【課題】シートの幅方向の中央部の折りがなされるとともに、幅方向端部を繰り返して押えるので端部の折りが、より確実になされ、より折りシートが開きにくくなって見栄えも良くなり、折りシート束をスタックする際には集積性が向上すること。
【解決手段】折りシートBSの折りループBLを押圧する一対の押え部材(押えローラ70)と、前記折シートの幅方向に移動するとともに前記押え部材相互の間隔が移動方向に段階的に狭くして複数列を支持する支持ユニット56とを備え、上記支持ユニット56が前記折りループのシート幅全領域移動とシート端一部領域の往復動を行って折りループを押え部材で押圧するシート処理装置である。
上記複数列の押圧部材のうち移動方向の最終列の押圧部材が互いに圧接し、最終列手前の前記押えローラは所定以上間隔が狭くならないように位置規制されていることを特徴する請求項1に記載のシート処理装置。
上記支持ユニットは、上記初期位置から上記終端位置に向かって上記折りループを押えローラで押圧して移動し、上記終端位置付近で往復動して前記折りループ端部を複数回、前記押えローラで押圧する請求項3に記載のシート処理装置。
上記支持ユニットは、上記初期位置から上記終端位置に向かって上記折りループを上記押えローラで押圧して移動し、前記終端位置付近で往復動して前記折りループ端部を複数回押圧しその後前記初期位置に復帰しながら前記折りループを前記押えローラで押圧する請求項3に記載のシート処理装置。
上記支持ユニットは、上記初期位置から上記終端位置に向かって上記折りループを押えローラで押圧移動する際に、まず初期位置付近で往復動して前記折りループの初期位置側端部を複数回押圧してから前記終端位置に移動し、その後前記終端位置付近で往復動して前記折りループ端部を複数回押圧することを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
上記支持ユニットは、上記初期位置から上記終端位置に向かって上記折りループを押えローラで押圧移動する際に、まず上記初期位置付近で往復動して前記折りループの初期位置側端部を複数回押圧してから終端位置に移動し、その後前記終端位置付近で往復動して前記折りループ端部を複数回押圧し、再び初期位置に復帰することを特徴とする請求項3に記載のシート処理装置。
折りシートの折りループを押圧する押えローラユニットを複数支持して折りループに沿って初期位置から終端位置に向かって移動する支持ユニットを備えるシート処理装置であって、
上記押えローラユニットは、
上記折りループを押圧する回転可能な押えローラと、この押えローラを保持するローラブラケットを移動可能に保持するフレームと、このフレームと上記ローラブラケットとの間に配置し前記押えローラをシート押圧方向に付勢する弾性スプリングとをユニットとして構成され、
上記支持ユニットは、
前記押えローラユニットを対向配置させて対として配置するとともに、対とした前記押えローラユニット相互の間隔が前記支持ユニットの移動方向の下流から上流に向かって段階的に狭くなるように複数列を支持するユニットとして構成され、
さらに上記支持ユニットが上記初期位置から上記終端位置に移動して前記折りループのシート幅全域の移動と少なくとも上記終端位置付近のシート端部で往復動を行って上記折りループを押圧することを特徴とするシート処理装置。
折りシートの折りループを押圧する一対の押えローラと、前記折シートの幅方向に初期位置から終端位置に移動するとともに前記押えローラ相互の間隔が移動方向に段階的に狭くして列として支持する支持ユニットとを備えこの支持ユニットを移動して折りループの折り目を押圧するシートの折り目押圧方法であって、
前記支持ユニットが前記折りループのシート幅全域を移動してシートを押圧するシート幅の全領域押圧工程と
シート幅の端部領域の往復動を行って折りループの端部押圧工程ととからなることを特徴とするシートの折り目押圧方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下図示の実施の態様に基づいて本発明を詳述する。
図1に示す画像形成システムは画像形成装置Aとシート処理装置Bで構成され、シート処理装置Bには折りユニット50が組み込まれている。
【0011】
[画像形成装置の構成]
図1に示す画像形成装置Aは、給紙部1からシートを画像形成部2に送り、画像形成部2でシートに印刷した後、本体排出口3からシートを搬出する。給紙部1は複数のサイズのシートが給紙カセット1a、1bに収納してあり、指定されたシートを1枚ずつ分離して画像形成部2に給送する。画像形成部2は例えば静電ドラム4と、その周囲に配置された印字ヘッド(レーザ発光器)5と現像器6と、転写チャージャ7と定着器8が配置され、静電ドラム4上にレーザ発光器5で静電潜像を形成し、これに現像器6でトナーを付着し、転写チャージャ7でシート上に画像を転写し、定着器8で加熱定着する。このように画像形成されたシートは本体排出口3から順次搬出される。図示9は循環経路であり、定着器8から表面側に印刷したシートを、本体スイッチバック経路10を介して表裏反転した後、再び画像形成部2に給送してシートの裏面側に印刷する両面印刷の経路である。このように両面印刷されたシートは本体スイッチバック経路10で表裏反転された後、本体排出口3から搬出される。
【0012】
図示11は画像読取装置であり、プラテン12上にセットした原稿シートをスキャンユニット13で走査し、反射ミラー、集光レンズを経て光電変換素子14で電気的に読み取る。この画像データは画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ貯蔵部17に転送され、前記レーザ発光器5に画像信号を送る。また、図示15は原稿送り装置であり、原稿スタッカ16に収容した原稿シートをプラテン12に給送するフィーダ装置である。
【0013】
上記構成の画像形成装置Aには制御部(コントローラ)が設けられ、コントロールパネル18から画像形成条件、例えばシートサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などのプリントアウト条件が設定される。一方、画像形成装置Aには上記スキャンユニット13で読み取った画像データ或いは外部のネットワークから転送された画像データがデータ貯蔵部17に蓄積され、このデータ貯蔵部から画像データはバッファメモリに転送され、このバッファメモリ19から順次、レーザ発光器5にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0014】
[シート処理装置の構成]
上述の画像形成装置Aに連結されたシート処理装置Bは、
図2に示すようにケーシング20に上記第1排紙トレイ21と第2排紙トレイ22を備え、本体排出口3に連なる搬入口23を有するシート搬入経路P1が設けられている。搬入ローラ24の下流側にはシートの搬入を検出する搬入センサSenが配置されている。
【0015】
このシート搬入経路P1はケーシング20に略々水平方向の直線経路で構成されている。そしてこのシート搬入経路P1から分岐しシートを反転方向に移送する第1スイッチバック搬送路SP1と第2スイッチバック搬送路SP2が配置されている。そして第1スイッチバック搬送路SP1が経路下流側で、第2スイッチバック搬送路SP2が経路上流側でそれぞれシート搬入経路P1から分岐され、両搬送路は互いに距離を隔て配置されている。
【0016】
このような経路構成でシート搬入経路P1には搬入ローラ24と排紙ローラ25が配置されている。排紙ローラ25は正逆転可能となっている。またシート搬入経路P1には第2スイッチバック搬送路SP2にシートを案内する経路切換片(図示せず)が配置されソレノイドなどの作動手段に連結されている。またシート搬入経路P1には、搬入口23からのシートに、例えば1枚ずつ穿孔処理する1枚穿孔ユニット28が搬入ローラ24と搬入センサSen1の下流側に設けられている。
【0017】
[第1スイッチバック搬送路SP1の構成]
図2に示されるように第1スイッチバック搬送路SP1は次のように構成されている。シート搬入経路P1の出口端に排紙ローラ25が設けられ、この排紙ローラ25のシートを積載支持する処理トレイ29が設けられている。この処理トレイ29の上方には正逆転ローラ30がトレイ上のシートと接する位置と離間した待機位置との間で昇降自在に配置されている。この正逆転ローラ30が連結され処理トレイ29上にシートが進入する際は同図時計方向に回転し、シート後端が排紙ローラ25から排紙されトレイ上に進入した後は反時計方向に回転するように制御される。従って処理トレイ29上に第1スイッチバック搬送路SP1が構成されている。この処理トレイ29の排紙方向後端部には、端面綴じステープル装置33が配置されている。このステープル装置33は処理トレイ29上に集積されたシート束の後端縁の1個所若しくは複数個所にステープル綴じする。綴じ処理されたシート束は第1排紙トレイ21排出される。
【0018】
[第2スイッチバック搬送路の構成]
前記シート搬入経路P1から分岐された第2スイッチバック搬送路SP2の構成について説明する。この第2スイッチバック搬送路SP2は、
図2に示すようにシートが排紙ローラ25にニップされた状態で正転から逆転してスイッチバック搬送されてくるシートを案内する搬送路である。この搬送路は、
図2に示すようにケーシング20に略々鉛直方向に配置され、経路入口に搬送ローラ36が、経路出口に出口搬送ローラ37が配置されている。また第2スイッチバック搬送路SP2の下流側にはこの搬送路から送られたシートを部揃えし一時集積する第2の処理トレイを構成するスタッカ部35が設けられている。図示のスタッカ部35はシートを移送する搬送ガイドで構成されている。このスタッカ部35には中綴じステープラ40と折りローラ45が配置されている。以下順次これらの構成について説明する。
