特開2017-130145(P2017-130145A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-130145(P2017-130145A)
(43)【公開日】2017年7月27日
(54)【発明の名称】貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20170630BHJP
【FI】
   G07D9/00 421
   G07D9/00 331
   G07D9/00 461A
   G07D9/00 408Z
   G07D9/00 401C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-10766(P2016-10766)
(22)【出願日】2016年1月22日
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】稲本 雅也
【テーマコード(参考)】
3E040
【Fターム(参考)】
3E040AA01
3E040AA04
3E040AA08
3E040BA09
3E040CA16
3E040DA02
3E040FC05
3E040FH04
3E040FJ05
3E040FL04
(57)【要約】
【課題】セキュリティ性を確保しつつ貨幣処理装置側の操作の容易化を図ることができる貨幣処理システムを提供する。
【解決手段】操作者ID認証手段182と操作入力手段175,181と貨幣処理データを作成する貨幣処理データ作成手段とを有し、貨幣処理データ作成手段が作成した貨幣処理データを送信可能なデータ作成装置2と、データ作成装置2とは別体であって、データ作成装置2から送信された貨幣処理データを受信すると共に、受信した貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる貨幣処理装置4と、を備え、データ作成装置2は、貨幣処理データ作成手段が貨幣処理データを作成した状態で、操作者ID認証手段182で認証された操作者IDが承認許可者IDリストにある場合に、操作入力手段175,181に承認操作が入力されると、当該貨幣処理データを貨幣処理装置4に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者IDを認証する操作者ID認証手段と、操作が入力される操作入力手段と、前記操作者ID認証手段で認証された操作者IDがデータ作成許可者IDリストにある場合に前記操作入力手段への操作入力に基づいて貨幣処理データを作成する貨幣処理データ作成手段と、を有し、該貨幣処理データ作成手段が作成した貨幣処理データを送信可能なデータ作成装置と、
前記データ作成装置とは別体であって、該データ作成装置から送信された貨幣処理データを受信すると共に、受信した貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる貨幣処理装置と、
を備え、
前記データ作成装置は、前記貨幣処理データ作成手段が貨幣処理データを作成した状態で、前記操作者ID認証手段で認証された操作者IDが承認許可者IDリストにある場合に、前記操作入力手段に承認操作が入力されると、当該貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信することを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記貨幣処理装置近傍の操作者を撮影する撮影手段と、
該撮影手段の撮影画像を前記データ作成装置の近傍の操作者に向け表示するモニタ手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
操作者IDを認証する操作者ID認証手段と、操作が入力される操作入力手段と、前記操作者ID認証手段で認証された操作者IDがデータ作成許可者IDリストにある場合に当該操作者IDに関連付けて貨幣処理データを前記操作入力手段への操作入力に基づいて作成する貨幣処理データ作成手段と、を有し、該貨幣処理データ作成手段が作成した貨幣処理データを送信可能なデータ作成装置と、
前記データ作成装置とは別体であって、該データ作成装置から送信された貨幣処理データを受信すると共に、受信した貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる貨幣処理装置と、
前記貨幣処理装置近傍の操作者を撮影する撮影手段と、
該撮影手段の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識し該操作者の操作者IDを特定する操作者ID画像特定手段と、
を備え、
前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、前記貨幣処理装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項4】
前記貨幣処理装置は、選択操作が入力される選択操作手段を有しており、
前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、前記データ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データが複数ある場合に、これらの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に一括して送信することになり、
前記貨幣処理装置は、これら貨幣処理データの中から前記選択操作手段で選択操作された貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする請求項3記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記貨幣処理装置は、指定操作および非指定操作が入力される指定操作手段を有しており、
前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、前記データ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データが複数ある場合に、これらの貨幣処理データの中から一つの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信し、該一つの貨幣処理データに対して前記指定操作手段に非指定操作が入力されると、次の一つの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信することを順次行うことになり、
前記貨幣処理装置は、前記指定操作手段で指定操作入力がなされた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする請求項3記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
一つの前記貨幣処理装置に貨幣処理データを送信可能な前記データ作成装置が複数設けられており、
前記貨幣処理装置は、選択操作が入力される選択操作手段を有していて、
前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、複数の前記データ作成装置が、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信することになり、
前記貨幣処理装置は、これら貨幣処理データの中から前記選択操作手段で選択操作された貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする請求項3記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
一つの前記貨幣処理装置に貨幣処理データを送信可能な前記データ作成装置が複数設けられており、
前記貨幣処理装置は、指定操作および非指定操作が入力される指定操作手段を有していて、
前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、複数の前記データ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた一つの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信し、該一つの貨幣処理データに対して前記指定操作手段に非指定操作が入力されると、次の一つの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信することを順次行うことになり、
前記貨幣処理装置は、前記指定操作手段で指定操作入力がなされた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする請求項3記載の貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣処理本体機と貨幣処理端末機とを連携動作させる貨幣処理システムがある(例えば、特許文献1参照)。この種の貨幣処理システムにおいては、特に本体機と端末機とを離れて設置する場合のセキュリティ性確保のために、本体機および端末機の両方で操作者のID認証を必要とするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5198153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貨幣処理システムにおいては、セキュリティ性を確保しつつ、特に実際に貨幣処理を行う貨幣処理装置側での操作の容易化が求められている。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、セキュリティ性を確保しつつ貨幣処理装置側の操作の容易化を図ることができる貨幣処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、操作者IDを認証する操作者ID認証手段と、操作が入力される操作入力手段と、前記操作者ID認証手段で認証された操作者IDがデータ作成許可者IDリストにある場合に前記操作入力手段への操作入力に基づいて貨幣処理データを作成する貨幣処理データ作成手段と、を有し、該貨幣処理データ作成手段が作成した貨幣処理データを送信可能なデータ作成装置と、前記データ作成装置とは別体であって、該データ作成装置から送信された貨幣処理データを受信すると共に、受信した貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる貨幣処理装置と、を備え、前記データ作成装置は、前記貨幣処理データ作成手段が貨幣処理データを作成した状態で、前記操作者ID認証手段で認証された操作者IDが承認許可者IDリストにある場合に、前記操作入力手段に承認操作が入力されると、当該貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信することを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記貨幣処理装置近傍の操作者を撮影する撮影手段と、該撮影手段の撮影画像を前記データ作成装置の近傍の操作者に向け表示するモニタ手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、操作者IDを認証する操作者ID認証手段と、操作が入力される操作入力手段と、前記操作者ID認証手段で認証された操作者IDがデータ作成許可者IDリストにある場合に当該操作者IDに関連付けて貨幣処理データを前記操作入力手段への操作入力に基づいて作成する貨幣処理データ作成手段と、を有し、該貨幣処理データ作成手段が作成した貨幣処理データを送信可能なデータ作成装置と、前記データ作成装置とは別体であって、該データ作成装置から送信された貨幣処理データを受信すると共に、受信した貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる貨幣処理装置と、前記貨幣処理装置近傍の操作者を撮影する撮影手段と、該撮影手段の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識し該操作者の操作者IDを特定する操作者ID画像特定手段と、を備え、前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、前記貨幣処理装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記貨幣処理装置は、選択操作が入力される選択操作手段を有しており、前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、前記データ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データが複数ある場合に、これらの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に一括して送信することになり、前記貨幣処理装置は、これら貨幣処理データの中から前記選択操作手段で選択操作された貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記貨幣処理装置は、指定操作および非指定操作が入力される指定操作手段を有しており、前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、前記データ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データが複数ある場合に、これらの貨幣処理データの中から一つの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信し、該一つの貨幣処理データに対して前記指定操作手段に非指定操作が入力されると、次の一つの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信することを順次行うことになり、前記貨幣処理装置は、前記指定操作手段で指定操作入力がなされた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項3に係る発明において、一つの前記貨幣処理装置に貨幣処理データを送信可能な前記データ作成装置が複数設けられており、前記貨幣処理装置は、選択操作が入力される選択操作手段を有していて、前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、複数の前記データ作成装置が、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信することになり、前記貨幣処理装置は、これら貨幣処理データの中から前記選択操作手段で選択操作された貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、一つの前記貨幣処理装置に貨幣処理データを送信可能な前記データ作成装置が複数設けられており、前記貨幣処理装置は、指定操作および非指定操作が入力される指定操作手段を有していて、前記操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、複数の前記データ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた一つの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信し、該一つの貨幣処理データに対して前記指定操作手段に非指定操作が入力されると、次の一つの貨幣処理データを前記貨幣処理装置に送信することを順次行うことになり、前記貨幣処理装置は、前記指定操作手段で指定操作入力がなされた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、データ作成装置において、操作者ID認証手段がデータ作成許可者IDリストにある操作者IDを認証すると、貨幣処理データ作成手段が、操作入力手段への操作入力に基づいて貨幣処理データを作成する。データ作成装置は、このように貨幣処理データ作成手段が貨幣処理データを作成した状態で、操作者ID認証手段が承認許可者IDリストにある操作者IDを認証し、その上で、操作入力手段に承認操作が入力されると、貨幣処理データを、データ作成装置とは別体の貨幣処理装置に送信する。すると、貨幣処理装置は、この貨幣処理データを受信し、この貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる。つまり、データ作成装置においてデータ作成許可者IDリストにある操作者IDのデータ作成者が貨幣処理データを作成した後、データ作成装置において承認許可者IDリストにある操作者IDの承認者が承認操作を行うと、貨幣処理装置が、作成された貨幣処理データに基づく貨幣の処理が可能な状態となる。よって、貨幣処理装置における操作者IDの認証操作を省いて操作を容易化しても、データ作成装置において承認許可者IDリストにある操作者IDの承認者が承認操作を行うことになる。このため、セキュリティ性を確保しつつ貨幣処理装置側の操作の容易化を図ることができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、撮影手段が、貨幣処理装置近傍の操作者を撮影すると、モニタ手段が、この撮影手段の撮影画像をデータ作成装置の近傍の操作者に向けて表示するため、データ作成装置において承認操作を行う承認者は、貨幣処理装置近傍の操作者の状況をモニタ手段の画像で確認した上で、承認操作を行うことができる。したがって、データ作成装置の承認者が、貨幣処理装置近傍の操作者の状況を容易に確認できるため、データ作成装置での承認者による確認作業が容易となる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、データ作成装置において、操作者ID認証手段がデータ作成許可者IDリストにある操作者IDを認証すると、貨幣処理データ作成手段が、この操作者IDに関連付けて貨幣処理データを、データ作成者による操作入力手段への操作入力に基づいて作成する。また、撮影手段は、貨幣処理装置近傍のデータ作成者を撮影し、その撮影画像から操作者ID画像特定手段が画像解析処理によって操作者を認識し該操作者の操作者IDを特定する。すると、貨幣処理装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる。つまり、データ作成装置においてデータ作成許可者IDリストにある操作者IDのデータ作成者が貨幣処理データを作成した後、このデータ作成者が貨幣処理装置の近傍に行くと、このデータ作成者を撮影手段および操作者ID画像特定手段が画像認証することになり、その結果、貨幣処理装置は、このデータ作成者が作成した貨幣処理データに基づく貨幣の処理が可能な状態となる。よって、貨幣処理装置において、操作者IDの認証操作を省いて操作を容易化しても、画像認証で操作者を特定し、特定された操作者が作成した貨幣処理データに基づく貨幣の処理が可能となる。このため、セキュリティ性を確保しつつ貨幣処理装置側の操作の容易化を図ることができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、データ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データが複数ある場合に、これらの貨幣処理データを貨幣処理装置に一括して送信する。すると、貨幣処理装置は、これら貨幣処理データの中から選択操作手段で選択操作された貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる。よって、データ作成者が複数の貨幣処理データを作成しても、適宜のものを選択して貨幣処理装置に処理させることができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、データ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データが複数ある場合に、これらの貨幣処理データの中から一つの貨幣処理データを貨幣処理装置に送信し、この一つの貨幣処理データに対して指定操作手段に非指定操作が入力されると、次の一つの貨幣処理データを貨幣処理装置に送信することを順次行うことになり、貨幣処理装置は、指定操作手段で指定操作入力がなされた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる。よって、データ作成者が複数の貨幣処理データを作成しても、適宜のものを選択して貨幣処理装置に処理させることができる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、一つの貨幣処理装置に貨幣処理データを送信可能なデータ作成装置が複数設けられているため、複数のデータ作成装置に、操作者ID画像特定手段で特定された操作者IDに関連付けられた貨幣処理データが複数存在する場合がある。その場合、操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、複数のデータ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた貨幣処理データを貨幣処理装置に送信することになり、貨幣処理装置は、これら貨幣処理データの中から選択操作手段で選択操作された貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる。よって、データ作成者が複数のデータ作成装置で複数の貨幣処理データを作成しても、適宜のものを選択して貨幣処理装置に処理させることができる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、一つの貨幣処理装置に貨幣処理データを送信可能なデータ作成装置が複数設けられているため、複数のデータ作成装置に、操作者ID画像特定手段で特定された操作者IDに関連付けられた貨幣処理データが複数存在する場合がある。その場合、操作者ID画像特定手段が操作者IDを特定すると、複数のデータ作成装置は、当該操作者IDに関連付けられた複数の貨幣処理データの中から一つの貨幣処理データを貨幣処理装置に送信し、この一つの貨幣処理データに対して指定操作手段に非指定操作が入力されると、次の一つの貨幣処理データを貨幣処理装置に送信することを順次行うことになり、貨幣処理装置は、指定操作手段で指定操作入力がなされた貨幣処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる。よって、データ作成者が複数のデータ作成装置で複数の貨幣処理データを作成しても、適宜のものを選択して貨幣処理装置に処理させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理システムを示す構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理システムを示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理システムの現金管理装置を構成する小束収納庫を示す斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理システムの現金管理装置を構成する棒金収納庫を示す斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る貨幣処理システムを示す構成図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る貨幣処理システムを示すブロック図である。
