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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-128402(P2017-128402A)
(43)【公開日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】自動倉庫および台車式搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20170630BHJP
【FI】
   B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-7176(P2016-7176)
(22)【出願日】2016年1月18日
(71)【出願人】
【識別番号】512079820
【氏名又は名称】エヌエイチパーキングシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515305500
【氏名又は名称】株式会社ホームロジスティクス
(74)【代理人】
【識別番号】100077470
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 冨二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067116
【弁理士】
【氏名又は名称】立川 登紀雄
(72)【発明者】
【氏名】布村 進
(72)【発明者】
【氏名】入江 良和
(72)【発明者】
【氏名】大谷 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】山田 勇
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ13
3F022LL12
3F022LL14
3F022MM13
(57)【要約】
【課題】自動倉庫において、搬送物の収納個数が膨大なるに従って搬送台車が走行するレーンも長くなってしまい、搬送台車の走行時間が増大し、入出庫に時間を要するといった課題を解決して、搬送時間を短縮した自動倉庫を提供する。
【解決手段】並列に配置した荷物室搬送路1に沿って格納棚7を配列し、格納棚7群を荷物室搬送路1の方向に複数の区画に分割し、各区画に荷物室搬送路1に沿って移動自在な荷物室搬送台車2を配備する自動倉庫であって、夫々の区画間に、入出庫搬送路4を荷物室搬送路1と直交して配置し、各入出庫搬送路4には搬送物9を入出庫させる移載装置3を隣接させると共に入出庫搬送台車5が移動自在に配備され、荷物室搬送台車2と入出庫搬送台車5が隣接停止し、搬送物9を荷物室搬送台車2と入出庫搬送台車5の間で移載する自動倉庫。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単列又は複数列を並列に配置して構成した荷物室搬送路の両側又は片側に格納棚を並べて配列し、格納棚群を荷物室搬送路の方向に複数の区画に分割すると共に、それらを単層階又は上下の多層階に配置し、それぞれ分割した区画に荷物室搬送路に沿って移動自在な荷物室搬送台車を配備する自動倉庫であって、
夫々の区画の間及び必要に応じて外側に面する端部に、入出庫搬送路を荷物室搬送路と直交方向に配置し、各入出庫搬送路には必要に応じて外部との間で搬送物を入出庫させる移載装置を隣接させると共に、入出庫搬送台車が入出庫搬送路に沿って移動自在に配備され、入出庫における搬送物の移動の際に、荷物室搬送台車と入出庫搬送台車が直交方向で隣接停止し、搭載した搬送物を荷物室搬送台車と入出庫搬送台車の間で移載することで水平搬送できるようにしたことを特徴とする自動倉庫。
【請求項2】
搬送物を分割した区画をまたがって水平搬送する時、区画間に配置した入出庫搬送台車を中継して搭載した搬送物を荷物室搬送台車と入出庫搬送台車の間で移載することによりリレー型式で水平搬送することを特徴とする請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
請求項1に記載の自動倉庫における、入出庫搬送路のうち少なくとも1本を残して他の入出庫搬送路を取り去り、搬送物を分割した区画をまたがって水平搬送する時、入出庫搬送台車を中継して、又は荷物室搬送台車間で直接移載することによりリレー型式で水平搬送することを特徴とする自動倉庫。
