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特開2017-129437スキャンテスト回路、スキャンテスト方法およびスキャンテスト回路の設計方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-129437(P2017-129437A)
(43)【公開日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】スキャンテスト回路、スキャンテスト方法およびスキャンテスト回路の設計方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20170630BHJP
   G01R 31/3185 20060101ALI20170630BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20170630BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20170630BHJP
【FI】
   G01R31/28 G
   G01R31/28 W
   H01L27/04 T
   H01L27/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-8448(P2016-8448)
(22)【出願日】2016年1月20日
(71)【出願人】
【識別番号】591128453
【氏名又は名称】株式会社メガチップス
(74)【代理人】
【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】中村 博幸
【テーマコード(参考)】
2G132
5F038
【Fターム(参考)】
2G132AA01
2G132AA15
2G132AB01
2G132AC04
2G132AC14
2G132AG08
2G132AK08
2G132AK11
2G132AK14
2G132AK15
2G132AK23
2G132AL00
5F038DF10
5F038DT02
5F038DT06
5F038DT13
5F038DT15
5F038EZ09
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】オーバヘッドの増加を抑え、高秘匿性要求回路の秘匿性を守りながらテストを行うことができるスキャンテスト回路およびスキャンテスト回路の設計方法を提供する。
【解決手段】スキャンテスト回路は、複数のサブスキャンチェーンによって構成されるスキャンチェーンと、入力分配回路と、出力圧縮回路とを備える。バイパス回路によって、圧縮スキャンモードの場合に、内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、高秘匿性要求回路のスキャンセル回路を接続して複数のサブスキャンチェーンが構成され、非圧縮スキャンモードの場合に、高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスして複数のサブスキャンチェーンが構成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャンイネーブル信号がスキャンテストモード、かつ、スキャンモード信号が圧縮スキャンモードに設定された場合に、内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、各々のスキャンセル回路を直列に接続して構成された複数のサブスキャンチェーンによって構成され、前記スキャンイネーブル信号がスキャンテストモード、かつ、前記スキャンモード信号が非圧縮スキャンモードに設定された場合に、前記複数のサブスキャンチェーンを直列に接続して構成されるスキャンチェーンと、
前記圧縮スキャンモードの場合に、前記スキャンイン信号を分配した分配信号を、前記複数のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に入力し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、前記スキャンイン信号を初段のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に入力し、かつ、前段のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を後段のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に順次入力する入力分配回路と、
前記圧縮スキャンモードの場合に、前記複数のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を圧縮した圧縮信号をスキャンアウト信号として出力し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、最終段のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を前記スキャンアウト信号として出力する出力圧縮回路とを備え、
前記スキャンチェーンは、前記圧縮スキャンモードの場合に、前記内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、高秘匿性要求回路の情報に基づいて特定される前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路を接続して前記複数のサブスキャンチェーンを構成し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスして前記複数のサブスキャンチェーンを構成するバイパス回路を備えることを特徴とするスキャンテスト回路。
【請求項2】
前記バイパス回路は、物理的な配線で接続された前記スキャンモード信号に基づいて、前記圧縮スキャンモードと前記非圧縮スキャンモードとが切り替えられ、
製造後の前記スキャンテスト回路の製品において、前記非圧縮スキャンモードの場合に、外部から前記高秘匿性要求回路にアクセスすることができない構造にしたことを特徴とする、請求項1に記載のスキャンテスト回路。
【請求項3】
スキャンテストモードが圧縮スキャンモードおよび非圧縮スキャンモードを有するスキャンテスト回路を用いて内部回路のスキャンテストを行うスキャンテスト方法であって、
前記圧縮スキャンモードに設定して、前記内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、各々のスキャンセル回路を直列に接続して構成された複数のサブスキャンチェーンによってスキャンチェーンを構成するステップと、
前記複数のサブスキャンチェーンを用いて前記内部回路のスキャンテストを行い、前記複数のサブスキャンチェーンの出力信号を圧縮した圧縮信号をテスト結果として出力するステップと、
前記非圧縮スキャンモードに設定して、前記内部回路に含まれるスキャンセル回路のうち、高秘匿性要求回路の情報によって特定された前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスして接続して前記複数のサブスキャンチェーンを構成し、前記複数のサブスキャンチェーンを直列に接続してスキャンチェーンを構成するステップと、
前記スキャンチェーンを用いて前記高秘匿性要求回路以外の内部回路のスキャンテストを行い、前記スキャンチェーンの出力信号を前記テスト結果として出力するステップとを含むことを特徴とするスキャンテスト方法。
【請求項4】
物理的な配線で接続されたスキャンモード信号に基づいて、前記圧縮スキャンモードと前記非圧縮スキャンモードとを切り替え、
製造後の前記スキャンテスト回路の製品において、前記非圧縮スキャンモードの場合に、外部から前記高秘匿性要求回路にアクセスすることができないことを特徴とする、請求項3に記載のスキャンテスト方法。
【請求項5】
内部回路に含まれる複数のフリップフロップを複数のスキャンセル回路に置換するステップと、
