【解決手段】外容器10と、外容器10に収容される内容器20と、外容器10に取り付けられ、内容器20と連通するバルブ40を有するバルブアッセンブリ30とを備えた吐出容器であって、外容器10が、筒状の胴部10bと、胴部10bから縮径する肩部10cとを備えており、内容器20が、シートの周端を貼り合せて形成した袋体21と、袋体21と一体化されてバルブ40に連結される流路部材22とを備えているパウチであり、袋体21が、上部21aの両端に角部21e、21eを備えており、袋体21の横幅W1が外容器10の肩部10cの内部直径R1よりも大であり、角部21eが外容器10の肩部10cの内面に当接して折れ曲がり部21jを形成している。
前記流路部材が、前記バルブに装着される装着部と、袋体を溶着する溶着部と、溶着部から前記袋体の底部に向かって延びる棒状の流路部と、流路部の上端に形成され前記袋体内の内容物を前記バルブ側に導出する導出孔を備えている請求項1から3のいずれか記載の吐出容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、袋体の内部空間を上方に向かって狭まる形状とするには、別途加工が必要であり、コストがかかる。
【0007】
また、製品を落としてしまうと、その衝撃で袋体の底部が持ち上がり、流路部材が袋体の底部を突き破る虞もある。
【0008】
流路部材による突き破りを防止するために、例えば流路部材の下端と袋体の底部とを十分離しておくことが考えられる。しかし、袋体の底部付近に内容物が残留する虞があり、特にパウチを2つ設けた場合には、内容物の吐出量のバランスが崩れてしまうといった新たな問題が生じる。
【0009】
なお、特許文献2には、袋体の幅を外容器の幅の100〜130%とすることで、袋体を内容物で膨らませたときに、袋体の外面で外容器の内面を押圧し、袋体の移動を抑制する二重エアゾール製品が開示されている。しかし、このような構成は、内容物の充填量に依存する。すなわち、内容物の減少に伴って袋体の外面と外容器の内面との間の摩擦力(袋体の移動を抑制する力)が低下すると考えられるところ、改良の余地が残されているといえる。
【0010】
そこで、簡単な構造でありながらも、袋体の角部や底部での内容物の残留を抑制することができる吐出容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の吐出容器は、外容器10と、前記外容器10に収容される内容器20と、前記外容器10に取り付けられ、前記内容器20と連通するバルブ40を有するバルブアッセ
ンブリ30とを備えた吐出容器であって、前記外容器10が、筒状の胴部10bと、胴部10bから縮径する肩部10cとを備えており、前記内容器20が、シートの周端を貼り合せて形成した袋体21と、袋体21と一体化されてバルブ40に連結される流路部材22とを備えているパウチであり、前記袋体21が、上部21aの両端に角部21e、21eを備えており、前記袋体21の横幅W1が外容器10の肩部10cの内部直径R1よりも大であり、前記角部21eが前記外容器10の肩部10cの内面に当接して折れ曲がり部21jを形成することを特徴とする。
ここで、外容器10の肩部10cの内部直径R1とは、胴部10bの上端から首部10dの下端にかけて設けられる肩部10cのうち、内容器20の角部21eが当接する部分の内部直径を指す。
【0012】
また、前記袋体21の横幅W1が前記外容器10の胴部10bの内部直径R2よりも大であることが好ましい。
【0013】
また、前記袋体21の高さH1が、前記外容器10の底部10aの内面から肩部10cの上端までの高さH2よりも大であることが好ましい。
【0014】
前記流路部材22が、前記バルブ40に装着される装着部23と、前記袋体21を溶着する溶着部24と、溶着部24から前記袋体21の底部21cに向かって延びる棒状の流路部25と、流路部25の上端に形成され前記袋体21内の内容物Cを前記バルブ40側に導出する導出孔28を備えていることが好ましい。
【0015】
前記流路部材22の溶着部24の高さ位置が、前記外容器10に前記バルブアッセンブリ30を固定した状態において、前記外容器10の肩部10cと同じ高さにあることが好ましい。