【請求項4】
搬送物が搬送媒体に搭載された状態で搬送される方式の自動倉庫であって、荷物室搬送台車と入出庫搬送台車の両方又はどちらか一方を搬送媒体が複数搭載できる構造とし、搬送物を台車間移載する際に搬送物搭載の搬送媒体と空の搬送媒体を交換移載することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記請求項1乃至4に記載の荷物室搬送台車と入出庫搬送台車による水平搬送方式で構成された台車式搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車と格納棚により構成された自動倉庫と、台車式搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動倉庫にはスタッカークレーンによる搬送方式と、搬送台車と昇降リフトを組み合わせた搬送方式に大別できる。
【0003】
前者のスタッカークレーン方式自動倉庫では、搬送路とその両側に配置された格納棚を1レーンとし、格納棚が複数階層で構成され、1レーンを1台のスタッカークレーンで水平と垂直を搬送して格納棚に収納、取り出しができるという特徴がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また搬送台車と昇降リフトを組み合わせた方式では、1レーンの階層毎に搬送台車を配置し、端部で昇降リフトへ接続する搬送が特徴である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−11883号公報
【特許文献2】特開平6−313373
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のようなスタッカークレーン方式自動倉庫では、収納棚は多く取ることができるが、1台のスタッカークレーンが水平と垂直に移動して搬送物を搬送するので、その分、搬送物の入出庫に時間がかかるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2のような搬送台車と昇降リフトを組み合わせた方式では、長さ方向が長い自動倉庫の場合、1レーンの長さが長くなるため、搬送台車の走行時間が長くなり、入出庫に関わる時間も長くなる課題があった。
【0008】
さらに、当該自動倉庫で長さ方向端部に一箇所配置した入出庫場では、入出庫場から搬送物の格納場所までの距離も長く、格納場所からの倉庫外への搬送にも長時間を要するという課題があった。
【0009】
また、搬送物がパレットやコンテナと言った搬送媒体に搭載され搬送格納される方式の自動倉庫では、出庫時に出庫後の空になったパレット等搬送媒体を搬送保管、また入庫時には空パレット等搬送媒体を取り出し搬送する工程が必要で入出庫時間を増長させ、あるいは専用のシステムを設けるとコストが増加する課題があった。
【0010】
この発明は、自動倉庫において、搬送物の収納個数が膨大なるに従って搬送台車が走行するレーンも長くなってしまい、搬送台車の走行時間が増大し、入出庫に時間を要するといった課題を解決した自動倉庫を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、単列又は複数列を並列に配置して構成した荷物室搬送路の両側又は片側に格納棚を並べて配列し、格納棚群を荷物室搬送路の方向に複数の区画に分割すると共に、それらを単層階又は上下の多層階に配置し、それぞれ分割した区画に荷物室搬送路に沿って移動自在な荷物室搬送台車を配備する自動倉庫であって、夫々の区画の間及び必要に応じて外側に面する端部に、入出庫搬送路を荷物室搬送路と直交方向に配置し、各入出庫搬送路には必要に応じて外部との間で搬送物を入出庫させる移載装置を隣接させると共に、入出庫搬送台車が入出庫搬送路に沿って移動自在に配備され、入出庫における搬送物の移動の際に、荷物室搬送台車と入出庫搬送台車が直交方向で隣接停止し、搭載した搬送物を荷物室搬送台車と入出庫搬送台車の間で移載することで水平搬送できるようにしたことを特徴とする自動倉庫である。
【0012】