【0019】
[スタッカ部の構成]
スタッカ部35は、シートの搬送をガイドするガイド部材で形成され、このガイド上にシートを積載収納するように構成されている。図示のスタッカ部35は第2スイッチバック搬送路SP2に連なり、ケーシング20の中央部に略々鉛直方向に配置されている。これによって装置を小型コンパクトに構成している。このスタッカ部35は内部に最大サイズシートを収納する長さ形状に形成され、特に図示のものは後述する中綴じステープラ40と折りローラ45(45a、45b)を配置する側に突出するように湾曲又は屈曲した形状に構成されている。
【0020】
上記スタッカ部35の搬送方向後端側には前述の第2スイッチバック搬送路SP2の出口端とオーバラップするスイッチバック進入路35aが連設されている。これは第2スイッチバック搬送路SP2の出口搬送ローラ37から送られる搬入(後続)シートの先端とこのスタッカ部35に支持されている積載済(先行)シートの後端をオーバラップさせることによって集積するシートのページ順位を確保するためである。また、スタッカ部35にはシートの搬入方向先端を規制するストッパ手段としての先端規制部材(以下、ストッパ38という)がガイド下流側に配置してあり、このストッパ38はスタッカ部35に沿って移動可能にガイドレールなどに支持され、図示しないシフト手段でシートをスタッカ部35に搬入する位置、集積方向の中程で綴じる位置及び折りローラ45で折る位置に移動するように構成されている。また、スタッカ部35の搬送方向中ほどには、シートを整合する整合部材39が設けられシートの搬入の都度に側縁を押圧して整合を行う。
【0021】
[中綴じステープラの説明]
次に、このスタッカ部35の上方に位置する中綴じステープラ40は、ステープル針をシート束に打ち込むドライバーユニット41と打ち込まれたステープル針の脚部を互いに向き合う方向に折り曲げるクリンチャユニット42で構成され、それぞれのユニットはスタッカ部35を挟んで対向する位置に構成され、通常シート長さの2分の1となる図示Xの綴じ位置でシートを綴じる。
尚、この中綴じステープラ40はシート束の綴じるスープル針として金属の針を用いるほか紙製からなる紙製針や針を使用しない圧着や切り込みをシートに入れて綴じてもよい。
【0022】
[折りローラの説明]
次に、折りローラ45の構成について説明する。上述の中綴じステープラ40の下流側に配置された折位置Yには、
図2に示すようにシート束を折り合わせる折りローラ45とこの折りローラ45のニップ位置にシート束を挿入する折りブレード46が備えられている。
図3を参照すると、折りローラ45は互いに圧接した上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bで構成され、この上圧接ローラ45a下圧接ローラ45bは略々最大シートの幅長さより多少長く形成されている。この折りローラ45は、図示されていない圧縮スプリングで互いに圧接方向に付勢されている。上記一対の折りローラ45はゴムローラなどの比較的摩擦係数の大きい材料で形成されている。
【0023】
上記の折りローラ45の圧接位置には、この位置に向かって侵入する折りブレード46が進退可能に配置されている。この折りブレード46は、シート束が中綴じステープラ40で中綴じされた後、この綴じ位置を折りローラ45に押し込むように移動し、この動作に連動して折りローラ45が圧接回転することにより中綴じシートを折り曲げて二つ折りにしていく。この途中で折りブレード46は元の位置に復帰して次のシート束の搬入に備える。折りブレード46の移動位置は、折り位置Yとして
図2に示されており、この位置はシートが束として綴じ針で綴じられた位置Xに一致している。
【0024】
ここで、スタックされあるいはスタック中綴じされたシート束の折り処理手順を
図3により説明する。シートがストッパ38により係止され束となり、このストッパ38が上昇してシートの搬送方向中程の位置を中綴じステープラ40で綴じ処理を行う。綴じ処理後、今度は綴じられたシート束を下降してシート綴じ位置を折り位置になるようにストッパ38を停止する。この状態が
図3(a)に示されている。この位置は、折りローラ45の上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bの圧接位置に一致するように停止している。その後図示しない駆動モータにより上圧接ローラ45aと下圧接ローラが同じ方向に回転し、折りブレード46が圧接位置に押し込むように移動する。この状態は
図3(b)に示されている。
【0025】
次に、
図3(c)に示す様に、引き続き上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bが同じ方向に回転が継続され、折りブレード46が圧接位置手前で一旦停止する。今度は折りブレード46は、元の戻り方向に移動して退避する。その後さらに上圧接ローラ45aと下圧接ローラ45bが同じ方向に回転継続すると、
図3(d)に示す様に、折りシート束BSは一定のループBLを描いて折り処理される。このシート束は、折りブレード46で突いた折り目となる折りループ先端BL1、これを中心に上方に膨らんだ上方ループBL2、下方に膨らんだ下方ループBL3、ループを維持するようにシートを押圧するループ基端部BL4が形成され、この状態で一旦停止する。
【0026】
ところで、折り目でループが発生するのは、シート束自らが折り目位置で外側に開こうする力が働くためである。従って、折りシート束BSの枚数が多ければ多いほど開いて広がろうとする力が強く、このまま排出するとシート束が開いてしまうことになるので、本願のものは以下に述べるような順次にループ部分を、押えローラ70で段階的に押圧して折り込む段階折りを行っている。
【0027】
[折りユニットの説明]
ここから、上述の折り処理をおこなった折りシート束BSが開いてしまうのを防止するための本発明に係わるシート処理装置の一部となる折りユニット50を説明する。
図4はこのユニットを排出側から見た斜視図である。
図5は
図4の矢視dとして示した折りローラ45側から見た斜視図である。また、この折りユニット50内で折りシート幅方向に折りループに沿って移動する支持ユニット56について折りローラ45側からの斜視図である
図6と正面図である
図7を参照して説明する。その後に、
図8から
図10までで押えローラ70間に位置するガイドプレート201及び押えローラ70との関係を説明し、
図11から
図14により段階折りの動作について説明する。
【0028】
まず、
図2に戻って折りユニット50は、折りローラ45の下流側の折りシート搬送パスBPを横断するように配置されている。より詳しくは、この折りユニット50は、折りローラ45が折りシート束BSを折り曲げて折り状態したシート束を間隔の異なる押えローラとなる押えローラ70で押圧して折り処理する。この折りユニット50は、シート幅方向に折り目を有し一定のループを有する折りシート束BSの折り目に対峙している。
【0029】
また、
図2の折りユニット50の前後には折りローラ45で折り込まれて搬送される折りシートの背及び小口を検出する束搬入検出センサ(SEN3)129と束排出ローラ49からの排出を検出する束排出センサ(SEN4)131がそれぞれ配置してある。
なお、
図2の折りユニット50は折りローラ45と機外に排出する排出部材としての束排出ローラ49との間に設置されているが、折りシート搬送パスBPを横切るようにすれば、束排出ローラ49の下流側に装置することもできる。
【0030】
この折りユニット50は、
図4に示すように装置の一方に配置された右側板53とこれに対向する左側板54と、これらをその上方で連結する連結アングル55で装置全体のフレームを構成している。この右側板53と左側板54との間には、この側板間を往復移動する複数列の押えローラ70を支持して移動するユニットである支持ユニット56が配置してある。この支持ユニット56の側板間の往復移動は、右側板53と左側板54との間で上方に位置する上ガイドレール57と下ガイドレール58に沿ってスライドしてなされる。すなわち、上ガイドレール57に支持ユニット56の上方に取り付けられた上スライドブロック60が摺動し、下ガイドレール58に支持ユニット56の下方に取り付けられた下スライドブロック61が摺動するように移動可能に支持されている。
【0031】
また、上記支持ユニット56の上方には、この装置の右側板53と左側板54との間に移動ベルト65が張設されている。
図4に示されるように右側板53側に右プーリ63が、左側板54側に左プーリ64が夫々位置して移動ベルト65を巻回している。そして、この移動ベルト65の一端が支持ユニット56の上端にベルト固定部65bで固定されている。従って、移動ベルト65を移動してベルト固定部65bを装置手前(左側)から奥側側(右側)に移動すると、支持ユニット56も上ガイドレール57及び下ガイドレール58に沿って
図4の装置手前(左側)から奥側(右側)に移動することになる。移動ベルト65を逆方向に移動するとベルト固定部65bも逆方向に移動し、支持ユニット56も逆方向に移動する。
【0032】
なお、この機構にあっては、追って説明する複数列の押えローラ70対が広い方から狭くなる方向に移動して折りループを段階的に押圧する方向でこれから移動する方を下流側、移動してきた側を上流側としている。言い換えると
