特開2017-132498(P2017-132498A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-132498(P2017-132498A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/68 20060101AFI20170707BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20170707BHJP
   B65D 5/30 20060101ALI20170707BHJP
   B65D 5/50 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
   B65D85/68 W
   B65D5/44 E
   B65D5/30 B
   B65D5/50 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-13529(P2016-13529)
(22)【出願日】2016年1月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502108640
【氏名又は名称】トミタパックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 麻美
(72)【発明者】
【氏名】満尾 正夫
【テーマコード(参考)】
3E037
3E060
【Fターム(参考)】
3E037AA20
3E037BA03
3E037BB01
3E037BC04
3E060AA01
3E060AB01
3E060BA04
3E060BA08
3E060BA12
3E060BC02
3E060CC18
3E060CC19
3E060DA11
3E060DA23
3E060EA20
(57)【要約】
【課題】本体部と傾斜部との連結部の強度を高めることができ、傾斜部の変形を防ぐことができる包装箱を提供する。
【解決手段】本体部10と、本体部10の側部に連設された傾斜部20と、を備え、本体部10に対して傾斜部20が上向きに傾斜している包装箱1である。本体部10は、本体底板11と、前後の本体側壁12,13と、前後の本体頂板14,15と、を備えている。本体頂板14,15の縁部には差込片16,17が形成されている。傾斜部20は、傾斜底板21と、前後の傾斜側壁22,23と、傾斜頂板25と、を備えている。傾斜側壁22,23の側部には張り出し部24が形成されている。張り出し部24は、本体底板11の上面に当接し、張り出し部24の上縁部には係合溝29a,29bが形成されており、係合溝29a,29bに差込片16,17が差し込まれている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状の本体部と、前記本体部の左右方向の側部に連設された角筒状の傾斜部と、を備え、前記本体部に対して前記傾斜部が上向きに傾斜している包装箱であって、
前記本体部は、
本体底板と、
前記本体底板の前後の縁部に連設された前後の本体側壁と、
前後の前記本体側壁の上縁部に連設された前後の本体頂板と、を備え、
前記本体頂板の左右方向の縁部に差込片が形成されており、
前記傾斜部は、
前記本体底板の左右方向の縁部に連設された傾斜底板と、
前記傾斜底板の前後の縁部に連設された前後の傾斜側壁と、
前記傾斜側壁の上縁部に連設された傾斜頂板と、を備え、
前記傾斜側壁の側部には、前記本体部側に突出した張り出し部が形成され、
前記張り出し部は、前記本体底板の上面に当接し、
前記張り出し部の上縁部に係合溝が形成されており、
前記係合溝に前記差込片が差し込まれていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記本体部の左右の両側部に左右の前記傾斜部が設けられており、
前記本体底板および前記本体頂板は上下方向に対向し、前記本体底板および前記本体頂板の左右方向の幅が同じであり、
前記本体頂板に対する前記傾斜頂板の傾斜角度は、前記本体底板に対する前記傾斜底板の傾斜角度以下であることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の包装箱であって、
前記張り出し部の上縁部に上フラップが連設され、
前記上フラップの上面に前記本体頂板が重ねられており、
