【解決手段】本発明の粘着テープは、基材と、該基材の少なくとも一方の面に配置された粘着剤層とを備える粘着テープであって、該粘着テープの23℃×30分後におけるSUS板に対する粘着力が、0.01N/20mm〜0.6N/20mmであり、該粘着剤層の25℃におけるナノインデンテーション法による弾性率が、4.0MPa〜30MPaである。
前記非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比が、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50〜50:1である、請求項9に記載の粘着テープ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.粘着テープの全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による粘着テープの概略断面図である。粘着テープ100は、基材10と、基材10の少なくとも一方の面(図示例では片側)に配置された粘着剤層20とを備える。図示していないが、本発明の粘着シートは、使用に供するまでの間、粘着面を保護する目的で、粘着剤層の外側に剥離ライナーが設けられていてもよい。
【0009】
図2は、本発明の別の実施形態による粘着テープの概略断面図である。粘着テープ200は、基材10と、基材10の一方の面に配置された粘着剤層20と、基材10の粘着剤層20とは反対側の面に配置された非粘着層30とを備える。
【0010】
本発明の粘着テープの厚みは、好ましくは20μm〜120μmであり、より好ましくは30μm〜120μmであり、さらに好ましくは40μm〜120μmである。このような範囲であれば、本発明の効果がより顕著となる。本発明の粘着テープの厚みが薄すぎる場合、取扱性が悪くなるおそれがある。本発明の粘着テープの厚みが厚すぎる場合、延伸等の変形に対する追随性が悪くなり、ニードル突き上げによるピックアップ性が低下するおそれがある。
【0011】
本発明の粘着テープの23℃×30分後におけるSUS板に対する粘着力は、0.01N/20mm〜0.6N/20mmであり、好ましくは0.05N/20mm〜0.5N/20mmであり、より好ましくは0.07N/20mm〜0.45N/20mmであり、さらに好ましくは0.08N/20mm〜0.2N/20mmであり、特に好ましくは0.09N/20mm〜0.1N/20mmである。本明細書において、「x℃×y分後におけるSUS板に対する粘着力」とは、JIS Z 0237:2000に準じた方法で測定される粘着力であり、2kgローラー1往復で圧着して粘着テープとSUS板を積層し、得られた積層体をx℃の環境下にy分間保管し、その後、23℃の環境下で、粘着テープを引張速度300mm/min、剥離角度180°で剥離して、測定した粘着力をいう。
【0012】
本発明においては、粘着力を上記範囲とし、かつ、後述のように粘着剤層の弾性率を適切に調整することにより、小片化された被着体のピックアップ性に優れる粘着テープを得ることができる。
【0013】
本発明の粘着テープの50℃×2日後におけるSUS板に対する粘着力は、0.05N/20mm〜0.85N/20mmであり、好ましくは0.1N/20mm〜0.8N/20mmであり、より好ましくは0.12N/20mm〜0.7N/20mmであり、特に好ましくは0.15N/20mm〜0.5N/20mmである。
【0014】
上記の50℃×2日後における粘着力は、長期保管、すなわち、被着体が粘着テープに貼着されてから、剥離されるまでの期間が長期(例えば、常温下で約60日)である場合を想定した促進試験条件における粘着力である。長期保管を想定した促進試験条件(50℃×2日間)は、以下のごとく決定した。一定期間保管した後の粘着剤の挙動を推測する方法として加熱促進試験が用いられる。これは加熱することにより短時間に長期変化を予測するもので、その変化速度は、アレニウスの法則に従って加速されるものと仮定した。アレニウスの式は、 K=A×exp(−Ea/RT)で示される。ここで、Kは反応速度係数、Aは頻度因子、Eaは活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度(K)である。Ea(活性化エネルギー)は、「日東技報」Vol.27,No.2(Nov.1989)に記載のように、アクリル系粘着剤の力学物性測定値から時間温度換算則を用いて得られるシフトファクターがアレニウス型であると仮定して算出された21000〔cal/mol〕を用いた。 これにより、20℃と50℃下での反応速度係数は、
K(20℃)=A×exp(−21000/293R)
K(50℃)=A×exp(−21000/323R)
となる。この式を用いて、両温度の反応速度係数比は、
K(50℃)/K(20℃)=28.5
となる。ここで、平均温度20℃の環境下で被着体が粘着テープに貼付された状態で保管されると仮定する。促進試験の温度を50℃に設定し、アレニウス則に従った20℃での保存期間を推定算出すると、50℃×2日≒20℃×57日となる。
【0015】
B.粘着剤層
粘着剤層の25℃におけるナノインデンテーション法による弾性率(以下、単にナノインデンテーション弾性率ともいう)は、4.0MPa〜30MPaであり、好ましくは4.5MPa〜27MPaであり、より好ましくは6.0MPa〜25MPaであり、特に好ましくは7.0MPa〜22MPaである。ナノインデンテーション弾性率の測定方法は、後述する。
【0016】
本発明においては、ナノインデンテーション弾性率を上記範囲とすることにより、小片化された被着体のピックアップ性に優れる粘着テープを得ることができる。より詳細には、ナノインデンテーション弾性率を4.0MPa以上とすることにより、被着体が粘着剤層に埋まり込むことを防止して、ニードルによるピックアップ時のピックアップ位置精度を向上させることができる。また、ナノインデンテーション弾性率を30MPa以下とすることにより、被着体との密着性に優れ、被着体を良好に固定することができ、かつ、ニードルによるピックアップ時には被着体の不要な脱落、位置ずれを防止することができる。本発明の粘着テープは、LEDチップを出荷する際の仮固定用の粘着テープとして好適に用いられ得る。通常、LEDチップは正方形状または長方形状であり、その短辺の長さは例えば、0.1mm〜2.5mmである。また、LEDチップの厚みは、例えば、0.05mm〜2.0mmである。