【0016】
前記バルブアッセンブリ30が2つのバルブ40、40を備えており、それぞれのバルブ40、40に内容器20が取り付けられているものが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明の吐出容器では、袋体の横幅が外容器の肩部の内部直径よりも長く、角部が外容器の肩部の内面に当接して折れ曲がり部を形成しているため、角部への内容物の充填を抑制することができ、内容物の残留を抑えることができる。
【0018】
また、袋体の角部が外容器の肩部の内面に当接する結果、袋体が、肩部によって斜め下方に向かって押さえ付けられたような状態となるため、単に袋体の外面と胴部の内面との摩擦抵抗で移動を抑制している場合に比べて袋体の移動を抑制する効果が高い。加えて、内容物の充填量にも依存しないため、その効果を最後まで持続させることができる。そのため、落下などによって衝撃が加わっても、袋体の底部が持ち上がるような移動を最後まで抑制し続けることができ、流路部材による袋体底部の突き破りをより効果的に防止することができる。
【0019】
そして、流路部材の下端から袋体の底部までの距離を短くすることが可能となるため、袋体の底部付近での内容物の残留を抑え、内容物を最後まで安定して吐出させることができる。
【0020】
また、袋体の横幅が外容器の胴部の内部直径よりも大であれば、外容器の胴部の内面と袋体の外面との間に摩擦抵抗が生じるため、より一層、袋体の移動を抑制することができる。さらに、両端の折れ曲がり部が、外容器の縮径する肩部の内面と円弧状に当接するため、内容器が肩部側に移動しないように強く固定することができる。
【0021】
また、袋体の高さが、外容器の底部の内面から肩部の上端までの高さよりも大であれば、外容器の口部より小さくなるように袋体を丸めたり折り畳んで外容器内に収容した際に、外容器の肩部の上端やその上部にある筒状の首部により袋体の拡がりが規制されて略筒状になり、バルブアッセンブリを外容器の上方に位置するように安定して保持することができる。さらに、バルブアッセンブリを押し込んで外容器に固定すると、袋体は底部が折り曲げられて外容器内に収容され、袋体の規制が解除され、元の平面形状に戻る際に角部が外容器の肩部の内面に当接し、折れ曲がり部が自ずと形成される。
【0022】
また、流路部材が、袋体の底部に向かって延びる棒状の流路部と、流路部の上端に形成され袋体内の内容物をバルブ側に導出する導出孔を備えていれば、袋体内の内容物を上部から吐出して袋体が上部から貼り合わさるように収縮させることができる。このとき、袋体は胴部の収縮に伴い元の長さに戻ろうとするが、袋体の上部は角部が外容器の肩部の内面と当接しているため、外容器の底部側に延伸し、最後まで袋体の底部の持ち上がりを防止し、流路部材による袋体底部の突き破りをより効果的に防止することができる。
【0023】
流路部材の溶着部の高さ位置が、外容器にバルブアッセンブリを固定した状態において、外容器の肩部と同じ高さにあれば、バルブアッセンブリを外容器に取り付けるだけで、自ずと袋体の角部が外容器の肩部の内面に当接し、折れ曲がり部が形成される。
【0024】
バルブアッセンブリが2つのバルブを備えており、それぞれのバルブに内容器が取り付けられている場合には、内容物の吐出量のバランスを最後まで保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、この発明の吐出容器について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示す吐出容器1は、外容器10と、外容器10に収容される内容器20と、外容器10に取り付けられ、内容器20と連通するバルブアッセンブリ30とを備えている。
【0027】
まず、外容器10について説明すると、外容器10は、
図2aに示すように、下端が底部10aによって閉じられた円筒状の胴部10bと、胴部10bの上端から上方に向かって縮径するように設けられたドーム状の肩部10cと、肩部10cの上端に設けられた円筒状の首部10dと、首部10dの上端に環状に形成されたビード部10eと、ビード部10eの内周側に開口する口部10fとを備えている。
