【解決手段】本方法は、ホスト車両が踏破しつつある道路の車線の幾何学形状を見積もり、且つ、更に、見通し外センサを介し、道路の見積もり済み車線においてホスト車両の前方を踏破している少なくとも一台の遠隔的車両を特定する。ホスト車両は、見通しセンサを介し、見積もり済みの道路車線において該ホスト車両の直前を踏破している先行車両を追尾し、且つ、少なくとも一台の特定済み遠隔的車両の内の最も低速の遠隔的車両の速度を検出する。ホスト車両は、最も低速の遠隔的車両の検出済み速度と、車間距離とに基づき、先行車両の運動を予測し、且つ、該ホスト車両に対する先行車両の予測済み相対運動に基づき、該ホスト車両の運転者に対して警告を生成する。
前記道路の見積もり済み車線を踏破しつつある前記少なくとも一台の遠隔的車両を特定する段階は、3つの所定箇所において前記見積もり済み車線の中央に跨り半車線変位以内であると検出された前記少なくとも一台の遠隔的車両の経路履歴と、前記見積もり済み車線に対して所定角度よりも小さい前記少なくとも一台の遠隔的車両の方位角度とに基づく、請求項1に記載の方法。
前記3つの所定箇所は、前記遠隔的車両の現在箇所に対応する第1箇所、前記遠隔的車両の現在箇所と前記先行車両の現在箇所との中間である箇所に対応する第2箇所、及び、前記先行車両の現在箇所に対応する第3箇所を含む、請求項3に記載の方法。
回路機構により、前記2台の遠隔的車両の内の前記第1の遠隔的車両の軌跡履歴に関し、前記2台の遠隔的車両の内の第2の遠隔的車両の軌跡履歴の変位が一定であるか否かを決定する段階を更に有する、請求項5に記載の方法。
所定台数の遠隔的車両よりも多いという特定された台数の遠隔的車両に基づき、いずれの遠隔的車両が前記ホスト車両により追尾されるべきかを決定するために、前記特定された台数の遠隔的車両をフィルタリングする段階であって、該フィルタリングは、前記ホスト車両の予測経路及び前記先行車両の予測経路の一方に基づいて実施されるという段階を更に有する、請求項1に記載の方法。
前記見積もり済み車線の中央に跨り二車線幅以内である前記遠隔的車両の経路履歴に基づき、前記特定された遠隔的車両は道路内の遠隔的車両であると決定する段階を更に有する、請求項3に記載の方法。
前記先行車両の運動は、該先行車両の速度が前記最も低速の遠隔的車両の速度に等しいときに、該先行車両と前記最も低速の遠隔的車両との間の車間距離が固定距離である如く、均一の減速割合にて減速すると予測される、請求項1に記載の方法。
前記ホスト車両の運転者に対する前記警告は、所定の減速割合に等しい前記ホスト車両の減速割合と、前記ホスト車両のブレーキを掛ける上で所定反応時間に等しい前記運転者の反応時間と、前記反応時間における前記減速の後において前記先行車両の速度が前記最も低速の遠隔的車両の速度に等しいときにおける、所定の安全距離よりも大きい前記ホスト車両と前記先行車両との間の距離と、に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
回路機構により、カメラを介して前記道路上の標識上に掲示された制限速度を特定する、及び、所定時的間隔における前記ホスト車両の速度を見積もる、の一方に基づき、前記ホスト車両が踏破しつつある道路を、中央分離帯のある高速道路、及び、非高速道路の一方として分類する段階であって、
前記道路は、前記所定時的間隔における前記ホスト車両の見積もり済み速度が第2速度スレッショルド値より大きいことに基づき、中央分離帯のある高速道路として分類され、
前記道路は、前記ホスト車両が、第3速度スレッショルド値より大きい相対的長手方向速度を有する別の車両、及び、第4速度スレッショルド値より大きい横方向速度を有する別の車両の少なくとも一方を検出することにより、非高速道路として分類される、
という段階を更に有する、請求項1に記載の方法。
前記回路機構は更に、優先度が減少する順序に基づき、前記先行車両の軌跡履歴が入手可能であるか否か、検出された最も低速の遠隔的車両に最も近い2台の遠隔的車両の軌跡履歴が入手可能であるか否か、及び、前記ホスト車両の予測経路が入手可能であるか否か、の内の一つを決定すべく構成される、請求項14に記載のデバイス。
前記検出された最も低速の遠隔的車両に最も近い2台の遠隔的車両の軌跡履歴が入手可能であることに基づき、前記回路機構は更に、前記2台の遠隔的車両の内の第1の遠隔的車両が、前記ホスト車両の予測経路に沿う所定長さにわたり、前記ホスト車両の予測経路から半車線幅よりも大きく変位されたか否かを決定すべく構成される、請求項15に記載のデバイス。
前記回路機構は更に、所定台数の遠隔的車両よりも多いという特定された台数の遠隔的車両に基づき、いずれの遠隔的車両が前記ホスト車両により追尾されるべきかを決定するために、前記特定された台数の遠隔的車両をフィルタリングすべく構成され、該フィルタリングは、前記ホスト車両の予測経路及び前記先行車両の予測経路の一方に基づいて実施される、請求項14に記載のデバイス。
前記回路機構は更に、前記ホスト車両と前記最も低速の遠隔的車両との間の車両密度を見積もるべく構成され、前記車間距離は、該見積もられた車両密度と、前記ホスト車両と前記最も低速の遠隔的車両との間の距離と、に基づいて算出される、請求項14に記載のデバイス。
前記ホスト車両の運転者に対する前記警告は、所定の減速割合より大きい前記ホスト車両の減速割合と、前記ホスト車両のブレーキを掛ける上で所定反応時間より長い前記運転者の反応時間と、前記先行車両の速度が前記最も低速の遠隔的車両の速度に等しいときにおける、所定の安全距離よりも大きい前記ホスト車両と前記先行車両との間の距離と、に基づいて生成される、請求項14に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0013】
参照される図面の各図には、好適実施例が示される。本明細書中に開示される各実施例及び各図は、制限的ではなく例示的と考えられることが意図される。各図中に示され且つ本明細書において論じられる各例によれば、当該技術及び各請求項の有効範囲に対しては何らの制限も課されないものとする。
【0014】
各実施例は主として、特定の実施方式において提供される特定のプロセス及びシステムに関して記述される。但し、上記プロセス及びシステムは、他の実施方式において効果的に動作する。“実施例”、“一実施例、及び、“別実施例”の如き表現は、同一のまたは異なる実施例を参照し得る。各実施例は、方法、及び、幾つかの構成要素を有する構成物に関して記述される。但し、該方法及び構成物は、示されたものよりも多いもしくは少ない構成要素を含み得ると共に、本開示内容の有効範囲から逸脱せずに、構成要素の配置構成及び形式の変更が為され得る。
【0015】
好適実施例は、幾つかのステップを有する方法に関して記述される。但し、上記方法及び構成物は、好適実施例と矛盾しない付加的なステップ、及び、異なる順序のステップにより効果的に動作する。故に、本開示内容は、示された実施例に制限されることは意図されず、且つ、本明細書中に記述された原理及び特徴に一致すると共に添付の各請求項によってのみ制限される如き最も広範囲な有効範囲に従うことが意図される。
