(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-132188(P2017-132188A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】ルーフモールの製造方法と成形型
(51)【国際特許分類】
B29C 45/26 20060101AFI20170707BHJP
B29C 45/36 20060101ALI20170707BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20170707BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
B29C45/26
B29C45/36
B29C45/14
B60R13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-15591(P2016-15591)
(22)【出願日】2016年1月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】名倉 正典
【テーマコード(参考)】
3D023
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
3D023AA01
3D023AB01
3D023AC09
3D023AD03
3D023AD07
3D023AD22
4F202AD05
4F202AD27
4F202AH23
4F202AM32
4F202CA11
4F202CB12
4F202CK54
4F202CQ01
4F202CQ07
4F206AD05
4F206AD27
4F206AH23
4F206AM32
4F206JA07
4F206JB12
4F206JF05
4F206JL02
4F206JM04
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】脚部下側の端末部の成形を妨げることなく端末部の品質が良好なルーフモールを製造する。
【解決手段】脚部の一部が残されたモール本体11の端部13を、成形型40の端末部成形キャビティにセットして樹脂を射出し、端部13の先端及び脚部の除去された部分に端末部を射出成形する際に、モール本体11の端部13に残された脚部14aの両側側面15,15を、成形型40に設けられているスライドコア51,51で挟持し、スライドコア51,51の挟持面に設けられている突起55,55を、残されている脚部14aの側面に食い込ませる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部と該頭部の裏面から延設された脚部とを備えるモール本体における端部の前記脚部を前記頭部側の一部を残して除去し、
前記脚部の一部が残されたモール本体の端部を、成形型の端末部成形キャビティにセットし、前記端末部成形キャビティに樹脂を射出して前記端部の先端及び前記脚部の除去された部分に端末部を射出成形するルーフモールの製造方法において、
前記端末部成形キャビティに樹脂を射出する際に、前記モール本体の端部に残された脚部の両側側面を、前記成形型に設けられているスライドコアで挟持し、前記スライドコアの挟持面に設けられている突起を、前記残された脚部の側面に食い込ませることを特徴とするルーフモールの製造方法。
【請求項2】
前記端末部は前記脚部の除去された部分に形成される部分が車両のルーフモール装着溝への固定用係止部を有することを特徴とする請求項1に記載のルーフモールの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のルーフモールの製造方法に使用する成形型において、
前記モール本体の端部が載置される下型と、前記下型における前記モール本体の端部の残された脚部の両側に配置されて互いに接近及び遠ざかることが可能なスライドコアと、前記下型及び前記スライドコアに被さる上型とよりなり、
前記下型は、前記モール本体の端部と隣接する下型側端末部成形キャビティを備え、
前記スライドコアは、互いに接近した際に前記モール本体の端部の残された脚部の側面を挟む挟持面と、該挟持面の下側に前記下型側端末部成形キャビティと通じる脚部下側端末部成形キャビティとを備えると共に、前記挟持面には前記残された脚部の側面を挟んだ際に該側面に食い込む突起を備え、
前記上型は、前記下型及び前記スライドコアに被さった際に前記下型側端末部成形キャビティと通じる上型側端末部成形キャビティを備え、
前記下型側端末部成形キャビティと前記脚部下側端末部成形キャビティ及び前記上型側端末部成形キャビティにより前記端末部成形キャビティを構成することを特徴とする成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はルーフモールの製造方法と成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図10及びそのE−E断面及びF−F断面を示す
