【課題】 フィルムに対して確実なトップシールを行いつつ、上下一対のシーラーのシール時の衝撃を軽減することが可能なトップシール装置およびトップシール方法を提供する。
【解決手段】 フィルムを挟んで対向配置させた一対のトップシーラーを、流体シリンダーからの圧力で付勢して前記フィルムを搬送方向に対して横断する方向にシールするトップシール装置であって、前記流体シリンダーは、前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接するまでは第一の圧力で付勢するように設定され、前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接している間は前記第一の圧力よりも高い第二の圧力で付勢するように設定される。
フィルムを挟んで対向配置させた一対のトップシーラーを所定の軌跡で移動させながら流体シリンダーからの圧力で付勢して前記フィルムを搬送方向に対して横断する方向にシールするトップシール装置であって、
前記流体シリンダーは、
前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接する際に、該フィルムをシールする際のシール圧より低い圧力となるように圧力を調整する、
ことを特徴とするトップシール装置。
フィルムを挟んで対向配置させた一対のトップシーラーを所定の軌跡で移動させながら、流体シリンダーからの圧力で付勢して前記フィルムを搬送方向に対して横断する方向にシールするトップシール方法であって、
前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接する際に、該フィルムをシールする際のシール圧より低い圧力となるように圧力を調整する工程と、
前記シール圧で前記フィルムをシールする工程と、を備える、
ことを特徴とするトップシール方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のトップシール装置では、ばねを用いるものであってもエアを用いるものであっても、シーラーの付勢手段の付勢の強さは、ボックスモーションの期間中において一定である。
【0010】
つまり、確実なシール強度を得るためにフィルムの加圧力を大きく(強く)すると、上述の上下のシーラーのシール面同士が突き当たる瞬間に多大な力が両シーラーに加わることになる。したがって、両シーラー自身並びにそれを駆動する機構系が、比較的短時間で損傷するおそれが高い。
【0011】
また、上下のシーラー同士がフィルムを介して当接する(突き当てられる)際の衝撃が繰り返されることによって、トップシール装置にがたつきが生じる場合がある。トップシール装置にがたつきが生じると、上下のシーラーの平行性が不均一となることによって、熱シール後のシール部分から切断されてしまう包装体の不良(エッジ切れ)が発生する場合がある。
【0012】
さらには、両シーラーのシール面が突き当たる都度、金属音が発生し騒音となる、などの問題があった。
【0013】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、フィルムに対して確実なトップシール(トップシール、エンドシール)を行いつつ、上下一対のシーラーのシール時の衝撃を軽減することが可能なトップシール装置およびトップシール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明は、フィルムを挟んで対向配置させた一対のトップシーラーを所定の軌跡で移動させながら流体シリンダーからの圧力で付勢して前記フィルムを搬送方向に対して横断する方向にシールするトップシール装置であって、前記流体シリンダーは、前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接する際に、該フィルムをシールする際のシール圧より低い圧力となるように圧力を調整する、ことを特徴とするトップシール装置である。
【0015】
このような構成によれば、フィルムに対して確実なトップシール(トップシール、エンドシール)を行いつつ、上下一対のシーラーのシール時の衝撃を軽減することができる。
【0016】
これにより、両シーラー自身並びにそれを駆動する機構系の損傷を低減することができる。
【0017】
また、上下のシーラー同士がフィルムを介して当接する(突き当てられる)際の衝撃が繰り返されることによるトップシール装置にがたつきを防ぐことができる。これにより、上下のシーラーの平行性が不均一となることによって、熱シール後のシール部分から切断されてしまう包装体の不良(エッジ切れ)の発生を防止できる。