【0016】
更に、値の範囲が提供されたとき、その範囲の上限値及び下限値の間の各中間値、及び、その述べられた範囲における他の任意の述べられたもしくは中間の値が、開示内容に包含されることは理解される。述べられた範囲が上限値及び下限値を含むとき、これらの限界値のいずれかを除外する範囲も含まれる。明示的に述べられるのでなければ、本明細書中で使用される語句は、当業者により理解される如き平明で通常的な意味を有することが意図される。以下の定義は、本開示内容に対する読者の理解を支援することが意図されるが、特に示されるのでなければ、斯かる語句の意味を変更し、または、別様に制限することは意図されない。
【0017】
本開示内容においては、‘ホスト車両(host vehicle)’、‘先行車両(preceding vehicle)’、及び、‘遠隔的車両(remote vehicle)’という語句に対して頻繁な参照が為される。本開示内容の見地において、先行車両とは、所定の道路上で、ホスト車両の直前を走行している車両を意味することが意図される一方、遠隔的車両とは、上記道路上にてホスト車両(及び先行車両)の更に前方を走行している車両を意味することが意図される。付加的に、‘自己車両’(すなわち自身の車両)という語句は、ホスト車両に対応することが意図されると共に、各語句は互換的に使用される。更に、本開示内容において、ホスト車両/自己車両は、夫々、‘HV’(ホスト車両)または‘EV’(自己車両)とラベル表示される一方、先行車両は‘PV’とラベル表示されると共に、遠隔的車両は‘RV’とラベル表示される。
【0018】
次に
図1を参照すると、一実施例に従い、拡張式前方衝突警告(EFCW)システム100が示される。
図1に示されたEFCWシステム100は、車両103の背後を走行しつつあるホスト車両101を含む。車両103は、本明細書において、先行車両と称される。車両105、107、109及び111は、先行車両103の前方を走行しつつある遠隔的車両である。説明のために、全ての遠隔的車両105、107、109及び111は、ホスト車両101と同一の車線(すなわち直線)において走行しつつあると描かれる。但し、
図6Cに関して後述されるフィルタリング技術に依れば、ホスト車両101は、それ自体の車線において踏破しつつあるいずれの遠隔的車両が該ホスト車両により追尾されるべきかを決定し得る。
【0019】
一実施例に依れば、ホスト車両101は、車両における一つ以上の電気的なシステムもしくはサブシステムを制御する電子制御ユニット(ECU)(本明細書においては組込み式コンピュータ・ユニットとも称されると共に、
図2に関して後述される)を含んでいる。上記ECUは、車載センサからのデータを受信すべく、且つ、必要な演算を更に実施してホスト車両101の運転者に対して切迫した衝突を警告すべく構成される。一実施例によれば、ホスト車両101は、見通しセンサ、及び、見通し外センサを利用することで、適時な様式でホスト車両101の運転者に対して警告を提供する。
【0020】
ホスト車両101は、電波108を利用して物体を検出するレーダ・センサであって、その物体の位置及び速度を決定するというレーダ・センサを含んでいる。
図1に示された如く、電波108は、先行車両103の動きを検出かつ追尾すべく利用される。ホスト車両101に含まれたレーダは、狭幅の視界を備えた長距離レーダ、中距離レーダ、または、更に広幅な視界を有する短距離レーダであり得る。付加的に、ホスト車両101はまた、先行車両103を追尾するカメラも備え得る。上記カメラは、単眼または立体構成へと一体化され得る。単眼カメラは、50°〜60°の視界範囲、及び、100〜200メートルの有効距離を有する。他方、立体カメラは、単眼カメラと同一の機能を達成するが、更に高い信頼性を提供する。更に、ホスト車両101は、先行車両103を追尾するために利用され得る光検出と測距(LIDAR)センサも含み得る。従って、本実施例において、ホスト車両101は、レーダ・センサ、LIDARセンサ、及び、カメラの内の少なくとも一つを用いることにより、直前車両103を追尾する。
【0021】
ホスト車両101は更に、専用狭域通信(DSRC)センサ、セル式センサなどの如き見通し外センサを含むことで、(本明細書においては‘自己’車線、すなわち、ホスト車両が踏破する道路車線とも称される)ホスト車両と同一の車線において走行している遠隔的車両を特定する。
図1に示された如く、ホスト車両101は、見通し外センサを利用することで、該ホスト車両101よりも相当に低い速度で自己車線を走行している遠隔的車両111及び107を特定する。遠隔的車両111及び107は、夫々、104及び106と表された見通し外通信により特定される。
【0022】
一実施例によれば、ホスト車両101は、自己車線において(該ホスト車両の現在速度と比較して)更に低い速度で走行している遠隔的車両、または、自己車線において停止された遠隔的車両を特定する。更に、見通しセンサを利用することにより、ホスト車両101は、先行車両103を追尾し、且つ、遠隔的車両の運動の決定に基づき、先行車両103の運動を予見する。従って、ホスト車両により実施される上述の特定及び追尾に基づき、該ホスト車両101のECUは、衝突を回避するために、快適に減速するか、または、直ちに制動すべく、運転者に対して警告する。
【0023】
図2は、一実施例に従い、
図1のホスト車両101に含まれた組込み式制御システム200のハードウェア・ブロック図を示している。組込み式制御システム200は、電子サブシステムI201及び電子サブシステムII203を含み、それらは電子バス223により相互に結合される。サブシステム201及び203は、上記車両における一つ以上の電気的なシステムもしくはサブシステムを制御する電子制御ユニット(ECU)、すなわち、(
図9に関して後述される)処理回路を含んでいる。
【0024】
上記ECUは、車載センサからのデータを受信すると共に、情報処理動作、ならびに、種々の車両内システムに対する命令の配信を実施する。各ECUは、独立的な様式で作動し得ると共に、上記ECUはそれ自体のファームウェアを動作させることが理解されるべきである。但し、各ECUは、相互に協働して、複雑な処理操作を解決し得る。
【0025】
サブシステム201は、画像プロセッサ217及びレーダECU219に対して夫々が結合されたカメラ213、及び、見通しセンサ、すなわちレーダ215を含む。レーダ215は、電波を利用することで、車両を検出し、且つ、検出された車両の速度を決定する。レーダ215は、狭幅の視界を備えた長距離レーダ、中距離レーダ、または、更に広幅の視界を有する短距離レーダであり得る。カメラ213は、先行車両を追尾すべく使用され得る。先に述べられた如く、上記カメラは、単眼式、または、立体型のカメラであり得る。画像プロセッサ217及びレーダECU219は、カメラ213及びレーダ215から受信された組み合わせ情報を処理すべく構成され得る。
