(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-130079(P2017-130079A)
(43)【公開日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】被撮像物情報提供システム、被撮像物情報提供方法、および被撮像物情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 17/30 20060101AFI20170630BHJP
【FI】
G06F17/30 310Z
G06F17/30 170B
G06F17/30 170C
G06F17/30 170D
G06F17/30 380D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-9469(P2016-9469)
(22)【出願日】2016年1月21日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被写体を撮像し、その被撮像物について精度の高い情報を提供する被撮像物情報提供システムを提供する。
【解決手段】被撮像物情報提供システムは、所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベース200を備え、ユーザ端末100にカメラ部110と、地域特定モジュール151と、カメラ部110による被撮像物をデータベース200から特定する被撮像物特定モジュール152と、特定された被撮像物の情報を提供する情報提供モジュール131と、を備える。データベース200が施設毎又は地域毎に存在する場合、データベース選択モジュールによるデータベースの選択を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースと、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供システム。
【請求項2】
前記無線情報が、GPS情報であることを特徴とする請求項1に記載の被撮像物情報提供システム。
【請求項3】
前記無線情報が、ローカルエリアネットワーク情報であることを特徴とする請求項1に記載の被撮像物情報提供システム。
【請求項4】
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースを前記所定の地域毎又は施設毎に備え、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、
前記特定手段で特定した地域に対応するデータベースを選択するデータベース選択手段と、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供システム。
【請求項5】
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースを備え、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定ステップと、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定ステップと、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供ステップと、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供方法。
【請求項6】
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースを備える被撮像物情報提供システムに、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定ステップ、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定ステップ、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供ステップ、
を実行させるための被撮像物情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像し、その被撮像物体についての情報を提供する被撮像物情報提供システム、被撮像物情報提供方法、および被撮像物情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を撮像した画像に対して、検索エンジン等を用いて画像検索を行うことで、被撮像物についての情報を得ることができる。しかしながら、そのようにして得られた情報は、似たような被撮像物に対する情報も混ざっており、ユーザが本当に必要な被写体の情報であるかどうかを確かめるための手間がかかる。例えば、美術館において絵画を撮像してその情報を得ようとした場合、同じ作者の似たような作品が別の美術館に存在する場合、得られた検索結果が本当に被写体のものであるか確認することが必要である。
【0003】
そこで、発明者は被写体撮像時の位置情報を利用して、美術館を特定して、特定した美術館のデータベースに接続することが有効ではないかということに着目した。
【0004】
位置情報を利用するシステムとして、特許文献1には、現在位置に対応するコンテンツを通知することが可能な情報処理システムに関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−90386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の手法では、所定の場所を特定する名称、位置情報、および画像のうち少なくともいずれか一つと、特定のコンテンツとを関連付けたデータベースを事前に準備するという非常に時間や手間のかかる事前準備が必要である。また、現在位置に対応するコンテンツがある場合にユーザに通知するという、システムが情報を発信するプッシュ型の情報処理システムであるため、ユーザによっては通知を煩わしく感じる恐れがある。
【0007】