【0017】
粘着剤層の厚みは、好ましくは1.0μm〜30μmであり、より好ましくは1.0μm〜20μmであり、さらに好ましくは3.0μm〜15μmである。粘着剤層の厚みが
1.0μm未満の場合、十分な粘着力を発現できないおそれがある。粘着剤層の厚みが3
0μmより大きい場合、小片化された被着体(例えば、LEDチップ)が粘着剤層に埋まり込み、ピックアップ時のニードル突き上げ位置の精度が低下するおそれがある。
【0018】
上記粘着剤層は、任意の適切な粘着剤を含む。粘着剤を構成するベースポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー;天然ゴム;メタクリル酸メチルなどのモノマーをグラフトした特殊天然ゴム;SBS、SBR、SEPS、SIS、SEBS、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ブチルゴムなどの合成ゴム;などが挙げられる。これらの中でも、剥離後の被着体への糊残りが少なく、高凝集性を有し、透明性に優れる点で、(メタ)アクリル系ポリマーが好ましい。ベースポリマーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
【0019】
粘着剤層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、粘着剤層中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、目的に応じて適宜設定し得る。
【0020】
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主モノマーとして含むモノマー成分から構成され得る。(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは50重量部以上であり、より好ましくは70重量部〜100重量部であり、さらに好ましくは80重量部〜90重量部である。上記モノマー成分中のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0022】
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0023】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0024】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なその他のモノマーをさらに含んでいてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。より好ましくは、カルボキシル基含有モノマーである。また、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、アクリロニトリルをさらに含んでいてもよい。
【0025】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アリルアルコールなどが挙げられる。水酸基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0026】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0027】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が水酸基含有モノマーを含む場合、水酸基含有モノマー由来の構成単位の含有割合は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜20重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜10重量部である。上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分がカルボキシル基含有モノマーを含む場合、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位の含有割合は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜20重量部であり、より好ましくは0.1重量部〜10重量部である。このように、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分が、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含むことにより、架橋剤を用いた場合に、該架橋剤との架橋反応を効率的に生じさせることが可能となり、粘着剤としての効果を十分に発現させることができる。さらに、水酸基含有モノマーの含有割合および/またはカルボキシル基含有モノマーの含有割合を、上記範囲内とすることによって、粘着剤層の弾性率と粘着力を好ましい範囲に調整することができ、ピックアップ性に特に優れる粘着テープを得ることができる。
【0028】
粘着剤層は、好ましくは、架橋剤を含む。架橋剤の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜30重量部であり、より好ましくは1.0重量部〜27重量部であり、さらに好ましくは3.0重量部〜25重量部であり、特に好ましくは5.0重量部〜23重量部である。このような範囲であれば、小片化された被着体(例えば、LEDチップ)を粘着テープ上に長期間保存した後も粘着力の上昇をより抑制でき、ピックアップがより容易である、粘着テープを得ることができる。また、適度な架橋反応を生じさせることができ、被着体への汚染・糊残りを効果的に防止できる。
