(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-13094(P2017-13094A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】鍛圧機械における操作機構の操作を軽快にする駆動操作伝達機構及び当該駆動操作伝達機構の作動によって操作機構の操作を軽快にする方法
(51)【国際特許分類】
B21J 7/28 20060101AFI20161222BHJP
F15B 11/00 20060101ALI20161222BHJP
B21J 9/12 20060101ALI20161222BHJP
【FI】
B21J7/28
F15B11/00 D
B21J9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-133077(P2015-133077)
(22)【出願日】2015年7月1日
(71)【出願人】
【識別番号】515181030
【氏名又は名称】中田プラント有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】中川原 三郎
【テーマコード(参考)】
3H089
4E087
【Fターム(参考)】
3H089AA10
3H089BB15
3H089CC01
3H089DA16
3H089DB32
3H089GG02
3H089HH29
3H089JJ03
4E087EA03
4E087GB06
(57)【要約】
【課題】鍛圧機械におけるフットペダル操作を軽快にする駆動操作伝達機構等を提供すること。
【解決手段】鍛圧機械における駆動操作伝達機構(メカニカルサーボ機構)1は、フットペダル21の操作によって引き下げられ又は引き上げられるサーボ弁作動連接棒13と、サーボ弁作動連接棒13の前記作動によって解放又は閉鎖するサーボ弁11と、サーボ弁11の開放又は閉鎖によってシリンダ用連接棒121が下方向又は上方向に移動する油圧シリンダ12と、を備える。メカニカルサーボ機構1をフットペダル21と制御弁用連接棒31との間に介装する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作機構の操作に応動して引き上げられ又は引き下げられる制御弁用連接棒と前記制御弁用連接棒に応動して昇降するラムとを少なくとも備える鍛圧機械における駆動操作伝達機構であって、
前記操作機構の操作によって引き下げられ又は引き上げられるサーボ弁作動連接棒(13)と、
前記サーボ弁作動連接棒の前記作動によって開放又は閉鎖するサーボ弁(11)と、
前記サーボ弁と連結され前記サーボ弁の開放又は閉鎖作動によってシリンダ用連接棒が下方向又は上方向に移動する油圧シリンダ(12)と、
からなり、
前記駆動操作伝達機構を前記操作機構と前記制御弁用連接棒との間に介装したことを特徴とする鍛圧機械における駆動操作伝達機構。
【請求項2】
前記操作機構がフットペダル又はハンドペダルである請求項1の鍛圧機械における駆動操作伝達機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の駆動操作伝達機構を備える鍛圧機械におけるオペレータ操作であって、
前記操作機構を踏み込むなど下降方向に操作する段階と、
前記下降方向操作によってサーボ弁作動連接棒が引き下げられサーボ弁の入力突端が押圧状態から緩和状態に遷移する段階と、
前記サーボ弁の入力突端の状態遷移によって前記サーボ弁の内部が閉鎖状態から開放状態に遷移する段階と、
前記サーボ弁の内部の状態遷移によって前記油圧シリンダのシリンダ用連接棒が下方向に移動する段階と、
を経ることによって、オペレータの操作負担を軽減しつつラムを下降打撃させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、鍛圧機械の制御弁用連接棒と操作機構との間に介装し操作機構の操作を軽快にする駆動操作伝達機構(メカニカルサーボ機構)に関するものである。また、当該メカニカルサーボ機構の作動によってラムの下降打撃の際の操作機構の操作を軽快にする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鍛圧機械を操作するオペレータが行う操作機構の操作(操作ペダルを足で踏んで行うペダル操作など)は1日2万回を超えることもあり、当該オペレータの足や腰にかかる負担は極めて大きい。
【0003】
ところで、従来の鍛造装置(鍛圧機械)は、
図8に示すように制御用弁棒とフットペダルとの間は連接棒により直接接続されている(例えば、特許文献1の
図1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭62−8907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のエアスタンプハンマにおける、操作機構の操作を例にとると、フットペダルの踏下げによってラムを下降させるが、そのときに弁体及び弓形カムの合計重量に対抗し得る強い力でフットペダルを踏下げなければならないため、フットペダルを踏下げる方の足に負担がかかる。
【0006】
そこで、オペレータの足等への負担を軽減し、操作機構の操作を軽快にし得るメカニカルサーボ機構を提供することを課題とした。
【0007】