【0028】
この外容器10は、例えばアルミニウムなどの金属円盤をインパクト加工及び絞りしごき加工により有底筒状に成形し、または金属カップを絞りしごき加工により有底筒状に形成し、内面に合成樹脂コートを施し、ついで、その胴部10b上端にネッキング加工を施して肩部10c及び首部10dを形成し、首部10d上端にカーリング加工を施してビード部10eを形成することで構成されている。
【0029】
内容器20は、
図1bに示すように、外容器10内に2つ収容されている。これら内容
器20、20は、いずれも、シートを複数枚重ね合わせ、または、1枚のシートを折り合わせた後、周縁を熱溶着や接着剤などにより貼り合わせてなる袋体21と、袋体21と一体化されてバルブ40に連結される流路部材22とを備えた、いわゆるパウチからなる。
【0030】
袋体21は、
図2bに示すように、周縁(上部21a、側部21b、底部21c)に貼合部21dを備えており、底部21cの両端を斜めに切り欠いた長方形状であって、上部21aの両端に角部21e、21eを備えている。また、底部21cは上部21aよりも貼合部21dの幅を大きくし、下端に円弧状の切欠き21fを2ヶ所備えている。袋体21の内容物Cが充填される内部空間は矩形状である。また、この角部21e、21e間の幅(袋体21の横幅)W1は、少なくとも外容器10の肩部10cの内部直径R1よりも大とされ、さらに胴部10bの内部直径R2よりも大である(
図2a、
図2b参照)。また、袋体21の高さH1は、外容器10の底部10aの内面から肩部10cの上端までの高さH2よりも大とされている。なお、外容器10への内容器20の挿入を容易にするため、底部21cの両端を斜めに切り欠いて、切欠部21g、21gを設けているが、角部21eを設けても良い。すなわち長方形状の袋体としても良い。
【0031】
袋体21を構成するシートとしては、内部に収容される内容物Cによって決まるが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、エバールなどの合成樹脂シート、合成樹脂シートにシリカやアルミナなどを蒸着した蒸着樹脂シート、アルミニウムなどの金属箔シートあるいは合成樹脂シート、蒸着樹脂シート、金属箔シートから選ばれる少なくとも2つのシートを積層した積層シートなどが挙げられる。なお、本実施形態では、内容物Cとして2液反応型製剤が充填されるため、それぞれの内容物Cに適した構成を選択することができる。例えば、2液反応型製剤として2液式染毛剤を用いる場合には、酸化されることにより染毛効果を発揮する酸化染料を含有する第1剤を充填する一方の内容器20の袋体21は、酸素遮断性の高い金属箔シートの両面を耐薬品性の高い合成樹脂シートでラミネートした不透明な積層シートで構成され、過酸化水素のような酸化剤を含有する第2剤を充填する他方の内容器20の袋体21は、耐薬品性の高い合成樹脂シートで構成されている。
【0032】
流路部材22は、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂の一体成形品であって、
図3a、bに示すように、バルブ40に装着される装着部23と、装着部23の下部に設けられた溶着部24と、溶着部24から袋体21の底部21c(下方)に向かって延びる棒状の流路部25とを備えている。
【0033】
装着部23は円筒状に形成されており、その上端には後述するバルブホルダー50の係合突起53dに係合する係合爪23aが設けられている(
図4参照)。
【0034】
溶着部24は、熱溶着や超音波溶着などによって袋体21を流路部材22に固着させる部分である(
図4参照)。その形状は、断面略ひし形柱状であって、シートの面に沿って扁平となっている。また、袋体21の固定を強固なものとするため、その側面には水平方向に伸びる水平リブ24aが複数形成されている。内部は中空であって、装着部23内と連通している。
この溶着部24は、外容器10にバルブアッセンブリ30を固定した状態において、外容器10の肩部10cと同じ高さになるように設けられる。
【0035】