そこで、本発明では、上記の課題に鑑みて、被写体を撮像し、その被撮像物について精度の高い情報を提供する被撮像物情報提供システム、被撮像物情報提供方法、および被撮像物情報提供プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースと、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供システムを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、被撮像物情報提供システムにおいて、所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースと、無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、を備える。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、被撮像物情報提供システムのカテゴリであるが、被撮像物情報提供方法、および被撮像物情報提供プログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0012】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である被撮像物情報提供システムにおいて、
前記無線情報が、GPS情報であることを特徴とする被撮像物情報提供システムを提供する。
【0013】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である被撮像物情報提供システムは、前記無線情報が、GPS情報である。
【0014】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である被撮像物情報提供システムにおいて、
前記無線情報が、ローカルエリアネットワーク情報であることを特徴とする被撮像物情報提供システムを提供する。
【0015】
第3の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である被撮像物情報提供システムは、前記無線情報が、ローカルエリアネットワーク情報である。
【0016】
第4の特徴に係る発明は、
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースを前記所定の地域毎又は施設毎に備え、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、
前記特定手段で特定した地域に対応するデータベースを選択するデータベース選択手段と、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供システムを提供する。
【0017】
第4の特徴に係る発明によれば、被撮像物情報提供システムにおいて、所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースを前記所定の地域毎又は施設毎に備え、無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、前記特定手段で特定した地域に対応するデータベースを選択するデータベース選択手段と、前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、を備える。
【0018】
第5の特徴に係る発明は、被撮像物情報提供方法であって、
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースを備え、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定ステップと、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定ステップと、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供ステップと、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供方法を提供する。
【0019】
第6の特徴に係る発明は、被撮像物情報提供プログラムであって、
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶するデータベースを備える被撮像物情報提供システムに、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定ステップ、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定ステップ、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供ステップ、
を実行させることを特徴とする画像処理プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、被写体を撮像し、その被撮像物について精度の高い情報を提供する被撮像物情報提供システム、被撮像物情報提供方法、および被撮像物情報提供プログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の好適な実施形態の概要図である。
【
図2】
図2は、ユーザ端末100とデータベース200の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【
図3】
図3は、ユーザ端末100の被撮像物情報提供処理のフローチャート図である。
【
図4】
図4は、複数のデータベース200が存在する場合のユーザ端末100の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
【
図5】
図5は、複数のデータベース200が存在する場合のユーザ端末100の被撮像物情報提供処理のフローチャート図である。
【
図6】
図6は、被撮像物特定処理のフローチャート図である。
【
図7】
図7はデータベースのデータ構造の例である。
【
図8】