前記差込片は、前記上フラップと前記傾斜頂板との間に差し込まれていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記傾斜頂板の前記本体部側の縁部から下方に向けて仕切板が延びていることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の包装箱であって、
前記張り出し部には、内容物の表面を保護するためのシートの一部が差し込まれるスリットが形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントバンパーを収容するための段ボール製の包装箱としては、角筒状の本体部と、本体筒部の側部に連設された角筒状の傾斜部と、を備え、本体部に対して傾斜部が上向きに傾斜しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような包装箱では、本体部にフロントバンパーの正面部を収容し、傾斜部にフロントバンパーのサイド部を収容することで、包装箱内にフロントバンパー全体を収容することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−137598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱では、本体部の底板と傾斜部の底板とが連設されている。また、本体部の頂板に形成された穴に対して、傾斜部の頂板に形成された突出片を左右方向から差し込むことで、本体部の頂板と傾斜部の頂板とが連結されている。
この構成では、本体部と傾斜部との連結部の強度が低いため、傾斜部に押圧力や引張力が作用したときに、本体部に対して傾斜部が傾き易い。そして、本体部に対して傾斜部が傾くと、包装箱内に収容されたフロントバンパーに変形が生じるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、本体部と傾斜部との連結部の強度を高めることができ、傾斜部の変形を防ぐことができる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、角筒状の本体部と、前記本体部の左右方向の側部に連設された角筒状の傾斜部と、を備え、前記本体部に対して前記傾斜部が上向きに傾斜している包装箱である。前記本体部は、本体底板と、前記本体底板の前後の縁部に連設された前後の本体側壁と、前後の前記本体側壁の上縁部に連設された前後の本体頂板と、を備えている。前記本体頂板の左右方向の縁部には差込片が形成されている。前記傾斜部は、前記本体底板の左右方向の縁部に連設された傾斜底板と、前記傾斜底板の前後の縁部に連設された前後の傾斜側壁と、前記傾斜側壁の上縁部に連設された傾斜頂板と、を備えている。前記傾斜側壁の側部には、前記本体部側に突出した張り出し部が形成されている。前記張り出し部は、前記本体底板の上面に当接し、前記張り出し部の上縁部に係合溝が形成されており、前記係合溝に前記差込片が差し込まれている。
【0007】
本発明の包装箱では、傾斜部の張り出し部が本体部の本体底板の上面に当接することで、本体部に対する傾斜部の傾斜角度が定められている。また、本発明の包装箱では、前後の張り出し部の係合溝に本体頂板の差込片が差し込まれることで、本体部に対して傾斜部が固定されている。
このように、本発明の包装箱では、本体部に傾斜部が確実に支持されており、本体部と傾斜部との連結部の強度を高めることができるため、傾斜部が変形するのを防ぐことができる。
【0008】
また、本発明の包装箱では、前後の本体頂板に差込片が形成されている。したがって、本発明の包装箱を組み立てるときには、最初に傾斜部を組み立てた後に、一方の本体頂板の差込片を張り出し部の係合溝に差し込んで、一方の本体側壁および傾斜部を立ち上げた状態に固定し、この状態で他方の本体側壁を立ち上げて、本体部を組み立てることができる。このように、本発明では、包装箱を組み立て易くなっている。
【0009】
また、本発明では、包装箱内に突出した差込片によって内容物の移動を制限することもできるため、搬送時に内容物を安定させることができる。
さらに、本発明の包装箱では、張り出し部が本体底板の上面に当接するように構成されているため、包装箱がブランクシートの状態では、張り出し部を本体側壁に隣接させることができる。これにより、全判シートに対する包装箱の紙取りを良くすることができる。
【0010】
