【解決手段】水処理システム1は、硬水軟化装置4と、逆浸透膜モジュール7と、供給水W14を逆浸透膜モジュール7に供給する供給水ラインL1と、硬水軟化装置4よりも上流側の供給水ラインL1から分岐し、硬水軟化装置4よりも下流側の合流部J2において供給水ラインL1に合流するバイパス水ラインL6と、供給水としての原水(バイパス水W60)の流量を調整可能なバイパス流量調整手段21と、硬水軟化装置4よりも下流側の供給水ラインL1を流通する供給水(軟水W12)の硬度を検出硬度として検出する硬度検出手段Sと、検出硬度が所定の閾値を上回る場合に、供給水としての原水(バイパス水W60)の流量を増加させるように、バイパス流量調整手段21を制御するバイパス流量制御部30と、を備える。
前記バイパス流量制御部は、前記検出硬度が前記閾値を上回る場合に、前記逆浸透膜モジュールへ供給される供給水の流量に対する透過水の流量の比率である回収率を下げるために、前記バイパス水ラインを流通する供給水としての原水の流量を増加させるように、前記バイパス流量調整手段を制御する、請求項1に記載の水処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の本実施形態に係る水処理システム1について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る水処理システム1の全体構成図である。本実施形態に係る水処理システム1は、例えば、淡水から純水を製造する純水製造システムに適用される。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る水処理システム1は、原水ポンプ2と、硬水軟化装置4と、加圧ポンプ5と、インバータ6と、逆浸透膜モジュールとしてのRO膜モジュール7と、定流量弁14と、比例制御排水弁15と、バイパス流量調整手段としてのバイパスバルブ21と、制御部30と、硬度検出手段としての硬度センサSと、流量センサFMと、を備える。なお、制御部30と被制御対象機器との電気的接続線の図示については、省略している。
【0017】
また、水処理システム1は、供給水ラインL1と、透過水ラインL2と、濃縮水ラインL3と、循環水ラインL4と、排水ラインL5と、バイパス水ラインL6と、を備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0018】
供給水ラインL1は、供給水W14をRO膜モジュール7に供給するラインである。供給水ラインL1は、上流側から下流側に向けて順に、第1供給水ラインL11、第2供給水ラインL12、第3供給水ラインL13、第4供給水ラインL14を有する。
【0019】
第1供給水ラインL11の上流側の端部は、原水W11の供給源(不図示)に接続されている。第1供給水ラインL11の下流側は、分岐部J1において、第2供給水ラインL12及びバイパス水ラインL6に分岐している。供給水ラインL1(詳細には、第1供給水ラインL11)には、原水ポンプ2が設けられている。
【0020】
原水ポンプ2は、供給源から供給された水道水や地下水等の原水W11を吸入し、第2供給水ラインL12及びバイパス水ラインL6に向けて圧送(吐出)する装置である。原水ポンプ2は、制御部30と電気的に接続されている。原水ポンプ2の運転(駆動及び停止)は、制御部30により制御される。
【0021】
第2供給水ラインL12の上流側の端部は、分岐部J1に接続されている。第2供給水ラインL12の下流側の端部は、合流部J2に接続されている。第2供給水ラインL12には、上流側から下流側に向けて順に、硬水軟化装置4と、硬度センサSとが設けられている。
【0022】
硬水軟化装置4は、原水W11に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)を、陽イオン交換樹脂床(不図示)においてナトリウムイオン(又はカリウムイオン)に置換して軟水W12を製造する設備である。軟水W12は、加圧ポンプ5を介してRO膜モジュール7に供給水W14として供給される。硬水軟化装置4は、供給水ラインL1(詳細には第2供給水ラインL12)に設けられる。第2供給水ラインL12における硬水軟化装置4の上流側には、原水W11が流通し、第2供給水ラインL12における硬水軟化装置4の下流側には、軟水W12が流通する。なお、硬水軟化装置4で硬度成分が十分に置換されない場合でも、硬水軟化装置4で製造された水を「軟水W12」という。
【0023】
