(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-131416(P2017-131416A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】コンピューティングシステムにより実施する対戦ゲームにおいて戦闘員が繰り出す攻撃技を決定するユーザーインタフェース技術
(51)【国際特許分類】
A63F 13/52 20140101AFI20170707BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20170707BHJP
A63F 13/822 20140101ALI20170707BHJP
A63F 13/70 20140101ALI20170707BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F13/53
A63F13/822
A63F13/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-14202(P2016-14202)
(22)【出願日】2016年1月28日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日:平成27年11月12日 ウェブサイトのアドレス:http://gamegift.jp/news/1441265932880850
(71)【出願人】
【識別番号】513195433
【氏名又は名称】株式会社GIANTY
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ホー・トゥン・ラム
【テーマコード(参考)】
2C001
【Fターム(参考)】
2C001AA17
2C001BB05
2C001BC06
(57)【要約】
【解決課題】攻撃をしかける側のチームを操るプレーヤーが戦闘員が繰り出す攻撃技を決定するプロセスにおいて従来にない新規なユーザーインタフェース技術を採用することで、ゲームを操る行為によって斬新な楽しさが生みだされるようにする。
【解決手段】攻撃技表示リングは、円周を複数の分割エリアに区画したリングであり、戦闘員Aが攻撃を実行する場合、チーム編成記録簿において戦闘員Aについて選定された複数の攻撃技の情報に基づいて、各攻撃技の名称や表象が前記分割エリアに1つずつ表示される。円周上の局所を指示するためのカーソルが円周に沿って回転を繰り返す。プレーヤーが停止操作した際にカーソルを停止させ、カーソルが指示している分割エリアに表示されている名称に該当する攻撃技IDを攻撃効果演算アルゴリズムに引き渡す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
つぎの事項(1)〜(10)により特定される方法。
(1)コンピューティングシステムにより実施される対戦ゲームにおけるユーザーインタフェースの方法であること
(2)当該システムは、プレーヤーによって使用可能な複数の戦闘員に関する情報を整理して記述した戦闘員情報登録簿を作成して記憶していること
(3)戦闘員情報記録簿には、各戦闘員に対応づけして、個々の戦闘員が使用可能な複数種類の攻撃技を特定する攻撃技IDが複数記述されていること
(4)当該システムは、出撃チーム選定処理を実行し、使用可能な戦闘員の全体集合の中から所定数の戦闘員をプレーヤーに選定させ、かつ、選定された各戦闘員ごとに、使用可能な攻撃技の全体集合の中から所定数の戦闘技をプレーヤーに選定させ、これら選定情報を記述したチーム編成記録簿を作成して記憶すること
(5)当該システムは、出撃チーム表示処理を実行し、チーム編成記録簿の情報に基づいて選定された複数の戦闘員の表象をゲーム画面の自陣エリアに表示すること
(6)当該システムは、攻撃準備処理を実行し、自陣エリアに表示された戦闘員のうちの攻撃を実行する1つの戦闘員Aの表象を攻撃実行エリアに表示するとともに、当該表象のまわりにセレクター画像を表示すること
(7)セレクター画像は、同心円をなすレイアウトで配置された攻撃技表示リングと回転カーソルリングとを含んでいること