図11のように、車両のルーフRでは、ルーフの中央パネルR1と側部パネルR2の継ぎ目に形成されたルーフモール装着溝R3にルーフモール80が取り付けられて、前記中央パネルR1と側部パネルR2の継ぎ目が隠されている(特許文献1、2)。
図12は前記ルーフモール80の斜視図及びG−G断面、H−H断面、J−J断面を示す図である。
【0003】
前記ルーフモール80は、頭部83と該頭部83の下面(裏面)から下向きに延設された脚部84を有し、前記脚部84が前記ルーフモール装着溝R3に挿入されて前記頭部83でルーフモール装着溝R3を覆うように構成されている。また、前記ルーフモール80は、前記頭部83と脚部84が一体に形成された押出成形体が所定長に切断されたモール本体81の端部82に端末部88が形成されている。
【0004】
前記頭部83は、前記ルーフモール装着溝R3を覆うことのできる幅からなる。前記脚部84は、前記頭部83の下面に頭部83よりも幅を狭くして形成されている。前記脚部84の下部には、外方へ張り出すように形成されたリップ85,85を有し、また、温度変化による伸縮を主として抑えるために金属製の芯材86が脚部84に埋設されている。前記リップ85,85は、弾性に富む樹脂からなり、
図11のF−F断面図のように、前記ルーフモール装着溝R3に前記脚部84及びリップ85,85が挿入された際に、前記リップ85,85の先端側がルーフモール装着溝R3内の側面と圧接してルーフモール80の浮き上がりを抑える。
【0005】
前記端末部88は、前記ルーフモール80の端末外観を良好にするためなどの理由から、前記モール本体81の端部82に射出成形で形成されている。前記端末部88が形成される前記モール本体81の端部82は、前記脚部84の下部が一部を残して除去され、その除去跡の部分を含めて前記端末部88が射出成形されている。前記端末部88は、除去により残された脚部84aの下側に形成された部分がルーフモール80の幅方向へ突出して車両への固定用係止部89を構成している。
【0006】
図11のE−E断面図に示すように、前記固定用係止部89を、前記ルーフRの溝R3内に配置されている端末固定用係止手段としてのクリップ90の係止爪片92,92に係止させることにより、ルーフモール80の端部の固定が行われる。
【0007】
前記ルーフモール80の製造は、前記脚部84の下部側を除去したモール本体81の端部82を、成形型の端末部成形キャビティにセットし、その状態で端末部成形キャビティに端末部用樹脂を射出して前記端末部をモール本体81の端部82に射出成形することにより行われる。
【0008】
前記端末部成形キャビティに端末部用樹脂を射出する際、樹脂の射出圧がモール本体81の端部82に加わってモール本体81が後退し、前記端末部88の成形不良を生じるおそれがある。そこで、
図13に示すように、モール本体81が載置される下型101のモール本体載置面102に、ズレ防止突起103を立設し、該ズレ防止突起103をモール本体81の脚部84の下面に食い込ませて、モール本体81を固定することが行われていた(特許文献2)。符号104は端末部成形キャビティ、符号105は上型であり、前記下型101と上型105により成形型が構成される。
【0009】
しかしながら、前記端末部88の射出成形においては、除去によって残された脚部84aの下側に固定用係止部89を形成するため、前記下型101において、前記固定用係止部89を成形する範囲にズレ防止用突起103を立設することができなかった。その結果、射出圧を受けるモール本体端部82の先端82aからズレ防止用突起103までの距離が大になり、しかも固定用係止部89の成形予定部がズレ防止用突起103で固定されないため、前記端末部88の射出成形時にモール本体81の端部82が射出圧で変形して端末部88の品質にバラツキを生じ、前記固定用係止部89の品質もバラツキ易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−154555号公報
【特許文献2】特開平8−11156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、端末部の品質のバラツキが少ないルーフモールの製造方法とその製造方法に使用する成型金型の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、頭部と該頭部の裏面から延設された脚部とを備えるモール本体における端部の前記脚部を前記頭部側の一部を残して除去し、前記脚部の一部が残されたモール本体の端部を、成形型の端末部成形キャビティにセットし、前記端末部成形キャビティに樹脂を射出して前記端部の先端及び前記脚部の除去された部分に端末部を射出成形するルーフモールの製造方法において、前記端末部成形キャビティに樹脂を射出する際に、前記モール本体の端部に残された脚部の両側側面を、前記成形型に設けられているスライドコアで挟持し、前記スライドコアの挟持面に設けられている突起