図7】本発明の第3,第4実施形態に係る貨幣処理システムを示す構成図である。
図8】本発明の第3,第4実施形態に係る貨幣処理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る貨幣処理システムを図1図4を参照して以下に説明する。
【0022】
第1実施形態に係る貨幣処理システム1は、銀行等の金融機関の店舗に設置されるものであり、図1に示すように、出納機2(データ作成装置)と、現金管理装置4(貨幣処理装置)とを有している。出納機2と現金管理装置4とは別体であり、離れて設置可能である。
【0023】
出納機2は、金融機関等の店舗の建屋の例えば執務室のフロア上に設置されるものであり、店舗全体の貨幣の全体在高データを管理する貨幣管理親機となっている。出納機2は、貨幣の入出金が可能であり、自身に収納している貨幣および小切手等の在高である出納機在高データを記憶している。この出納機在高データは、出納機2で行われる貨幣の入出金処理によって増減する。
【0024】
現金管理装置4は、貨幣の手作業による入庫および出庫が可能な貨幣入出庫装置である。現金管理装置4は、出納機2によって在高が管理される下位機としての貨幣管理子機となっている。現金管理装置4は、貨幣および小切手等を取り出し可能に収納し自身に収納している貨幣および小切手等の在高である管理装置在高データを記憶している。この管理装置在高データは、現金管理装置4における貨幣の入出庫処理によって増減する。現金管理装置4は、無線または有線で出納機2と通信可能であり、管理装置在高データを出納機2に送信可能となっている。現金管理装置4には、他との識別のための管理装置識別情報データが個別に設定されている。
【0025】
図1に示すように、現金管理装置4は、箱型の現金管理装置本体11と、この現金管理装置本体11に上下方向に複数段具体的には8段設けられた収納庫12とを有している。これら収納庫12は、その左右側壁に設けられたスライドレール13を介して現金管理装置本体11に対して水平前後方向にスライド開閉可能となっている。これら収納庫12は、現金管理装置本体11から引き出されてアクセス可能な開状態となり、現金管理装置本体11に押し込まれてアクセス不可な閉状態となる。すべての収納庫12が、このように前後方向にのみ所定範囲で移動可能となるように現金管理装置本体11に連結されている。これら収納庫12は、開状態で現金が出し入れ可能となる一方、閉状態では現金の出し入れが不可となる。現金管理装置4において収納庫12の引き出し方向の手前側の面が操作者側の装置前面となっている。
【0026】
複数段の収納庫12のうち、最も上側の収納庫12は、予備収納庫12(a)となっている。予備収納庫12(a)は、結束されていないバラ紙幣、包装されていないバラ硬貨、汚損紙幣や汚損硬貨、金券等を収納する。残りの収納庫12うち上側4段は、小束紙幣を収納する小束収納庫12(b)となっている。さらに、残りの収納庫12のうち下側3段は、棒金を収納する棒金収納庫12(c)となっている。ここで、収納庫12の全体の数や、そのうちの小束収納庫12(b)および棒金収納庫12(c)の個々の数等は任意に設定可能であり、例えば、予備収納庫12(a)以外の全てを、棒金収納庫12(c)とすることも可能であるし、予備収納庫12(a)以外の全てを小束収納庫12(b)とすることも可能である。さらには、予備収納庫12(a)以外の収納庫12のうちの上側3段を棒金収納庫12(c)としつつ、下側4段を小束収納庫12(b)とすることも可能である。また、予備収納庫12(a)以外の収納庫12が、その1段において小束紙幣と棒金の両方を収納することも可能である。加えて、小束紙幣においては、小束紙幣を10束重ねて結束された大束紙幣を収納することも可能であり、棒金においては、複数本例えば10本の棒金を樹脂製材でパックしたパック状棒金を収納することも可能である。
【0027】
現金管理装置本体11の上部には、揺動可能なタッチパネル式の管理装置操作表示部16が設けられており、管理装置操作表示部16よりも装置前面側に、管理装置カードリーダ17と、テンキーを含む管理装置キー操作部18と、プリンタ19と、音声発生部20とが設けられている。管理装置操作表示部16は、操作者により操作入力が行われると共に操作者に表示を行うものであり、管理装置カードリーダ17は操作者により通されたカードから記憶データを読み取るものである。プリンタ19は、データを紙面への印字により出力するものであり、音声発生部20は、操作者に対して音声を出力するものである。
【0028】
現金管理装置本体11には、全ての収納庫12のそれぞれに対して、収納庫12を閉状態で個別にロックする図2に示す収納庫ロック機構22が設けられている。言い換えれば、収納庫ロック機構22は、複数の収納庫12のそれぞれに設けられて収納庫12を現金管理装置本体11に閉状態でロックする。図1に示すように、現金管理装置本体11には、複数の収納庫12のそれぞれの側方に、収納庫ロック機構22のロック解除時のみ点灯する表示灯23が設けられている。
【0029】
現金管理装置本体11には、図2に示すように、管理装置操作表示部16、管理装置カードリーダ17、管理装置キー操作部18、プリンタ19、音声発生部20、収納庫ロック機構22および表示灯23に接続されてこれらを制御する管理装置制御部25と、収納しているバラ紙幣、バラ硬貨、棒金、小束紙幣および小切手等のそれぞれの数量情報および種類情報や処理関連のデータ等を記憶する管理装置記憶部26と、が設けられている。管理装置制御部25は、複数の収納庫ロック機構22のロックを個別に解除可能となっており、管理装置記憶部26を用いて複数の収納庫12の現金の収納量つまり在高を個別に管理する。
【0030】
各収納庫12と現金管理装置本体11との間には、現金管理装置本体11に対する各収納庫12の引き出し位置を検出する引出位置検出機構35が設けられている。引出位置検出機構35は、各収納庫12が現金管理装置本体11に最も押し込まれた全閉位置にあること、および、収納庫12が現金管理装置本体11から最も引き出された全開位置にあることを含んで各収納庫12の引き出し位置を検出する。
【0031】
図3に示すように、小束収納庫12(b)は、結束された小束紙幣Tを入出庫可能に収納するもので、複数、具体的には前後に5つ左右に2列の合成樹脂製の小束トレイ40を有している。小束紙幣Tは、単一金種の紙幣(貨幣)を所定枚数(100枚)集積し、規定位置に結束テープtを巻回して、この結束テープtを接着することで形成されるものである。
【0032】
各小束トレイ40は、上方に開口し下方に凹む形状をなすトレイ本体41と、トレイ本体41に、その後壁部42と平行を維持しつつ前後移動可能に設けられた札押さえ板43と、札押さえ板43を後壁部42に向けて付勢する図示略の付勢部材とを有している。各小束トレイ40には、小束紙幣Tが、その長辺方向を左右にし短辺方向を上下にし厚さ方向を前後にした立位状態で、上方から挿入されることになり、小束紙幣Tは、この立位状態のまま、底部に載置され、後壁部42と札押さえ板43とに挟持されて収納されることになる。各小束トレイ40に収納すべき設定金種を示す収納金種データは、予め設定されて管理装置記憶部26に記憶されることになる。
【0033】
図4に示すように、棒金収納庫12(c)は、単一金種の硬貨(貨幣)が所定枚数(50枚)集積されて包装紙で包装されてなる棒金Bを入出庫可能に収納するもので、複数、具体的には、前後に金種径に応じて6つまたは5つ、左右に4列の合成樹脂製の棒金トレイ50を有している。
【0034】
棒金トレイ50は、棒金Bが中心軸線を上下にした立位状態で収納されるものである。棒金トレイ50は、下方に凹む上方開口形状の棒金収納凹部51を構成している。棒金トレイ50の棒金収納凹部51には、合計10本の棒金Bが収納されるようになっている。棒金Bは、棒金収納凹部51に、その上部開口を介して上方から挿入されることになる。棒金収納凹部51に10本の棒金Bが収納されると、10本の棒金Bは棒金収納凹部51および他の棒金Bで支持されて中心軸線を鉛直配置した立位状態に維持される。ここで、最前列の棒金トレイ50は、端数用となっており、棒金Bの転倒防止用の複数の補助棒52が立設されていて、収納本数が不足した状態でも棒金Bを倒さずに収納可能となっている。各棒金トレイ50に収納すべき設定金種を示す収納金種データは、予め設定されて管理装置記憶部26に記憶されることになる。なお、棒金トレイ50の棒金収納凹部51には、合計10本の棒金Bが収納されるようになっていることに限られず、5本ずつの棒金Bを収納する棒金収納凹部が2組設けられた構成とされていても良いし、他の本数単位で収納するものであっても良い。
【0035】
現金管理装置本体11の各小束収納庫12(b)が挿入される部分の上部の前端部には、小束収納庫12(b)の左右2列の小束トレイ40のそれぞれの上方近接位置に、小束収納庫12(b)に収納された小束紙幣Tの左端位置を検出する図2に示す左端検出ラインセンサ61、小束紙幣Tの左側に結束テープtつまり帯がある場合にこれを検出する左側帯検出ラインセンサ62、小束紙幣Tの右側に結束テープtがある場合にこれを検出する右側帯検出ラインセンサ63および小束紙幣Tの右端位置を検出する右端検出ラインセンサ64が、それぞれ検出素子を左右方向に並べた状態で固定されている。
【0036】
小束収納庫12(b)が最も現金管理装置本体11から引き出されて図示略の前端位置ストッパに当接し停止する前端位置から最も現金管理装置本体11に押し込まれて図示略の後端位置ストッパに当接し停止する後端位置まで移動すると、各列用の左端検出ラインセンサ61、左側帯検出ラインセンサ62、右側帯検出ラインセンサ63および右端検出ラインセンサ64が、この小束収納庫12(b)に収納された小束紙幣Tの上端部の反射光データを取得することになる。
【0037】
管理装置制御部25は、引出位置検出機構35の検出結果と、各列用の左端検出ラインセンサ61、左側帯検出ラインセンサ62、右側帯検出ラインセンサ63および右端検出ラインセンサ64の検出結果とに基づいて小束収納庫12(b)内の小束紙幣Tの数量および金種を取得する。すなわち、管理装置制御部25は、右側帯検出ラインセンサ63および右端検出ラインセンサ64の検出結果から帯の数つまり束数を取得し、左端検出ラインセンサ61および左側帯検出ラインセンサ62の検出結果から長さつまり金種を取得する。このようにして、管理装置制御部25は、各小束収納庫12(b)内の小束紙幣Tの各金種別の束数、合計金額等の在高を管理する。
【0038】
すべての棒金トレイ50のすべての棒金収納位置の底部には、棒金Bの有無および材質を検出する磁気センサからなる棒金検出センサ68がそれぞれ設けられている。管理装置制御部25は、すべての棒金検出センサ68の検出結果から、棒金収納庫12(c)内の棒金Bの数量および金種を取得する。このようにして、管理装置制御部25は、各棒金収納庫12(c)内の棒金Bの各金種別の本数、合計金額等の在高を管理する。
【0039】
管理装置制御部25は、予備収納庫12(a)の在高については、予備収納庫12(a)へのバラ紙幣、バラ硬貨、小切手等の入出庫を含む入出取引の際に、管理装置操作表示部16を介して入力される、バラ紙幣の入庫数、バラ紙幣の出庫数、バラ硬貨の入庫数およびバラ硬貨の出庫数等に基づいて在高を管理する。
【0040】