スキャンイネーブル信号を前記複数のスキャンセル回路のスキャンイネーブル入力端子に接続し、かつ、前段のスキャンセル回路の出力信号を後段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に順次接続することにより、前記スキャンイネーブル信号がスキャンテストモードに設定された場合に、前記複数のスキャンセル回路を直列に接続してスキャンチェーンを構成するステップと、
前記スキャンチェーンを構成する複数のスキャンセル回路を分割して複数のサブスキャンチェーンを構成するステップと、
スキャンモード信号が圧縮スキャンモードに設定された場合に、スキャンイン信号を分配した分配信号を、前記複数のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に入力し、前記スキャンモード信号が非圧縮スキャンモードに設定された場合に、前記スキャンイン信号を初段のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に入力し、かつ、前段のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を後段のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に順次入力する入力分配回路を追加するステップと、
前記スキャンイン信号および前記スキャンモード信号を前記入力分配回路に接続し、かつ、前記入力分配回路の出力信号を、前記複数のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に接続するステップと、
前記圧縮スキャンモードの場合に、前記複数のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を圧縮した圧縮信号をスキャンアウト信号として出力し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、最終段のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を前記スキャンアウト信号として出力する出力圧縮回路を追加するステップと、
前記スキャンアウト信号および前記スキャンモード信号を前記出力圧縮回路に接続し、かつ、前記複数のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を前記出力圧縮回路に接続するステップと、
高秘匿性要求回路の情報に基づいて、前記内部回路のうち、前記高秘匿性要求回路を特定するステップと、
前記圧縮スキャンモードの場合に、前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路を接続して前記複数のサブスキャンチェーンを構成し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスし、前記高秘匿性要求回路の初段のスキャンセル回路の前段の回路の出力信号を、前記高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路の後段の回路に接続して前記複数のサブスキャンチェーンを構成するバイパス回路を追加するステップと、
前記高秘匿性要求回路の初段のスキャンセル回路の前段の回路の出力信号、前記高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路の出力信号、および、前記スキャンモード信号を前記バイパス回路に接続し、前記バイパス回路の出力信号を、前記高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路の後段の回路に接続するステップとを含むことを特徴とするスキャンテスト回路の設計方法。
【請求項6】
前記スキャンモード信号を前記バイパス回路に接続するステップは、前記スキャンモード信号に基づいて、前記圧縮スキャンモードと前記非圧縮スキャンモードとが切り替えられるように、前記物理的な配線で前記スキャンモード信号を接続し、
製造後の前記スキャンテスト回路の製品において、前記非圧縮スキャンモードの場合に、外部から前記高秘匿性要求回路にアクセスすることができない構造にすることを特徴とする、請求項5に記載のスキャンテスト回路の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路(LSI)の内部回路のテストを容易化するスキャンテスト回路、スキャンテスト方法およびスキャンテスト回路の設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スキャンチェーンを用いてLSIの内部回路のテストを行うスキャンテスト方式が、昨今のLSIでは使用されている。スキャンテスト方式は、回路内部の観測性が高く、テスト容易化のために欠かせない手法である。しかし、一般に、スキャンテスト方式を採用するスキャンテスト回路は、その観測性の高さから、セキュリティホールになりやすいという問題が指摘されている。
【0003】
近年のスキャンテスト回路は、出力信号を圧縮して出力する圧縮スキャンモードと、出力信号を圧縮せずに出力する非圧縮スキャンモードとを備えている。非圧縮スキャンモードでは、回路内部のスキャンセル回路の出力信号の値が直接外部へ読み出せる状態になるため、これがセキュリティ上の問題となる。一方、圧縮スキャンモードでは、出力信号の値が圧縮されるため、セキュリティ上の問題の程度は低い。
【0004】
また、一般的に、高い秘匿性が要求される高秘匿性要求回路をスキャンテスト回路のテスト対象から外し、別途専用のテスト容易化設計および出荷テストを行っているが、そのためのオーバヘッドが発生するという別の問題がある。
【0005】
スキャンテスト回路に関する先行技術文献には、特許文献1〜5および非特許文献1がある。
【0006】
特許文献1には、スキャンパス回路に入力されるシリアルデータに対して論理演算を行ってモード信号を生成し、モード信号の状態に応じて、スキャンパス回路の出力データをそのまま出力するか、異なるデータを出力して秘匿することが記載されている。
【0007】
特許文献2には、機密データを格納するメモリから出力される信号をスキャンFFチェーンのテスト回路に取り込んでテストを行い、テスト回路から機密データを直接外部出力しないことによって機密性を保持することが記載されている。
【0008】
特許文献3には、複数の圧縮スキャンテスト対応半導体集積回路を備え、それぞれの圧縮スキャンテスト対応半導体集積回路のスキャン出力端子を後段のスキャン入力端子へ順次接続して1つのスキャンテスト経路を形成することが記載されている。
【0009】
特許文献4には、バイパステストモードでのスキャンチェーン故障診断用テストパターンと、圧縮テストモードでのスキャンチェーン用のテストパターンの両方でのテスト結果から、故障候補スキャン・フリップフロップを絞り込み、圧縮テストモードのスキャンチェーン用のテストパターンを用いたテスト結果と比較し、圧縮テストモードとバイパステストモードでのスキャンチェーン構造の差異から、圧縮テストモードにおける故障スキャンチェーンを特定することが記載されている。
【0010】
特許文献5には、スキャンパス間の出力応答を比較することによってスキャンパス自体の故障を検査することが記載されている。
【0011】
非特許文献1には、制御・観測共にされてはならないFFを可制御性・可観測性共に付加しないノンスキャンFFで構成し、制御・観測共にされてもよいFFは可制御性・可観測性を付加した通常のスキャンFFで構成することが記載されている。また、同文献には、観測されてはならないが、制御はされてよいFFには可制御性のみを付加し、逆に制御されてはならないが、観測はされてもよいFFには可観測性のみを付加することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−141791号公報
【特許文献2】特開2008−234782号公報
【特許文献3】特開2008−286553号公報
【特許文献4】特開2013−36903号公報
【特許文献5】特開2006−349548号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】伊藤侑磨、吉村正義、安浦寛人、「スキャンパス攻撃を考慮した暗号LSIのテスタビリティ評価」、信学技報、社団法人電子情報通信学会、2008年2月、第107巻、第482号、p.57-62