【0026】
サブシステム203は、GPS ECUモジュール233に対して結合されたGPSアンテナ227を含む。GPSから獲得されたデータは、車両がどこまで走行したか、それがどれほどの時間にわたり走行しているか、それの現在及び平均の速度、及び、目的地におけるそれの見積もり到着時刻などの、幾つかの有用な情報を決定すべく使用され得る。更に、サブシステム203は、5.9GHzスペクトルにて動作し得る専用狭域通信(DSRC)センサの如き、見通し外センサを含んでいる。例えば、
図2に示された如く、サブシステム203は、DSRCラジオ231に対して結合されたDSRCアンテナ229を含んでいる。
【0027】
サブシステム201及び203は、シリアル・バス223を介して、相互に結合される。シリアル・バス223は、各ECUが車両内で相互に通信することを許容するコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)形式のシリアル・バスであり得る。付加的に、上記CANは、125Kbpsまでのデータ転送速度を提供する低速CAN(ISO 11519)であり得るか、または、代替的に、上記CANは、1Mbpsまでのデータ速度を達成する高速CAN(ISO 11898)であり得る。シリアル・バス223はまた、ローカル相互接続ネットワーク(LIN)、または、2本の10Mbpsデータ・チャネルを提供するFlexRay形式のシリアル・バスでもよいことが理解されるべきである。
【0028】
一実施例に依れば、サブシステム201及び203は、4Gラジオ207の如き車両システムに含まれた種々のモジュールに対するイーサネット(登録商標)接続を提供する車両バス235に対して結合され得る。付加的に、サブシステム201及び203は、シリアル・バス223を介し、道路曲率、道路における車線の本数などの如き情報を提供する運転者支援システム(DAS)マップに対して通信し得る。更に、
図2に描かれたシステム200は、各ECUにより処理された情報が記憶され得る記憶装置(メモリ)209を含んでいる。例えば、上記ホスト車両は、後述される如く、該ホスト車両により現在において追尾されつつある遠隔的車両の待ち行列を維持し得る。斯かる追尾情報は、メモリ209内に記憶され得る。更に、サブシステム201及び203は、デジタルI/Oインタフェースを介し、中央コンソール・ユニット211に対して結合され得る。中央コンソール211は、車両の運転者に対して音響的/視覚的な警告メッセージを提供する上で利用され得るディスプレイ・パネル及びスピーカを含んでいる。従って、次に記述される如く、上記ホスト車両は見通しセンサ及び見通し外センサの両方を取入れることで、車両の運転者に対して衝突警告を発する。
【0029】
図3は、上記EFCWシステムにより実施される各ステップを例示するフローチャート300を描いている。プロセス300はステップS310で開始し、そこで、上記EFCWシステムは、ホスト車両が踏破しつつある道路の形式を決定する。一実施例に依れば、上記ホスト車両は、見通しセンサを利用することで、道路の形式を決定する。詳細には、ホスト車両は、見通しセンサを利用することで、該ホスト車両が現在において踏破している道路は‘中央分離帯のある高速道路(divided highway)’であるか否かを決定する。
【0030】
一実施例に依れば、上記EFCWシステムは、以下の2つの条件が満足されたときにのみ、道路を、中央分離帯のある高速道路として分類する:(a)車両が走行している(v(t)と表される)現在速度が、所定の速度スレッショルド値(V)より大きく、且つ、(b)一定の時間枠(T)における車両の速度が、上記所定の速度スレッショルド値より大きい。詳細には、τ<Tの値に対し、車両の速度(v(t-τ))がVより大きい。一実施例によれば、上記EFCWシステムは、V=45マイル/時(mph)、及び、T=30秒(sec)の値を使用することで、車両が踏破しつつある道路が中央分離帯のある高速道路であるか否かを決定する。
【0031】
対照的に、上記EFCWシステムは、(本明細書においては自己車両とも称される)ホスト車両により踏破された所定距離(D)以内において、以下の2つの条件のいずれかが満足されるなら、道路形式を、中央分離帯のある高速道路でないと分類する:(a)(自己車両に関する)少なくとも−5mphの長手方向相対速度を有する到来交通体が自己車両により検出され、且つ、(b)少なくとも6mphの横方向速度を有する交通体が自己車両により検出される。
【0032】
例えば、
図4Aを参照すると、(EVと表される)自己車両402は、見通しセンサを介し、道路401上で逆方向に踏破しつつある到来車両403を検出する。所定の速度スレッショルド値より大きいという到来交通体(すなわち車両403)の算出された相対的長手方向速度に基づき、自己車両は、道路401を、中央分離帯のある高速道路でないと分類する。同様に、
図4Bを参照すると、もし自己車両(EV)406が、交差点405を踏破しつつあり、且つ、少なくとも6mphの速度を有する側方車両407を(見通しセンサを介して)検出するなら、自己車両は道路405を、中央分離帯のある高速道路でないと分類する。一実施例に依れば、道路形式は、限定的なものとしてで無く、制限速度標識、中央分離帯のある高速道路の入り口標識などの道路標識を(カメラを介して)特定することでも認識され得ることが理解されるべきである。
【0033】
プロセス300は次にステップS320へと進展し、そこでEFCWシステムは、ホスト車両が踏破しつつある道路の車線の幾何学形状の見積もりを実施する。一実施例に依れば、上記EFCWシステムは、遠隔的車両の車線分類も実施する。詳細には、ホスト車両は、遠隔的車両が該ホスト車両と同一の車線を走行しているのか、または、遠隔的車両が、該ホスト車両の車線と比較して、(同一道路上で)異なる車線上を踏破しつつあるのかを決定する。自己車線の幾何学形状見積もり、及び、遠隔的車両の車線分類に関する詳細は、
図4C及び
図5に関して後述される。
【0034】
上記プロセスは更に、ステップS330へと進展し、そこでホスト車両は、遠隔的車両減少選択プロセスを実施する。詳細には、検出された多数の遠隔的車両に対し、ホスト車両はフィルタリング・プロセスを実施することで、該ホスト車両は、いずれの遠隔的車両が見通し外センサにより追尾される必要があるかを決定し得る。遠隔的車両減少選択プロセス(S330)を実施することにより、ホスト車両に対しては、ECUの処理機能を効率的様式で利用する好適な能力が提供される。
【0035】
上記ホスト車両のECUは、有限量の処理資源を有している。車両の通信システムにおいて、CPU資源は、他の車両により送信された抽象構文記法(ASN)1.0データ・パケットの解析、サーティフィケイト有効化の実施(すなわち、遠隔的車両により送信されたデータ・パケットにおけるサーティフィケイトの認証)、遠隔的車両の経路履歴の追尾などの如き、処理集中的動作に対して割当てられる必要がある。従って、ホスト車両は(
