【解決手段】カテーテル本体はナビゲーションのための磁気センサ及び/又は超音波センサを備える。柔軟性があり、1つ又は2つ以上のループを形成するように構成することができる。非オーバーラップループであってもよく、同心ループであってもよい。あるいは、1つ又は2つ以上のスプラインを形成するように構成することができる。埋め込まれた電極集合体を含むことができ、電極集合体の電極は、1つ又は2つ以上の列に配列され、波頭を検出するように構成することができる。電極集合体はまた、活性化配列を生成し、活性化源の方向を判定するように構成することができる。電極集合体はまた、活性化源のタイプ、例えば、回転性活性化源、局所性活性化源、及び単一幅性活性化源を判定するように構成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
心不整脈としては、様々な種類の異常又は不規則な心拍リズム、例えば、急速かつ不規則な拍動を特徴とする心房細動(AF)等が挙げられる。正常洞調律を有する患者では、心房、心室及び興奮伝導組織からなる心臓は、電気的に興奮して、同期的な、パターン化した様式で拍動する。心不整脈を有する患者において、心臓組織の異常領域は、正常洞調律と関連付けられた同期的な拍動周期に従わない。その代わりに、心臓組織の異常領域は、隣接組織に異常に伝導することにより、心周期を妨げ、非同期的な心リズムとなる。そのような異常な伝導は、例えば、洞房(SA)結節の領域内、房室(AV)結節及びヒス束の伝導経路に沿って、あるいは心室及び心房室の壁を形成する心筋組織内などの、心臓の様々な領域で発生することが、既に知られている。
【0011】
心房性不整脈を含む心不整脈は、心房室の回りで散乱し、自己伝播する場合が多い、電気インパルスの複数の非同期性ループを特徴とする多小波リエントラント型(multiwavelet re-entrant type)である場合がある。多小波リエントラント型に代えて、又はそれに加えて、心不整脈はまた、心房の組織の隔離された領域が、急速で反復的な様式で自律的に興奮する場合等の局所的な起点、又は心臓の不規則領域が回転性電気パルスを表す等の回転性活動パターン(RAP)を有する場合がある。
【0012】
AF、特に、持続性AFのマッピング及び治療は、非常に困難なことである。高周波(RF)エネルギーを使用するAFの従来の治療は、あらゆる異所性電気活動を隔離し、異所性電気活動が心房へ伝播することを防止するために、肺静脈(PV)の前庭部を囲むアブレーション線を生成することによる。従来の肺静脈隔離(PVI)治療に、更なるアブレーション線及び/又は基質調節が加えられることが通常である。この治療では、長期間の意に満たない結果が明らかとなった。例えば、治療した患者のほぼ50%が、処置後1〜2年以内に心房細動の再発を経験している。更に、心臓活性化の従来のマッピング方法は、AFのメカニズムが十分に定義されていないために、AFのマッピングには適していない。PVを起点にし、AFを誘発する異所性拍動に加えて、PV以外の領域での他のメカニズムが、AFの開始及び継続に重要な役割を果たしている。その結果、AFの治療において、PVIはこれまで、長期間の意に満たない結果をもたらしてきた。
【0013】
それ故、電気生理学者は、AFの潜在的メカニズムとして、RFアブレーションによる標的とするための、PV以外の領域を起点とする更なるトリガを調査している。これらのトリガを発見し、場所を特定するために、種々のアプローチ及び技術が開発されてきた。最も認識されている技術は、活性化マップを生成するための特定のアルゴリズムを用いる、バスゲット型カテーテルによる心内膜マッピング又は心外マッピングを使用した、心房全体のマッピングに基づいている。
【0014】
これら既存の技術のそれぞれは、リエントラント型活性又は局所性トリガの形態の、PV外を起点とする更なるトリガを判定する可能性を示した。しかしながら、これら既存の技術は全て、マッピングした心室の低解像度、及び適用範囲の面積の小ささといったいくつかの基本的な制限を共有している。更に、それぞれの技術の処理方法の結果としての調査結果の不確実性に関連する特定の制限がある。
【0015】
カテーテルアブレーションに使用する従来の方法及びシステムは通常、皮膚の切開部を通って心臓まで誘導されるカテーテルを挿入することを含む。アブレーションを実施する前に、心臓の様々な区域に配置された電極を介して心臓の心内心電図(IC ECG)シグナルが得られる。このシグナルを監視及び使用して、心臓の1つ又は2つ以上の区域が不規則な心拍を引き起こしているかどうかを判定するための情報を提供することができる。しかしながら、これらのアブレーション対象区域を判定するために使用する従来の方法及びシステムは、時間がかかり(例えば数時間)、特定の専門技術を有する医療関係者、及び多くの時間の訓練を必要とする経験に依存している。それ故、任意の解剖点において活性化配列を特定し、活性化の起点を追跡するというコンセプトに基づいて、心腔をより容易にマッピングするようにカテーテルを適合させることが所望されていると考えられる。
【0016】
本明細書にて開示した実施形態は、アブレーションの標的となる、潜在的な関心領域(ROI)を判定するシステム、装置及び方法を用いる。種々のマッピング手法を利用して、AF基質(AF substrate)の電気物理的状態のマップ、及び潜在的なアブレーションのROIを効率的かつ正確に判定することができる、AFプロセスの時空間的発現を表すマップを提供する。マッピング手法では、得られたIC ECGシグナル及び検出したLATの種々のパラメータ(例えば、周期、早期性、R−S複合体、伝導速度(CV)、ブロック及び細分化)を利用して、AF基質の促進因子(driver)及び永続因子(perpetuator)の潜在的兆候を特定する。促進因子及び永続因子の潜在的兆候の特定を使用して、AF基質のマッピング(例えば、促進因子のマップ及び永続因子のマップ)を提供する。マッピング手法はまた、得られたIC ECGシグナル及び検出した局所活性化時間の種々のパラメータを利用して、AFプロセスの時空間的発現を潜在的に表すマッピング(例えば、活性化/波マップ、CVマップ、細分化マップ、電圧マップ、及びブロックマップ)を行なうことも含む。AFプロセスの時空間的発現のマッピングを、AF基質のマッピングに加えて又はその代わりに使用して、潜在的なアブレーションのROIを特定することができる。マッピング手法を使用して、潜在的にAFマップを解析する訓練時間が減少し、アブレーションによる成功率が増加し、AFマップの効率的な判読が容易になる。簡便化の目的のために、本明細書で記載される実施形態は、AFの治療のために使用されるシステム及び方法について言及する。しかしながら、実施形態は、様々な種類の異常又は不規則な心拍を含む、任意の種類の心不整脈の治療に対して使用することができることに留意されたい。
【0017】
図1は、本明細書にて開示された実施形態で使用されるAFの例示的な分類を示すブロック図である。
図1の例示的な分類は、危険性AFと非危険性AF、及びAFの促進因子と永続因子、及びこれらの相対的な時空間的パターンを区別する。
【0018】
例えば、
図1に示すように、AF 102としての特徴を有する不規則な心拍は、危険性104又は非危険性106として分類される。非危険性AF 106の例としては、心拍が多くの場合、数秒以内又は数時間後にできるだけ早期に正常化する発作性(すなわち、間欠性)の不規則な心拍の発生、及び通常の心臓が拍動の内科治療又は処置(例えば、心臓除細動)により回復することができる持続性のある不規則な心拍発生が挙げられる。危険性AF 104の例としては、心臓が絶えず続くAFの状態にあり、状態が永続的であると考えられる長めの期間(例えば、1年を超えて)継続する長期にわたる持続性のある不規則な心拍発生が挙げられる。
【0019】
危険性AFは、IC ECGシグナルから誘導することができる特徴(例えば、活性化の領域)に従って分類することができる。活性化の領域は、AFの潜在的な一因となる因子として特定することができる。
図1に示すように、危険性AFは、AFの潜在的な促進因子(以下、促進因子)又はAFの潜在的な発生源(以下、発生源)108及び、AFの潜在的な永続因子110(以下、永続因子)を含む、様々な活性化の領域に従って分類される。促進因子108は、電気パルスが発生して、心臓を刺激して収縮させ、例えば、心房の他の区域への細動様伝導(fibrillatory conduction)を生み出すことにより、潜在的にAFの一因となり得る(例えば、心房内の)活性化の領域である。永続因子110は、また潜在的にAFの一因となり得る持続した活性化の領域(例えば、電気生理学的プロセス/基質)である。
【0020】
これらの時空間的発現に従って、促進因子108及び永続因子110を表す(例えば、マッピングする)ことができる。
