となっている。こうすると、作業者による基線側コネクタ2と分岐線側コネクタ40との嵌合作業が行われる際、作業者の指がリセ端子60に触れることを防止できる。すなわち、カバー部54は、作業者の感電を防止するフィンガープロテクト部として機能する。
【0075】
ところで、ケーブルを複数に分岐するために従来から用いられてきた分岐用のコネクタでは、上述した特許文献1にも開示される通り、複数の部品が組み合わせられた後、半田付け等の作業工程を経て、端子部分が形成されていた。すなわち、従来の分岐用のコネクタは、部品点数及び作業工程が多く、構成も煩雑であった。
【0076】
この点につき、本実施形態に係る基線側コネクタ2では、基線ケーブル70aに接続される部分(具体的には、圧着部32)と、分岐線側コネクタ40に接続される部分(具体的には、タブ端子部31)とが、1つの部材によって一体に形成されている。これにより、従来と比べて部品点数及び作業工程の点で優れたコネクタを提供できる。
【0077】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る基線側コネクタ2では、圧着部32が基線ケーブル70aに電気的に接続された基線側コネクタ2のタブ端子部31に、分岐線側コネクタ40のリセ端子部63を嵌合させることにより、基線側コネクタ2に接続された携帯電話基地局システムと、分岐線側コネクタ40に接続された蓄電池モジュールBとを電気的に接続することができる。
【0078】
また、基線側コネクタ2では、上述のように、第1接続部としての圧着部32が複数、設けられている。そうすると、右側圧着部32Rに接続されている基線ケーブル70aを、左側圧着部32Lに接続されている基線側ケーブル70aと、分岐線側コネクタ40に接続された分岐ケーブル75とに分岐することができる。すなわち、基線側コネクタ2によれば、制御モジュールC側の基線ケーブル70aを、蓄電池モジュールB側へ向けて複数に(本実施形態の場合、2つに)分岐することができる。
【0079】
そして、基線側コネクタ2では、圧着部32及びタブ端子部31を有するタブ端子30が、一体に設けられている。すなわち、基線側コネクタ2によれば、制御モジュールC側の基線ケーブル70aを蓄電池モジュールB側へ向けて複数に分岐可能な基線側コネクタ2のタブ端子30を、1つの部材で形成することができる。そうすると、例えば複数の部材を組み立てることにより分岐用のコネクタの端子を形成する場合と比べて、部品点数及び組立工数を削減することができる。
【0080】
従って、基線側コネクタ2によると、部品点数及び組立工程が少なく、構成が簡素化された分岐用のコネクタを提供できる。
【0081】
また、基線側コネクタ2では、基線ケーブル70aに圧着部32を圧着することにより、基線側コネクタ2のタブ端子30を、基線側ケーブル70aに対して電気的且つ機械的に適切に接続することができる。
【0082】
また、基線側コネクタ2によれば、携帯電話基地局システム側と電気的に接続されているタブ端子部31が、カバー部25bによって覆われている。こうすると、例えば作業者が分岐線側コネクタ40を基線側コネクタ2へ嵌合する際に誤ってタブ端子部31に触れてしまうことを、カバー部25bによって未然に防止することができる。すなわち、基線側コネクタ2によれば、組立時における作業者の感電を防止できる。
【0083】
また、電気的接続装置1によれば、部品点数及び組立工程が少なく構成が簡素化された分岐用のコネクタ(基線側コネクタ2)を備えた電気的接続装置を構成することができる。
【0084】
また、電気的接続装置1によれば、図1を参照して、蓄電池モジュールBと基線70側との連結がコネクタ2,40によって行われているため、半田付け等を行うことなく、蓄電池モジュールBの交換を容易に行うことができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0086】
[変形例]
(1)図20は、変形例に係る基線側コネクタ2aのタブ端子30aの斜視図であって、該タブ端子30aが圧着された基線ケーブル70aとともに示す図である。上述した実施形態では、タブ端子30が1つのタブ端子部31を有する例を挙げて説明したが、これに限らず、複数の(図20に示す例の場合、3つの)タブ端子部31を有するタブ端子30aを構成してもよい。こうすると、1つの基線ケーブル70aを複数の分岐ケーブルに分岐することができるため、少数の基線側コネクタ2aを用いて基線ケーブル70aを多数の分岐ケーブルに効率的に分岐することができる。なお、本変形例に係る基線側コネクタ2aが有する基線側ハウジング部については、その図示を省略したが、図8に示すハウジング本体部4において、タブ端子部収容部20が左右方向に3つ配列されたハウジング本体部を構成すればよい。
【0087】
以上のように、本変形例によれば、上記実施形態の場合と同様、部品点数及び組立工程が少なく、構成が簡素化された分岐用のコネクタを提供できる。しかも、本変形例によれば、制御モジュールC側の基線ケーブル70aを、蓄電池モジュールB側へ向けて4つに分岐することができるため、上記実施形態の場合よりも多くの分岐線へ分岐することができる。
