【背景技術】
【0002】
一般に、積層気泡シートを用いて形成される収納袋が知られている。
積層気泡シートとは、ポリエチレンフィルムからなるシート材に中空状に膨出する多数の気泡を形成したもので、多数の気泡の緩衝作用によるクッション性(耐衝撃性)を有するシート材として、緩衝材や包装材として様々な分野で用いられている。
ここで、積層気泡シートには、通常、二層気泡シートと三層気泡シートとがある。二層気泡シートは、中空状に膨出する多数のキャップが形成されたキャップフィルムと、このキャップフィルムのキャップ開口側に積層されるバックフィルムとを備えた二層からなる気泡シートであり、三層気泡シートは、二層気泡シートのキャップフィルムのキャップ膨出側に更にライナーフィルムを積層した三層からなる気泡シートで、いずれも、キャップフィルムとバックフィルムにより形成される中空状の多数の気泡による良好なクッション性(耐衝撃性)を有しており、包装材・緩衝材として広く用いられている。
【0003】
そして、最近では、このような積層気泡シートの優れた耐衝撃性や、軽量で柔軟性に富み、折り畳みや切断・加工等も容易な材質特性等から、積層気泡シートがそのまま包装材等として使用される他、積層気泡シートを袋状・封筒状等に加工・形成して物品収納用の袋・容器として用いられることがある。
積層気泡シートを袋状・封筒状に形成した収納袋では、袋内に収納された物品は全体が積層気泡シートによって覆われた状態となるので、落下や外部からの衝撃等から有効に保護ざれ、収容物品の破損等が確実に防止されるという安全性・信頼性に優れることに加えて、積層気泡シートからなる袋内に対象物品等をそのまま収納するだけで包装・梱包を完了でき、煩雑な包装作業や梱包作業等が不要となるという便利さ・手軽さ等もあり、安全性と利便性の両面に優れた袋材として活用が期待されている。
【0004】
この種の積層気泡シートを用いた収納袋としては、例えば、特許文献1に提案されている「包装容器」がある。
この特許文献1に記載された包装容器は、積層気泡シートを袋状に形成したものであり、一端部側に形成された開口を介して袋状の内部に所望の物品を出し入れ可能となっており、その開口を融着して封止することにより、物品を袋状の内部に密封するものである。
このような積層気泡シートにより形成された包装容器は、緩衝性、耐衝撃性に優れ、袋の内部も透視が可能な封筒等を提供することができるもので、様々な物品の包装袋、発送袋に適した袋・封筒として利用することができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通常、積層気泡シートや積層気泡シートから形成された包装容器等の合成樹脂製品は、複数の合成樹脂製品を積層して、結束バンドや荷造り紐等の環状結束具によって結束された結束体として出荷されている。
【0007】
しかしながら、環状結束具は、合成樹脂製品の積層体に締付力を加えて拘束することによって積層状態を保持するため、手で破断できない程度の比較的高い強度を有する。このため、環状結束具によって結束された合成樹脂製品を使用する際には、環状結束具をナイフやハサミ等の刃物で切断する必要があり、刃物によって、合成樹脂製品自体に傷が付いたり、作業者が怪我をしたりするおそれがあるという問題があった。
また、一旦、環状結束具を切断すると、結束されていた合成樹脂製品がばらばらになって散乱するため、合成樹脂製品の結束体は取り扱い性に劣るという問題があった。
また、環状結束具には、通常、合成樹脂製品の材料とは異なる、一軸延伸したポリプロピレンやナイロン等の比較的高強度の材料が用いられているため、環状結束具は廃棄の際の分別、リサイクル性に劣るという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみてなされたものであり、環状結束具を使用しない、積層した合成樹脂製品の結束体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明の合成樹脂製品の結束体は、シート状、袋状又は板状の形状を有する複数の合成樹脂製品を積層した結束体であって、複数の合成樹脂製品の各々の端縁に貼着された端面シートを設けた構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の合成樹脂製品の結束体は、積層した複数の合成樹脂製品の各々の端縁に端面シートを貼着させることにより、環状結束具を使用せずに、積層した合成樹脂製品を結束する。これにより、本発明の合成樹脂製品の結束体によれば、環状結束具を使用しないため、結束された合成樹脂製品を使用する際に、環状結束具をナイフやハサミ等の刃物で切断する必要がない。このため、刃物によって、合成樹脂製品自体に傷が付いたり、作業者が怪我をしたりするおそれがない。
また、端面シートが各合成樹脂製品の端縁に貼着しているため、結束体から合成樹脂製品を一つ取り外しても、残りの合成樹脂製品は、端面シートに貼着したまま結束が維持される。したがって、本発明の合成樹脂製品の結束体は、合成樹脂製品がばらばらになって散乱せず、優れた取り扱い性を有している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1に、本実施形態の合成樹脂製品の結束体100の斜視図を示す。本実施形態の結束体100は、
図2に示す合成樹脂製品としての収納袋1を積層したものである。