【0029】
架橋剤としては、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0030】
好ましくは、架橋剤として、エポキシ系架橋剤が用いられる。エポキシ系架橋剤を用いれば、小片化された被着体を容易に剥離することができ、かつ、被着体への糊残りが少ない粘着テープを得ることができる。
【0031】
エポキシ系架橋剤の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜30重量部であり、より好ましくは0.2重量部〜25重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部〜20重量部であり、特に好ましくは0.7重量部〜15重量部であり、最も好ましくは1.5重量部〜10重量部である。このような範囲であれば、ピックアップ性に優れる粘着テープを得ることができる。
【0032】
エポキシ系架橋剤としては、任意の適切なエポキシ系架橋剤を採用し得る。市販品としては、例えば、三菱ガス化学社製の商品名「テトラッドC」、「テトラッドX」、ADEKA社製の商品名「アデカレジンEPUシリーズ」や「アデカレジンEPRシリーズ」、ダイセル社製の商品名「セロキサイド」などが挙げられる。特に、これらのような液状エポキシ樹脂は、粘着剤層を製造する際の粘着剤混合操作が容易になる点で、好ましい。
【0033】
エポキシ系架橋剤と、他の架橋剤とを併用してもよい。エポキシ系架橋剤と併用され得る架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。なかでも、メラミン系架橋剤および/またはイソシアネート系架橋剤が好ましく、メラミン系架橋剤がより好ましい。
【0034】
粘着剤層は、可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1重量部〜100重量部であり、より好ましくは25重量部〜90重量部である。
【0035】
上記可塑剤としては、例えば、テレフタル酸エステル系、イソフタル酸エステル系、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系(大日本インキ社製、W−700、トリメリット酸トリオクチル等)、アジピン酸エステル系(ジェイプラス社製、D620、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等)、リン酸エステル系(リン酸トリクレシル等)、アジピン酸系エステル、クエン酸エステル(アセチルクエン酸トリブチル等)、セバシン酸エステル、アセライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテル系ポリエステル、エポキシ系ポリエステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)などが挙げられる。可塑剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0036】
1つの実施形態においては、上記可塑剤として、テレフタル酸エステル系可塑剤が用いられる。テレフタル酸エステル系可塑剤を用いれば、本発明の効果はより顕著となる。より詳細には、比較的サイズの大きいLEDチップを貼着した際にも、ピックアップ性が低下せずに、良好に該LEDチップをピックアップすることができる。また、LEDチップを貼着した状態で長期間保管した際にも、ピックアップ性の低下が抑制される。
【0037】
テレフタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、テレフタル酸ジブチル(DBTP)、テレフタル酸ジイソブチル(DIBTP)、テレフタル酸ジノルマルヘキシル(DHTP)、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOTP)、テレフタル酸ジノルマルオクチル(DnOTP)、テレフタル酸ジイソノニル(DINTP)、テレフタル酸ジノニル(DNTP)、テレフタル酸ジイソデシル(DIDTP)、テレフタル酸ビスブチルベンジル(BBTP)等が挙げられる。なかでも好ましくはDOTPである。
【0038】
可塑剤としてテレフタル酸エステル系可塑剤を用いる場合、該テレフタル酸エステル系可塑剤の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは20重量部〜95重量部であり、より好ましくは30重量部〜90重量部であり、さらに好ましくは50重量部〜90重量部であり、特に好ましくは70重量部を超えて90重量部以下である。このような範囲であれば、上記効果が顕著となる。
【0039】
粘着剤層は、任意の適切な触媒を含んでいてもよい。触媒を含有させることにより、架橋反応等を促進させることができる。触媒の含有割合は、ベースポリマー100重量部に対して、好ましくは0.01重量部〜20重量部である。
【0040】
触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、オクチル酸スズ、オクチル酸鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸カルシウム、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート等の有機金属化合物;ブチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、イミダゾール、水酸化リチウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物;p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸、燐酸、モノアルキル燐酸、ジアルキル燐酸、β−ヒドロキシエチルアクリレートの燐酸エステル、モノアルキル亜燐酸、ジアルキル亜燐酸等の酸性化合物;などが挙げられる。触媒は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0041】