を、前記残された脚部の側面に食い込ませることを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記端末部は前記脚部の除去された部分に形成される部分が車両のルーフモール装着溝への固定用係止部を有することを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のルーフモールの製造方法に使用する成形型において、前記モール本体の端部が載置される下型と、前記下型における前記モール本体の端部の残された脚部の両側に配置されて互いに接近及び遠ざかることが可能なスライドコアと、前記下型及び前記スライドコアに被さる上型とよりなり、前記下型は、前記モール本体の端部と隣接する下型側端末部成形キャビティを備え、前記スライドコアは、互いに接近した際に前記モール本体の端部の残された脚部の側面を挟む挟持面と、該挟持面の下側に前記下型側端末部成形キャビティと通じる脚部下側端末部成形キャビティとを備えると共に、前記挟持面には前記残された脚部の側面を挟んだ際に該側面に食い込む突起を備え、前記上型は、前記下型及び前記スライドコアに被さった際に前記下型側端末部成形キャビティと通じる上型側端末部成形キャビティを備え、前記下型側端末部成形キャビティと前記脚部下側端末部成形キャビティ及び前記上型側端末部成形キャビティにより前記端末部成形キャビティを構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、端末部成形キャビティに樹脂を射出する際に、モール本体の端部に残された脚部の両側側面を、成形型に設けられているスライドコアで挟持し、スライドコアの挟持面に設けられている突起を、残された脚部の側面に食い込ませてモール本体を固定するため、モール本体の端部先端近くでモール本体の端部を確実に固定することができ、しかも残された脚部の下側における脚部の除去された部分で端末部の成形を妨げることがないことから、端末部の品質が良好なルーフモールを製造することができる。
請求項2の発明によれば、車両のルーフモール装着溝への固定用係止部を品質良く成形することができ、ルーフモール装着溝への固定が良好なルーフモールを製造することができる。
請求項3の発明によれば、端末部の品質が良好なルーフモールを容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の製造方法で製造された一実施形態のルーフモールの斜視図である。
【
図4】押出成形体の端部の脚部の除去前と除去後を示す断面図である。
【
図5】成形型にモール本体の端部をセットした状態の断面図である。
【
図8】成形型の下型及びスライドコアの平面図である。
【
図10】ルーフモールが取り付けられた自動車の一部を示す斜視図である。
【
図12】
図10のルーフモールの斜視図及び各位置の断面図である。
【
図13】従来のルーフモールの製造時を示す成形型の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1から
図3に示すルーフモール10は、本発明の製造方法により製造されたものであり、
図10に示したようなルーフモール装着溝R3に装着されてルーフモール装着溝R3を塞ぐものである。前記ルーフモール10は、モール本体11と、前記モール本体11の長さ方向Lの端部13に射出成形された端末部18とを有する。なお、前記モール本体11における「端部13」は、該端部13の長さ方向Lの端部先端13aから所定距離の範囲を含む、すなわち端部付近を意味する。
図1のWはルーフモール10の幅方向である。
【0018】
前記モール本体11は、オレフィン系樹脂等、適宜の樹脂からなり、頭部12と前記頭部12の下面(裏面)に形成された脚部14とを有する押出成形体を所定の長さに切断し、切断後の端部13における脚部14の下部を所定範囲で除去したものである。
【0019】
前記頭部12は、前記ルーフ装着溝R3を塞ぐことのできる幅からなり、前記ルーフモール10がルーフモール装着溝R3に装着された際に、前記ルーフモール装着溝R3内を隠蔽する。
【0020】
前記脚部14は、前記頭部12の幅より狭く、かつ前記ルーフモール装着溝R3に挿入可能な幅からなって、前記モール本体11の長さ方向に沿って設けられている。図示の例では、前記頭部12の下面において頭部12の幅方向中央位置に前記脚部14が設けられている。前記脚部14の下部両側には、リップ17,17が突出して形成されている。前記リップ17,17は、前記頭部12及び脚部14(リップ17,17を除く)よりも弾性に富む樹脂からなり、前記ルーフモール装着溝R3に挿入された際に、前記リップ17,17の先端側がルーフモール装着溝R3内の側面と圧接してルーフモール10の浮き上がりを抑える。
【0021】
前記脚部14には、温度変化による伸縮を主として抑えるために芯材16が埋設されている。前記芯材16は、鉄などの線状あるいは帯状(箔状、板状)の金属からなる。
【0022】