【0018】
また、両シーラーのシール面が突き当たる際の騒音を低減することができる。
【0019】
(2)本発明はまた、前記流体シリンダーに流体を供給する第一の流路と、前記流体シリンダーに流体を供給する第二の流路と、前記第一の流路上にあって下流の前記流体シリンダーに接続する第一の流体タンクと、前記第二の流路上にあって下流の前記流体シリンダーに接続する第二の流体タンクと、前記第一の流路と前記第二の流路とを切り替え可能な切替手段と、を備え、前記第一の流体タンクは、第一の圧力の流体を貯留することが可能であり、前記第二の流体タンクは、前記第一の圧力よりも高い第二の圧力の流体を貯留することが可能であり、前記流体シリンダーは、前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接するまでは、一方のトップシーラーを第一の圧力で付勢するように圧力を調整し、前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接した後に前記一方のトップシーラーを前記第二の圧力で付勢するように調整するものであり、前記切替手段によって、前記一方のトップシーラーが前記第一の圧力で付勢される低圧状態と、前記一方のトップシーラーが前記第二の圧力で付勢される高圧状態とを切り替える、ことを特徴とする上記(1)に記載のトップシール装置である。
【0020】
このような構成によれば、複数(二種類)の圧力(高圧状態と低圧状態)の切替を容易に行うことができる。例えば、ばねを用いて複数の加圧力(付勢力)でフィルムを加圧する構成では、ボックスモーションの期間中の所望のタイミングで複数の加圧力を切り替えるように制御することが困難であったり、構成が複雑となるが、本実施形態によれば、降圧の流体(エア)を貯留できるタンクと低圧の流体(エア)を貯留できるタンクをソレノイドバルブで切り替える構成によって、容易に高圧状態と低圧状態を切り替えることができる。
【0021】
(3)本発明はまた、前記第一の流体タンクの上流側に減圧手段を備え、前記減圧手段は、前記高圧状態において前記第一の流体タンク内の圧力を前記第一の圧力よりも低い第三の圧力に減圧する、ことを特徴とする上記(2)に記載のトップシール装置である。
【0022】
(4)本発明はまた、前記第一の流体タンクの上流側に逆流停止手段を備え、前記逆流停止手段は、前記低圧状態において前記第一の流体タンクから上流への逆流を停止する、ことを特徴とする上記(2)または(3)に記載のトップシール装置である。
【0023】
このような構成によれば、高圧供給から低圧供給に切り替えた際に、エアシリンダー内のエアを、エアシリンダー内よりも減圧状態の低圧エアタンクに流入させるとともに、上流に逆流することなく当該低圧エアタンク内に貯留したエアをエアシリンダーに供給(低圧供給)することができ、低圧エアタンク側の圧力の制御を容易に行うことができる。
【0024】
(5)本発明はまた、フィルムを挟んで対向配置させた一対のトップシーラーを所定の軌跡で移動させながら、流体シリンダーからの圧力で付勢して前記フィルムを搬送方向に対して横断する方向にシールするトップシール方法であって、前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接する際に、該フィルムをシールする際のシール圧より低い圧力となるように圧力を調整する工程と、前記シール圧で前記フィルムをシールする工程と、を備える、ことを特徴とするトップシール方法である。
【0025】
このような構成によれば、フィルムに対して確実なトップシール(トップシール、エンドシール)を行いつつ、上下一対のシーラーのシール時の衝撃を軽減することができるトップシール方法を提供できる。
【0026】
これにより、両シーラー自身並びにそれを駆動する機構系の損傷を低減することができる。また、上下のシーラー同士がフィルムを介して当接する(突き当てられる)際の衝撃が繰り返されることによるトップシール装置にがたつきを防ぐことができる。これにより、上下のシーラーの平行性が不均一となることによって、熱シール後のシール部分から切断されてしまう包装体の不良(エッジ切れ)の発生を防止できる。また、両シーラーのシール面が突き当たる際の騒音を低減することができる。
【0027】