図1に示すとおり、促進因子108及び永続因子110は、局所性発生源(焦点)112、及び局在化回転性活性化(LRA)発生源又は回転性活性化パターン(RAP)発生源114を含む例示的な時空間的発現タイプにより分類される。局所性発生源は、一点から遠心的に広がる、心房の小さい区域を起点にする促進因子の1種である。RAP 114発生源は、電気パルスが中央区域を中心に少なくとも360°回転する心臓の領域である。
【0021】
図1はまた、秩序性伝導遅延116を示すあるタイプ、及び無秩序性伝導遅延118を示す別のタイプを含む、様々なタイプの永続因子110を示している。
図1に示す別のタイプの永続因子110としては、秩序性伝導遅延116を特徴とする心房粗動(AFL)120、並びに無秩序性伝導遅延118を特徴とする挙動を示す、局在化した不規則な活性化(LIA)122、線状ギャップ124、及びピボット126(すなわち、中央区域を中心に360°未満回転する電気パルス)が挙げられる。また、RAP発生源114は、促進因子型と永続因子型の両方として示されている。促進因子108及び永続因子110は例えば、別々にマッピングされて、促進因子108のタイプ及び/又は永続因子110のタイプの特定を容易にし、潜在的なアブレーションのROIを効率的かつ正確に判定することができる。
【0022】
促進因子108及び永続因子110のマッピング及び特定はまた、潜在的にAFの一因となり得る1つ若しくは2つ以上の更なる因子、又はAF基質を潜在的に特徴付けることができるパラメータ(すなわち、AFプロセスそのもの)及び/若しくはAFプロセスの発現に基づいてもよい。例えば、潜在的な局所性発生源108を特定するために使用するAFパラメータ又はAF因子としては、ある点からの活性化の無指向的な活性化の広がり、早期性(例えば、興奮間隙の後に開始する局所性発生源)、急速な興奮(例えば、短い周期長かつ高い主周波数の)集中点及びブレイクスルー(例えば、PV、自由壁及び経壁、心内膜及び心外膜)等のトリガ、並びに局所性発生源として発現するマイクロリエントリ回路及び中央障害物の特定の異方性構造に応じて促進因子108として発現することができる短半径のリエントリ回路が挙げられる。
【0023】
RAP発生源114をマッピングし、特定するために使用されるAFパラメータ又はAF因子としては、例えば、反復周期、促進因子源108として発現可能な回転子、(例えば、局在化又は分布した)構造的又は機能的異方性、及び中央障害物の特定の異方性構造に応じて、促進因子108又は永続因子110のいずれか一方として発現可能な短半径のリエントリ回路が挙げられる。
【0024】
永続因子110をマッピングし、特定するために使用されるAFパラメータ又はAF因子としては、例えば、延長した(増大した)経路長、解剖学的(病理学的)ブロック線、繊維症、安定した機能的ブロック線(例えば、不能状態が持続した区域)、臨界部(例えば、ブロック線周辺の最短の経路>経路長)及び細動伝導因子(例えば、分離した波、リエントリ回路因子)が挙げられる。
【0025】
図2は、本明細書にて開示した実施形態で使用するための、アブレーションのためのAFのROIを判定するために使用される例示的なシステム200を示すブロック図である。
図2に示すように、システム200は、カテーテル202、処理デバイス204、及び表示デバイス206を備える。カテーテル202は、それぞれが、経時的な心臓の区域の電気活動(電気シグナル)を検出するように構成された、カテーテルセンサ(例えば、電極)のアレイを含む。IC ECGを実施する場合、それぞれの電極は、電極と接触した心臓の区域の電気活動を検出する。システム200はまた、心臓の電気生理学的パターンが原因の皮膚上での電気的変化の検出による、心臓の電気活動を検出するように構成された心外センサ210(例えば、患者の皮膚上の電極)を含む。
【0026】
検出したIC ECGシグナル及び検出した心外シグナルを、処理デバイス204により処理(例えば、経時的に記録、フィルタリング、細分化、マッピング、結合、加工等)し、表示デバイス206上に表示する。
【0027】
実施形態には、IC ECGシグナル及び心外ECGシグナルを検出するためのセンサを含む、ECGシグナルを検出するための任意の数のセンサが含まれる。いくつかの実施形態において、アブレーションのROIを判定する開示した方法は、IC ECGシグナル及び心外ECGシグナルを使用する。いくつかの実施形態において、アブレーションのROIを判定する方法は、IC ECGシグナル又は心外ECGシグナルのいずれか一方を使用する。例えば、アブレーションのROIを判定するいくつかの方法は、心外ECGシグナルを使用することなくIC ECGシグナルを使用する。簡便化の目的のために、以下の例ではIC ECGシグナルを指すものの、これらの例は、心外ECGシグナルにもまた適用することができ、又は心外ECGシグナルと組み合わせて適用することができると理解される。
【0028】
処理デバイス204は、それぞれがIC ECGシグナルを処理するように構成されている1つ又は2つ以上のプロセッサを備えることができる。処理デバイス204のそれぞれのプロセッサは、経時的にIC ECGシグナルを記録し、ECGシグナルをフィルタリングし、IC ECGシグナルをシグナルの構成要素(例えば、傾斜、波、複合体)に細分化し、IC ECGシグナルをマッピングし、IC ECGシグナル情報を組み合わせ、マッピングし、マッピング情報を加工する等を行なうように構成することができる。
【0029】
表示デバイス206は、それぞれが、ECGシグナル、ECGシグナル情報、AFプロセスのマップ、及びAFプロセスの時空間的発現を表すマップを表示するように構成された1つ又は2つ以上のディスプレイを含んでもよい。
【0030】
カテーテルセンサ208及び心外センサ210は、処理デバイス204と有線又は無線で通信することができる。表示デバイス206もまた、処理デバイス204と有線又は無線で通信することができる。
【0031】
図3A及び
図3Bは、AFのROIを判定する例示的な方法300を示すフローチャートの部分図である。方法300は、中心部から外側に向かってIC ECG層、前処理層、LAT検出層、マップ分割層、マップ加工層、及びマップ判読層を含むマッピング分類法を用いる。
【0032】
図3Aは、例示的な方法300の一部を示す。
図3Aのブロック302に示すように、方法300は、IC ECG層の一部として、心臓のある区域の電気活動を表すIC ECGシグナルを得ることを含む。ブロック302で得られるIC ECGシグナルは、例えば、心臓の様々な区域と接触する多数の電極のうち1つから得られる。IC ECGを得た(302)後、方法300は、前処理層の一部として、
図3Aのブロック302に示すように、得られたECGシグナルを前処理することを含む。前処理は、例えば、心室遠視野(ventricular far field)シグナルの取消、ベースラインの補正、及びノイズ除去等の、1つ又は2つ以上のアルゴリズムの実行を含んでもよい。心室遠視野の検出の例としては、空間平均法(SAM)、時間平均法(TAM)、システム特定法(SIM)、及び主成分解析(PCA)を挙げることができる。
【0033】
ブロック302で得られた、それぞれの得られたIC ECGシグナルに関して、対応する前処理されたIC ECGシグナルの1つ又は2つ以上のLATがブロック304で検出される。それぞれのシグナルの(
図3AでLATQとして示される)LAT品質(LAT quality)は、例示的なLAT検出層の一部としてブロック306で判定される。シグナルの(
図3AでCPLXとして示される)AF複雑性(AF complexity)は、ブロック308で判定される。
【0034】
決定点310で示すように、方法300は、シグナルのLAT品質及びAF複雑性に基づいて、カテーテルを復位するかどうかを判定することを含む。品質の高いIC ECGの典型的な特徴としては、ベースラインのうねりがほとんどないこと(例えば、低いベースライン対IC−ECG RMSの振幅、限定された心室遠視野電位対IC−ECG RMSの振幅)が挙げられる。IC−ECGシグナルの特徴としては、AF中に特定可能な心房複合体(例えば、(50〜200ms間隔、約150msの中央値である)等電性セグメントの反復傾斜(isoelectric segments repeating slopes)により分離された、閉じ込められた(約50ms)複合体が挙げられる。品質の高い複合体の特徴は通常、複合体内に相当の増幅、及び下方向への急な傾斜(対上方向への傾斜)を有する。IC ECGシグナルの特徴を(例えば、測定可能な0%〜100%の値を有する)測定可能な単一の特徴又はパラメータに組み合わせて、LAT品質を規定することができる。LAT品質をAF複雑性と比較して、カテーテルを復位すべきかどうかを判定することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、AF複雑度に関してAFをマッピングする能力により品質を規定する。カテーテルを復位するかどうかを判定することは、マップを生成し、生成したマップを使用して、マッピング電極の適用範囲の程度が、AF複雑度を満たす(例えば、一致する)かどうかに基づき、AFをマッピングすることができる(例えば、マッピングするのに十分である)かどうかを判定することを含んでもよい。AF複雑度に関してAFをマッピングする能力は、マップの閾値(例えば、十分な程度、信頼できる程度)を満たすことを含んでもよい。単一のパラメータ(すなわち、マッピングの適用範囲)を使用して、マッピング電極の適用範囲の程度を規定する。マッピングの適用範囲を規定するために組み合わせられる特徴の例としては、(1)マッピング電極の接触(例えば、カバーした区域に関係する活性組織(壁)との接触とLATの正確性)、(2)電極の分解能(例えば、平均距離、最小距離及び最大距離を含む電極間の距離及び電極の感度半径)、(3)検出アルゴリズムにより提供されるIC ECGの品質及び関係するアノテーションが挙げられる。