図6Aから
図6Cに関して詳細に後述される)遠隔的車両選択プロセスを実施して、処理能力を効率的様式で利用する。
【0036】
プロセス300は更に、ステップS340へと進展し、そこでホスト車両は、該ホスト車両の自己車線における車両密度を見積もる。一実施例によれば、ホスト車両において実現される上記EFCWは、密度見積もりを利用して、先行車両の運動を予測する。密度見積もりに関する詳細は、
図7に関して後述される。
【0037】
上記プロセスはステップS350へと移動し、そこで、一実施例により、ステップS310〜S340において実施された演算に基づき、上記EFCWシステムは、先行車両の運動を予測することにより、ホスト車両の運転者に対する警告を生成する。先行車両の運動見積もりに関する詳細は、
図8に関して後述される。先に述べられた如く、EFCWシステムは、
図3に描かれたステップの全てまたは幾つかを実施して、ホスト車両の運転者に対して送信されるべき警告メッセージを生成することが理解されるべきである。
【0038】
以下に続く内容においては、
図3のフローチャートにおいて概説されたステップS320〜S350に対する詳細な説明が提供される。
【0039】
図4Cに移ると、ホスト車両により実施されて、該ホスト車両が踏破している道路車線の幾何学形状を見積もるステップを示すフローチャートが描かれる。一実施例に依れば、ホスト車両は、車線の幾何学形状を見積もる上で、優先メカニズムを利用する。詳細には、ホスト車両は、優先度が減少する順序で、先行車両の軌跡履歴が入手可能であるか否か、2台の遠隔的車両から、遠隔的車両の軌跡履歴が(ホスト車両の予測経路と共に)入手可能であるか否か、または、ホスト車両は、該ホスト車両の予測経路のみに基づいて車線の幾何学形状を見積もるべきか否か、を決定する。
【0040】
図4Cに示された如く、車線の幾何学形状を見積もるプロセスはステップS410にて開始し、先行車両の十分な軌跡履歴が存在するか否かを決定する照会が行われる。ホスト車両は、例えば、先行車両により送信された(ASN)1.0データ・パケットにおける情報などの、先行車両の軌跡履歴に対応するデータを受信することを銘記されたい。
【0041】
もし、ステップS410における照会に対する応答が肯定的であるなら、上記プロセスはステップS420へと進展する。ステップS420において、ホスト車両は、先行車両の軌跡履歴情報に基づき、車線の幾何学形状を見積もる。一実施例に依れば、ホスト車両は、最小二乗適合法及び/またはカルマン・フィルタリング系の技術の如きバッチ処理技術を実施して、車線の幾何学形状を見積もる。各車両は車線中央から離れて逸脱しないという仮定の下で、車両経路に基づく車線幾何学形状見積もりは、先行車両の経路履歴点に対して三次多項式を適合させる問題として実施され得る。車線の幾何学形状を見積もる他の方法としては、米国特許第6,292,752号に記述された如く車線マーカ認識を用いるカルマン・フィルタ/センサ合成法、ならびに、米国特許第6,751,547 B2号に記述された二重クロソイド法の如き更に複雑な道路モデルが挙げられる。ステップS420において、(先行車両の軌跡履歴情報に基づいて)道路幾何学形状の見積もりを実施すると同時に、400におけるプロセスは終了する。
【0042】
但し、もし、ステップS410における照会に対する応答が否定的であるなら、プロセスはステップS430へと進展する。ステップS430においては、2台の遠隔的車両の経路履歴が入手可能であるか否かを決定する照会が行われる。もし、上記照会に対する応答が肯定的であるなら、プロセスはステップS440へと移動する。但し、上記照会に対する応答が否定的であるなら、プロセスはステップS450へと移動する。
【0043】
ステップS440において、ホスト車両は、2台の遠隔的車両の軌跡履歴に基づき、車線の幾何学形状を見積もる。この見積もりに関する詳細は、
図5に関して後述される。ホスト車両は、2台の遠隔的車両の軌跡履歴に基づいて道路幾何学形状の見積もりを実施する(S440)が、該ホスト車両は、道路車線幾何学形状を好首尾に見積もる上で、該ホスト車両の予測経路を含むことが理解されるべきである。詳細には、ステップS460に示された如く、2台の遠隔的車両の経路履歴に基づいて獲得された経路が、ホスト車両の予測経路に一致するか否かを決定するための照会が為される。
【0044】
もし、ステップS460における照会に対する応答が肯定的であるなら、プロセスは終了する。但し、照会(S460)に対する応答が否定的であるなら、プロセスはステップS450へと進展し、ホスト車両の予測経路のみに基づいて、車線の幾何学形状の見積もりを実施する。
【0045】
ステップS450において、ホスト車両は、該ホスト車両の予測経路に基づいて車線の幾何学形状見積もりを実施する。例えば、一実施例に依れば、ホスト車両は、該ホスト車両の現在の操舵角、及び/または、操舵角の変化の割合に基づき、自身の将来的経路を予測する。従って、ホスト車両の予測経路に基づき、該ホスト車両は、自身が踏破しつつある車線の幾何学形状を見積もる。ステップS450における道路幾何学形状の見積もりの完了時に、
図4Cに示されたプロセス400は終了する。
【0046】
付加的に、一実施例に依れば、道路車線の幾何学形状を見積もる上述の技術において、ホスト車両は、DASマップ(
図2の205)から入手可能な情報、ならびに、ステップS420、S440及びS450における車線マーカ認識情報を利用して、車線の幾何学形状を見積もり得る。
【0047】
更に、一実施例に依れば、ホスト車両は、遠隔的車両が踏破しつつある車線を分類するプロセスを実施する。詳細には、ホスト車両が高速道路形式の道路を検出することを仮定すると、該ホスト車両は、‘車線内’の(すなわち、ホスト車両と同一車線を踏破している)遠隔的車両、及び、‘道路内’の(すなわち、ホスト車両と同一車線ではないが、同一道路上を踏破している)遠隔的車両の内の一方として、遠隔的車両が踏破しつつあると分類する。
【0048】
ホスト車両は、遠隔的車両を、以下の2つの条件が満足されていることに基づき、該ホスト車両と同一車線において踏破しつつある(すなわち、車線内の)遠隔的車両として分類する。ホスト車両はまず、遠隔的車両の経路履歴に基づき、以下の3つの空間的/時的瞬間において、遠隔的車両が、ホスト車両の車線の中央に跨り半車線幅以内であると検出されるか否かを決定する:遠隔的車両の現在箇所において;遠隔的車両の現在箇所と、先行車両の箇所との間の中間の箇所において;且つ、遠隔的車両が先行車両の現在箇所に在ったときの時的瞬間において。更に、第2条件として、ホスト車両は、遠隔的車両の経路履歴に沿うホスト車線の方位から45°以内である遠隔的車両の方位角度に基づき、遠隔的車両を車線内遠隔的車両と分類する。
【0049】