(6)本発明はまた、前記流体シリンダーに流体を供給する第一の流路と、前記流体シリンダーに流体を供給する第二の流路と、前記第一の流路上にあって第一の圧力の流体を貯留することが可能な第一の流体タンクと、前記第二の流路上にあって前記第一の圧力よりも高い第二の圧力の流体を貯留することが可能な第二の流体タンクと、を備え、前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接するまで、一方のトップシーラーを第一の圧力で付勢する工程と、前記一対のトップシーラーが前記フィルムを挟んで当接した後に前記一方のトップシーラーを前記第二の圧力で付勢する工程と、前記第一の流路と前記第二の流路を切り替えることにより、前記一方のトップシーラーを前記第一の圧力で付勢する低圧状態と、前記一方のトップシーラーを前記第二の圧力で付勢する高圧状態とを切り替える工程と、を備える、ことを特徴とする上記(5)に記載のトップシール方法である。
【0028】
このような構成によれば、複数(二種類)の圧力(高圧状態と低圧状態)の切替を容易に行うことができる。トップシール方法を提供できる。
【0029】
(7)本発明はまた、前記高圧状態では、前記第一の流体タンク内の圧力を前記第一の圧力よりも低い第三の圧力に減圧する、ことを特徴とする上記(6)に記載のトップシール方法である。
【0030】
(8)本発明はまた、前記低圧状態では、前記第一の流体タンクから上流への逆流を停止する、ことを特徴とする上記(6)または(7)に記載のトップシール方法である。
【0031】
このような構成によれば、高圧供給から低圧供給に切り替えた際に、エアシリンダー内のエアを、エアシリンダー内よりも減圧状態の低圧エアタンクに流入させるとともに、上流に逆流することなく当該低圧エアタンク内に貯留したエアをエアシリンダーに供給(低圧供給)することができ、低圧エアタンク側の圧力の制御を容易に行うことができるトップシール方法を提供できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、フィルムに対して確実なトップシールを行いつつ、上下一対のシーラーのシール時の衝撃を軽減することが可能なトップシール装置およびトップシール方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るトップシール装置10の構成について説明する。なお、本明細書における「トップシール」とは「横シール」または「エンドシール」と称される場合もある。また、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0035】
<トップシール装置>
図1は、トップシール装置10の概要を示す図であり、同図(a)がフィルムYA1の搬送方向から見た要部を示す正面図であり、同図(b)が上部シーラー30と下部シーラー31部分の側面図である。
【0036】
トップシール装置10は、例えば、横型の自動包装装置に採用される。横型の自動包装装置は、被包装物(物品)を所定間隔毎に搬送し、その搬送途中で熱溶融性のフィルムを折り曲げたり、重ね合せたり、所定形状に成形したり等して、被包装物の周囲を囲繞し、次いで、フィルムの重合端縁を熱シールするとともに、所定部位を切断することにより包装体(ピロー包装体)を製造するようにしている。
【0037】
トップシール装置10は、被包装物の長さに応じたピッチ毎に、フィルム(包装フィルム)11の幅方向(進行方向Tと交差する方向、フィルムYA1を横断する方向)にトップシールとカットを行う。すなわち、トップシール装置10は、センターシールされたフィルムYA1に対し、所定の間隔で幅方向にシールとカットを施す。
【0038】
図1に示すように、本実施形態のトップシール装置10は、いわゆるボックスモーション式の装置であって、被包装物が収納されて筒状となったフィルムYA1の進行方向Tに直交する方向に配置されるものであり、そのフィルムYA1を挟んで上下に配置された上部シーラー30と下部シーラー31とを有し、それら両シーラー30,31は、フィルムYA1に当接する両シーラー30,31のシール面(端面)30a,31aが常時対向した状態を維持しつつ、
図1(b)に破線で示すような軌跡で回転移動をするようになっている。すなわち、両シール面30a,31aでフィルムの所定部位を挟持しつつ、一定区間フィルムの搬送に沿って平行移動するようになっている。
【0039】
上記両シーラー30,31が所定の軌跡(例えば、ボックスモーション)で移動する具体的な移動機構は以下の通りである。
【0040】
まず、
