【解決手段】一形態に係る携帯用枕は、使用者Mの頸部M1に当てられる携帯用枕1である。携帯用枕1は、頸部M1の後側に当てられる中央部と、中央部の両側に位置する両側部2と、を備え、両側部2の高さは、中央部の高さよりも高くされており、頸部M1の後側に中央部が当てられた状態において、両側部2は、使用者Mの顔M3の両側に接触する。両側部2が使用者Mの顔M3の両側に接触するので、使用者Mの頸部M1及び顔M3が広く保護される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した携帯用枕は、中央部及び両側部によって使用者の頸部を保護している。しかしながら、この携帯用枕は頸部のみに当てられるため、頸部にかかる圧力が大きく頸部を圧迫するという問題がある。また、前述の携帯用枕は、頸部しか保護していないため、携帯用枕を装着した状態で使用者が居眠りをすると、使用者の頸部が横に倒れてしまうことがある。従って、居眠りのとき等に頸部の位置が安定しないことがあり、使い心地の点で改善の余地がある。
【0006】
本発明は、使い心地を良好にすることができる携帯用枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る携帯用枕は、使用者の頸部に当てられる携帯用枕であって、頸部の後側に当てられる中央部と、中央部の両側に位置する両側部と、を備え、両側部の高さは、中央部の高さよりも高くされており、頸部の後側に中央部が当てられた状態において、両側部は、使用者の顔の両側に接触する。
【0008】
この携帯用枕は、使用者の頸部に装着されたときに、両側部の高さが中央部の高さよりも高くなる。このように、両側部の高さを高くすることにより、装着時に、携帯用枕の両側部が使用者の顎の両側と耳の下側に当たり、両側部が使用者の顔の横側に接触するので、使用者の頸部及び顔を広く保護することができる。従って、使用者の頸部にかかる圧力を低減させることができ、頸部及び顔へのフィット感を良好にすることができる。また、使用者が居眠りをしたとしても、使用者の頸部及び顔が両側部に当たるので、頸部が横に倒れる問題を回避することができる。従って、頸部の位置を安定させることができ、使い心地を良好にすることができる。
【0009】
また、中央部の厚さは、両側部の厚さよりも薄くてもよい。ここで、仮に、中央部の厚さが両側部の厚さと同一であるとすると、使用者の頸部が中央部に寄り掛かったときに、中央部が厚いので、頸部に対する圧迫感が大きくなる。よって、中央部に対する頸部のフィット感が良好でないという問題が生じうる。そこで、前述のように、中央部の厚さを両側部の厚さよりも薄くすることにより、使用者の頸部を中央部に入り込ませることができる。従って、中央部に対する頸部のフィット感を良好にすることができる。
【0010】
また、中央部及び両側部を含む非通気性の袋体と、袋体に設けられて袋体の内外の空気流通を開閉する開閉部と、を備え、袋体は、開閉部によって空気流通を開放した状態とすることにより内部空間に空気が流入して厚くなり、空気流通を開放した状態で袋体に外力を付与することによって内部空間から空気が流出して薄くなり、中央部の内部空間と、両側部の内部空間とは連通しており、開閉部は、両側部の少なくともいずれかに設けられていてもよい。この場合、開閉部で空気流通を開放させることによって、袋体の内部空間に空気が流入して厚くなる。このように、開閉部を開放させると、空気が袋体の内部空間に流入し、これに伴い携帯用枕を厚くすることができるので、内部空間への空気の圧送は不要である。よって、携帯用枕を厚くして膨らます作業を容易に行うことができる。また、空気流通を開閉する開閉部が両側部に設けられるので、携帯用枕が頸部に当てられたときに、開閉部は使用者から見て左右両側に位置することになる。従って、装着した状態で使用者が簡単に開閉部に触れることができるので、携帯用枕を膨らます作業を一層容易に行うことができる。また、開閉部が両側部に設けられることにより、携帯用枕を外して、携帯用枕を薄くした後に又は携帯用枕を薄くしながら、両側部から中央部に向かって携帯用枕を丸め込みやすくすることができる。従って、携帯用枕をコンパクトにする作業を容易に行うこともできる。
【0011】
