(式中、Mは、Cr、W、Mo、Nb、Ta、Os、Ir、Ru及びReの群から選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。xは0≦x≦0.5を示す。)で表わされる二酸化バナジウムの製造方法であって、
該反応前駆体を不活性ガス雰囲気中で600〜900℃で焼成する第三工程とを有し、必要により前記原料混合液にM源を添加することを特徴とする二酸化バナジウムの製造方法。
第一工程において、五酸化二バナジウムの添加量が水溶媒100重量部に対して10〜50重量部として原料混合液のスラリーを調製することを特徴とする請求項1記載の二酸化バナジウムの製造方法。
原料混合液の有機酸の配合量が、五酸化二バナジウム中のバナジウム原子に対する有機酸中の炭素原子のモル比(C/V)で、0.90〜1.1であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
第三工程の焼成は、600℃以上700℃未満で第一焼成を行い、次いで700℃以上900℃以下で第二焼成を行うことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の二酸化バナジウムの製造方法。
【背景技術】
【0002】
蓄熱材は、物質に熱を蓄え、また、必要に応じてその熱を取り出すことができる材料である。蓄熱によって、蓄熱材自身や、蓄熱材が置かれた空間内等の温度を一定に保つことができる。
【0003】
蓄熱方式には、顕熱蓄熱、潜熱蓄熱、化学蓄熱があり、蓄熱時に使用される物理化学現象によって分類される。
【0004】
潜熱蓄熱は、物質の相変化、転移に伴う転移熱を利用したもので転移熱を熱エネルギーとして蓄え、利用するものであり、潜熱蓄熱は、顕熱蓄熱に比べて、蓄熱密度が高く、相転移温度の一定温度で熱供給が可能で、また、化学蓄熱に比べて、相転移を繰り返すだけなので耐久性に優れている。
【0005】
下記特許文献1及び下記特許文献2には、電子相転移熱を利用した新しいタイプの潜熱蓄熱材として、二酸化バナジウム系の強相関電子系遷移金属化合物を用いることが提案されている。このタイプの蓄熱材は、電子の持つ内部自由度であるスピンの自由度と、軌道の自由度とを含む複自由度の相転移を利用するものであり、固相状態で生じる相転移であるため、蓄熱材が容器から漏れる心配がない。また、無機塩水和物などの固体―液体相転移と異なり、相転移時の相分離や分解が生じる虞れがない、相転移時の体積変化が固体―液体相転移と比べて小さい、高い熱伝導率を有する等の利点もある。
【0006】
二酸化バナジウム系の強相関電子系遷移金属化合物を製造する方法として、特許文献1及び特許文献2には、各原料を所定量混合して得られる混合物を真空封入して昇温する方法が提案されているが、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0007】
また、二酸化バナジウム系の強相関電子系遷移金属化合物を製造する方法として、下記特許文献3には、可溶解性バナジウム化合物を含む溶液に、アルカリを添加して得られる沈殿物を水熱反応する方法が提案されている。また、下記特許文献4には、四価のバナジウム化合物を含む溶液と、該バナジウム化合物と錯形成する物質及びドーパント元素の溶液を反応させて得られる反応物を不活性ガス中で焼成する方法が提案されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の製造方法により得られる二酸化バナジウムは下記一般式(1)で表わされる化合物である。
V
1-xM
xO
2 (1)
(式中、Mは、Cr、W、Mo、Nb、Ta、Os、Ir、Ru及びReの群から選ばれる1種又は2種以上の元素を示す。xは0≦x≦0.5を示す。)
【0015】
潜熱蓄熱において、蓄熱は相転移温度付近で行われる。一般式(1)の式中のMは、本発明において必要により添加する元素である。
【0016】