【0036】
AF複雑性としては、AFが波の分解(ブロック線)、融合及び波の湾曲を生成する間の、活性化の複雑性を挙げることができる。したがって、(例えば、y軸に沿って測定される)あるAF複雑度が所与の場合、(x軸に沿って測定されるシグナル及びアノテーションの品質を含む)マッピング適用範囲が、AF複雑性をマッピングするのに十分である場合に、AFをマッピングするために使用することができる(例えば、信頼できる又は十分な)マップとして、マップを判定してもよい。そうでない場合、マップの信頼性は損なわれるか、又は不十分となり得る。
【0037】
次に、信頼できるか又は十分なマップを使用してシグナルを解析して、カテーテルを復位すべきかどうかを判定することができる。決定点310にてカテーテルを復位することを判定した場合、カテーテル(例えば、カテーテル202)はブロック312で復位され、ブロック302で新しいIC ECGシグナルが得られる。決定点310でカテーテルを復位すべきであることを判定した場合、方法300は、(
図3A及び
図3Bに示される)「点A」313へと続く。
【0038】
図3Aは、簡便化の目的のために、単一のIC ECGシグナルを得ることを示す。しかしながら、実際には、心臓に接触する複数の電極のそれぞれについての複数のシグナルが得られる。ブロック202で得られるそれぞれのIC ECGシグナル、及びシグナル毎にブロック204で検出された1つ又は2つ以上のLATは、「点A」313で受信される。
【0039】
図3Bは、潜在的なアブレーションのROIを判定するために使用することができる例示的な方法を示す。
図3Bに示すように、得られたそれぞれのIC ECGシグナル、及びシグナル毎に検出された1つ又は2つ以上のLATを使用して、(
図3BでAF基質314として示される)AF基質の電気物理的状態を含むAFプロセスのマップ、及び例示的なマップ分割層の一部としての、(
図3BでAFプロセス316として示される)AFプロセスの時空間的発現を表すマップを生成する。
【0040】
例えば、
図3Bに示すAF基質314に関して、検出した1つ又は2つ以上のLATを使用して、AFの一因となり得る1つ又は2つ以上の因子又はパラメータを独立して判定する。
図3Bの左側は、所定の時間窓にわたり情報を収集しながら、後続のLAT 318、最初の活性化(早期性)324、並びにRS比320及び細分化322(例えば、細分化した電気記録図)を含むIC ECGの形態的側面の違いに基づく、平均間隔(例えば、周期)を評価することによりAF基質を特徴付ける方法を示す。例えば、検出したLATを使用して、ブロック318にて周期情報(例えば、周期長)を判定し、ブロック324にて早期性情報(例えば、最早期活性化時間、興奮間隙の後に開始する初期の促進因子)を独立して判定する。それぞれのIC ECGシグナルを使用することで、ブロック320にてR−S複合体情報(例えば、S波に対するR波の比率)、並びにブロック322にてIC ECGシグナルの細分化(例えば、傾斜情報、例えば、関係する電極が隣接する電極よりも早く活性化された割合を示すといった、複数の電極のうち1つからの最早期活性化として提示される、発生源の挙動の発生を示す情報)により得られる情報、並びにブロック326にてCVブロック情報(例えば、心臓を通過する電気インパルスの伝導(すなわち、進行)遅延又はブロックを示す情報、例えば、電気パルスが心臓内のある距離を移動する伝導時間(CT)、経路長(すなわち距離)、及び電気パルスのCV)もまた独立して判定される。
【0041】
促進因子マップ328は、周期情報318、早期性情報324、及びR−S複合体情報320から生成される。永続因子マップ330は、CVブロック情報326、及び細分化情報322から生成される。ブロック330で示すように、促進因子マップの生成に使用した情報と永続因子マップの生成に使用した情報を組み合わせて(例えば、1つのマップ、又は1つのディスプレイ区域内での重ねたマップ若しくは隣接するマップ)、組み合わせた促進因子/永続因子マップ334を生成する。次に、組み合わせた促進因子/永続因子マップ334を使用して(例えば、例示的なマップ加工層の一部として加工して)、ブロック350にて1つ又は2つ以上のアブレーションのROIを判定することができる。
【0042】
図3Bに示すAFプロセス316に関して、検出した1つ又は2つ以上のLATを使用して、活性化/波マップ336、CVマップ338(例えば、電気パルスのCT、経路長及び/又はCVから生成したマップ)、並びにブロックマップ344(例えば、シグナルの伝導における妨害物を示す情報から生成したマップ)を独立して生成する。
【0043】
活性化/波マップ336は、例えば、同一の波により活性化された隣接電極により制限されるものの、隣接電極よりも早く活性化された対応する電極により検出される、活性化波の割合を示すといった、同一の波により制限された複数の電極のうちの1つの最早期活性化を提示する発生源の挙動の発生を表すマップを含んでもよい。活性化/波マップ336はまた、例えば、細動波の開始と関係する電極位置の発生を表すマップを含んでもよい。
【0044】
それぞれのIC ECGシグナルを使用して、電圧マップ342及び細分化マップ340を独立して生成する。マップ336〜344の生成に使用した情報を組み合わせて、組み合わせたマップ又はビデオ346を提供する。いくつかの実施形態において、活性化/波マップ336及び電圧マップ342の生成に使用した情報を組み合わせて、組み合わせた活性化/波/電圧マップ又はビデオを生成し、CVマップ338、ブロックマップ344、及び細分化マップ340の生成に使用した情報を組み合わせて、組み合わせたCV/ブロック/細分化マップ又はビデオを生成する。ブロック348にて、組み合わせたマップ/ビデオ346を解析(例えば、例示的なマップ判読層の一部として、医療関係者により判読)して、ブロック350でアブレーション対象のROIを判定する。組み合わせたマップ/ビデオ346は、容易に可視化及び判読可能なAFプロセス316の時空間的発現を表し、アブレーションのためのROIを判定するための、効率的かつ正確なプロセスを容易にすることができる。判定されたROIを、例えば、色、4Dマップ上の3D断面、アイコン(例えば、動的に変化するアイコン)等により表す(例えば、表示する)ことができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、組み合わせた促進因子/永続因子マップ334と、組み合わせたマップ/ビデオ346の両方を使用して、ブロック350にてアブレーションのためのROIを判定する。いくつかの実施形態において、組み合わせた促進因子/永続因子マップ334又は組み合わせたマップ/ビデオ346のいずれか一方を使用して、ブロック350にてアブレーションのためのROIを判定する。例えば、組み合わせたマップ/ビデオ346を使用する(例えば、見る、解析する)ことなく、組み合わせた促進因子/永続因子マップ334を使用して、ブロック350にてアブレーションのためのROIを判定することができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、品質マップ332もまた、組み合わせた促進因子/永続因子マップ334及び/又は組み合わせたマップ/ビデオ346と組み合わせて使用して、ブロック350にてアブレーションのためのROIを判定する。品質マップ332を使用して、AF基質314に関係する生成されたマップ(例えば、促進因子マップ328、永続因子マップ330、及び促進因子/永続因子マップ334)、並びにAFプロセス316パラメータに関係する生成されたマップ(例えば、活性化/波マップ336、CVマップ338、細分化マップ340、電圧マップ342、及びブロックマップ344)の信頼性を判定する。品質マップの品質が低いと、生成したマップは信頼性が低く、品質マップが、生成したマップの基準として高い品質のシグナル(IC ECG)を示す場合と比較して、アブレーションのROI(350)を指定することは、(例えば、医師による)注意レベルが高いとみなさなければならない。
【0047】
