特開2017-131305(P2017-131305A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-131305(P2017-131305A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】消火装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 3/00 20060101AFI20170707BHJP
   A62C 37/40 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
   A62C3/00 A
   A62C37/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-12056(P2016-12056)
(22)【出願日】2016年1月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】阿部 仁一
(72)【発明者】
【氏名】梅原 義之
(72)【発明者】
【氏名】片桐 正浩
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 諭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 丈知
(72)【発明者】
【氏名】黒坂 悠平
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189BA03
2E189BB06
2E189BB08
2E189BC07
2E189GB04
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性に優れ、繰り返し使用が可能な消火装置を実現する。
【解決手段】簡易消火具20を交換可能に収容する消火具収容部10と、レンジ2を撮像した画像データに基づいて火災の発生を検知するとともにその火災の炎の位置を検出する火災センサ(撮像部30、制御部70)と、火災センサが火災を検知した場合に簡易消火具20から消火剤を放出させる消火剤放出手段40と、火災センサによって検出された炎の位置に向けて消火剤を散布するように消火剤の放出方向を切り替える放出方向切替手段50を備えた消火装置100であれば、厨房1のレンジ2で火災が発生した場合に速やかに火災の炎に向けて自動的に消火剤を放出して初期消火を行うことができる。特に、使用後の簡易消火具20を外して新たな簡易消火具20を取り付けるようにすれば、万が一の火災に直ちに備えるように消火装置100による厨房1の監視を速やかに開始することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厨房のレンジの近傍に設置される消火装置であって、
エアゾール式簡易消火具を交換可能に収容する消火具収容部と、
前記レンジを撮像して得た画像データに基づき、火災の発生を検知するとともに、その火災の炎の位置を検出する火災センサと、
前記火災センサが火災を検知した場合に、前記エアゾール式簡易消火具から消火剤を放出させる消火剤放出手段と、
前記火災センサによって検出された炎の位置に向けて消火剤を散布するように、消火剤の放出方向を切り替える放出方向切替手段と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項2】
前記消火具収容部には、複数のエアゾール式簡易消火具が収納されており、
前記複数のエアゾール式簡易消火具の何れか1つから消火剤を放出させ、その消火具の消火剤の残量が所定値以下になった場合に、他のエアゾール式簡易消火具から消火剤を放出させるように、前記消火剤放出手段の動作を制御する制御部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の消火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厨房のレンジまわりでの火災に対応して消火剤を散布する消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厨房のレンジまわりで火災が発生した際に消火剤を散布する消火装置が知られている。
例えば、消火剤放出ノズルの開口部を塞いでいたハンダなどのヒューズメタルが火炎を受けて溶融落下することで、その開口部から消火剤が放出される仕組みの消火装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−107942号公報