流路部25は、上下方向に延びる棒状の本体26と、本体26の表面から突出し、本体26の表面に内容物Cの流路を形成する突起部27と、本体26の上端に設けられ、流路と溶着部24内や装着部23内とを連通し、流路部材22をバルブ40の連結筒41aに連結した状態において、袋体21内の内容物をバルブのハウジング41内に導出する導出孔28とを備えている。
【0036】
突起部27は、本体26の中心軸に沿って、上下方向に互いに一定の間隔をあけて設けられた複数の主突条27aと、主突条27aの両側に、主突条27aと左右方向に一定の間隔をあけつつ、上下方向に互いに一定の間隔をあけて設けられた複数の副突条27bとからなる。主突条27aと副突条27bとは、主突条27a、27a間に副突条27bが位置するようにして、互いに上下方向にずれて設けられている。また、主突条27aと副突条27bとの間には上下方向に連なる谷部29が形成されており、この谷部29が内容物Cの流路を形成している。流路の上端は、本体26の表裏に跨って貫通して設けられた導出孔28に繋がっており、流路を流れる内容物Cを導出孔28まで導くことができるようになっている。
【0037】
続いてバルブアッセンブリ30の説明をする。バルブアッセンブリ30は、
図1bおよび
図4に示すように、2つの独立した内容器20用のバルブ40、40と、それらバルブ40、40を受け入れるバルブホルダー50と、バルブ40およびバルブホルダー50を覆い、バルブホルダー50を外容器10に固定するマウンテンカバー60とから構成されている。
【0038】
バルブ40は、内容器20への内容物Cの充填を行うためのものであるとともに、内容器20内に充填された内容物Cの外部への吐出を選択的に行うものである。具体的に説明すると、バルブ40は、
図4に示すように、筒状のハウジング41と、そのハウジング41内に上下動自在に挿入されるステム42と、ステム42の側面に設けられたステム孔42aを塞ぐステムラバー43と、ステム42を常時上方に付勢するバネ44と、ステム42及びステムラバー43をハウジング41に固定するカバー45とから構成されている。
【0039】
ハウジング41は、ステム42を挿入するための円柱状の空間を備えた有底筒状体である。底部からは下方に向かって円筒状の連結筒41aが延設されており、この連結筒41aに内容器20の流路部材22の装着部23が連結(外嵌)されている。また、流路部材22の導出孔28と連通するため、底部には連通孔41bが設けられている。側面には環状凹部41cが形成されており、この環状凹部41cにガスケット(O−リング)41dが設けられている。このガスケットは、バルブホルダー50と当接し、ハウジング41とバルブホルダー50との間をシールしている。
【0040】
ステム42は、有底筒状であって、側面にステム孔42aが形成されている。そして、このステム孔42aを塞ぐようにステムラバー43が当接している。
【0041】
ステムラバー43はリング状であって、その内周面側がステム42の側面に当接してステム孔42aを塞ぎ、外周側が、ハウジング41の上端とカバー45の間で固定されている。
【0042】
バネ44は、例えば金属製のつるまきバネであって、ステム42の下端とハウジング41との間に介在し、ステム42を上方に付勢している。
【0043】
カバー45は、上底45aを有するカップ状のものであり、この上底45aにステム42を通す挿通孔45bが形成されている。このカバー45は、上底45aによってステム42及びステムラバー43を下方に押さえ付けるものであり、バネ44の付勢によってステム42やステムラバー43が飛び出さないように保持している。カバー45は、カバー45の側面をハウジング41側に向かって環状に数箇所または全周カシメることでハウジング41に固定されている。
【0044】
上記構成のバルブ40は、ステム42を下方に押し下げることで、ステムラバー43の
内周側がたわみ、ステム孔42aが開口して、外部と内容器20内とが連通する仕組みとなっている。ただ、バルブ40としてはこれに限らず、公知の種々のバルブを用いても良い。
【0045】