図1(a)に示すように、フィルムYA1の下方所定位置には、その進行方向Tと直交する方向に伸びるようにして細長略平板状の下部支持台33が配置されており、この下部支持台33は、前後方向並びに上下方向に移動可能となっている。そして、その下部支持台33の上面には、下部シーラー31が取付けられている。さらに、下部支持台33の両端には、円板状のカムフォロア34,34が取付けられており、そのカムフォロア34が図外のモータによって駆動される溝カムと結合して下部支持台33の移動を規制し、上記所定の軌跡で下部支持台33すなわち下部シーラー31を移動させるようになっている。
【0041】
また、上部支持台36および下部支持台33は一対のリニアガイド(直動案内)Lに支持されている。すなわち、上部支持台36および下部支持台33の両端近傍部位には、一対のリニアガイドLのレール35,35が起立状態で設置されており、下部支持台33の両端近傍部位はレール35を挟持するスライダ38が固定されている。これにより、下部支持台33は安定して上下移動できるようになっている。そしてそのレール35,35の上端部に、細長略平板状の上部支持台36が固定されている。
【0042】
さらに、この上部支持台36の両端部には、カムフォロア41,41が設けられており、上記した下部支持台33と同様に図外のモータによって駆動される溝カムにより上部支持台36を所定の軌跡で回転移動させるようになっている。
【0043】
また、上部シーラー30の上面は、上部支持台36に対して上下動する上部シーラー取付台37に固定されている。これにより、上部シーラー30は、上部支持台36の回転移動にともなって回転移動するとともに、その上部支持台36に対し所定のスパンで上下動するようになっている。
【0044】
具体的には、上部シーラー取付台37の天面には、2本の動力伝達ロッド46が起立形成されており、その動力伝達ロッド46の上端は、エアシリンダー52のシリンダロッド53に連携され、そのシリンダロッド53により上部シーラー取付台37および上部シーラー30は、下方に向けて付勢されるようになっている。
【0045】
つまり、上部支持台36と下部支持台33が同図(b)の軌跡で互いに近接すると、上部シーラー30と下部シーラー31が包装フィルムYA1に当接する。そして、エアシリンダー52に所定の圧力のエア(圧縮空気)が供給されると、その圧力に応じてシリンダロッド53が動力伝達ロッド46を下方に向けて付勢する。このとき、両シーラー30,31がすでに接触している場合には、上部シーラー30はそれ以上の下降移動ができないので、エアシリンダー52の付勢力に抗して上部支持台36側に押し込まれ、上部シーラー30および下部シーラーの間に適切な挟持力(挟持圧力)が生じ、その挟持圧力でもって両シーラー30,31間に介在されるフィルムYA1を加圧し、両シーラー30,31の熱により、フィルムYA1がシールされる。
【0046】
なお、本実施形態では、エアシリンダー52より発する付勢力は、第一の圧力(低圧)と該第一の圧力より強い第二の圧力(高圧)に切り替え可能となっている。
【0047】
さらに、上部支持台36の中央部位には、孔部55が形成されており、その孔部55内を挿通するようにしてシリンダー56が上下移動可能に配置されており、そのシリンダー56の下端には、カッター58が吊持されており、そのカッター58は、上部シーラー取付台37および上部シーラー30内に上下動自在に収容されている。シリンダー56の駆動によってカッター58を下降させると、同図(a)の一点鎖線で示すように上部シーラー30のシール面からカッター58が突出し、その刃先が、下部シーラー31の受け溝に進入する。結果、フィルムYA1がカットされる。
【0048】
このようにして、トップシール装置10は、上記のボックスモーションの動作に加えて、フィルムYA1の熱シール時には、フィルムYA1を挟んで対向配置させた一対の上部シーラー30および下部シーラー31を、流体シリンダー(この例では、エアシリンダー52)からの圧力で付勢する。そして、所定の軌跡で回転移動する両シーラー30,31のシール面30a,31a同士をフィルムYA1を挟んで突き当たらせ、所定の圧力でフィルムYA1を加圧するとともに加熱して、フィルムYA1を搬送方向に対して横断する方向にシールする。
【0049】
ここで、本実施形態のエアシリンダー52は、上部シーラー30が下部シーラー31と、フィルムYA1を挟んで突き当たる(当接する)までは上部シーラー30を第一の圧力で付勢するように設定され、上部シーラー30が下部シーラー31と、フィルムYA1を挟んで当接している間(上部シーラー30が下部シーラー31と当接して熱シールする間)は、第一の圧力よりも高い(強い)第二の圧力で上部シーラー30を付勢するように設定される。第二の圧力は、フィルムYA1を挟持し、熱シールを確実に行い得る十分な圧力、すなわちシール圧であり、一例として3kg/cm