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1の手法では、高秘匿性要求回路専用に、圧縮回路または暗号化回路が必要となるため、例えば、制御用回路の加工および回路面積の増加等の点でオーバヘッドが大きい。
また、特許文献2の手法は、機密データを格納するメモリが対象であり、特許文献3は、高秘匿性要求回路のテストを対象としていない。
特許文献4および5は、非圧縮スキャンモードおよび圧縮スキャンモードを備えているが、いずれも故障解析を対象とし、高秘匿性要求回路のテストを対象としていない。
非特許文献1は、圧縮スキャンモードを備えていないため、例えば、制御用回路の加工およびパターン長の増加等の点でオーバヘッドが大きい。
【0015】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解消し、オーバヘッドの増加を抑え、高秘匿性要求回路の秘匿性を守りながらテストを行うことができるスキャンテスト回路、スキャンテスト方法およびスキャンテスト回路の設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、スキャンイネーブル信号がスキャンテストモード、かつ、スキャンモード信号が圧縮スキャンモードに設定された場合に、内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、各々のスキャンセル回路を直列に接続して構成された複数のサブスキャンチェーンによって構成され、前記スキャンイネーブル信号がスキャンテストモード、かつ、前記スキャンモード信号が非圧縮スキャンモードに設定された場合に、前記複数のサブスキャンチェーンを直列に接続して構成されるスキャンチェーンと、
前記圧縮スキャンモードの場合に、前記スキャンイン信号を分配した分配信号を、前記複数のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に入力し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、前記スキャンイン信号を初段のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に入力し、かつ、前段のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を後段のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に順次入力する入力分配回路と、
前記圧縮スキャンモードの場合に、前記複数のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を圧縮した圧縮信号をスキャンアウト信号として出力し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、最終段のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を前記スキャンアウト信号として出力する出力圧縮回路とを備え、
前記スキャンチェーンは、前記圧縮スキャンモードの場合に、前記内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、高秘匿性要求回路の情報に基づいて特定される前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路を接続して前記複数のサブスキャンチェーンを構成し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスして前記複数のサブスキャンチェーンを構成するバイパス回路を備えることを特徴とするスキャンテスト回路を提供するものである。
【0017】
ここで、前記バイパス回路は、物理的な配線で接続された前記スキャンモード信号に基づいて、前記圧縮スキャンモードと前記非圧縮スキャンモードとが切り替えられ、
製造後の前記スキャンテスト回路の製品において、前記非圧縮スキャンモードの場合に、外部から前記高秘匿性要求回路にアクセスすることができない構造にしたことが好ましい。
【0018】
また、本発明は、スキャンテストモードが圧縮スキャンモードおよび非圧縮スキャンモードを有するスキャンテスト回路を用いて内部回路のスキャンテストを行うスキャンテスト方法であって、
前記圧縮スキャンモードに設定して、前記内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、各々のスキャンセル回路を直列に接続して構成された複数のサブスキャンチェーンによってスキャンチェーンを構成するステップと、
前記複数のサブスキャンチェーンを用いて前記内部回路のスキャンテストを行い、前記複数のサブスキャンチェーンの出力信号を圧縮した圧縮信号をテスト結果として出力するステップと、
前記非圧縮スキャンモードに設定して、前記内部回路に含まれるスキャンセル回路のうち、高秘匿性要求回路の情報によって特定された前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスして接続して前記複数のサブスキャンチェーンを構成し、前記複数のサブスキャンチェーンを直列に接続してスキャンチェーンを構成するステップと、
前記スキャンチェーンを用いて前記高秘匿性要求回路以外の内部回路のスキャンテストを行い、前記スキャンチェーンの出力信号を前記テスト結果として出力するステップとを含むことを特徴とするスキャンテスト方法を提供する。
【0019】
ここで、物理的な配線で接続されたスキャンモード信号に基づいて、前記圧縮スキャンモードと前記非圧縮スキャンモードとを切り替え、
製造後の前記スキャンテスト回路の製品において、前記非圧縮スキャンモードの場合に、外部から前記高秘匿性要求回路にアクセスすることができないことが好ましい。
【0020】
さらに、本発明は、内部回路に含まれる複数のフリップフロップを複数のスキャンセル回路に置換するステップと、
スキャンイネーブル信号を前記複数のスキャンセル回路のスキャンイネーブル入力端子に接続し、かつ、前段のスキャンセル回路の出力信号を後段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に順次接続することにより、前記スキャンイネーブル信号がスキャンテストモードに設定された場合に、前記複数のスキャンセル回路を直列に接続してスキャンチェーンを構成するステップと、
前記スキャンチェーンを構成する複数のスキャンセル回路を分割して複数のサブスキャンチェーンを構成するステップと、
スキャンモード信号が圧縮スキャンモードに設定された場合に、スキャンイン信号を分配した分配信号を、前記複数のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に入力し、前記スキャンモード信号が非圧縮スキャンモードに設定された場合に、前記スキャンイン信号を初段のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に入力し、かつ、前段のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を後段のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に順次入力する入力分配回路を追加するステップと、
前記スキャンイン信号および前記スキャンモード信号を前記入力分配回路に接続し、かつ、前記入力分配回路の出力信号を、前記複数のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に接続するステップと、
前記圧縮スキャンモードの場合に、前記複数のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を圧縮した圧縮信号をスキャンアウト信号として出力し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、最終段のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を前記スキャンアウト信号として出力する出力圧縮回路を追加するステップと、
