【解決手段】軸方向の一端側と他端側にそれぞれ大径部82と小径部81を有する短尺状のワーク8を収容する円形状の収容部2と、当該収容部2から搬送されてきたワーク8のうち、起立したワーク8を湾曲した板状の部材で排除して収容部2に落下させ、軸方向が水平方向に向くように揃える第一整列部41と、当該第一整列部41で軸方向に揃えられたワーク8を段差43で起立させ、狭小部44を有する幅狭い搬送路31によって小径部81が底面側になっているワーク8を収容部2側に落下させる第二整列部42とを備えるようにする。
前記第二排除部が、軸方向に搬送されてきたワークを一旦起立させ、小径部が下方に位置しているワークを搬送部から排除するようにしたものである請求項1に記載のワーク整列装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなローダにおいて方向転換機を設ける場合、従来では、センサーを用いてワークの方向を検知するとともに、ワークが反転している場合は、その方向を反転させる反転機構などを設ける必要があるため、機構が複雑になるとともにコストが高くなってしまうといった問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、簡単な構成でワークの方向を揃えられるようにしたワーク整列装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、軸方向の一端側と他端側にそれぞれ大径部と小径部を有する短尺状のワークを収容する収容部と、当該収容部から搬送されてきたワークのうち、起立したワークを排除して軸方向が水平方向に向くように揃える第一整列部と、当該第一整列部で軸方向に揃えられたワークのうち、大径部と小径部の方向が異なるワークを排除してワークの方向を揃える第二整列部とを備えるようにしたものである。
【0008】
このように構成すれば、方向の異なるワークを順次排除して整列させることができるので、センサーや反転機構などを設ける必要がなく、簡単かつ低コストにワークを整列させることができるようになる。
【0009】
また、このような発明において、前記搬送部を螺旋状に設けるとともに、その中央部分に収容部を設け、また、前記第一整列部および第二整列部で排除されたワークを中央の収容部に落下させるようにする。
【0010】
このように構成すれば、方向の異なるワークを再び収容部に収容させて順次搬送させることができるようになる。
【0011】
さらに、前記第一整列部を構成する場合、起立しているワークの上部に当接させることによって、起立しているワークを排除できるようにする。
【0012】
このように構成すれば、起立しているワークに当接する部材を設けるだけで、ワークを水平状態に整列することができる。
【0013】
また、前記第二整列部を構成する場合、軸方向に搬送されてきたワークを一旦起立させ、小径部が下方に向いているワークを搬送部から排除する。
【0014】
このように構成すれば、小径部が下方に向いているワークを、載置面の狭い搬送部の上に載せることにより、そのワークを落下させることができ、ワークの方向を揃えることができるようになる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、軸方向の一端側と他端側にそれぞれ大径部と小径部を有する短尺状のワークを収容する収容部と、当該収容部から搬送されてきたワークのうち、起立したワークを排除して軸方向が水平方向に向くように揃える第一整列部と、当該第一整列部で軸方向に揃えられたワークのうち、大径部と小径部の方向が異なるワークを排除してワークの方向を揃える第二整列部とを備えるようにしたので、センサーや反転機構などを設ける必要がなく、簡単かつ低コストにワークを整列させることができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
この実施の形態におけるワーク整列装置1は、
図1に示すように、方向性のあるワーク8を揃えてローディング装置6に供給し、そこから旋盤加工機7(