また、中央部の内部空間と、両側部の内部空間と、のそれぞれに収容された複数の弾性発泡体と、中央部の内部空間と両側部の内部空間とを仕切ると共に、中央部の内部空間と両側部の内部空間との間における弾性発泡体の流通を遮断するマチ部と、を備えてもよい。この場合、携帯用枕の内部空間に複数の弾性発泡体が収容されるので、頸部が携帯用枕に接触したときのフィット感を更に良好にすることができる。また、マチ部によって中央部と両側部との間における弾性発泡体の流通が遮断されるので、中央部及び両側部のそれぞれに収容する弾性発泡体の量を定めることができる。すなわち、中央部及び両側部それぞれに収容する弾性発泡体の量を予め調整すると共に、中央部の弾性発泡体の量と両側部の弾性発泡体の量とを一定にすることができるので、良好なフィット感が維持された携帯用枕とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、使い心地を良好にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係る携帯用枕の実施形態について説明する。以下の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1に示されるように、本実施形態に係る携帯用枕1は、山状に盛り上がる一対の両側部2と、2つの両側部2の間に位置する中央部3とを備えている。携帯用枕1は、全体として、両側部2及び中央部3が並ぶ並設方向A1に延びている。並設方向A1は、携帯用枕1の長手方向と一致する。
【0016】
携帯用枕1は、中央部3が使用者Mの頸部M1に後方から当てられると共に各両側部2が頸部M1の両側に当てられることによって使用される(
図6及び
図7参照)。携帯用枕1の並設方向A1の一端及び他端には、当該一端と当該他端とを接続させる留め具としてサイドリリースバックル4が設けられている。また、携帯用枕1の並設方向A1の一端には、携帯用枕1の内外における空気流通を開閉する吸排気弁5(開閉部)が設けられている。
【0017】
両側部2は、中央部3の並設方向A1の両側に一対に設けられている。両側部2は、下辺2aと、携帯用枕1の幅方向A2に延びる端辺2bと、端辺2bの上端2cから中央部3に向かって山状に湾曲する山部2dと、を有する。下辺2aは、頸部M1の下側に位置すると共に、並設方向A1に直線状に延びる。端辺2bは、下辺2aの並設方向A1の端部2eから幅方向A2に延びる。例えば、並設方向A1及び幅方向A2は、互いに直交している。山部2dは、上端2cから斜め上方に延びる第1傾斜部2fと、中央部3から斜め上方に延びる第2傾斜部2gと、第1傾斜部2f及び第2傾斜部2gを接続する頂部2hと、を有する。
【0018】
端辺2bからは、頸部M1の前側に位置する紐部6が並設方向A1に延びており、この紐部6の先端にサイドリリースバックル4が取り付けられている。サイドリリースバックル4は、プラグ4aと、プラグ4aが差し込まれるソケット4bとを備えている。例えば、吸排気弁5が設けられる側の紐部6にプラグ4aが取り付けられており、反対側の紐部6にソケット4bが取り付けられており、携帯用枕1の装着時に吸排気弁5及びプラグ4aは使用者Mから見て右側に位置する。中央部3を頸部M1の後側に接触させてソケット4bにプラグ4aを差し込むことにより、携帯用枕1は使用者Mに装着される。
【0019】
中央部3は、一対の両側部2の間に位置しており、全体として長方形状となっている。中央部3は、頸部M1の下側に位置する下辺3aと、頸部M1の上側に位置する上辺3bとを有する。下辺3aは、並設方向A1に直線状に延び、下辺3aの両端は両側部2の下辺2aに連続している。また、上辺3bも並設方向A1に直線状に延び、上辺3bの両端は山部2dの第2傾斜部2gの下端に連続している。上辺3bと、その両側に位置する第2傾斜部2gとによって、使用者Mの後頭部M2が入り込む凹部1aが形成される(
図7参照)。
【0020】
中央部3の幅方向A2の長さL1は、両側部2の幅方向A2の長さL2よりも短い。長さL2は、頂部2hにおける両側部2の幅方向A2の長さを示している。これにより、中央部3は、使用者Mの頸部M1の後側に接触するが、両側部2は、使用者Mの頸部M1だけでなく使用者Mの顔M3(