また、現金管理装置本体11には、全ての収納庫12のそれぞれに対して、収納庫12を閉状態で個別にロックする上記した収納庫ロック機構22が設けられている。各収納庫ロック機構22は、それぞれ、給電されるとロックを解除して対応する収納庫12を引き出し可能とし開作動を許容する状態となる。また、各収納庫ロック機構22は、それぞれ、対応する収納庫12の引き出し後に給電が停止されることになり、その後は、対応する収納庫12が全閉位置に戻されると収納庫12を引き出し不可に自動的かつ機械的にロックする。
【0041】
現金管理装置4は、操作者が、例えば、顧客用の両替機、テラー用の窓口機、顧客用の現金自動預払機等の貨幣処理機器に現金を装填したり補充したり、これらの貨幣処理機器から現金を回収したり、顧客に現金を出金したり、顧客から預かった現金を収納したり、顧客から受け取った現金貨幣を同額の異金種の貨幣へ両替する際等に使用される。つまり、現金管理装置4は、操作者が、バラ硬貨、バラ紙幣、棒金Bおよび小束紙幣Tのうちの少なくともいずれか一つを現金管理装置4から取り出す出庫時、現金管理装置4にバラ硬貨、バラ紙幣、棒金Bおよび小束紙幣Tのうちの少なくともいずれか一つを収納する入庫時、および入庫と出庫とを同時並行で行う入庫・出庫時のいずれかからなる入出庫取引時に使用される。
【0042】
図1に示す出納機2は、紙幣、硬貨および金券等の貨幣類を取り扱うもので、金融機関等の店舗に設置されて店舗全体の貨幣処理を管理するものである。出納機2は、例えば、大口顧客に対する係員による入金、出金等の取引処理、係員による渉外先への持ち出し金の出金処理や、渉外先からの持ち帰り金の入金処理、さらには、営業終了後の金融機関店舗全体での入出金状況の締め上げ管理等を行うものである。
【0043】
出納機2は、紙幣についての入出金処理等を行う紙幣処理装置155と、紙幣の特に新券についての出金処理等を行う新券処理装置156と、硬貨についての入出金処理等を行う硬貨処理装置157とが左右に並設されて構成されている。
【0044】
紙幣処理装置155は、その前面側の上部に、機外からバラ紙幣が投入されると共に機内から出金用のバラ紙幣が繰り出されるバラ紙幣入出金口160が設けられている。バラ紙幣入出金口160の下側には、入金処理で受け付け不可と判定された入金リジェクト紙幣が機内から繰り出される入金リジェクト口161が設けられている。バラ紙幣入出金口160よりも上側には、機内でバラ紙幣を所定枚数集積して結束してなる小束紙幣を機外に取り出し可能とする束出金口162が設けられている。
【0045】
新券処理装置156には、その前面側の上部に、機内から出金用の新券のバラ紙幣が繰り出される新券出金口165が設けられている。
【0046】
硬貨処理装置157は、その前面側の上部に、機外からバラ硬貨が投入されるバラ硬貨入金口168が設けられている。バラ硬貨入金口168の下側には、入金処理で受け付け不可と判定された入金リジェクト硬貨が機内から繰り出される入金リジェクト口169が設けられている。入金リジェクト口169の下側には、機内から出金用のバラ硬貨が繰り出されるバラ硬貨出金口170が設けられている。前面側の上部には、機内でバラ硬貨を所定枚数集積して包装してなる棒金硬貨を機外に取り出し可能とする棒金出金口171が設けられている。
【0047】
出納機2は、硬貨処理装置157の上部に、タッチパネル式の出納機操作表示部175(操作入力手段)と、出納機キー操作部181(操作入力手段)と、出納機カードリーダ182(操作者ID認証手段)とを有している。出納機操作表示部175は、操作者により操作が入力されると共に操作者に表示を行うものであり、出納機キー操作部181は、操作者により操作が入力されるものである。出納機カードリーダ182は操作者により通されたIDカードの操作者IDを読み取って認証するものである。出納機2は、図2に示すように、出納機2を制御する出納機制御部177(貨幣処理データ作成手段)と、出納機2内の在高データおよび店舗内の在高データ、操作者IDのマスタデータ、データ作成許可者IDのマスタデータ、承認者IDのマスタデータ等を記憶する出納機記憶部179とを有している。
【0048】
出納機2は、その出納機制御部177が、この出納機2と同じ店舗内に設けられたすべての現金管理装置4の管理装置制御部25と通信可能であり、この出納機2と同じ店舗内に設けられた図示略の両替機、窓口機および現金自動預払機等の貨幣処理機器と通信可能である。
【0049】
出納機2は、その出納機制御部177が、管理在高データとして、これが設けられた出納機2の出納機在高データを出納機記憶部179に記憶させており、この出納機在高データを管理する。また、出納機2は、その出納機制御部177が、管理在高データとして、この出納機2と同じ店舗内に設けられたすべての現金管理装置4の各別の管理装置在高データと、この出納機2と同じ店舗内に設けられたすべての貨幣処理機器の各別の貨幣処理機器在高データとを出納機記憶部179に記憶させており、これらの管理装置在高データと貨幣処理機器在高データとを管理する。出納機制御部177は、出納機在高データと管理装置在高データと貨幣処理機器在高データとを区別しつつ関連データとして管理する。これにより、出納機2は、店舗内のすべての貨幣類の在高データを一元管理するようになっている。
【0050】
出納機2は、現金管理装置4で行われる貨幣処理の貨幣処理データである入出庫処理データを作成する。現金管理装置4は、出納機2から送信されるこの入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。
【0051】
「データ作成処理」
入出庫処理データを作成するに当たって、操作者は、出納機2の待機状態にある出納機操作表示部175のメニューの中から、入出庫処理データ作成メニューを選択する選択操作を入力する。出納機操作表示部175の入出庫処理データ作成メニューが選択操作されると、出納機制御部177は、出納機操作表示部175に、出納機カードリーダ182へのIDカードの認証を促す表示を表示させる。これを見て操作者がIDカードを出納機カードリーダ182に通す。すると、出納機カードリーダ182が、通されたIDカードの操作者IDを読み取って認証する。
【0052】
出納機制御部177は、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDが、出納機記憶部179に記憶されたデータ作成許可者IDリストにあるか否かを判定する。出納機制御部177は、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDが、データ作成許可者IDリストにある場合に、入出庫処理データの作成が可能になる。他方、出納機制御部177は、カードリーダ182で認証された操作者IDが、データ作成許可者IDリストにない場合には、入出庫処理データの作成は不可になって出納機操作表示部175にその旨のエラー表示を表示させる。
【0053】
入出庫処理データの作成が可能になると、操作者つまりデータ作成許可者は、出納機操作表示部175および出納機キー操作部181へ操作入力を行うことになり、出納機制御部177は、出納機操作表示部175および出納機キー操作部181への操作入力に基づいて入出庫処理データを作成する。入出庫処理データは、貨幣である棒金および小束紙幣のうちの少なくともいずれか一方の、入出庫させる金種および数量を含むものである。出納機制御部177は、作成された入出庫処理データを、この入出庫処理データを作成するに当たって認証された操作者IDと、出納機操作表示部175への操作入力で選択された入出庫対象の現金管理装置4の装置IDとに関連付けて、出納機記憶部179に未処理の入出庫処理データとして記憶させて、出納機2の出納機操作表示部175を待機状態に戻し、データ作成処理を終了する。出納機制御部177は、このようにして一のデータ作成処理を終了すると、次のデータ作成処理を受け付け可能な状態になる。
【0054】
以上により、出納機制御部177は、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDがデータ作成許可者IDリストにある場合に出納機操作表示部175および出納機キー操作部181への操作入力に基づいて入出庫処理データを作成する。出納機2は、出納機制御部177が作成した貨幣処理データを現金管理装置4に送信可能になっている。
【0055】
「入出庫処理」
データ作成処理後、データ作成許可者は、現金管理装置4に行って、作成された入出庫処理データに基づく貨幣の入出庫処理を行うことになる。その際に、この入出庫処理を承認できる立場の操作者、つまり出納機記憶部179に記憶された承認許可者IDリストにある操作者IDを有する承認者に承認操作を依頼する。データ作成許可者IDリストにある操作者IDよりも承認許可者IDリストにある操作者IDの方が職責が上位となっている。
【0056】
承認操作の依頼後、データ作成許可者は、入出庫処理を行うために現金管理装置4に行く。承認者は、現金管理装置4にデータ作成許可者が行ったことを直接目視で確認すると、出納機2の待機状態にある出納機操作表示部175のメニューの中から入出庫処理データ承認メニューを選択操作する。ここで、現金管理装置4にデータ作成許可者が行ったことを、出納機2で承認操作を行う承認者が直接目視で確認することから、出納機2および現金管理装置4は、互いの操作者が直接目視可能となるように比較的近距離の位置に設置されることになる。
【0057】
出納機2の待機状態にある出納機操作表示部175のメニューの中から入出庫処理データ承認メニューが選択操作されると、出納機制御部177は、出納機操作表示部175に、出納機カードリーダ182へのIDカードの認証を促す表示を表示させる。これを見て操作者がIDカードを通す。すると、出納機カードリーダ182が、通されたIDカードの操作者IDを読み取って認証する。
【0058】
出納機制御部177は、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDが、出納機記憶部179に記憶された承認許可者IDリストにあるか否かを判定する。出納機カードリーダ182で認証された操作者IDが、承認許可者IDリストにある場合に、出納機制御部177は、未処理の入出庫処理データを出納機記憶部179から読み出す。未処理の入出庫処理データが一つだけの場合、出納機制御部177は、出納機操作表示部175に、この未処理の入出庫処理データを、これに関連付けられた操作者IDおよび装置IDと表示させると共に、この未処理の入出庫処理データの送信の実行指示操作の入力を促す表示を表示させる。これを見て、承認者は、出納機操作表示部175に送信の実行指示操作を入力する。出納機操作表示部175に送信の実行指示操作が入力されると、出納機制御部177は、読み出した未処理の入出庫処理データを、これに関連付けられた装置IDの現金管理装置4に送信する。つまり出納機2は、出納機制御部177が入出庫処理データを作成した状態で、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDが承認許可者IDリストにある場合に、出納機操作表示部175に承認操作が入力されると、この入出庫処理データを現金管理装置4に送信する。
【0059】
他方、カードリーダ182で認証された操作者IDが、承認許可者IDリストにない場合には、未処理の入出庫処理データを現金管理装置4に送信することはなく、出納機操作表示部175にその旨のエラー表示を表示させる。
【0060】
ここで、未処理の入出庫処理データが、出納機記憶部179に複数記憶されている場合に、出納機制御部177は、すべての未処理の入出庫処理データを出納機記憶部179から読み出すと共に、出納機操作表示部175に、すべての未処理の入出庫処理データを操作者IDおよび装置IDに関連付けて表示させ、これらの中から送信する未処理の入出庫処理データの選択指示操作の入力を促す表示を表示させる。すると、承認者は、送信する未処理の入出庫処理データの選択指示操作を出納機操作表示部175に入力する。選択指示操作が入力されると、出納機制御部177は、選択された未処理の入出庫処理データの送信の実行指示操作の入力を促す表示を出納機操作表示部175に表示させる。すると、承認者は、出納機操作表示部175に送信の実行指示操作を入力する。出納機操作表示部175に送信の実行指示操作が入力されると、出納機制御部177は、選択された未処理の入出庫処理データをこれに関連付けられた装置IDの現金管理装置4に送信する。