前記した包装箱において、前記本体部の左右の両側部に左右の前記傾斜部が設けられている場合には、前記本体底板および前記本体頂板を鉛直方向に対向させ、前記本体底板および前記本体頂板の左右方向の幅を同じに形成する。さらに、前記本体頂板に対する前記傾斜頂板の傾斜角度は、前記本体底板に対する前記傾斜底板の傾斜角度以下に設定する。
【0011】
この構成では、包装箱に他の包装箱を載せたときに、下側の包装箱の両傾斜部と上側の包装箱の両傾斜部とが上下方向に干渉しないため、包装箱を安定して積み重ねることができる。
なお、複数の包装箱を積み重ねたときに、下側の包装箱の傾斜部に上側の包装箱の傾斜部が押し付けられた場合でも、本発明の包装箱は、本体部と傾斜部との連結部の強度が高いため、傾斜部が変形するのを防ぐことができる。したがって、本発明では、多数の包装箱を積み重ねることができ、輸送手段への積載効率を高めることができる。
【0012】
前記した包装箱において、前記張り出し部の上縁部に上フラップを連設し、前記上フラップの上面に前記本体頂板を重ねた場合には、前記差込片を前記上フラップと前記傾斜頂板との間に差し込むことが好ましい。
この構成では、本体頂板の差込片を係合溝に嵌めるとともに、差込片を上フラップと傾斜頂板との間に挟み込むことになるため、本体部と傾斜部との連結部の強度をより高めることができる。
【0013】
前記した包装箱において、前記傾斜頂板の前記本体部側の縁部から下方に向けて仕切板を延ばすことが好ましい。
この構成では、包装箱内に突出した仕切板によって内容物の移動を制限することができるため、搬送時に内容物を安定させることができる。また、仕切板に差込片が重なるため、仕切板および差込片を安定させることができる。
【0014】
前記した包装箱において、前記張り出し部には、内容物の表面を保護するためのシートの一部が差し込まれるスリットを形成することが好ましい。
この構成では、内容物に対してシートがずれるのを防ぐことができる。また、包装箱を組み立てたときに、張り出し部の外面は本体側壁に覆われるため、スリットおよびスリットに差し込まれたシートの一部が外部に露出するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の包装箱では、本体部に傾斜部が確実に支持されており、本体部と傾斜部との連結部の強度を高めることができるため、傾斜部が変形するのを防ぐことができ、内容物の変形を防ぐことができる。
また、本発明の包装箱を組み立てるときには、一方の本体側壁および傾斜部を立ち上げた状態に固定することができるため、包装箱を組み立て易くなっている。
また、本発明では、包装箱内に突出した差込片によって内容物の移動を制限することもできるため、搬送時に内容物を安定させることができる。
さらに、本発明の包装箱がブランクシートの状態では、張り出し部を本体側壁に隣接させることができるため、全判シートに対する包装箱の紙取りを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係る包装箱を示した図で、両傾斜部を組み立てた状態を前方右上から見た斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る包装箱を示した図で、前側の本体側壁を立ち上げた状態を前方右上から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る包装箱を示した図で、前側の本体頂板を前側の張り出し部に組み付ける段階を後方右上から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る包装箱を示した図で、後側の本体頂板を後側の張り出し部に組み立てる段階を前方右上から見た斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る包装箱を示した図で、後側の本体頂板を前側の張り出し部に組み立てる段階を前方右上から見た斜視図である。
図8】保護シートをスリットに差し込んだ状態を示した断面図である。
図9】二つの包装箱を積み重ねた状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成を限定するものではない。
【0018】
本実施形態の包装箱1は、図9に示すように、自動車のフロントバンパーまたはリヤバンパーであるバンパーBを収容するための段ボール製の箱である。