2である。また、第一の圧力は、第二の圧力より低く、大気圧より高い圧力であり、一例として2kg/cm
2である。
【0050】
エアシリンダー52により生じる付勢力は、当接状態の両シーラー30,31に加わる。つまり、両シーラー30、31の両シール面30a,31a同士がフィルムYA1を挟んで当接した後は、当接時よりも強い第二の圧力で付勢される上部シーラー30が、下部シーラー31を下方に押し下げようとする。その時の下部シーラー31より発する反力により、両シーラー30,31間にフィルムYA1を所望のシール強度を得るための圧力が生じる。
【0051】
そしてその状態のまま一定期間両シーラー30,31が前進移動しながら確実にフィルムYA1が熱シールされる。また、この熱シールと同時に、カッター58が下降移動することによりその熱シール部位が切断される。
【0052】
このようにすることで、上部シーラー30と下部シーラー31が当接する際には比較的小さな力で両シール面30a,31a同士がフィルムYA1を挟んで当接し合い、両シーラー30、31が当接する際の衝撃を従来よりも低減できるので、騒音の発生を抑制できる。一方、上部シーラー30が下部シーラー31と当接して熱シールする間は、熱シールに十分な力でフィルムYA1を挟持することができ、確実なトップシールが可能となる。
【0053】
<エアシリンダーの制御>
次に、
図2を参照して、本実施形態のトップシール装置10を動作させるエアシリンダーの制御について説明する。トップシール装置10は、エアシリンダー52の制御システムとして、エアシリンダー52にエア(圧縮空気)を供給する第一の流路R1と、エアシリンダー52にエアを供給する第二の流路R2と、第一の流路R1上にあって下流のエアシリンダー52に接続する第一のエアタンク(低圧エアタンク87)と、第二の流路R2上にあって下流のエアシリンダー52に接続する第二のエアタンク(高圧エアタンク82)と、第一の流路R1と第二の流路R2とを切り替え可能な切替手段90と、を備える。
【0054】
低圧エアタンク87は、第一の圧力(例えば、2kg/cm
2)のエアを貯留することが可能であり、高圧エアタンク82は、第二の圧力(例えば、3kg/cm
2)のエアを貯留することが可能である。
【0055】
切替手段90は、この例ではソレノイドバルブ(電磁弁)83で構成される。この切替手段90によって、上部シーラー30が第一の圧力で付勢される低圧状態と、上部シーラー30が第二の圧力で付勢される高圧状態とが切り替えられる。電子式圧力スイッチ84は、所定の圧力を越えた場合、警報を発したり、又はトップシール装置10およびこれを備えた自動包装装置を停止するために、接点信号を出力する。
【0056】
また、第一の流路R1上には、低圧エアタンク87の上流側に減圧手段85を備える。減圧手段85は例えばリリーフ弁85であり、高圧状態において低圧エアタンク87内の圧力を第一の圧力よりも低い第三の圧力(例えば、大気圧以上)に減圧する。
【0057】
また、第一の流路R1上には、低圧エアタンク87の上流側(減圧手段85との間)に、逆流停止手段86を備える。逆流停止手段86は、例えば逆止弁を備えるソレノイドバルブ86であり、低圧状態において低圧エアタンク87から上流への逆流を停止する。
【0058】
より具体的に説明すると、エアシリンダー52の圧力室へエアを供給する第一の流路R1となる第一の供給管54aには上流側からリリーフ弁85、ソレノイドバルブ86、低圧エアタンク87がこの順で挿入配置されている。また、エアシリンダー52の圧力室へエアを供給する第二の流路R2となる第二の供給管54bはその経路途中に、上流側から電空レギュレーター81、高圧エアタンク82、がこの順で挿入配置されている。高圧エアタンク82の容量は、一例として10L程度であり、低圧エアタンク87の容量は、一例として0.3L程度である。
【0059】
そして、第一の供給管54aと第二の供給管54bの下流端は、共通のソレノイドバルブ83に接続する。ソレノイドバルブ83とエアシリンダー52の圧力室の間には電子式圧力スイッチ84が設けられている。
【0060】
なお、本実施形態では、第一の供給管54aの上流端と第二の供給管54bの上流端は合流しているが、これらは合流せず、第一の供給管54aの上流端はリリーフ弁85で終端してもよい。
【0061】
第二の供給管54bの経路上に設けられた電空レギュレータ81は、制御器88によりソレノイドバルブ81aのバルブの開度或いは開閉が制御される。制御器88には、圧力センサ81bからセンサ出力信号(圧力値)が与えられるので、そのセンサ出力値が設定値になるようにソレノイドバルブ81aの開度を調整するようになっている。これにより、高圧エアタンク82を介して、エアシリンダー52に一定の圧力(第二の圧力)のエアを供給するように制御することができる。