【0061】
また、出納機2で入出庫処理データが作成される現金管理装置4が複数ある場合には、未処理の入出庫処理データが出納機記憶部179に複数記憶されている場合に、上記のように、出納機操作表示部175に、すべての未処理の入出庫処理データを操作者IDおよび装置IDに関連付けて表示させ、これらの中から送信する未処理の入出庫処理データの選択指示操作が入力され、送信の実行指示操作が入力されると、出納機制御部177は、選択された未処理の入出庫処理データをこれに関連付けられた装置IDを有する現金管理装置4に送信する。
【0062】
現金管理装置4は、入出庫処理データを受信すると、その管理装置制御部25が、この現金管理装置4について以下の制御を行う。
【0063】
管理装置制御部25は、受信した入出庫処理データと、入出庫処理の実行指示操作の入力を促す表示とを管理装置操作表示部16に表示させる。すると、データ作成許可者は、入出庫処理データの内容を確認して、管理装置操作表示部16に入出庫処理の実行指示操作を入力する。管理装置操作表示部16に入出庫処理の実行指示操作が入力されると、管理装置制御部25は、受信した入出庫処理データを管理装置記憶部26に記憶させると共に、この入出庫処理データに基づく貨幣の取り出しまたは収納つまり出庫または入庫が可能な状態となる。よって、現金管理装置4は、データ作成元である出納機2から送信された入出庫処理データを受信すると共に、受信した入出庫処理データに基づいて貨幣の処理が可能となる。
【0064】
管理装置制御部25は、入出庫処理データに基づく現金管理装置4からの貨幣の入出庫が可能な状態となると、この入出庫処理データを管理装置操作表示部16に表示させた状態のまま、現金管理装置4について以下の制御を行う。
【0065】
入出庫処理データに基づいて、全ての小束収納庫12(b)および全ての棒金収納庫12(c)の中から、この入出庫処理データの貨幣が取り出されるまたは収納されることになる入出庫対象収納庫12をロックしている収納庫ロック機構22のロックを解除して、入出庫対象収納庫12を現金管理装置本体11から引き出し可能とする。
【0066】
例えば、この入出庫処理データに、小束紙幣Tに関するものが含まれる場合、管理装置制御部25は、含まれる金種の小束紙幣Tを収納しているまたは収納することになる小束収納庫12(b)を入出庫対象収納庫とし、この小束収納庫12(b)をロックしている収納庫ロック機構22のロックを解除する。これにより、この小束収納庫12(b)が現金管理装置本体11から引き出し可能となる。それと共に、管理装置制御部25は、この小束収納庫12(b)用のその側方にある表示灯23を点灯させる。
【0067】
また、例えば、この入出庫処理データに、棒金Bに関するものが含まれる場合、管理装置制御部25は、含まれる金種の棒金Bを収納しているまたは収納することになる棒金収納庫12(c)を入出庫対象収納庫12とし、この棒金収納庫12(c)をロックしている収納庫ロック機構22のロックを解除する。これにより、この棒金収納庫12(c)が現金管理装置本体11から引き出し可能となる。それと共に、管理装置制御部25は、この棒金収納庫12(c)用のその側方にある表示灯23を点灯させる。
【0068】
操作者は、管理装置操作表示部16に表示された入出庫処理データを確認しながら、入出庫対象収納庫12を引き出し開状態として、現金を手で取り出す出庫作業または収納する入庫作業を行う。
【0069】
例えば、入出庫対象収納庫12が一の小束収納庫12(b)である場合、管理装置制御部25は、この一の小束収納庫12(b)をロックしている収納庫ロック機構22を駆動してロックを解除すると共に、この一の棒金収納庫12(c)用の表示灯23を点灯させることになる。そして、この一の小束収納庫12(b)の現金管理装置本体11からの引き出しが開始されたことを引出位置検出機構35の検出結果から検出すると、この一の小束収納庫12(b)用の収納庫ロック機構22の駆動を終了する。
【0070】
その後、引出位置検出機構35が、この一の小束収納庫12(b)について、全開状態になったことを検出した後、閉方向の移動開始を検出すると、管理装置制御部25は、この一の小束収納庫12(b)に対して設けられた左端検出ラインセンサ61、左側帯検出ラインセンサ62、右側帯検出ラインセンサ63および右端検出ラインセンサ64の組の左右二組について、これらに給電してこれらによる反射光データの取り込みを開始させる。そして、引出位置検出機構35がこの一の小束収納庫12(b)が全閉状態になったことを検出すると、管理装置制御部25は、反射光データの取り込みを終了させると共に、この一の小束収納庫12(b)用の表示灯23を消灯させる。この一の小束収納庫12(b)が全閉状態になると、この一の小束収納庫12(b)用の収納庫ロック機構22がこれを自動的にロック状態になる。
【0071】
そして、管理装置制御部25は、上記した反射光データから、この一の小束収納庫12(b)に収納されている小束紙幣Tの金種別の数量データを取得して管理装置記憶部26に記憶させると共に、この金種別の数量データと、管理装置記憶部26に記憶されている前回のこの一の小束収納庫12(b)の金種別の数量データとから、小束紙幣Tの増減分を割り出す。
【0072】
また、対象収納庫12が一の棒金収納庫12(c)である場合、管理装置制御部25は、この一の棒金収納庫12(c)について、引出位置検出機構35が、開状態になったことを検出した後、全閉状態になったことを検出すると、この一の小束収納庫12(b)用の表示灯23を消灯させると共に、この一の棒金収納庫12(c)に対して設けられた棒金検出センサ68に磁気データを取得させる。
【0073】
そして、管理装置制御部25は、上記した磁気データから、この一の棒金収納庫12(c)に収納されている棒金Bの金種別の数量データを取得して管理装置記憶部26に記憶させると共に、この金種別の数量データと、管理装置記憶部26に記憶されている前回のこの一の棒金収納庫12(c)の金種別の数量データとから、棒金Bの増減分を割り出す。
【0074】
管理装置制御部25は、すべての収納庫12が閉状態となって管理装置操作表示部16に入出庫処理の終了操作が入力されると、貨幣の増減分を、今回受信した入出庫処理データと照合して差異があるか否かを判定し、差異がなければ、入出庫処理を終了し、差異があれば、管理装置操作表示部16にその旨の報知を行わせる。
【0075】
そして、入出庫処理を終了すると、管理装置制御部25は、管理装置操作表示部16への入出庫処理データの表示を終了すると共に、この入出庫処理が終了した入出庫処理データを出納機2の出納機制御部177に送信する。すると、出納機2の出納機制御部177は、この入出庫処理データを未処理の入出庫処理データから処理済みの入出庫処理データとして出納機記憶部179に記憶させる。以上の貨幣の入出庫処理において、現金管理装置4は、管理装置カードリーダ17で操作者IDを認証することはない。
【0076】
以上に述べた第1実施形態の貨幣処理システム1によれば、出納機2において、出納機カードリーダ182がデータ作成許可者IDリストにある操作者IDを認証すると、出納機制御部177が、出納機操作表示部175および出納機キー操作部181への操作入力に基づいて入出庫処理データを作成する。出納機2は、このように出納機制御部177が入出庫処理データを作成した状態で、出納機カードリーダ182が承認許可者IDリストにある操作者IDを認証し、その上で、出納機操作表示部175に承認操作が入力されると、入出庫処理データを、出納機2とは別体の現金管理装置4に送信する。すると、現金管理装置4は、この入出庫処理データを受信し、この入出庫処理データに基づいて棒金Bおよび小束紙幣Tの入出庫が可能となる。つまり、出納機2においてデータ作成許可者IDリストにある操作者IDのデータ作成者が入出庫処理データを作成した後、出納機2において承認許可者IDリストにある操作者IDの承認者が承認操作を行うと、現金管理装置4が、作成された入出庫処理データに基づく棒金Bおよび小束紙幣Tの入出庫処理が可能な状態となる。よって、上記のように現金管理装置4における操作者IDの認証操作を省いて操作を容易化しても、出納機2において承認許可者IDリストにある操作者IDの承認者が承認操作を行うことになる。このため、セキュリティ性を確保しつつ現金管理装置4側の操作の容易化を図ることができる。
【0077】
なお、第1実施形態において、出納機2および現金管理装置4のそれぞれの近くに双方向の通話が可能なインターホン等の通話システムを設けても良い。これにより、承認者が、現金管理装置4にデータ作成許可者が行ったことを目視で確認できなくても、通話で確認することができる。これにより、出納機2側の承認者が、現金管理装置4の近傍の操作者の状況を直接目視できない場合でも確認することができるため、出納機2と現金管理装置4とを互いの操作者が目視不可な遠隔位置に設置することができる。この場合、通話システムは、必ずしも双方向の通話が可能である必要はなく、現金管理装置4にマイクを、出納機2にマイクで受けた音声を音声出力するスピーカを設けて、現金管理装置4側の操作者が現金管理装置4に到着したことを、出納機2側の承認者に報告するようにしても良い。
【0078】
ここで、第1実施形態において、以下のように制御を変更することも可能である。
【0079】
データ作成処理時に、出納機制御部177が、作成された入出庫処理データを、出納機記憶部179に未処理の入出庫処理データとして記憶させてもデータ作成処理を終了せずに、出納機操作表示部175に、出納機カードリーダ182へのIDカードの認証を促す表示を表示させて、出納機カードリーダ182による操作者IDの認証を待機する。このとき、出納機2が次のデータ作成処理を受け付けることはない。
【0080】
そして、出納機制御部177は、出納機カードリーダ182が、IDカードの操作者IDを読み取って認証すると、この操作者IDが、出納機記憶部179に記憶された承認許可者IDリストにある場合に、未処理の入出庫処理データを出納機記憶部179から読み出すと共に、出納機操作表示部175に、未処理の入出庫処理データを表示させ、読み出した未処理の出庫処理データの送信の実行指示操作の入力を促す表示を表示させる。
【0081】
その後、出納機操作表示部175に送信の実行指示操作が入力されると、出納機制御部177は、読み出した未処理の入出庫処理データを現金管理装置4に送信して、データ作成処理を終了する。つまり、出納機2での入出庫処理データの作成から、この入出庫処理データの現金管理装置4への送信までを一のデータ作成処理とする。このようにして、一のデータ作成処理が終了すると、出納機制御部177は、次のデータ作成処理を受け付ける可能になる。
【0082】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る貨幣処理システムを図5図6を参照しつつ第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0083】
第2実施形態の貨幣処理システム1においては、図5に示すように、現金管理装置4の近傍の操作者を撮影するカメラ(撮影手段)191が設けられている。具体的に、カメラ191は、操作のため現金管理装置4の前に立った操作者の顔を正面から撮影できるように現金管理装置4の上部に、撮影方向を現金管理装置4の前方(操作者側)に向けて取り付けられている。