前記スキャンアウト信号および前記スキャンモード信号を前記出力圧縮回路に接続し、かつ、前記複数のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号を前記出力圧縮回路に接続するステップと、
高秘匿性要求回路の情報に基づいて、前記内部回路のうち、前記高秘匿性要求回路を特定するステップと、
前記圧縮スキャンモードの場合に、前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路を接続して前記複数のサブスキャンチェーンを構成し、前記非圧縮スキャンモードの場合に、前記高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスし、前記高秘匿性要求回路の初段のスキャンセル回路の前段の回路の出力信号を、前記高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路の後段の回路に接続して前記複数のサブスキャンチェーンを構成するバイパス回路を追加するステップと、
前記高秘匿性要求回路の初段のスキャンセル回路の前段の回路の出力信号、前記高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路の出力信号、および、前記スキャンモード信号を前記バイパス回路に接続し、前記バイパス回路の出力信号を、前記高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路の後段の回路に接続するステップとを含むことを特徴とするスキャンテスト回路の設計方法を提供する。
【0021】
ここで、前記スキャンモード信号を前記バイパス回路に接続するステップは、前記スキャンモード信号に基づいて、前記圧縮スキャンモードと前記非圧縮スキャンモードとが切り替えられるように、前記物理的な配線で前記スキャンモード信号を接続し、
製造後の前記スキャンテスト回路の製品において、前記非圧縮スキャンモードの場合に、外部から前記高秘匿性要求回路にアクセスすることができない構造にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、非圧縮スキャンモードの場合に、スキャンテストが、高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスして行われるため、高秘匿性要求回路の秘匿性を守ることができる。
【0023】
また、本発明では、圧縮スキャンモードの場合に、スキャンテストが、高秘匿性要求回路のスキャンセル回路を接続して行われるため、高秘匿性要求回路を完全にテスト対象外とする場合に比べて、高いテスト品質(高故障検出)を維持することができる。
【0024】
さらに、本発明では、既存の入力分配回路および出力圧縮回路をそのまま使用して、圧縮スキャンモードの場合に、高秘匿性要求回路のテストが行われる。つまり、内部回路のテスト結果を圧縮して出力することによって、高秘匿性要求回路の機密保持を実現する。そのため、制御用回路の追加、回路面積の増加、パターン長の増加等のオーバヘッドを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のスキャンテスト回路の構成を表す一実施形態の回路図である。
図2】従来のスキャンテスト回路の設計方法を表す一例のフローチャートである。
図3】スキャンテスト回路の挿入の処理を表す一例のフローチャートである。
図4】本発明のスキャンテスト回路の設計方法を表す一実施形態のフローチャートである。
図5】高秘匿性要求回路に対応する処理を表す一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のスキャンテスト回路、スキャンテスト方法およびスキャンテスト回路の設計方法を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明のスキャンテスト回路の構成を表す一実施形態の回路図である。同図に示すスキャンテスト回路10は、LSIの内部回路のテストを容易化するものであり、スキャンチェーン12と、入力分配回路14と、出力圧縮回路16とを備えている。
【0028】
内部回路は、組み合わせ回路と、スキャンセル回路とを含む。また、内部回路は、本実施形態の場合、高い秘匿性が要求されない回路と、高い秘匿性が要求される高秘匿性要求回路の情報に基づいて特定される高秘匿性要求回路とによって構成されている。図1中、点線で囲まれた領域に含まれる内部回路が高秘匿性要求回路40であり、組み合わせ回路50と、スキャンセル回路20を含む。それ以外の内部回路は高い秘匿性が要求されない回路である。
【0029】
スキャンテスト回路10は、スキャンイネーブル信号によって設定される通常動作モードおよびスキャンテストモードを有し、スキャンイネーブル信号がローレベルの場合に通常動作モードとなり、ハイレベルの場合にスキャンテストモードとなる。
また、スキャンテストモードは、スキャンモード信号(Compress)によって設定される圧縮スキャンモードおよび非圧縮スキャンモードを有し、スキャンモード信号がローレベルの場合に非圧縮スキャンモードとなり、ハイレベルの場合に圧縮スキャンモードとなる。
【0030】
スキャンテストモードは、内部回路のスキャンテストを行うモードであり、通常動作モードは、通常動作時の入力信号に基づいて内部回路が通常動作するモードである。圧縮スキャンモードは、複数のサブスキャンチェーンの出力信号であるスキャンテストの結果を圧縮して出力するモードであり、非圧縮スキャンモードは、スキャンチェーンの出力信号であるスキャンテストの結果を圧縮せずに出力するモードである。
【0031】
スキャンテスト回路10において、スキャンチェーン12は、スキャンイネーブル信号がスキャンテストモードに設定された場合に、内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路を直列に接続してシフトレジスタを構成するものである。スキャンチェーン12は、本実施形態の場合、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eと、バイパス回路18とによって構成されている。
【0032】
初段(1段目)のサブスキャンチェーン12aは、内部回路に含まれる5つのスキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eによって構成されている。
【0033】
スキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eのデータ入力端子Dには、通常動作時の入力信号、例えば、外部から入力される入力信号、内部回路に含まれる前段の組み合わせ回路50の出力信号等が入力されている。また、スキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eのスキャンイネーブル入力端子SEにはスキャンイネーブル信号が入力され、クロック入力端子CKにはクロック信号が入力されている。
【0034】
初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIには、入力分配回路14からスキャンイン信号(分配信号)が入力されている。また、2段目〜最終段(5段目)のスキャンセル回路20b、20c、20d、20eのスキャンイン入力端子SIには、それぞれ、前段のスキャンセル回路20a、20b、20c、20dのデータ出力端子Qから出力される出力信号が入力されている。
【0035】
図示省略しているが、サブスキャンチェーン12a、12b、12c、12dのスキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eの出力信号は、各々後段の内部回路に含まれる組み合わせ回路50に入力される。組み合わせ回路50の出力信号は、各々後段のサブスキャンチェーン12b、12c、12d、12eのスキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eのデータ入力端子Dに入力される。
【0036】