粘着剤層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0042】
粘着剤層を基材上に設ける方法としては、任意の適切な手段を採用し得る。例えば、粘着剤層を形成する塗工液を基材上に塗工することによって、粘着剤層を形成することができる。
【0043】
塗工方式としては、任意の適切な塗工方式を採用し得る。塗工方式としては、例えば、リバース方式、ダイレクト方式、メタリングロールを組み合わせた各種方式などが挙げられる。
【0044】
本発明の粘着テープは、粘着剤層の表面に剥離ライナーを備えていてもよい。
【0045】
剥離ライナーとしては、任意の適切なセパレータを採用し得る。このような剥離ライナ
ーとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥
離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテト
ラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化
ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフル
オロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;
オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等の無極性ポリマーか
らなる低接着性基材;などが挙げられる。
【0046】
剥離ライナーを用いる場合、塗工液を剥離ライナー上に塗工し、基材上に貼り合わせして粘着剤層を転写させることで、基材上に粘着剤層を設けてもよい。
【0047】
C.基材
基材の厚みは、好ましくは20μm〜120μmであり、より好ましくは30μm〜120μmであり、さらに好ましくは40μm〜120μmである。基材の厚みが薄すぎる場合、取扱性が悪くなるおそれがある。基材の厚みが厚すぎる場合、延伸等の変形に対する追随性が悪くなり、ニードル突き上げによるピックアップ性が低下するおそれがある。
【0048】
基材は、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される最大伸びが、好ましくは100%以上であり、より好ましくは200%〜1000%である。このような最大伸びを示す基材を使用することにより、本発明の粘着テープに適度な伸び性を付与することができ、例えば、被着体への追従性が向上し得る。最大伸びは23℃の環境下で測定され得る。
【0049】
基材を構成する材料としては、任意の適切な材料が用いられ得る。好ましくは、基材としては、プラスチックフィルムが用いられる。
【0050】
プラスチックフィルムは、任意の適切な樹脂材料を含み得る。このような樹脂材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドなどが挙げられる。なかでも好ましくは、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体であり、より好ましくは、ポリ塩化ビニルである。ポリ塩化ビニルは応力緩和性に優れるため、ニードル突き上げ時の衝撃を適度に緩和し、小片化された被着体(例えば、LEDチップ)の位置ずれや脱落を抑制できる。このようなポリ塩化ビニルを用いれば小片化された被着体(例えば、LEDチップ)の出荷用粘着テープとして好適な粘着テープを得ることができる。
【0051】
プラスチックフィルム中の上記樹脂材料の含有割合としては、プラスチックフィルム100重量部に対して、例えば、50重量部〜100重量部であり、好ましくは60重量部〜100重量部であり、さらに好ましくは70重量部〜100重量部である。
【0052】
プラスチックフィルム中には、可塑剤が含まれていても良い。プラスチックフィルム中の可塑剤の含有割合は、該プラスチックフィルム中の上記樹脂材料100重量部に対して、好ましくは0.5重量部〜50重量部であり、より好ましくは1.0重量部〜40重量部である。プラスチックフィルム中に上記含有割合にて可塑剤を含ませることによって、延伸等の変形に対する追随性に優れ、ピックアップ性が良好な粘着テープを得ることができる。
【0053】
プラスチックフィルムに含まれる可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系、イソフタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系(大日本インキ(株)製、W−700、トリメリット酸トリオクチル等)、アジピン酸エステル系((株)ジェイプラス製、D620、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等)、リン酸エステル系(リン酸トリクレシル等)、アジピン酸系エステル、クエン酸エステル(アセチルクエン酸トリブチル等)、セバシン酸エステル、アセライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステル、ポリエーテル系ポリエステル、エポキシ系ポリエステル(エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等)、ポリエステル(カルボン酸とグリコールからなる低分子ポリエステル等)などが挙げられる。本発明においては、エステル系可塑剤を用いることが好ましい。可塑剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0054】