図8はデータベースが複数の場合のデータベースのデータ構造の例である。
【
図9】
図9は被撮像物特定処理の画像検索で候補が見つからなかった場合の画面表示の一例である。
【
図10】
図10は被撮像物特定処理の画像検索で候補が複数見つかった場合の選択画面表示の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0023】
[被撮像物情報提供システム概要]
本発明の概要について
図1に基づいて、説明する。ユーザ端末100は、
図2に示すように、カメラ部110、入力部120、出力部130、記憶部140、通信部150、制御部160から構成される。出力部130は制御部160と協働して情報提供モジュール131を実現する。また通信部150は制御部160と協働して地域特定モジュール151と被撮像物特定モジュール152を実現する。ユーザ端末100とデータベース200は、通信網300を介して接続されているものとする。通信網300は、公衆通信網でも専用通信網でも良い。また、データベース200をユーザ端末100内に備える構成としてもよい。
【0024】
被撮像物情報提供システムは、ユーザから入力に応じて、ユーザ端末100のカメラ部110により被写体400の撮像を行う(ステップS01)。被写体400は、物理的に空間の一部を占めて有形的存在をもつ有体物であるとし、例として、美術館や博物館の美術品、ショッピングモールや商業施設の商品、建築物、等が考えられる。
図1では、被写体400が美術館の美術品である場合を例として説明する。また、ステップS01で行う撮像は、静止画であっても動画であってもよい。ここで、動画又は静止画で撮像された物体を、被撮像物と呼称する。この段階では、被撮像物が被写体400であることは特定されていない。
【0025】
次に、地域特定モジュール151は、撮像時の無線情報を取得して、地域の特定を行う(ステップS02)。ここでの、無線情報とは、携帯電話やスマートフォン、タブレットPC等に、搭載されている、GPS(Global Positioning System)、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、Bluetooth、NFC、3G(第3世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)等の、無線通信方式を使用して得られる位置情報とする。各通信方式に応じた位置情報の取得に関しては、本特許を限定するものではなく、既存の技術を利用可能であるものとする。地域特定モジュール151は、取得した位置情報と、地図情報を使用して、ユーザ端末100がどの地域内又は施設内にあるかを特定する。地図情報は、ユーザ端末100の記憶部140に保持してもよいし、通信部150を介して、外部から取得してもよい。
【0026】
被撮像物特定モジュール152は、ステップS02で特定した地域又は施設の情報を基にして、被撮像物の特定を行う(ステップS03)。具体的には、特定した地域又は施設の情報を使用して、データベースから被撮像物の画像検索を行う。特定した地域又は施設の情報を使用することで、被撮像物が被写体400であると特定する精度を高めることが可能である。ここで、画像検索の方法に関しては、本特許を限定するものではなく、既存の技術を利用可能であるものとする。
【0027】
また、被撮像物特定モジュール152は、データベース200から、ステップS03で特定した被撮像物の情報を取得する(ステップS04)。ここで取得する情報は、テキストデータや画像データ等による被撮像物の解説であってもよいし、詳細な情報が記されているURLであってもよい。
【0028】
最後に、情報提供モジュール131が、ユーザ端末100の出力部130に取得した情報を出力し、ユーザに対して提供する(ステップS05)。情報提供のための出力としては、解説の画面表示であってもよいし、テキストデータの音声出力であってもよい。
【0029】
このように、本発明によれば、先行文献1のようなシステムが情報を発信するプッシュ型の情報処理システムと異なり、ユーザが本当に情報を必要とする場合にのみ、つまり、被写体の撮像を行った場合にのみ情報を得られるシステムを実現することが可能である。
【0030】
[各機能の説明]
図2は、ユーザ端末100とデータベース200の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。ユーザ端末100は、カメラ部110、入力部120、出力部130、記憶部140、通信部150、制御部160から構成される。出力部130は制御部160と協働して情報提供モジュール131を実現する。また通信部150は制御部160と協働して地域特定モジュール151と被撮像物特定モジュール152を実現する。データベース200は、有体物の情報を記憶する一般的なデータベースであってよい。ユーザ端末100とデータベース200は、通信網300を介して接続されているものとする。通信網300は、公衆通信網でも専用通信網でも良い。また、データベース200をユーザ端末100内に備える構成としてもよい。
【0031】
ユーザ端末100は、ユーザがカメラによる撮像を行え、各種アプリケーションを実行する一般的な情報端末であって良く、後述する機能を備える情報機器や電化製品である。携帯電話やスマートフォン、カメラ機能を備えた、又は、ウェブカメラ等の外付けカメラを接続可能な、タブレットPC、ノートPC、ウェアラブルデバイス、又はディスプレイを備えたPC等の一般的な情報家電やその他の電化製品であって良い。ユーザ端末100として図示しているスマートフォンはその一例にすぎない。
【0032】
ユーザ端末100は、カメラ部110で撮像した画像をデジタルデータに変換して、記憶部140に保存する。また、撮像画像は静止画像であっても動画像であってもよく、動画像の場合には、制御部160の働きにより、動画像の一部を切り出して、静止画像として記憶部140に保存することも可能であるとする。また、撮像して得られる画像は、画像検索を行うために必要なだけの情報量を持った精密な画像であるものとし、必要に応じて画素数や画質を指定可能であるものとする。