【0088】
(2)図21は、変形例に係る基線側コネクタ2bのタブ端子30bの斜視図であって、該タブ端子30bが圧着された基線ケーブル70aとともに示す図である。図20に示す変形例では、タブ端子30aが2つの圧着部32を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、図21に示すように、複数のタブ端子部31及び1つの圧着部32を有するタブ端子30bを構成してもよい。
【0089】
以上のように、本変形例によれば、上記実施形態の場合と同様、部品点数及び組立工程が少なく、構成が簡素化された分岐用のコネクタを提供できる。
【0090】
また、本変形例では、上述のように、圧着部32が1つだけ設けられている一方、タブ端子部31が複数、設けられている。これにより、圧着部32に接続されている基線ケーブル70aを複数の分岐ケーブル75に分岐することができる。
【0091】
(3)図22は、変形例に係る基線側コネクタ2cのタブ端子30cの斜視図である。また、図23は、図22に示すタブ端子30cと、該タブ端子30cが圧着された基線ケーブル70aとを示す斜視図である。
【0092】
上述した実施形態では、2つの基線ケーブル70aの各端部に圧着されることにより該2つの基線ケーブル70aを電気的且つ機械的に接続可能なタブ端子30を例に挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、図22及び図23に示すように、基線ケーブル70aの中途部分の被覆部が除去され、その部分に圧着されるタブ端子30cを構成してもよい。
【0093】
本変形例のタブ端子30cは、タブ端子部31及び圧着部32c(第1接続部)を有し、これらが一体に形成されている。タブ端子部31の構成は、上記実施形態のタブ端子部31の構成と同じであるため、その説明を省略する。
【0094】
圧着部32cは、側方から視て略U字状に形成されている。タブ端子30cでは、圧着部32cの内側に、中途部分の被覆部が除去されて導電部71が露出した基線ケーブル70aの該導電部71が配置される。この状態において、圧着部32cが内側へ折り曲げられることにより、図23に示すように、タブ端子30cが基線ケーブル70aに圧着される。
【0095】
以上のように、本変形例によれば、圧着部32cが基線ケーブル70aに電気的に接続された基線側コネクタ2cのタブ端子部31に、分岐線側コネクタ40のリセ端子部63を嵌合させることにより、基線側コネクタ2cに接続された携帯電話基地局システムと、分岐線側コネクタ40に接続された蓄電池モジュールBとを電気的に接続することができる。
【0096】
また、本変形例によれば、携帯電話基地局システム側の基線ケーブル70aを、分岐線側コネクタ40に接続された分岐ケーブル75に分岐することができる。すなわち、本変形例によれば、携帯電話基地局システム側の基線ケーブル70aを、蓄電池モジュールB側へ向けて複数に分岐することができる。
【0097】
そして、本変形例では、圧着部32c及びタブ端子部31を有するタブ端子30cが、上記実施形態の場合と同様、一体に設けられている。従って、本変形例に係る基線側コネクタ2cによると、部品点数及び組立工程が少なく、構成が簡素化された分岐用のコネクタを提供できる。
【0098】
(4)図24は、変形例に係る基線側コネクタ2dのタブ端子30dの斜視図である。また、図25は、図24に示すタブ端子30dと、該タブ端子30dが圧接された基線ケーブル70aとを示す斜視図である。
【0099】
図22及び図23を用いて説明した変形例では、基線ケーブル70aの中途部分に圧着されるタブ端子30cを例に挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、図24及び図25に示すように、基線ケーブル70aの中途部分に圧接されるタブ端子30dを構成してもよい。
【0100】
本変形例のタブ端子30dは、タブ端子部31及び2つの圧接部34(第1接続部)を有し、これらが一体に形成されている。タブ端子部31の構成は、上記実施形態のタブ端子部31の構成と同じであるため、その説明を省略する。
【0101】
各圧接部34は、左右方向から視て上方に開口する略U字状に形成されている。圧接部34は、刃部34a及び保持部34bを有している。圧接部34では、基線ケーブル70aが刃部34aの間の隙間部分を介して保持部34b側へ押し込まれる際に、該基線ケーブル70aの被覆が引き裂かれて導電部71が露出する。そのようにして露出した導電部71は、保持部34bの間で挟んで保持される。
【0102】
以上のように、本変形例によれば、上記実施形態の場合と同様、部品点数及び組立工程が少なく、構成が簡素化された分岐用のコネクタを提供できる。しかも、本変形例によれば、基線ケーブル70aに圧接部34を圧接することにより、基線側コネクタ2dのタブ端子30dを、基線側ケーブル70aの被覆を予め除去することなく、該基線側ケーブル70aに電気的且つ機械的に容易に接続することができる。