前記モール本体11の端部13では、前記脚部14が前記頭部12側を所定量残して、前記リップ17,17と共に切断等で除去されている。前記脚部14を除去する範囲(長さ及び高さ等)は、車両のルーフモール装着溝R3及び該装着溝R3内のクリップ92等に応じて設定される。前記脚部14に埋設されている芯材16については、前記脚部14の除去する部分に前記芯材16が存在する場合、前記芯材16も一緒に除去される。なお、図示の例では、前記脚部14は、前記モール本体11の端部13の先端13a側で殆ど除去され、続く部分では前記芯材16を含む位置まで残して階段状に除去されており、前記端部13の先端13a及び除去跡に射出成形される前記端末部18と除去跡部分との接合面積を大にし、接合強度を増大させている。符号14aは前記端部13に除去により残された脚部である。
【0023】
前記端末部18は、前記モール本体11の端部13の先端13a及び脚部14の除去跡の所定範囲に射出成形されたものであり、前記端部13の先端13aに形成された端末キャップ部18aと、前記脚部14の除去跡に形成された脚部下側端末部18bとよりなり、前記端末キャップ部18aと前記脚部下側端末部18bが連続して形成されている。
【0024】
前記端末キャップ部18aは、前記モール本体11の端部13の先端13aの切断面を隠蔽して美観を向上させることを主として設けられている。
【0025】
前記脚部下側端末部18bは、前記ルーフモール10の端部を前記車両のルーフモール装着溝R3に固定するための固定用係止部18b1と、脚部下側端末部の残り部18b2とよりなる。前記固定用係止部18b1は、前記ルーフモール10の幅方向両側へ突出した係止爪形状からなり、前記ルーフモール装着溝R3内のクリップ92に係止可能となっている。前記脚部下側端末部18bの両側部には、位置決め用突部19,19が形成されており、前記クリップ92の係止爪片92,92に設けられている位置決めスリット(図示せず)に嵌合するように構成されている。一方、前記脚部下側端末部の残り部18b2は、前記固定用係止部18b1における前記端末キャップ部18aとは反対側に位置し、前記クリップ92の係止爪片92,92に係止する係止爪を備えていない。なお、前記脚部下側端末部の残り部18b2は、必須ではなく、設けない場合もある。
【0026】
前記モール本体11の端部13において除去により残された脚部14aの両側側面15,15には、それぞれ縦筋状の食い込み跡16が所定数形成されている。前記食い込み跡16は、後述する前記端末部18の射出成形時に、スライドコア51,51の突起55、55が食い込んだ跡である。
【0027】
前記ルーフモール10の製造方法について説明する。まず、前記頭部12と脚部14(リップ17,17を含む)を有する押出成形体を切断し、
図4の4−1に示す所定長のモール本体11Mを作成する。次に所定長の前記モール本体11Mの端部13における所定範囲の脚部14を前記頭部12側で一部残して切断等により除去し、
図4の4−2に示すように端部13の脚部を除去した後のモール本体11を作成する。符号14aは除去により残された脚部である。
【0028】
次に、前記モール本体11の端部13を
図5及び
図6に示すように成形型40にセットする。前記成形型40の構成について
図7から
図9を用いて説明する。
【0029】
前記成形型40は、下型41とスライドコア51及び上型71からなる。
前記下型41は、
図7及び
図8に示すようにモール本体載置溝42と、スライドコア用凹部45,45と、下型側端末部成形キャビティ47を有する。
【0030】
前記モール本体載置溝42は、前記モール本体11の端部13及び該端部13から続く所定長の部分を載置する溝であり、前記頭部13の下側や前記残された脚部14a及び所定長の脚部14が挿入可能に形成されている。前記モール本体載置溝42の底面42aには、前記モール本体11における除去加工されていない脚部14の先端と当接する位置決め用段部42bが形成されている。なお、前記モール本体載置溝42は、少なくとも前記モール本体11の端部13が載置可能であればよい。
【0031】
前記スライドコア用凹部45,45は、前記モール本体11の端部13を前記モール本体載置溝42に載置した際に、前記モール本体11の端部13に残された脚部14aの両側となる位置に、前記モール本体載置溝42に対して直交方向に形成されている。前記スライドコア用凹部45,45には、前記スライドコア51,51が互いに接近及び遠ざかることができるスライド可能に配置される。
【0032】
前記下型側端末部成形キャビティ47は、前記ルーフモール10の端末部18における前記端末キャップ部18aの下側を形成するキャビティである。前記下型側端末部成形キャビティ47は、下部が後述のスライドコア51,51の脚部下側端末部成形キャビティ54,54に通じ、上側が前記スライドコア51,51の上面に載置されるモール本体の端部13の先端13aに隣接し、後述する上型71の上型側端末部成形キャビティ73と通じている。符号49はゲート、符号50はランナーである。なお、本実施例では、前記スライドコア51,51と前記位置決め用段部42bとの間に、下型側端末部成形キャビティの残り部47aが形成されている。前記下型側端末部成形キャビティの残り部47aは、前記ルーフモール10の端末部18における前記脚部下側端末部の残り部18b2を形成するキャビティであり、後述のスライドコア51,51の脚部下側端末部成形キャビティ54,54と連通する。