包装箱1は、角筒状の本体部10と、本体部10の左右の両側部に連設された角筒状の傾斜部20,20と、を備え、本体部10に対して両傾斜部20,20が上向きに傾斜している(図1参照)。
【0019】
包装箱1は、本体部10にバンパーBの正面部B1を収容し、両傾斜部20,20にバンパーBの両サイド部B2,B2を収容することができる。このように、包装箱1内にバンパーB全体を収容することができる。
【0020】
包装箱1は、図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの各罫線(折線)は、ブランクシートSの表面を押し込んで形成された線状の溝である。
なお、罫線上に適宜切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0021】
本体部10は、図1に示すように、本体底板11と、前後の本体側壁12,13と、前後の本体頂板14,15と、を備えている。
本体底板11は、長方形に形成されており(図2参照)、前後方向よりも左右方向が大きく形成されている。
【0022】
本体底板11の前縁部には、罫線L1(図2参照)を介して、前側の本体側壁12が連設されている。前側の本体側壁12は、本体底板11に対して垂直に形成されている。前側の本体側壁12の下縁部と上縁部とは平行かつ同じ長さに形成されている。前側の本体側壁12の左右の縁部は三角形状に窪んでいる。
【0023】
前側の本体側壁12の上縁部には、図4に示すように、罫線L2(図2参照)を介して、前側の本体頂板14が連設されている。前側の本体頂板14は、前側の本体側壁12の上縁部から後方に向けて延びている。前側の本体頂板14は、前側の本体側壁12に対して垂直に形成されている。本実施形態の前側の本体頂板14は、本体底板11の前後方向の長さの略1/3の大きさである。
前側の本体頂板14は、本体底板11に対して平行に配置されている。また、前側の本体頂板14と本体底板11とは、上下方向に対向しており、本体底板11の直上に前側の本体頂板14が配置されている。
【0024】
前側の本体頂板14の左右の縁部には、罫線L10,L10(図2参照)を介して、左右の差込片16,16が形成されている(図3参照)。差込片16は、前側の本体頂板14の左右の縁部から下方に向けて延びている。差込片16は、前側の本体頂板14に対して垂直に形成されている。
差込片16の下縁部は、本体底板11の上面から離れている。また、差込片16の前縁部には、後記する張り出し部24の係合溝29aに差し込まれる係合部16a(図2参照)が突出している。
【0025】
本体底板11の後縁部には、図1に示すように、罫線L3(図2参照)を介して、後側の本体側壁13が連設されている。
後側の本体側壁13は、本体底板11の後縁部から上方に向けて延びている。後側の本体側壁13は、本体底板11に対して垂直に形成されている。後側の本体側壁13は、前側の本体側壁12と同じ外形状である(図2参照)。
【0026】
後側の本体側壁13の上縁部には、罫線L4(図2参照)を介して、後側の本体頂板15が連設されている。後側の本体頂板15は、後側の本体側壁13の上縁部から前方に向けて延びている。後側の本体頂板15は、後側の本体側壁13に対して垂直に形成されている。後側の本体頂板15は、本体底板11と同じ外形状である(図2参照)。
後側の本体頂板15は、本体底板11に対して平行に配置されている。また、後側の本体頂板15と本体底板11とは、上下方向に対向しており、本体底板11の直上に後側の本体頂板15が配置されている。
【0027】
後側の本体頂板15の左右の縁部には、罫線L11,L11(図2参照)を介して、左右の差込片17,17が形成されている(図3参照)。差込片17は、本体頂板15の左右の縁部から下方に向けて延びている。差込片17は、後側の本体頂板15に対して垂直に形成されている。
差込片17は、後側の本体頂板15の左右の縁部に沿って帯状に形成されている(図2参照)。差込片17の上下方向の長さは、前側の本体頂板14の差込片16と同じ大きさであり、差込片17の下縁部は、本体底板11の上面から離れている。
また、差込片17の前後の縁部には、図7に示すように、後記する張り出し部24の係合溝29a,29bに差し込まれる係合部17a,17a(図2参照)が突出している。
【0028】