また、所定のメカニカルサーボ機構の作動によって、ラムの下降打撃の際の操作機構の操作を軽快にする方法を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の駆動操作伝達機構は、上述の課題を解決するために、操作機構の操作に応動して引き上げられ又は引き下げられる制御弁用連接棒と前記制御弁用連接棒に応動して昇降するラムとを少なくとも備える鍛圧機械における駆動操作伝達機構であって、前記操作機構の操作によって引き下げられ又は引き上げられるサーボ弁作動連接棒と、前記サーボ弁作動連接棒の前記作動によって開放又は閉鎖するサーボ弁と、前記サーボ弁と連結され前記サーボ弁の開放又は閉鎖作動によってシリンダ用連接棒が下方向又は上方向に移動する油圧シリンダと、からなり、前記駆動操作伝達機構を前記操作機構と前記制御弁用連接棒との間に介装したことを特徴とする鍛圧機械における駆動操作伝達機構を提供する。
【0009】
また、本願発明の駆動操作伝達機構は、上述の課題を解決するために、操作機構(フットペダル又はハンドペダル)の操作に応動して引き上げられ又は引き下げられる制御弁用連接棒と前記制御弁用連接棒に応動して昇降するラムとを少なくとも備える鍛圧機械における駆動操作伝達機構であって、前記操作機構の操作によって引き下げられ又は引き上げられるサーボ弁作動連接棒と、前記サーボ弁作動連接棒の前記作動によって開放又は閉鎖するサーボ弁と、前記サーボ弁と連結され前記サーボ弁の開放又は閉鎖作動によってシリンダ用連接棒が下方向又は上方向に移動する油圧シリンダと、からなり、前記駆動操作伝達機構を前記操作機構と前記制御弁用連接棒との間に介装したことを特徴とする鍛圧機械における駆動操作伝達機構を提供する。
【0010】
本願発明の方法は、上述の課題を解決するために、前記いずれかの駆動操作伝達機構を備える鍛圧機械におけるオペレータ操作であって、前記操作機構を踏み込むなど下降方向に操作する段階と、前記下降方向操作によってサーボ弁作動連接棒が引き下げられサーボ弁の入力突端が押圧状態から緩和状態に遷移する段階と、前記サーボ弁の入力突端の状態遷移によって前記サーボ弁の内部が閉鎖状態から開放状態に遷移する段階と、前記サーボ弁の内部の状態遷移によって前記油圧シリンダのシリンダ用連接棒が下方向に移動する段階と、を経ることによって、オペレータの操作負担を軽減しつつラムを下降打撃させる方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本願発明のメカニカルサーボ機構は、サーボ弁作動連接棒、サーボ弁、油圧シリンダ及びシリンダ用連接棒からなるメカニカルサーボ機構を制御弁用連接棒と操作機構との間に介装するため、ラム下降打撃させる際の操作機構の操作が軽快になる。
【0012】
本願発明のメカニカルサーボ機構は、操作機構がフットペダルの場合において、オペレータの足、ひざ又は腰の負担を軽減する。また、操作機構がハンドペダルの場合において、オペレータの手腕、ひじ又は肩の負担を軽減する。
【0013】
本願発明のオペレータの負担を軽減しつつラムを下降打撃させる方法は、フットペダルを踏み込むなど下降方向に操作をする段階の際に、サーボ弁の内部が開放され、油圧シリンダが作動するため、フットペダルを踏み込むなど下降方向に操作をする力を軽減(ラムに対抗する程度の力が不要。無負荷状態になる。)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は実施例1のメカニカルサーボ機構及びその周辺構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は実施例1のメカニカルサーボ機構及びその周辺構成を示す側面図である。
【
図3】
図3はサーボ弁の内部構造及びサーボ弁と油圧シリンダの連結状態を示す説明図である。
【
図4】
図4は実施例1鍛圧機械の作動(フットペダルの踏込の際)を示す正面図である。
【
図5】
図5は実施例1鍛圧機械の作動(フットペダルの踏込を解除した際)を示す正面図である。
【
図6】
図6は実施例2の鍛圧機械を示す正面図である。
【
図7】
図7は実施例2鍛圧機械の作動(ハンドペダル操作)を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
鍛圧機械の制御弁用連接棒と操作機構との間に所定のメカニカルサーボ機構を介装して実施する。
【実施例1】
【0016】
鍛圧機械のメカニカルサーボ機構の構成について、
図1から
図3に従い説明する。
【0017】
鍛圧機械のメカニカルサーボ機構(1)は、先端に入力突端部(111)を備えるサーボ弁(11)と、前記サーボ弁と連結され前記サーボ弁の開放又は閉鎖作動によってシリンダ用連接棒が下方向又は上方向に移動する油圧シリンダ(12)と、前記サーボ弁の入力突端部に操作駆動を伝達するサーボ弁作動連接棒(13)と、で構成する(
図1及び
図2)。
【0018】
前記メカニカルサーボ機構(1)は、フットペダル(21)と制御弁用連接棒(31)との間に介装する(
図1及び
図2)。
【0019】
前記サーボ弁(11)の内部の制御について、サーボ弁を構成するスタイラスを機械的に動かすことで圧油の流れを制御する。
【0020】