【0103】
(5)図26は、変形例に係る電気的接続装置1aの使用形態を模式的に示す図である。また、図27は、変形例に係る電気的接続装置1aが有する終端コネクタ18の終端コネクタ用タブ端子55の斜視図であって、該終端コネクタ用タブ端子55が圧着された基線ケーブル70aとともに示す図である。
【0104】
上述した実施形態では、電気的接続装置1が、基線側コネクタ2及び分岐線側コネクタ40を有する例を挙げて説明したが、これに限らず、基線側コネクタ2及び分岐線側コネクタ40に加えて、図27に示す終端コネクタ18を更に備えた電気的接続装置1aを構成してもよい(図26参照)。本変形例に係る電気的接続装置1aでは、図26を参照して、基線70の終端部70Eに終端コネクタ18が設けられ、その終端コネクタ18に分岐線側コネクタ40が接続されている。
【0105】
終端コネクタ18は、図26を参照して、終端コネクタ用タブ端子55(第2端子)を備えている。終端コネクタ用タブ端子55は、終端コネクタ用タブ端子部56(第2コンタクト部)及び終端コネクタ用圧着部57(第2接続部)を有している。終端コネクタ用タブ端子部56及び終端コネクタ用圧着部57は、一体に形成されている。
【0106】
終端コネクタ用タブ端子部56は、上述した実施形態のタブ端子部31と同様の形状を有している。具体的には、終端コネクタ用タブ端子部56は、タブ状に形成された部分として設けられている。
【0107】
終端コネクタ用圧着部57は、上述した実施形態の圧着部32と同様の形状を有している。具体的には、終端コネクタ用圧着部57は、円筒状に形成された部分として設けられている。終端コネクタ用圧着部57における一方側の端部には終端コネクタ用タブ端子部56が一体に設けられ、他方側の端部には開口部が形成されている。
【0108】
終端コネクタ18では、基線ケーブル70aの端部の被覆が除去されることにより露出した導電部71が終端コネクタ用圧着部57の開口部から挿通され、その状態の導電部71に対して終端コネクタ用圧着部57がかしめられる。これにより、終端コネクタ用圧着部57が、基線ケーブル70aの終端部70Eに対して電気的且つ機械的に接続される。そして、このように基線ケーブル70aの終端部70Eに接続された終端コネクタ18の終端コネクタ用タブ端子部56に、分岐線側コネクタ40が接続される。
【0109】
ところで、例えば上述した実施形態に係る基線側コネクタ2と分岐線側コネクタ40とを適宜、組み合わせて各ケーブル70a,75を結線し、システムを構築した場合、基線70の終端部70Eに設けられた基線側コネクタ2において、基線ケーブル70aが接続されない圧着部32が生じてしまい、その部分が開放されたままの状態となってしまう。
【0110】
この点につき、終端コネクタ18によれば、基線70の終端部70Eに終端コネクタ18を設けることにより、上述のように開放されたままの圧着部32が生じてしまうことを防止できる。しかも、終端コネクタ18には、端子部及び圧着部が1つずつ設けられているため、その構成を簡素化できる。
【0111】
(6)上述した実施形態では、基線側コネクタ2にタブ端子部31を設け、分岐線側コネクタ40にリセ端子部63を設ける例を挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、基線側コネクタにリセ端子部を設け、分岐線コネクタにタブ端子部を設けてもよい。
【0112】
(7)上述した実施形態及び各実施形態では、基線側コネクタ2を、圧着又は圧接により、基線ケーブル70aに固着する例を挙げて説明したが、これに限らない。具体的には、各基線ケーブル70aの端部に接続された他のコネクタ(他の部材)と嵌合可能な基線側コネクタを構成してもよい。
【0113】
(8)上述した実施形態では、圧着部32の形状を円筒状としたが、これに限らない。具体的には、圧着部の形状は、筒状の壁部が開いた状態の、いわゆるオープンバレル状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、ケーブルを分岐するためのコネクタ、及びこのコネクタを備えた電気的接続装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0115】
1,1a 電気的接続装置
2,2a〜2d 基線側コネクタ(コネクタ)
18 終端コネクタ
30,30a〜30d タブ端子(端子)
31 タブ端子部(第1コンタクト部)
32,32c 圧着部(第1接続部)
32R 右側圧着部(第1接続部)
32L 左側圧着部(第1接続部)
34 圧接部(第1接続部)
40 分岐線側コネクタ(相手側コネクタ)
55 終端コネクタ用タブ端子(第2端子)
56 終端コネクタ用タブ端子部(第2コンタクト部)
57 終端コネクタ用圧着部(第2接続部)
63 リセ端子部(相手側コンタクト部)
70a 基線ケーブル(導電線)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図26
図27