硬度センサSは、硬水軟化装置4よりも下流側の第2供給水ラインL12を流通する軟水W12の硬度を検出硬度として検出する硬度検出手段として機能する。硬度センサSは、供給水ラインL1を流通する軟水W12のカルシウム硬度(例えば、前段に設置された硬水軟化装置の硬度リーク量:炭酸カルシウム換算値)を検出硬度(検出硬度値)として検出する機器である。詳細には、硬度センサSは、硬水軟化装置4と加圧ポンプ5との間(更に詳細には、硬水軟化装置4と、接続部J3よりも上流側に位置する合流部J2との間の第2供給水ラインL12)を流通する軟水W12の硬度を測定する。硬度センサSは、制御部30と電気的に接続されている。硬度センサSで測定(検出)された軟水W12のカルシウム硬度(以下、「検出硬度値」ともいう)は、制御部30へ検出信号として送信される。
【0024】
第3供給水ラインL13は、合流部J2と接続部J3とを接続する。つまり、第3供給水ラインL13は、第2供給水ラインL12と第4供給水ラインL14とを接続する。第3供給水ラインL13には、供給水W13が流通する。
【0025】
第4供給水ラインL14の上流側の端部は、接続部J3に接続されている。第4供給水ラインL14の下流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側入口ポートに接続されている。第4供給水ラインL14には、加圧ポンプ5が設けられている。第4供給水ラインL14を流通する供給水を「供給水W14」という。供給水W14は、第3供給水ラインL13を流通する供給水W13と、循環水ラインL4を流通した後に供給水ラインL1(第4供給水ラインL14)に流入する循環水W40(後述)とを含む。
【0026】
加圧ポンプ5は、供給水W14を吸入し、RO膜モジュール7へ向けて圧送(吐出)する装置である。加圧ポンプ5には、インバータ6から周波数が変換された駆動電力が供給される。加圧ポンプ5は、供給(入力)された駆動電力の周波数(以下、「駆動周波数」ともいう)に応じた回転速度で駆動される。
【0027】
供給水W14は、加圧ポンプ5を介してRO膜モジュール7に供給される。また、供給水W14は、原水W11、軟水W12、循環水W40(後述)、バイパス水W60(後述)を含む。なお、「供給水」とは、その由来(出所)やその水質によらず、第4供給水ラインL14を流通してRO膜モジュール7に供給される水を表わす総称である。
【0028】
インバータ6は、加圧ポンプ5に、周波数が変換された駆動電力を供給する電気回路(又はその回路を持つ装置)である。インバータ6は、制御部30と電気的に接続されている。インバータ6には、制御部30から指令信号が入力される。インバータ6は、制御部30により入力された指令信号(電流値信号又は電圧値信号)に対応する駆動周波数の駆動電力を加圧ポンプ5に出力する。
【0029】
RO膜モジュール7は、加圧ポンプ5から吐出された供給水W14を、溶存塩類が除去された透過水W20と、溶存塩類が濃縮された濃縮水W30とに膜分離処理する設備である。RO膜モジュール7は、単一又は複数のRO膜エレメント(不図示)を備える。RO膜モジュール7は、これらRO膜エレメントにより供給水W14を膜分離処理し、透過水W20及び濃縮水W30を製造する。
【0030】
透過水ラインL2は、RO膜モジュール7で分離された透過水W20を送出するラインである。透過水ラインL2の上流側の端部は、RO膜モジュール7の二次側ポートに接続されている。透過水ラインL2の下流側の端部は、貯留タンク(不図示)に接続されている。透過水ラインL2には、流量センサFMが設けられている。
【0031】
流量センサFMは、透過水ラインL2を流通する透過水W20の流量を検出する機器である。流量センサFMは、制御部30と電気的に接続されている。流量センサFMで検出された透過水W20の流量(以下、「検出流量値」ともいう)は、制御部30へパルス信号として送信される。
【0032】
濃縮水ラインL3は、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W30を送出するラインである。濃縮水ラインL3の上流側の端部は、RO膜モジュール7の一次側出口ポートに接続されている。また、濃縮水ラインL3の下流側は、接続部J4において、循環水ラインL4及び排水ラインL5に分岐している。
【0033】
循環水ラインL4は、濃縮水ラインL3を流通する濃縮水W30を循環水W40として、供給水ラインL1における加圧ポンプ5よりも上流側に返送(循環)させるラインである。循環水ラインL4の上流側の端部は、接続部J4において濃縮水ラインL3に接続されている。また、循環水ラインL4の下流側の端部は、接続部J3において、供給水ラインL1に接続されている。接続部J3は、硬度センサSと加圧ポンプ5との間(詳細には、合流部J2と加圧ポンプ5との間)に配置されている。循環水ラインL4には、水流量調整手段としての定流量弁14が設けられている。
【0034】