(8)攻撃技表示リングは、円周を複数の分割エリアに区画したリングであり、戦闘員Aが攻撃を実行する場合、チーム編成記録簿において戦闘員Aについて選定された複数の攻撃技の情報に基づいて、各攻撃技の名称や表象が前記分割エリアに1つずつ配置されてプレーヤーが視認できるように表示されること
(9)回転カーソルリングは、円周上の局所を指示するためのカーソルが円周に沿って回転を繰り返すように表示されること
(10)当該システムは、プレーヤーがカーソル停止操作子を操作した際に攻撃処理を実行し、回転中のカーソルを停止させ、攻撃技表示リングにおける停止したカーソルが指示している分割エリアに表示されている名称や表象に該当する攻撃技IDを攻撃効果演算アルゴリズムに引き渡すこと
【請求項2】
つぎの事項(11)(12)により特定される請求項1に記載の方法。
(11)当該システムは、出撃チーム選定処理において、プレーヤーが選定した戦闘員Bについて攻撃技をプレーヤーに選定させるプロセスにおいて、戦闘員情報記録簿に記述された戦闘員Bに関する情報に基づいて選定可能な攻撃技の個数を決定してプレーヤーに知らせること
(12)当該システムは、攻撃準備処理において、戦闘員Bが攻撃を実行する場合、戦闘員Bについて選定された攻撃技の個数に応じて攻撃技表示リングの分割エリアの区画数を決定すること
【請求項3】
つぎの事項(13)(14)により特定される請求項1または2に記載の方法。
(13)当該システムは、攻撃技表示リングの表示において、攻撃技の名称や表象が表示されていない特定の分割エリアを少なくとも1つ含ませること
(14)当該システムは、攻撃処理において、停止したカーソルが前記特定分割エリアを指示している場合、当該攻撃が失敗であったという事象を攻撃効果演算アルゴリズムに通知すること
【請求項4】
つぎの事項(15)〜(17)により特定される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
(15)セレクター画像は、攻撃技表示リングおよび回転カーソルリングと同心円をなすレイアウトで配置された停止履歴リングを含んでいること
(16)当該システムは、自陣エリアに表示された出撃チームの複数の戦闘員が攻撃を実行する全期間において停止位置記録処理を実行し、攻撃処理により停止したカーソルが指示する位置に関する情報を停止位置履歴データとして記録するとともに、この停止位置履歴データに基づいて停止履歴リングに停止位置を視覚的に表示すること
(17)当該システムは、停止位置判定処理を実行し、記録した停止位置履歴データが所定の条件を満たした場合に前記出撃チームに所定の特典を付与し、その事象をゲーム進行アルゴリズムに通知すること
【請求項5】
つぎの事項(18)により特定される請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
(18)当該システムは、所定のゲーム進行状況にある場合、攻撃技表示リングを表示する際に円周上の局所に特典マークを付加表示するとともに、攻撃処理により停止したカーソルが当該特典マークを指示していると判定したときに当該攻撃を実行した戦闘員に特典を付与し、その事象をゲーム進行アルゴリズムに通知する処理を実行すること
【請求項6】
つぎの事項(19)により特定される請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
(19)当該システムは、所定のゲーム進行状況にある場合、カーソル停止操作子を操作しようとするプレーヤーにとって攻撃技表示リングや回転カーソルリングの視認性を低下させる画像要素を付加表示する処理を実行すること
【請求項7】
つぎの事項(20)により特定される請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(20)当該システムは、所定のゲーム進行状況にある場合、攻撃準備処理におけるカーソルの回転態様を通常態様と異ならせる処理を実行すること