ホスト車両は、以下の2つの条件が満足されたことに基づき、遠隔的車両を道路内遠隔的車両(すなわち、ホスト車両と同一の車線ではないが、同一の道路上を踏破している遠隔的車両)と分類する。ホスト車両はまず、遠隔的車両の経路履歴に基づき、以下の3つの空間的/時的瞬間において、遠隔的車両が、ホスト車両の車線の中央に跨り二車線幅以内であると検出されるか否かを決定する:遠隔的車両の現在箇所において;遠隔的車両の現在箇所と、先行車両の箇所との間の中間の箇所において;且つ、遠隔的車両が先行車両の現在箇所に在ったときの時的瞬間において、及び、遠隔的車両がホスト車両の現在箇所に在ったときの時的瞬間において。更に、第2条件として、ホスト車両は、遠隔的車両の経路履歴に沿うホスト車線の方位から45°以内である遠隔的車両の方位角度に基づき、遠隔的車両を道路内遠隔的車両と分類する。
【0050】
図5に移ると、2台の遠隔的車両の経路履歴に基づく車線幾何学形状見積もりを描く概略図が示される。詳細には、
図4CのステップS440の車線幾何学形状見積もりは、本明細書において
図5に関して記述される。
【0051】
図5は、夫々、RV
1及びRV
2と表された2台の遠隔的車両520及び530を検出する(本明細書においては自己車両とも称され、且つ、EVと表される)ホスト車両510を描いている。一実施例に依れば、ホスト車両510は、2台の遠隔的車両520及び530を、最低速で移動する遠隔的車両に最も近い遠隔的車両であると決定する。但し、2台のみの遠隔的車両が検出されるなら、検出された車両の両方が、ホスト車両が踏破しつつある車線の幾何学形状を見積もるために使用されることを銘記されたい。
【0052】
ホスト車両510は、処理を行い、遠隔的車両520及び530の経路履歴520a及び530aを生成する。詳細には、遠隔的車両520及び530は、ホスト車両のECU内で処理されるデータ・パケットを送信する。従って、ホスト車両510は、データ・パケットを処理し、遠隔的車両520及び530の経路履歴を更に生成する。
【0053】
ホスト車両510はまた、該ホスト車両の現在操舵角に基づき、自身の将来的経路も予測する。それを行う上で、ホスト車両は、
図5において経路510aとして描かれた自身の予測経路を生成する。予測経路510aの生成時に、ホスト車両は、各遠隔的車両の少なくとも一方の経路履歴が、一定の所定長540にわたり、該ホスト車両の予測経路から半車線幅より遠くないことを確実とするために、遠隔的車両520及び530の経路履歴520a及び530aを処理する。
【0054】
詳細には、ホスト車両は、パラメータv
evはホスト車両の速度に対応し、且つ、パラメータT
evppは、例えば2秒などの所定の持続時間に対応するものとして、各遠隔的車両の経路履歴の少なくとも一方が、距離v
ev・T
evppにわたり、該ホスト車両の予測経路から半車線幅以内であることを確実とすべく、処理を行う。従って、ホスト車両は、該ホスト車両の予測経路に対する、遠隔的車両の経路履歴の少なくとも一方の好適な一致に基づき、該ホスト車両が踏破している車線の幾何学形状を見積もる。
【0055】
付加的に、一実施例に依れば、(2台の遠隔的車両520及び530の内の)一方のみの遠隔的車両の経路履歴が、ホスト車両の予測経路510aから半車線幅距離以内であるとき、ホスト車両は、車線の幾何学形状を見積もる上で付加的処理を実施する。例えば、遠隔的車両520の経路履歴520aが、ホスト車両の予測経路510aから半車線幅距離以内であるなら、ホスト車両510は、遠隔的車両530の経路履歴530aに関して処理を実施し、遠隔的車両530が、他の遠隔的車両の経路から一定の側方オフセットに留まることを確実とする。その様にする上で、ホスト車両510は、2台の遠隔的車両の経路において発散が在るか否かを決定する。例えば、
図5に示された如く、遠隔的車両530に対する経路履歴は遠隔的車両520の経路履歴から発散することで、2台の遠隔的車両の少なくとも一方が車線変更を実施していることを表している。故に、ホスト車両510は、該ホスト車両の予測経路に対する、少なくとも一方の遠隔的車両の経路履歴の好適な一致に基づき、該ホスト車両が踏破しつつある車線の幾何学形状を見積もる。車線の幾何学形状を見積もる上述の処理技術において、車線幅は、10フィート幅と仮定され得るか、代替的に、車線マーカ情報及びDASマップ(
図2における205)情報に基づいて見積もられ得る。従って、一実施例に依れば、車線の幾何学形状は、自己車両の予測経路の半車線幅以内である遠隔的車両の経路履歴に基づいて見積もられる。例えば、車線幾何学形状を見積もるべく、自己車両に対して最も近いオフセットを備える車両の経路に対する最小二乗適合法が実施され得る。
【0056】
図6A及び
図6Bは、一実施例に従い、遠隔的車両選択プロセス(
図3のステップS330)を実施するための夫々の状況展開を示している。先に述べられた如く、ホスト車両のECUは、有限量の処理資源を有している。ECUの処理資源を効率的に利用するために、ホスト車両は遠隔的車両選択プロセスを実施する。詳細には、ホスト車両は、どの遠隔的車両が追尾されるべきかを特定すべく、フィルタリング・プロセスを実施する。
【0057】
高速道路形式の道路を仮定すると、ホスト車両は最初に、先行車両が所定距離にわたり十分に追尾されてきたか否かを決定する。詳細には、ホスト車両は、先行車両に対応する十分な経路履歴が入手可能であるか否かを決定する。入手可能である先行車両の十分な経路履歴に基づき、ホスト車両は、
図6Bに示された如く、先行車両の予測経路に基づいて遠隔的車両選択プロセスを実施する。但し、先行車両の十分な経路履歴が入手可能でなければ、ホスト車両は、
図6Aに示された如く、ホスト車両の予測経路に基づいて遠隔的車両選択プロセスを実施する。
【0058】
図6Aは、遠隔的車両選択プロセスがホスト車両の予測経路に基づいて実施されるという体系を示している。
図6Aに示された如く、先行車両の不在下で、ホスト車両610は、それ自体の予測経路630を利用して遠隔的車両を選択する。更に、ホスト車両610は、境界620a及び620bにより形成された角度的予測領域(すなわち、陰影付き領域620)を生成する。境界620a及び620bは夫々、ホスト車両610の予測経路630に対して(θ
max/2)の角度を形成する。斯かる体系に基づいて遠隔的車両を選択する技術は、
図6Cに関して次に記述される。
【0059】
図6Bは、遠隔的車両選択プロセスが、先行車両の予測経路に基づいて実施されるという体系を示している。詳細には、
図6Bに示された如く、ホスト車両650は、先行車両670を検出すると共に、先行車両の経路680を更に予測する。
図6Aと同様に、ホスト車両650は、境界660a及び660bにより形成された角度的予測領域(陰影付き領域660)を生成する。境界660a及び660bは夫々、先行車両670の予測経路680に対して(θ