図6参照)にも接触する。また、
図2に示されるように、中央部3の厚さT1は、両側部2の厚さT2よりも薄くなっている。なお、
図2は、両側部2及び中央部3を下辺2a,3a側から見た図である。
【0021】
図1及び
図3に示されるように、携帯用枕1は、カバー7と、カバー7の内部に収容される袋体8とを備えており、カバー7及び袋体8は、携帯用枕1全体としての形状に倣う形状となっている。袋体8は非通気性を有する。
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、袋体8には、複数の弾性発泡体9が収容されており、複数の弾性発泡体9は、例えば袋体8の最大容量に対して圧縮された状態で詰め込まれている。弾性発泡体9は、袋体8の中詰材(中芯)として機能する。
【0022】
例えば、複数の弾性発泡体9は、その体積が圧縮比1.5〜5.8程度に圧縮された状態で最大容量となった袋体8に詰め込まれる。ここで、「圧縮比」とは、圧縮されていない状態と袋体8の内部で圧縮された状態とにおける、複数の弾性発泡体9全体としての体積の比を示している。袋体8に詰め込まれていない常温常圧下において、弾性発泡体9は、直方体状となっており、好ましくは発泡ウレタンを立方体状(サイコロ状)とした形状となっている。
【0023】
弾性発泡体9を構成する発泡ウレタンは、表面張力が大きく、引っ張り込まれて変形しやすいという性質を有する。また、弾性発泡体9の内部には空気が含まれているため、弾性発泡体9の圧縮及び膨張が可能となっている。例えば、弾性発泡体9の密度は20kg/m
3以上且つ90kg/m
3以下であり、弾性発泡体9の硬度は15N以上且つ120N以下である。これらの密度及び硬度は、JISK6401に準拠している。
【0024】
また、弾性発泡体9の少なくとも一つの面に穴が形成されていてもよい。この穴は、例えば、正方形状の面9aの中央で貫通する円柱状の孔部である。このように、弾性発泡体9の少なくとも一つの面に穴を形成することにより、弾性発泡体9を柔らかくすることができ、弾性発泡体9が凹む速度、及び弾性発泡体9が膨らむ速度をゆっくりにすることができる。例えば、製造した弾性発泡体9が硬い場合であっても、上記の穴を形成することにより弾性発泡体9を柔らかくすることができる。
【0025】
図3に示されるように、袋体8の内部空間Sは3分割されている。袋体8は、左側の両側部2を形成する領域8aと、右側の両側部2を形成する領域8bと、中央部3を形成する領域8cとを備える。このように、袋体8は、その内部空間Sに、弾性発泡体9が詰め込まれる複数の領域8a〜8cを備えており、各領域8a〜8cに弾性発泡体9が圧縮された状態で詰め込まれる。
【0026】
これにより、両側部2及び中央部3の盛り上がり具合が定められる。すなわち、袋体8の各領域8a〜8cに詰め込む弾性発泡体9の量を予め調整することによって、初期状態における両側部2及び中央部3の形状を調整可能となっている。また、仕切られた領域8a〜8cのそれそれに所定数の弾性発泡体9が詰め込まれることによって、使用者Mに、より良い寝心地の携帯用枕1を提供することが可能となる。
【0027】
また、本実施形態では、両側部2を厚くすると共に、中央部3を薄くするように弾性発泡体9の量が調整されている。すなわち、領域8cと比較して、領域8a,8bに詰め込む弾性発泡体9の密度を高くすることにより、両側部2を中央部3よりも厚くしている。このように、両側部2を中央部3よりも厚くすることによって、両側部2を、使用者Mが横を向いたときの顔M3のクッションとなるようにしている。
【0028】
袋体8は、その内部に、前述の領域8a〜8cを仕切るマチ部10a,10bを有する。マチ部10aは、左側の領域8aと、中央部分に位置する領域8cとを仕切っている。マチ部10bは、右側の領域8bと領域8cとを仕切っている。マチ部10aは、左側の領域8aと中央の領域8cとの間で幅方向A2に延びており、左側の両側部2と中央部3とを仕切っている。マチ部10bは、右側の領域8bと領域8cとの間で幅方向A2に延びており、右側の両側部2と中央部3とを仕切っている。
【0029】