本発明の製造方法で得られる二酸化バナジウムは、例えば、蓄熱材として使用する場合に、一般式(1)の式中のM及びxの値を調製することにより、相転移温度を所望の温度に調製することが出来る。例えば、二酸化バナジウムのバナジウムの一部をW、Ta、Nb、Ru、Mo、Re等の元素で置換することで、相転移温度を無置換の二酸化バナジウムに比べて低下させることが出来る。また、その置換量が多くなるほど相転移温度が低くなることが知られている(特開2010−163510号公報)。また、二酸化バナジウムのバナジウムの一部をCrで置換することで、相転移温度を無置換の二酸化バナジウムに比べて高くすることが出来る。また、その置換量が多くなるほど相転移温度が高くなることが知られている(特開2014−210835号公報)。
【0017】
本製造方法に係る第一工程は、五酸化二バナジウムと有機酸とを水溶媒中で混合し、五酸化二バナジウムと有機酸とを含有する原料混合液を調製する工程である。
【0018】
第一工程に係る原料混合液は、五酸化二バナジウムが水溶媒中に溶解した溶液であってもよく、 五酸化二バナジウムが水溶媒に分散したスラリーであってもよい。また、五酸化二バナジウムが水溶媒に分散したスラリーは、五酸化二バナジウムが一部溶解したものであってもよい。なお、有機酸は、水溶媒に溶解していることが好ましい。
【0019】
第一工程に係る五酸化二バナジウムは、工業的に入手できるものであれば特に制限はなく用いることが出来るが、原料混合液としてスラリーとする場合は、レーザー回折法により求められる平均粒径が50μm以下、好ましくは0.1〜30μmの反応性に優れたものを用いることが好ましい。
【0020】
五酸化二バナジウムの添加量は、水溶媒中100質量部に対して5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部とすることが五酸化二バナジウムを適量溶解し、且つスラリーを攪拌、混合する際に粘度を適正に保つという観点から好ましい。なお、原料混合液としてスラリーを得る場合は、五酸化二バナジウムの添加量は水溶媒中100質量部に対して、10〜50質量部、好ましくは10〜40質量部とすることが好ましく、原料混合液として完全に溶解した溶解液を得る場合は、五酸化二バナジウムの添加量は水溶媒中100質量部に対して、10質量部未満、好ましくは1質量部以上10質量部未満とすることが好ましい。
【0021】
第一工程に係る有機酸は、第一工程において、五酸化二バナジウムの水溶媒に対する溶解性を向上させ、また、第三工程では、五酸化二バナジウムを還元する還元剤として作用する成分となる。
【0022】
用いることができる有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸等のモノカルボン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等のジカルボン酸、カルボキシル基の数が3であるクエン酸等のカルボン酸が五酸化二バナジウムを溶解し、均一組成の反応前駆体が得られる観点から好ましく、特にシュウ酸が反応性に優れた反応前駆体が得られる観点から好ましい。
なお、これら有機酸は、含水物であっても無水物であってもよい。
【0023】
五酸化二バナジウムと有機酸の配合量は、五酸化二バナジウム中のバナジウム原子に対する有機酸中の炭素原子のモル比(C/V)で0.90〜1.1、好ましくは0.98〜1.03、特に好ましくは1.00〜1.03である。この理由は五酸化二バナジウム中のバナジウム原子に対する有機酸中の炭素原子のモル比が0.90未満では焼成時に還元不足となり易く、一方、バナジウム原子に対する炭素原子のモル比が1.1を超えると焼成時に還元過剰になり炭素が不純物として二酸化バナジウム中に残存し易くなる傾向があるためである。
【0024】