max/2)の角度を形成する。但し、角度的予測領域660は、先行車両670の箇所に関して生成されるのではなく、寧ろ、先行車両670の箇所の一車両長691だけ背後に配設された箇所690に基づいて生成されることを銘記されたい。それを行う上で、ホスト車両は、先行車両を遠隔的車両として考慮することに対処するという好適な機能を提供する。斯かる体系に基づいて遠隔的車両を選択する技術は、
図6Cに関して次に記述される。
【0060】
簡潔さのために、追尾される必要がある遠隔的車両を選択する上でホスト車両により実施されるフィルタリング・プロセスは、
図6Bの体系に対し、
図6Cの非限定的な例に関して記述される。
図6Aに描かれた体系に対し、同様のプロセスが実施され得ることが理解されるべきである。
【0061】
図6Cに示された如く、ホスト車両691はフィルタリング・プロセスを実施し、先行車両693の予測経路613に基づき、いずれの遠隔的車両が追尾される必要があるかを決定する。簡潔さのために、4台の遠隔的車両694、695、696及び697がホスト車両691により特定され、各遠隔的車両の内の一台696が陰影付き領域692の外側に位置している。
【0062】
ホスト車両691は、満足される幾つかの条件に基づいてフィルタリング・プロセスを実施する。例えば、一実施例に依れば、ホスト車両691は、追尾され得る可能的な遠隔的車両は、先行車両693の予測経路613の(θ
max/2)以内に配置されるという第1条件を課す。換言すると、ホスト車両は、追尾される遠隔的車両は、生成された角度的予測領域692内に位置することを確実とする。この条件に違反する遠隔的車両は、追尾目的に対して選択されない。例えば、
図6Cに示された如く、遠隔的車両696は、陰影付き領域692の外側に配置されていることにより、選択されない。
【0063】
更に、ホスト車両691は、遠隔的車両をフィルタリングすべく、差分的速度スレッショルド値及び距離スレッショルド値条件を課し得る。詳細には、ホスト車両691は、特定の遠隔的車両が踏破しつつある速度がホスト車両の速度よりも所定量だけ低い(すなわち、V
RVは遠隔的車両の速度であり、V
HVはホスト車両の速度であり、且つ、V
Diffは所定の差分的速度スレッショルド値であるとして、V
RV−V
HV≦V
Diffである)という差分的速度条件を課し得る。
【0064】
同様の様式で、ホスト車両691は、遠隔的車両と該ホスト車両との間の距離が、所定距離スレッショルド値を超えてはならないという距離スレッショルド値条件を課し得る。上記距離スレッショルド値条件、及び/または、上記差分的速度スレッショルド値条件のいずれかに違反する一切の遠隔的車両は、ホスト車両691により追尾される遠隔的車両として選択されない。
【0065】
一実施例に依れば、ホスト車両691は、遠隔的車両をフィルタリングすべく方位角度スレッショルド値を課し得る。詳細には、ホスト車両691は、(本明細書においては、遠隔的車両が向けられた方向と、先行車両の予測経路との間に形成される角度として定義される)特定の遠隔的車両の方位角度が、所定の方位角度スレッショルド値以内である、という条件を課し得る。
図6Cに示された如く遠隔的車両697は、先行車両693の予測経路613に関して(βとして表された)方位角度699を有している。所定の方位角度スレッショルド値θ
headingより大きい(すなわち、β≧θ
heading)という方位角度βに基づき、ホスト車両は、上記遠隔的車両を追尾されるべきとは選択しない。
【0066】
一実施例に依れば、ホスト車両のECUは、(例えば、
図2のメモリ209などの)限定サイズのメモリを含む。従って、ホスト車両は、多くとも‘N台’の追尾された遠隔的車両を含む待ち行列を維持する。(例えば、これらのN台の遠隔的車両により送信された基本的安全性メッセージ(BSM)の如きハートビート・メッセージなどの)メッセージは、ホスト車両のECUにより完全に解析され且つ有効化されることを銘記されたい。限られたメモリサイズの故に、一実施例に依れば、ホスト車両は、いずれの遠隔的車両が追尾されるべきかを決定する優先メカニズムを実現し得る。例えば、ホスト車両は、該先行車両の予測経路に対して横方向において更に近い遠隔的車両に対して、更に高い優先度を割当て得る。斯かる場合、
図6Cを参照すると、遠隔的車両694(RV
1)には、遠隔的車両695(RV
2)よりも高い優先度が割当てられる。従って、上述された様式で各遠隔的車両に対して優先度を割当てると、ホスト車両に対しては、予測経路に最も近い遠隔的車両を選択する好適な能力が提供されることで、上記経路に沿って位置する遠隔的車両を選択し易くなる。
【0067】
ホスト車両は、フィルタリング・プロセスを実施して、いずれの遠隔的車両が追尾されるべきかを決定する上で、上述の条件の全てを課す、と限定されるのではないことを理解すべきである。寧ろ、ホスト車両は、フィルタリング・プロセスを実施する上で、上述の条件の幾つかまたは全てを選択し得る。同様の様式で、ホスト車両は、各遠隔的車両に対して優先度を割当てる上で、他の任意の優先度割当て方式を選択し得る。例えば、遠隔的車両は、ホスト車両に対して送信されるBSMデータ・パケットにおいて、事象フラグを設定し得る。斯かるフラグは、例えば、遠隔的車両が激しく制動しているときに設定され得る。故に、上記事象フラグは、それれにより遠隔的車両がホスト車両に対して通信し得るという緊急警告メカニズムの役割を果たす。従って、ホスト車両は、各遠隔的車両に対して優先度を割当てる一方、BSMにおいて事象フラグを設定した遠隔的車両に対して最高の優先度を割当てるべく選択し得る。
【0068】
図7に移ると、本開示内容の一実施例に従い、ホスト車両により実施される車両密度見積もりを表す概略図が示される。ホスト車両は、車両密度見積もりを実施して、先行車両の運動を予測する。詳細には、ホスト車両は、該ホスト車両と、可能的に停止し得る遠隔的車両との間に、何台の車両が配設されるかを決定する。斯かる決定に基づき、ホスト車両は、(
図8に関して後述される)先行車両の運動を予測し、且つ、ホスト車両の運転者に対して警告メッセージを提供する。
【0069】
一実施例に依れば、ホスト車両は、見通しセンサを利用して、2台の先行車両を検出する。
図7に示された如く、ホスト車両710は、見通しセンサを介し、先行車両720(PV
1)及び先行車両740(PV
2)を検出する。車両密度を見積もるために、ホスト車両はまず、最も遠い先行車両(PV
2)が、該ホスト車両と同一車線を踏破しつつあるかを確認する。
【0070】
好首尾な確認時に、一実施例に依れば、ホスト車両710は、車線密度d
lane(すなわち、ホスト車両と同一車線を踏破している車両の密度)を、見通しセンサを介して検出された2台の先行車両間の逆距離(すなわち、
図7Aにおいて730と表された直線距離d)と、ホスト車両の現在速度に基づいて算出された経験的密度と、の平均値として見積もる。例えば、上記経験的密度は、特定の曜日及び日時及び速度における特定の道路に対する履歴データを考慮し得る経験的モデルに基づいて算出され得る。更に、ホスト車両は、例えば0.2Hzの遮断周波数を有する低域通過フィルタなどの低域通過フィルタを用いて、上記に算出された車線密度をフィルタリングし得る。