サブスキャンチェーン12aのスキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eからは、スキャンイネーブル信号が通常動作モードに設定された場合に、クロック信号に同期して、通常動作時の入力信号が出力され、スキャンイネーブル信号がスキャンテストモードに設定された場合に、クロック信号に同期して、スキャンイン信号および前段のスキャンセル回路20a、20b、20c、20dの出力信号が出力される。
【0037】
2段目のサブスキャンチェーン12bは、初段のサブスキャンチェーン12aにおいて、さらに、バイパス回路18を備えている。バイパス回路18は、本実施形態の場合、マルチプレクサ22によって構成されている。
【0038】
マルチプレクサ22の入力端子0、1には、それぞれ、初段のスキャンセル回路20aおよび4段目のスキャンセル回路20dの出力信号が入力され、マルチプレクサ22の選択入力端子にはスキャンモード信号が入力されている。また、マルチプレクサ22から出力される出力信号は、最終段のスキャンセル回路20eのスキャンイン入力端子SIに入力されている。
【0039】
マルチプレクサ22からは、スキャンモード信号が圧縮スキャンモードに設定された場合に、4段目のスキャンセル回路20dの出力信号が出力され、スキャンモード信号が非圧縮スキャンモードに設定された場合に、初段のスキャンセル回路20aの出力信号が出力される。
【0040】
つまり、バイパス回路18は、圧縮スキャンモードの場合に、内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、高秘匿性要求回路40のスキャンセル回路20b、20c、20dを接続してサブスキャンチェーン12bを構成する。また、非圧縮スキャンモードの場合に、高秘匿性要求回路40のスキャンセル回路20b、20c、20dをバイパスし、高秘匿性要求回路40の初段のスキャンセル回路20bの前段の回路、図1の例の場合には、初段のスキャンセル回路20aの出力信号を、高秘匿性要求回路40の最終段のスキャンセル回路20dの後段の回路、図1の例の場合には、最終段のスキャンセル回路20eに接続してサブスキャンチェーン12bを構成する。
【0041】
3段目のサブスキャンチェーン12cは、2段目のサブスキャンチェーン12bと同様の構成であり、4段目および最終段のサブスキャンチェーン12d、12eは、初段のサブスキャンチェーン12aと同様の構成である。
【0042】
つまり、スキャンチェーン12は、スキャンテストモード、かつ、圧縮スキャンモードの場合に、内部回路に含まれる複数のスキャンセル回路のうち、高秘匿性要求回路のスキャンセル回路を含めて、各々のスキャンセル回路を直列に接続して構成された複数のサブスキャンチェーンによって構成される。一方、スキャンテストモード、かつ、非圧縮スキャンモードの場合に、高秘匿性要求回路のスキャンセル回路をバイパスして複数のサブスキャンチェーンが構成され、複数のサブスキャンチェーンを直列に接続してスキャンチェーン12が構成される。
【0043】
続いて、入力分配回路(De-Compressor)14は、圧縮スキャンモードの場合に、スキャンイン信号(Scan In)を5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eに分配するものである。入力分配回路14は、本実施形態の場合、4つのマルチプレクサ24b、24c、24d、24eによって構成されている。
【0044】
初段のサブスキャンチェーン12aの初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIには、入力分配回路14からスキャンイン信号が入力されている。
【0045】
マルチプレクサ24b、24c、24d、24eの入力端子0には、各々前段のサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12dの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が入力され、入力端子1にはスキャンイン信号が入力されている。マルチプレクサ24b、24c、24d、24eの選択入力端子にはスキャンモード信号が入力され、その出力信号は、各々対応するサブスキャンチェーン12b、12c、12d、12eの初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIに入力されている。
【0046】
マルチプレクサ24b、24c、24d、24eからは、圧縮スキャンモードの場合に、スキャンイン信号が分配信号として出力され、非圧縮スキャンモードの場合に、各々前段のサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12dの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が出力される。
【0047】
つまり、入力分配回路14は、圧縮スキャンモードの場合に、スキャンイン信号を分配した分配信号を、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eの初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIに入力する。一方、非圧縮スキャンモードの場合に、スキャンイン信号を初段のサブスキャンチェーン12aの初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIに入力し、かつ、サブスキャンチェーン12a、12b、12c、12dの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号を各々後段のサブスキャンチェーン12b、12c、12d、12eの初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIに順次入力する。
【0048】
最後に、出力圧縮回路(Compressor)16は、圧縮スキャンモードの場合に、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eの出力信号を圧縮して出力するものである。出力圧縮回路16は、本実施形態の場合、4つのEXOR回路26a、26b、26c、26dと、マルチプレクサ28とによって構成されている。
【0049】
EXOR回路26aには、初段および2段目のサブスキャンチェーン12a、12bの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が入力され、EXOR回路26bには、3段目および4段目のサブスキャンチェーン12c、12dの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が入力されている。また、EXOR回路26cには、EXOR回路26a、26bの出力信号が入力されている。EXOR回路26dには、EXOR回路26cの出力信号および最終段のサブスキャンチェーン12eの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が入力されている。
【0050】
EXOR回路26a、26b、26c、26dによって5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eの出力信号が圧縮され、EXOR回路26dからは、その圧縮信号が出力される。
【0051】
マルチプレクサ28の入力端子0には、最終段のサブスキャンチェーン12eの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が入力され、入力端子1には、EXOR回路26dの出力信号が入力されている。また、マルチプレクサ28の選択入力端子にはスキャンモード信号が入力されている。マルチプレクサ28からは、スキャンアウト信号(Scan Out)が出力されている。
【0052】
マルチプレクサ28からは、圧縮スキャンモードの場合に、EXOR回路26dの出力信号、つまり、圧縮信号が出力され、非非圧縮スキャンモードの場合に、最終段のサブスキャンチェーン12eの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が出力される。
【0053】