第一工程に係る水溶媒は、水に限らず、水と親水性溶媒との混合溶媒であってもよい。第一工程において、上記範囲の有機酸及び水溶媒の配合量如何では、五酸化二バナジウムを水溶媒中に溶解させることが難しい場合があるが、更に原料混合液を加熱処理することで五酸化二バナジウムの溶解性を高めて、五酸化二バナジウムを一部溶解させたスラリー得ることができる。本製造方法において、この五酸化二バナジウムを一部溶解させたスラリーを用いることで、反応前駆体及び二酸化バナジウムの粒径制御が容易になり、また、五酸化二バナジウムと有機酸とが一層緻密に混合された反応性に優れた反応前駆体を得ることができる観点からも好ましい。
【0025】
加熱処理の温度は40〜130℃、好ましくは60〜100℃とすることが五酸化二バナジウムと有機酸を効率良く反応、溶解させる観点から好ましい。
加熱処理の時間は、本製造方法において臨界的ではなく、五酸化二バナジウムが一部溶解するまで十分な時間を行えばよく、通常は1時間以上、好ましくは2〜12時間である。
【0026】
また、本製造方法では、必要により前記原料混合液に、M源を添加して、後述する第二工程を行うことができる。
【0027】
必要に添加するM源としては、M元素自体であってもよく、また、M元素を含む化合物であってもよい。M元素を含む化合物としては、M元素の酸化物、モリブデン酸、タングステン酸のような金属酸、その金属酸塩又はアンモニウム塩、M元素のアルコラート或いはM元素の有機酸塩等が挙げられる。これらM源は溶液、懸濁液又は粉体として前記原料混合液に添加することが出来る。
M源の添加量は、得られる二酸化バナジウムの組成に合わせて適宜添加量を調製して添加することが好ましい。
【0028】
第二工程は、第一工程で調製した該原料混合液を噴霧乾燥処理して、反応前駆体を得る工程である。
【0029】
スラリーや溶液の乾燥方法には噴霧乾燥法以外の方法も知られているが、本発明の製造方法においては、噴霧乾燥法を選択することが有利であるとの知見に基づき、この乾燥方法を採用している。
【0030】
詳細には、噴霧乾燥法により乾燥を行うと、五酸化二バナジウムと有機酸を含有し、各原料が密に詰まった状態の物が得られることから、この物を本発明の製造方法では、反応前駆体とし、反応前駆体を後述する第3工程で焼成することにより、X線回折的には単相の二酸化バナジウム粒子を得ることができる。
【0031】
噴霧乾燥法においては、所定手段によって原料混合液を霧化し、それによって生じた微細な液滴を乾燥させることで反応前駆体を得る。原料混合液の霧化には、例えば回転円盤を用いる方法と、圧力ノズルを用いる方法がある。第2工程においてはいずれの方法も用いることもできる。
【0032】
噴霧乾燥法においては、霧化された原料混合液の液滴の大きさと、それに含まれる粉砕処理物の粒子の大きさとの関係が、安定した乾燥や、得られる乾燥粉の性状に影響を与える。詳細には、液滴の大きさに対して粉砕処理物の原料粒子の大きさが小さすぎると、液滴が不安定になり、乾燥を首尾よく行いづらくなる。この観点から、霧化された液滴の大きさは、1〜40μmが好ましく、3〜30μmが特に好ましい。噴霧乾燥装置への原料混合液の供給量は、この観点を考慮して決定することが望ましい。
【0033】
なお、噴霧乾燥装置における乾燥温度は、熱風入口温度が180〜300℃、好ましくは200〜250℃に調整して、熱風出口温度が100〜200℃、好ましくは105〜150℃となるように調整することが粉体の吸湿を防ぎ粉体の回収が容易になることから好ましい。
【0034】
このようにして第二工程を行い得られた反応前駆体は、第三工程に付して、不活性ガス雰囲気中で焼成し、二酸化バナジウムを得る。
【0035】
第三工程は、第二工程で得られた反応前駆体を不活性ガス雰囲気中で特定温度範囲で焼成して二酸化バナジウムを得る工程である。
【0036】
第三工程に係る焼成条件は、焼成温度が600〜900℃、好ましくは800〜900℃である。この理由は、焼成温度が600℃未満では、二酸化バナジウム結晶の生成が不完全となり、900℃を超えると、蓄熱特性に優れたものが得られ難く、また、坩堝への固着も起こり粉末状の二酸化バナジウムが得られにくいからである。