【0071】
図8は、先行車両の運動予測を描く概略
図800を示している。概略
図800は、一群の車両の初期構成810、及び、上記一群の車両の定常状態構成820を描いている。初期構成810は、速度V
EVにて踏破しつつあるホスト車両801(EV)、夫々、速度V
PV1及びV
PV2にて踏破しつつある2台の先行車両802及び803、及び、夫々、速度V
RV1及びV
RV2にて踏破しつつある2台の遠隔的車両804及び805を含んでいる。更に、簡潔さのために、車両803〜804及び802〜803間の平均的な車間距離870は、d
initialと表される。
【0072】
一実施例に依れば、ホスト車両801は、その車線において踏破しつつある最も低速の遠隔的車両を(見通し外センサを介して)決定する。例えば、
図8に示された如く、初期構成810においてホスト車両801は、遠隔的車両804は、(見通し外センサを介して)検出された遠隔的車両805の速度と比較して更に低い速度で走行していること、すなわち、V
RV1≦V
RV2であることを決定する。
図6Cに関して前述された如く、遠隔的車両804の速度と、ホスト車両801の速度との間の速度差は、差分的速度スレッショルド値よりも低いことを銘記されたい。
【0073】
一実施例に依れば、初期構成810に基づき、ホスト車両は、先行車両の速度が最も低速の車両の速度に等しいときに、車間距離が固定された所定距離(例えば、10メートルの車間距離)である如く、先行車両は直ちに(均一な割合の減速にて)減速を開始することを予測する。例えば、
図8における最終的構成820に示された如く、890と表された車間距離が10メートルである如く、先行車両812及び813は夫々、(それらの初期速度V
PV1及びPV
2から)遠隔的車両814の速度(すなわちV
RV1)まで減速している。遠隔的車両805(且つ、次続的に815)の初期速度は遠隔的車両804の速度よりも大きいことから、該遠隔的車両805は、先行車両の運動を予測する上で考慮されないことを銘記されたい。
【0074】
一実施例に依れば、ホスト車両は、(言及したことによりその全体が本明細書中に援用される米国特許第8,948,995号に記述された)経験的モデルと、該ホスト車両と最も低速の遠隔的車両との間の車両の台数の見積もりと、に基づき、先行車両の速度を予測し得る。例えば、ホスト車両と最も低速の遠隔的車両との間の車両の台数は、ホスト車両と最も低速の遠隔的車両との間で検出された距離、及び、車間距離とに基づいて見積もられ得る。代替的に、
図7に関して前述された如く車両密度を見積もる技術もまた、車両密度を見積もるために使用され得る。
【0075】
本開示内容の一実施例に依れば、先行車両の運動を予測すると同時に、ホスト車両のECUは、ホスト車両の運転者が以下の機能の全てを実施することはできないと該ECUにより為された決定に基づき、ホスト車両の運転者に対して警告を発する:所定の快適な減速割合よりも低い減速割合を以て快適に制動すること、所定反応時間内で制動すること、及び、所定の安全距離を以て、すなわち、
図8の定常状態構成820においてD
safeと表された距離を以て先行車両との衝突を回避すること(すなわち、換言すると、所定の安全距離を維持すること)。
【0076】
付加的に、一実施例に依れば、上記ECUは、停止しつつある遠隔的車両(すなわち、遠隔的車両が停止されたこと)に基づき、または、車線内の遠隔的車両の減速の割合、及び/または、車線内の先行車両の減速の割合が(例えば、緊急の電子式制動灯の状況の如き、車両を激しく制動する状況展開に対応する減速割合などの)所定の減速割合より大きいことに基づいても、警告メッセージを発し得る。
【0077】
記述された各実施例の機能の各々は、一つ以上の処理回路により実現され得る。処理回路は、(例えば、
図9におけるプロセッサ903などの)プログラムされたプロセッサを含み、プロセッサは回路機構を含む。処理回路はまた、特定用途集積回路(ASIC)の如きデバイス、及び、記述された機能を実施する回路構成要素を含んでいる。
【0078】
上述の種々の特徴は、コンピュータ・システム(または、プログラマブル論理回路)により実現され得る。
図9は、コンピュータ・システム901を示している。一実施例において、コンピュータ・システム901は、プロセッサ903が、ボルトの載置、該ボルト内におけるプローブの整列及び位置決めなどを実施すべくプログラムされたときに、特定の専用マシンである。
【0079】
コンピュータ・システム901は、バス902に対して結合されることで磁気ハードディスク907の如く情報を記憶する一つ以上の記憶デバイスを制御するディスク・コントローラ906と、(例えば、フロッピー(登録商標)・ディスク・ドライブ、読取り専用コンパクト・ディスク・ドライブ、読取り/書込みコンパクト・ディスク・ドライブ、コンパクト・ディスク・ジュークボックス、テープ・ドライブ、及び、リムーバブルの磁気光学的ドライブなどの)リムーバブル媒体ドライブ908とを含んでいる。上記記憶デバイスは、適切なデバイス・インタフェース(例えば、スモール・コンピュータ・システム・インタフェース(SCSI)、インテグレーテッド・デバイス・エレクトロニクス(IDE)、拡張IDE(E-IDE)、ダイレクト・メモリ・アクセス(DMA)、または、ウルトラDMAなど)を用いて、コンピュータ・システム901に対して付加され得る。
【0080】
コンピュータ・システム901はまた、(例えば、特定用途集積回路(ASIC)などの)専用の論理デバイス、または、(例えば、小規模プログラム可能論理回路(SPLD)、結合プログラム可能論理回路(CPLD)、及び、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などの)設定可能な論理デバイスも含み得る。
【0081】
コンピュータ・システム901はまた、バス902に結合されて、コンピュータ・ユーザに対して情報を表示するディスプレイ910を制御するディスプレイ・コントローラ909も含み得る。上記コンピュータ・システムは、入力デバイスであって、コンピュータ・ユーザと相互作用し、且つ、プロセッサ903に情報を提供するためのキーボード911及びポインティング・デバイス912の如きであるという入力デバイスを含んでいる。ポインティング・デバイス912は、例えば、プロセッサ903に対して指示情報及び命令選択を通信すると共に、ディスプレイ910上でのカーソル移動を制御するための、マウス、トラックボール、タッチスクリーンセンサに対する指、または、ポインティング・スティックであり得る。
【0082】