つまり、出力圧縮回路16は、圧縮スキャンモードの場合に、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号を圧縮した圧縮信号をスキャンアウト信号として出力する。一方、非圧縮スキャンモードの場合に、最終段のサブスキャンチェーン12eの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号、つまり、スキャンチェーン12の最終段のスキャンセル回路20eの出力信号をスキャンアウト信号として出力する。
【0054】
次に、スキャンテスト回路10の動作を説明する。
【0055】
通常動作を行う場合、スキャンイネーブル信号が通常動作モードに設定される。
通常動作モードの場合、内部回路に含まれる全てのスキャンセル回路は、クロック信号に同期して、通常動作時の入力信号を保持する。つまり、スキャンチェーン12は構成されない。
これにより、内部回路は、通常動作時の入力信号に基づいて通常動作する。
【0056】
スキャンテストを行う場合、まず、スキャンイネーブル信号がスキャンテストモード(シフトモード)に設定され、続いて、通常動作モード(キャプチャモード)に設定され、再びスキャンテストモード(シフトモード)に設定される。
また、スキャンテストモードの場合、スキャンテスト回路10は、非圧縮スキャンモードまたは圧縮スキャンモードで動作する。
【0057】
まず、非圧縮スキャンモードの場合のスキャンテスト回路10の動作を説明する。
【0058】
非圧縮スキャンモードの場合、まず、スキャンイネーブル信号がスキャンテストモード(シフトモード)に設定される。
【0059】
この場合、入力分配回路14のマルチプレクサ24b、24c、24d、24eからは、各々前段のサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12dの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が出力される。
【0060】
つまり、初段のサブスキャンチェーン12aの初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIには、入力分配回路14からスキャンイン信号が入力され、2段目〜最終段のサブスキャンチェーン12b、12c、12d、12eの初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIには、それぞれ、入力分配回路14からマルチプレクサ24b、24c、24d、24eの出力信号、つまり、前段のサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12dの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が入力される。
これにより、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eを直列に接続してスキャンチェーン12が構成される。
【0061】
また、2段目および3段目のサブスキャンチェーン12b、12cのバイパス回路18を構成するマルチプレクサ22からは、それぞれ、サブスキャンチェーン12b、12cの初段のスキャンセル回路20aの出力信号が出力される。
これにより、高秘匿性要求回路40のスキャンセル回路20b、20c、20dをバイパスしてサブスキャンチェーン12b、12cが構成される。
【0062】
出力圧縮回路16のマルチプレクサ28からは、最終段のサブスキャンチェーン12eの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号が出力される。
【0063】
非圧縮スキャンモードの場合、スキャンチェーン12を構成する全てのスキャンセル回路の合計の段数である25段から、高秘匿性要求回路40のスキャンセル回路20b、20c、20dの合計の数である6段を差し引いた19段に相当する数だけ、クロック信号およびスキャンイン信号が順次入力される。
【0064】
スキャンチェーン12の初段のスキャンセル回路(初段のサブスキャンチェーン12aの初段のスキャンセル回路20a)は、クロック信号に同期して、スキャンイン入力端子SIに入力されるスキャンイン信号を順次保持し、それ以降のスキャンチェーンのスキャンセル回路は、クロック信号に同期して、それぞれ、前段のスキャンセル回路の出力信号を順次保持する。
【0065】
これにより、スキャンイン信号は、スキャンチェーン12の初段のスキャンセル回路から、順次後段のスキャンセル回路へシフトされ、スキャンチェーン12にテストパターンがセットされる。
【0066】
内部回路に含まれる組み合わせ回路50は、スキャンチェーン12にセットされたテストパターンに基づいて動作し、組み合わせ回路50から、スキャンテストのテスト結果が出力される。
【0067】
続いて、スキャンイネーブル信号が通常動作モード(キャプチャモード)に設定される。
【0068】
この場合、スキャンチェーン12は構成されず、内部回路に含まれる全てのスキャンセル回路は、クロック信号に同期して、その前段の組み合わせ回路50の出力信号(テスト結果)を保持する。
これにより、内部回路に含まれる全てのスキャンセル回路にテスト結果が格納される。
【0069】
続いて、再びスキャンイネーブル信号がスキャンテストモード(シフトモード)に設定される。
【0070】
この場合、スキャンテスト回路10は、前述の通りに構成され、同様にスキャンチェーンを構成するスキャンセル回路の合計の段数である19段に相当する数だけ、クロック信号が順次入力される。
【0071】
同様に、スキャンチェーン12の初段のスキャンセル回路は、クロック信号に同期して、スキャンイン入力端子SIに入力されるスキャンイン信号を順次保持し、それ以降のスキャンチェーンのスキャンセル回路は、クロック信号に同期して、それぞれ、前段のスキャンセル回路の出力信号を順次保持する。
【0072】
これにより、スキャンチェーン12のスキャンセル回路に保持されたテスト結果は、スキャンチェーン12の初段のスキャンセル回路から、順次後段のスキャンセル回路へシフトされ、その最終段のスキャンセル回路(最終段のサブスキャンチェーン12eの最終段のスキャンセル回路20e)から順次出力される。
また、出力圧縮回路16のマルチプレクサ28からは、スキャンチェーン12の最終段のスキャンセル回路の出力信号が、スキャンアウト信号として順次出力される。
【0073】
このように、非圧縮スキャンモードの場合、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eが直列に接続されてスキャンチェーン12が構成される。非圧縮スキャンモードの場合に、スキャンテストが、高秘匿性要求回路40のスキャンセル回路20b、20c、20dをバイパスして行われるため、高秘匿性要求回路40の秘匿性を守ることができる。
【0074】
言い換えると、高秘匿性要求回路40を接続してサブスキャンチェーンを構成するか、高秘匿性要求回路40をバイパスしてサブスキャンチェーンを構成するかは、バイパス回路18のマルチプレクサ22によって、物理的な配線で接続されたスキャンモード信号に基づいて自動的に切り替えられ、非圧縮スキャンモードの場合に、外部からの操作によって高秘匿性要求回路40を接続するかバイパスするかを自由に切り替えることはできない。
従って、製造後のスキャンテスト回路の製品において、非圧縮スキャンモードの場合に、外部から高秘匿性要求回路40にアクセスすることができない構造にしたため、高秘匿性要求回路40の秘匿性を守ることができる。
【0075】
次に、圧縮スキャンモードの場合のスキャンテスト回路10の動作を説明する。
【0076】
圧縮スキャンモードの場合も、まず、スキャンイネーブル信号がスキャンテストモード(シフトモード)に設定される。
【0077】
この場合、入力分配回路14のマルチプレクサ24b、24c、24d、24eからは、スキャンイン信号が分配された分配信号が出力される。
【0078】
つまり、初段のサブスキャンチェーン12aの初段のスキャンセル回路20aのスキャンイン入力端子SIには、入力分配回路14からスキャンイン信号(分配信号)が入力され、2段目〜最終段のサブスキャンチェーン12b、12c、12d、12eのスキャンイン入力端子SIには、入力分配回路14からマルチプレクサ24b、24c、24d、24eの出力信号、つまり、分配信号が入力される。