【0037】
焼成時間は、本製造方法において臨界的ではなく、X線回折的に単相の二酸化バナジウムが生成するまで十分な時間を行えばよく、通常は1時間以上、好ましくは2〜30時間である。
【0038】
また、焼成雰囲気は、バナジウムの酸化防止のため、不活性ガス雰囲気とする。使用できる不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が挙げられる。
【0039】
また、第三工程の焼成は、上記温度範囲で多段焼成を行うことが粉末状の二酸化バナジウムを高純度で、収率よく製造するという観点から好ましい。
多段焼成の焼成温度条件は、600℃以上700℃未満で1時間以上、好ましくは2〜20時間第一焼成を行い、次いで700℃以上900℃以下で1時間以上、好ましくは2〜20時間第二焼成を行うことが粉末状の二酸化バナジウムを高純度で、収率よく製造する観点から好ましい。
【0040】
焼成は所望により何度行ってもよい。或いは、粉体特性を均一にする目的で、一度焼成したものを粉砕し、次いで再焼成を行ってもよい。
【0041】
第三工程後に得られる二酸化バナジウムは、必要により粉砕、解砕、分級等を行い製品とする。
【0042】
第三工程後に得られる二酸化バナジウムはX線回折的に単相の二酸化バナジウムであるが、本製造方法では得られる二酸化バナジウムを、更にアニール処理を施すことで、熱量を向上させることが出来る。
【0043】
アニール処理することで熱量が向上する理由は明確ではないが、第三工程で得られる二酸化バナジウムには、酸素の欠損があり、アニール処理することで、構造中の酸素欠損の構造が補修されるためと本発明者らは推測している。
【0044】
アニール処理の条件は、処理温度が高すぎると5価のバナジウムに変化し所望の二酸化バナジウムを得ることが難しくなる傾向があることから、アニール処理温度は100〜550℃、特に200〜400℃であることが、バナジウムの酸化を防止しながら酸素欠損部位の補修を行うことができる観点から好ましい。
【0045】
アニール処理時間は1時間以上、特に1〜10時間とすることが好ましい。アニール処理の雰囲気は、酸素、大気等の酸化性雰囲気中で行う。なお、必要により、アニール処理は何度でも行うことができる。
【0046】
また、アニール処理後、必要により粉砕、解砕、分級等を行い製品とする。
【0047】
かくして得られる本発明の二酸化バナジウムは、X線回折的に下記一般式(1)
V
1-xM
xO
2 (1)
(式中、Mは、Cr、W、Mo、Nb、Ta、Os、Ir、Ru及びReの群から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の元素を示す。xは0≦x≦0.5を示す。)で表わされる二酸化バナジウム単層であり、示差走査熱量測定において、昇温過程と降温過程の両方で明確な相転移が観察される。また、本発明の二酸化バナジウムは、吸熱開始温度と発熱開始温度の差が好ましくは10℃以下、好ましくは5℃以下であることが好ましい。
【0048】
本製造方法で得られる二酸化バナジウムは、温度によって透過率や反射率等の光学的特性が可逆的に変化するサーモクロミック現象を示す材料としての利用の他、特に蓄熱材としての利用が期待できる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
(相転移温度、熱量の測定)
各実施例において、相転移温度、熱量の測定は下記のように行った。
試料を示差走査熱量測定(DSC)用密閉式セル(SUSセル)に封入し、示差走査熱量測定装置(SIIエポリードサービス社製、形式DSC6200)にて昇温速度1℃/minにて100℃まで昇温し、その後20℃まで降温した.昇温過程で生じる吸熱ピーク、及び降温過程で生じる発熱ピークの開始温度、熱量を測定した.