後側の本体頂板15の前端部は、図1に示すように、前側の本体頂板14の上面に重ねられている。後側の本体頂板15の前縁部と、前側の本体側壁12の上縁部とは、ダブルロック機構10a,10aによって連結されている。本実施形態では、二つのダブルロック機構10a,10aが左右方向に間隔を空けて配置されている。
【0029】
ダブルロック機構10aでは、後側の本体頂板15の前縁部に形成された突出片が、前側の本体側壁12の上縁部に形成された穴に差し込まれるとともに、前側の本体側壁12の上縁部に形成された突出片が、後側の本体頂板15の突出片に形成された穴に差し込まれている。
なお、本実施形態では、二つのダブルロック機構10a,10aが設けられているが、その数は限定されるものではなく、本体頂板15および本体側壁12の左右方向の長さに合わせて、一つまたは三つ以上のダブルロック機構10aを設けることができる。
【0030】
左右の傾斜部20,20は、本体部10の左右の側部に連設されており、本体部10に対して上向きに傾斜している。
なお、左右の傾斜部20,20は、左右対称な構造であるため、本実施形態では、左側の傾斜部20について詳細に説明し、右側の傾斜部20については説明を省略する。
【0031】
左側の傾斜部20は、傾斜底板21と、前後の傾斜側壁22,23と、傾斜頂板25と、側端壁26と、を備えている。傾斜部20は、本体部10に対して上向きに傾斜しており、傾斜部20の左端部は、本体部10よりも上方に配置されている。
【0032】
傾斜底板21は、長方形に形成されており(図2参照)、左右方向よりも前後方向が大きく形成されている。左側の傾斜部20の傾斜底板21は、罫線L20(図2参照)を介して、本体底板11の左縁部に連設されている。
傾斜底板21は、本体底板11の左縁部から左方に向けて斜め上向きに延びている。本実施形態では、本体底板11に対する傾斜底板21の傾斜角度は約60度に設定されている。
【0033】
傾斜底板21の前縁部には、罫線L21(図2参照)を介して、前側の傾斜側壁22が連設されている。
前側の傾斜側壁22は、傾斜底板21の前縁部から上方に向けて延びている。前側の傾斜側壁22は、傾斜底板21に対して垂直に形成されている。前側の傾斜側壁22の下縁部と上縁部とは平行に形成されている。また、前側の傾斜側壁22の下縁部の長さよりも上縁部の長さが小さく形成されている。
【0034】
前側の傾斜側壁22の右側部には、図3に示すように、本体部10側(右方)に向けて突出した張り出し部24が形成されている。
張り出し部24は、図2に示すブランクシートSの状態において、前側の本体側壁12に隣接している。張り出し部24の一部は、前側の本体側壁12の左右の縁部に形成された窪み部内に形成されている。
張り出し部24において、前側の本体側壁12の窪み部内に形成された部位は、本体部10に対して、傾斜部20を立ち上げたときに、本体底板11の上面に当接する部位である(図3参照)。
張り出し部24の下縁部24aは、ブランクシートSの状態において、前側の本体側壁12の窪み部内に形成されており、本体底板11および傾斜底板21の前縁部に対して約60度の角度で傾斜している。
【0035】
図3に示すように、本体部10に対して傾斜部20を立ち上げると、張り出し部24は、罫線L20を回転軸として、本体底板11に向けて回動し、張り出し部24の下縁部24aが本体底板11の上面に当接する。
これにより、本体底板11に対する前側の傾斜側壁22の傾斜角度が定められる。つまり、本体部10に対する傾斜部20の傾斜角度が定められる。
【0036】
張り出し部24の上縁部には、罫線L24(図2参照)を介して、上フラップ27が連設されている。上フラップ27は、張り出し部24の上縁部から後方に向けて延びている。上フラップ27は、張り出し部24に対して垂直に形成されている。図4に示すように、上フラップ27の上面には、前後の本体頂板14,15が重ねられている。
【0037】
傾斜底板21の後縁部には、図1に示すように、罫線L22(図2参照)を介して、後側の傾斜側壁23が連設されている。
後側の傾斜側壁23は、傾斜底板21の後縁部から上方に向けて延びている。後側の傾斜側壁23は、傾斜底板21に対して垂直に形成されている。
後側の傾斜側壁23は、前側の傾斜側壁22と同じ外形状であり、前側の傾斜側壁22と同様に、張り出し部24および上フラップ27が形成されている。また、後側の傾斜側壁22の上フラップ27の上面には、後側の本体頂板15が重ねられている。
【0038】
図3に示すように、前後の傾斜側壁22,23の張り出し部24,24の下縁部24a,24aが、本体底板11の上面に当接することで、本体部10に対する傾斜部20の傾斜角度が定められている。