これにより、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eは直列に接続されず、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eが構成される。
【0079】
また、2段目および3段目のサブスキャンチェーン12b、12cのバイパス回路18を構成するマルチプレクサ22からは、4段目のスキャンセル回路20dの出力信号が出力される。
これにより、高秘匿性要求回路40のスキャンセル回路20b、20c、20dを接続してサブスキャンチェーン12b、12cが構成され、5つのスキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eが直列に接続される。
【0080】
出力圧縮回路16のマルチプレクサ28からは、EXOR回路26dの出力信号、つまり、EXOR回路26a、26b、26c、26dが、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eの最終段のスキャンセル回路20eの出力信号のEXOR(排他的論理和)を算出することによって圧縮した圧縮信号が出力される。
【0081】
圧縮スキャンモードの場合、各々のサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eを構成する全てのスキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eの合計の段数である5段に相当する数だけ、クロック信号およびスキャンイン信号が順次入力される。
【0082】
サブスキャンチェーン12aの初段のスキャンセル回路20aは、クロック信号に同期して、スキャンイン入力端子SIに入力されるスキャンイン信号を順次保持し、2段目〜最終段のサブスキャンチェーン12b、12c、12d、12eの初段のスキャンセル回路20aは、クロック信号に同期して、それぞれ、入力分配回路14のマルチプレクサ24b、24c、24d、24eの出力信号、つまり、分配信号を順次保持する。
また、サブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eの2段目〜最終段のスキャンセル回路20b、20c、20d、20eは、クロック信号に同期して、それぞれ、前段のスキャンセル回路20a、20b、20c、20dの出力信号を順次保持する。
【0083】
これにより、スキャンイン信号および分配信号は、それぞれ、サブスキャンチェーン12aおよびサブスキャンチェーン12b、12c、12d、12eの初段のスキャンセル回路20aから、順次後段のスキャンセル回路20b、20c、20d、20eへシフトされ、サブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eにテストパターンがセットされる。
【0084】
内部回路に含まれる組み合わせ回路50は、それぞれ、サブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eにセットされたテストパターンに基づいて動作し、組み合わせ回路50から、スキャンテストのテスト結果が出力される。
【0085】
続いて、スキャンイネーブル信号が通常動作モード(キャプチャモード)に設定される。
【0086】
この場合、サブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eは構成されず、内部回路に含まれる全てのスキャンセル回路は、クロック信号に同期して、その前段の組み合わせ回路50の出力信号(テスト結果)を保持する。
これにより、内部回路に含まれる全てのスキャンセル回路にテスト結果が格納される。
【0087】
続いて、再びスキャンイネーブル信号がスキャンテストモード(シフトモード)に設定される。
【0088】
この場合、スキャンテスト回路10は、前述の通りに構成され、同様にサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eを構成するスキャンセル回路の合計の段数である5段に相当する数だけ、クロック信号が順次入力される。
【0089】
同様に、サブスキャンチェーン12aおよびサブスキャンチェーン12b、12c、12d、12eの初段のスキャンセル回路20aは、クロック信号に同期して、それぞれ、スキャンイン信号および分配信号を順次保持し、それ以降のサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eのスキャンセル回路20b、20c、20d、20eは、クロック信号に同期して、それぞれ、前段のスキャンセル回路20a、20b、20c、20dの出力信号を順次保持する。
【0090】
これにより、サブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eのスキャンセル回路20a、20b、20c、20d、20eに保持されたテスト結果は、それぞれ、サブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eの初段のスキャンセル回路20aから、順次後段のスキャンセル回路へシフトされ、その最終段のスキャンセル回路20eから順次出力される。
【0091】
また、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eの最終段のスキャンセル回路20eから出力されるテスト結果は、出力圧縮回路16のEXOR回路26a、26b、26c、26dによって圧縮されて圧縮信号が出力され、マルチプレクサ28からは、EXOR回路26dの出力信号、つまり、圧縮信号がスキャンアウト信号として順次出力される。
【0092】
このように、圧縮スキャンモードの場合、スキャンチェーン12として、5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eが構成される。圧縮スキャンモードの場合に、スキャンテストが、高秘匿性要求回路40のスキャンセル回路20b、20c、20dを接続して行われるため、高秘匿性要求回路40を完全にテスト対象外とする場合に比べて、高いテスト品質(高故障検出)を維持できる。
【0093】
通常、スキャンテスト回路では、内部回路に含まれる全てのスキャンセル回路を接続してスキャンチェーンが構成される。また、スキャンチェーン12の構成によって圧縮スキャンモードおよび非圧縮スキャンモードを備える。
【0094】
また、非圧縮スキャンモードでは、内部回路に与えられたスキャンイン信号およびスキャンアウト信号のセットの数で内部回路に含まれる全てのスキャンセル回路を分割し、平均化して、分割したスキャンセル回路を各々直列に接続した構造でスキャンテストが行われる。従って、スキャンチェーンは非常に長い段数、例えば、数万段のスキャンセル回路によって構成され、テストパターンが長くなる要因となる。
【0095】
一方、圧縮スキャンモードでは、非圧縮スキャンモードの場合のスキャンチェーンを、さらに、数百段程度のスキャンセル回路からなるサブスキャンチェーンに分割してスキャンテストが行われる。サブスキャンチェーンへの分割の際には、例えば、EDA(Electronic Design Automation)ベンダ毎に提供されている入力分配回路および出力圧縮回路が使用され、テストパターンを短くすることができる要因となっている。
【0096】
圧縮スキャンモードには、テストパターンを短くするメリットがあるが、例えば、圧縮構造に起因して故障を検出できない部分が残る。そのため、最終到達故障検出率が低くなることや、同じく圧縮構造に起因して不具合箇所の特定が困難であるため、製品の出荷選別時のデバッグおよび不良解析が手間となるというデメリットもある。
【0097】
このため、非圧縮スキャンモードおよび圧縮スキャンモードの両方が一般的に使用されている。近年、圧縮構造の改善によって圧縮スキャンモードのデメリットを減らすことが進められており、非圧縮スキャンモードは不要であると提唱するEDAベンダもある。しかし、前述のように、デバッグ等では非圧縮スキャンモードが有効であるため、現状は、非圧縮スキャンモードおよび圧縮スキャンモードの両方が実装されるのが通常である。