【0033】
前記スライドコア51,51は、
図9に示すように、上面に前記モール本体11の端部13における頭部12の下側が載置される頭部載置用凹部52,52を有する。
【0034】
前記スライドコア51,51において互いに対向する面51a,51aには、上部に挟持面53,53を有する。前記挟持面53,53は、前記モール本体11の端部13における除去により残された脚部14a,14aの両側側面15,15を、前記スライドコア51,51の接近により挟持する(挟む)ものである。前記挟持面53,53には、前記除去により残された脚部14a,14aの両側側面14b,14bを挟持した際に、該両側面14b,14bに食い込む突起55,55が形成されている。
【0035】
また、前記スライドコア51,51の互いに対向する面51a,51aには、前記挟持面53,53の下側に、脚部下側端末部成形キャビティ54,54を前記モール本体11の長さ方向に沿う溝状に有する。前記脚部下側端末部成形キャビティ54,54は、前記脚部14の除去跡に形成する前記脚部下側端末部18bにおける固定用係止部18b1のためのキャビティである。前記脚部下側端末部成形キャビティ54,54は、前記スライドコア51,51を互いに接近させて、前記挟持面53,53で前記残された脚部14a,14aを挟持した際に、前記下型側端末部成形キャビティ47及び前記下型側端末部成形キャビティの残り部47aと連通する。
【0036】
前記上型71は、内面(下面)に、前記下型41のモール本体載置溝42及びスライドコア51,51の頭部載置用凹部52,52と対向する位置にモール本体11の頭部12の上側が嵌まるモール本体上側配置溝72と、前記モール本体上側配置溝42の先端(内端)に隣接し、前記モール本体上側配置溝72から延設された上型側端末部成形キャビティ73を有する。前記上型側端末部成形キャビティ73は、前記ルーフモール10の端末部18における前記端末キャップ部18aの上側を形成するキャビティであり、前記下型側端末部成形キャビティ47に通じる。
【0037】
前記成形型40への前記モール本体11の端部13のセットは、まず前記スライドコア51,51を離した状態で、前記下型41のモール本体載置溝42に前記モール本体11の端部13を含む所定範囲を載置し、位置決めする。次に、前記スライドコア51,51をシリンダ装置等によって互いに接近させ、前記スライドコア51,51の挟持面53,53で前記モール本体11の端部13における残された脚部14aの両側側面15,15を挟持し、該両側面15,15に、前記挟持面53,53の突起55,55を食い込ませる。これにより、前記モール本体11の端部13を該端部13の先端13aに近い位置で確実に固定することができる。次に前記上型41を前記下型41及びスライドコア51に被せて閉型する。前記閉型により、前記下型側端末部成形キャビティ47と前記脚部下側端末部成形キャビティ54,54と前記下側端末部残り部成形キャビティ47a、及び前記上型側端末部成形キャビティ73が一連に通じ、端末部成形キャビティ75(
図5に示す)を構成する。
【0038】
次に前記成形型40の端末部成形キャビティ75(下型側端末部成形キャビティ47、脚部下側端末部成形キャビティ54,54、下側端末部残り部成形キャビティ47a、上型側端末部成形キャビティ73)に端末部用樹脂を射出し、前記端末部18を前記モール本体の端部13先端13a及び残された脚部14aの下側に形成する。その際、前記モール本体11の端部13は、前記端部13の先端13aに近い位置がスライドコア51,51の突起55,55により固定されているため、樹脂の射出圧によって変形し難く、前記端末部18を正しく形成することができる。その後、前記成形型40を開いて前記スライドコア51,51を離し、前記モール本体11の端部13に前記端末部18が形成された前記ルーフモール10を取り出す。
【0039】
前記のように、本発明によれば、脚部下側の端末部の成形を妨げることなく端末部の品質が良好なルーフモールを製造することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 ルーフモール
12 頭部
13 端部
14 脚部
14a 除去により残された脚部
18 端末部
18a 端末キャップ部
18b 脚部下側端末部
40 成形型
41 下型
47 下型側端末部成形キャビティ
47a 下型側端末部成形キャビティの残り部
51 スライドコア
53 挟持面
54 脚部下側端末部成形キャビティ
55 突起
71 上型
73 上型側端末部成形キャビティ
75 端末部成形キャビティ