図4の左から右が移動方向(矢印UB方向)で右側が下流側、左側を上流側としている。
【0033】
ところで、移動ベルト65を巻回する左プーリ64には、正逆転可能なユニット駆動モータ69左側板54に設けられたモータギアユニット68に取り付けてある。このユニット駆動モータ69の回転駆動は、モータ出力ギア67からモータギアユニット68に設けられた伝達ギア66を介して移動ベルト65の左プーリ64に連結してある。
【0034】
したがって、ユニット駆動モータ69の駆動回転方向の選択により、支持ユニット56も装置手前側(左側)から奥側(右側)にして折りループを押圧し、逆に奥側(右側)から手前側(左側)に復帰するように選択的に移動することができる。なお、
図5で示されるように、支持ユニット56の左側板54側(
図5では右側)の上方端部付近には、左側板54寄りに位置するホームポジション(HP)位置にあることを示すユニットフラグ107が設けてある。このユニットフラグ107をホームポジションセンサ108で検出すると支持ユニット56はホームポジション(HP)に位置していることになる。この位置から
図5の白抜き矢印UBにユニット移動して折りループを段階的に押圧していく。
【0035】
そして、このホームポジション(HP)位置から矢印UB方向に支持ユニット56が移動するとユニット駆動モータ69に内蔵された図示しないパルス発生機よりその位置が判別され、右側板53寄りの折り返しポジションに位置していることが判別される。この折り返しポジションではユニット駆動モータ69を逆回転させて、今度はホームポジション(HP)に向かって支持ユニット56が移動するように制御する。従って、支持ユニット56は、移動ベルト65等によって移動されるユニット移動部材となっている。
【0036】
[支持ユニットの構成]
次に、図示左右に移動する支持ユニット56の構成について説明する。
図5は折りローラ45側から見たものであるが、支持ユニット56はこのユニットの背面側を構成するユニットベース板62a(
図4)と上下に分割されたフロント上ベース板62bとフロント下ベース板62cと、この側方を先行ユニット側板95と後行ユニット側板96と、その上下をユニット天板59aと、ユニット底板59bで囲われている。
【0037】
図6に示されているように、先行ユニット側板95には比較的大きく開口した先行側板開口97と後行ユニット側板には先行側板開口97より狭く設定した後行側板開口98が設けられている。これらの開口はシートの折り目を支持ユニット56が挟んで移動するために設けられ、先行側板開口97側から折りループBLの押圧を開始する。
【0038】
この支持ユニット56の内部について
図6及び
図8により説明するが、説明のためフロント上ベース板62bを省いている。まず、先行ユニット側板95側から後行ユニット側板96に向かって、複数列この実施例にあっては3列からなる押えローラ(この押えローラを総称して符号70で示している)対が設けられている。これらの押えローラ70はその列ごとに対のローラ間(折りループ厚さ方向)の間隔が異なっている。すなわち、一列目のローラは第1上押えローラ71とシート折り目位置を中央としてほぼ等しい対向位置で所定間隔離れた位置に第1下押えローラ72が配置されている。これらの押えローラ70は、後述するように押えローラユニット81として構成され、この押えローラユニットは押えローラ70を支持している。
【0039】
図示のものは、第1上押えローラ71の軸である第1上押えローラ軸78aがこれを支持する第1上押えローラ支持アーム91aに取り付けられ、この第1上押えローラ支持アーム91aはモールド部材からなり板金で中空に折り曲げ加工された第1上押えローラフレーム86aに取り付けられてユニット化されている。
【0040】
さらに、上記第1上押えローラ71と第1上押えローラフレーム86aの天板との間には、この第1上押えローラ71を常時折りループを押圧する方向(
図8の下方向)に付勢する第1上押えローラ押圧バネ147aが配置されている。また、上記第1上押えローラ支持アーム91aには支持アーム長穴94が設けられている。従って、第1上押えローラ軸78aはこの範囲で移動可能となっており、支持ユニット56に取り付けられたときは、この支持アーム長穴94が第1上押えローラ71の移動を規制することになる。
【0041】
また、折りシートの折りループBLを挟んで対向する位置ある第1下押えローラ72も、上記同様に第1下押えローラ72の軸である第1下押えローラ軸78bはこれを支持する第1下押えローラ支持アーム91bに取り付けられている。この第1下押えローラ支持アーム91bもモールド部材からなり板金で中空に折り曲げ加工された第1下押えローラフレーム86bに取り付けられてユニット化されている。また、同様に上記第1下押えローラ72と第1下押えローラフレーム86bの天板との間には、この第1押えローラ72を常時折りループを押圧する方向(
図8の上方向)に付勢する第1下押えローラ押圧バネ147bが配置されている。
【0042】
さらに、上記第1下押えローラ支持アーム91bは支持アーム長穴94が設けられている。従って、第1下押えローラ軸78bはこの範囲で移動可能となっており、支持ユニット56に取り付けられたときは、この支持アーム長穴94が第1下押えローラ72の上方への移動を規制する。
【0043】
また、2列目の第2上押えローラ73を支持する第2上押えローラユニット83a及びと第2下押えローラ74を支持する第2下押えローラユニット83b、さらに3列目の第3上押えローラ75を支持する第3上押えローラユニット84a及びと第3下押えローラ76を支持する第3下押えローラユニット84bも1列目と同様にユニット相互が対向するような構成となっている。
【0044】
従って、各々の押えローラ70は押えローラ支持アーム90に支持されて押えローラ押圧バネ146とともに押えローラユニット81として予め組み立てられてユニット化され、この押えローラユニット81の支持ユニット56への組み込みが容易に行える。尚、この押えローラ70のユニット構成については
図9により再度説明する。
【0045】
[支持ユニットにおける各押えローラの関係]
次に、支持ユニットにおける各押えローラ70の関係について説明する。
図7によく示されているように、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とのローラ相互の間隔L1は常時一定に保たれている。本実施例においては、このL1は、略14ミリメートルに設定してある。また、
図8に示される第1上押えローラ押圧バネ147a及び第1下押えローラ押圧バネ147bは両ローラが接触した状態で各略4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。
【0046】
また、
図7に示されているように、第2上押えローラ73と第2下押えローラ74とのローラ相互の間隔L2も常時一定に保たれている。本実施例においては、このL2は、略7ミリメートルに設定してある。また、
図8に示される第2上押えローラ押圧バネ148a及び第2下押えローラ押圧バネ148bは両ローラの接触時相当で、各略4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。
【0047】
以上のように、1列目の第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とは
図7に示す様に所定各間隔L1(本実施例では略14ミリメートル)、2列目の第2上押えローラ73と第2下押えローラ74とは同様に所定間隔L2(本実施例では略7ミリメートル)離間をしている。これは、各押えローラ70を支持する押えローラ支持アーム90の支持アーム長穴によってその移動範囲を規制するとともに1列目2列目の押えローラユニット81の支持ユニットへの取り付け位置を設定している。従って、これにより1列目2列目の押えローラ70相互は所定以上狭くならないように位置規制されていることになる。
【0048】
しかし、この実施例における最終列としての3列目の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76とは
図6から
図6から
図9に示されるように、常時圧接可能に弾性付勢されている。これは、ローラ間隔L3=0になるように、3列目の押えローラユニット81の位置を規定している。なお、この実施例にあっては、
図8の第3上押えローラ押圧バネ149a及び第3下押えローラ押圧バネ149bもローラ接触位置で各略4.0キログラムの荷重が与えられるように設定されている。これより、折りシート束BSの折りループ(ループ先端の折り目BL1)には両側に4キログラムを超える荷重が与えられながら、押えローラ70が順次折りループを押圧する段階折りを行うことになる。従って、各押えローラ70はシートを押圧する方向に付勢されている。この段階折りの動作については
図11から
図13によって後述する。
【0049】
[ガイドプレートの説明]
ここで、各々の押えローラ70の間に配置されて折りループを案内するガイドプレート201について
図6から
図8により説明する。図示の様に、第1列目の第1上押えローラ71と2列目の第2上押えローラ72の間に第1上ガイドプレート201aが配置され、第2上押えローラ72と3列目の第3上押えローラ75との間には第2上ガイドプレート202aが配置されている。また、これらと折りループを挟んで対向する位置である第1列目の第1下押えローラ72と2列目の第2下押えローラ74の間に第1下ガイドプレート201bが配置され、この第2下押えローラ74と3列目の第3下押えローラ76との間には第2下ガイドプレート202bが配置されている。