請求項2の発明は、上記請求項1に記載の自動倉庫において、搬送物を分割した区画をまたがって水平搬送する時、区画間に配置した入出庫搬送台車を中継して搭載した搬送物を荷物室搬送台車と入出庫搬送台車の間で移載することによりリレー型式で水平搬送することを特徴とする自動倉庫である。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の自動倉庫における、入出庫搬送路のうち少なくとも1本を残して他の入出庫搬送路を取り去り、搬送物を分割した区画をまたがって水平搬送する時、入出庫搬送台車を中継して、又は荷物室搬送台車間で直接移載することによりリレー型式で水平搬送することを特徴とする自動倉庫である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動倉庫において、搬送物が搬送媒体に搭載された状態で搬送される方式の自動倉庫であって、荷物室搬送台車と入出庫搬送台車の両方又はどちらか一方を搬送媒体が複数搭載できる構造とし、搬送物を台車間移載する際に搬送物搭載の搬送媒体と空の搬送媒体を交換移載することを特徴とする自動倉庫である。
【0015】
請求項5の発明は、前記請求項1乃至4に記載の荷物室搬送台車と入出庫搬送台車による水平搬送方式で構成された台車式搬送装置である。
【0016】
本発明は、自動倉庫の台車走行方向の長い格納棚群を複数の区画に分割し、分割した夫々の区画に荷物室搬送路を走行する荷物室搬送台車を配備すると共に、夫々の区画の間と、必要に応じて終端にも入出庫搬送路を荷物室搬送路と直交方向に配置し、この入出庫搬送路に入出庫搬送台車を配備し、入出庫の際には、荷物室搬送台車と入出庫搬送台車が直交方向で隣接停止し、搭載した搬送物を台車間移載することで入出庫搬送路に隣接設置した移載装置への搬送が可能になるものである。
【0017】
この発明における入出庫搬送路は、区切られた区画の間と荷物室搬送路全体の(外部に面する)両端部に荷物室搬送路と直交して設けられるが、端部側については必ずしも入出庫搬送路を設ける必要はなく、一端側又は両側において設置を省略しても良く、その場合は区画間の入出庫搬送路で代用することができる。
【0018】
この発明における移載装置とは、外部から搬送物を自動倉庫に搬入又は搬出する部分にて入出庫搬送路上の入出庫搬送台車に搬送物を受け渡しや受け入れを行う装置のことで、例えば自動倉庫が多層階で構成されたり単層階であっても地上との段差がある場合には昇降機能を有する入出庫リフトが適しており、該入出庫リフトが搬送物を各階の入出庫搬送台車まで昇降動させて受け渡したり受け取るが、倉庫が単層階で地上床面に設置する場合は入出庫リフトは不要で単に入出庫場となる。移載装置としては、その他、コンベヤ、リフト、クレーン等種々の装置が考えられる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、この発明によれば、荷物室搬送路の長手方向を分割区画し、夫々の区画端に直交方向に入出庫用搬送路と入出庫リフトを配置することで、1本のレーンが長くなりすぎず、入出庫場から搬送物の格納場所までの距離が長く搬送に長時間を要するという課題が解決できる。
【0020】
また、自動倉庫で格納棚区画から当該区画を超えて遠方の入出庫リフトで入出庫しなければならない場合、夫々の区画の荷物室搬送台車は区画間に直交方向に配置した入出庫搬送台車を中継して搭載した搬送物を台車間移載することにより各区画をリレー型式で水平搬送することになる。
【0021】
例えば、1から3区の区画で構成された自動倉庫で1区の入出庫リフトから3区の格納棚へ入庫する場合、1区の入出庫場から入庫された荷物を1区の入出庫リフトと入出庫搬送台車で搬送し、1区の荷物室搬送台車→2区の入出庫搬送台車→2区の荷物室搬送台車→3区の入出庫搬送台車→3区の荷物室搬送台車へリレー式に搬送物を台車間移載して搬送し指定された格納棚へ格納する。
【0022】
入庫を連続して行う場合、3区画を1レーンとした従来の方式では1台の荷物室搬送台車が1区から3区まで走行して3区にある格納棚へ荷物を搬送・格納するため、荷物室搬送台車が往復し搭載荷物を移載格納している間は次の入庫作業ができない状態となる。
【0023】
本発明では、夫々の区画の荷物室搬送台車は自区画端で入出庫搬送台車を経由して隣接区画の荷物室搬送台車へ搭載荷物を移載するため、移載後は次の入庫荷物受取りのため移動し入庫作業ができるため連続して入庫あるいは出庫する場合のタクトタイム(連続して入出庫する時の間隔時間)を短くすることができる。
【0024】