マチ部10aの幅方向A2の両側には、開口11aが設けられており、マチ部10bの幅方向A2の両側にも同様の開口11bが設けられている。開口11aは、左側の領域8aと中央の領域8cとの空気流通を可能としており、開口11bは、右側の領域8bと中央の領域8cとの空気流通を可能としている。また、開口11a,11bは、弾性発泡体9が通らない程度の大きさとなっており、開口11a,11bには空気のみが通れるようになっている。
【0030】
吸排気弁5は、袋体8の右側の端部に設けられている。吸排気弁5の材料としては、例えばPVC又はポリウレタンを用いることができる。
図5に示されるように、吸排気弁5は、回転式となっており、使用者Mによって回転操作されることにより袋体8の開放及び閉塞が可能となっている。この吸排気弁5の開放及び閉塞により、携帯用枕1の内部の空気量が調整され、携帯用枕1の厚さが調整される。
【0031】
吸排気弁5は、袋体8を貫通する開口に取り付けられた板状の取付部5aと、回転することによって取付部5aに対し上下に移動可能となっている円柱状の蓋部5bとを備えている。取付部5aは、袋体8の上記開口に固着される固着部5cと、固着部5c上に位置する台座部5dとを含んでいる。吸排気弁5では、蓋部5bが中心軸線Lを中心として一方向(例えば反時計回り)に回転操作されることにより、台座部5dから蓋部5bが上昇し、この蓋部5bの上昇に伴って袋体8の上記開口が開放される。また、蓋部5bが中心軸線Lを中心として他方向(例えば時計回り)に回転操作されることにより蓋部5bが下降し、蓋部5bが台座部5dに接触するときに袋体8の上記開口が閉塞される。
【0032】
また、袋体8の上記開口に対する吸排気弁5の高さは抑えられている。具体的には、従来の吸排気弁の高さが40.0mm程度であるのに対し、吸排気弁5の高さは15.5mm程度となっている。このように吸排気弁5の高さを40.0mm未満として吸排気弁5の高さを抑えることにより、使用者Mの身体等が吸排気弁5に当接したり引っ掛かったりする事態を抑制することができる。なお、吸排気弁5を構成する各部品の材料や形状は、上記に限定されず、袋体8内への空気流通の開閉が可能であれば他の材料や形状であってもよい。
【0033】
次に、携帯用枕1の使用方法の例について
図1、
図6及び
図7を参照して説明する。まず、
図1に示される携帯用枕1を、吸排気弁5が使用者Mから見て右側に位置するように、使用者Mが手で取る。そして、中央部3の裏面(
図1の紙面奥側に位置する面)を頸部M1の後側に当てて、各両側部2を使用者Mの顔M3の両側を覆うように、携帯用枕1を使用者Mの頸部M1に巻き付ける。
【0034】
そして、
図6及び
図7に示されるように、使用者Mの頸部M1の前側において、サイドリリースバックル4のプラグ4aをソケット4bに差し込み、2つの両側部2をサイドリリースバックル4及び紐部6を介して連結させる。このようにして、中央部3が頸部M1の後側に当たると共に、両側部2が使用者Mの顔M3及び頸部M1に左右両側から当たることによって、使用者Mへの携帯用枕1の装着が完了する。
【0035】
上記のように携帯用枕1を装着させた状態において、使用者Mが吸排気弁5の蓋部5bを一方向に回転操作することにより、袋体8の内部空間Sに空気を流入させて携帯用枕1をゆっくりと厚くする。そして、蓋部5bを他方向に回転操作することによって内部空間Sへの空気流入を遮断し、携帯用枕1の厚さを所望の状態で維持させる。このように、携帯用枕1は、吸排気弁5の操作で内部空間Sへの空気流入が調整されるので、装着した状態で携帯用枕1を厚くすることが可能となっている。
【0036】
また、携帯用枕1を使用者Mから取り外すときには、サイドリリースバックル4のソケット4bからプラグ4aを外して、2つの両側部2を離間させる。そして、蓋部5bを一方向に回転操作して携帯用枕1に外力を与えることにより、内部空間Sから空気を流出させて携帯用枕1を収縮させる。携帯用枕1を収縮させた後には、例えば、
図1に示される状態において、吸排気弁5を有する両側部2から携帯用枕1を中央部3側に巻いていくことにより、携帯用枕1をコンパクトに丸め込むことが可能である。
【0037】
次に、本実施形態に係る携帯用枕1によって得られる効果について説明する。
【0038】