1つの実施形態においては、プラスチックフィルムに含まれる上記可塑剤として、テレフタル酸エステル系可塑剤が用いられる。テレフタル酸エステル系可塑剤を用いれば、本発明の効果はより顕著となる。より詳細には、比較的サイズの大きいLEDチップを貼着した際にも、ピックアップ性が低下せずに、良好に該LEDチップをピックアップすることができる。また、LEDチップを貼着した状態で長期間保管した際にも、ピックアップ性の低下が抑制される。
【0055】
テレフタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOTP)、テレフタル酸ジブチル(DBTP)、テレフタル酸ジイソブチル(DIBTP)、テレフタル酸ジノルマルヘキシル(DHTP)、テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DOTP)、テレフタル酸ジノルマルオクチル(DnOTP)、テレフタル酸ジイソノニル(DINTP)、テレフタル酸ジノニル(DNTP)、テレフタル酸ジイソデシル(DIDTP)、テレフタル酸ビスブチルベンジル(BBTP)等が挙げられる。なかでも好ましくはDOTPである。
【0056】
プラスチックフィルム中には、本発明の効果を損なわない範囲において、任意の適切なその他の成分を含んでいても良い。
【0057】
基材は、任意の適切な製造方法によって製造し得る。例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、カレンダー成形、ブロー成形等の成形方法により、基材を得ることができる。
【0058】
D.非粘着層
1つの実施形態においては、本発明の粘着テープは、基材の片方の面に粘着剤層を備え、該基材の該粘着剤層と反対の面に非粘着層を備える。なお、非粘着層とは、23℃においてSUS板に圧着しても密着状態を維持できず、容易に位置ずれ、もしくは、自然剥離が発生する層のことをいう。
【0059】
このような非粘着層の組成等は特に限定されるものではなく、その一例としては、シリコーン層、(メタ)アクリル系ポリマー層、シリコーン層と(メタ)アクリル系ポリマー層の混合層、(メタ)アクリル系ポリマーがグラフト重合されたシリコーン層などが挙げられる。これらの中でも、シリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層が好ましい。非粘着層をシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層とすることにより、非粘着層と基材(特に、プラスチックフィルム)との馴染みが良くなり、本発明の粘着テープは、延伸等の変形に対する追随性が良好なものとなる。
【0060】
非粘着層の表面は凹凸構造を有することが好ましい。非粘着層の表面が凹凸構造を有することにより、取り扱い性に優れる粘着テープを得ることができる。この凹凸構造は、具体的には、非粘着層の算術平均表面粗さRaが、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.1μm〜3.0μmであり、さらに好ましくは0.2μm〜2.0μmであり、特に好ましくは0.3μm〜2.0μmであり、最も好ましくは0.5μm〜2.0μmである。このような範囲であれば、ブロッキングが抑制された粘着テープを得ることができる。表面粗さRaは、JIS B 0601:1994に準じて測定することができる。
【0061】
非粘着層は、示差走査熱量測定(DSC測定)によるガラス転移温度Tgが、好ましくは20℃以上であり、より好ましくは30℃以上であり、さらに好ましくは50℃以上であり、特に好ましくは55℃以上である。非粘着層の示差走査熱量測定によるガラス転移温度Tgの上限は、特に限定されないが、取扱性等の観点から、好ましくは200℃以下であり、より好ましくは170℃以下であり、さらに好ましくは150℃以下であり、特に好ましくは130℃以下であり、最も好ましくは100℃以下である。このような範囲であれば、非粘着層が適度な硬さを有し、搬送工程中での擦れなどによる非粘着層の脱落を防止することができる。
【0062】
非粘着層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーは、そのSP値が、好ましくは9.0(cal/cm
3)
0.5〜12.0(cal/cm
3)
0.5であり、より好ましくは9.5(cal/cm
3)
0.5〜11.5(cal/cm
3)
0.5であり、さらに好ましくは9.5(cal/cm
3)
0.5〜11.0(cal/cm
3)
0.5である。SP値は、Smallの式によって算出される溶解度パラメータである。SP値の計算は、公知の文献(例えば、Journal of Applied Chemistry,3,71,1953.など)に記載された方法で行うことができる。
【0063】
非粘着層は、好ましくは、相分離構造を有する。非粘着層が相分離構造を有することにより、該非粘着層の表面に微小な凹凸構造が効率的に形成され得る。例えば、非粘着層がシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層である場合、相分離構造生成時のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーとの物質移動性の差異によって凹凸が生成するものと推測される。このようにして凹凸構造が形成されていれば、取り扱い性に優れ、かつ、ロール形態にした際のブロッキングが抑制された粘着テープが得られ得る。
【0064】
非粘着層は、好ましくは、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含む。非粘着層は、より具体的には、好ましくは、上記シリコーンリッチ相と上記(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相とが互いに独立した相分離構造で含み、より好ましくは、上記シリコーンリッチ相が空気界面側(基材の反対側)に存在し、上記(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相が基材側に存在する。このような相分離構造を有することにより、空気界面側に存在するシリコーンリッチ相によってブロッキングが効果的に抑制され、基材側に存在する(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相によって非粘着層と基材との馴染みが良くなって変形追随性が良好になる。例えば、非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比を下記のように調整することによって、このような相分離構造を形成し得る。