前記サーボ弁(11)と前記油圧シリンダ(12)の連結について、前記サーボ弁と前記油圧シリンダの内部が連結されており所定の作動が行い得る状態であることを指す。したがって、前記サーボ弁作動連接棒(13)が引き下げられ、前記サーボ弁の入力突端部(111)が押圧状態から緩和状態へ遷移した場合に前記サーボ弁の内部では閉鎖状態から解放状態へ遷移し、それに伴い前記油圧シリンダのシリンダ用連接棒(121)が下方向に移動する(
図3)。
【0021】
次に、フットペダルを踏み込んだ際の鍛圧機械の主な作動について、
図4及び
図5に従い説明する。
【0022】
フットペダル(21)を踏み込む(押し下げる)と、前記フットペダルに接続されたペダルシャフト(22)が回転し前記ペダルシャフトに軸着したレバー継手(23)を経由してペダル用連接棒(24)が下部方向に引き下げられる(
図4)。
【0023】
前記ペダル用連接棒(24)が引き下げられることによって、前記ペダル用連接棒と連動しサーボ弁作動連接棒(13)も引き下げられる(
図4)。
【0024】
前記サーボ弁作動連接棒(13)が引き下げられると、サーボ弁(11)の入力突端部(111)が押圧状態から緩和状態に遷移する。
【0025】
前記サーボ弁(11)の入力突端(111)の状態遷移によって、前記サーボ弁の内部が開放状態に遷移する。
【0026】
前記サーボ弁(11)の内部が開放状態に遷移すると、油圧シリンダ(12)のシリンダ用連接棒(121)が下方向に移動する(
図4)。
【0027】
前述したごとく、前記フットペダル(21)の踏み込みと同時に前記サーボ弁(11)の内部が開放状態に遷移し、前記シリンダ用連接棒が(121)が下方向に移動するため、前記フットペダルにはラムの重量に対抗する負荷がかからず、軽快にフットペダルを踏み込むことが行える。
【0028】
その後は、前記シリンダ用連接棒(121)の下方向移動によって、制御弁用連接棒(31)が引き上げられ、さらにはラム(32)応動して下降打撃する(
図4)。
【0029】
次に、踏み込んだフットペダルから踏込みを解除した際の鍛圧機械の主な作動について、
図5に従い説明する。
【0030】
フットペダル(21)の踏み込みを解除すると、前記フットペダルが元の位置に復帰(引き上がる)し、ペダル用連接棒(24)及びサーボ弁作動連接棒(13)も引き上がる(
図5)。
【0031】
前記サーボ弁作動連接棒(13)が引き上がることによって、サーボ弁(11)の入力突端部(111)が緩和状態から押圧状態に遷移するため、前記サーボ弁の内部が閉鎖状態に遷移する。
【0032】
前記サーボ弁(11)の内部が閉鎖状態に遷移することによって、シリンダ用連接棒(121)が上方向に移動するとともに、制御弁用連接棒(31)が引き下げられ、ラム(32)が上昇復帰する(
図5)。
【実施例2】
【0033】
実施例2の鍛圧機械は、操作機構にハンドペダルを採用した構成であり、その構成について、
図6に従い実施例1と異なる部分のみについて説明をする。
【0034】
鍛圧機械は、サーボ弁作動連接棒(13)と直接接続するハンドペダル(25)を備える(
図6)。
【0035】
その他の構成については、実施例1と同様であるため省略する。
【0036】
次に、ハンドペダルを押し下げ操作又は復帰操作した際の鍛圧機械の作動について、
図7に従い説明する。
【0037】
ハンドペダル(25)を押し下げると、前記ハンドペダルに直接接続されたサーボ弁作動連接棒(13)が引き下げられる(
図7)。
【0038】
前述したごとく、前記ハンドペダル(25)の押し下げと同時に前記サーボ弁の内部が開放状態に遷移し、前記シリンダ用連接棒が下方向に移動するため、前記ハンドペダルにはラムの重量に対抗する負荷がかからず、軽快にハンドペダルを押し下げることが行える。
【0039】
これ以降の動作については、実施例1と略同様であるため省略する。
【0040】
次に、押し下げたハンドペダルから押し下げを解除した際の鍛圧機械の主な作動について、
図7に従い説明する。
【0041】
ハンドペダル(25)の押し下げを解除すると、前記ハンドペダルが元の位置に復帰(引き上がる)し、サーボ弁作動連接棒(13)も引き上がる(
図7)。
【0042】
前記サーボ弁作動連接棒(13)が引き上がることによって、サーボ弁の入力突端部が緩和状態から押圧状態に遷移するため、前記サーボ弁の内部が閉鎖状態に遷移し、シリンダ用連接棒が上方向に移動するとともに、制御弁用連接棒が引き下げられ、ラムが上昇復帰する(
図7)。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本願発明の鍛圧機械のメカニカルサーボ機構は、オペレータの操作機構の操作を軽快にする優れた機構であるので、産業上の利用可能性を有する。また、当該メカニカルサーボ機構の作動によってラムの下降打撃の際の操作機構の操作を軽快にする操作方法は、オペレータの操作機構の操作を軽快にする優れた方法であるので、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0044】
1 メカニカルサーボ機構(駆動操作伝達機構)
11 サーボ弁
111 サーボ弁の入力突端
12 油圧シリンダ
121 シリンダ用連接棒
13 サーボ弁作動連接棒
21 フットペダル(操作機構)
22 ペダルシャフト
23 レバー継手
24 ペダル用連接棒
25 ハンドペダル(操作機構)
31 制御弁用連接棒
32 ラム