携帯用枕1は、使用者Mの頸部M1の後側に巻かれたときに、両側部2の高さが中央部3の高さよりも高くなる。このように、両側部2の高さを高くすることにより、装着時に、携帯用枕1の両側部2が使用者Mの顎の両側と耳の下側に当たり、両側部2が使用者Mの顔M3の両側に接触するので、使用者Mの頸部M1及び顔M3を広く保護することができる。
【0039】
従って、使用者Mの頸部M1にかかる圧力を低減させることができるので、頸部M1へのフィット感を良好にすることができる。また、使用者Mが居眠りをしたとしても、使用者Mの頸部M1及び顔M3が両側部2に当たるので、使用者Mの頸部M1が横に倒れるのを抑制することができる。従って、使用者Mが居眠り等をしても頸部M1の位置を安定させることができ、使い心地を良好にすることができる。
【0040】
また、中央部3の厚さは、両側部2の厚さよりも薄い。このように、中央部3の厚さを両側部2の厚さよりも薄くすることにより、頸部M1を中央部3に入り込ませることができる。従って、中央部3に対する頸部M1のフィット感を良好にすることができる。
【0041】
携帯用枕1は、非通気性の袋体8と、袋体8の内外の空気流通を開閉する吸排気弁5とを備え、吸排気弁5で空気流通を開放させることによって、袋体8の内部空間Sに空気が流入して厚くなる。従って、吸排気弁5を開放させると、空気が袋体8の内部空間Sに流入し、これに伴い、携帯用枕1を厚くすることができるので、内部への空気の圧送は不要である。よって、携帯用枕1を厚くして膨らます作業を容易に行うことができる。
【0042】
また、吸排気弁5は、両側部2に設けられている。よって、空気流通を開閉する吸排気弁5が両側部2に設けられるので、携帯用枕1の装着時に、吸排気弁5は使用者Mから見て左右両側(
図6では使用者Mから見て右側)に位置することになる。従って、装着した状態で使用者Mが簡単に吸排気弁5に触れることができるので、携帯用枕1を膨らます作業を一層容易に行うことができる。更に、吸排気弁5が使用者Mから見て右側に位置する場合には、右利きの使用者Mが容易に吸排気弁5を回転操作できる。
【0043】
また、吸排気弁5が両側部2に設けられることにより、携帯用枕1に外力を付与して、携帯用枕1を薄くした後に又は薄くしながら、吸排気弁5が設けられていない両側部2から中央部3に向かって携帯用枕1を一気に丸め込むことができる。従って、両側部2から中央部3に向かって携帯用枕1を丸め込みやすくすることができ、携帯用枕1をコンパクトにする作業を容易に行うこともできる。
【0044】
また、携帯用枕1は、中央部3の内部空間S(領域8c)と、両側部2の内部空間S(領域8a及び領域8b)と、のそれぞれに収容された複数の弾性発泡体9と、中央部3の内部空間Sと両側部2の内部空間Sとを仕切ると共に、中央部3の内部空間Sと両側部2の内部空間Sとの間における弾性発泡体9の流通を遮断するマチ部10a,10bを備える。従って、携帯用枕1の内部空間Sに複数の弾性発泡体9が収容されるので、使用者Mの身体が携帯用枕1に接触したときのフィット感を更に良好にすることができる。
【0045】
また、マチ部10a,10bによって中央部3と両側部2との間における弾性発泡体9の流通が遮断されるので、中央部3及び両側部2のそれぞれに収容する弾性発泡体9の量を定めることができる。すなわち、中央部3及び両側部2それぞれに対する弾性発泡体9の量を予め調整し、中央部3の弾性発泡体9の量と両側部2の弾性発泡体9の量とを一定にできるので、フィット感が良好な状態が維持された携帯用枕1を提供することができる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形してもよい。すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。
【0047】
例えば、前述した実施形態では、カバー7及び袋体8が、携帯用枕1全体としての形状に倣う形状となっている例について説明した。しかしながら、カバー及び袋体の形状については上記の例に限定されない。例えば、カバーの形状を、敢えて袋体の形状と変えることによって、携帯用枕全体としての形状を変えることもできる。具体的には、カバーの形状を袋体の形状と異ならせることによって、例えば両側部2の頂部2hの高さを低くすることも可能である。
【0048】