【0084】
また、このカメラ191の撮影画像を、出納機2の近傍の操作者に向けて表示させる液晶モニタ等の表示モニタ(モニタ手段)192が設けられている。表示モニタ192は、操作のため出納機2の前に立った操作者が目視し易いように出納機2の上部に、表示方向を出納機2の前方(操作者側)に向けて取り付けられている。なお、表示モニタ192を設けずに、カメラ191の撮影画像を、出納機操作表示部175に表示させるようにすることも可能である。
【0085】
そして、第1実施形態と同様のデータ作成処理後、出納機2の待機状態にある出納機操作表示部175のメニューの中から入出庫処理データ承認メニューが選択操作されると、出納機制御部177は、出納機操作表示部175に、出納機カードリーダ182へのIDカードの認証を促す表示を表示させると共に、カメラ191で撮影を開始させて、その撮影画像の表示モニタ192へのライブでの表示を開始させる。出納機制御部177は、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDが、出納機記憶部179に記憶された承認許可者IDリストにある場合に、未処理の入出庫処理データを出納機記憶部179から読み出す。
【0086】
その後、未処理の入出庫処理データの送信の実行指示操作が出納機操作表示部175に入力されると、出納機制御部177は、読み出した未処理の入出庫処理データを現金管理装置4に送信すると共に、カメラ191の撮影および表示モニタ192の表示を終了させる。あるいは、未処理の入出庫処理データの送信後、この入出庫処理データに関する現金管理装置4での入出庫処理が終了して、管理装置制御部25が、終了した入出庫処理データを出納機2の出納機制御部177に送信すると、これを受信した出納機制御部177が、カメラ191の撮影および表示モニタ192の表示を終了させる。ここで、カメラ191として、現金管理装置4の取り引き中に取り引き状況を撮影し、この撮影画像を記録させるためのカメラを用いて、その撮影画像を上記のタイミングで表示モニタ192に表示させるようにしても良い。
【0087】
以上に述べた第2実施形態の貨幣処理システム1によれば、カメラ191が、現金管理装置4の近傍の操作者を撮影すると、表示モニタ192が、このカメラ191の撮影画像を出納機2の近傍の操作者に向けて表示させるため、出納機2において承認操作を行う承認者は、現金管理装置4の近傍の操作者の状況を表示モニタ192の画像で確認した上で、承認操作を行うことができる。したがって、出納機2側の承認者が、現金管理装置4の近傍の操作者の状況を容易に確認できるため、出納機2での承認者による確認作業が容易となる。また、出納機2側の承認者が、現金管理装置4の近傍の操作者の状況を直接目視できない場合でも確認することができるため、出納機2と現金管理装置4とを互いの操作者が目視不可な遠隔位置に設置することができる。
【0088】
また、第2実施形態の貨幣処理システム1において、一つの現金管理装置4に入出庫処理データを送信可能な出納機2が複数設けられている場合に、カメラ191は、撮影画像をすべての出納機2の表示モニタ192に送信し、これらに表示させることになる。
【0089】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る貨幣処理システムを図7図8を参照しつつ第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0090】
第3実施形態の貨幣処理システム1においては、図7に示すように、第2実施形態と同様、現金管理装置4の近傍の操作者を撮影するカメラ(撮影手段)191が設けられている。具体的に、カメラ191は、現金管理装置4の前に立った操作者の顔を正面から撮影できるように現金管理装置4の上部に、撮影方向を現金管理装置4の前方(操作者側)に向けて取り付けられている。
【0091】
第3実施形態の貨幣処理システム1において、カメラ191は、図8に示す出納機2の出納機制御部177(操作者ID画像特定手段)と無線または有線で通信可能となっている。一方、カメラ191は、現金管理装置4と直接通信することはない。出納機制御部177は、カメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識しこの操作者の顔と思われる部分を抜き出し、出納機記憶部179に記憶された顔面画像データベースと照合して一致する操作者の操作者IDをカメラ191で撮影された操作者の操作者IDと特定する。
【0092】
「データ作成処理」
第3実施形態の貨幣処理システム1において、入出庫処理データを作成するに当たって、操作者は、出納機2の待機状態にある出納機操作表示部175のメニューの中から、入出庫処理データ作成メニューを選択する選択操作を入力する。出納機操作表示部175の入出庫処理データ作成メニューが選択操作されると、出納機制御部177は、出納機操作表示部175に、出納機カードリーダ182へのIDカードの認証を促す表示を表示させる。これを見て操作者がIDカードを通す。すると、出納機カードリーダ182が、通されたIDカードの操作者IDを読み取って認証する。
【0093】
出納機制御部177は、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDが、出納機記憶部179に記憶されたデータ作成許可者IDリストにあるか否かを判定する。出納機制御部177は、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDが、データ作成許可者IDリストにある場合に、入出庫処理データの作成が可能になる。他方、出納機制御部177は、カードリーダ182で認証された操作者IDが、データ作成許可者IDリストにない場合には、入出庫処理データの作成は不可になって出納機操作表示部175にその旨のエラー表示を表示させる。
【0094】
入出庫処理データの作成が可能になると、操作者つまりデータ作成許可者は、出納機操作表示部175および出納機キー操作部181へ操作入力を行うことになり、出納機制御部177は、出納機操作表示部175および出納機キー操作部181への操作入力に基づいて入出庫処理データを作成する。入出庫処理データは、貨幣である棒金および小束紙幣のうちの少なくともいずれか一方の金種および数量を含むものである。出納機制御部177は、作成された入出庫処理データを、この入出庫処理データを作成するに当たって認証された操作者IDに関連付けて、出納機記憶部179に未処理の入出庫処理データとして記憶させて、出納機2の出納機操作表示部175を待機状態に戻して、データ作成処理を終了する。出納機制御部177は、このようにして一のデータ作成処理を終了すると、次のデータ作成処理を受け付け可能な状態になる。
【0095】
以上により、出納機制御部177は、出納機カードリーダ182で認証された操作者IDがデータ作成許可者IDリストにある場合に当該操作者IDに関連付けて入出庫処理データを出納機操作表示部175および出納機キー操作部181への操作入力に基づいて作成する。出納機2は、出納機制御部177が作成した貨幣処理データを現金管理装置4に送信可能になっている。
【0096】
「入出庫処理」
データ作成処理後、データ作成許可者は、現金管理装置4に行って、作成された入出庫処理データに基づく貨幣の入出庫処理を行うことになる。データ作成許可者が現金管理装置4に行くと、現金管理装置4の近傍の操作者を撮影するカメラ191が、データ作成許可者である操作者を撮影して出納機制御部177に撮影画像を送信する。すると、出納機制御部177は、この撮影画像から画像解析処理によって操作者の顔と思われる部分を抜き出し、出納機記憶部179に記憶された顔面画像データベースと照合して一致する操作者の操作者IDを、撮影画像に写っている操作者の操作者IDに特定する。そして、出納機制御部177は、このように操作者IDを特定すると、この操作者IDの操作者を撮影しているカメラ191に対応する現金管理装置4、つまりこのカメラ191が取り付けられた現金管理装置4に、この操作者IDに関連付けられて出納機記憶部179に記憶された未処理の入出庫処理データを送信する。
【0097】
すると、この現金管理装置4の管理装置制御部25は、この現金管理装置4について以下の制御を行う。
【0098】
受信した入出庫処理データと、入出庫処理の実行指示操作の入力を促す表示とを、管理装置操作表示部16に表示させる。これを見たデータ作成許可者は、入出庫処理データの内容を確認して、管理装置操作表示部16に入出庫処理の実行指示操作を入力する。この管理装置操作表示部16に入出庫処理の実行指示操作が入力されると、管理装置制御部25は、受信した未処理の入出庫処理データを管理装置記憶部26に記憶させると共に、この入出庫処理データに基づくこの現金管理装置4からの貨幣の取り出しまたは収納つまり出庫または入庫が可能な状態となる。
【0099】
すると、管理装置制御部25は、入出庫処理データを管理装置操作表示部16に表示させた状態のまま、上記と同様、入出庫処理データに基づいて、出庫対象収納庫12をロックしている収納庫ロック機構22のロックを解除して、入出庫対象収納庫12を現金管理装置本体11から引き出し可能とする。つまり、出納機制御部177がカメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識しこの操作者の操作者IDを特定すると、このカメラ191でその操作者が撮影される現金管理装置4は、当該操作者IDに関連付けられた入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。
【0100】
操作者は、管理装置操作表示部16に表示された入出庫処理データを確認しながら、入出庫対象収納庫12を引き出し開状態として、現金を取り出す出庫作業または収納する入庫作業を行う。
【0101】
管理装置制御部25は、すべての収納庫12が閉状態となって管理装置操作表示部16に入出庫処理の終了操作が入力されると、貨幣の増減分を、受信した入出庫処理データと照合して差異があるか否かを判定し、差異がなければ、入出庫処理を終了し、差異があれば、管理装置操作表示部16にその旨の報知を行わせる。
【0102】
そして、管理装置制御部25は、入出庫処理が終了すると、管理装置操作表示部16への入出庫処理データの表示を終了すると共に、処理が終了した入出庫処理データを出納機2の出納機制御部177に送信する。すると、出納機2の出納機制御部177は、この入出庫処理データを未処理の入出庫処理データから処理済みの入出庫処理データとして出納機記憶部179に記憶させる。以上の貨幣の入出庫処理において、現金管理装置4は、管理装置カードリーダ17で操作者IDを認証することはない。
【0103】
こで、カメラ191の撮影画像から特定された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データが、出納機記憶部179に複数記憶されている場合に、出納機制御部177は、これらの未処理の入出庫処理データをすべて出納機記憶部179から読み出して、この操作者IDの操作者を撮影したカメラ191が取り付けられている現金管理装置4に一括して送信する。
【0104】
すると、この現金管理装置4の管理装置制御部25は、この現金管理装置4について以下の制御を行う。
【0105】