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のユーザーインタフェースの方法を実施するようにコンピューティングシステムに実装されるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モバイルゲームやPCオンラインゲームやアーケードゲームなどのようにコンピューティングシステムにより実施されるゲームにおけるユーザーインタフェース技術に関し、たとえば、モンスターとかキャラクターなどと呼ばれる複数の戦闘員で自陣チームを編成して敵陣チームと対戦する場面を主要なゲーム要素とする、対戦型のロールプレイングゲームなどと呼ばれるジャンルのコンピューターゲームに適用することを意図したユーザーインタフェース技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、大流行の対戦型のコンピューターゲームでは、自陣チームのモンスターと敵陣チームのモンスターとにより攻撃と防御を繰り返し、有利に戦ったチームのモンスターが強化されたり、新たなモンスターを獲得したりする。
【0003】
こうしたゲームにおいては、多くの種類のモンスターの能力特性が異なり、持ち駒である多数のモンスターの中からどのモンスターとどのモンスターにより出撃チームを編成して戦いに挑むのか、という戦略を考えることがプレーヤーにとってのゲームの面白さの重要な1つの要素である。また、各モンスターはそれぞれの能力によって複数種類の攻撃技(スキル)を使えるように設定されており、出撃チームに選出したモンスターによる攻撃シーンでどの攻撃技を敵陣に繰り出すのか、という戦術が戦闘を有利に展開する上で重要な要素となる。
【0004】
下記に例示した著名なゲームにおいては、上記の説明で戦略とか戦術と表現したゲーム要素をプレーヤーが操るためのユーザーインタフェースにそれぞれ独自の工夫を凝らしていることは周知のとおりである。
《参考1》パズル&ドラゴンズ(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社)
《参考2》エレメンタルストーリー(クルーズ株式会社)
《参考3》魔法使いと黒猫のウィズ(株式会社コロプラ)
【発明の開示】
【0005】
この発明は、攻撃をしかける側のチームを操るプレーヤーが戦闘員が繰り出す攻撃技を決定するプロセスにおいて従来にない新規なユーザーインタフェース技術を採用することで、ゲームを操る行為によって斬新な楽しさが生みだされるようにすることを目的として創作されたものである。
【0006】
この発明の核心とするところは、つぎの事項(1)〜(10)により特定される方法の発明として把握することができる。
(1)コンピューティングシステムにより実施される対戦ゲームにおけるユーザーインタフェースの方法であること
(2)当該システムは、プレーヤーによって使用可能な複数の戦闘員に関する情報を整理して記述した戦闘員情報登録簿を作成して記憶していること
(3)戦闘員情報記録簿には、各戦闘員に対応づけして、個々の戦闘員が使用可能な複数種類の攻撃技を特定する攻撃技IDが複数記述されていること
(4)当該システムは、出撃チーム選定処理を実行し、使用可能な戦闘員の全体集合の中から所定数の戦闘員をプレーヤーに選定させ、かつ、選定された各戦闘員ごとに、使用可能な攻撃技の全体集合の中から所定数の戦闘技をプレーヤーに選定させ、これら選定情報を記述したチーム編成記録簿を作成して記憶すること
(5)当該システムは、出撃チーム表示処理を実行し、チーム編成記録簿の情報に基づいて選定された複数の戦闘員の表象をゲーム画面の自陣エリアに表示すること
(6)当該システムは、攻撃準備処理を実行し、自陣エリアに表示された戦闘員のうちの攻撃を実行する1つの戦闘員Aの表象を攻撃実行エリアに表示するとともに、当該表象のまわりにセレクター画像を表示すること
(7)セレクター画像は、同心円をなすレイアウトで配置された攻撃技表示リングと回転カーソルリングとを含んでいること
(8)攻撃技表示リングは、円周を複数の分割エリアに区画したリングであり、戦闘員Aが攻撃を実行する場合、チーム編成記録簿において戦闘員Aについて選定された複数の攻撃技の情報に基づいて、各攻撃技の名称や表象が前記分割エリアに1つずつ配置されてプレーヤーが視認できるように表示されること
(9)回転カーソルリングは、円周上の局所を指示するためのカーソルが円周に沿って回転を繰り返すように表示されること
(10)当該システムは、プレーヤーがカーソル停止操作子を操作した際に攻撃処理を実行し、回転中のカーソルを停止させ、攻撃技表示リングにおける停止したカーソルが指示している分割エリアに表示されている名称や表象に該当する攻撃技IDを攻撃効果演算アルゴリズムに引き渡すこと