【0050】
この各ガイドプレート201は先端が各押えローラ70の周面に延設したガイド部203と有し、基端部側は押えローラユニット81に取り付けられている。この取り付けの構造については
図9で説明を加えるが、このガイド部203は支持ユニット56の移動(
図8図中の矢印UB方向への移動)で押えローラ70が移動する際に、この押えローラ70の対向する間隔に応じ位置決めされ、この押えローラ70とガイドプレート201のガイド部203でロート断面(3列目ローラを頂点とする二等辺三角形)形状に構成することによって折りループ端部が各押えローラ70の間に巻き込まれることを付勢でいる。
【0051】
次に、押えローラ70とガイドプレート201の先端側に形成されたガイド部203との位置関係について特に
図8により説明する。ガイドプレート201は図示の様に上下2組ずつ4つ配列されているが、このうち第1上押えローラ71と第2上押えローラ73との間に配置たされた第1上ガイドプレート201aについて説明する。この第1上ガイドプレート201aの先端が膨出して第1上押えローラ71と第2上押えローラ73とローラ間に位置する第1上ガイド突出部(凸部)211a側より延設されて膨出した第1上ガイド部203aを形成してある。この第1上ガイド部203aは、第1上押えローラ71(下流)側の第1上ガイド下流部209aから第2上押えローラ73(上流)側に向かって図示下方に傾斜した第1上ガイド傾斜部205aを有している。この延設と傾斜は、折りループBLの端部が第1上押えローラ71と第2上押えローラ73の間に巻き込まれたり、引っ掛かりを生じたりすることを防ぐために設けられている。
【0052】
第1上押えローラ71、第2上押えローラ73と第1上ガイド部の関係は、前記第1上ガイド傾斜部205aに対して下流側の第1上押えローラ71の支持ユニット56移動方向と略直交する方向で下流側の第1上押えローラ71の中心軸である第1上押えローラ軸78aを通る垂線nに、この下流側の 第1上押えローラ71の周面で略直角を成す接線Tが上記第1ガイド傾斜部205aに交差する関係(Tの矢印が当接する関係)に配置してある。なお、この場合の接線Tは、折りループBL端部をガイドする範囲内にあればよい。
【0053】
また、前記第1上ガイド傾斜部205aとこの上流側に位置する第2上押えローラ73との関係は、この第2上押えローラ73の中心軸である第2上押えローラ軸79aを通る上記支持ユニット56の移動方向に沿う直線mと、この直線mと略直角を成す垂線nで囲まれる第1上ガイド傾斜部205aの上流側の第2上押えローラ73の周面の範囲に第1上ガイド上流部207aが対応する関係(PT矢印が当接する関係であり、実質的に第2上押えローラ73の
図8左下の1/4の周面の範囲に位置する関係)に夫々配置してある。
【0054】
上述の関係にすることによって、これにより、このガイド部203は支持ユニット56の移動方向に延びて前後の押えローラ70周面を露出するようになって全体としてロート断面状(下流側を底辺とし上流側を頂点としたた略二等辺三角形状)に折りループを案内することとになり、段階的な折り込みが比較的スムーズに行える。
【0055】
[押えローラユニットへのガイドプレートの取り付け]
本実施例にあっては、ガイドプレート201のガイド部が各押えローラ70と上述の関係に設定してあるので、相互の正確な位置出しが必要となる。そこで
図9に示すような取り付け構成を有している。
図9(a)は第2上押えローラユニットにガイドプレートが位置決めされた斜視図である。
図9(b)はこの斜視図の断面説明図である。
図10は
図9取り付け構成の変形例である。以下、説明する。
【0056】
ここで先に多少触れたが、第2上押えローラユニット83aについて先に説明を追加しておく。
図9(a)に示すように、第2上押えローラユニット83aは、折りループBLを押圧する回転可能な第2上押えローラ73と、この第2上押えローラ73を支持する第2上押えローラブラケット142aをその内壁で摺動可能に保持する第2上押えローラフレーム87a(フレーム)を有している。
この第2上押えローラフレーム87aと上記第2上押えローラブラケット142aの間には、図示様に第2上押えローラ73をシート押圧方向に付勢する第2上押えローラ押圧バネ148a(弾性スプリング)が左右に2本第2上押えローラバネ受け162aを介して取り付けられている。
【0057】
さらに、図示の第2上押えローラフレーム87aの左右その面には、上記の第2上押えローラ73の第2上押えローラ軸79aを支持アーム長穴94で移動可能に支持する第2上押えローラ支持アーム92aが取り付けられている。この第2上押えローラ支持アーム92aの取り付けは、第2上押えローラフレーム87aの側部に設けられた開口に、これに嵌合するアームフック92afによって係止されている。一方、第2上押えローラ支持アーム92aの支持アーム長穴94は第2上押えローラブラケットに個設したローラブラケット軸157もEリング158によって移動可能に取り付けられている。これらによって、ユニット化されて第2上押えローラユニット83aが構成されている。
【0058】
したがって、
図9(a)に示に示す様に、第2上押えローラ支持アーム92aがアームフック92afで係止されてユニット化されているので、この状態で支持ユニット56に組み付けてネジ89で容易に取り付けることができる。この構成は
図6から
図8のすべての押えローラユニット81が同様になっている。また、第2上押えローラユニット83aは支持ユニット56に対して位置調整が可能なようにその頂部に第2上押えローラユニット調整ネジ182aが取り付けられている。
【0059】
以上により、第2上押えローラ73やこれを付勢する第2上押えローラ押圧バネ148aなどをユニット化した第2上押えローラユニット83aを支持ユニット56に取り付け可能としたので、組み付けが容易となる。また、第2上押えローラユニット83aは支持ユニット56に対して上下に調整可能な第2上押えローラユニット調整ネジ182を設けている。これにより折りループBLに対して最も適切な押圧する位置が設定できる。
【0060】
次に、上記の第2上押えローラユニット83aに対して、支持ユニット56移動方向の下流側に位置する第1上ガイドプレート201aの取り付け構成について説明する。
図9(a)の斜視図にあるように、第2上押えローラユニット83aの第2上押えローラフレーム87aの上流側の外壁には、フレームの一部を図示の様に切り欠いたフレーム切り欠き部右145aとフレーム切り欠き部左145bが設けられている。この切り込みに対して、第1上ガイドプレート201aの第2上押えローラユニット83a側面(下流側面/裏面)には、その第1上ガイド部203aの上方の取り付け部側に第2上押えローラユニット83aに向かって突出した第1上ガイド突出部(凸部)211aが形成してある。また、
図9(b)の断面説明図によく示されるように、第1上ガイドプレート201aの第1上ガイド部203aの反対側の上端部には、第2上押えローラユニット83aの上端部に嵌合するガイド係止部213aが設けてある。
【0061】
この第1上ガイド突出部(凸部)211aが上述のフレームの一部を図示の様に切り欠いたフレーム切り欠き部右145aとフレーム切り欠き部左145b及び第2上押えローラユニット83aの上端部に嵌合するガイド係止部213a夫々勘合して第2上押えローラ73とこの第1上ガイドプレート201aとの位置関係がユニット組み立て時に設定できるようになっている。これによれば上ガイドプレート201aの第1上ガイド部203aと第2上押えローラ73との位置関係が制度よく設定できる。
【0062】
なお、図示のものは上ガイドプレート201aの取り付けはこの凹凸関係でなされおり、第2上押えローラユニット83aと第1上押えローラユニット82aとで挟み込むようになっていて、特に取り付けネジなどがなくとも容易に取り付けることができる。
以上の構成によれば、第1上ガイドプレート201aの第1ガイド部203aと第2上押えローラ73との位置合わせが制度よくできる。
【0063】
これらの構成は、他の各ガイドプレート201とこのガイドプレート201の上流側の押えローラユニット81も同様に構成されている。
これにより、折りループの押えローラ70対を列として配置する際に、この前後の押えローラ70間にシート端部が巻き込まれてしまうこと防ぐガイドプレート201を凹凸部相互の嵌合により、容易かつ位置精度を保ちながら取り付けることができる。
【0064】
次に、
図9の変形例を
図10により説明する。
図9では、第1上ガイドプレート201aをその上流側に位置する第2上押えローラユニット83aに取り付けたが、
図10のものはこの上ガイドプレート201aを下流側に位置する第1上押えローラユニット82aで位置決めして取り付けてある。
なお、この変形例も第1上押えローラ71を保持する第1上押えローラ支持アーム91aは第1上押えローラフレーム86aの側部切り欠き係合するアームフック91afによりユニット化されている点など
図9のものと同じ構成となっている。
【0065】
図10に示される第1上押えローラユニット82aの第1上押えローラフレーム86aには、フレーム上流側面300に長方形形状に切り欠いた上流側切り欠き部302が設けられている。この上流側切り欠き部302に第1上押えローラユニット82aの下流側面に設けた下流側突出部(凸部)306が嵌合するようにもうけてある。これによれば上ガイドプレート201aの第1上ガイド部203aと第1上押えローラ71との位置関係が制度よく設定できる。