管理装置制御部25は、すべての未処理の入出庫処理データを、管理装置操作表示部16にリスト表示させると共に、この管理装置操作表示部16に、実行する未処理の入出庫処理データの選択指示操作の入力を促す表示を表示させる。すると、操作者は、実行する未処理の入出庫処理データの選択指示操作をこの管理装置操作表示部16(選択操作手段)に入力する。選択指示操作が入力されると、管理装置制御部25は、選択された未処理の入出庫処理データの入出庫処理の実行指示操作の入力を促す表示を管理装置操作表示部16に表示させる。すると、操作者は、管理装置操作表示部16に入出庫処理の実行指示操作を入力する。管理装置操作表示部16に入出庫処理の実行指示操作が入力されると、管理装置制御部25は、この入出庫処理データを管理装置記憶部26に記憶させると共に、この入出庫処理データに基づく現金管理装置4からの貨幣の入出庫が可能な状態となる。
【0106】
つまり、現金管理装置4は、選択操作が入力される管理装置操作表示部16を有しており、カメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定すると、出納機2は、当該操作者IDに関連付けられた入出庫処理データが複数ある場合に、これらの入出庫処理データを現金管理装置4に一括して送信することになり、現金管理装置4は、これら貨幣処理データの中から管理装置操作表示部16で選択操作された入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。
【0107】
そして、管理装置制御部25は、入出庫処理を終了すると、管理装置操作表示部16への入出庫処理データの表示を終了すると共に、処理を終了した入出庫処理データを出納機2の出納機制御部177に送信する。すると、出納機2の出納機制御部177は、この入出庫処理データを未処理の入出庫処理データから処理済みの入出庫処理データとして出納機記憶部179に記憶させる。以上の貨幣の入出庫処理においても、現金管理装置4は、管理装置カードリーダ17で操作者IDを認証することはない。
【0108】
また、第3実施形態の貨幣処理システム1において、一つの現金管理装置4に入出庫処理データを送信可能な出納機2が複数設けられている場合に、カメラ191は、撮影画像をすべての出納機2に送信することになる。すると、すべての出納機2の出納機制御部177が、カメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定し、特定された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データを出納機記憶部179から読み出すことになる。そして、このような未処理の入出庫処理データがある出納機2は、すべての未処理の入出庫処理データを作成元の出納機2の出納機IDと関連付けて、この操作者IDの操作者を撮影したカメラ191が取り付けられている現金管理装置4に送信する。
【0109】
すると、この現金管理装置4の管理装置制御部25は、この現金管理装置4について以下の制御を行う。
【0110】
管理装置制御部25は、出納機IDと関連付けられたすべての未処理の入出庫処理データを、管理装置操作表示部16にリスト表示させると共に、この管理装置操作表示部16に、実行する未処理の入出庫処理データの選択指示操作の入力を促す表示を表示させる。すると、操作者は、実行する未処理の入出庫処理データの選択指示操作をこの管理装置操作表示部16に入力する。管理装置操作表示部16に選択指示操作が入力されると、管理装置制御部25は、選択された未処理の入出庫処理データの入出庫処理の実行指示操作の入力を促す表示を管理装置操作表示部16に表示させる。これを見て、操作者は、管理装置操作表示部16に入出庫処理の実行指示操作を入力する。管理装置操作表示部16に入出庫処理の実行指示操作が入力されると、管理装置制御部25は、この操作者IDおよび出納機IDと関連付けられた入出庫処理データを管理装置記憶部26に記憶させると共に、この入出庫処理データに基づく現金管理装置4からの貨幣の取り出しまたは収納つまり出庫または入庫が可能な状態となる。
【0111】
つまり、現金管理装置4は、選択操作が入力される管理装置操作表示部16を有しており、複数の出納機2の出納機制御部177が、カメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定すると、当該操作者IDに関連付けられた入出庫処理データを現金管理装置4に送信することになり、現金管理装置4は、これら貨幣処理データの中から管理装置操作表示部16で選択操作された入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。
【0112】
そして、管理装置制御部25は、入出庫処理を終了すると、管理装置操作表示部16への入出庫処理データの表示を終了すると共に、この処理を終了した入出庫処理データを、これに関連付けられた出納機IDを有する送信元の出納機2の出納機制御部177に送信する。すると、この送信元の出納機2の出納機制御部177は、この入出庫処理データを未処理の入出庫処理データから処理済みの入出庫処理データとして出納機記憶部179に記憶させる。以上の貨幣の入出庫処理においても、現金管理装置4は、管理装置カードリーダ17で操作者IDを認証することはない。
【0113】
以上に述べた第3実施形態の貨幣処理システム1によれば、出納機2において、出納機カードリーダ182がデータ作成許可者IDリストにある操作者IDを認証すると、出納機制御部177が、この操作者IDに関連付けて入出庫処理データを、データ作成者による出納機操作表示部175および出納機キー操作部181への操作入力に基づいて作成する。また、カメラ191は、現金管理装置4の近傍のデータ作成者を撮影し、出納機制御部177が、カメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識しこの操作者の操作者IDを特定すると、現金管理装置4は、この操作者IDに関連付けられた入出庫処理データに基づいて貨幣の出庫処理が可能となる。つまり、出納機2においてデータ作成許可者IDリストにある操作者IDのデータ作成者が入出庫処理データを作成した後、このデータ作成者が現金管理装置4の近傍に行くと、このデータ作成者をカメラ191および出納機制御部177が画像認証することになり、その結果、現金管理装置4は、このデータ作成者が作成した入出庫処理データに基づく貨幣の入出庫処理が可能な状態となる。よって、現金管理装置4において、操作者IDの認証操作を省いて操作を容易化しても、画像認証で操作者を特定し、特定された操作者が作成した入出庫処理データに基づく貨幣の入出庫処理が可能となる。このため、セキュリティ性を確保しつつ現金管理装置4側の操作の容易化を図ることができる。
【0114】
また、カメラ191および出納機制御部177が撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定すると、出納機制御部177は、この操作者IDに関連付けられた入出庫処理データが複数ある場合に、このカメラ191で操作者が撮影されている現金管理装置4に、これらの入出庫処理データを一括して送信する。すると、この現金管理装置4は、これら入出庫処理データの中から管理装置操作表示部16で選択操作された入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。よって、データ作成者が複数の入出庫処理データを作成しても、適宜のものを選択して現金管理装置4に処理させることができる。
【0115】
また、一つの現金管理装置4に入出庫処理データを送信可能な出納機2が複数設けられている場合に、複数の出納機2に、カメラ191および出納機制御部177で特定された一つの操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データが複数存在することがある。その場合、カメラ191および出納機制御部177が撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定すると、複数の出納機2は、このカメラ191で操作者が撮影される現金管理装置4に、この操作者IDに関連付けられた入出庫処理データをすべて送信することになり、現金管理装置4は、これら入出庫処理データの中から管理装置操作表示部16で選択操作された入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。よって、データ作成者が複数の出納機2で複数の入出庫処理データを作成しても、適宜のものを選択して現金管理装置4に入出庫処理させることができる。
【0116】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る貨幣処理システムを図7図8を参照しつつ第3実施形態との相違部分を中心に説明する。
【0117】
第4実施形態の貨幣処理システム1においては、図7に示すように、第3実施形態と同様のカメラ191が設けられており、このカメラ191の撮影画像から画像解析処理によって出納機制御部177が操作者を認識してその操作者IDを特定する。第4実施形態の貨幣処理システム1においては、第3実施形態と同様のデータ作成処理によって入出庫処理データが作成される。
【0118】
「入出庫処理」
データ作成処理後、データ作成許可者は、現金管理装置4に行って、作成された入出庫処理データに基づく貨幣の入出庫処理を行うことになる。データ作成許可者が現金管理装置4に行くと、現金管理装置4の近傍の操作者を撮影するカメラ191が、操作者を撮影して出納機制御部177に撮影画像を送信する。すると、出納機制御部177は、この撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定する。そして、出納機制御部177は、操作者IDを特定すると、この操作者IDの操作者を撮影しているカメラ191に対応する現金管理装置4、つまりこのカメラ191が取り付けられている現金管理装置4に、この操作者IDに関連付けられて出納機記憶部179に記憶された未処理の入出庫処理データを送信する。
【0119】
すると、この現金管理装置4の管理装置制御部25は、この現金管理装置4について第2実施形態と同様の制御を行う。
【0120】
ここで、カメラ191の撮影画像から特定された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データが、出納機記憶部179に複数記憶されている場合に、出納機制御部177は、出納機記憶部179から、これらの入出庫処理データの中から一つの入出庫処理データを読み出して、この操作者IDを有する操作者がカメラ191で撮影されている現金管理装置4に送信する。すると、この現金管理装置4の管理装置制御部25は、この現金管理装置4について以下の制御を行う。
【0121】
管理装置制御部25は、受信した一つの未処理の入出庫処理データを、管理装置操作表示部16に表示させると共に、この管理装置操作表示部16に、この未処理の入出庫処理データに対して指定操作入力および非指定操作入力のいずれかの選択操作を促す表示を表示させる。すると、操作者は、管理装置操作表示部16(指定操作手段)に、表示された未処理の入出庫処理データについて指定操作入力および非指定操作入力のいずれかを選択して入力する。管理装置操作表示部16に指定操作入力が入力されると、管理装置制御部25は、この出庫処理データを管理装置記憶部26に記憶させると共に、この入出庫処理データに基づく現金管理装置4からの貨幣の入出庫が可能な状態となる。
【0122】
他方、管理装置操作表示部16に非指定操作入力が入力されると、管理装置制御部25は、その旨の信号を送信元の出納機2に送信する。すると、この出納機2は、出納機制御部177が、カメラ191の撮影画像から特定された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データの中から次の一つの入出庫処理データを読み出して、送信元の管理装置制御部25に送信する。
【0123】