【特許文献2】特開2004−242993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2の消火装置の場合、消火剤を放出するためにヒューズメタルが溶融落下しているので、一度消火剤を放出してしまうとヒューズメタルを有する新たな装置に交換しなければならない。
つまり、ヒューズメタルを使用した消火装置は、その主要部が使い捨てであるためにコストアップを招いてしまうことや、装置の交換作業に時間を要してしまうことなどの問題があった。
【0005】
本発明の目的は、メンテナンス性に優れ、繰り返し使用が可能な消火装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
厨房のレンジの近傍に設置される消火装置であって、
エアゾール式簡易消火具を交換可能に収容する消火具収容部と、
前記レンジを撮像して得た画像データに基づき、火災の発生を検知するとともに、その火災の炎の位置を検出する火災センサと、
前記火災センサが火災を検知した場合に、前記エアゾール式簡易消火具から消火剤を前記レンジに向けて放出させる消火剤放出手段と、
前記火災センサによって検出された炎の位置に向けて消火剤を散布するように、消火剤の放出方向を切り替える放出方向切替手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成の消火装置であれば、厨房のレンジで火災が発生した場合に速やかに火災を検知し、その火災の炎に向けて自動的に消火剤を放出して、初期消火を行うことができる。
そして、この消火装置による消火剤放出がなされた場合、使用後のエアゾール式簡易消火具を外して新たなエアゾール式簡易消火具を取り付けるようにすれば、万が一の火災に直ちに備えるように、消火装置による厨房の監視を速やかに開始することができる。
このように、エアゾール式簡易消火具を交換することで繰り返し使用が可能である消火装置は、メンテナンス性に優れるとともにコストを抑えた消火装置として有効に利用できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の消火装置において、
前記消火具収容部には、複数のエアゾール式簡易消火具が収納されており、
前記複数のエアゾール式簡易消火具の何れか1つから消火剤を放出させ、その消火具の消火剤の残量が所定値以下になった場合に、他のエアゾール式簡易消火具から消火剤を放出させるように、前記消火剤放出手段の動作を制御する制御部を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、複数のエアゾール式簡易消火具を一つずつ使用することで、より長く消火剤を放出させることができるので、より確実な自動消火を可能にする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、メンテナンス性に優れ、繰り返し使用が可能な消火装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の消火装置を設置した厨房を示す概略図である。
図2】実施形態1の消火装置を示す概略図であり、ケース本体に前面カバーを取り付けている状態(a)と、ケース本体から前面カバーを取り外している状態(b)である。
図3】実施形態1の消火装置の消火具収容部内を側面視して示す概略図である。
図4】本実施形態の消火装置の制御系を示すブロック図である。
図5】実施形態2の消火装置を示す概略図であり、ケース本体に前面カバーを取り付けている状態(a)と、ケース本体から前面カバーを取り外している状態(b)である。
図6】実施形態2の消火装置の消火具収容部内を側面視して示す概略図である。
図7】本実施形態の消火装置の消火動作に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る消火装置の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0013】
(実施形態1)
図1は、本実施形態の消火装置100を設置した厨房1を示す概略図である。
厨房1にはレンジ2が配設されており、そのレンジ2の上方にフードファン3が設けられている。
そして、レンジ2の近傍の壁面1aに消火装置100が設置されている。
この消火装置100は、厨房1のレンジ2で発生した火災を検知し、自動的に消火剤を散布する装置である。
【0014】