【0033】
入力部120は、各種アプリケーションの実行や、撮像の指定を行うために必要な機能を備えるものとする。例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0034】
出力部130は、制御部160と協働して情報提供モジュール131を実現する。また、撮像画像の表示や情報提供を行うために必要な機能を備えるものとする。例として、液晶ディスプレイ、PCのディスプレイ、プロジェクターへの投影等の画面表示や、スピーカーやヘッドフォン、イヤフォン等の音声出力等の形態が考えられる。出力方法により、本発明は特に機能を限定されるものではない。
【0035】
記憶部140として、ハードディスクや半導体メモリによる、データのストレージ部を備え、撮像した動画や静止画、地域特定や被撮像物特定を行うために必要なデータ、データベースから取得した被撮像物の情報等を記憶する。
【0036】
通信部150は、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi対応デバイス、又は、Bluetooth、NFC、3G、LTE等の規格に準拠した無線デバイス等を備え、データベース200を外部に備える構成の場合、データベース200との通信が可能であるものとする。また、GPS通信機能を備えてもよく、GPS通信、又は、前述した無線デバイスによる通信により、位置情報の取得が可能であるものとする。
【0037】
また、制御部160として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備える。
【0038】
[被撮像物情報提供処理]
図3は、ユーザ端末100の被撮像物情報提供処理のフローチャート図である。
【0039】
ユーザ端末100は、ユーザから入力に応じて、カメラ部110により被写体400の撮像を行う(ステップS101)。
図1に示した通り、被写体400は、物理的に空間の一部を占めて有形的存在をもつ有体物であるとし、例として、美術館や博物館の美術品、ショッピングモールや商業施設の商品、建築物、等が考えられる。ここでは、被写体400が美術館の美術品である場合を例として説明する。また、ステップS101で行う撮像は、静止画であっても動画であってもよい。この段階では、被撮像物が被写体400であることは特定されていない。
【0040】
次に、地域特定モジュール151は、ユーザ端末100の撮像時の無線情報を取得する(ステップS102)。ここでの、無線情報とは、ユーザ端末100の無線通信方式を使用して得られる位置情報とする。ここでの無線通信方式は、前述した通り、GPSや、Wi−Fi、Bluetooth、NFC、3G、LTE等である。各通信方式に応じた位置情報の取得に関しては、本特許を限定するものではなく、既存の技術を利用可能であるものとする。
【0041】
また、地域特定モジュール151は、取得した位置情報と、地図情報を使用して、ユーザ端末100がどの地域内又は施設内にあるかを特定する(ステップS103)。ここで使用する地図情報は、ユーザ端末100の記憶部140に保持してもよいし、通信部150を介して、外部から取得してもよい。取得した位置情報と地図情報を照らし合わせることで、ユーザ端末100がどの地域内又は施設内で、撮像を行ったかを特定することが可能である。得られる位置情報が詳細であり、かつ、その位置が特定の施設内である場合には施設を特定し、施設まで特定することが困難である場合には地域を特定するとしてもよい。
【0042】
被撮像物特定モジュール152は、ステップS103で特定した地域又は施設の情報を基にして、被撮像物の特定を行う(ステップS104)。具体的には、特定した地域又は施設の情報を使用して、データベースから被撮像物の画像検索を行う。画像検索の方法に関しては、本特許を限定するものではなく、既存の技術を利用可能であるものとする。被撮像物特定処理の詳細については、後述する。
【0043】
図7は被撮像物のデータが記憶されているデータベース200のデータ構造の例である。ここでは、特定した被撮像物が美術館の美術品である場合を例としているので、データ構造としては、美術館名、作品名、作者、解説、種類、URL等が考えられる。A美術館を施設として特定した場合、その情報を利用して画像検索を行うことで、他の美術館に類似の美術品があった場合にも、それらを候補から除外することができ、被撮像物が被写体400であると特定する精度を高めることが可能である。
【0044】
被撮像物が、ショッピングモールや商業施設の商品である場合には、データベースに含めるデータ構造として、商品名、値段、メーカー名、解説、種類、評価、URL等が考えられる。この場合、ショッピングモールや商業施設を施設として特定して画像検索を行うことで、被撮像物を特定する精度を高めることができる。
【0045】
また、被撮像物が建築物である場合には、データベースに含めるデータ構造として、建物名、所在地、建築年月、設計者、解説、URL等が考えられる。この場合、建築物の所在地を地域として特定して画像検索を行うことで、被撮像物を特定する精度を高めることができる。
【0046】
次に、被撮像物特定モジュール152は、データベース200から、ステップS104で特定した被撮像物の情報を取得する(ステップS105)。ここで取得する情報は、テキストデータや画像データ等による被撮像物の解説であってもよいし、詳細な情報が記されているURLであってもよい。
【0047】
情報提供モジュール131は、取得した情報をユーザに対して提供する(ステップS106)。ここでの情報提供方法は、ユーザ端末100の出力部130への出力である。出力方法は、解説の画面表示であってもよいし、テキストデータの音声出力であってもよい。画面表示や音声出力等、どのような方法でユーザに対して情報提供を行うかは、ユーザが指定可能としてもよい。
【0048】
最後に、被撮像物情報提供システムは、特定した被撮像物の撮像画像の使用が制限されているかどうかを確認し、使用が制限されている場合には、ユーザ端末100の記憶部140から撮像画像の消去を行うか、又は、今後も画像検索以外の使用が行えないよう撮像画像に対して制限をかける処理を行う(ステップS106)。これは、著作権、肖像権、プライバシーの権利を有する被撮像物に対しても、データベースの検索を可能として、情報を取得するためである。
