(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-128557(P2017-128557A)
(43)【公開日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/98 20060101AFI20170630BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20170630BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20170630BHJP
A61K 8/97 20170101ALI20170630BHJP
A61K 8/99 20170101ALI20170630BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20170630BHJP
【FI】
A61K8/98
A61K8/42
A61K8/65
A61K8/97
A61K8/99
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-22230(P2016-22230)
(22)【出願日】2016年1月21日
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】八木 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】大澤 豊
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA071
4C083AA072
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC122
4C083AC432
4C083AC641
4C083AC642
4C083AD332
4C083AD431
4C083AD432
4C083CC01
4C083CC03
4C083CC04
4C083DD27
4C083EE12
4C083EE13
(57)【要約】
【課題】保湿効果が持続する、馬乳を配合した化粧料を提供する。
【解決手段】 本発明の化粧料は、馬乳と、セラミド、コラーゲン、幹細胞培養エキス、発酵エキスおよび植物油から選択されるいずれかの第2成分を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
馬乳と、
セラミド、コラーゲン、植物油、幹細胞培養エキス、および発酵エキスから選択される少なくとも1種の第2成分と、
を含む化粧料。
【請求項2】
前記第2成分は、植物油、幹細胞培養エキス、および発酵エキスから選択される少なくとも1種である請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記植物油は、アルガンオイル、バオバブ種子油、テオブロマグランジフロルム種子油、マンゴー種子オイル、スクレロカリアビレア種子油、およびシロバナルービン種子油から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記幹細胞培養エキスは、アルガニアスピノサカルス培養エキス、ブドウ果実細胞エキス、リンゴ果実培養細胞エキスから選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項5】
前記発酵エキスは、アルテロモナス発酵エキスである請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保湿効果を持続させることができる、馬乳を配合した化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚の乾燥を防ぎ、皮膚にうるおいを与える保湿成分を提供するために、様々な有効成分の配合検討がなされてきた。
【0003】
しかしながら、皮膚に潤いを与えるには、保湿成分の保湿効果を持続させることが必要であるが、長時間持続させることは困難であった。
【0004】
一方、馬乳はヒトの母乳と似た成分構成をしているとされ、例えば、特許文献1に記載されるように、医薬用、皮膚科用および化粧用組成物に配合され、様々な効果があると記載されている。しかしながら、特許文献1には、馬乳に保湿効果を持続させる効果は記載されていない。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平8−505630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような問題点を解決すべくなされたものであって、保湿効果を長時間持続させることができる、化粧料を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、馬乳と、特定の第2成分とを併用することにより、保湿効果を長時間持続させられることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の化粧料は、馬乳と、セラミド、コラーゲン、幹細胞培養エキス、発酵エキスおよび植物油から選択される少なくとも1種第2成分を含むことを特徴とする。
【0009】
前記第2成分は、幹細胞培養エキス、発酵エキスおよび植物油から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記幹細胞培養エキスとしては、アルガニアスピノサカルス培養エキス、ブドウ果実細胞エキス、リンゴ果実培養細胞エキスであることが好ましい。