消火装置100は、図2(a)(b)、図3図4に示すように、厨房1の壁面1aに配設された消火具収容部10と、消火具収容部10内に収容されているエアゾール式簡易消火具20(以下、単に簡易消火具20)と、厨房1のレンジ2を撮像する撮像部30と、簡易消火具20から消火剤をレンジ2に向けて放出させる消火剤放出手段40と、簡易消火具20の向きを調整して消火剤の放出方向を切り替える放出方向切替手段50と、装置各部に電力を供給する電源部60と、装置各部を統括制御する制御部70等を備えている。
なお、制御部70は、例えば、各種の演算処理等を行うCPUと、CPUにより実行される各種制御プログラム及びデータ等が格納されるROM等を備えて構成されている。
【0015】
消火具収容部10は、簡易消火具20を交換可能に収容するケース体であり、壁面1aに固定されたケース本体11と、ケース本体11に着脱可能に取り付けられた前面カバー12とを備えている。本実施形態では、消火具収容部10内に2本の簡易消火具20が収容されている。
消火具収容部10のケース本体11には、簡易消火具20を保持する消火具保持体11aが設けられている。本実施形態の消火具保持体11aは、半球形状を呈する椀状の部材であり、その姿勢を変更可能に図示しない支持体に支持されている。
また、ケース本体11には、撮像部30、消火剤放出手段40、放出方向切替手段50が配設されており、電源部60や制御部70が格納されている制御ボックス80が設けられている。
消火具収容部10の前面カバー12には、簡易消火具20が消火剤を放出するための開口部12aと、撮像部30が消火具収容部10内からレンジ2を撮像するための窓部12bとが設けられている。例えば、窓部12bには透明なアクリル板が嵌め込まれている。
なお、この消火具収容部10は、内部に収容する簡易消火具20などがレンジ2の熱によって温度上昇しないように、遮熱性や断熱性を有する材料や部材を含んで形成されている。
【0016】
簡易消火具20は、液化ガス又は圧縮ガスの圧力により消火剤を噴霧状に放出する消火剤スプレーであり、消火剤を放出するスイッチである押ボタン21と、押ボタン21が押下されたことで消火剤が噴き出すノズル22とを有している。
この簡易消火具20がケース本体11の消火具保持体11aの所定位置にセットされた状態が基準姿勢であり、基準姿勢に配された簡易消火具20は、そのノズル22をレンジ2上面の基準点(例えば中心点)に向けている。
なお、簡易消火具20は、初期消火用途に普及している防災用品であり、例えば、火災を発見した人がノズル22を炎に向けて押ボタン21を押し下げて消火剤を噴射するように使用されるものである。
つまり、本実施形態の消火装置100は、周知の簡易消火具20を用いた自動消火装置である。
【0017】
撮像部30は、例えば、CCDなどの撮像素子と、所定の視野角(画角)を有する光学レンズを有しているカメラであり、レンジ2の画像を撮像する。この撮像部30が撮像したレンジ2の画像データは制御部70に送信される。
制御部70は、撮像部30が撮像して得たレンジ2の画像データに基づき、炎の検出に関する画像処理演算を行い、レンジ2で火災が発生したか否か判断する。
そして、制御部70は、撮像部30が撮像したレンジ2の画像データに基づき、レンジ2で発生した火災を検知するとともに、検知した火災の炎の位置を検出する。
つまり、撮像部30と制御部70とが協働して火災センサとして機能する。
【0018】
ここで、画像処理演算による炎の検出に関する技術は、例えば特開平8−138169号公報で開示されているので、本明細書では詳述しない。なお、炎の形状や大きさ、炎の揺らぎ、またその時間的経過など炎の検出に関する判断条件を予め設定しておくことで、火災による炎と、それ以外の炎(例えば、ガスレンジの炎、調理中のフランベなどの炎)を識別し、消火対称となる火災による炎のみを検知・検出するようになっている。
【0019】
消火剤放出手段40は、例えば制御部70によって動作制御されるアクチュエーターであって、本実施形態1ではソレノイドを採用している。
消火剤放出手段40としてのソレノイドは、制御部70が火災の発生を検知した際に作動してプッシュバーを突き出し、簡易消火具20の押ボタン21を押し下げて消火剤をレンジ2に向けて放出させる。このソレノイド(消火剤放出手段40)は後述する放出方向切替手段50によって向きが切り替えられる簡易消火具20に追従して配置が切り替わるように配設されている。