図5参照)に供給できるようにしたものであって、ワーク8を収容する収容部2と、その収容部2に設けられた搬送部3によって搬送されるワーク8のうち、起立した状態のワーク8を排除して全てのワーク8を水平状態に揃える第一整列部41と、その第一整列部41で水平状態に揃えられたワーク8を一旦起立させ、小径部81が下側に位置しているワーク8を排除して大径部82が下側に位置するようにワーク8を揃える第二整列部42とを備えるようにしたものである。そして、このように方向が揃えられたワーク8を、シューター34を介して斜め下方に落下させ、移送部5を介してローディング装置6のロッド61の先端側に移送させてロッド61に保持させるようにしたものである。以下、本実施の形態におけるワーク整列装置1の構成について、詳細に説明する。なお、ここでは、ワーク8として、
図1に示すように、一方側に小径部81を有し、他方側に大径部82を有する短尺状のワーク8を整列させる場合について説明する。
【0019】
まず、このワーク整列装置1の収容部2は、
図1や
図2に示すように、中央部分を上方に持ち上げた円錐形状をなすものであって、その外周部分の縁部に沿って螺旋状の搬送部3を設けるようにしている。この収容部2には、複数のワーク8が収容されるようになっており、真上からワーク8が投入される。ここでは、この収容部2の上方に図示しないセンサーを設け、そのセンターによって収容部2内にワーク8が存在しないと判断された場合は、補給装置から一定量のワーク8を供給させるようにする。
【0020】
この収容部2の外周部分に設けられる搬送部3は、搬送方向の上方に向けて順次径が大きくなるように設定されるものであって、その搬送路31の底部裏面に設けられた図示しない振動装置によって順次ワーク8を上方に向けて搬送させるようになっている。この搬送路31の幅は、一つのワーク8の最大径(すなわち、大径部82の直径)に対応した搬送幅となっており、これによって、搬送路31の流れ方向に沿って、小径部81が上流を向いた状態、大径部82が上流を向いた状態、小径部81が底面側に起立した状態、大径部82が底面側に起立した状態などに揃えられる。なお、このワーク8を搬送させるための振動装置は、繊維や可撓性樹脂などで構成された搬送路31の裏面側に複数の微小突起を設け、これらを斜め上方に順次往復振動させることによってワーク8を上流側に搬送させるようになっているが、ローラやコンベアなどで搬送させるようにしてもよい。
【0021】
第一整列部41は、この搬送部3によって搬送されてきたワーク8のうち、起立した状態のワーク8を搬送路31から排除し、水平状態のワーク8のみを搬送路31に残すようにする。この第一整列部41は、
図3に示すように、起立したワーク8の上側に当接する板状の部材で構成されており、この部材を収容部2の中心方向に向けて湾曲させることで、起立したワーク8を搬送路31から逸らして収容部2に落下させるようにしている。このとき、搬送路31に沿って水平状態に搬送されたワーク8は、その第一整列部41の下側を通過することになるため、すべてのワーク8が水平状態に揃えられた状態となる。そして、搬送部3によって、順次螺旋状の搬送路31の上方まで搬送させる。このとき、搬送部3に載置されたワーク8は、小径部81が上流を向いた状態や、大径部82が上流を向いた状態となっている。
【0022】
第二整列部42は、このように水平状態のワーク8の大径部82や小径部81の向きを揃えるようにする。この第二整列部42でワーク8の向きを揃える場合、水平状態に搬送されてきたワーク8を一旦起立させ、小径部81が下側に位置するワーク8を排除する。このワーク8を起立させる場合、
図4に示すように、搬送路31に段差43を設けることによって、搬送されてきたワーク8の先端側から落下させ、これによってワーク8を起立させる。この起立されたワーク8は、搬送路31上に起立するようになるが、その下流側の側壁に内側へ突出する突出片45を設けるとともに、その下方の搬送路31に幅を狭くした狭小部44を設けることで、小径部81が下側を向いているワーク8(
図4の破線で示されたワーク8)を内側に寄せて収容部2側に落下させる。一方、大径部82が底面側となっているワーク8は、突出片45の下側を大径部82が通過して搬送路31に載置されることになり、これにより、大径部82が底面側となったワーク8を狭小部44を通過させる。このように通過したワーク8は下方へ傾斜する方向に沿ってスライドするようになる。
【0023】
このように大径部82が底面側となったワーク8は、順次搬送部3によってシューター34まで搬送される。このシューター34は、起立状態で搬送されてきたワーク8を、段差で小径部81が下方に向くように倒し、傾斜方向に沿ってスライドさせる。
【0024】