【0049】
[被撮像物特定処理]
図6は、被撮像物特定モジュール152が実行する被撮像物特定処理のフローチャート図である。
図3のフローチャートのステップS104、
図5のフローチャートのステップS205に相当する。
【0050】
撮像画像から、被撮像画像を特定するために、まず撮像画像が静止画であるか動画であるかを確認する(ステップS301)。
【0051】
ここで撮像画像が動画である場合には、動画から静止画の切り出しを行う(ステップS302)。静止画の切り出しを行う場合には、画像解析により、適切と思われるシーンを切り出してもよいし、ユーザに動画の中から適切なフレームを選択させてもよい。また、彫刻などの立体物を様々な角度から撮像した場合には、様々な角度の複数枚の静止画を切り出ししてもよい。ここでの、画像解析による静止画切り出し方法に関しては、本特許を限定するものではなく、既存の技術を利用可能であるものとする。
【0052】
次に、撮像した静止画像、又は、ステップS302で切り出した静止画像を使用して、データベース内の画像検索を実行する(ステップS303)。ここでは、主に画像の特徴量を基盤として検索するCBIR(Content Based Image Retrieval)の手法を用いて検索を行う。又は、画像の中から文字情報を抽出して、OCR(Optical Character Recognition)処理を行い、得られたテキストデータをを利用したTBIR(Text Based Image Retrieval)を行ってもよい。画像検索方法に関しては、本特許を限定するものではなく、既存の技術を利用可能であるものとする。
【0053】
画像検索の結果を確認し(ステップS304)、検索結果として1件が該当した場合にはその結果により、被撮像物を特定する(ステップS306)。
【0054】
画像検索の結果が該当なしであった場合には、ユーザ端末100の出力部130に、該当情報が見つからないことを出力する(ステップS305)。
【0055】
図9は被撮像物特定処理の画像検索で候補が見つからなかった場合の画面表示の一例である。出力部130に、画像検索に使用した画像や、撮像画像に該当するデータが見つからなかったこと、検索したデータベースの情報等を表示する。表示の代わりに、音声出力してもよい。また、ユーザが終了ボタン901を選択した場合には、被撮像物特定処理だけでなく、被撮像物情報提供処理を終了する。
【0056】
また、フローチャートには図示していないが、再撮影ボタン902を選択した場合には、
図3のステップS101、又は、
図5のステップS201に戻って、再度被写体400の撮像を行ってもよい。又は、ここで、ユーザに被写体400の作品名、商品名、建物名等を入力させ、そのテキスト情報をもとにデータベース内のTBIRによる画像検索を行ってもよい。また、検索先が適切でない場合には、ユーザに検索先を指定させてもよい。テキスト情報の入力や検索先の指定を行った場合、再度ステップS303に戻って画像検索を実施し、ステップS304で検索結果の確認を行う。
【0057】
画像検索の結果として複数件が該当した場合には、ユーザに検索結果を表示して候補を選択させるかどうかの確認を行う(ステップS307)。
【0058】
ユーザに選択させない場合には、もっとも類似度が高いものを、被撮像物として特定する(ステップS308)。
【0059】
ユーザに選択させる場合には、ユーザ端末100の出力部130に、選択画面を表示する(ステップS309)。
【0060】
図10は被撮像物特定処理の画像検索で候補が複数見つかった場合の選択画面表示の一例である。出力部130に、候補として検索された画像とその類似度をパーセンテージで表示している。ここで、どの候補を被撮像物として特定し、情報を取得するかをユーザに選択させる。
図10では、ラジオボタンにより候補1と候補2を選択可能とした場合を表している。ここでは、ラジオボタンにより、候補1が選択されているので、選択ボタン1001を選択すると、候補1を被撮像物として特定する(ステップS310)。
【0061】
また、フローチャートには図示していないが、ユーザがキャンセルボタン1002を選択した場合には、被撮像物特定処理を終了して、再度、
図3のステップS101、又は、
図5のステップS201に戻って、被写体の撮像を行ってもよい。
【0062】
[複数のデータベースが存在する場合の被撮像物情報提供処理]
図4は、複数のデータベースが存在する場合のユーザ端末100の機能ブロックと各機能の関係を示す図である。
図2の機能に加えて、通信部150と制御部160が協働して、データベース選択モジュール153を実現する。データベース200a、データベース200b、データベース200cは、それぞれ
図2のデータベース200と同等の機能を備え、有体物の情報を記憶する一般的なデータベースであってよい。ユーザ端末100とデータベース200a、データベース200b、データベース200cは、通信網300を介して接続されているものとする。通信網300は、公衆通信網でも専用通信網でも良い。
【0063】
データベース200a、データベース200b、データベース200cは、同じ場所にある必要はなく、例えば、データベース200aはA美術館のもので日本にあり、データベース200bはB MUSEUMのものでフランスにあり、データベース200cはC Museumのものでアメリカにあってよい。
【0064】
このように、データベースが複数ある場合とは、地域毎又は施設毎にデータベースを備える場合であると考えられる。例えば、美術品の情報提供を行うシステムである場合には、美術館毎に備えるデータベースを利用して、情報提供を行うことが考えられる。この場合、既存の美術館のデータベースを使用することで、システム側で必要なデータベースを事前に準備する必要がなくなるため、コストや手間を削減できるという、先行文献1では得られない利点がある。
【0065】
図5は、複数のデータベースが存在する場合のユーザ端末100の被撮像物情報提供処理のフローチャート図である。