また、入出庫リフト等の移載装置を夫々の区画に配置する必要がない自動倉庫では、移載装置が隣接しない入出庫搬送路としたり、入出庫搬送路を取り去り、夫々の区画間に設けた入出庫搬送路の搬送台車を中継して、又は、夫々の区画の荷物室搬送台車が隣接停止し搭載した搬送物を台車間移載することによりリレー型式で水平搬送することでタクトタイムを短くすることができる。
【0025】
格納する荷物をパレットあるいはコンテナと言った搬送媒体を使用する自動倉庫では、荷物室搬送台車と入出庫搬送台車の両方あるいはどちらか一方をダブルデッキ式とすることで搬送物を台車間移載する際に搬送物搭載パレット(搬送媒体)と空パレット(搬送媒体)を交換移載することで空パレット(搬送媒体)の回収時間および専用回収保管設備を削減することができ、出庫時の空パレット等搬送媒体の搬送保管と、入庫時の空パレット等搬送媒体の搬送するための入出庫時間を増長させる課題解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の自動倉庫の構造の全体配置を示す平面図である。
図2】第1区画端部の詳細を示す平面図である。
図3】区画の境部の詳細を示す平面図である。
図4】入出庫リフト付近を示すもので(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
図5】入出庫リフト用着床装置から入出庫搬送台車への移載手順を示したもので(A)は平面図、(B)は正面図である。
図6】入出庫搬送台車から入出庫リフト用着床装置への移載手順を示したもので(A)は平面図、(B)は正面図である。
図7】荷物室搬送台車から入出庫搬送台車への移載手順を示したもので(A)は平面図、(B)は正面図である。
図8】入出庫搬送台車から荷物室搬送台車への移載手順を示したもので(A)は平面図、(B)は正面図である。
図9】荷物室搬送台車から格納棚への移載手順を示したもので(A)は平面図、(B)は側面図である。
図10】格納棚から荷物室搬送台車への移載手順を示したもので(A)は平面図、(B)は側面図である。
図11】区画を超えて移載する場合の手順を(a)〜(f)の順に示す平面図である。
図12】本発明と従来例の入庫時の作業工程の経過時間を比較したシミュレーション図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
1)図1に実施形態の全体配置図を、図2は第1区画端部の詳細図、また図3は区画境の詳細図を示したものであり、本実施形態では自動倉庫の長編方向を区画I、II、III、IVの4区画に分割すると共に、短辺方向に荷物室搬送路1を4レーン配置している。
【0028】
荷物室搬送路1は一対のH鋼を等間隔を保って直線状に並べて構成され、それぞれの荷物室搬送路1には荷物室搬送台車2が移動自在に配置されている。なお、1aは荷物室搬送路1の中心線である。
【0029】
区画端と区画の境界には入出庫搬送路4を荷物室搬送路1と直交方向に配置している。入出庫搬送路4も一対のH鋼を等間隔を保って直線状に並べて構成され、それぞれの入出庫搬送路4には入出庫搬送台車5が移動自在に配置されている。なお、4aは荷物室搬送路1の中心線である。また、外部との搬送物のやり取りを行う移載装置としての入出庫リフト3が入出庫搬送路4と隣接して配置されている。
【0030】
荷物室搬送路1の走路両側には搬送物9を搭載する搬送媒体であるパレット6を格納する格納棚7を配置しているが、自動倉庫建屋の建屋柱8部は格納棚7を配置できないので省いた配置となっている。
【0031】
本実施形態の自動倉庫では、4区画で荷物室搬送路1を並列に4レーン配置した構成とし、単層階として2階に設置しているが、多層階に設置することや、その区画数やレーン数を増やすことも可能である。また、格納棚7は荷物室搬送路1の片側のみ配置することもできる。
【0032】
更に、本実施形態の自動倉庫では、入出庫搬送路4を両端及び各区画の間の5箇所に設けているが、自動倉庫の両端部(本実施形態での区画(I)、(IV)の外側)の入出庫搬送路4については、いずれか片方又は両方を省略して、荷物室搬送路1の一方端を行き止まり状態にしてもよい。また、移載装置である入出庫リフト3についても、場合によっては(出荷バースの位置等の理由)全ての入出庫搬送路に設けなくともよい。
【0033】
[入庫動作]
次に、搬送物の入庫時の動作について、図4乃至図10に基づいて説明する。