バルブ40を保持するバルブホルダー50は、外容器10の口部10fから首部10dに挿入される栓部51と、栓部51の上端から側方に向かって延出され、外容器10のビード部10eの上端に載置されるフランジ部52と、フランジ部52から上方に突出する蓋部53とから構成されている。
【0046】
栓部51は円筒状であって、外容器10の首部10dの内周と略同径とされている。また、その外周面には環状凹部51aが設けられており、この環状凹部51aにガスケット(O−リング)51bが設けられている。このガスケットは、外容器10の首部10dの内周面と当接して半径方向に圧縮され、バルブホルダー50と外容器10との間のシールを形成している。
【0047】
蓋部53は、その周縁近傍が上方に向かって立ち上がっており、バルブアッセンブリ30の外形を形成している。この立ち上がり壁53aは、平面視、円の一部を切り欠いたような形状となっている。これは、あえて点対称ではない形状とすることで、バルブアッセンブリ30や吐出容器1の方向(位置)合わせや方向確認が簡単にできるようにするための工夫であり、2つの内容物C、Cをそれぞれの内容器20に充填する際や、2つのステム42、42に吐出部材を装着する際などに利用する。この立ち上がり壁53aの内側には、別途、上方に向かって立ち上がる筒状体(上筒部53b)が設けられている。さらに、この上筒部53bの下端から、上筒部53bよりも小径な下筒部53cが下方に向かって延設されている。そして、上筒部53bと下筒部53cとでバルブ40を保持している。すなわち、上筒部53bと下筒部53cとでホルダー部を形成している。なお、下筒部53cの下端には、内周側に係合突起53dが設けられており、内容器20の流路部材22の係合爪23aと係合されている。
【0048】
マウンテンカバー60は、
図4及び
図5に示すように、バルブ40およびバルブホルダー50を覆う円筒状のカバー部61と、そのカバー部61より大径の円筒状とされ、バルブホルダー50のフランジ部52と外容器10とを固定する固定部62とを備えている。
【0049】
カバー部61には、その上底にバルブ40のステム42を通す2つの開口部61aが形成されている。また、カバー部61は、下方に向かって凸とされた凹み部61bが設けられており、この凹み部61bでバルブ40のカバー45を下方に押圧している。このように押圧することにより、ハウジング41のガスケット41dが適度に圧縮されてシール性が向上する。また、凹み部61bを形成することで、マウンテンカバー60の剛性が増し、変形を抑制してバルブ40を所定の位置に保持しシール性を長期間維持することができる。
【0050】
固定部62は、バルブホルダー50のフランジ部52の上面と当接する上鍔部62aを有し、バルブアッセンブリ30を外容器10に取り付けるときに、下端をカシメることによって下鍔部62bが形成される。
【0051】
上記構成の吐出容器1を用いた二重エアゾール製品は、以下のようにして製造される。まず、バルブホルダー50のホルダー部にバルブ40を挿入する。次に、バルブホルダー50の下筒部53cに、内容器20の装着部23を係合する。これにより、バルブ40のハウジング41の連結筒41aが流路部材22の装着部23に挿入されて、内容器20の袋体21内とバルブ40のハウジング41内とが連通する。
【0052】
次に、内容器20を外容器10内に挿入する。袋体21の横幅W1は、外容器10の口部10fの直径よりも大とされているため、
図6aのX−X断面図に示すように、袋体21の左右両端をそれぞれ内側に折り畳んでから挿入する。この際、樹脂シートからなる他方の袋体21で、金属シートを含む積層シートからなる一方の袋体21を包むようにして折り畳めば、柔軟で摩擦抵抗の小さい樹脂シートが外側に位置することとなり、外容器10への挿入がスムーズとなる。また、底部21cの円弧状の切欠部21fにより所定の大きさや形状に折り畳むことができ、軸方向の耐荷重を強くする(剛性を高める)ことができる。また、2つの切欠部21f、21fの間で形成される中央辺21hと、切欠部21fから端部(斜めの切欠部21g)で形成される端辺21i(
図2b参照)とが、袋体21を折り曲げたときに外容器10の底部10aと接地して少なくとも3辺で支えることができる。さらに