図5のステップS201、ステップS202、ステップS203は、それぞれ、
図3のステップS101、ステップS102、ステップS103と同様の処理である。また、
図5のステップS205、ステップS206、ステップS207、ステップS208は、それぞれ、
図3のステップS104、ステップS105、ステップS106、ステップS107と同様の処理である。そのため、ここでは、特にステップS204のデータベース選択について説明する。
【0066】
データベースが複数ある場合、データベース選択モジュール153は、ステップS203で特定した地域又は施設の情報を基にして、データベースの選択を行う(ステップS204)。
【0067】
ここで、ステップS203でA美術館を施設として特定した場合には、データベース選択モジュール153は、ステップS204でA美術館のデータベース200aを選択する。もしも、ステップS203で特定したのが施設ではなく地域である場合には、このデータベースの選択時に、施設のデータベースを選択することはなく、地域のデータベースを選択するものとする。
【0068】
図8はデータベースが複数ある場合のデータベースのデータ構造の例である。ここでは、A美術館のデータベースは、URL、作品名、作者、解説、種類等のデータ構造であり、B MUSEUMのデータベースは、URL、Work、Technical description等のデータ構造であるとした。各地域又は各施設が用意したデータベースを使用する場合には、このように、それぞれ含まれるデータが異なると考えられる。このように、データ構造が異なる複数のデータベースを使用する場合、データベース毎のデータ構造や、解説文を解析して、ユーザに対しては、同じフォーマットで情報の提供を行ってよい。ここでの解析方法に関しては、本特許を限定するものではなく、既存の技術を利用可能であるものとする。また、被撮像物情報提供システムと、取得した情報の言語が異なる場合には、被撮像物情報提供システムの言語に合わせて、解説文の自動翻訳を行ってもよい。
【0069】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)、コンパクトメモリ等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
100 ユーザ端末、200 データベース、300 通信網、400 被写体
【手続補正書】
【提出日】2017年1月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶する前記所定の地域毎又は施設毎のデータベースと通信し、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、
前記特定手段で特定した地域に対応するデータベースを選択するデータベース選択手段と、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供システム。
【請求項2】
前記無線情報が、GPS情報であることを特徴とする請求項1に記載の被撮像物情報提供システム。
【請求項3】
前記無線情報が、ローカルエリアネットワーク情報であることを特徴とする請求項1に記載の被撮像物情報提供システム。
【請求項4】
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶する前記所定の地域毎又は施設毎のデータベースと通信する情報端末が実行する方法であって、
無線情報から前記情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定するステップと、
前記地域特定モジュールで特定した地域に対応するデータベースを選択するステップと、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定するステップと、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供するステップと、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
第1の特徴に係る発明は、
所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶する
前記所定の地域毎又は施設毎のデータベース
と通信し、
無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供システムを提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、被撮像物情報提供システムにおいて、所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶する
前記所定の地域毎又は施設毎のデータベース
と通信し、無線情報から情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定手段と、前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定手段と、前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供手段と、を備える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
第
4の特徴に係る発明は、所定の地域内又は施設内に存在する有体物の情報を記憶する
前記所定の地域毎又は施設毎のデータベース
と通信する情報端末が実行する方法であって、
無線情報から
前記情報端末が前記所定の地域内又は施設内にあることを特定する地域特定ステップと、
前記情報端末で撮像された撮像画像の被撮像物を、前記データベースから特定する被撮像物特定ステップと、
前記被撮像物特定手段で特定された被撮像物の情報を提供する情報提供ステップと、
を備えることを特徴とする被撮像物情報提供方法を提供する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】