図2(a)は、収納袋1の平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)に示す収納袋のB−B断面図である。
【0013】
図2(a)に示すように、収納袋1は、積層気泡シート2を折り返して底部14とし、左右の側端縁11及び12をヒートシールして、上部に開口部13を形成した、矩形の平面形状を有する。
図2(b)に示すように、収納袋1の左右の側端縁11及び12では、ヒートシールにより、表側の積層気泡シート2の縁と裏側の積層気泡シート2の縁とが溶着して凝固している。
【0014】
そして、
図1に示すように、結束体100の端面には2枚の端面シート3が互いに離間して貼着されている。結束体100の端面に2枚の端面シート3を互いに離間して貼着することにより、積層した収納袋1の捩れを防止することができる。
各端面シート3は、
図3(a)の断面図に示すように、複数の合成樹脂製品としての収納袋1の各々の端縁11に貼着されている。具体的には、各端面シート3にシールバー(図示せず)を押し当てて形成された2条のヒートシール部31と、各収納袋1の側端縁11との交点で、端面シート3と収納袋1とがヒートシールにより融着している。
なお、ヒートシールは狭義の熱シールのみでなく、合成樹脂製品と端面シートとが熱融着するものであれば、加熱方法は問わない。すなわち、ヒートシールバーからの伝熱によって熱融着するに限らず、超音波融着、高周波融着等を利用して熱融着することもできる。
【0015】
本発明の合成樹脂製品の結束体は、積層した複数の収納袋1の各々の側端縁11に端面シート3を貼着させることにより、環状結束具を使用せずに、積層した収納袋1を結束している。端面シート3と収納袋1とは、各端面シート3のヒートシール部31と、各収納袋1の側端縁11との交点で融着した、実質的なスポットシールであるため、収納袋1を手で引っ張ることにより、結束体100から容易に取り外すことができる。また、環状結束具を使用しないため、結束された合成樹脂製品を使用する際に、環状結束具をナイフやハサミ等の刃物で切断する必要がない。このため、刃物によって、合成樹脂製品自体に傷が付いたり、作業者が怪我をしたりするおそれがない。
【0016】
また、各収納袋1の側端縁11に端面シート3が貼着しているため、
図3(b)に示すように、結束体100から収納袋1を一つ取り外しても、残りの収納袋1は、端面シート3に貼着したまま結束が維持される。したがって、本実施形態の収納袋1の結束体は、合成樹脂製品がばらばらになって散乱せず、優れた取り扱い性を有している。
また、各収納袋1の側端縁11は、ヒートシールにより凝固して他の部分よりも固くなっている。このため、側端縁11に端面シート3を貼着すれば、結束体100の収納袋1を引っ張って、端面シート3から取り外す際に、収納袋1が破損することを防止することができる。
さらに、袋状の合成樹脂製品に限らず、ヒートシールした縁部を有する種々の合成樹脂製についても、ヒートシールした縁部に端面シートを貼着することが好ましい。
なお、合成樹脂製品に端面シート3を貼着する部位は、側端縁11のようなヒートシールにより凝固した部分に限定されず、底部14のような凝固していない部分に端面シート3を貼着してもよい。
【0017】
本実施形態の収納袋1は、袋全体のすべての部分がポリエチレンフィルムからなる積層気泡シート2を用いて形成される。
ここで、積層気泡シート2の主たる材料としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)を含むポリオレフィンを用いることができる。また、端面シート3の主たる材料も積層気泡シート2の主たる材料と同じである。このため、合成樹脂製品としての収納袋1の側端縁12及び13と端面シート3とは、相溶性を有し、互いにヒートシールで溶着することができる。
なお、接着剤を使用して収納袋1に端面シート3を貼着することも考えられるが、結束体から取り外した収納袋1に接着剤が付着残存することは、合成樹脂製品としての価値を損なうため好ましくないうえ、付着残存した接着剤に粉塵等が付着するおそれがある。これに対し、ヒートシールにより収納袋1に端面シート3を貼着すれば、接着剤が残存せず、製品価値を損なうおそれがない。
また、本実施形態の結束体100は、収納袋1の主たる材料と端面シート3の主たる材料とが同一であるため、廃棄の際の分別、リサイクル性に優れている。
なお、合成樹脂製品としての収納袋1のうち、端面シート3と溶着する側端縁11の部分の主たる材料が、端面シート3の主たる材料と同じであれば、収納袋1の他の部分の材料が、端面シート3のものと異なっていてもヒートシール可能である。
【0018】
ポリエチレンフィルムを用いて積層気泡シート2及び端面シート3を形成する場合、そのポリエチレンフィルムの材料となるポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(LVLDPE)、エチレン−酢酸ビニル重合体などが例示できる。また、これらの諸材料を任意混合してもいいてもよい。
【0019】
また、ポリエチレンフィルムの材料となる樹脂組成物には、収納袋1の用途に応じて、非ハロゲン系の高級脂肪酸、高級脂肪族網戸、金属石けん、グリセリンエステル等の洗剤、等のアンチブロッキング剤、フィルノール系、りん系、BHT等の酸化防止剤、ベンゾフェノン、ベンゾゴリアゾール、HALS等の紫外線吸収剤、タルク、珪藻土、マイカ等の無機・有機充填剤、帯電防止剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0020】