いくつかの実施形態において、ブロック350でのアブレーションのためのROIを判定することは、アブレーションのための1つ又は2つ以上のROIの判定に使用する1つ又は2つ以上のアブレーション部位の指定又は選択を含む。例えば、促進因子の兆候及び永続因子の兆候からアブレーション部位を指定又は選択(例えば、促進因子マップ328、永続因子マップ330、又は組み合わせた促進因子/永続因子マップ334から判定)してもよく、指定した部位に基づいてROIを判定してもよい。
【0048】
本明細書にて開示したマップ及びマッピング手法は、潜在的に、(i)AFマップの解析訓練時間を減少させ、(ii)アブレーションのためのROIを判定する時間を減少させ、(iii)AFマップの効率的な判読を容易にし、(iv)促進因子の隔離及び消滅、経路の延長、リエントリ回路、細動伝導、及び細分化した電位の低速化を目的とするアブレーションに対するアブレーションの成功率を増加させる。
【0049】
図4は、本発明の装置を使用した本発明の一実施形態による心臓アブレーションのリアルタイムマッピングのための例示的なマッピングシステム100の模式図である。システム400は、記録したシグナルを表示するためのディスプレイ410と、好ましくはコンピュータ420のハウジング内に通常は収容されている適切なシグナル処理回路を含むコンピュータ420と、を含備える。コンピュータ420は、本明細書で記載される機能を実施するために、ソフトフェア及び/又はハードウェア内でプログラミングされていることが好ましい。ソフトウェアは例えば、ネットワークにより電子形態でコンピュータ420にダウンロードされてもよく、又はあるいは、磁気若しくは光学媒体若しくは他の不揮発性メモリ等の有形媒体で提供されてもよい。いくつかの実施形態において、コンピュータ420は、汎用コンピュータを含む。システム400は、プローブ又はカテーテル430を更に備える。
【0050】
心内膜マッピング、及び心房から組織をアブレーションするために適合されたカテーテルは、カテーテル本体と、それぞれの列が隣の列から任意の程度だけ離れるように多数の電極が何列にも配列されている多数の非オーバーラップループを含む電極集合体と、を含む。いくつかの実施形態において、非オーバーラップループは、同心ループであってもよい。カテーテルのループは、任意の数であってもよい。例えば、カテーテルは、それぞれの列に3つの電極があり、それぞれの列が隣の列から90°だけ離れるように、3つのループで構成することができると考えられる。更に、列あたりの電極の数は、5以上から20以上の電極まで増加することができる。電極はまた、マッピング能力を有することに加えて、RFを送達して、組織をアブレーションするように構成されてもよい。
【0051】
カテーテル及び電極集合体の構成により、心房のより速やかなマッピングが可能になり得る。また、この構成により、心腔の全ての面を適用範囲とすることができる。カテーテルはまた、活性化配列の連続表示を介して、ユーザに即時性のある情報を提供することにより、活性化マップの複雑な処理及び生成の段階を飛ばすことも可能となり得る。カテーテルの構成により、ユーザはまた、正確にトリガ/発生源を調査し、場所を特定することが可能となり得る。カテーテル及びシステムにより、ユーザは、RF適用のための合理的な戦略を立て、アブレーション中のリアルタイムでの活性化の変化を監視することが可能となり得る。
【0052】
図5は、細長い形態で示される、直接的かつ局所的な治療のためにAFをマッピングし、活性化源を特定するように構成された例示的なカテーテル500の平面図である。カテーテル本体10は、単一の、軸方向又は中央の内腔を有する細長い管状の構造を含む。カテーテル本体10は、可撓性、すなわち屈曲可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体10は、任意の適当な構造のものであってもよく、任意の適当な材料で製造することができる。ある例示的な構造において、ポリウレタン又はPEBAXの外壁を使用してもよい。別の例示的な構造において、外壁は、カテーテル本体10のよれ剛性を増加させるための、埋め込まれたステンレス鋼の網組メッシュ等を含んでもよい。
【0053】
本例では、16個の電極がカテーテル本体10の長さに沿って分布している。電極A1、B1、C1、及びD1は、カテーテルが渦巻き状になって、非オーバーラップループを形成する場合に、最も外側のループを形成するように構成されている。電極A1、B1、C1、及びD1は、カテーテルが渦巻き状になって、非オーバーラップループを形成する場合に、次の内側ループを形成する電極A2、B2、C2、及びD2よりも更に離れて配置される。電極A1、B1、C1、及びD1は、非オーバーラップループを形成する場合に、それぞれ電極A2、B2、C2、及びD2と実質的に直接位置合わせすることができるように構成されている。電極A2、B2、C2、及びD2は、カテーテルが渦巻き状になって、非オーバーラップループを形成する場合に、次の内側ループを形成するように構成されている電極A3、B3、C3、及びD3よりも更に離れて配置される。電極A3、B3、C3、及びD3は、カテーテルが渦巻き状になって、非オーバーラップループを形成する場合に、電極A1、B1、C1,D1とそれぞれ、かつ電極A2、B2、C2、及びD2とそれぞれ、実質的に直接位置合わせすることができるように構成されている。電極A3、B3、C3、及びD3は、本例において最も内側のループを形成するように構成されている電極A4、B4、C4、及びD4よりも更に離れて配置される。電極A4、B4、C4、及びD4は、カテーテルが渦巻き状になって、非オーバーラップループを形成する場合に、電極A1、B1、C1、D1とそれぞれ、電極A2、B2、C2、及びD2とそれぞれ、そして電極A3、B3、C3、及びD3とそれぞれ、実質的に直接位置合わせすることができるように構成されている。
【0054】
本例では、カテーテルが渦巻き状になって、非オーバーラップループを形成する場合に、最初のループの直径はおよそ25mmとなり得るため、隣接する電極間A1〜B1、B1〜C1、C1〜D1、及びD1〜A2のそれぞれの距離はおよそ20mmとなり得る。2番目のループの直径はおよそ20mmとなり得るため、隣接する電極間A2〜B2、B2〜C2、C2〜D2、及びD2〜A3のそれぞれの距離はおよそ16mmとなり得る。3番目のループの直径はおよそ15mmとなり得るため、隣接する電極間A3〜B3、B3〜C3、C3〜D3、及びD3〜A4のそれぞれの距離はおよそ12mmとなり得る。4番目のループの直径はおよそ10mmとなり得るため、隣接する電極間A4〜B4、B4〜C4、及びC4〜D4のそれぞれの距離はおよそ8mmとなり得る。
【0055】
図6は、実質的に平らな渦巻き形状で示される
図5の例示的なカテーテルである、例示的なカテーテル600の平面図である。本例では、カテーテル600は、シースから出ると、円形状を形成するように構成されているカテーテル本体10を含んでもよい。本例では、簡便性のため、カテーテル600の円形末端部分のみが示されている。カテーテル本体10は、シースから出ると、列のそれぞれの組の間が90°だけ離れている4つの列に電極が配列されるように、16個の電極を有する4つの非オーバーラップループを形成するように構成することができる。それぞれの電極の列が隣の列の電極から90°だけ離れるように、それぞれのループの半径と、連続する電極間の距離が、電極の列の位置合わせを決定するように、カテーテルを構築してもよい。
【0056】
カテーテル600の円形末端部分は、カテーテルシャフトの遠位端に固定することができる。カテーテル600の円形末端部分は弾力性があってもよく、カテーテル600がシースから出る際に、予備成形された弓状のループとなることを想定して形成されてもよい。したがって、カテーテル600は、シースから出ると、予め設計された非オーバーラップループに戻る。
【0057】
本例では、16個の電極が4つの列A、B、C、及びD間に分配される。列Aは、電極A1、A2、A3、及びA4を含み、電極A1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極A2、A3、及びA4は、対応する内側のループに配置されており、電極A4は最も内側のループに位置する。同じ列内の電極間の距離は、およそ25mmの最も外側のループの直径を有するカテーテルについては、約3mmである。列Bは、列Aから90°だけ離れており、電極B1、B2、B3、及びB4を含み、電極B1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極B2、B3、及びB4は、対応する内側のループに位置し、電極B4は最も内側のループに位置する。列Cは、列Bから90°だけ離れており、電極C1、C2、C3、及びC4を含み、電極C1は最も外側のループに位置する。それぞれ連続する電極C2、C3、及びC4は、対応する内側のループに位置し、電極C4は最も内側のループに位置する。列Dは、列Cから90°だけ離れており、電極D1、D2、D3、及びD4を含み、電極D1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極D2、D3、及びD4は、対応する内側のループに位置し、電極D4は最も内側のループに位置する。