【0065】
非粘着層が、相分離構造を有することや、上記のような、シリコーンが(メタ)アクリル系ポリマーよりも多く含まれるシリコーンリッチ相と(メタ)アクリル系ポリマーがシリコーンよりも多く含まれる(メタ)アクリル系ポリマーリッチ相を含むことは、任意の適切な方法によって観察し得る。このような観察方法としては、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、電解放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)などの電子顕微鏡を用いて非粘着層断面を形態観察する方法が挙げられる。2層分離構造は、形態観察像の濃淡により判読することが可能である。また、全反射法による赤外吸収分光によって、非粘着層空気界面側から内部へとプローブ光深度を変えながら、組成中に含まれるケイ素や炭素などの含有量の変化を観測することによって観察する方法も挙げられる。この他、X線マイクロアナライザーやX線光電子分光によって観察する方法も挙げられる。また、適宜これらの方法を組み合わせて観察しても良い。
【0066】
非粘着層がシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合層である場合、非粘着層中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:50〜50:1であり、より好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:30〜30:1であり、さらに好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:10〜10:1であり、特に好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:5〜5:1であり、最も好ましくは、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=1:3〜5:1である。非粘着層中のシリコーンの含有割合が大きすぎると、基材(特に、プラスチックフィルム)背面との化学的親和性が低くなり、基材(特に、プラスチックフィルム)背面に馴染みにくいおそれがある。また、非粘着層中のシリコーンの含有割合が大きすぎると、粘着テープとした場合、延伸等の変形に対する追随性が悪くなるおそれがある。非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合が大きすぎると、非粘着層がアクリル系粘着剤として作用してしまうおそれがあり、ブロッキングが生じやすいおそれがある。
【0067】
シリコーンとしては、任意の適切なシリコーンを採用し得る。このようなシリコーンとしては、例えば、白金系化合物を触媒としてアルケニル基含有ポリジアルキルシロキサンとポリジアルキルハイドロジェンポリシロキサンを付加反応により硬化させて剥離性皮膜を形成して得られる付加型シリコーン、スズ系触媒を用いたメチロール基含有ポリジアルキルシロキサンとポリジアルキルハイドロジェンポリシロキサンを反応させて得られる縮合型シリコーンなどが挙げられる。付加型シリコーンの例としては、例えば、信越シリコーン製の「KS−776A」、「KS−839L」などが挙げられる。縮合型シリコーンの例としては、例えば、信越シリコーン製の「KS723A/B」などが挙げられる。なお、シリコーンを製造する際には、白金系触媒やスズ系触媒の他に、適宜、その他の架橋剤、架橋促進剤などを使用しても良い。また、シリコーンの性状としては、トルエン等の有機溶剤に溶解したタイプ、これらをエマルジョン化したエマルジョンタイプ、シリコーンのみからなる無溶剤タイプなどに分類される。また、付加型シリコーンや縮合型シリコーンの他に、シリコーン/アクリルグラフトポリマー、シリコーン/アクリルブロックポリマーなどを使用することができる。シリコーン/アクリルグラフトポリマーとしては、例えば、サイマックGS−30、GS101、US−270、US−350、US−380(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。シリコーン/アクリルブロックポリマーとしては、例えば、モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770(以上、日油(株)製)などが挙げられる。
【0068】
非粘着層に含まれる(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーを主モノマーとして含むモノマー成分から構成されるポリマーである。また、上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー等のその他のモノマーを含んでいてもよい。
【0069】
非粘着層に含まれる(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、(メタ)アクリル系モノマー由来の構成単位の含有割合は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、好ましくは50重量部以上であり、より好ましくは70重量部〜100重量部であり、さらに好ましくは90重量部〜100重量部であり、特に好ましくは95重量部〜100重量部である。上記モノマー成分中のモノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0070】