なお、消火剤放出手段40はソレノイドであることに限らず、例えば油圧シリンダーや空圧シリンダーであっても同様に消火剤を放出させることができる。また、モーターの駆動によって押下金具を下降させて押ボタン21を押し下げる機構や、モーターの駆動によって簡易消火具20を上昇させて押下金具に押ボタン21を押し付ける機構であっても消火剤を放出させることができる。
【0020】
この消火剤放出手段40は、制御部70によって動作制御され、複数の簡易消火具20を1つずつ使用するように作動する。
具体的に、制御部70は、消火具収容部10に収容されている複数(本実施形態では2つ)の簡易消火具20の何れか1つから消火剤を放出させ、その簡易消火具20の消火剤の残量が所定値以下になった場合に、他の簡易消火具20から消火剤を放出させるように、消火剤放出手段40の動作を制御する。
例えば、本実施形態の場合、当初右側の簡易消火具20から消火剤を放出させるように右側の消火剤放出手段40が作動し、次に左側の簡易消火具20から消火剤を放出させるように左側の消火剤放出手段40が作動するように動作制御されるようになっている。
【0021】
ここで、簡易消火具20の消火剤の残量が所定値以下になったか否かの判断は、制御部70が行う。
例えば、消火剤を使い切るまで、簡易消火具20が消火剤を放出可能な時間を予め設定しておき、簡易消火具20が消火剤の放出を開始した後の経過時間を制御部70が計測するようにして、消火剤の残量が所定値以下になったか否か判断することができる。
また、簡易消火具20の重量を計測するセンサを設け、計測した重量に基づいて消火剤の残量が所定値以下になったか否かを判断してもよい。
また、簡易消火具20の噴射圧を計測するセンサを設け、計測した圧力に基づいて消火剤の残量が所定値以下になったか否かを判断してもよい。
【0022】
放出方向切替手段50は、例えば制御部70によって動作制御されるアクチュエーターであって、本実施形態1では簡易消火具20を保持している消火具保持体11aの姿勢を切り替える第1モーター51及び第2モーター52を採用している。
第1モーター51は、消火具保持体11aの底面側に当接させたゴムローラー51aを回転させることで消火具保持体11aに保持されている簡易消火具20をピッチング(pitching)方向に揺動させてノズル22の向きを切り替える。また、第2モーター52は、消火具保持体11aの側面側に当接させたゴムローラー52aを回転させることで消火具保持体11aに保持されている簡易消火具20をヨーイング(yawing)方向に揺動させてノズル22の向きを切り替える。
そして、放出方向切替手段50(第1モーター51及び第2モーター52)は、火災センサ(制御部70)が検出した火災の炎の位置に向けて消火剤を散布するように、簡易消火具20を保持している消火具保持体11aの姿勢を切り替えて、簡易消火具20による消火剤の放出方向を切り替えるようになっている。
【0023】
電源部60は、例えば、乾電池や充電式電池であり、制御ボックス80に装填されている。
また、家庭用電源を電源部60として利用して装置各部に電力を供給するようにしてもよい。
【0024】
このような消火装置100であれば、厨房1のレンジ2で火災が発生した場合に速やかに火災を検知し、その火災の炎に向けて自動的に消火剤を放出して、初期消火を行うことができる。
特に、この消火装置100は、初期消火用途に普及している簡易消火具20を交換可能に備えて構成されているので、簡易消火具20の消火剤の残量が所定値以下になったり、簡易消火具20の使用期限が過ぎたりした場合には、新たな簡易消火具20に取り替えることで、消火装置100を繰り返し使用できる。
【0025】
(実施形態2)
次に、本発明に係る消火装置の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を割愛する。
【0026】
実施形態2の消火装置100は、図5(a)(b)、図6に示すように、消火具収容部10内に収容されている簡易消火具20の押ボタン21及びノズル22に被せるように取り付けられた消火剤放出手段40としての電磁弁と、各電磁弁に一端が繋がれて他端が可動ノズル42に繋がれている送液管41と、可動ノズル42の向きを調整して消火剤の放出方向を切り替える放出方向切替手段50等を備えている。
なお、消火具収容部10の前面カバー12には、可動ノズル42から消火剤を放出するための開口部12aと、撮像部30が消火具収容部10内からレンジ2を撮像するための窓部12bとが設けられている。
【0027】
簡易消火具20に取り付けられた電磁弁は、その一部が簡易消火具20の押ボタン21を押し下げている。