すると、管理装置制御部25は、受信した次の一つの未処理の入出庫処理データを、管理装置操作表示部16に表示させると共に、この管理装置操作表示部16に、この未処理の入出庫処理データに対して指定操作入力および非指定操作入力のいずれかの選択操作を促す表示を表示させる。これを見て、操作者は、管理装置操作表示部16に、表示された未処理の入出庫処理データについて指定操作入力および非指定操作入力のいずれかを選択して入力する。管理装置操作表示部16に指定操作入力が入力されると、管理装置制御部25は、この入出庫処理データを管理装置記憶部26に記憶させると共に、この入出庫処理データに基づく現金管理装置4からの貨幣の入出庫が可能な状態となる。
【0124】
他方、管理装置操作表示部16に非指定操作入力が入力されると、管理装置制御部25は、その旨の信号を送信元の出納機2に送信する。すると、この出納機2は、出納機制御部177が、カメラ191の撮影画像から特定された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データの中からさらに次の一つの入出庫処理データを読み出して、送信元の管理装置制御部25に送信する。
【0125】
つまり、出納機2は、一つの入出庫処理データに対して現金管理装置4の管理装置操作表示部16に非指定操作が入力されると、次の一つの入出庫処理データをこの現金管理装置4に送信することを順次行うことになり、現金管理装置4は、その管理装置操作表示部16で指定操作入力がなされた入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。
【0126】
そして、管理装置制御部25は、入出庫処理が終了すると、管理装置操作表示部16への入出庫処理データの表示を終了すると共に、処理が終了した入出庫処理データを出納機2の出納機制御部177に送信する。すると、出納機2の出納機制御部177は、この入出庫処理データを未処理の入出庫処理データから処理済みの入出庫処理データとして出納機記憶部179に記憶させる。以上の貨幣の入出庫処理においても、現金管理装置4は、管理装置カードリーダ17で操作者IDを認証することはない。
【0127】
また、第4実施形態の貨幣処理システム1において、一つの現金管理装置4に入出庫処理データを送信可能な出納機2が複数設けられている場合に、カメラ191は、撮影画像をすべての出納機2に送信することになる。すると、すべての出納機2の出納機制御部177が、カメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定し、特定された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データを出納機記憶部179から読み出すことになる。このような未処理の入出庫処理データがある出納機2は、これらの未処理の入出庫処理データを、所定の順番(例えば登録順)で一つずつ、出納機IDと関連付けて、この操作者IDの操作者がカメラ191で撮影されている現金管理装置4に送信する。
【0128】
すると、この現金管理装置4の管理装置制御部25は、この現金管理装置4について以下の制御を行う。
【0129】
管理装置制御部25は、受信した一つの未処理の入出庫処理データを、管理装置操作表示部16に表示させると共に、この管理装置操作表示部16に、この未処理の入出庫処理データに指定操作入力および非指定操作入力のいずれかの選択操作を促す表示を表示させる。すると、操作者は、管理装置操作表示部16に、表示された未処理の入出庫処理データについて指定操作入力および非指定操作入力のいずれかを選択して入力する。管理装置操作表示部16に指定操作入力が入力されると、管理装置制御部25は、この入出庫処理データを管理装置記憶部26に記憶させると共に、この入出庫処理データに基づく現金管理装置4からの貨幣の入出庫が可能な状態となる。
【0130】
他方、管理装置操作表示部16に非指定操作入力が入力されると、管理装置制御部25は、その旨の信号をすべての出納機2に送信する。すると、すべての出納機2は、出納機制御部177が、互いに通信して、カメラ191の撮影画像から認証された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データの中から、所定の順番で次の一つの入出庫処理データを読み出して、送信元の管理装置制御部25に送信する。
【0131】
すると、管理装置制御部25は、受信した次の一つの未処理の入出庫処理データを、管理装置操作表示部16に表示させると共に、この管理装置操作表示部16に、この未処理の入出庫処理データに指定操作入力および非指定操作入力のいずれかの選択操作を促す表示を表示させる。これを見て、操作者は、管理装置操作表示部16に、表示された未処理の入出庫処理データについて指定操作入力および非指定操作入力のいずれかを選択して入力する。管理装置操作表示部16に指定操作入力が入力されると、管理装置制御部25は、この入出庫処理データを管理装置記憶部26に記憶させると共に、この入出庫処理データに基づく現金管理装置4からの貨幣の入出庫が可能な状態となる。
【0132】
他方、管理装置操作表示部16に非指定操作入力が入力されると、管理装置制御部25は、その旨の信号をすべての出納機2に送信する。すると、すべての出納機2は、出納機制御部177が、互いに通信して、カメラ191の撮影画像から認証された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データの中から、所定の順番でさらに次の一つの入出庫処理データを読み出して、送信元の管理装置制御部25に送信する。
【0133】
つまり、複数の出納機2は、一つの入出庫処理データに対して現金管理装置4の管理装置操作表示部16に非指定操作が入力されると、次の一つの入出庫処理データをこの現金管理装置4に送信することを順次行うことになり、この現金管理装置4は、管理装置操作表示部16で指定操作入力がなされた入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。なお、すべての入出庫処理データに対して非指定操作が入力されると、管理装置操作表示部16は、最初の入出庫処理データの指定操作画面に戻る。
【0134】
そして、管理装置制御部25は、入出庫処理を終了すると、管理装置操作表示部16への入出庫処理データの表示を終了すると共に、処理を終了した入出庫処理データを送信元の出納機2の出納機制御部177に送信する。すると、この出納機2の出納機制御部177は、この入出庫処理データを未処理の入出庫処理データから処理済みの入出庫処理データとして出納機記憶部179に記憶させる。以上の貨幣の入出庫処理においても、現金管理装置4は、管理装置カードリーダ17で操作者IDを認証することはない。
【0135】
以上に述べた第4実施形態の貨幣処理システム1によれば、出納機制御部177は、カメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定すると、当該操作者IDに関連付けられた入出庫処理データが複数ある場合に、これらの入出庫処理データの中から一つの入出庫処理データを現金管理装置4に送信し、この一つの入出庫処理データに対して管理装置操作表示部16に非指定操作が入力されると、次の一つの入出庫処理データを現金管理装置4に送信することを順次行うことになり、現金管理装置4は、管理装置操作表示部16で指定操作入力がなされた入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。よって、データ作成者が出納機2において複数の貨幣処理データを作成しても、適宜のものを選択して現金管理装置4に入出庫処理させることができる。
【0136】
また、一つの現金管理装置4に入出庫処理データを送信可能な出納機2が複数設けられている場合に、複数の出納機2に、カメラ191および出納機制御部177で特定された一つの操作者IDに関連付けられた入出庫処理データが複数存在する場合がある。その場合、複数の出納機2の出納機制御部177は、カメラ191の画像から操作者IDを特定すると、当該操作者IDに関連付けられた複数の入出庫処理データの中から一つの入出庫処理データを現金管理装置4に送信し、この一つの入出庫処理データに対して管理装置操作表示部16に非指定操作が入力されると、次の一つの入出庫処理データを現金管理装置4に送信することを順次行うことになり、現金管理装置4は、管理装置操作表示部16で指定操作入力がなされた入出庫処理データに基づいて貨幣の入出庫処理が可能となる。よって、データ作成者が複数の出納機2で複数の入出庫処理データを作成しても、適宜のものを選択して現金管理装置4に入出庫処理させることができる。
【0137】
第4実施形態の貨幣処理システム1において、指定操作入力および非指定操作入力を、出納機制御部177が、カメラ191の撮影画像の画像解析処理に基づくモーション判定から割り出して、カメラ191で操作者が撮影される現金管理装置4の管理装置制御部25に入力するようにしても良い。つまり、出納機制御部177は、撮影画像から操作者が行う所定の指定操作入力モーションを検出すると指定操作入力が入力されたと判定し、撮影画像から操作者が行う所定の非指定操作入力モーションを検出すると非指定操作入力が入力されたと判定して、それぞれの指令信号を、カメラ191で操作者が撮影される現金管理装置4の管理装置制御部25に送信する。
【0138】
第3,第4実施形態の貨幣処理システム1において、一つの現金管理装置4に入出庫処理データを送信可能な出納機2が複数設けられている場合に、複数の出納機2をマスタ&スレーブの関係として、マスタ側の出納機2でデータを集約して管理することも可能である。その場合、現金管理装置4およびカメラ191は、マスタ側の出納機2と通信することになる。また、出納機2とは別のサーバでデータを集約して管理することも可能である。その場合、現金管理装置4およびカメラ191は、サーバと通信することになる。
【0139】
さらには、第3,第4実施形態の貨幣処理システム1において、一つの現金管理装置4に出納機2が複数設けられている場合に、複数の出納機2をマスタ&スレーブの関係として、マスタ側の出納機2にすべてのカメラ191の撮影画像を送信し、マスタ側の出納機2の出納機制御部177がカメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定し、この特定した操作者IDをスレーブ側の出納機2にも送信して、マスタ側の出納機2のみならず、スレーブ側の出納機2において特定された操作者IDに関連付けられた未処理の入出庫処理データを出納機記憶部179から読み出ことになる。また、出納機2とは別のサーバでカメラ191の撮影画像から画像解析処理によって操作者を認識してその操作者IDを特定することも可能である。その場合、現金管理装置4およびカメラ191は、サーバと通信することになる。
【0140】
加えて、出納機2とは別のサーバは、入出庫処理データを集約して管理しつつ、すべてのカメラ191の撮影画像を受信して、それぞれの現金管理装置4を操作する操作者を認識してその操作者IDを特定することも可能である。
【符号の説明】
【0141】
1 貨幣処理システム
2 出納機(データ作成装置)
4 現金管理装置(貨幣処理装置)
16 管理装置操作表示部(選択操作手段,指定操作手段)
175 出納機操作表示部(操作入力手段)
177 出納機制御部(貨幣処理データ作成手段,操作者ID画像特定手段)
181 出納機キー操作部(操作入力手段)
182 出納機カードリーダ(操作者ID認証手段)
191 カメラ(撮影手段)
192 表示モニタ(モニタ手段)
図1
図2
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図6
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図8