【0008】
===コンピューティング環境===
この発明が実施される典型的なコンピューティング環境はつぎのとおりである。出願人のような事業者が開発したゲームシステムは、ゲームサービスサイトのサーバーコンピューターに実装されるサーバープログラムと、ゲームサービスを利用する人のスマートフォンやタブレット端末やパソコンなどに実装されるクライアントプログラム(ゲームアプリと記すことがある)とからなる。
【0009】
周知のように、ゲームをしようとする人はAppStoreやGooglePlayなどのアプリストアで配布されているゲームアプリを自分のスマートフォンやタブレット端末などにダウンロード・インストールした上で、事業者が運営するゲームサービスサイトにアクセスしてアカウント登録をすることで、サーバープログラムとクライアントプログラム(ゲームアプリ)による分散コンピューティングによりクライアント(スマートフォンやタブレット端末など)上でゲームを実施することができる。
【0010】
以下に詳述する、この発明の主題である対戦ゲームにおけるユーザーインタフェースの方法は、上記のようなコンピューティング環境においては、ゲームを操作するプレーヤーのクライアント上で稼働するプログラムによって実施することができる(オフライン状態でも実施可能)。しかしながら、こうした形態に限定されず、ユーザーインタフェース方法の実施にサーバープログラムも一部関与するような設計も可能である。その他、この発明はいわゆるPCオンラインゲームやアーケードゲームなどのコンピューティング環境にても実施可能である。こうした事項は当業者にとって自明な周知慣用の技術常識であるので、これ以上説明しない。
【0011】
===戦闘員情報記録簿===
利用者が自分のスマートフォンやタブレット端末(クライアントと記すことがある。これには対戦ゲームのゲームアプリがインストールされている)でゲームを実施する際、このクライアントのメモリ上に戦闘員情報記録簿が存在している。
【0012】
戦闘員情報記録簿は、プレーヤーがゲームをするのに使用できる複数の戦闘員に関する情報を戦闘員IDに対応づけして整理して記述した記録である。周知の対戦ゲームと同様に、多種多様な性格づけをした戦闘員が設定されており、ゲームの進行によってプレーヤーが使用可能な戦闘員が増えたり減ったりするし、各戦闘員の能力特性が変化する。そうした各戦闘員に関する情報が戦闘員情報記録簿として記憶されている。
【0013】
この発明の核心に係わる事項として、戦闘員情報記録簿には、各戦闘員に対応づけして、個々の戦闘員が使用可能な複数種類の攻撃技を特定する攻撃技IDが複数記述されているとともに、個々の戦闘員が出撃に際して戦場に持ち込める攻撃技の個数が記述されている。つまり、戦闘員情報記録簿にはつぎの3項目を対応づけした情報が含まれている。
● 戦闘員ID
● 使用可能な攻撃技の全体集合(攻撃技IDの集合)
● 戦場に持ち込める攻撃技の個数
【0014】
===出撃チーム選定処理とチーム編成記録簿===
クライアント上のゲームアプリは、プレーヤーが戦闘開始するに際して、まず、出撃チーム選定処理を実行する。この処理においては、使用可能な戦闘員の全体集合の中から4体の戦闘員をプレーヤーに選定させ、かつ、選定された4体の各戦闘員ごとに、使用可能な攻撃技の全体集合の中から「戦場に持ち込める攻撃技の個数」として規定されている所定数の戦闘技をプレーヤーに選定させ、これら選定情報を記述したチーム編成記録簿を作成して記憶する。
【0015】
チーム編成記録簿の一例の概念を
図1に示している。
図1の例では、戦闘員3と戦闘員15は3個の攻撃技を戦場に持ち込み、戦闘員6は4個の攻撃技を戦場に持ち込み、戦闘員12は5個の攻撃技を戦場に持ち込むことが記述されており、また、たとえば戦闘員3は攻撃技2と攻撃技6と攻撃技8を戦場に持ち込むことが記述されている。なお、プレーヤーに上記の選定操作を行わせるユーザーインタフェースはどのように実施してもかまわないし、既存ゲームにおいてさまざまに実施されていることなので説明しない。
【0016】
===出撃チーム表示処理===