上記発酵エキスとしては、アルテロモナス発酵エキスであることが好ましい。
また、上記植物油としては、アルガンオイル、バオバブ種子油、テオブロマグランジフロルム種子油、マンゴー種子オイル、スクレロカリアビレア種子油、およびシロバナルービン種子油であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化粧料によれば、保湿効果を長時間持続させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】 角層水分含有量の測定結果をグラフに表したものである。
【
図2】 経表皮水分喪失量の測定結果をグラフに表したものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る化粧料について説明する。
【0013】
本発明の化粧料は、馬乳と、セラミド、コラーゲン、植物幹細胞培養エキス、発酵エキスおよび植物油から選択される少なくとも1種の第2成分を含むことを特徴としている。
【0014】
本化粧料における馬乳の配合量は、0.001重量%〜20重量%が好ましく、0.02重量%〜10重量%がより好ましい。
【0015】
上記セラミドとしては、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質、セラミド及び糖セラミド含有エキス等のセラミド類が例示できる。
【0016】
上記コラーゲンとしては、動物由来のコラーゲンであっても、合成コラーゲンであってもよく、コラーゲンタンパク質の他、コラーゲンタンパク質を加水分解して得られるコラーゲンペプチドや、コラーゲン分子をプロテアーゼで処理し、テロペプチド部分を取り除いたアテロコラーゲンが含まれる。動物由来のコラーゲンとしては、特に魚類由来のコラーゲンが好ましい。
また、本発明のコラーゲンの平均分子量(重量平均分子量)としては、特に制限されるものではないが、例えば、500〜100000であることが好ましく、1000〜50000であることがさらに好ましく、2000〜15000であることが特に好ましく、3000〜10000が最も好ましい。
【0017】
上記植物幹細胞培養エキスとは、植物の種子、葉、幹、根などから全能性を有するカルスを誘導した後、培養して幹細胞株を確立した培養液の抽出物である。
この植物幹細胞培養エキスとしては、アッケシソウカルス培養エキス、アメリカアサガオカルス培養エキス、アメリカヒルギカルス培養エキス、アルガニアスピノサカルス培養エキス、アロエベラカルス培養エキス、イネカルス培養エキス、エーデルワイスカルス培養エキス、エリンギウムマリチムムカルス培養液、オキシデンドロンアルボレウム葉/茎カルス培養エキス、オタネニンジンカルス培養エキス、オレンジカルス培養エキス、カエトモルファソリタリアカルス培養エキス、クリスマムマリチマムカルス培養液、グロブラリアコルジホリアカルス培養エキス、コンフリーカルス培養エキス、サポナリアプミラカルス培養エキス、シマカンギクカルス培養エキス、ショウブカルス培養エキス、セイヨウオトギリソウカルス培養エキス、セイヨウジュウニヒトエ培養細胞エキス、セイヨウナシ果実細胞培養エキス、セコイアオスギカルス培養エキス、ソイルミネラルズ/ライラック葉細胞培養エキス、ダイサンチクカルス培養エキス、ダマスクバラカルス培養エキス、ダマスクバラ胎座培養エキス、チャカルス培養エキス、ツボクサ成長点細胞培養物、トマトカルス培養エキス、トマト葉細胞培養エキス、ニンジンカルス培養エキス、ハイブリッドローズカルス培養エキス、ハスカルス培養エキス、ハス胎座培養エキス、ヒジキカルス培養エキス、フウランカルス培養エキス、プシランツスベンガレンシス葉細胞培養エキス、ブドウカルス培養エキス、ホソババレンギク培養細胞エキス、ホソババレンギク根培養細胞エキス、ミシマサイコカルス培養エキス、ミロタムヌスフラベリフォリアカルス培養エキス、ムクゲカルス培養エキス、メシマコブ/ヤマグワ木培養エキス、メボウキ毛状根培養エキス、モモカルス培養エキス、ライムギ胎座培養エキス液、ライラック葉培養細胞エキス、リョクトウ成長点細胞培養エキス、リンゴ果実培養細胞エキス、ロドデンドロンフェルギネウム葉培養細胞エキス、ワカメ培養細胞エキス等が挙げられる。これらの中で好ましい植物幹細胞培養エキスとしては、入手のしやすさ等により、アルガニアスピノサカルス培養エキス、ブドウ果実細胞エキス、リンゴ果実培養細胞エキスが挙げられる。
【0018】
上記発酵エキスは、細菌や真菌等による発酵物からの抽出物である。この発酵エキスとしては、アスペルギルス/コメ発酵エキス、アスペルギルス/クリ渋皮発酵エキス、ガノデルマアンボイネンセ/リンゴ発酵エキス液、サッカロミセス/オオムギ種子発酵エキス、アルテロモナス発酵エキス、ダイズ発酵エキス、バチルス/ダイズ発酵エキス、ビフィズス菌発酵エキス、酵母発酵エキス等が挙げられる。中でもアルテロモナス発酵エキスが好ましい。
【0019】