【0051】
{実施例1}
第一工程;
容器に、V
2O
5(平均粒径;25μm)20g、シュウ酸・2水塩13.86g、イオン交換水100gを室温下(25℃)で仕込み、次いで昇温して80℃で3時間加熱処理してV
2O
5が一部溶解した原料混合液のスラリーを得た。
第二工程;
次いで、熱風入り口の温度を220℃、出口温度を120℃に設定した噴霧乾燥装置に、原料混合液のスラリーを供給し、反応前駆体を得た。得られた反応前駆体をXRDで測定した結果、反応前駆体はV
2O
5の回折ピークが確認された(
図1参照)。また、反応前駆体のSEM写真を
図2に示す。
第三工程;
第二工程で得られる反応前駆体をアルミナるつぼに投入し、窒素雰囲気中で650℃で5時間第1焼成を行い、次いで850℃で2時間第2焼成を行って焼成品試料を得た。
焼成品試料をXRD分析した結果、回折ピークのパターンがVO
2と一致し、単斜晶のVO
2単相であることを確認した。焼成品試料のX線回折図を
図3に示す。
また、得られた焼成品試料について示差走査熱量計を用いた示差走査熱量測定により、昇温及び降温過程での相転移の開始温度、及び、相転移に伴う熱量を測定した。示差走査熱量測定の結果を
図4に示す。
【0052】
{実施例2}
実施例1で得られた焼成品試料をアルミナるつぼに投入し、大気中で300℃で3時間アリール処理を行いアニール処理品試料を得た。
アニール処理品試料をXRD分析した結果、回折ピークのパターンがVO
2と一致し、単斜晶のVO
2単相であることを確認した。アニール処理品試料のX線回折図を
図5に示す。
また、実施例1と同様にして、得られたアニール処理品試料について示差走査熱量計を用いた示差走査熱量測定により、昇温及び降温過程での相転移の開始温度、及び、相転移に伴う熱量を測定した。示差走査熱量測定の結果を
図6に示す。また、得られたアニール処理品のSEM写真を
図7に示す。
【0053】
{実施例3}
第三工程において、反応前駆体を、窒素雰囲気中で650℃で5時間第1焼成を行い、次いで800℃で2時間第2焼成を行った以外は、実施例1と同様にして焼成品試料を得た。焼成品試料をXRD分析した結果、回折ピークのパターンがVO
2と一致し、単斜晶のVO
2単相であることを確認した。
次いで、得られた焼成品を実施例2と同様にして、大気中で300℃で3時間アリール処理を行いアニール処理品試料を得た。アニール処理品試料をXRD分析した結果、回折ピークのパターンがVO
2と一致し、単斜晶のVO
2単相であることを確認した。
また、得られたアニール処理品試料について示差走査熱量計を用いた示差走査熱量測定により、昇温及び降温過程での相転移の開始温度、及び、相転移に伴う熱量を測定した。示差走査熱量測定の結果を
図8に示す。
【0054】
{比較例1}
実施例1の第3工程において、窒素雰囲気中で650℃で5時間焼成、次いで1000℃で2時間焼成を行う以外は、実施例1と同様にして焼成品試料を得た。焼成品試料をXRD分析した結果、回折ピークのパターンがVO
2と一致し、単斜晶のVO
2単相であることを確認した。
次いで、得られた焼成品を実施例2と同様にして、大気中で300℃で3時間アリール処理を行いアニール処理品試料を得た。アニール処理品試料をXRD分析した結果、回折ピークのパターンがVO
2と一致し、単斜晶のVO
2単相であることを確認した。
また、得られたアニール処理品試料について示差走査熱量計を用いた示差走査熱量測定により、昇温及び降温過程での相転移の開始温度、及び、相転移に伴う熱量を測定した。示差走査熱量測定の結果を
図9に示す。
【0055】
【表1】
注)「モル比(C/V)」は、V
2O
5中のバナジウム原子に対するシュウ酸2水塩中の炭素原子のモル比を示す。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】