図4は、入出庫リフト3付近を示すもので、入庫する搬送物9を入出庫リフト用着床装置10のパレット6へ搭載し入庫を開始する、なお入庫は全ての入出庫リフト3で行える。この入出庫リフト3は、入出庫階(1階)と荷物室階(2階)を垂直搬送するものであり、当該実施形態では荷物室階が2階のみの単層階であるが、荷物室階が複数階であっても入出庫リフト3の上下方向の昇降距離を延ばすことで適用可能となる。
【0034】
入庫時は搬送物9に添付されている固体識別コード等の識別媒体(図示せず)を入出庫リフト3に設置してある操作盤のリーダ(図示せず)により自動的に読み取るか又は操作員が手入力して自動倉庫制御システムに認識させる。
【0035】
入出庫リフト用着床装置10は入出庫リフト3の下降位置が床面より高く床面との段差が生じる場合に設置され、搬送物を少し昇降させて入出庫を楽にする昇降補助装置であり、入出庫リフト3が床面ピットで掘り下げて設置できる場合は不要である。
【0036】
入出庫リフト用着床装置10のパレット6に搬送物9を搭載し、操作盤を起動すると入出庫リフト用着床装置10は入出庫リフト3の下降位置まで上昇し、内装されたチエーンコンベヤ式の横送り搬送機10aで搬送物9を搭載したパレット6を入出庫リフト3の搬機へ移載する。なお、横送り搬送機10aはチエーン式以外にローラー式等他方式の搬送機構でも可能である。
【0037】
入出庫リフト3の搬機にはローラ式の横送り搬送機3aが内装されていて、入出庫リフト用着床装置10から横送り搬送されてきた搬送物9を搭載したパレット6を連続して搬送することができ、搬送が完了すると入出庫リフト3は上昇し自動倉庫の2階荷物室階へ到着する。この実施形態では2階だけの単層階であるが、多層階の荷物室を備えた自動倉庫とすることも可能であり、その場合は自動倉庫制御システムが指定した階へ上昇移動する。なお、入出庫リフト3の搬機に設置しているローラー式の横送り搬送機3aはチエーン式等他方式の搬送機構でも可能である。
【0038】
自動倉庫の2階荷物室階では入出庫リフト3の前に入出庫搬送路4が設置されており、入出庫搬送台車5が待機した状態で上昇してきた入出庫リフト3より搬送物9搭載パレット6Aを横送り移載する。入出庫搬送台車5はパレット6Aを同時に2枚搭載することができるダブルデッキ構造で、パレットを搭載する搭載部にはパレットを横送り搬送できるローラー式の横送り搬送機5aが設置されており、実施形態では入出庫リフト3位置が入出庫搬送路4に並行して配置されているため、上記横送り搬送機5aは入出庫搬送路4に直交する方向に配置されている。
【0039】
なお、本実施形態の入出庫搬送台車5では、その高さに制約があるため平面式のダブルデッキとしているが、制約がない場合は上下2段式のダブルデッキ構造とすることができる。
【0040】
図5は上記入出庫リフト用着床装置10から入出庫リフト3により上昇し入出庫搬送台車5への搬送物9搭載パレット6Aの移載手順を示したものである。
【0041】
搬送物9が搭載されたパレット6Aの入出庫搬送台車5への移載が完了すると入出庫搬送台車5はもう一方に搭載された空パレット6Bが入出庫リフト3に正対する位置まで小移動し空パレット6Bを入出庫リフト3へ移載する。
【0042】
このようにして入出庫リフト3と入出庫搬送台車5の搬送物9搭載パレット6Aと空パレット6Bの交換移載することで、短時間に搬送物9の移載送りと空パレット6Bの回収が行える。
【0043】
実施形態では入出庫リフト3はシングルデッキの搬機であるが、入出庫搬送台車5と同じダブルデッキ方式とすることで搬送物9搭載パレット6Aの移載送りと空パレット6Bの移載回収が同時に行えるシステムとなり、更なる時間短縮が可能となる。
【0044】
図6は、上記入出庫リフト3から入出庫搬送台車5へ搬送物9搭載パレット6を移載送りし、入出庫搬送台車5に搭載してある空パレット6を入出庫リフト3へ移載回収する手順を示したものである。
【0045】
搬送物9を搭載したパレット6Aを移載され受け取った入出庫搬送台車5は、自動倉庫制御システムが指示する荷物室搬送路1へ走行移動する。一方空パレット6Bを移載回収した入出庫リフト3は、空パレット6Bを搭載して図5と逆手順で下降して空パレット6Bを入出庫リフト着床装置10へ搬送し、次の入庫作業工程に進む。
【0046】
なお、本実施形態では入出庫搬送台車5の走行システムは、入出庫搬送路4の側面に敷設した図示していない給電トロリーから受電し、また制御信号は光伝送による双方向通信システムを使用した自律型自走式台車であるが、バッテリーによる給電方式や無線通信方式の自律自走式台車あるいはチエーンやワイヤーロープ式の牽引等他の方式でも可能である。