定流量弁14は、循環水ラインL4を流通する循環水W40の流量を所定の一定流量値に保持するように調節する機器である。定流量弁14において保持される一定流量値は、一定流量値に幅がある概念であり、定流量弁における目標流量値のみに限られない。例えば、定流量機構の特性(例えば、材質や構造に起因する温度特性等)を考慮して、定流量弁における目標流量値に対して、±10%程度の調節誤差を有するものを含む。定流量弁14は、補助動力や外部操作を必要とせずに一定流量値を保持するものであり、例えば、水ガバナの名称で呼ばれるものが挙げられる。なお、定流量弁14は、補助動力や外部操作により動作して、一定流量値を保持するものでもよい。
【0035】
排水ラインL5は、接続部J4において濃縮水ラインL3から分岐され、RO膜モジュール7で分離された濃縮水W30を、濃縮排水W50として装置外(系外)に排出するラインである。排水ラインL5には、排水流量調整手段としての比例制御排水弁15が設けられている。
【0036】
比例制御排水弁15は、排水ラインL5から装置外へ排出される濃縮排水W50の流量を調節する弁である。比例制御排水弁15は、制御部30と電気的に接続されている。比例制御排水弁15の弁開度は、制御部30から送信される駆動信号により制御される。制御部30から電流値信号(例えば、4〜20mA)を比例制御排水弁15に送信して、弁開度を制御することにより、濃縮排水W50の排水流量を調節することができる。
比例制御排水弁15における制御部30による制御の詳細については後述する。
【0037】
バイパス水ラインL6は、原水ポンプ2によって圧送された原水W11のうち、硬水軟化装置4に供給される原水W11を除いたバイパス水W60を、RO膜モジュール7に供給するラインである。バイパス水ラインL6は、硬水軟化装置4よりも上流側の供給水ラインL1の分岐部J1から分岐し、硬水軟化装置4よりも下流側の合流部J2において供給水ラインL1に合流する。分岐部J1は、原水ポンプ2と硬水軟化装置4との間に配置されている。合流部J2は、硬度センサSと加圧ポンプ5との間(詳細には、硬度センサSと接続部J3との間)に配置されている。言い換えると、バイパス水ラインL6は、第1供給水ラインL11を流通する原水W11を、第2供給水ラインL12をバイパスして、バイパス水ラインL6を介して第3供給水ラインL13へ導入させることができるラインである。バイパス水ラインL6には、水流量調整手段としてのバイパスバルブ21が設けられている。
【0038】
バイパスバルブ21は、バイパス水ラインL6を流通する供給水W13(供給水W14)としての原水(バイパス水W60)の流量を調整可能なバイパス流量調整手段として機能する。本実施形態においては、バイパスバルブ21は、バイパス水ラインL6を開閉することによりバイパス水W60の流量を調節する開閉弁である。バイパスバルブ21は、制御部30と電気的に接続される。バイパスバルブ21の弁開度は、閉状態(弁開度が0%の状態)と、開状態(全開状態=弁開度が100%の状態)との2段階に制御される。
【0039】
制御部30は、CPU及びメモリを含むマイクロプロセッサ(不図示)により構成される。以下、制御部30の機能について説明する。
【0040】
制御部30は、透過水W20の流量が予め設定された目標流量値となるように、流量センサFMの検出流量値(系内の物理量)をフィードバック値として、加圧ポンプ5を駆動するための駆動周波数を演算する。そして、制御部30は、駆動周波数の演算値に対応する指令信号(電流値信号又は電圧値信号)をインバータ6に出力する(以下、「流量フィードバック水量制御」ともいう)。なお、本水量制御における駆動周波数の演算には、例えば、速度形デジタルPIDアルゴリズムを用いることができる。
【0041】
また、制御部30は、硬度センサSの検出する検出硬度値Hが所定の閾値H´を上回る場合(H≧H´となる場合)に、バイパス水ラインL6を流通する供給水W13(供給水W14)としての原水(バイパス水W60)の流量を増加させるように、バイパスバルブ21を制御するバイパス流量制御部として機能する。詳細には、検出硬度値Hが所定の閾値H´を上回る場合(H≧H´となる場合)に、回収率を下げるために、バイパス水ラインL6を流通する供給水W13(供給水W14)としての原水(バイパス水W60)の流量を増加させるように、バイパスバルブ21を制御する。「回収率」は、逆浸透膜モジュール7へ供給される供給水W14(供給水W13、循環水W40)の流量に対する透過水W20の流量の比率である。
【0042】
まず、制御部30による流量フィードバック水量制御について説明する。
図2は、制御部30が流量フィードバック水量制御を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0043】
図2に示すステップST101において、制御部30は、透過水W20の目標流量値Q
p´を取得する。この目標流量値Q