クライアント上のゲームアプリは、上記の出撃チーム選定処理に伴ってチーム編成記録簿の内容に基づいて出撃チーム表示処理を実行する。この処理によってタッチスクリーンに表示されるゲーム画面の具体例を
図2に示している。なお、以下に説明する内容を表示するのに必要となるデータは、あるものはゲームアプリにあらかじめ記述されており、またあるものはサーバープログラムとの通信によりサーバーから送達されるのであり、こうした技術事項は当業者にとって自明であるので説明省略する。
【0017】
図2に例示したゲーム画面のように、選定された4体の戦闘員の表象が画面下部の自陣エリアに横並びのレイアウトで表示され、その情報にセレクター画像とストップボタン51が表示されている。自陣エリアに表示された4体の戦闘員が1体ずつ所定の順番で1回ずつ攻撃を実行し、自陣からの1回の攻撃ごとに敵チームからの攻撃を受ける(いわゆるCPU対戦を一例とする)というシーケンスでゲームが進行するものとする。
【0018】
クライアント上のゲームアプリは、攻撃準備処理において、自陣エリアに表示された4体の戦闘員のうちの攻撃を実行する1体の戦闘員(たとえば戦闘員3とする)の表象をセレクター画像の中央の攻撃実行エリアに表示する。
【0019】
===セレクター画像===
セレクター画像は、同心円をなすレイアウトで配置された攻撃技表示リング52と回転カーソルリング53とを含んでいる。攻撃技表示リング52は、円周を複数の分割エリアに区画したリングである。たとえば戦闘員3が攻撃を実行する場合、この戦闘員3は3個の攻撃技を持ち込んでいるので、これに「ミス」を加え、円周を4個のエリアに等分割し、そのうちの3つの分割エリアに3個の攻撃技の名称を1つずつ表示し、残りの1つの分割エリアに「ミス」と表示する。攻撃技表示リング52は静止して表示されており、各分割エリアに表示されている攻撃技の名称やミスという表記をプレーヤーが容易に視認することができる。
【0020】
攻撃技表示リング52の内周に沿った回転カーソルリング53は、円周上に等間隔で配置された24個のドットからなり、24個のうちの1個のドットが明るくひかり、その明ドットが順次となりに移行することにより、明ドットが一定方向に回転するように見えるようになっている。そのようにゲームアプリの処理により表示制御がなされる。この回転カーソルリング53の表示形態は見なれた電飾表示と同じである。
【0021】
セレクター画像のとなりに大きな円形のストップボタン51が表示されている。回転カーソルリング53の明ドットが回転している最中にプレーヤーがストップボタン51にタップすると、即座に明ドットの回転が停止し、タップ検知時点で光っていたドットがそのまま光り続けた状態となる。なお、PCオンラインゲームやアーケードゲームなどでの実施形態では、ストップボタンはハードボタンであってよい。
【0022】
クライアント上のゲームアプリは、プレーヤーがストップボタン51を操作した際に攻撃処理を実行し、回転中のカーソルを停止させ、攻撃技表示リング53における停止したカーソルが指示している分割エリアに表示されている名称や表象に該当する攻撃技IDを攻撃効果演算アルゴリズムに引き渡す。この攻撃処理において、停止したカーソルが前記特定分割エリアを指示している場合、当該攻撃が失敗であったという事象を攻撃効果演算アルゴリズムに通知する。
【0023】
上記の攻撃処理における作業用データの概念を
図3に示している。
図3において、横軸に沿って等間隔で表記した1〜24の数字は、回転カーソルリング53の24個のドットを示している。そのすぐ上には、戦闘員3が使用可能な3種類の攻撃技ID(2と6と8)と1個のミスに割り当てられた4つの等分割されたエリアを示している。(攻撃技表示リング52に対応する)。ゲームアプリは、カーソルが停止した際、点灯されている1個のドットの番号が、4分割エリアのどのエリアに属するかを判定し、そのエリアに対応づけされている攻撃技IDまたはミスを読み取り、攻撃効果演算アルゴリズムに通知する。
【0024】
図3において、戦闘員3のデータのすぐ上には戦闘員6についてのデータを表現している。戦闘員6が使用可能な4種類の攻撃技ID(1と4と6と7)と2個所のミスの割り当てられた6つの等分割されたエリアを示している。また、その上には戦闘員12が使用可能な5種類の攻撃技ID(3と5と9と16と11)と1個のミスに割り当てられた6つの等分割エリアを示している。さらに、その上には戦闘員15が使用可能な3種類の攻撃技ID(12と15と18)と1個所のミスに割り当てられた4つの等分割されたエリアを示している。