【0058】
同じ列内の電極間の距離は、およそ3mmとなり得る。例えば、列Aにおいて、電極A1〜A2、A2〜A3、及びA3〜A4の距離はそれぞれ、およそ3mmとなり得る。本例では、列B、C、及びDの電極は、列Aと同じ距離パターンに従うと考えられる。
【0059】
本例では、最も外側のループの直径は、およそ25mmとなり得るため、隣接する電極間A1〜B1、B1〜C1、C1〜D1、及びD1〜A2のそれぞれの距離は、およそ20mmとなり得る。次の内側のループの直径は、およそ20mmとなり得るため、隣接する電極間A2〜B2、B2〜C2、C2〜D2、及びD2〜A3のそれぞれの距離はおよそ16mmとなり得る。次の内側のループの直径はおよそ15mmとなり得るため、隣接する電極間A3〜B3、B3〜C3、C3〜D3、及びD3〜A4のそれぞれの距離は、およそ12mmとなり得る。最も内側のループの直径はおよそ10mmとなり得るため、隣接する電極間A4〜B4、B4〜C4、及びC4〜D4のそれぞれの距離はおよそ8mmとなり得る。
【0060】
図7は、3つの非オーバーラップループを有する実質的に平らな渦巻き形状で示される、直接的かつ局所的な治療のためにAFをマッピングし、活性化源を特定するように構成された例示的なカテーテル700の平面図である。本例では、カテーテル700は、シースから出ると、円形状を形成するように構成されているカテーテル本体10を含むことができる。本例では、簡便性のために、カテーテル700の円形末端部分のみが示されている。カテーテル本体10は、電極が、列のそれぞれの組の間が90°だけ離れている3つの列で配列されるように、12個の電極を有する3つの非オーバーラップループを形成するように構成することができる。それぞれの電極の列が隣の列の電極から90°だけ離れるように、それぞれのループの半径と、連続する電極間の距離が、電極の列の位置合わせを決定するように、カテーテルを構築してもよい。
【0061】
カテーテル700の円形末端部分は、カテーテルシャフトの遠位端に固定することができる。カテーテル700の円形末端部分は弾力性があってもよく、カテーテル700がシースから出る際に、予備成形された弓状のループとなることを想定して形成されてもよい。したがって、カテーテル700は、シースから出ると、予め設計された非オーバーラップループに戻る。
【0062】
本例では、12個の電極は、3つの列A、B、及びC間に分配される。列Aは、電極A1、A2、及びA3を含み、電極A1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極A2及びA3は、対応する内側のループに位置し、電極A3は最も内側のループに位置する。列Bは、列Aから90°だけ離れており、電極B1、B2、及びB3を含み、電極B1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極B2及びB3は、対応する内側のループに位置し、電極B3は最も内側のループに位置する。列Cは、列Bから90°だけ離れており、電極C1、C2、及びC3を含み、電極C1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極C2及びC3は、対応する内側のループに位置し、電極C3は最も内側のループに位置する。列Dは、列Cから90°だけ離れており、電極D1、D2、及びD3を含み、電極D1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極D2及びD3は、対応する内側のループに位置し、電極D3は最も内側のループに位置する。
【0063】
同じ列内の電極間の距離は、およそ3mmとなり得る。例えば、列Aにおいて、電極A1〜A2及びA2〜A3の距離はそれぞれ、およそ3mmとなり得る。本例では、列B、C、及びDの電極は、列Aと同じ距離パターンに従うと考えられる。
【0064】
本例では、最も外側のループの直径は、およそ20mmとなり得るため、隣接する電極間A1〜B1、B1〜C1、C1〜D1、及びD1〜A2のそれぞれの距離はおよそ16mmとなり得る。次の内側のループの直径はおよそ15mmとなり得るため、隣接する電極間A2〜B2、B2〜C2、C2〜D2、及びD2〜A3のそれぞれの距離はおよそ12mmとなり得る。最も内側のループの直径はおよそ10mmとなり得るため、隣接する電極間A3〜B3、B3〜C3、及びC3〜D3のそれぞれの距離はおよそ8mmとなり得る。
【0065】
図8は、5つの非オーバーラップループを有する実質的に平らな渦巻き形状で示される、直接的かつ局所的な治療のためにAFをマッピングし、活性化源を特定するように構成された例示的なカテーテル800の平面図である。本例では、簡便性のために、カテーテル800の円形末端部分のみが示されている。カテーテル800は、シースから出ると、円形状を形成するように構成されたカテーテル本体10を含んでもよい。カテーテル本体10は、電極が、列のそれぞれの組の間が90°だけ離れる4つの列に配列されるように、20個の電極を有する5つの非オーバーラップループを形成するように構成することができる。それぞれの電極の列が隣の列の電極から90°だけ離れるように、それぞれのループの半径と、連続する電極間の距離が、電極の列の位置合わせを決定するように、カテーテルを構築してもよい。
【0066】
カテーテル800の円形末端部分は、カテーテルシャフトの遠位端に固定することができる。カテーテル800の円形末端部分は弾力性があってもよく、カテーテル800がシースから出る際に、予備成形された弓状のループとなることを想定して形成されてもよい。したがって、カテーテル800は、シースから出ると、予め設計された非オーバーラップループに戻る。
【0067】
本例では、20個の電極が4つの列A、B、C、及びD間に分配される。列Aは、電極A1、A2、A3、A4、及びA5を含み、電極A1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極A2、A3、D4、及びA5は、対応する内側のループに位置し、電極A5は最も内側のループに位置する。列Bは列Aから90°だけ離れ、電極B1、B2、B3、B4、及びB5を含み、電極B1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極B2、B3、B4、及びB5は、対応する内側のループに位置し、電極B5は最も内側のループに位置する。列Cは、列Bから90°だけ離れ、電極C1、C2、C3、C4、及びC5を含み、電極C1は、最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極C2、C3、C4、及びC5は、対応する内側のループに位置し、電極C5は最も内側のループに位置する。列Dは、列Cから90°だけ離れ、電極D1、D2、D3、D4、及びD5を含み、電極D1は最も外側のループに位置する。それぞれの連続する電極D2、D3、D4、及びD5は、対応する内側のループに位置し、電極D5は最も内側のループに位置する。
【0068】
同じ列内の電極間の距離は、およそ3mmとなり得る。例えば、列Aにおいて、電極間A1〜A2、A2〜A3、A3〜A4、及びA4〜A5の距離はそれぞれ、およそ3mmとなり得る。本例では、列B、C、及びDの電極は、列Aと同じ距離パターンに従うと考えられる。
【0069】
本例では、最も外側のループの直径はおよそ30mmとなり得るため、隣接する電極間A1〜B1、B1〜C1、C1〜D1、及びD1〜A2のそれぞれの距離はおよそ24mmとなり得る。次の内側のループの直径はおよそ25mmとなり得るため、隣接する電極間A2〜B2、B2〜C2、C2〜D2、及びD2〜A3のそれぞれの距離はおよそ20mmとなり得る。次の内側のループの直径はおよそ20mmとなり得るため、隣接する電極間A3〜B3、B3〜C3、C3〜D3、及びD3〜A4のそれぞれの距離はおよそ16mmとなり得る。次の内側のループの直径はおよそ15mmとなり得るため、隣接する電極間A4〜B4、B4〜C4、C4〜D4、及びD4〜A5のそれぞれの距離はおよそ12mmとなり得る。最も内側のループの直径はおよそ10mmとなり得るため、隣接する電極間A5〜B5、B5〜C5、及びC5〜D5のそれぞれの距離はおよそ8mmとなり得る。
【0070】
図9は、十字形状のスプライン構成で示される直接的かつ局所的な治療のためにAFをマッピングし、活性化源を特定するように構成された例示的なカテーテル900の平面図である。本例では、カテーテル600は、シースから出ると、十字形状のスプライン構成を形成するように構成されたカテーテル本体10を含んでもよい。本例の十字形状のスプライン構成は、それぞれのスプラインが隣のスプラインから90°だけ離れるように十字パターンに配列された4つのスプラインを含む。