プロセッサ903は、主要メモリ904の如きメモリ内に含まれた一つ以上の命令の一つ以上のシーケンスを実行する。斯かる命令は、ハードディスク907またはリムーバブル媒体ドライブ908の如き別のコンピュータ可読媒体から主要メモリ904内へと読み取られ得る。主要メモリ904内に含まれた命令のシーケンスを実行するために、多重処理機構において一つ以上のプロセッサも採用され得る。代替実施例においては、ソフトウェア命令の代わりに、または、それと組み合わせて、ハード結線された回路機構が使用され得る。故に、各実施例は、ハードウェア回路機構及びソフトウェアの何らかの特定の組み合わせに限定されるものでない。
【0083】
上述の如く、コンピュータ・システム901は、本開示内容の教示の内の任意のものに従いプログラムされた命令を保持するために、且つ、データ構造、テーブル、レコード、または、本明細書中に記述された他のデータを含むために、少なくとも一つのコンピュータ可読媒体もしくはメモリを含む。コンピュータ可読媒体の例は、コンパクト・ディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)・ディスク、テープ、磁気光学ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、または、他の任意の磁的媒体、(例えばCD-ROMなどの)コンパクト・ディスク、または、他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、または、孔のパターンを備えた他の物理的媒体である。
【0084】
任意の一つのコンピュータ可読媒体上に、または、それらの組み合わせ上に記憶されたものとして、本開示内容は、コンピュータ・システム901を制御するための、本開示内容の各特徴を実現する一つもしくは複数のデバイスを駆動するための、及び、コンピュータ・システム901が人的ユーザと相互作用することを可能とするための、ソフトウェアを含んでいる。斯かるソフトウェアとしては、限定的なものとしてで無く、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、及び、アプリケーション・ソフトウェアが挙げられる。斯かるコンピュータ可読媒体は更に、本開示内容の任意の部分を実現する上で実施される処理の全てまたは(処理が分散されるならば)一部を実施する本開示内容のコンピュータ・プログラム製品を包含する。
【0085】
本実施例のコンピュータ・コード・デバイスは、限定的なものとしてで無く、スクリプト、インタープリット可能なプログラム、ダイナミック・リンク・ライブラリ(DLL)、Java(登録商標)クラス、及び、完全に実行可能なプログラムなどの、任意のインタープリット可能なまたは実行可能なコード機構であり得る。更に、本実施例の処理の一部は、更に良好な性能、信頼性、及び/または、コストのために、分散され得る。
【0086】
本明細書中で用いられた“コンピュータ可読媒体”という語句は、実行のためにプロセッサ903に対する命令の提供に関与する任意の持続的媒体を指している。コンピュータ可読媒体は、限定的なものとしてで無く、不揮発性媒体または揮発性媒体などの、多くの形態を取り得る。不揮発性媒体としては、例えば、ハードディスク907またはリムーバブル媒体ドライブ908の如き、光学的、磁気的なディスク、及び、磁気光学的なディスクが挙げられる。揮発性媒体としては、主要メモリ904の如きダイナミック・メモリが挙げられる。対照的に、伝送媒体としては、バス902を構成する配線などの、同軸ケーブル、銅線、及び、光ファイバが挙げられる。伝送媒体はまた、電波及び赤外データ通信の間に生成される如き、音響波または光波の形態も取り得る。
【0087】
実行のためにプロセッサ903に対する一つ以上の命令の一つ以上のシーケンスを実施する上では、種々の形態のコンピュータ可読媒体が包含され得る。例えば、各命令は最初、遠隔コンピュータの磁気ディスク上に担持され得る。該遠隔コンピュータは、本開示内容の全てもしくは一部を実現するために上記命令を遠隔的にダイナミック・メモリ内にロードすると共に、モデムを用いて電話線を通して該命令を送信し得る。コンピュータ・システム901に対してローカル的であるモデムは、電話線上で上記データを受信して、該データをバス902上に載せ得る。バス902は上記データを主要メモリ904まで送り、そこから、プロセッサ903は命令を読出して実行する。主要メモリ904により受信された命令は選択的に、プロセッサ903による実行の前または後に、記憶デバイス907または908に記憶され得る。
【0088】
コンピュータ・システム901はまた、バス902に対して結合された通信インタフェース913も含んでいる。通信インタフェース913は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)915に対し、または、インターネットの如き別の通信ネットワーク916に対して接続されたネットワーク・リンク914に対して結合する双方向データ通信を提供する。例えば、通信インタフェース913は、任意のパケット交換LANに対して取付けられるネットワーク・インタフェース・カードであり得る。別の例として、通信インタフェース913は、統合サービス・デジタル・ネットワーク(ISDN)カードであり得る。無線リンクもまた、実施され得る。任意の斯かる実施方式において、通信インタフェース913は、種々の形式の情報を表すデジタル・データ・ストリームを担持する電気的、電磁的、または、光学的な信号を送信及び受信する。
【0089】
ネットワーク・リンク914は典型的に、一つ以上のネットワークを通して、他のデータデバイスに対してデータ通信を提供する。例えば、ネットワーク・リンク914は、(例えばLANなどの)ローカル・ネットワーク915を通して、または、通信ネットワーク916により通信サービスを提供するサービス・プロバイダにより操作される機器を通して、別のコンピュータに対する接続を提供し得る。ローカル・ネットワーク914及び通信ネットワーク916は、例えば、デジタル・データ・ストリームを担持する電気的、電磁的、または、光学的な信号と、関連する物理層(例えば、CAT5ケーブル、同軸ケーブル、光ファイバなど)とを使用する。
【0090】
コンピュータ・システム901は、ネットワーク915及び916、ネットワーク・リンク914、及び、通信インタフェース913を介し、プログラム・コードなどのデータを送信及び受信し得る。更に、ネットワーク・リンク914は、LAN915を通して、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、ラップトップ・コンピュータ、または、携帯電話の如きモバイル機器917に対する接続を提供し得る。
【0091】
本開示内容の各見地が、一例として提案されたその特定実施例に関して記述されてきたが、各例の代替例、改変例及び、変更例が実現され得る。本明細書及び添付の各請求項において使用される如く、“一つの(a)”、“一つの(an)”、及び、“上記(the)”という単一形態は、前後関係が明確に別様に示唆するのでなければ、複数の対象を包含することを銘記すべきである。