【0039】
後側の傾斜側壁23の上縁部には、図1に示すように、罫線L23(図2参照)を介して、傾斜頂板25が連設されている。
傾斜頂板25は、後側の傾斜側壁23の上縁部から前方に向けて延びている。傾斜頂板25は、後側の傾斜側壁23に対して垂直に形成されている。傾斜頂板25は、長方形に形成されている(図2参照)。
【0040】
傾斜頂板25は、傾斜底板21に対して平行に形成されおり、前後の本体頂板14,15に対して上向きに傾斜している。両本体頂板14,15に対する傾斜頂板25の傾斜角度は、本体底板11に対する傾斜底板21の傾斜角度と同様に約60度である。また、傾斜頂板25の右縁部は、前後の本体頂板14,15の左縁部に接している。
【0041】
傾斜頂板25の前縁部と、前側の傾斜側壁22の上縁部とは、ダブルロック機構20aによって連結されている。
ダブルロック機構20aでは、傾斜頂板25の前縁部に形成された突出片が、前側の傾斜側壁22の上縁部に形成された穴に差し込まれるとともに、前側の傾斜側壁22の上縁部に形成された突出片が、傾斜頂板25の突出片に形成された穴に差し込まれている。
【0042】
前側の張り出し部24の上縁部の左端部には、図3に示すように、前側の係合溝29aが形成されている。前側の係合溝29aは、張り出し部24の上縁部から下方に向けて直線状に窪んでいる溝である。
前側の係合溝29aには、図1に示すように、前後の本体頂板14,15の差込片16,17の係合部16a,17aが差し込まれている(図7参照)。
【0043】
後側の張り出し部24の上縁部の左端部には、図3に示すように、後側の係合溝29bが形成されている。後側の係合溝29bは、張り出し部24の上縁部から下方に向けて直線状に窪んでいる溝である。
後側の係合溝29bは、図7に示すように、後側の本体頂板15の差込片17の係合部17aが差し込まれている。
前側の係合溝29aには、二つの係合部16a,17aが差し込まれるため、前側の係合溝29aは、後側の係合溝29bよりも幅が大きく形成されている(図3参照)。
【0044】
前側の張り出し部24の上フラップ27と傾斜頂板25との間には、前後の本体頂板14,15の差込片16,17が差し込まれている。また、後側の張り出し部24の上フラップ27と傾斜頂板25との間には、後側の本体頂板15の差込片17が差し込まれている。
【0045】
傾斜頂板25の右縁部(本体部10側の縁部)には、図3に示すように、罫線L25(図2参照)を介して、仕切板28が連設されている。仕切板28は、傾斜頂板25の右縁部から下方に向けて延びている。仕切板28の下縁部は、本体底板11の上面から離れている。
仕切板28の下縁部には、図5に示すように、包装箱1内にバンパーB(図9参照)を収容したときに、バンパーBとの干渉を避けるための窪み部28aが形成されている。本実施形態では、仕切板28の一部を折り曲げて、窪み部28aを形成することで、塵が発生しないように構成されている。
仕切板28の右側面(本体部10側の側面)には、図7に示すように、前後の本体頂板14,15の差込片16,17が重なっている。
【0046】
側端壁26は、図1に示すように、傾斜部20の左端部を閉塞するものであり、前後一対の内フラップ26a,26aおよび上下一対の外フラップ26b,26bを組み合わせることで形成されている。
前後の内フラップ26a,26aは、図2に示すように、前後の傾斜側壁22,23の左縁部に連設されている。また、上下の外フラップ26b,26bは、傾斜底板21および傾斜頂板25の左縁部に連設されている。
【0047】
張り出し部24には、図3に示すように、スリット30が形成されている。スリット30は、張り出し部24の上下方向の略中央部に配置されている。このスリット30は、図8に示すように、バンパーBの外面(塗装面)を保護するための保護シートS1の一部が差し込まれる切れ込みであり、張り出し部24を貫通している。
なお、本実施形態のスリット30は、直線状の部位と、直線状の部位の両端部から両側に向けて延びている部位とが形成されているが、その形状は限定されるものではない。
保護シートS1は、例えば、発泡ポリエチレン製などの柔軟なシートであり、バンパーBの外面を覆うことで、バンパーBの外面に傷が付くのを防ぐものである。
【0048】
次に、本実施形態の包装箱1を組み立てる手順について説明する。なお、図3図7の各図ではバンパーBの図示を省略している。