このシューター34に沿って落下してきたワーク8は、先端部分に設けられたストッパー35で一つずつ排出される。このストッパー35でワーク8を一つずつ排出する場合、上流側の爪36uをワーク8の外周部分に接触させてスライドを停止させ、下流側の爪36dを離してワーク8を一つずつ排出させるようにする。
【0025】
移送部5は、このストッパー35によって排出された一つのワーク8をローディング装置6の前方に移送させるようにしたものであって、シューター34から傾斜方向にスライドしてきた一つのワーク8を水平方向に角度変更部51を用いて角度変更した後、紙面手前方向のローディング装置6の前方まで水平移動させる。
【0026】
ローディング装置6は、この移送部5によって移送されてきた一つのワーク8をチャック73の奥方の挿入口72から挿入できるようにしたものであって、ワーク8を先端側に保持するためのロッド61と、このロッド61を内装管71の挿入口72から挿入するためのスライド機構64とを備えて構成されている。
【0027】
このロッド61は、旋盤加工機7の内装管71よりも若干小径の長尺状の部材で構成されており、その先端にワーク8の大径部82に設けられた穴83を内側から押圧する内側押圧部62aを設けるようになっている。この内側押圧部62aは、漸次先端側へ向かって小径となるようなテーパー形状を有しており、しかも、ワーク8の穴83に挿入された際には、弾性によって内側から押圧できるような溝62bを設けている。そして、このようなテーパー形状や溝62bを設けることにより、ワーク8の穴83に内側押圧部62aを挿入した際、ワーク8の穴83の内側から押圧して確実にワーク8を保持できるようにする。
【0028】
このローディング装置6のロッド61は、ホルダー63に保持された状態で、スライド機構64によって旋盤加工機7の内装管71に挿入されるように移動する。このスライド機構64は、タイミングベルトやサーボモーターなどによって構成されており、タイミングベルトにホルダー63の下端部分を固定させるとともに、ホルダー63をスライドレール上に載置させることによってロッド61を進退させるようにしている。
【0029】
次に、このように構成されたワーク整列装置1やローディング装置6の作用について説明する。
【0030】
まず、ワーク8を収容部2に収容する。このとき、最初は作業者によって複数のワーク8を収容部2の中央部分の上から収容する。すると、そのワーク8は、収容部2の中央部分が円錐状に盛り上がった状態となっているため、収容部2の傾斜面に沿ってその外周部分の縁部の方へと転がっていく。
【0031】
この状態で搬送部3を駆動させると、収容部2に収容されたワーク8は搬送路31に沿って上流側に徐々に搬送されていく。このとき、ワーク8は収容部2に水平方向に様々な角度や起立した状態で収容されて搬送路31に搬送されていくことになる。しかし、搬送路31の幅がワーク8の最大径に対応した搬送路幅になっているため、その搬送路幅に対応しない方向のワーク8が搬送路31から落下して収容部2に戻されていく。すなわち、搬送路31には、その搬送方向に沿った水平方向のワーク8や、起立したワーク8のみが搬送されることになる。
【0032】
そして、このように搬送されたワーク8は第一整列部41まで到達する。すると、このように搬送されてきたワーク8のうち、起立したワーク8は、湾曲する板状の第一整列部41に当接し、その湾曲方向に沿って搬送路31から排除されて収容部2に落下するようになる。一方、水平な状態で搬送されてきたワーク8は、その第一整列部41の下側を通過し、第一整列部41の下流側ではすべてのワーク8が水平な状態となる。
【0033】
次に、このようなワーク8が搬送させていくと、今度は第二整列部42の段差43に到達する。すると、その段差43に到達したワーク8は先端側から落下し、その段差43の下側に設けられた搬送路31に起立した状態で載置されて、斜め下方にスライドしていく。このとき、その搬送路31には、搬送路31の幅を小さくするようにした狭小部44が設けられているため、小径部81が底面側となっているワーク8については、ほとんど搬送路31に載ることがなく、収容部2側に落下していく。一方、大径部82が底面側となっているワーク8は、搬送路31に載る面積が相対的に大きくなっているのため、搬送路31上に載置されて斜め下方にスライドしていく。これにより、この第二整列部42では、すべてのワーク8の方向が揃えられることになる。