【0071】
本例では、それぞれのスプラインA、B、C、及びDは、4つの電極を有するように構成されている。例えば、スプラインAは、電極A1、A2、A3、及びA4を含み、電極A1は最も外側の電極である。それぞれの連続する電極は、前の電極よりも内側に位置し、電極A4が最も内側の電極である。スプラインBは、スプラインAから90°だけ離れ、電極B1、B2、B3、及びB4を含み、電極B1は最も外側の電極である。それぞれの連続する電極は、前の電極よりも内側に位置し、電極B4が最も内側の電極である。スプラインCは、スプラインBから90°だけ離れ、電極C1、C2、C3、及びC4を含み、電極C1は最も外側の電極である。それぞれの連続する電極は、前の電極よりも内側に位置し、電極C4が最も内側の電極である。スプラインDは、スプラインCから90°だけ離れ、電極D1、D2、D3、及びD4を含み、電極D1は最も外側の電極である。それぞれの連続する電極は、前の電極よりも内側に位置し、電極D4が最も内側の電極である。
【0072】
同じ列内の電極間の距離は、およそ3mmとなり得る。例えば、列Aにおいて、電極A1〜A2、A2〜A3、及びA3〜A4の距離はそれぞれおよそ3mmとなり得る。本例では、列B、C、及びDの電極は、列Aと同じ距離パターンに従うと考えられる。
【0073】
カテーテル本体10は、任意数のスプラインを含むように構成することができ、それぞれのスプラインは任意の数の電極を含有することができる。カテーテルが3つ以下のスプラインで構成される例において、それぞれのスプラインは、隣のスプラインから90°を超えて離れるように配列することができる。逆に、カテーテルが5つ以上のスプラインで構成される例において、それぞれのスプラインは、隣のスプラインから90°未満だけ離れるように配列することができる。
【0074】
図10は、活性化の波頭方向を特定して、単一幅性活性化パターンのための活性化の起点を判定するために使用することができる例示的な電極構成1000の図である。本例では、波頭1010がカテーテルに接近すると、最も外側の電極A1及びB1が波頭1010を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極A1及びB1の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。波頭1010が進行し続けると、次に、電極A2及びB2が波頭1010を検出し、ほぼ同時に活性化する。次に、電極A2及びB2の活性化が、システム内で記録シグナルとして記録される。電極A2及びB2の活性化に続いて、電極A3及びB3が波頭1010を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極A3及びB3の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極A3及びB3の活性化に続いて、電極A4及びB4が波頭1010を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極A4及びB4の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極A4及びB4の活性化に続いて、電極C4及びD4が波頭1010を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極C4及びD4の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極C4及びD4の活性化に続いて、電極C3及びD3が波頭1010を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極C3及びD3の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極C3及びD3の活性化に続いて、電極C2及びD2が波頭1010を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極C2及びD2の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極C2及びD2の活性化に続いて、電極C1及びD1が波頭1010を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極C1及びD1の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。
【0075】
図11は、
図10の電極構成を有するカテーテルからの記録シグナル1100の一例の図である。本例におけるカテーテルからの記録シグナル1100は、単一幅性活性化パターンに対する電極活性化時間に基づいている。カテーテルからの記録シグナルは、特定の構成に配列されて、容易に活性化の波頭方向を特定し、活性化の起点を判定することが可能となる。記録シグナルは、ユーザにより手動で変更することができるか、又は電極の列のそれぞれに沿う活性化の配列に基づき最適な構成を表示するためのアルゴリズムを使用することにより、システムにより自動でアップデートすることができる、所定のテンプレート又は構成に従って配列することができる。
【0076】
図11を参照すると、記録シグナル1100は電極活性化時間に基づいて配列され、ディスプレイ上に表示されている。電極セットA1110は、電極A1、A2、A3、及びA4を含む。電極セットB1120は、電極B1、B2、B3、及びB4を含む。電極セットC1130は、電極C1、C2、C3、及びC4を含む。電極セットD1140は、電極D1、D2、D3、及びD4を含む。電極セットA1110及び電極セットB1120の電極活性化パターンは、波頭1010が外側の電極から内側の電極へ移動していることを示す。逆に、電極セットC1130及び電極セットD1140の電極活性化パターンは、波頭1010が内側の電極から外側の電極へ移動していることを示す。この情報及び記録シグナル1100の配列に基づいて、システムは、波頭1010が単一幅性活性化パターンであると判定することができる。
【0077】
波頭のタイプの判定に加えて、記録シグナルの配列を使用して、活性化の起点の方向を判定することができる。例えば、ユーザは、起点となる活性化の示した方向に向かって新しい場所へカテーテルを移動させることができる。新しい場所において、システムは、活性化の起点の方向を再び判定して、ユーザが次の移動を判定することができるようになる。その後、ユーザは、活性化の起点に到達し判定するまで、カテーテルを移動させ続けることができる。活性化の起点は、予め規定された活性化パターン、例えば、
図8に示す単一幅性活性化パターンにより特定することができる。場所の判定、及び活性化の起点のメカニズム(すなわちトリガ)の特定は、システムにより自動的に実施され、その場所において記録シグナルの配列を視覚的に確かめることにより確認することができる。カテーテル上での電極の配列及び密度により、局所性活性化、回転性活性化の正確な場所の特定、及びリエントリ経路の判定が可能となる。
【0078】
図12は、活性化の波頭方向を特定して、局所性活性化パターンの活性化の起点を判定するために使用することができる例示的な電極構成1200の図である。本例では、波頭1210がカテーテルに接近すると、最も内側の電極A4、B4、C4、及びD4が波頭1210を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極A4、B4、C4、及びD4の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。波頭1210が進行し続けると、電極A3、B3、C3、及びD3が波頭1210を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極A3、B3、C3、及びD3の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極A3、B3、C3、及びD3の活性化に続いて、電極A2、B2、C2、及びD2が波頭1210を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極A2、B2、C2、及びD2の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極A2、B2、C2、及びD2の活性化に続いて、電極A1、B1、C1、及びD1が波頭1210を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極A1、B1、C1、及びD1の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。
【0079】
図13は、