【0062】
低圧エアタンク87の上流側に設けられたソレノイドバルブ86は、エアシリンダー52から上流側に向かう流れを制限する逆止弁を内蔵している。逆止弁を作動させることによって、エアシリンダー52には低圧エアタンク87に貯留された一定の圧力(第一の圧力)のエアを供給することができる。また、リリーフ弁85は、低圧エアタンク87内のエアを外部に排出し、低圧エアタンク87内のエアの圧力を制御する。
【0063】
ソレノイドバルブ83は、エアシリンダー52に対して、第一の圧力でエアを供給する低圧供給と、第二の圧力でエアを供給する高圧供給とを切り替える。
【0064】
<エアシリンダーによるトップシール装置の動作制御>
以下、エアシリンダー52によるトップシール装置10の動作制御について、説明する。
【0065】
まず、低圧供給時には、ソレノイドバルブ83は、ソレノイドバルブ83のポートが、低圧エアタンク87(内圧が第一の圧力(例えば2kg/cm2)となっている)と連通し、高圧エアタンクと遮断されるように切り替える。これと同時に、ソレノイドバルブ83は、低圧エアタンク87の上流側のソレノイドバルブ86を逆止弁が作動するように切り替える。
【0066】
これにより、低圧エアタンク87内のエアは上流側への流出(逆流)が阻止され、低圧エアタンク87内に貯留されているエアが、ソレノイドバルブ83を介してエアシリンダー52に供給され、シリンダロッド53が第一の圧力で押圧される。
【0067】
ソレノイドバルブ83は、低圧供給が所定時間経過した後に、高圧供給に切り替える。すなわち、ソレノイドバルブ83は、ソレノイドバルブ83のポートが低圧エアタンク87と遮断され、高圧エアタンクと連通するように切り替える。またソレノイドバルブ83は、低圧エアタンク87の上流側のソレノイドバルブ86のポートがリリーフ弁85と連通し、逆止弁が非作動となるように切り替える。
【0068】
これにより、高圧エアタンク82内に貯留されているエア((内圧が常時、第二の圧力(例えば、3kg/cm2)に設定されている)が、ソレノイドバルブ83を介してエアシリンダー52に供給され、シリンダロッド53が第二の圧力で押圧される。
【0069】
このとき、リリーフ弁85は、エアシリンダー52から切り離された低圧エアタンク87内が所定の低圧供給時より減圧された状態(例えば、1kg/cm2(大気圧)より高く、2kg/cm2より低い圧力)となるまで低圧エアタンク87内のエアを外部に排出する。以下、低圧エアタンク87内が低圧供給時より減圧された状態を過低圧状態と称する。
【0070】
ソレノイドバルブ83は、高圧供給が所定時間経過した後に、再び低圧供給に切り替える。ソレノイドバルブ83は、ソレノイドバルブ83のポートが低圧エアタンク87と連通し、高圧エアタンクと遮断されるように切り替える。またソレノイドバルブ83は、低圧エアタンク87の上流側のソレノイドバルブ86を逆止弁が作動するように切り替える。これにより、エアシリンダー52内に貯留していたエアがソレノイドバルブ83を介して上記の過低圧状態の低圧エアタンク87に流入する。このとき、低圧エアタンク87の上流側のソレノイドバルブ86は逆止弁が作動し、低圧エアタンク87内のエアは上流側への流出(逆流)が阻止される。このようにして、低圧エアタンク87内に貯留されているエアが、ソレノイドバルブ83を介してエアシリンダー52に供給され、シリンダロッド53が第一の圧力で押圧される。
【0071】
ここで、低圧エアタンク87およびエアシリンダー52内のエアの貯留量は、高圧状態のエアシリンダー52から低圧エアタンク87内にエアが流入して充満した場合に、内圧が低圧状態(2kg/cm
2)となるように、その量(容量)が適宜選択されている。また、過低圧状態の圧力も、上部シーラー30の動作が適切に行える時間内に、低圧エアタンク87内にエアが充填されるように、その圧力が適宜選択されている。
【0072】
このように、本実施形態では、低圧エアタンクの容量、エアシリンダー52内のエアの貯留量、リリーフ弁85からの排気量(過低圧状態の圧力)を適切に選択することにより、高圧供給から低圧供給に切り替えた際に、エアシリンダー52内のエアを、エアシリンダー52内よりも減圧状態の低圧エアタンク87に流入させるとともに、上流に逆流することなく当該低圧エアタンク87内に貯留したエアをエアシリンダー52に供給(低圧供給)することができる。
【0073】