また、前述した実施形態では、両側部2が山状に湾曲する山部2dを有し、中央部3が長方形状となっている例について説明したが、両側部及び中央部の形状は、この例に限定されず適宜変更可能である。例えば、
図8に示される変形例の携帯用枕の袋体8Aのように、2つの両側部12と、2つの両側部12の間に位置する中央部13と、を有し、各両側部12が相手の両側部12を接続する接続部12aを備えていてもよい。この接続部12aは、各両側部12において斜め上方に延びており、2つの接続部12aの上端同士が接続されている。これらの接続部12a及び中央部13によって使用者Mの後頭部M2が入り込む輪状空間Wが形成される。
【0049】
また、前述した実施形態では、携帯用枕1を使用者Mの身体に装着した後に、吸排気弁5を開放して携帯用枕1を膨らませる例について説明した。しかしながら、吸排気弁5を開放して携帯用枕1をある程度膨らませて携帯用枕1の厚さを調整し、その後に携帯用枕1を使用者Mの身体に装着させてもよい。すなわち、携帯用枕1を膨らませるタイミングと、携帯用枕1の装着のタイミングについては特に限定されない。
【0050】
また、前述の実施形態では、2つの両側部2を連結させる連結手段としてサイドリリースバックル4及び紐部6を用いる例について説明したが、この連結手段としてはサイドリリースバックル4又は紐部6以外のものを用いることも可能である。例えば、サイドリリースバックル4を省略し、2本の紐部を結ぶことによって、2つの両側部2を連結させてもよい。
【0051】
また、前述の実施形態では、弾性発泡体9が発泡ウレタンで構成されている例について説明した。しかしながら、弾性発泡体9の材料としては、ウレタン以外のものを用いることも可能である。例えば、ウレタン製の弾性発泡体9に代えて、ポリエステル、シリコン、又はニトリルゴム(NBR)などのゴム製の弾性発泡体を用いてもよい。
【0052】
また、前述の実施形態では、弾性発泡体9の面9aに穴を形成する例について説明したが、この穴の形状は、円形状であってもよいし、長円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。但し、上記の穴の形状を円形状又は長円形状とすると、穴が裂ける問題を確実に回避することができる。また、この穴は、貫通していなくてもよい。更に、当該穴の大きさ、数又は形状は、弾性発泡体9の硬度に応じて変更されてもよい。
【0053】
また、前述の実施形態では、携帯用枕1が回転操作可能な吸排気弁5を備える例について説明した。しかしながら、袋体8の内外の空気流通を開閉する開閉部としては、吸排気弁5以外のものを用いることも可能である。例えば、吸排気弁5に代えて、スライド式の開閉部を備えていてもよい。この場合、例えば開閉部を一方向にスライド移動させることによって袋体8を開放し、開閉部を他方向にスライド移動させることによって袋体8の開口を閉塞させる。
【0054】
また、前述の実施形態では、弾性発泡体9が圧縮して詰め込まれており、弾性発泡体9の膨張によって吸排気弁5が空気を流入して携帯用枕1が膨らむ例について説明した。しかしながら、弾性発泡体9が無くても自動的に空気を流入する吸排気弁を設けてもよい。更に、前述した実施形態では、携帯用枕1が1個の吸排気弁5を備えていたが、2個以上の吸排気弁5を備えていてもよい。更に、吸排気弁5の場所を変更することも可能である。
【0055】
また、前述した実施形態では、マチ部10a,10bがそれぞれの両側に開口11a,11bを備えていた。しかしながら、マチ部が有する開口の位置、形状、大きさ及び個数は、上記開口11a,11bの態様に限定されず、適宜変更可能である。更に、マチ部の数、形状及び配置態様についても適宜変更可能であり、マチ部を省略してもよい。
【0056】
また、本発明の携帯用枕は、その厚みを確保するマチを備えていてもよい。このマチは、例えば、携帯用枕の底部(下辺2a,3aの部分)に設けられていてもよいし、携帯用枕の周縁全体に設けられていてもよい。このように携帯用枕がマチを備えている場合、携帯用枕の厚みが増すと共に、使用者Mの肩の部分に当該マチが乗ることにより、使用者Mの身体に対して包まれる感覚を高めることができ、使用者Mの身体に対する安定感を高めることができる。