図9の電極構成を有するカテーテルからの記録シグナル1300の一例の図である。本例におけるカテーテルからの記録シグナル1300は、局所性活性化パターンに対する電極活性化時間に基づいている。カテーテルからの記録シグナルは特定の構成に配列され、容易に活性化の波頭方向を特定して、活性化の起点を判定することが可能となる。記録シグナルは、ユーザにより手動で変更することができるか、又は電極の列のそれぞれに沿う活性化の配列に基づき最適な構成を表示するためのアルゴリズムを使用することにより、システムにより自動でアップデートすることができる、所定のテンプレート又は構成に従って配列することができる。
【0080】
図13を参照すると、記録シグナル1300を、電極活性化時間に基づいて配列し、ディスプレイ上に表示することができる。電極セットA1310は、電極A1、A2、A3、及びA4を含む。電極セットB1320は、電極B1、B2、B3、及びB4を含む。電極セットC1330は、電極C1、C2、C3、及びC4を含む。電極セットD1340は、電極D1、D2、D3、及びD4を含む。電極セットA1310、電極セットB1320、電極セットC1330、及び電極セットD1340の電極活性化パターンは、波頭1210が内側の電極から外側の電極へ移動していることを示す。この情報、及び記録シグナル1300の配列に基づいて、システムは、波頭910が局所性活性化パターンであること、及びカテーテルが活性化の起点にあることを判定することができる。
【0081】
波頭のタイプの判定に加えて、記録シグナルの配列を使用して、活性化の起点の方向を判定することができる。システムは、活性化の方向を示すように構成することができる。例えば、ユーザは、起点となる活性化の示した方向に向かって新しい場所へカテーテルを移動させることができる。表示の例としては、最早期活性化のカテーテルの電極を強調及び表示すること、最早期活性化を有するIC ECGチャネルを、EGMのリアルタイムモニタで強調及び表示すること、又は心房の解剖マップ及び/若しくは画像上で活性化の波頭を表示することが挙げられるが、これらに限定されない。新しい場所において、システムは、活性化の起点の方向を再び判定して、ユーザが次の移動を判定することができることとなる。その後、ユーザは、活性化の起点に到達し、判定するまで、カテーテルを移動させ続けることができる。活性化の起点は、予め規定された活性化パターン、例えば、
図13に示す局所性活性化パターンにより特定することができる。場所の判定、及び活性化の起点のメカニズム(すなわち、トリガ)の特定は、システムにより自動的に実施され、その場所において記録シグナルの配列を視覚的に確かめることにより確認することができる。カテーテル上での電極の配列及び密度により、局所性活性化、回転性活性化の正確な場所の特定、及びリエントリ経路の判定が可能となる。
【0082】
図14は、活性化の波頭方向を特定し、回転性活性化パターンの活性化の起点を判定するために使用することができる例示的な電極構成1400の図である。本例では、電極の活性化配列は、円形パターン又は回転性パターンで生じ得る。例えば、波頭1410がカテーテルに接近すると、電極A1、A2、A3、及びA4は、波頭1410を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極A1、A2、A3、及びA4の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。波頭1410が進行し続けると、電極B1、B2、B3、及びB4が波頭1410を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極B1、B2、B3、及びB4の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極B1、B2、B3、及びB4の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極B1、B2、B3、及びB4の活性化に続いて、電極C1、C2、C3、及びC4が波頭1410を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極C1、C2、C3、及びC4の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。電極C1、C2、C3、及びC4の活性化に続いて、電極D1、D2、D3、及びD4が波頭1410を検出し、ほぼ同時に活性化する。電極D1、D2、D3、及びD4の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。本例では、外側の円の回転性パターンは、周期長(CL)の大部分をカバーすることができる。カテーテルが回転活動の中心に向けて移動するにつれ、回転性パターンの短縮化を観察することができる。
【0083】
図15は、
図14の電極構成を有するカテーテルからの記録シグナル1500の一例の図である。本例におけるカテーテルからの記録シグナル1500は、回転性活性化パターンに対する電極活性化時間に基づき、ディスプレイ上に表示されることができる。本例では、電極セットA1510は、電極A1、A2、A3、及びA4を含む。電極セットB1520は、電極B1、B2、B3、及びB4を含む。電極セットC1530は、電極C1、C2、C3、及びC4を含む。電極セットD1540は、電極D1、D2、D3、及びD4を含む。無制限数の周期を示すことができるが、本例では簡便化のため、2周期の回転活動をC
1 1550、及びC
2 1560として示す。第1の周期C
1 1550では、波頭1410が、電極セットA1510の電極全てをほぼ同時に活性化し、電極セットA1510の電極の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。波頭1410が回転経路に沿って移動するにつれて、波頭1410は、電極セットB1520の電極全てをほぼ同時に活性化し、電極セットB1520の電極の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。次に、波頭1410は、回転経路に沿って移動を続け、電極セットC1530の電極全てをほぼ同時に活性化し、その後、最終的にほぼ同時に電極セットD1540を活性化する。電極セットC1530及び電極セットD1540の電極の活性化はそれぞれ、システム内で記録シグナルとして記録される。その後、この活性化周期は、C
2 1560で繰り返される。この情報、及び記録シグナル1500の配列に基づいて、システムは、波頭1410が回転性活性化パターンであること、及びカテーテルが活性化の起点にあることを判定することができる。
【0084】
図16は、
図14の電極構成を有するカテーテルからの記録シグナル1600の別の例の図である。本例におけるカテーテルからの記録シグナル1600は、回転性活性化パターンに対する電極活性化時間に基づき、ディスプレイ上に表示されることができる。本例では、
図15と同じデータが、代替的な構成において表示される。本例では、記録シグナル1600は、ユーザにより手動で変更することができるか、又は電極の列のそれぞれに沿う活性化の配列に基づき最適な構成を表示するためのアルゴリズムを使用することにより自動でアップデートすることができる、所定のテンプレート又は構成に従って配列することができる。
【0085】
図16を参照すると、電極セット1 1610は電極A1、B1、C1、及びD1を含む。電極セット2 1620は、電極A2、B2、C2、及びD2を含む。電極セット3 1630は、電極A3、B3、C3、及びD3を含む。電極セット4 1640は、電極A4、B4、C4、及びD4を含む。本例では、波頭1410は、電極A1、A2、A3、及びA4をほぼ同時に活性化し、これらの電極の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。波頭1410が回転経路に沿って移動するにつれて、波頭1410は、電極B1、B2、B3、及びB4をほぼ同時に活性化し、これらの電極の活性化は、システム内で記録シグナルとして記録される。その後、波頭1410は、回転経路に沿って移動を続け、電極C1、C2、C3、及びC4をほぼ同時に活性化し、その後、最終的に、電極D1、D2、D3、及びD4をほぼ同時に活性化する。電極C1、C2、C3、及びC4並びに電極D1、D2、D3、及びD4の活性化はそれぞれ、システム内で記録シグナルとして記録される。
【0086】
マッピングの方法は、任意の箇所又は場所において活性化配列を特定し、活性化の起点を追跡するというコンセプトに基づくことができる。カテーテルによる記録シグナルは、特定の構成に配列されて、活性化の波頭方向の特定、及び起点の判定を可能とすることができる。
【0087】
本システムは、活性化の起点の方向を指示して、ユーザにカテーテルを新しい場所へ移動させるように指示するための方法を使用することができる。新しい場所において、システムは再び、活性化の起点の方向を判定して、ユーザにカテーテルを活性化の起点に向けて移動させるように更に指示することができる。活性化の起点は、所定の活性化パターン、例えば、