そして、制御部70が火災の発生を検知した際に消火剤放出手段40としての電磁弁が作動して開くことで、簡易消火具20のノズル22から噴射された消火剤を送液管41と可動ノズル42を通じてレンジ2に向けて放出させる。
【0028】
送液管41は、後述する可動ノズル42の動きに追従して曲がる柔軟性を有するチューブである。
可動ノズル42は、消火剤を放出する小孔42aが形成された半球形状(略球形状)を呈する部材であり、その向きを変更可能に図示しない支持体に支持されている。この可動ノズル42が消火具収容部10内で図示しない支持体に支持されている状態が基準姿勢であり、基準姿勢に配された可動ノズル42は、その小孔42aをレンジ2上面の基準点(例えば中心点)に向けている。
【0029】
放出方向切替手段50は、例えば制御部70によって動作制御されるアクチュエーターであって、本実施形態2では送液管41の他端が繋がれている可動ノズル42の向きを切り替える第1モーター51及び第2モーター52を採用している。
第1モーター51は、可動ノズル42の下部側に当接させたゴムローラー51aを回転させることで可動ノズル42をピッチング(pitching)方向に揺動させてその向きを切り替える。また、第2モーター52は、可動ノズル42の側部側に当接させたゴムローラー52aを回転させることで可動ノズル42をヨーイング(yawing)方向に揺動させてその向きを切り替える。
そして、放出方向切替手段50(第1モーター51及び第2モーター52)は、火災センサ(制御部70)が検出した火災の炎の位置に向けて消火剤を散布するように、可動ノズル42の向きを切り替えて、簡易消火具20による消火剤の放出方向を切り替えるようになっている。
【0030】
このような実施形態2の消火装置100も実施形態1と同様に、厨房1のレンジ2で火災が発生した場合に速やかに火災を検知し、その火災の炎に向けて自動的に消火剤を放出して、初期消火を行うことができる。また、簡易消火具20の消火剤の残量が所定値以下になったり、簡易消火具20の使用期限が過ぎたりした場合には、新たな簡易消火具20に取り替えることで、消火装置100を繰り返し使用できる。
【0031】
(動作制御)
次に、本実施形態の消火装置100の消火動作について説明する。
まず、消火装置100によって厨房1を監視するために、消火装置100を起動させ、撮像部30によって厨房1のレンジ2を撮像する。
そして、消火装置100の制御部70は、撮像部30が撮像して得たレンジ2の画像データに基づき、火災が発生したか否か判断する(ステップS101)。
制御部70が、火災の発生を検知しなければ(ステップS101;NO)、撮像部30によるレンジ2の撮像を継続する。
【0032】
制御部70が、火災の発生を検知した場合(ステップS101;YES)、一方の消火剤放出手段40を作動させ、一方の簡易消火具20からレンジ2に向けて消火剤を放出する(スッテプS102)。
更に、制御部70が検出した火災の炎の位置に向けて消火剤を散布するように、放出方向切替手段50を作動させ、一方の簡易消火具20による消火剤の放出方向を切り替える(ステップS103)。
例えば、実施形態1の装置の場合、ステップS107において他方の簡易消火具20からも火災の炎の位置に向けて消火剤を散布することができるように、放出方向切替手段50を作動させて他方の簡易消火具20による消火剤の放出方向も切り替えている。
また、実施形態2の装置の場合は、放出方向切替手段50によって可動ノズル42の向きを切り替えて、消火剤の放出方向を切り替えるようになっている。
なお、消火剤の放出後も、撮像部30によるレンジ2の撮像は継続している。
【0033】
次いで、制御部70は、レンジ2の画像データに基づき、火災による炎がまだあるか否か判断する(ステップS104)。
制御部70が、火災による炎がないと判断すると(ステップS104;NO)、ステップS111へ進む。
制御部70が、火災による炎がまだあると判断すると(ステップS104;YES)、制御部70は、一方の簡易消火具20に消火剤が残っているか否か判断する(ステップS105)。
制御部70が、一方の簡易消火具20に消火剤が残っていないと判断すると(ステップS105;NO)、ステップS107へ進む。
【0034】
制御部70が、一方の簡易消火具20に消火剤が残っていると判断すると(ステップS105;YES)、制御部70は、レンジ2の画像データに基づき、火災の炎の位置が移動したか否か判断する(ステップS106)。