【0098】
また、本実施形態のスキャンテスト回路10では、バイパス回路18としてマルチプレクサ22を挿入するが、これが配置配線に与える影響は微小である。
【0099】
また、スキャンテスト回路10では、EDAベンダによって提供される既存の入力分配回路14および出力圧縮回路16をそのまま使用して、圧縮スキャンモードの場合に、高秘匿性要求回路40のテストが行われる。つまり、内部回路のテスト結果を圧縮して出力することによって、高秘匿性要求回路40の機密保持を実現する。そのため、制御用回路の追加、回路面積の増加、パターン長の増加等のオーバヘッドを最小限に抑えることができる。
【0100】
次に、本発明のスキャンテスト回路の設計方法について説明する前に、まず、従来のスキャンテスト回路の設計方法について説明する。
【0101】
図2は、従来のスキャンテスト回路の設計方法を表す一例のフローチャートである。同図のフローチャートに示すように、従来のスキャンテスト回路の設計では、まず、ハードウェア記述言語を用いて、RTL(Register Transfer Level:レジスタ転送レベル)設計によりRTLの回路が記述され(ステップS1)、RTLの回路の記述からRTLのネットリストが生成される(ステップS2)。
【0102】
続いて、論理合成ツールを用いて、RTLのネットリストに基づいて論理合成が行われ(ステップS3)、フリップフロップおよび組み合わせ回路を含む論理回路(内部回路)のネットリストが生成される(ステップS4)。
【0103】
最後に、テスト回路挿入ツールを用いて、論理回路のネットリストに基づいてスキャンテスト回路が挿入される(ステップS5)。
【0104】
ここで、スキャンテスト回路の挿入の処理は、図3のフローチャートに示すように、以下のステップで行われる。
【0105】
まず、論理回路のネットリストに含まれる複数のフリップフロップが複数のスキャンセル回路に置換される(ステップS5-1)。
【0106】
続いて、非圧縮スキャンモードが追加される(ステップS5-2)。
【0107】
この場合、例えば、スキャンイネーブル信号が複数のスキャンセル回路のスキャンイネーブル入力端子に接続され、かつ、前段のスキャンセル回路の出力信号がその後段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に順次接続される(ステップS5-2-1)。
これにより、スキャンイネーブル信号がスキャンテストモードに設定された場合に、複数のスキャンセル回路が直列に接続されてスキャンチェーンが構成される。
【0108】
続いて、圧縮スキャンモードが追加される(ステップS5-3)。
【0109】
この場合、例えば、スキャンチェーンを構成する複数のスキャンセル回路が分割されて複数のサブスキャンチェーンが構成される(ステップS5-3-1)。
続いて、入力分配回路が追加される(ステップS5-3-2)。
続いて、スキャンイン信号およびスキャンモード信号が入力分配回路に接続され、かつ、入力分配回路の出力信号が、複数のサブスキャンチェーンの初段のスキャンセル回路のスキャンイン入力端子に接続される(ステップS5-3-3)。
続いて、出力圧縮回路が追加される(ステップS5-3-4)。
続いて、スキャンアウト信号およびスキャンモード信号が出力圧縮回路に接続され、かつ、複数のサブスキャンチェーンの最終段のスキャンセル回路の出力信号が出力圧縮回路に接続される(ステップS5-3-5)。
尚、本手順は一例として示したものであり、各ツールや回路構造によっては、順序は前後する。
【0110】
次に、本発明のスキャンテスト回路の設計方法について説明する。
【0111】
図4は、本発明のスキャンテスト回路の設計方法を表す一実施形態のフローチャートである。同図に示すステップS1〜S5までは、従来のスキャンテスト回路の設計方法と同じである。
【0112】
本発明のスキャンテスト回路の設計方法では、続いて、高秘匿性要求回路対応ツールを用いて、スキャンテスト回路が挿入された論理回路のネットリストに基づいて、高秘匿性要求回路に対応する処理が行われる(ステップS6)。
【0113】
ここで、高秘匿性要求回路に対応する処理は、図5のフローチャートに示すように、以下のステップで行われる。
【0114】
まず、ネットリスト内の階層名等のように、高秘匿性要求回路の情報に基づいて、スキャンテスト回路が挿入された論理回路(つまり、論理回路のネットリスト)の中から、高秘匿性要求回路が特定される(ステップS6-1)。
【0115】
続いて、スキャンセル回路のスキャンイン入力端子およびデータ出力端子等の情報を含むスキャン関連情報に基づいて、論理回路に含まれるスキャンセル回路のスキャンイン入力端子およびデータ出力端子が特定される(ステップS6-2)。
【0116】
続いて、スキャン関連情報に基づいて、スキャンモード信号が確認される(ステップS6-3)。スキャンモード信号は、本実施形態の場合、圧縮スキャンモードの場合にハイレベル、非圧縮スキャンモードの場合にローレベルに設定されるとする。
【0117】
続いて、高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路と、その後段のスキャンセル回路との間にバイパス回路18となるマルチプレクサ22が追加される(ステップS6-4)。
【0118】
続いて、前述のスキャンモード信号の極性に基づいて、高秘匿性要求回路の初段のスキャンセル回路の前段の回路、つまり、初段のスキャンセル回路20aの出力信号、および、高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路の出力信号がマルチプレクサ22の入力端子0および1に接続され、スキャンモード信号がマルチプレクサ22の選択入力端子に接続される。また、マルチプレクサ22の出力信号が、高秘匿性要求回路の最終段のスキャンセル回路の後段の回路、つまり、スキャンセル回路22eのスキャンイン入力端子SIに接続される(ステップS6-5)。
【0119】
上記各ステップにより、スキャンテスト回路10の設計が行われる。
【0120】
なお、入力分配回路14、出力圧縮回路16、バイパス回路18の具体的な構成は何ら限定されず、これらの回路は、同様の機能を果たす各種構成の回路によって実現可能である。
【0121】
また、図1の例では、圧縮スキャンテストの場合に、スキャンチェーン12が5つのサブスキャンチェーン12a、12b、12c、12d、12eによって構成されるが、サブスキャンチェーンの数は何ら限定されない。また、スキャンチェーンの数も何ら限定されず、2以上であってもよい。図1の例では、高秘匿性要求回路40が1つであるが、高秘匿性要求回路40の数も何ら限定されず、2以上であってもよい。
【0122】
また、図1の例では、2段目のサブスキャンチェーン12bの高秘匿性要求回路40の初段のスキャンセル回路20bの前段の回路は、同じサブスキャンチェーン12bの初段のスキャンセル回路20aである。しかし、例えば、高秘匿性要求回路40の初段のスキャンセル回路がスキャンセル回路20aの場合、その前段の回路は、前段のサブスキャンチェーン12aの最終段のスキャンセル回路20eとなる。
また、2段目のサブスキャンチェーン12bの高秘匿性要求回路40の最終段のスキャンセル回路20dの後段の回路は、同じサブスキャンチェーン12bの最終段のスキャンセル回路20eである。しかし、例えば、高秘匿性要求回路40の最終段のスキャンセル回路がスキャンセル回路20cの場合、その後段の回路は、同じサブスキャンチェーン12bのスキャンセル回路20dとなる。
このように、高秘匿性要求回路40の配置位置も何ら限定されず、高秘匿性要求回路40の配置位置に応じて、その前段の回路および後段の回路は適宜変わる。
【0123】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0124】
10 スキャンテスト回路
12 スキャンチェーン
12a、12b、12c、12d、12e サブスキャンチェーン
14 入力分配回路
16 出力圧縮回路
18 バイパス回路
20a、20b、20c、20d、20e スキャンセル回路
22、24b、24c、24d、24e、28 マルチプレクサ
26a、26b、26c、26d EXOR回路
40 高秘匿性要求回路
50 組み合わせ回路
図1
図2
図3
図4
図5