【0025】
プレーヤーは各戦闘員による攻撃に際し、攻撃技表示リング52の各分割エリアの内容を頭に入れた状態で回転するカーソルを見つめ、いま発動すべきと考える攻撃技をカーソルが指示したタイミングでストップボタン51をタップすることに集中する。うまく行く場合もあるし失敗する場合もある。このことが本発明によるユーザーインタフェース技術によるゲームの醍醐味である。攻撃技表示リング52の分割数が多いと予定した攻撃技をカーソルで選択することが難しくなる。この要素も加味して出撃チームに選出する戦闘員を考える必要がある。
【0026】
===停止履歴リング===
図2に示すように、セレクター画像においては、攻撃技表示リング52の外周には停止履歴リング54が表示されており、
図3の作業用データにおいても停止履歴リング54に対応するデータがある。
【0027】
クライアント上のゲームアプリは、自陣エリアに表示された4体の戦闘員が攻撃を実行する全期間において停止位置記録処理を実行する。この記録処理は、攻撃処理により停止したカーソルが指示する位置に関する情報を停止位置履歴データとして記録するとともに、この停止位置履歴データに基づいて停止履歴リング54に停止位置を視覚的に表示する処理を含んでいる。
【0028】
具体例としては、停止履歴リング54は円周を12の分割エリアに均等に区画されており、ある攻撃で停止したカーソルが指示した分割エリアに対応する作業用データに所定の停止済フラグを記録する。また一例としては、ある攻撃で停止したカーソルが指示した分割エリアにすでに停止済フラグが記録されていればそのフラグを消去する。そして各分割エリアのフラグ有り無しに応じて、表示されている停止履歴リング54の色やテクスチャなどを変化させることで、記録している履歴をプレーヤーが視認できるようにしている。
【0029】
クライアント上のゲームアプリは、上記の位置停止判定処理とともに停止位置判定処理を実行し、記録した停止位置履歴データが所定の条件を満たした場合に前記出撃チームに所定の特典を付与し、その事象をゲーム進行アルゴリズムに通知する。たとえば6つの分割エリアすべてに停止済フラグが記録されたときに特典を付与する。これにより自陣の出撃チームによる攻撃の全期間にわたって特典獲得の目的をもってカーソル停止操作を工夫するという醍醐味を付加することができる。
【0030】
===その他の実施形態===
また、クライアント上のゲームアプリは、所定のゲーム進行状況にある場合、攻撃技表示リング52を表示する際に円周上の局所に特典マークを付加表示するとともに(
図2には描いていない)、攻撃処理により停止したカーソルが当該特典マークを指示していると判定したときに当該攻撃を実行した戦闘員に特典を付与し、その事象をゲーム進行アルゴリズムに通知する処理を実行する。これにより攻撃技を選択するという目的とは異なる意味合いでカーソル停止操作をする楽しみが付加される。
【0031】
また、クライアント上のゲームアプリは、所定のゲーム進行状況にある場合、ストップボタン51(カーソル停止操作子)を操作しようとするプレーヤーにとって攻撃技表示リング52や回転カーソルリング53の視認性を低下させる画像要素を付加表示する処理を実行する。同様に、所定のゲーム進行状況にある場合、攻撃準備処理におけるカーソルの回転態様を通常態様と異ならせる処理を実行する。これらの処理により、敵陣の攻撃によって自陣が受けたダメージの大きさに応じて、回転するカーソルを目的とする位置で停止させるプレーヤーの操作性を容易にしたり難しくしたりすることができ、ゲームの面白さを増大することができる。
【0032】
以上の説明から明らかなように、この発明の射程は、上記のユーザーインタフェース技術をプレーヤーのクライアント(スマートフォンやタブレット端末などのコンピューティングシステム)において実施するように、このクライアントにインストールされるプログラムに及ぶものである。
【符号の説明】
【0033】
51…ストップボタン 52…攻撃技表示リング 53…回転カーソルリング 54…停止履歴リング