p´は、例えば、システム管理者がユーザーインターフェース(不図示)を介してメモリに入力した設定値である。
【0044】
ステップST102において、制御部30は、流量センサFMで検出された透過水W20の検出流量値Q
pを取得する。
【0045】
ステップST103において、制御部30は、ステップST102で取得した検出流量値(フィードバック値)Q
pとステップST101で取得した目標流量値Q
p´との偏差がゼロとなるように、速度形デジタルPIDアルゴリズムにより操作量U(後述するU
n)を演算する。なお、速度形デジタルPIDアルゴリズムでは、制御周期(例えば、100ms)毎に操作量の変化分ΔUを演算し、これを前回の操作量U
n−1に加算することで今回の操作量U
nを決定する(nは、演算回数)。
【0046】
ステップST104において、制御部30は、操作量U、目標流量値Q
p´及び加圧ポンプ5の最大駆動周波数(50Hz又は60Hzの設定値)に基づいて、加圧ポンプ5の駆動周波数Fを演算する。
【0047】
ステップST105において、制御部30は、駆動周波数Fの演算値を、対応する電流値信号(4〜20mA)に変換する。
【0048】
ステップST106において、制御部30は、変換した電流値信号をインバータ6に出力する。以上により本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする)。
【0049】
次に、硬度センサSが硬度漏れを検出した場合の制御部30による制御手段について説明する。
図3は、硬度センサSが硬度漏れを検出した場合の制御部30による処理手順を示すフローチャートである。「硬度漏れ」は、例えば原水W11に含まれる硬度成分の量が増える場合や、硬水軟化装置4の陽イオン交換樹脂床が劣化している場合に、陽イオン交換樹脂床が飽和状態になって軟水化処理能力が低下し、硬水軟化装置4から原水W11中の硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)が漏れる現象である。
【0050】
図3に示すステップST201において、制御部30は、硬度センサSで検出された軟水W12の検出硬度値Hを取得する。
【0051】
ステップST202において、制御部30は、検出硬度値Hが閾値H´を上回るか否かを判定する。この閾値H´は、硬水軟化装置4から硬度漏れが発生しているか否かを判定するための閾値として、制御部30のメモリに記録されている。ステップST202において、検出硬度値H≧閾値H´である(YES)場合には、制御部30は、硬水軟化装置4からの硬度漏れが発生していると判定し、処理はステップST203へ移行する。一方、検出硬度値H<閾値H´である(NO)場合には、制御部30は、硬水軟化装置4からの硬度漏れが発生していないと判定し、処理はステップST201に戻る。
【0052】
ステップST203(ステップST202:YES)において、制御部30は、供給水W14のうち、原水(バイパス水W60)の流量を増加させるように、バイパスバルブ21の弁開度を大きくする。詳細には、バイパスバルブ21は、検出硬度値Hが閾値H´未満である場合(ステップST202:NO)には閉状態に制御される。また、バイパスバルブ21は、検出硬度値Hが閾値H´以上となった場合(ステップST202:YES)には開状態(全開状態)に制御される。
【0053】
ステップST204において、制御部30は、原水ポンプ2の吐出量を増やすように原水ポンプ2を制御する。詳細には、原水W11の流量値をΔQ増加させるように(即ち供給水W14の流量値をΔQ増加させるように)、原水ポンプ2の吐出量を制御する。硬水軟化装置4の通過抵抗と比べてバイパス水ラインL6の通過抵抗は格段に小さいため、増加した原水W11のほとんどは、分岐部J1からバイパス水ラインL6へ向けて流通する。本実施形態においては、循環水W40の流量値は一定であるため、原水W11をΔQ増加させることにより、供給水W14の流量値はΔQ増加する。例えば、供給水W14の流量値がΔQ増加することにより、供給水W14の流量は1.1倍〜2.0倍(具体的には、1.25倍)になる。
【0054】
ステップST205において、制御部30は、比例制御排水弁15の弁開度を大きくするように比例制御排水弁15を制御する。詳細には、制御部30は、濃縮排水W50の流量値をΔQ増加させるように(即ち濃縮水W30の流量値をΔQ増加させるように)、比例制御排水弁15の弁開度を制御する。
【0055】
ステップST204及びステップST205による制御は、透過水W20の流量値を十分に保ち、回収率を下げるために行われる。例えば、供給水W14の流量値及び濃縮水W30の流量値がそれぞれΔQ増加することにより、70%〜85%(具体的には75%)であった回収率は、50%〜65%(具体的には60%)に減少する。なお、本実施形態においては、透過水W20の検出流量値Q