【0047】
次に、図7に示すように、自動倉庫制御システムが指示する荷物室搬送路1では、荷物室搬送台車2が空パレット6Bを搭載して待機している。到着した入出庫搬送台車5はダブルデッキの何も搭載していない側のデッキが荷物室搬送台車2と正対する位置で停止する。荷物室搬送台車2のパレットの搭載部には荷物室搬送路1進行方向に横送り搬送できるローラー式搬送機2aが設置されており、搭載した空パレット6Bを横送り搬送して到着した入出庫搬送台車5に移載する。
【0048】
更に、図8に示すように、荷物室搬送台車2から空パレット6Bを移載された入出庫搬送台車5はもう一方のデッキに搭載された搬送物9搭載のパレット6Aが荷物室搬送台車2に正対する位置まで小移動し、搬送物9搭載のパレット6Aを横送り搬送して空になった荷物室搬送台車2へ移載搭載され、搬送物9搭載のパレット6Aと空パレット6Bがほぼ同時に交換移載される。入出庫搬送台車5は空パレット6Bを搭載して入出庫リフト3へ戻り次の入庫工程に進む。
【0049】
また、本実施形態では荷物室搬送台車2はシングルデッキ方式であるが、入出庫搬送台車5と同じように荷物室搬送台車2もダブルデッキ方式とすることで、搬送物9搭載のパレット6Aと空パレット6Bを同時交換移載することが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態では荷物室搬送台車2の走行システムは、荷物室搬送路1の側面に敷設した図示しない給電トロリーから受電し、また制御信号は光伝送による双方向通信システムを使用した自律型自走式台車であるが、バッテリー充電による給電方式や無線通信方式の自律自走式台車やチエーンおよびワイヤーロープによる牽引等他の方式でも可能である。
【0051】
次に図9に示すように、搬送物9搭載パレット6Aを移載搭載した荷物室搬送台車2は、自動倉庫制御システムが指示した荷物格納棚7へ走行移動し、搬送物9搭載パレット6Aを同格納棚7へ移載格納する。
【0052】
荷物室搬送台車2のパレット6搭載部には、荷物室搬送路1進行方向に横送り搬送できる前記ローラー式搬送機2aが設置されているが、更に同部には荷物室搬送路1に直交する方向に横送り搬送できる昇降式のローラー式搬送機2bも設置されており、指定された格納棚7へ移動した荷物室搬送台車2は荷物室搬送路1と直角方向のローラー式搬送機2bを上昇させて搬送物9搭載のパレット6Aを格納棚7に移載格納する。格納棚7には搬送方向に移動可能なフリーローラーがパレット幅方向両側2箇所に設置されており、荷物室搬送台車2の前述搬送機2bによりに搬送物9搭載パレット6が横送り搬送される。
【0053】
格納棚7のパレット支持部は駆動力を持たないフリーローラーであるため、荷物室搬送台車2のローラー式搬送機2bではパレット6を最後まで移動させることは困難であり、ローラー式搬送機2bには格納棚7側に少し飛び出す押し込み(および引き出し)機構が設置されている。また、格納棚7に格納されたパレット6が搬送台車の走行振動や地震により自然移動して落下や荷物室搬送台車2との衝突等の災害を防止するため、格納棚7には図示しないロック機構を設置し、施錠、解錠する機構が設置されている。
【0054】
次に、図10に示すように、搬送物9搭載パレット6Aを指定された格納棚7へ移載格納した荷物室搬送台車2は、次の入庫の準備で自動倉庫制御システムが指示した格納棚7へ移動し格納されている空パレット6Bを引出し搭載した後、荷物室搬送路1と入出庫搬送路4の接続点へ移動して次の入庫準備に備える。
【0055】
[出庫動作]
出庫時操作は全ての場所にある任意の入出庫リフト3で行える。入出庫リフト3の操作盤に出庫要求品の識別コード等を入力して行う、実施形態ではトラックバース番号と出荷便名で識別している。
【0056】
トラックバース11近傍の出荷入出庫リフト3の操作盤より出庫指令を入力することで、自動倉庫の格納棚7に格納されている搬送物9搭載パレット6Aが順次出庫される。
【0057】
自動倉庫制御システムの指令により指定された荷物室区画の荷物室搬送台車2が指定格納棚7へ移動し格納されている搬送物9搭載パレット6Aを引出し移載する。引出し移載手順は図9図10で示した格納手順の逆動作により実施される。
【0058】