【0066】
[支持ユニットの動作説明]
ここからは、
図11から
図13により折りユニット50内の支持ユニット56の折りシート束BSへの搬入、段階的な押圧動作について説明する。これらの
図11から
図13は、束排出口側からの見た支持ユニット56で、説明の都合上この支持ユニット56のユニットベース板62aを省略したものである。
図11は支持ユニット56がホームポジション(HP)に位置し折りシート束BSの搬入に備え待機している状態を示している。
図12は支持ユニット56が折りシート束BSの幅方向中程まで移動し3列のローラによる折りループBLのシート束幅BWを段階的な折りを行っている状態を示している。
図13は、3列のローラによる段階的な段階折りが完了し支持ユニット56が折り返しポジションである終端位置(EP)に位置している状態を示している。以下、各状態について説明する。
【0067】
まず
図11では、3列の押えローラを有する支持ユニット56のユニットフラグ107が右側板53に取り付けられたホームポジションセンサ108に検出され、支持ユニット56はホームポジション(HP)に位置している。この位置で、後述する「段階折りモード」が設定されている場合は、折りローラ45で折り曲げ処理され、折りシート搬送パスBPを搬送されてくる折りシート束BSの搬入を待つ。
【0068】
ところで、このホームポジション(HP)に位置する支持ユニット56は、移動方向から順に相互の間隔が狭くなり、最終列は圧接する押えローラ70が設けられている。既に説明しているように本実施例にあっては1列目の第1上押えローラ71と第1下押えローラ72が略14ミリメートルの間隔を持って配置されている。また、2列目の第2上押えローラ73と第2下押えローラ74が略7ミリメートルの間隔を有している。さらに3列目の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は領域R1で相互に圧接している。さらにこれらのローラ相互の離間及び圧接の中心は折りシート束BSの中心である折りシートの折りループ先端(折り目)BL1に略一致するように配置されている。
【0069】
この折りシート束BSの折りループが所定の大きさ(本実施例にあってはループの上下方向が、例えば22ミリメートル)になると、折りローラ45を停止させて支持ユニット56を
図11右側にユニット駆動モータ69の駆動で移動させる。この移動が開始すると折りシート束の図示左側(一方)の端部(シート端部)を一列目の第1上押えローラ71と第1下押えローラ72が乗り越え、折りシート先端ループBL1からやや上方の位置に折り目をつけながら左側に移動する。先ほど述べたように本実施例におけるループの大きさは略22ミリメートル程度であり、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72との間隔は略14ミリ程度とされているので、上下に略4ミリメートル弱オーバラップし、これが
図14(a)に示す第1の折り線100を付与することになる。
【0070】
また、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72との間隔が開いているので、折りシート束BS端部をそれほど損傷することなくこれらのローラが乗り越えることになる。また、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72を含む押えローラ70はシート搬送方向と同方向に軸支され、この軸上で回転自在に支持されている。この回転によっても折りシート束端部の乗り越えが容易となる。
【0071】
さらに、第1上押えローラ71、第2上押えローラ73、第3上押えローラ75の移動方向の間には第1上ガイドプレート201a、第2上ガイドプレート202aが配置されている。一方、折りループBLを挟んでこれらと対向する第1下押えローラ72、第2下押えローラ74、第3下押えローラ76の移動方向の間には第1下ガイドプレート201b、第2下ガイドプレート202bが配置されている。これらにより、折りシート束BSの折りループBLはローラ間に侵入することなく上流側の押えローラ70間にスムーズに案内される。
【0072】
支持ユニット56が引き続き移動すると、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とのとの間隔で押圧されたループは、さらに第2上押えローラ73と第2下押えローラ74とのやや狭められた間隔で折りシート束BSのループを押え付けて第2の折り目をつけることになる。本実施例におけるさらに第2上押えローラ73と第2下押えローラ74との間隔は略7ミリメートルに設定され、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72とのとの間隔よりも上下にそれぞれ略3.5ミリメートル程度オーバラップし、これが
図14(b)に示す第2折り線101を付与することになる。
【0073】
これに引き続き、3列目のローラである第3上押えローラ75と第3下押えローラ76にその折り目BL1が段階折りされる。すなわち、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は、その間隔は0として略圧接状態となっているので、折り目のシート厚さ方向の分シートを第3上押えローラ押圧バネ149aと第3下押えローラ押圧バネ149bに押圧されながら段階折りされることになり、これが
図14(c)に示す最終折り線102を付与することになる。
【0074】
上記の内容で折りシート束BSを1ユニット内で段階的に押圧して支持ユニット56が折りシート束BSのシート幅方向略中央に位置した状態が
図12に示されている。この状態からさらに支持ユニット56は図示右側に向かってシートの折り目厚さ方向から相互の間隔が狭くなる押えローラ70により段階的にシートに折り線を付与しながら移動する。この移動により、折りシート束の図示右左(一方)端部(シート端部)を3列目の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76が通過して押えローラにより順次押圧して段階折りを行う。
【0075】
この通過後、支持ユニット56が図示の左側板54側の折り返しポジションである終端位置(EP)に到達する。この状態が
図13に示されている。この折り返しポジションに到達するとユニット駆動モータ69の駆動を停止する。その後、段階折りを施した(押えローラ70での押圧完了した)折りシート束BSが折りローラ45及び束排出ローラ49の排出方向への回転により排出されるのを待つ。段階折りされた折りシート束BSの排出完了が
図2に示した束排出センサ(SEN4)131で検出されると、支持ユニット56を折り返しポジションからホームポジション(HP)に復帰させ、
図11の位置で次の折りシート束BSの搬入に備える。
【0076】
なお、上記においては
図13の段階折りした折りシートBSを一旦排出してから支持ユニット56を終端位置(EP)からホームポジション位置(HP)に復帰するようにしたが、折りシート束BSを排出することなく、再度支持ユニット56を
図13の右側から左側に移動して、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76により、折りシート束BSの折り目を再度押圧させながら、ホームポジション(HP)に復帰させれば、最終列の段階折りをより確実にすることもできる。
【0077】
以上のように、本実施例にあっては、折り曲げられた折りシート束BSに対して支持ユニット56により、3段階の折りを実行している。この折り動作を行って排出した折りシート束BSについて
図14により説明する。これまで説明してきたように、本発明のシート束の押圧部材としての第1上押えローラ71と第1下押えローラ72で折りシート束BSの折り目厚さ方向(折り目で折りシート束BS搬送方向と交差する上下方向)から、折りローラ45で折り目がつけられ折りループBLが生じた箇所を折り目方向に移動して複数の折り目を付けている。
【0078】
既に説明したように、第1段階の第1上押えローラ71と第1下押えローラ72の間隔を折りループよりもやや狭い間隔 (本実施例にあってはループ高さ22ミリメートルに対して略14ミリメートル) に規定して、折りローラ45によって付けられた折り目に沿って移動して第1段階の折り目をつける。これが、
図14(a)の実線矢印が示す第1折り線100であり、
図15(a)では折りシート束BSに薄いラインで第1折り線100として表れている。これは、
図14(a)の様にループとなった部分に第1上押えローラ71と第1下押えローラ72で押えられた部分が集中荷重を受けシート束が座屈し折り生じ、第1上押えローラ71と第1下押えローラ72の幅方向への移動により第1折り線100となって現れるからである。
【0079】
次に、第2段階はシート束の押圧部材としての第2上押えローラ73と第2下押えローラ74の間隔は、第1段階で押圧形成したループよりもやや狭い間隔 (本実施例にあっては略7ミリメートル) で規定してあり、折りローラ45によって付けられた折り目に沿って移動して第2段階の折り目をつける。これが、これが、
図14(b)に示す第1折り線100よりも背側に位置する実線矢印が示す第2折り線101であり、
図15では折りシート束BSに薄いラインで第2折り線101としてあらわれている。これも、