pは一定であり且つ定流量弁14を通過する循環水W40の流量値は一定であるため(一定となるように制御されるため)、供給水W14の流量値の増加量ΔQと濃縮水W30の流量値の増加量ΔQとは等しくなる(結果的に等しくなるように制御される。)
以上により本フローチャートによる処理は終了する。
【0056】
上述した本実施形態に係る水処理システム1によれば、例えば、以下のような効果が得られる。
【0057】
本実施形態に係る水処理システム1は、硬水軟化装置4よりも上流側の供給水ラインL1(第1供給水ラインL11)の分岐部J1から分岐し、硬水軟化装置4よりも下流側の合流部J2において供給水ラインL1(第4供給水ラインL14)に合流するバイパス水ラインL6と、バイパス水ラインL6に設けられ、バイパス水ラインL6を流通する供給水としての原水W11(バイパス水W60)の流量を調整可能なバイパスバルブ21と、硬水軟化装置4よりも下流側の供給水ラインL1(第2供給水ラインL12)を流通する供給水(典型的には、軟水W12)の硬度を検出硬度値Hとして検出する硬度センサSと、検出硬度値Hが所定の閾値H´を上回る場合に、バイパス水ラインL6を流通する供給水としての原水W11(バイパス水W60)の流量を増加させるように、バイパスバルブ21を制御するバイパス流量制御部(制御部30)と、を備える。そのため、硬水軟化装置4から硬度漏れが発生した場合、供給水W14の流量を増加させて、回収率を下げることができる。従って、硬水軟化装置4の処理能力に限りがあったとしても、RO膜モジュール7から十分な透過水W20の流量が得られる。
【0058】
また、バイパス流量制御部としての制御部30は、検出硬度値Hが所定の閾値H´を上回る場合に、透過水W20の回収率を下げるために、バイパス水ラインL6を流通する原水(バイパス水W60)の流量を増加させるように、バイパスバルブ21を制御する。本実施形態においては、制御部30は回収率を下げるために、原水W11の流量値をΔQ増加させるように原水ポンプ2を制御し、濃縮排水W50の流量値をΔQ増加させるように比例制御排水弁15を制御する。これによれば、硬水軟化装置4から硬度漏れが発生した場合でも、RO膜モジュール7のRO膜における供給水W14の硬度成分に起因するスケールの析出を抑制させることができる。
【0059】
また、硬度センサSは、合流部J2よりも上流側の供給水ラインL1を流通する供給水(軟水W12)の硬度を検出する。そのため、硬度センサSはバイパス水ラインL6を流通するバイパス水W60が合流する前の供給水(軟水W12)の硬度をより正確に検出できる。これによれば、硬度センサSは、より正確に硬度漏れを検出できる。
【0060】
また、硬度センサSで検出された検出硬度値Hが所定の閾値H´を上回る場合に、制御部30は、原水ポンプ2の吐出量を増やすように原水ポンプ2を制御する。詳細には、原水W11の流量値をΔQ増加させるように(即ち供給水W14の流量値をΔQ増加させるように)、原水ポンプ2の吐出量を制御する。硬水軟化装置4の通過抵抗と比べてバイパス水ラインL6の通過抵抗は格段に小さいため、増加した原水W11のほとんどは、分岐部J1からバイパス水ラインL6へ向けて流通する。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0062】
前記実施形態においては、硬度センサSは、硬水軟化装置4よりも下流側の第2供給水ラインL12を流通する軟水W12の硬度を検出硬度として検出する例について説明した。これに限らず、例えば硬度センサSは、第3供給水ラインL13を流通する供給水W13の硬度を検出硬度として検出してもよい。
【0063】
また、前記実施形態においては、比例制御排水弁15の弁開度を制御することにより、濃縮排水W50の排水流量を調節する例について説明した。これに限らず、複数の排水バルブを並列に設けた構成とし、排水バルブの開弁数を増減することにより、濃縮排水W50の排水流量を段階的に調節するように制御してもよい。これによれば、濃縮排水W50の排水流量を調節することができる。
【0064】
また、前記実施形態においては、バイパスバルブ21の弁開度は、閉状態(弁開度が0%の状態)と、開状態(全開状態=弁開度が100%の状態)との2段階に制御される例について説明した。これに限らず、例えば、複数のバイパスバルブを並列に設けた構成とし、バイパスバルブの開弁数を増減することにより、バイパス水ラインL6におけるバイパス水W60の流通水量を3段階以上に調節するように制御してもよい。また、バイパスバルブを比例制御弁によって構成し、弁開度を調節することで、バイパス水ラインL6におけるバイパス水W60の流通水量を無段階に調節するように制御してもよい。