まず、図2に示すブランクシートSの内面にバンパーB(図9参照)を載せる。バンパーBの外面は保護シートS1(図8参照)によって覆われている。
そして、図3に示すように、本体底板11に対して、左右の傾斜底板21,21を立ち上げるとともに、傾斜底板21に対して、前後の傾斜側壁22,23を立ち上げる。
このとき、各傾斜側壁22,23の各張り出し部24の下縁部24aを本体底板11の上面に当接させることで、本体底板11に対する両傾斜底板21,21の傾斜角度を定めることができる。
【0049】
また、傾斜頂板25を後側の傾斜側壁23に対して折り曲げて、ダブルロック機構20aによって、傾斜頂板25を前側の傾斜側壁22に連結し、さらに両内フラップ26a,26aと、両外フラップ26b,26bとを組み合わせて側端壁26を形成することで、左右の傾斜部20,20を組み立てる。
これにより、両傾斜部20,20内にバンパーB(図9参照)の両サイド部B2,B2(図9参照)が収容される。
また、図8に示すように、保護シートS1の一部を張り出し部24のスリット30に差し込んで固定する。
【0050】
続いて、図4に示すように、本体底板11に対して、前側の本体側壁12を立ち上げる。さらに、前側の本体側壁12に対して、前側の本体頂板14を折り曲げ、図5に示すように、差込片16の係合部16aを前側の張り出し部24の係合溝29aに差し込むとともに、差込片16を前側の上フラップ27と傾斜頂板25との間に差し込む。
これにより、前側の本体頂板14が前側の張り出し部24に連結され、図4に示すように、前側の本体側壁12および左右の傾斜部20,20が本体底板11に対して立ち上げられた状態で固定される。
【0051】
続いて、図6に示すように、本体底板11に対して、後側の本体側壁13を立ち上げる。さらに、後側の本体側壁13に対して、後側の本体頂板15を折り曲げ、差込片17の後側の係合部17aを後側の張り出し部24の係合溝29bに差し込むとともに、差込片17を後側の上フラップ27と傾斜頂板25との間に差し込む。
また、図7に示すように、差込片17の前側の係合部17aを前側の張り出し部24の係合溝29aに差し込むとともに、差込片17を前側の上フラップ27と傾斜頂板25との間に差し込む。
これにより、後側の本体頂板15が前後の傾斜側壁22,23の張り出し部24,24に連結される。
また、図1に示すように、二つのダブルロック機構10a,10aによって、後側の本体頂板15の前縁部を前側の本体側壁12の上縁部に連結することで、本体部10を組み立てる。
これにより、図9に示すように、本体部10内にバンパーBの正面部B1が収容され、包装箱1内にバンパーB全体が収容される。
【0052】
以上のような包装箱1では、図3に示すように、左右の傾斜部20,20の各張り出し部24が本体部10の本体底板11の上面に当接することで、本体部10に対する両傾斜部20,20の傾斜角度が定められている。本実施形態の包装箱1では、前後左右の四つの張り出し部24が本体部10の本体底板11の上面に当接するため、本体部10に対して両傾斜部20,20が安定している。
また、包装箱1では、図7に示すように、張り出し部24の係合溝29a,29bに本体頂板14,15の差込片16,17が差し込まれている。これにより、本体部10に対して両傾斜部20,20が固定されている。
また、包装箱1では、張り出し部24の上フラップ27と傾斜頂板25との間に本体頂板14,15の差込片16,17が差し込まれており、本体部10側の差込片16,17が、傾斜部20側の上フラップ27と傾斜頂板25との間に挟み込まれている。
このように、本実施形態の包装箱1では、図1に示すように、本体部10に両傾斜部20,20が確実に支持されている。
したがって、包装箱1では、本体部10と両傾斜部20,20との連結部の強度を高めることができるため、傾斜部20が変形するのを防ぐことができ、内容物であるバンパーB(図9参照)の変形を防ぐことができる。
【0053】
また、包装箱1では、図9に示すように、本体底板11および本体頂板15が上下方向に対向しており、本体底板11および本体頂板15の左右方向の幅が同じである。さらに、包装箱1では、本体頂板15に対する傾斜頂板25の傾斜角度と、本体底板11に対する傾斜底板21の傾斜角度が同じである。