図6aのように2つの袋体21、21を折り畳んで挿入することにより2つの袋体21、21で筒状になるため、バルブアッセンブリ30を安定して保持することができる。
【0053】
外容器10内に内容器20を収容した後、バルブホルダー50の栓部51と外容器10の口部10fとの間から、外容器10と内容器20との間に加圧剤Pを充填する(いわゆるアンダーカップ充填)。なお、袋体21は、折り畳んだ状態で保持される。袋体21が柔軟である場合は、外容器挿入後に折り畳まれた状態から拡がろうとするが、袋体21の高さH1が外容器10の底部10aの内面から肩部10cの上端までの高さH2よりも大であるため、外容器10の肩部10cの上端と首部10dにより規制され筒状が維持される。そのため、いずれの場合であっても袋体21によって、バルブアッセンブリ30のガスケット51bを外容器10の口部10fよりも上部に位置するように安定して保持することができ、加圧剤充填に際してバルブホルダー50を持ち上げる必要が無い(
図6a参照)。加圧剤Pとしては、例えば窒素、圧縮空気、炭酸ガス、亜酸化窒素などの圧縮ガスが充填される。充填後の圧力は、例えば25℃において0.4〜1.0MPaである。
【0054】
加圧剤充填後、バルブアッセンブリ30を降下させてフランジ部52を外容器のビード部10eに押し付ける。このとき、袋体21は貼合部21dの大きい底部21cが折り曲げられ、バルブホルダー50の栓部51が外容器10の口部10fから首部10dに挿入される。なお、袋体21内には流路部材22が底部21cに向かって挿入されており、さらに底部21cの大きな貼合部が折れ曲がりシロになるため、側部21bに先行して底部21cが折れ曲がることとなり、袋体21の側部21bでの折れ曲がりは抑制される。そのため、袋体21が外容器10内で展開しやすく、折れ曲がり部21jが形成されやすくなる。その後、予めバルブホルダー50に被せておいたマウンテンカバー60の下端をカシメて外容器10に固定する。これにより、ガスケット51bが外容器10の首部10dの内面と栓部51の環状凹部51aとの間で半径方向に圧縮されてシールされ、外部と遮断される。
【0055】
袋体21が柔軟である場合、前述のバルブアッセンブリ30の下降に伴い、袋体21が外容器10の首部10eの内周面を完全に通過すると、
図6bに示すように、折り畳まれていた袋体21が展開する。特に、袋体21の中央から下部にかけては、胴部10bに位置することになるため、比較的自由に展開する。しかし、袋体21の上部21aに位置する角部21eは、胴部10bよりも小径とされた肩部10cに位置するため、他の部分に比べて展開が規制される。また、袋体21の角部21e近傍のみが肩部10cの内周面と当接するため、角部21eが斜め上方から斜め下方に向かって押さえつけられるような状態となり、角部21e近傍が斜め下方に向かって折れ曲がる。このようにして形成された折れ曲がり部21jは、角部21e近傍に位置するシート同士を互いに密着させることとなる。
【0056】
その後、ステム42から袋体21内の空気を排出し、
図6cに示すように、適宜、内容
器20内に内容物Cを充填し、二重エアゾール製品の製造を完了する。内容物Cの充填に伴い袋体21は膨らむが、折れ曲がり部21jは外容器10の肩部10cにより折り曲げられた状態であるため、内容物Cは充填されない。
【0057】
なお、袋体21が比較的折癖のつきやすい材質、たとえば金属箔シートを含む積層シートからなる場合、単に外容器10内に挿入しただけでは十分に展開せず、内容物Cの充填をもってはじめて十分に展開することになる。そのため、折れ曲がり部21jは、内容物Cの充填の過程で形成されることになるが、袋体21は、導出孔28から充填された内容物Cが、例えば折り目に差し掛かった段階で十分に展開するため、内容物Cが角部21eに到達する前に、自ずと折れ曲がり部21jが形成されることになる。そのため、角部21eに内容物Cが充填されることはない。
【0058】
内容物Cとしては、例えば2液式染毛剤、2液式パーマ剤、2液式接着剤等、2液反応型製剤のクリーム、ゲル、液体等が挙げられる。
【0059】