<トップシール装置の状態変化>
図3は、本実施形態のトップシール装置10の上部シーラー30の状態変化を示す概要図であり、同図(a)がシール面30a上の一点(例えば、長手方向および短手方向の中心点)が移動する軌跡であり、同図(b)がエアシリンダー52に供給されるエアの圧力の推移であり、同図(c)がシール面30aに加わる応力の推移を示す概略図であり、同図(d)が高圧エアタンク82の内部の圧力の推移を示す概略図であり、同図(e)が低圧エアタンク87の内部の圧力の推移を示す概略図である。
【0074】
なお、横軸は時間tであり、同図(a)〜(e)において同じ時間軸で示している。
【0075】
上部シーラー30は、トップシールされるフィルムYA1が所定位置に搬送されると、上述した上部支持台36のボックスモーションの移動機構によって、下降および前進を開始する。このとき、上部シーラー30はエアシリンダー52から第一の圧力(2kg/cm
2)の付勢力を受けている(低圧状態となっている)。トップシール時を除き、上部シーラー30はエアシリンダー52から第一の圧力(2kg/cm
2)の付勢力を受けている。また、上部シーラ−30は、上述した下部支持台33のボックスモーションの移動機構によって、上昇および前進を開始する下部シーラー31とは非接触の状態である(同図(a))。
【0076】
その後、時間t1においてソレノイドバルブ83は、低圧供給から高圧供給に切り替える(ON)。
【0077】
時間t2は、上部シーラー30と下部シーラー31とが接触したタイミングである。時間t1におけるソレノイドバルブ83の切り替え(ON)から高圧状態に切り替わるまでに僅かなタイムラグが生じており、このタイミングでは、上部シーラー30の付勢力は低圧状態のままである(同図(b))。すなわち、時間t2では、低圧状態で付勢された上部シーラー30と下部シーラー31とが接触する。このとき、第一の圧力で付勢される上部シーラー30が、下部シーラー31を下方に押し下げ、下部シーラー31より発する反力により、両シーラー30,31間にフィルムYA1が確実に挟持される(同図(c))。
【0078】
なお、ソレノイドバルブ83の切り替えから高圧状態に切り替わるまでのタイムラグがこの例より更に短い場合などは、上部シーラー30と下部シーラー31とが接触した直後にソレノイドバルブ83を高圧状態に切り替えるようにしてもよい。
【0079】
いずれにしても、上部シーラー30と下部シーラー31とが接触したタイミング(時間t2)において、上部シーラー30が低圧状態で付勢されているようにする。
【0080】
時間t3は、エアシリンダー52が第二の圧力(3kg/cm
2)で上部シーラー30の付勢を開始した(高圧状態となった)タイミングである(同図(b))。このタイミング以降、高圧状態の間(時間t6までの間)は、当接直後よりも強い第二の圧力で付勢される上部シーラー30が、下部シーラー31を下方に押し下げ、その時の下部シーラー31より発する反力により、両シーラー30,31間にフィルムYA1を所望のシール強度を得るための圧力(シール圧)が生じる(同図(c))。
【0081】
そしてその状態のまま一定期間両シーラー30,31が前進移動ながら確実にフィルムYA1が熱シールされる。また、時間t4において、カッター58が下降移動することによりその熱シール部位が切断される。
【0082】
その後、時間t5においてソレノイドバルブ83は、高圧供給から低圧供給に切り替える(OFF)。このタイミングでは、上部シーラー30と下部シーラー31は当接しており、上部シーラー30の付勢力は高圧状態のままである(同図(b)、(c))。
【0083】
時間t6は、エアシリンダー52が再び、第一の圧力(2kg/cm
2)で上部シーラー30の付勢を開始した(低圧状態となった)タイミングである。このタイミングでは、上部シーラー30と下部シーラー31は当接しており、第一の圧力(低圧)で付勢される上部シーラー30が、下部シーラー31を下方に押し下げ、下部シーラー31より発する反力を受けている(同図(b)、(c))。
【0084】
時間t7は、上部シーラー30と下部シーラー31が離間したタイミングである。このタイミング以降、上部シーラー30は、上述したボックスモーションの移動機構によって、上昇および前進を開始する。
【0085】
このように、本実施形態の上部シーラー30と下部シーラー31は、低圧状態で当接し、当接後にフィルムYA1が所望のシール強度でシールされるために十分な高圧状態で付勢される。
【0086】
同図(d)に示すように、この期間において、高圧エアタンク82内の圧力は、電空レギュレータ81の制御によって常時一定(3kg/cm