図4は、結束体100を構成する合成樹脂製品としての収納袋1を構成するポリエチレンフィルム2からなる積層気泡シート2の例を模式的に示す説明図であり、(a)は二層気泡シートの、(b)は三層気泡シートの概略要部斜視図である。
また、
図5は、本実施形態に係る収納袋1を構成する積層気泡シート2の積層構造を模式的に示す概略断面図である。
本実施形態に係る収納袋1には、
図4(a)、
図5(a)に示す二層気泡シート2A、
図4(b)、
図5(b)に示す三層気泡シート2Bのいずれも用いることができる。
二層気泡シート2Aは、中空状に膨出する多数のキャップ21が形成されたキャップフィルム22と、キャップフィルム22のキャップ開口側に蓄積されるバックフィルム23とを備える二層構造の積層気泡シート2である。
三層気泡シート2Bは、さらに、キャップフィルム22のキャップ膨出側にライナーフィルム24を積層した三層構造の積層気泡シート2である。
本実施形態の収納袋1は、上記のような二層気泡シート2A、三層気泡シート2Bのいずれを用いても形成・製袋することができる。
【0021】
つぎに、本実施形態に係る収納袋1の製造方法について、
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は、積層気泡シートの製造装置の一例を示す説明図であり、本実施形態の収納袋1に用いる積層気泡シート2は、この図に示すような製造装置5を用いて製造することができる。
【0022】
ここで、製造装置5で製造する積層気泡シート2の一例として、
図4(b),
図5(b)に示した積層構造シートを例にとって説明する。
積層気泡シート2の各層の材料の一例を挙げると、例えば、下記のものを用いることができるが、これに限定されない。
ライナーフィルム24:LDPE及び/又はLLDPE
キャップフィルム22:約30%のHDPE、残りはLDPE及び/又はLLDPE
バックフィルム23:約30%のHDPE、残りはLDPE及び/又はLLDPE
【0023】
製造装置5は、三つのフラットダイ51〜53と、成形ロール55と、三つの押圧ロール56〜58を備えている。
三つのフラットダイ51〜53は、それぞれ前述した樹脂材料を所定の厚みで押し出すことによって、フラット状のキャップフィルム22、バックフィルム23、及びライナーフィルム24が連続的に供給される。
キャップフィルム用のフラットダイ51から供給されたフラット状のキャップフィルム22は、成形ロール55に供給される。
成形ロール55には、外周面に多数のキャビティ孔551が設けられている。
各キャビティ孔551は、図示しない真空ポンプにつながっており、キャビティ孔551を真空吸引することにより、キャップフィルム22に中空状に膨出する多数のキャップ21が形成される。
【0024】
キャップ21が形成されたキャップフィルム22は、成形ロール55と押圧ロール56との間で、バックフィルム用のフラットダイ52から供給されるバックフィルム23と積層され、熱融着により一体化される。
その後、押圧ロール57と押圧ロール58との間で、ライナーフィルム用のフラットダイ53から供給されルライナーフィルム24が、キャップフィルム22のキャップ膨出側に積層され、熱融着により一体化される。
これにより、収納袋1の製袋に用いる原板状態の積層気泡シート2が得られる。
【0025】
図7は、本実施形態に係る収納袋1の製袋工程の一例を示す説明図である。
同図に示すように、収納袋1は,原反状態の積層気泡シート2が二つ折りにされ、収納袋1の両側部となる部分がシールバー6によりヒートシールされる。
その後、ヒートシール部分が切断されることにより製袋されて袋本体11が出来上がる。
【0026】
以上、本発明の合成樹脂製品の結束体の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る合成樹脂製品の結束体は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0027】
例えば、上述した実施形態においては、合成樹脂製品として、積層気泡シートで形成された収納袋を積層した結束体について説明したが、合成樹脂製品はこの構成に限定されるものではなく、例えば、収納袋の形状に加工していない積層気泡シートであってもよい。また、合成樹脂製品は、
合成樹脂製発泡シートであってもよいし、プラスチック段ボールであってもよいし、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製中空板でもよい。さらに、合成樹脂製発泡シート、プラスチック段ボール又は合成樹脂製中空板を加工した収納袋等の種々の平板形状で積層可能な合成樹脂製品であってもよい。
また、上述した実施形態では、合成樹脂製品として単一種類の収納袋を積層した結束体をについて説明したが、本発明では、複数種類の合成樹脂製品を積層して同時に結束することもできる。
また、上述した実施形態では、一つずつ個別に取り外せる収納袋1を積層した結束ついて説明したが、本発明では、合成樹脂製品は、一つずつ完全に分離されるものに限定されず、九十九折された合成樹脂製品のように、連結された合成樹脂製品を結束してもよい。
また、上述した実施形態では、一つの端面に2枚の端面シートを貼着した結束体について説明したが、本発明では、一つの端面に3枚以上の端面シートを貼着しもよいし、互いに異なる端面にそれぞれ端面シートを貼着してもよい。