搬送物9搭載パレット6Aを搭載した荷物室搬送台車2は、自動倉庫制御システムの指令により指定された入出庫搬送路4へ走行移動する。指定入出庫搬送路4では入出庫搬送台車5が空パレット6Bをダブルデッキの一方のデッキに搭載して待機しており、前記図7図8で示した受け入れ、受け渡し動作の逆手順により、搬送物9搭載パレット6Aを入出庫搬送台車5に移載し、交換に空パレット6Bを荷物室搬送台車2が受け取る。荷物室搬送台車2は出庫して来た格納棚7へ戻り、搭載している空パレット6Bを空になった格納棚7に移載格納し、次の出庫指令がある場合指定された格納棚7へ移動し、出庫作業を実行し指令がない場合はホームポジションへ移動して終了する。
【0059】
(5)搬送物9搭載パレット6Aを搭載した入出庫搬送台車5は、入出庫リフト3へ移動し、前記した受け入れ、受け渡し動作の逆手順により、入出庫リフト3から空パレット6Bを移載受取り、小移動し入出庫搬送台車5のもう一方のデッキに搭載している搬送物9搭載パレット6Aを入出庫リフト3へ移載した後、自動倉庫制御システムが指定する荷物室搬送路1へ移動する。
【0060】
搬送物9搭載パレット6を搭載した入出庫リフト3は、入出庫場である1階へ下降し、前記した受け入れ、受け渡し動作の逆手順により、入出庫リフト3に搭載されている搬送物9搭載パレット6を入出庫リフト用着床装置10へ横送り搬送した後、入出庫リフト用着床装置10が床面と同じレベルまで下降して出庫の自動運転は完了する。
【0061】
出庫要求者は搬送物9搭載パレット6Aから搬送物9だけを取り出してトラックバース11へ搬送する。この時に連続出庫指令が出されている場合、入出庫リフト用着床装置10は空パレット6Bを上昇し入出庫リフト3へ横送り移載し、次の出庫工程を実行する。
【0062】
[荷物室区画外への入出庫]
本考案の自動倉庫は入出庫リフト3を多数配置でき、全ての入出庫リフト3から入出庫できることが特徴であり、以上の実施形態の説明では、当該荷物室区画内での入出庫リフトによる動作説明をしたが、荷物室区画を越えて越境搬送して出庫する動作を説明する。
【0063】
例えば、第1区画(I)の格納棚7に格納されている搬送物9搭載パレット6Aを、第4区画(IV)端の入出庫リフト3へ出庫する場合や、その区画に隣接する区画境にある搬送路が、入出庫リフト3と接続しない搬送路の場合にも区画境を超えた搬送手順が必要となる。
【0064】
以下、その手順を図11により説明する。なお、図11では、図1における第1区画(I)と第2区画(II)の境の入出庫搬送路4を入出庫リフトと接続していない入出庫搬送路12に代えて、また入出庫搬送台車5を入出庫搬送台車13に代えて説明する。また、搬送されるパレットについては、各パレットの符号から引いた点線にてその位置を示す。
【0065】
まず、第1区画(I)の荷物室搬送台車2により自動倉庫制御システムが指定する指定格納棚7から搬送物9搭載パレット6Aを引出し搭載する。搬送物9搭載パレット6Aを搭載した荷物室搬送台車2は、同搬送路1を走行して第1区画(I)と第2区画(II)の境界に設置した入出庫搬送路12の境界で停止する。入出庫搬送路12では自動倉庫制御システムにより指令された入出庫搬送台車13がダブルデッキの一方のデッキ上に空パレット6Bを搭載して待機する(図11(a))。
【0066】
更に、自動倉庫制御システムにより指令された第2区画(II)の荷物室搬送台車14も、第1区画(I)と第2区画(II)の境界に設置した入出庫搬送路12の境界で空パレット15Bを搭載して待機する。
【0067】
第1区画(I)の荷物室搬送台車2に搭載した搬送物9搭載パレット6Aを入出庫搬送台車13の無搭載の空デッキへ横送り搬送移載する(図11(b))。搬送物9搭載パレット6Aを搭載した入出庫搬送台車13は、空パレット6Bを搭載した一方のデッキが第1区画(I)の荷物室搬送台車2に正対するように小移動し、搭載している空パレット6Bを第1区画の荷物室搬送台車2に移載する(図11(c))。
【0068】
同位置にて、第2区画(II)の荷物室搬送台車14に搭載されている空パレット15Bを入出庫搬送台車13に移載する(図11(d))。なお上記図11(c)工程と本項工程を同時進行で実施すれば時間短縮が可能である。
【0069】
入出庫搬送台車13は、搬送物9搭載パレット6Aが第2区画(II)の荷物室搬送台車14に正対する位置まで小移動し(図11(e))、搬送物9搭載パレット6Aを第2区画(II)の荷物室搬送台車14に移載搭載する(図11(f))。
【0070】