上記植物油としては、アボガド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、大豆リン脂質、ツバキ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、アニス油、エゴマ油、オレンジ油、カミツレ油、キューカンバー油、キョウニン油、グレープシード油、ククイナッツ油、コメヌカ油、コムギ胚芽油、ゴボウ種子油、コメ胚芽油、サザンカ油、シア脂、ジュズダマ油、スペアミント油、セージ油、タイム油、チャ実油、チョウジ油、月見草油、テレピン油、トウヒ油、トショウ油、ナタネ油、ノバラ油、パーム核油、パーム油、ハッカ油、ハトムギ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、メドウフォーム種子油、メドウフォーム−δ−ラクトン、モルティエラ油、ユーカリ油、ラッカセイ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油、アルガン油、アルガニアスピノサ核油、バオバブ油、バオバブ種子油、マンゴー種子油、シロバナルーピン種子油、スクレロカリアビレア油、スクレロカリアビレア種子油、ムルムル脂、インカオメガ油、テオブロマグランジフロルム種子脂、ババス脂、ボラージオイル、ツルコケモモ種子油、ビルベリー種子油、コケモモ種子油、イチゴ種子油、クロフサスグリ種子油、モリンガオイル、プルーンシードオイル、コレステロール、ツバキ油、ヤマトウツバキ油、ビャクダンエキス、キハダ樹皮エキス、オオムギエキス、タートル油、ミンク油、卵黄油、アマニ油、エノ油、カヤ油、シナギリ油、日本キリ油、胚芽油、硬化ヤシ油等が挙げられる。これらの中で好ましい植物油としては、アルガン油、バオバブ油、テオブロマグランジフロルム種子脂、マンゴー種子油、シロバナルーピン種子油、スクレロカリアビレア種子油等が挙げられる。
【0020】
これらの第2成分は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、本化粧料における第2成分の配合量は、各単一成分につき、0.001重量%〜20重量%が好ましく、0.002重量%〜10重量%がより好ましい。さらに、第2成分の合計量としては、0.002重量%〜30重量%程度が好ましい。
【0021】
本発明に係る化粧料には、上記成分の他、化粧料の配合成分として一般に用いられる、界面活性剤、pH調整剤、油脂類、保湿剤、増粘剤、キレート剤、防腐剤、抗炎症剤、エキス類、酸化防止剤、溶剤、紫外線吸収剤、色素、香料等を適宜配合してもよい。
【0022】
本発明の化粧料の種類としては、特に制限は無いが、毛髪用化粧料、基礎化粧料、メーキャップ化粧料、芳香化粧料、ボディ化粧料、軟膏等の皮膚外用剤が好ましいものとして挙げられる。また、本発明の化粧料は、通常化粧料として使用される種々の剤型を採用することができ、通常の方法に従って製造することができる。
【実施例】
【0023】
以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明に係る化粧料は、これらに限定されるものではない。
【0024】
(化粧水の調製1)
表1に記載の配合量にて、各成分を溶解混合し、実施例、比較例の化粧水を調製した。表において組成は重量%で示す。
【0025】
【表1】
【0026】
<保湿効果の評価1>(保湿効果の持続性:角層水分含有量の測定)
表1に示す実施例および比較例の化粧水の保湿効果について、モニターにて個々に評価した。具体的には、モニターを、温度21±2℃,湿度50±3%の恒温恒湿室にて20分間馴化させ、モニターの上腕屈部(測定部位)における角質水分量をSKICON‐200EX(IBS株式会社製)にて角層の電気伝導度を測定した。その後、各化粧水(20μL)をモニターの測定部位に塗布し、塗布5分後から角層の電気伝導度を経時的に測定する。測定は5回測定しうち3回の平均値を用い、塗布前の値を基準として、水分増加量を算出した。その結果を表1に示す。
【0027】
また、その結果を
図1に示す。本発明による馬乳とコラーゲン、発酵エキスまたは幹細胞エキスとを併用した化粧料は、馬乳ヒアルロン酸、コラーゲン、幹細胞エキスを単独使用した化粧料や、馬乳とヒアルロン酸とを併用した化粧料より、著しく保湿効果が高くかつ長く維持されていることが判明した。
【0028】
(化粧水の調製2)
表2に記載の配合量にて、実施例および比較例の化粧水を調製した。より具体的には、▲3▼成分と▲4▼成分とを混合後、▲2▼成分と加熱溶解させた。そこに、▲1▼成分および精製水を混合したものを添加し、均一になるまで撹拌して調製した。
【0029】
【表2】
【0030】
<保湿効果の評価2>(保湿効果の持続性:経表皮水分喪失量(TEWL)の測定)
表2に示す実施例および比較例の化粧水の保湿効果について、モニターにて個々に評価した。具体的には、モニターを、温度21±2℃,湿度50±3%の恒温恒湿室にて20分間馴化させ、モニターの上腕屈部(測定部位)における経表皮水分喪失量をVapo scan(アサヒバイオメッド製)にて測定した。その後、各化粧水(20μL)をモニターの測定部位に塗布し、塗布30分後、120分後において1分間隔で3回測定し全数値の平均値を用い、塗布前の値を基準として、TEWL減少量を算出した。その結果を表2に示す。
【0031】
また、その結果を
図2に示す。本発明による馬乳とセラミドまたはクプアスバター(テオブロマグランジフロルム種子油)、ルーピンオイル(シロバナルービン種子油)アルガンオイル(アルガニアスピノサ核油)、バオバブオイル、マンゴー種子オイル、マルーラオイル(スクレロカリアビレア種子油)等の植物油との併用は経表皮水分蒸発量を抑制し、馬乳および植物油単独より、著しく保湿効果が高く、長時間持続することが判明した。