2)に維持される。一方、同図(e)に示すように、時間t1におけるソレノイドバルブ83の切り替え(低圧供給から高圧供給への切り替え)と同時に、リリーフ弁85がエアを排出し、低圧エアタンク87内の圧力は、所定の低圧状態(2kg/cm
2)より更に減圧された過低圧状態となる。過低圧状態の圧力は、低圧状態より低く、大気圧より高い圧力(例えば、1.2kg/cm
2〜1.7kg/cm
2など)である。そして、時間t5においてソレノイドバルブ83が、高圧供給から低圧供給に切り替えると、エアシリンダー52から低圧エアタンク87へエアが流入(逆流)するとともに、低圧エアタンク87から上流への逆流は停止されて、所定の低圧状態(2kg/cm
2)に復帰する。
【0087】
以上説明したように、本実施形態では、上部シーラー30が下部シーラー31と突き当たる(当接する)までは低圧(例えば、2kg/cm2)で上部シーラー30を下方に付勢し、上部シーラー30が下部シーラー31と当接した後に、熱シールする際には、高圧(例えば、3kg/cm2)で上部シーラー30を下方に付勢する。
【0088】
より詳細には、上部シーラー30が下部シーラー31と突き当たった(当接した)直後まで(
図3の時間t2が経過するまで)は低圧(例えば、2kg/cm2)で上部シーラー30を下方に付勢し、その後、上部シーラー30が下部シーラー31と当接して熱シールする際には、高圧(例えば、3kg/cm2)で上部シーラー30を下方に付勢する。
【0089】
これにより、上部シーラー30と下部シーラー31が当接する際には比較的小さな力で両シール面30a,31a同士がフィルムYA1を挟んで当接し合い、両シーラー30、31が当接する際の衝撃を従来よりも低減できる。そして、当接後の熱シール時には、高圧(十分なシール圧)で上部シーラー30を下方に付勢するので、確実な熱シールが可能となる。
【0090】
すなわち、両シーラー30、31が当接する際の衝撃による両シーラー自身並びにそれを駆動する機構系の損傷(劣化)を従来よりも抑制できる。また、当該衝撃を繰り返し受けることによる、トップシール装置のがたつきの発生も抑制でき、上下のシーラーの平行性が不均一となる恐れが少なくなるので、熱シール後のシール部分から切断されてしまう包装体の不良(エッジ切れ)の発生を低減できる。更に、両シーラーのシール面が突き当たる際の騒音の発生を低減できる。
【0091】
また、上部シーラー30と下部シーラー31が離間する際も、それ以前(
図3の時間t7以前)に低圧状態にするので、上部シーラー30が下部シーラー31から受ける反発を小さくできる。
【0092】
なお、上部シーラー30と下部シーラー31が離間する場合も、低圧状態に切り替わった後に両者が離間するように構成されていれば良く、ソレノイドバルブ83が高圧供給から低圧供給に切り替えるタイミングは、それに合わせて選択される。
【0093】
なお、低圧エアタンク87の上流にリリーフ弁85を設けず、低圧供給から高圧供給に切り替える際に、低圧エアタンク87内のエアを外部に排出し、低圧エアタンク87内を大気圧と同等にするようにしてもよい。
【0094】
また、上記した実施の形態では、上部シーラー30内にカッター58を内蔵した例について説明したが、本発明はこれに限ることなくカッター58を設けないトップシール装置に対しても適用することができる。すなわち、カッター装置をトップシール装置と別途配置したものはもちろん、上記シーラーとしてシールとカットの両機能を備えたいわゆる溶断型のシーラーを用いてなるトップシール装置に対しても適用できる。
【0095】
また、上部シーラー30をエアシリンダー52により下方に付勢する場合を例に説明したが、下部シーラー31をエアシリンダーにより上方に付勢するものであってもよい。
【0096】
また、トップシール装置10は、熱シールに限らず、超音波でフィルムYA1をシールするものであってもよい。
【0097】
また、上記の実施形態では、横型の自動包装装置に採用されるトップシール装置10を例に説明したが、縦型の自動包装装置に採用されるものであってもよい。
【0098】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。
【0099】
例えば、上記トップシール装置の実施形態においてモータでカムを駆動する場合を例示しているが、本発明はこれに限定されず、エアシリンダや油圧シリンダ、電気又は磁気ソレノイド等、様々な動力源を利用できる。また、上部シーラー30および下部シーラー31の動力源は、エアシリンダーに限らず油圧シリンダーを用いても良い。