図11、
図13、
図15、及び
図16に示す活性化パターンに基づいて特定することができる。システムは、活性化の起点へ到達すると、ユーザにアラートで知らせることができる。アラートは、聴覚的なアラート、触覚的なアラート、又はディスプレイに示される視覚的なアラートであってもよい。場所の判定並びに活性化の起点及びトリガのメカニズムの特定を本システムにより自動的に実施することができる。ユーザは、その場所で、記録されたシグナルの配列を視覚的に見直すことにより確認することができる。
【0088】
図17は、それぞれの電極の列に沿う活性化の配列に基づく最適の構成を表示するための例示的な方法1700のフローチャートである。この例示的な方法1700は、1710において電極のLATを使用して、波頭の方向及び/又は伝播を判定し、活性化源のタイプを判定することができる。本例では、システムは、1720において、それぞれの列における電極、例えば、A1〜A2、A2〜A3、及びA3〜A4のLATを使用して、1740において列のそれぞれの電極のLATの等価性、及びそれぞれの電極の列に沿う活性化の配列を判定することができる。LATの等価性の判定は、ユーザにより規定されたパラメータ、例えば、最大5〜10msの閾値時間に基づくことができる。平行して、システムは、隣接する列の電極、例えば、A1〜B1、A2〜B2、A3〜B3、及びA4〜B4のLATを使用して、列のそれぞれの電極のLATの等価性、及び電極の列間の活性化の配列を1740において判定することができる。
【0089】
システムは、1750において、最早期活性化を有する電極、例えば、A1、A1/B1(
図10の例等)、又はA4/B4/C4/D4(
図12の例等)を判定することができる。システムはまた、1760において、伝播の方向、例えば、A1からA4、A1/B1からA4/B4(
図10の例等)、又はA4/B4/C4/D4からA1/B1/C1/D1(
図12の例等)を判定することができる。その後、システムは、1750における最早期活性化のデータ、及び1760における伝播の方向のデータを組み合わせて、活性化の波頭、及び活性化の伝播を1770において判定することができる。次に、システムは、1780において、解剖マップに、最早期活性化を有するカテーテルの電極、及び波頭の伝播を指示及び表示することができる。
【0090】
本明細書における開示に基づき多くの変更が可能であると理解されるべきである。特定の組み合わせにおける特徴及び構成要素を上述したが、それぞれの特徴又は構成要素は、他の特徴及び構成要素なしで単独で、又は他の特徴及び構成要素と種々に組み合わせて、若しくは組み合わせることなく使用することができる。
【0091】
提供した方法は、汎用コンピュータ、プロセッサ、又はプロセッサコアへの実装を含む。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、特殊用途のプロセッサ、従来のプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、複数個のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つ若しくは2つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、現場でプログラミング可能なゲートアレイ(FPGA)回路、任意の他の種類の集積回路(IC)、及び/又はステートマシンが挙げられる。かかるプロセッサは、処理したハードウェア記述言語(HDL)の命令の結果、及びネットリストを含む他の仲介データ(コンピュータの可読媒体に保管可能なかかる命令)を使用する製造プロセスを構成することにより製造することができる。かかる処理の結果は、続いて、本明細書に記載の方法を実装するプロセッサを製造するための、半導体製造プロセスで使用されるマスクワークとすることができる。
【0092】
本明細書において提供する方法又はフローチャートは、汎用コンピュータ若しくはプロセッサにより実行するための、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアで実装することができる。非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の例としては、ROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体記憶装置、内部ハードディスク及び取り外し可能なディスク等の磁気媒体、磁気光学媒体、並びにCD−ROMディスク、及びデジタル汎用ディスク(DVD)等の光学媒体が挙げられる。
【0093】
〔実施の態様〕
(1) 心腔をマッピングするのに適合したカテーテルであって、
複数の非オーバーラップループを形成するように構成されたカテーテル本体と、
該カテーテル本体に埋め込まれた電極集合体であって、該電極集合体は、複数の列に配置された複数の電極を含み、該複数の列のそれぞれは、該複数の非オーバーラップループにより形成され、該複数の列のそれぞれは、実質的に直接位置合わせされるそれぞれの複数の電極で構成されている、電極集合体と、を含み、
該電極集合体は、波頭を検出し、活性化配列を生成して、活性化源の方向を判定するように構成されている、カテーテル。
(2) 前記複数の列のそれぞれの列は、3つの電極を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記複数の列のそれぞれの列は、4つの電極を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記複数の列のそれぞれの列は、5つの電極を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記複数の列のそれぞれの列は、隣の列から90°だけ離れている、実施態様1に記載のカテーテル。
【0094】
(6) 前記複数の列のそれぞれにおける前記複数の電極のそれぞれは、3mmだけ離れている、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記複数の非オーバーラップループは、同心ループである、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 前記電極集合体は、前記活性化配列に基づいて活性化源のタイプを判定するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記活性化源のタイプは、局所性活性化源である、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) 前記活性化源のタイプは、回転性活性化源である、実施態様8に記載のカテーテル。
【0095】
(11) 心腔をマッピングするのに適合したカテーテルであって、
複数のスプラインを形成するように構成されたカテーテル本体であって、該スプラインは、十字形状に配置されている、カテーテル本体と、
該カテーテル本体に埋め込まれた電極集合体であって、該電極集合体は、複数の列に配置された複数の電極を含み、該複数の列のそれぞれは、該複数のスプラインにより形成され、該複数の列のそれぞれは、実質的に直接位置合わせされるそれぞれの複数の電極で構成されている、電極集合体と、を含み、
該電極集合体は、波頭を検出し、活性化配列を生成して、活性化源の方向を判定するように構成されている、カテーテル。
(12) 前記複数の列のそれぞれの列は、3つの電極を含む、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記複数の列のそれぞれの列は、4つの電極を含む、実施態様11に記載のカテーテル。
(14) 前記複数の列のそれぞれの列は、5つの電極を含む、実施態様11に記載のカテーテル。
(15) 前記複数の列のそれぞれの列は、隣の列から90°だけ離れている、実施態様11に記載のカテーテル。
【0096】
(16) 前記複数の列のそれぞれにおける前記複数の電極のそれぞれは、3mmだけ離れている、実施態様11に記載のカテーテル。
(17) 前記複数の非オーバーラップループは、同心ループである、実施態様11に記載のカテーテル。
(18) 前記電極集合体は、前記活性化配列に基づいて活性化源のタイプを判定するように構成されている、実施態様11に記載のカテーテル。
(19) 前記活性化源のタイプは、局所性活性化源である、実施態様18に記載のカテーテル。
(20) 前記活性化源のタイプは、回転性活性化源である、実施態様18に記載のカテーテル。
本出願は、米国特許仮出願第62/278,676号(2016年1月14日出願)の利益を主張し、この出願が十分に記載されているかのように参照により援用されている。本出願は、「Region of Interest Focal Source Detection Using Comparisons of R−S Wave Magnitudes and LATs of RS Complexes」と題する