ところで、内容器20に内容物Cを充填すると、袋体21の胴部が膨らんで底部21cが上方に持ち上がる。しかし、胴部10bよりも小径な肩部10cに位置する角部21eは、内容物Cが充填されてもなお肩部10cと当接し続ける。そのため、折れ曲がり部21jは、内容物充填後も折れ曲がった状態を維持することになり、袋体21の角部21eに内容物Cが充填されることはない。従って、角部21eに内容物Cが残留することもない。
【0060】
また、袋体21の角部21eが外容器10の肩部10cの内面に当接しているため、落下による衝撃が加わっても、袋体21の底部21cが持ち上がるような移動が抑制される。特に、袋体21が、肩部10cの内面によって斜め下方に向かって押さえ付けられたような状態となっているため、単に胴部10bの内面との摩擦抵抗だけで移動が抑制されている場合に比べて移動を抑制する効果が高い。そのため、流路部材22の下端部から袋体21の底部21cまでの距離を短くすることが可能である。例えば、流路部材22の下端部から袋体21の底部21cまでの距離D1は、従来、内容物Cを充填する前の状態において袋体21の内部空間の高さの25%以上とされていたが、本発明の場合、15〜23%まで短くすることができる。そして、この場合、袋体21の下部での内容物Cの残留を抑えることができ、2つの内容物Cを最後までバランス良く吐出させることができる。
【0061】
図7は、他の吐出容器を示している。この吐出容器1Aは、外容器10Aとしてポリエチレンテレフタレート(PET)製の透明な容器を用いている点に特徴を有する。このように透光性を有する外容器10Aを用いれば、内容器20Aの状態を外から把握することができる。従って、例えば内容器20A内に内容物Cがどの程度残っているのかを知ることができ、買い替え時期の目安となる。また、この外容器10Aでは、耐圧性を確保するため、5つの脚部10hが下方に向かって周方向に等間隔に並んで設けられており、また全体的に、胴部10bから底部10aにかけて縮径している。そのため、
図7に示すように、袋体21の下部の両側の角部21k、21kが、縮径部10iに当接して十分に展開できず、折れ曲がったような状態となり、長方形状の袋体21を用いたとしても、角部21kでの内容物Cの残留を抑制することができる。また、例えば外容器10Aの底部10aが半球状であれば、より顕著な効果が期待できる。
【0062】
なお、外容器10Aの材質としては、PETに限らず、例えばナイロンやポリプロピレン等、種々の公知の合成樹脂を用いることができる。合成樹脂製の外容器10Aは、例えば2軸延伸ブロー成形や射出成形によって成形される。外容器10AがPET等の合成樹脂からなる場合、ビード部10fの代わりに、フランジ部10gが設けられる。そして、バルブアッセンブリ30は、マウンテンカバー60の下端をカシメることで外容器10の
フランジ部10gに固定されている。その他の構成については、上記実施形態と同様であるため、同符号を付し、説明を省略する。
【0063】
以上に、この発明の代表的な実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施形態では、袋体21の横幅W1が、外容器10の胴部10bの内部直径R2よりも大とされていたが、必ずしも胴部10bよりも大である必要はない。すなわち、少なくとも、外容器10の肩部10cの内部直径R1よりも大であれば、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0064】
また、必ずしも袋体21の高さH1が、外容器10の底部10aの内面から肩部10cの上端までの高さH2よりも大である必要も無い。流路部材22の溶着部24の位置が、外容器10にバルブアッセンブリ30を介して内容器20を固定した状態において、外容器10の肩部10cと同じ高さに位置していれば、袋体21の角部21eが肩部10cの内面に当接するためである。
【0065】
また、内容器20の数は2つに限らず、1つや3つ以上であっても良い。また、内袋21の切欠部21fの形状は、例えば切欠部21fを起点として、袋体21の左右両端部を内側に折り畳んだ際に切れ込みが延長しにくい点から円弧状が好ましいが、三角形状や四角形状など種々の形状としても良いし、単なる切込みでも良い。