【0034】
そして、このように方向が揃えられたワーク8をシューター34の段差で横向きにし、そのシューター34の傾斜方向に沿ってスライドさせて、ストッパー35で一つずつ移送部5に供給していく。この移送部5にワーク8を供給する場合、下側のストッパー35を閉じた状態でワーク8をスライドさせ、この状態で上側のストッパー35でワーク8の外周部を押圧する。そして、その状態で下側のストッパー35を開放して一つのワーク8を移送部5に供給する。
【0035】
このワーク8を受け取った移送部5では、傾斜面の方向に受け取ったワーク8を水平方向に角度変更部51を用いて角度変更し、ローディング装置6のロッド61の前方側まで移送する。
【0036】
ローディング装置6では、このようにワーク8が移送されてきた場合、ロッド61を前進させてその先端側の内側押圧部62aをワーク8の穴83に挿入して、内側から押圧する。そして、ロッド61をワーク8とともに一旦後退させて移送部5からワーク8を抜き取り、移送部5をシューター34側まで戻した状態で再び前進させ、旋盤加工機7の内装管71の挿入口72に挿入していく。
【0037】
そして、ロッド61に保持されたワーク8がチャック73から突出するような位置まで押し込まれた場合、チャック73を閉じてロッド61を引き戻し、チャック73によってワーク8を把持させる。そして、その後、旋盤加工機7を駆動させてワーク8を加工していく。
【0038】
以下、順次収容部2からワーク8を繰り出してローディング装置6に供給し、そこからロッド61を介して旋盤加工機7のチャック73に取り付けるようにしていき、その際、収容部2のワーク8が少なくなったことをセンサー32で検知した場合は、隣接する補給装置33から所定数のワーク8を供給するようにしていく。
【0039】
このように上記実施の形態によれば、軸方向の一端側と他端側にそれぞれ大径部82と小径部81を有する短尺状のワーク8を収容する収容部2と、当該収容部2から搬送されてきたワーク8のうち、起立したワーク8を排除して軸方向が水平方向に向くように揃える第一整列部41と、当該第一整列部41で軸方向に揃えられたワーク8のうち、大径部82と小径部81の方向が異なるワーク8を排除してワーク8の方向を揃える第二整列部42とを備えるようにしたので、センサー32や反転機構などを設ける必要がなく、簡単かつ低コストにワーク8を揃えることができるようになる。
【0040】
また、前記搬送部3を螺旋状に設けて、その中央部分に収容部2を設け、前記第一整列部41および第二整列部42で排除されたワーク8を、中央の収容部2に落下させるようにしたので、排除されたワーク8を再び収容部2に収容させて順次搬送させることができるようになる。
【0041】
さらに、前記第一整列部41を構成する場合、起立しているワーク8の上部に当接させることによって、起立しているワーク8を排除できるようにしたので、その下流側のワーク8を水平状態に整列させることができるようになる。
【0042】
また、前記第二整列部42を構成する場合、軸方向に搬送されてきたワーク8を一旦起立させ、小径部81が下方に向いているワーク8を搬送部3から排除するようにしたので、小径部81が下方に向いているワーク8を載置面の狭い搬送部3の上に載せることにより、そのワーク8を落下させることができ、ワーク8の方向を揃えることができるようになる。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく種々の態様で実施することができる。
【0044】
例えば、上記実施の形態では、湾曲した板状の第二整列部42を用いて起立しているワーク8を排除するようにしたが、このように湾曲した板状の部材に限らず、他の機構を用いて起立しているワーク8を排除するようにしてもよい。あるいは、センサー32によって起立状態を検出して、ソレノイドなどで起立しているワーク8を排除するようにしてもよい。
【0045】
また、上記実施の形態では、段差43を用いて一旦起立させて小径部81が底面側にあるワーク8を排除するようにしたが、同様に、センサー32によってワーク8の向きを検出して、向きの異なるワーク8を排除するようにしてもよい。
【0046】
さらに、上記実施の形態では、ローディング装置6のロッド61を用いて旋盤加工機7のチャック73の奥方からワーク8を挿入するようにしたが、これに限らず、チャック73の前方からワーク8を取り付けるようにしてもよい。