搬送物9搭載パレット6Aを受け取った第2区画(II)の荷物室搬送台車14は、第3区画との境界に位置する入出庫搬送路境界まで走行して、上記図11(a)項から(f)項と同じ手順により搬送物9搭載パレット6Aを第3区画(III)の荷物室搬送台車に移載する。
【0071】
上記工程を繰り返し第4区画(IV)の荷物室搬送台車から第4区画(IV)端の入出庫搬送台車5へ、図7図8の説明と同じ手順にて移載し、続けて図5図6の説明と同じ手順にて第4区画(IV)の入出庫搬送台車5から同区画端の入出庫リフト3へ移載し同リフト出庫場へ出庫することができる。
【0072】
[他の実施形態]
(1)本実施形態では、単層階に自動倉庫を設置し、出荷区分に仕分けされた搬送物を1階の入出庫リフトより入庫しておき、出荷のタイミングで出荷区分毎の搬送物を1階の出荷場に連続出庫し出荷用トラックバースへ搬送する自動倉庫であったが、他の実施形態として多層階の自動倉庫とし、上層階の仕分け階より仕分けされた搬送物を上層階から入庫しておき、1階の入出庫場より出庫することも可能であり、より合理化を図ることも可能である。
【0073】
本実施形態では、搬送物はパレットに搭載して搬送、格納しているが、他の実施形態としてコンテナのような立体系の搬送媒体を使用することも可能である。
また、パレットやコンテナのような搬送媒体を使用しないで、入出庫リフトおよび入出庫搬送台車、荷物室搬送台車、格納棚のパレット搭載部をスラットコンベアのような搬送要素を使用して構成することも可能でありパレットやコンテナの様な搬送媒体を使用せずに搬送物を直接取り扱うこともできる。
【実施例】
【0074】
図12は入庫時の作業工程をシミュレーションしたもので、上図(A)に本発明の乗継ぎ搬送による連続入庫工程を、下図(B)に従来方式である1台車の往復搬送による連続入庫工程を示しその作業時間を同じ条件で比較したものである。
【0075】
シミュレーション条件は、搬送距離:50×3区画=150m、荷物室搬送台車走行速度:1.5m/sec、入出庫搬送台車からの移載時間:10sec、荷物室搬送台車間移送時間:20sec、入庫時間:10sec、とした。
【0076】
従来方式の1つの台車による往復搬送では、乗り継ぎによる時間を省略できるため、1番目の入庫時間は短いが、2番目以降の入庫時間は搬送台車待ち時間ロスが生じるため長くなる。
【0077】
これに対して本発明による搬送台車の乗継ぎ搬送では、1番目の入庫時間は乗継ぎ2回の時間が含まれるため長くなるものの、夫々の搬送台車は搬送物を乗継部で後続の搬送台車へ移載すれば次の入庫作業が可能であるため工程ロスが少なく2番目以降の入庫時間は短縮できることになる。
【0078】
即ち、図12(A)の本発明において、入出庫搬送台車より入庫搬送物を移載された第1区画の荷物室搬送台車(I)は第1区画の50mを搬送して区画境で第2区画の荷物室搬送台車(II)へ入庫搬送物を移載し戻ってくれば、2番目の入庫搬送物を入出庫搬送台車より移載することができ、入出庫搬送台車の移載待ち時間は87秒(a)となる。
【0079】
荷物室搬送台車(II)、荷物室搬送台車(III)は同じ要領でそれぞれの区画境で入庫搬送物を後続の搬送台車へ移載し戻ってくれば、次の作業工程に入れるため区画長を短くすることでそれぞれの工程サイクル時間を短くできる。
【0080】
一方、図12(B)の従来方式では、入出庫搬送台車より入庫搬送物を移載された荷物室搬送台車は3区画分の距離150mを搬送して入庫格納棚へ入庫搬送物を入庫して戻ってくるまで2番目の入庫搬送物を入出庫搬送台車より移載することができず、入出庫搬送台車の移載待ち時間は210秒(b)となる。
【0081】
図12のシミュレーション結果より、本発明の搬送路を区画分割する方式では、2番目以降の入庫時間は97秒(c)間隔で実行されるが、従来方式の1台車往復方式では2番目以降の入庫時間は220秒(d)間隔で実行されることになり、本発明の効果は123秒(55%)の短縮となる。
【符号の説明】
【0082】
1、16 荷物室搬送路
1a 荷物室搬送路の中心線
2、14 荷物室搬送台車
3 入出庫リフト
4、12 入出庫搬送路
4a 入出庫搬送路の中心線
5、13 入出庫搬送台車
6、15 パレット
7、17 格納棚
8 建屋柱
9 搬送物
10 入出庫リフト用着床装置
11 トラックバース
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12