この構成では、包装箱1に他の包装箱1を載せたときに、下側の包装箱1の両傾斜部20,20と上側の包装箱1の両傾斜部20,20とが上下方向に干渉しないため、包装箱1を安定して積み重ねることができる。
なお、下側の包装箱1の傾斜部20に上側の包装箱1の傾斜部20が押し付けられた場合でも、本実施形態の包装箱1は、本体部10と傾斜部20との連結部の強度が高いため、傾斜部20が変形するのを防ぐことができる。したがって、多数の包装箱1を積み重ねることができ、輸送手段への積載効率を高めることができる。
【0054】
また、図7に示すように、包装箱1内に突出した仕切板28および差込片16,17によって内容物の移動を制限することができるため、搬送時にバンパーB(図9参照)を安定させることができる。なお、仕切板28に差込片16,17が重なることで、仕切板28および差込片16,17が安定している。
【0055】
包装箱1では、図8に示すように、バンパーBの外面(塗装面)を覆っている保護シートS1の一部を、張り出し部24のスリット30に差し込むことができる。これにより、バンパーBに対して保護シートS1がずれるのを防ぐことができる。
また、張り出し部24の外面は本体側壁12,13(図1参照)に覆われるため、スリット30およびスリット30に差し込まれた保護シートS1の一部が外部に露出するのを防ぐことができる。
【0056】
本実施形態の包装箱1では、図3に示すように、前後の本体頂板14,15にそれぞれ差込片16,17が形成されている。したがって、包装箱1を組み立てるときには、図4に示すように、最初に両傾斜部20,20を組み立てた後に、前側の本体頂板14の差込片16,16を前側の張り出し部24,24の係合溝29a,29aに差し込む。これにより、前側の本体側壁12および両傾斜部20,20を立ち上げた状態に固定することができる。この状態で、図6に示すように、後側の本体側壁13を立ち上げて、本体部10を組み立てることができるため、包装箱1を組み立て易くなっている。
【0057】
本実施形態の包装箱1では、図2に示すように、ブランクシートSの状態において、張り出し部24が本体側壁12,13に隣接しており、張り出し部24の一部が本体側壁12,13の窪み部内に形成されている。このようにすることで、全判シートに対する包装箱1の紙取りを良くすることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の包装箱1では、図1に示すように、本体部10の左右両側部に左右の傾斜部20,20が形成されているが、本体部10の左右のいずれか一方のみに傾斜部20を形成してもよい。
【0059】
本実施形態の包装箱1では、図9に示すように、本体頂板15に対する傾斜頂板25の傾斜角度と、本体底板11に対する傾斜底板21の傾斜角度が同じであるが、本体頂板15に対する傾斜頂板25の傾斜角度を、本体底板11に対する傾斜底板21の傾斜角度よりも小さく形成してもよい。この場合においても、包装箱1に他の包装箱1を載せたときに、下側の包装箱1の両傾斜部20,20と上側の包装箱1の両傾斜部20,20とが上下方向に干渉しないため、包装箱1を安定して積み重ねることができる。
【0060】
本実施形態の包装箱1では、図1に示すように、前側の本体頂板14の上面に後側の本体頂板15が重ねられているが、前後の本体頂板14,15を前後に並べることで、本体部10の上面を閉塞するように構成してもよい。
【0061】
本実施形態の包装箱1では、ダブルロック機構10a,10bによって、本体頂板15および傾斜頂板25が側壁12,22に固定されているが、本体頂板15および傾斜頂板25を側壁12,22に固定する構成は限定されるものではない。
【0062】
本実施形態の包装箱1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 包装箱
10 本体部
10a ダブルロック機構
11 本体底板
12 前側の本体側壁
13 後側の本体側壁
14 前側の本体頂板
15 後側の本体頂板
16 差込片
16a 係合部
17 差込片
17a 係合部
20 傾斜部
20a ダブルロック機構
21 傾斜底板
22 前側の傾斜側壁
23 後側の傾斜側壁
24 張り出し部
25 傾斜頂板
26 側端壁
27 上フラップ
28 仕切板
29a 前側の係合溝
29b 後側の係合溝
30 スリット
B バンパー
S ブランクシート
S1 保護シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9