制御部70が、火災の炎の位置が移動したと判断すると(ステップS106;YES)、ステップS103に戻り、一方の簡易消火具20による消火作業を継続する。また、制御部70が、火災の炎の位置が移動していないと判断すると(ステップS106;NO)、ステップS104に戻り、一方の簡易消火具20による消火作業を継続する。
【0035】
ステップS107において、制御部70は、他方の消火剤放出手段40を作動させ、他方の簡易消火具20からレンジ2に向けて消火剤を放出する(スッテプS107)。
次いで、制御部70は、レンジ2の画像データに基づき、火災の炎の位置が移動したか否か判断する(ステップS108)。
制御部70が、火災の炎の位置が移動していないと判断すると(ステップS108;NO)、他方の簡易消火具20による消火作業を継続する。
制御部70が、火災の炎の位置が移動したと判断すると(ステップS108;YES)、制御部70が検出した火災の炎の位置に向けて消火剤を散布するように、放出方向切替手段50を作動させ、他方の簡易消火具20による消火剤の放出方向を切り替える(ステップS109)。
【0036】
次いで、制御部70は、レンジ2の画像データに基づき、火災による炎がまだあるか否か判断する(ステップS110)。
制御部70が、火災による炎がないと判断すると(ステップS110;NO)、ステップS111へ進む。
制御部70が、火災による炎がまだあると判断すると(ステップS110;YES)、ステップS108に戻り、他方の簡易消火具20による消火作業を継続する。
【0037】
ステップS111において、制御部70は消火剤放出手段40の作動を停止して消火剤の放出を止めて、ステップS101に戻る。
なお、放出方向切替手段50は、簡易消火具20または可動ノズル42の向きを基準姿勢に戻すように作動する。
【0038】
以上のように、本実施形態の消火装置100は、厨房1のレンジ2で火災が発生した場合に速やかに火災を検知し、その火災の炎に向けて自動的に消火剤を放出して、初期消火を行うことができる。
そして、この消火装置100による消火剤放出がなされた場合、使用後の簡易消火具20を外して新たな簡易消火具20を取り付けるようにすれば、万が一の火災に直ちに備えるように、消火装置100による厨房1の監視を速やかに開始することができる。
このように、本実施形態の消火装置100は、簡易消火具20を交換することで繰り返し使用が可能であるので、メンテナンス性に優れており、コストを抑えた消火装置として有効に利用できる。
【0039】
また、消火装置100の簡易消火具20や各種アクチュエーターは消火具収容部10に覆われており、厨房1における油汚れなどから防護されているので、この消火装置100は清掃の観点からもメンテナンス性に優れている。
【0040】
なお、以上の実施の形態においては、消火具収容部10内に2本の簡易消火具20が収容されているとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、3本以上の簡易消火具20を収納してもよい。
【0041】
また、以上の実施の形態においては、消火具収容部10に収容されている複数(本実施形態では2つ)の簡易消火具20を1つずつ使用し、一の簡易消火具20の消火剤の残量が所定値以下になった場合に、他の簡易消火具20から消火剤を放出させる場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、火災の炎が大きい場合には、全ての簡易消火具20から消火剤を放出させるようにしてもよい。
また、例えば3本の簡易消火具20を収納している場合、当初2本の簡易消火具20から消火剤を放出させ、次に1本の簡易消火具20から消火剤を放出させるようにしたり、当初1本の簡易消火具20から消火剤を放出させ、次に2本の簡易消火具20から消火剤を放出させるようにしたりしてもよい。
【0042】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
1 厨房
1a 壁面
2 レンジ
3 フードファン
10 消火具収容部
11 ケース本体
12 前面カバー
12a 開口部
12b 窓部
20 エアゾール式簡易消火具(簡易消火具)
21 押ボタン
22 ノズル
30 撮像部(火災センサ)
40 消火剤放出手段
41 送液管
42 可動ノズル
50 放出方向切替手段
51 第1モーター
52 第2モーター
60 電源部
70 制御部(火災センサ)
80 制御ボックス
100 消火装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7