図14(b)の様にループとなった部分に第2上押えローラ73と第2下押えローラ74で押えられた部分が集中荷重を受けシート束に座屈し折り生じ、第2上押えローラ73と第2下押えローラ74の幅方向への移動により第1折り線101となって現れるからである。
【0080】
最終の段階としてシート束の押圧部材としての第3上押えローラ75と第3下押えローラ76は、第3上押えローラ押圧バネ149aと第3下押えローラ押圧バネ149bとの弾性力で押圧している。この最終列階では、第1段階、第2段階のように第3上押えローラ75と第3下押えローラ76の間隔をあけていない。(本実施例にあっての規制間隔は0ミリメートル)。
【0081】
従って、最終列階での押圧は折りシート束BSの押圧した厚さの位置を、第3上押えローラ75と第3下押えローラ76で押圧しながら折り目方向に移動する。この最終列の押えローラ70の折り目は折りシート束BSに、
図14(c)の実線矢印が示す最終折り線102であり、
図15(a)では折りシート束BSに比較的濃いラインで最終折り線102として表れている。
【0082】
なお、折りシート束BSの幅方向端部には、折りローラ45及び押えローラ70の圧接状態からシートに乗り上げる際の端部折り目103が形成されている。これは略圧接状態の第3上押えローラ75と第3下押えローラ76で押えられる部分は折り目を強化された最終折り線102として現れている。
【0083】
以上のように、各押えローラ70を異なる間隔で座屈させて折り目が形成されるようにし、これにより第1段階の薄いラインである第1折り線100、第2段階の薄いラインである第2折り線101、及び最終列階の折りシート束BS厚さに応じて生じた比較的濃いラインである最終折り線102の各ライン位置で、折りシート束BSの閉じ方向(折り目を通過する搬送方向の線)側への折り方向が向くことにより、これまでの折り目押えローラで端に押圧するものに比べ、排出後も折りシート束BSが開いてしまい、整列性や集積性が低下することを防止できる。
【0084】
[段階折りを実行した折りシート]
以上述べた通り、これまでの折り目のみを押圧するものに比べ、折りシートが開くことが少なくなったが、さらに改善の余地があることが分かった。すなわち、
図15はこれまでにも説明したが、
図14で押えローラで押圧された冊子を示す図で、
図15(a)は
図11から
図13までの支持ユニットによって押圧された折りシート束は、折りシートの幅方向端部の折りが甘くしっかりと折れていない状態となった。
図15(b)に示す様に、支持ユニット56のホームポジション(HP)側の第1段階の薄いラインである第1折り線100の端部100HT、第2段階の薄いラインである第2折り線101の端部101HTには明確な折り線が現れていなかった。また、特に折り返しポジションである終端位置(EP)側の第1段階の薄いラインである第1折り線100の端部100ET、第2段階の薄いラインである第2折り線101の端部101ETは折り線があまり付与されていないことが判明した。
【0085】
この折りシートの幅方向の両端部、言い換えると支持ユニット56のホームポジション(HP)側と終端位置(EP)側の端部の折りがしっかりとなされない原因を探求し、本発明者は折りシートの折りループのコシである反力が異なる目であることを解明した。
図16はこれを確認するために行った実験であり、用いたシートはA4サイズ、坪量81.4g/m
2で幅240mmを折りローラ45で位置と折った折りシートの支持ユニット56ホームポジション側の折りシート束端部から30mm位置Pr1と60mm位置Pr2と、折りシートの幅方向中央位置Pr3をプッシュゲージで、15mmまで押し込んで測定した。その測定結果は下記の表の様になった。尚、
図16のBW表記は束シートの幅の幅を示し、半分の幅は2/BWで表わしている。
【0087】
上記の表からわかるように、折りシートの折りループのコシ(反力)は中央が最も高く、端部側が低くなることが分かった。また、実際に支持ユニット56を移動して、折りシートの折りループ部分を観察するとホームポジション(HP)側の端部Pr1までの折り線と端部からは同じ30mmの位置にある終端位置(EP)側のPr4とシート束終端までの折り線は、Pr4から終端までの折り線がより付きにくいことも解った。これは実際に、支持ユニット56を移動する場合には、移動方向にシート連続の有無に関係すると思われる。したがって折り枚数の程度によっては、終端位置側のみに折り線を付与するように支持ユニットを一部で往復動しても良い。
【0088】
[支持ユニットの移動]
次に、支持ユニット56の折りループに対するシート幅BW方向での支持ユニット移動について説明する。尚、矢印UBは支持ユニット56の移動方向を示し、
図17は、既に説明した
図11から
図13までの支持ユニットの移動を説明し、
図18と
図19はこの
図17の支持ユニット56の移動を改善した本発明に係わるものを示している。以下、順次説明する。
【0089】
[これまでの支持ユニットの移動]
図17は既に
図11から
図13で説明したのでここでの詳細な説明は省略するが、
図17(a)では支持ユニット56がホームポジション位置(HP)から終端位置(EP)に向かって移動して折りシートの折りループに対して第1上押えローラ71と第1下押えローラ72から順次互いに圧接する第3上押えローラ75と第3下押えローラ76とまでで順次押圧して折りシートを排出する。
図17(b)では、支持ユニット56がシート束幅BWの方向に往復して折りループを押圧する。ここでは特に、互いに圧接する第3上押えローラ75と第3下押えローラ76が折りループを2回押圧するので上記の
図17(a)の押えに比べてより折りができる。しかしながら、特に終端位置(EP)側の折りループ端部は折り目が付きにくく、
図14及び
図15に示す様に折り目が弱く改善の余地があった。
【0090】
[本発明に係わる支持ユニットの移動]
そこで、端部、特に終端位置(EP)側の端部の一部領域を複数回押圧することによって折り目を明確にしたものが、
図18と
図19に示すものである。
【0091】
(第1実施例)
図18は上記の
図17(a)の終端位置(EP)側で支持ユニット56を一部往復して折りシート端部を押えたものである。支持ユニット56は終端位置(EP)で図示の様に終端位置(EP)側の折りシート終端に達すると今度はホームポジション位置(HP)側に戻り復帰する。この復帰移動は、シートの束幅の約1/4から約1/5に設定されている。この約1/4から約1/5を支持ユニット56が移動すると、再び終端位置(EP)側に向かって移動し折りシートの折りループを抜けて終端位置(EP)に移動し、押圧した折りシート束を排出し、次の折りシートの搬入を待つ。これによれば、終端位置(EP)側の折りシート端部を複数回押えローラ70で押圧するので、
図17の支持ユニット56で押圧された折りシートに比べ、終端位置(EP)側の端部側が確り折られる。
【0092】
(第2実施例)
図18(b)は、
図18(a)の支持ユニット56が終端位置(EP)側端部で支持ユニット端部移動端部移動UBT1、UBT2の往復移動の後、ホームポジション位置(HP)に復帰する。その後、最初の折りシート束を排出し、このホームポジション位置(HP)で、次の折りシート束の搬入を待つ。この実施例2によれば、支持ユニット56の終端位置(EP)からホームポジション位置(HP)への復帰の過程でも折りシートの折りループを重ねて押圧するので、終端位置(EP)側端部の折りが確りなされるとともに、実施例1のものよりも折り目が付きやすくなる。尚、支持ユニット端部移動端部移動UBT1、UBT2の往復移動の範囲は、シートの束幅の約1/4から約1/5に設定されていることは実施例1と同様となっている。
【0093】
(第3実施例)
次に、
図19(a)で第3実施例を説明する。ここでは、支持ユニット56が折りシート幅方向のホームポジション位置(HP)側と終端位置(EP)側の両端部付近で往復動を行う。すなわち、支持ユニット56は、ホームポジション位置(HP)から折りシートの折りループに移動し、この付近で支持ユニット端部移動端部移動UBT1、UBT2の往復移動の後を行い、その後終端位置(EP)に向かって移動する。この移動が完了すると、折りシートを排出し次の折りシートの搬入を待つ。これによれば、
図18で示したものに比べ、ホームポジション位置(HP)側でもシートの束幅の約1/4から約1/5に範囲の端部付近を支持ユニット56が往復動するので、折りループの両端部がよりしっかりと折り込まれる。
【0094】
(第4実施例)
次に、
図19(b)により、支持ユニット56の移動につき第4実施例を説明する。この実施例では、支持ユニット56が折りシート幅方向のホームポジション位置(HP)側と終端位置(EP)側の両端部付近で往復動を夫々行い、その後に支持ユニット56を終端位置(EP)からホームポジション位置(HP)に移動するのである。その後折りシート束を排出して、次の折りシート束の搬入を待つもので、一部のシート束を処理する時間はかかるが、もっと折り精度が向上する。ここにおいても、シートの束幅の約1/4から約1/5に範囲の端部付近を支持ユニット56が往復動する。なお、先に終端位置(EP)側の往復を行い、その後折り返して初期位置であるホームポジション位置(HP)側で往復動を行っても良いことは言うまでもない。
【0095】
[支持ユニットの両端部一部往復動した折りシート]
上記の
図19における実施例3及び実施例4の折りシートに対する支持ユニット端部移動端部移動UBT1、UBT2の往復移動を行った後の折りシート
が
図20に示してある。この図はシート端部を支持ユニット56で往復動を行っていない
図15と対比してみると、
図20(a)に示されるように折りシート(冊子)両端部に第1折り線100と第2折り線101が明白に付与され、確実に端部まで折りがなされている。
【0096】
図20(b)は、支持ユニットの進入側であるホームポジション(HP)側の第1段階の薄いラインである第1折り線100の端部100HT、第2段階の薄いラインである第2折り線101の端部101HTには明確な折り線が現れた状態を示している。また、
図20(c)に示す様に、折り返しポジションである終端位置(EP)側の第1段階の薄いラインである第1折り線100の端部100ET、第2段階の薄いラインである第2折り線101の端部101ETにも折り線が付与されるようになった。これにより、折りシートの幅方向端部に支持ユニット56の一部往復動を施すことで、折り目が確りと付与され第2排紙トレイ22に排出後も折り部が開くことが少なくなり、集積性も向上し、また、見栄えも良い折り冊子を提供できるようになった。
【0097】
なお、
図20では、
図18に対応する終端位置(EP)側でのみ支持ユニット56を一部往復して折りシート端部を押えたものではないが、折り枚数があまり多くない場合には、比較的腰の弱い終端位置(EP)のみを行えば、排出後の冊子が折り目で開くことが少ないので、場合によっては一方のみの支持ユニット56の往復動で足りる。
【0098】
(実施例5)
ここで、これまでの
図17から
図19までの折りシートの折りループ(折り目)に対する支持ユニット56で押圧移動についても、
図21の流れ図で整理して説明する。折り目押圧の指示をオペレータがコントロールパネル18(
図1、
図23)からしておくと、折りローラ45で折られた折りシートが折りユニット50に搬入して予め定められた位置で停止する(F1)。折りシートの搬入が完了すると段階的に折り目を押圧する押えローラを支持する支持ユニット56をホームポジション位置(HP)から移動を開始する(F2)。
【0099】
次に、先ほどのオペレータの指示により、支持ユニット56の折りシート幅の全域移動のみで端部の往復動をしない場合(F3)、支持ユニット56の折りシート幅の全域移動に加え、終端位置(EP)のみで端部の往復動を行う場合(F4)、そして支持ユニット56の折りシート幅の全域移動に加え、初期位置であるホームポジション位置(HP)と終端位置(EP)の折シート両端で一部往復動を行う場合(F5)が選択される。さらに支持ユニット56がホームポジション位置(HP)から終端位置(EP)までの往路で待機して折りシートを排出するか、あるいはホームポジション位置(HP)から終端位置(EP)に移動してさらに初期位置であるホームポジション位置(HP)復帰してから折りシートを排出して、2部目の折りシートを折りユニットに搬入する(F12)かも選択可能(F6からF11までの6通り)となっている。
【0100】
つまり、先に説明した
図17(a)が
図21(F6)に、
図17(b)が
図21(F7)に対応している。また、
図18(a)が
図21(F8)に、
図18(b)が
図21(F9)に対応している。さらに、
図19(a)が
図21(F10)に、
図19(b)が
図21(F11)に夫々対応していることになる。したがって、
図21の際下段の矢印で示す様に、折りループの段階的な折りに要する時間が増えると折り精度を向上させることになる。もちろん、折りローラ45で折り処理された折りシートを支持ユニット56の押えローラで折り処理することなしに束排出することも選択できる。ここまでは、オペレータ―がコントロールパネル18から手動で支持ユニット56の移動を入力した例を示したが、以下に示す様に折りシートの枚数や厚さによって移動を変えても良い。
【0101】
(実施例6)
これまでは、オペレータが入力して支持ユニット56の移動を選択するようにしたが、
図22のフローチャートに示すように折りシートの枚数あるいは厚さの程度によって、支持ユニット56の移動をしても良く、以下これに説明する。コントロールパネル18から「折りループ段階折り」の実行を指示して置く。するとまず、折り枚数の枚数をカウントする。このカウントは搬入ローラ24の下流側の搬入センサSEN1で行うが、画像形成装置本体からのカウント情報を受信して設定しても良い。また、厚さ測定の場合は、折りローラローラの軸間を測定すればよい。以下は、枚数を例にする。
【0102】
折りシート枚数が10枚を越えるか否かを、後に説明する折りシート段階折り制御部124(制御部)で判断する(S1)。この判断で折りシート枚数が10枚を超えない(No)場合は、図示右に進み支持ユニット56は折りシート束の全域移動のみを行い、終端位置(EP)で待機(
図17(a))して、折りシート束を排出するとともに次シートがある場合は束の搬入を待つ(S6)。
【0103】
一方、10枚を越える(Yes)と判断された場合は、さらに15枚を越えるか否かを判断する(S3)。この判断で越えない(No)場合は、図示左側に進み支持ユニット56での折りシート幅の全域移動と終端位置(EP)の終端部の往復動を行い、終端位置(EP)で待機(
図18(a))して、折りシート束を排出するとともに次シートがある場合は束の搬入を待つ(S6)。ここで15枚を超える(Yes)場合には、支持ユニット56での折りシート幅の全域移動とホームポジション位置(HP)との終端位置(EP)の両端部の往復動後にシート束を排出し、次シートがある場合は束の搬入を待つ(S6)。
【0104】
以上の様に、折りシート束の枚数により、幅方向端部の往復動を行うか、行う場合は、終端位置(EP)側のみか、両端を行うかを自動的に判断する。この様に設定することで、押えローラ70の押圧の時間を短縮しかつ折り精度を向上することができる。尚、折り枚数が1から3枚程度の場合は,この支持ユニット56を移動することなく、折りローラ45のみの折りで束排出を行い、処理速度を上げることもできることは言うまでもない。
【0105】
[制御構成の説明]
これまで、説明した折りユニット50を備えるシート処理装置B及びこのシート処理装置Bを含む画像形装置Aの制御構成を
図23のブロック図により説明する。画像形成手段を備える画像形成装置制御部110は、コントロールパネル18に設けられた入力手段111から所望の処理を入力する。この入力はモード設定手段によって、シート処理装置Bのシート処理装置制御部115を制御する。また、画像形成装置制御部110は、給紙部1の給紙制御部110bを制御するとともにシート処理装置制御部115に対して折り枚数または折りシート厚さ情報を出力する。
【0106】
本実施例のシート処理装置Bの処理モードは、次のモードを備えている。
すなわち、(1)画像形成がされたシートを第1排紙トレイ21に収容する「プリントアウトモード」。(2)本体排出口3からのシートを束状に部揃ええしてー端面綴じステープル装置33で綴じ後第1排紙トレイ21に収納する「ステープル綴じモード」(3)本体排出口3からのシートを第2の処理トレイであるスタッカ部35で束状に部揃えしてこのシート束の中程を中綴じステープラ40で綴じ後、冊子状に折り畳んで第2排紙トレイ22に収納する「束中綴じ束折りモード」。(4)中綴じして冊子状に折り畳んだシート束の折り目のループに支持ユニット56を移動して押えローラで折りループを段階的に押えて段階折りして、第2排紙トレイに22に収納する「段階折りモード」。これらのモードが指定可能なように構成されている。また、この「段階折りモード」では折り枚数に応じて、終端位置(EP)側やホームポジション位置(HP)側と終端位置(EP)側の折りシートの折りループ両端を一部往復動してより折り精度を上げるようになっている。なお、
図21に記載の様に、折り精度は手動入力によって選択しても良い。
【0107】
シート処理装置Bは、上記の指定されたモードによって動作可能とされるシート処理装置制御部115と、動作プログラムを格納したROM113と、制御データを記憶したRAM114を備えている。そして、このシート処理装置制御部115は、この装置内のシート搬送を制御するシート搬送制御部116と、1枚ごとにシートに1枚穿孔ユニット28で押圧処理を行う1枚穿孔制御部117と、処理トレイ29でシートの集積制御を行う処理トレイ制御部118と、この処理トレイ29にシート束として集積されたシートの端面側を綴じ、綴じ後排出する端面綴じ制御部119と、この処理トレイ29で綴じ処理されたシート束を集積するため集積量に応じて第1排紙トレイ21の昇降等を制御する第1排紙トレイ昇降制御部120とを備えている。
【0108】
また、シート束のシート搬送方向の1/2付近を綴じる中綴じたり中折りしたりする場合、シートのスタッカ部35にシート束を集積するスタッカ部制御部121で制御される。このスタッカ部制御部121は、1枚ずつスタッカ部35に搬入してくるシートの先端を規制するストッパ38や整合部材39で整列してシート束を生成する。さらに、シート束の中程にステープル針等を打ち込むように中綴じステープラを制御する中綴じ制御部122と中綴じされたシート束を折りブレード46で折りローラ45に押し込んで中折りを施すように制御するシート中折り制御部123を備える。このシート中折り制御部123は束搬入検出センサ(SEN3)129、特に図示していないがエンコーダセンサに結線されその出力信号により、折りローラ45を駆動する折りモータを制御する。
【0109】
この折りシート束BSに対して、これまで説明した「段階折りモード」に従って複数列の押えローラ70を支持する支持ユニット56を移動するユニット駆動モータ69に結線されこれを制御する折りシート段階折り制御部124(制御部)を備える。このシート折りシート段階折り制御部124(制御部)は、折りユニットがホームポジション(HP)にあることを確認するホームポジションセンサ108にも結線されている。また、特にこの発明に関係する、搬入ローラ24下流側に位置してシートの装置搬入を検出する搬入センサS1、折りローラ45下流で折りシート束BSの搬入を検出する束搬入センサ(SEN3)129にも連結されている。
【0110】
そして、段階折りが終了した折りシート束BSは、束排出ローラ49を駆動する束排出ローラ駆動モータに結線された中折りシート排出制御部125により制御されて第2排紙トレイに排出集積される。この中折りシート排出制御部は、束排出センサ(SEN4)131に結線されて折りシート束BSの排出動作を確認する。
【0111】
本発明に特に関連する、折りシートの端部の一部往復移動を含む段階折り制御については、これまで各機構の説明及び
図18から
図22までの各動作状態説明図で説明したので、ここでの説明は省略するが、その内容で段階折りを実行するように折りユニット50内の支持ユニット56の移動を制御する。
【0112】
以上のように、この発明を実施するための形態によれば、下記のような効果を奏する。
1.折りシートBSの折りループBLを押圧する一対の押え部材(押えローラ70)と、前記折シートの幅方向に移動するとともに前記押え部材相互の間隔が移動方向に段階的に狭くして複数列を支持する支持ユニット56とを備え、上記支持ユニット56が前記折りループのシート幅全領域移動とシート端一部領域の往復動を行って折りループを押え部材で押圧するシート処理装置である。
【0113】
これによれば、シートの幅方向の中央部の折りがなされるとともに、幅方向端部を繰り返して押えるので端部の折りが、より確実になされ、より折りシートが開きにくくなって見栄えも良くなり、折りシート束をスタックする際には集積性が向上する。
【0114】
2.上記複数列の押圧部材(押えローラ70)のうち移動方向の最終列の押圧部材(第3上押えローラ75、第3下押えローラ76)が互いに圧接し、最終列手前の押えローラ(第2上押えローラ73、第2下押えローラ74)は所定以上間隔(L2)が狭くならないように位置規制されている上記1に記載のシート処理装置である。
【0115】
これによれば、最終段の押えローラが折りシートの折り目を確実押圧するので、各押えローラの内側への折りととともにより一層折り込みがなされる。
【0116】
3.折りシートBSの折りループBLを押圧する対の押えローラ70と、前記折シートの幅方向に初期位置から終端位置に移動するとともに前記対の押えローラ相互の間隔が移動方向に段階的に狭くして複数列を支持する支持ユニット56とを備え、上記支持ユニット56は、上記複数列の対の押えローラ70のうち移動方向の最終列の押えローラ部材(第3上押えローラ75、第3下押えローラ76)が互いに圧接し、最終列手前の押えローラ第2上押えローラ73、第2下押えローラ74)を所定間隔で維持するように位置規制するとともに、この支持ユニットが前記折りループのシート幅全領域の移動とシート端の一部領域の往復動を行って折りループを押えローラ70で押圧するシート処理装置ある。
【0117】
これによれば、シートの幅方向の中央部の折りがなされるとともに、幅方向端部を繰り返して押えるので端部の折りが、より確実になされ、より折りシートが開きにくくなって見栄えも良くなり、折りシート束をスタックする際には集積性が向上する。
【0118】
4.前記支持ユニット56は、初期位置から終端位置に向かって上記折りループを押えローラ70で押圧して移動し、上記終端位置(EP側)付近で往復動して折りループ端部を複数回押えローラ70で押圧する上記3に記載のシート処理装置である。(
図18(a)参照)
【0119】
これによれば、特に折りシートの腰が弱い終端位置(EP)側を複数回押圧するので、この弱い部分の折り目もしっかりと付けられる。
【0120】
5.前記支持ユニット56は、初期位置(ホームポジション位置(HP))から終端位置(EP)に向かって上記折りループBLを押えローラ70で押圧して移動し、上記終端位置付近で往復動して前記折りループ端部を複数回押圧しその後初期位置に復帰しながら前記折りループを押えローラで押圧する上記3に記載のシート処理装置である。(
図18(b)参照)
【0121】
これによれば、特に折りシートの腰が弱い終端位置(EP)側を複数回押圧するので、この弱い部分の折り目もしっかりと付けられるとともに、初期位置への復帰過程でも折りシートの折り目を抑えることができるので、さらに折り精度が向上する。
【0122】
6.前記支持ユニット56は、初期位置(ホームポジション位置(HP))から終端位置(EP)に向かって折りループを押えローラ70で押圧移動する際に、まず上記初期位置付近で往復動して前記折りループの初期位置側端部を複数回押圧してから終端位置に移動し、その後前記終端位置付近で往復動して前記折りループ端部を複数回押圧する上記3に記載のシート処理装置である(
図19(a)参照)。
【0123】
これによれば、折りシートループBLの初期位置側付近と終端位置側付近の比較的腰の弱い両端を複数回押えローラで押えるので、より折り目が確実に付き、折りシートが開きにくくなって見栄えも良くなり、折りシート束をスタックする際には集積性が向上する。
【0124】
前記支持ユニット56は、初期位置(ホームポジション位置(HP))から終端位置(EP)に向かって折りループを押えローラ70で押圧移動する際に、まず上記初期位置付近で往復動して前記折りループの初期位置側端部を複数回押圧してから終端位置に移動し、その後前記終端位置付近で往復動して前記折りループ端部を複数回押圧し、再び初期位置に復帰する上記3に記載のシート処理装置である。(
図19(b)参照)
【0125】
これによれば、折りシートBSの折りループBLの初期位置側付近と終端位置側付近の比較的腰の弱い両端を複数回押えローラで押え、さらに初期位置への復帰過程でも押えるので、折り目が確実に付いて折り精度が向上し、折りシートが開きにくくなって見栄えも良くなり、折りシート束をスタックする際には集積性がさらに向上する
【0126】
8.折りシートBSの折りループBLを押圧する押えローラユニット81を複数支持して折りループに沿って初期位置から終端位置に向かって移動する支持ユニット56を備えるシート処理装置であって、上記押えローラユニット81は、折りループを押圧する回転可能な押えローラ70と、この押えローラ70を保持する押えローラブラケット140を移動可能に保持するフレーム(押えローラフレーム85)と、このフレームと上記ローラブラケットとの間に配置され押えローラをシート押圧方向に付勢する弾性スプリング(押えローラ押圧バネ146)をユニットして構成され、前記支持ユニット56は、前記押えローラユニット81を対向配置させて対として配置するとともに、対とした押えローラユニット相互の間隔が前記支持ユニット56の移動方向の下流から上流に向かって段階的に狭くなるように複数列を支持するユニットとして構成され、さらに上記支持ユニット56が上記初期位置から上記終端位置に移動して前記折りループのシート幅全域の移動と少なくとも上記終端位置付近のシート端部で往復動を行って折りループを押圧するシート処理装置である。
【0127】
上記によれば、押えローラユニットして支持ユニット56に組み込むので組み込み易いととともに、シートの幅方向の中央部の折りと幅方向端部を繰り返して押えるので端部の折りが、より確実になされ、より折りシートが開きにくくなって見栄えも良くなり、折りシート束をスタックする際には集積性が向上する。
【0128】
9.上記支持ユニット56は、上記初期位置付近のシート端部でも往復動を行って折りループの両端を押圧する上記8に記載のシート処理装置である。
【0129】
これによれば、折りループBLの両端部がより確実に折り込まれる。
【0130】
10.シート上に画像形成する画像形成部2と、この画像形成部2からのシートに所定のシート処理を施すシート処理装置Bとを備え、このシート処理装置Bは上記1ないし上記9の何れかに記載のシート処理装置を備えている画像形成装置である。
【0131】
これによれば、上記1ないし9に記載の効果を奏する画像形成装置が提供できる。
【0132】
11. 折りシートの折りループを押圧する一対の押えローラ70と、前記折シートの幅方向に初期位置から終端位置に移動するとともに前記押えローラ相互の間隔が移動方向に段階的に狭くして列として支持する支持ユニット56とを備えこの支持ユニットを移動して折りループの折り目を押圧するシートの折り目押圧方法であって、前記支持ユニット56が前記折りループのシート幅全域を移動してシートを押圧するシート幅の全領域押圧工程と、シート幅の端部領域の往復動を行って折りループの端部押圧工程ととからなるシートの折り目押圧方法である。
【0133】
これによれば、シートの幅方向の中央部の折りがなされるとともに、幅方向端部を繰り返して押えるので端部の折りが、より確実になされ、より折りシートが開きにくくなって見栄えも良くなり、折りシート束をスタックする際には集積性が向上する。
【0134】
なお、前記の実施の形態における効果の説明では、本実施の形態の各部について、特許請求の範囲における各構成要素をかっこ書で示し、もしくは参照符号を付して両者の関係を明確にした。
【0135】
さらに、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。これまでの実施の形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。