(メタ)アクリル系モノマーとしては、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
【0071】
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0072】
炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の、炭素数が1〜30のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルの中でも、好ましくは、炭素数が2〜20のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは炭素数が4〜18のアルキル基(シクロアルキル基も含む)の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0073】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0074】
上記(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分は、本発明の効果を十分に発現させるために、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種を含んでいても良い。
【0075】
水酸基含有モノマーとしては、例えば、アリルアルコールなどが挙げられる。水酸基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0076】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
【0077】
非粘着層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくは、それを構成するモノマー成分中の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が、該水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマー成分の総量に対して、好ましくは2重量%〜30重量%であり、より好ましくは3重量%〜25重量%であり、特に好ましくは5重量%〜20重量%である。非粘着層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分中の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの含有割合が、該水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマー成分の総量に対して、上記範囲内に収まれば、非粘着層の表面に微小な凹凸構造が一層効率的に形成され、この凹凸構造の形成によって、本発明の粘着テープにおいて、ロール状の形態におけるブロッキングが一層効果的に抑制でき、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることを一層抑制し得る。
【0078】
非粘着層が(メタ)アクリル系ポリマーを含む場合、非粘着層中の(メタ)アクリル系ポリマーは、好ましくは、それを構成するモノマー成分における水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマー成分中に、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。この場合、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの含有割合は、重量比で、(メタ)アクリル酸:(メタ)アクリル酸エステルが、好ましくは0:100〜20:80であり、より好ましくは0:100〜10:90であり、さらに好ましくは0:100〜5:95である。
【0079】
(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの含有割合が上記範囲内に収まれば、非粘着層の表面に微小な凹凸構造が一層効率的に形成され、この凹凸構造の形成によって、本発明の粘着テープにおいて、ロール状の形態におけるブロッキングが一層効果的に抑制でき、ロール状の形態から巻き戻す際に裂けたり破れたりすることを一層抑制し得る。
【0080】
(メタ)アクリル系ポリマーは、任意の適切な重合方法によって製造し得る。
【0081】
非粘着層には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、触媒、紫外線吸収剤、充填剤、老化防止剤、粘着付与剤、顔料、染料、シランカップリング剤などが挙げられる。
【0082】
非粘着層の厚みは、好ましくは0.01μm〜10μmであり、より好ましくは0.1μm〜5μmであり、さらに好ましくは0.1μm〜2μmである。非粘着層の厚みが0.01μm未満の場合、ブロッキングが生じやすくなる。非粘着層の厚みが10μmより大きいと、延伸等の変形に対する追随性が悪くなるおそれがある。
【0083】
基材の片方の面に非粘着層を形成する方法としては、例えば、基材の片方の面に非粘着層の材料を塗布して乾燥することによって非粘着層を形成する方法が挙げられる。上記塗布の方法としては、例えば、バーコーター、グラビアコーター、スピンコーター、ロールコーター、ナイフコーター、アプリケーター等を用いる方法が挙げられる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。特に断りがない限り、部は重量部を意味し、%は重量%を意味する。また、溶液で供給されている試薬の量は、溶液を揮発させて残る固形分の量(固形分換算量)によって表される。
【0085】
1、ナノインデンテーション弾性率
粘着剤層の表面に対して以下の条件で押し込み試験を行い、その結果から、ナノインデンテーション弾性率を求めた。
(測定装置及び測定条件)
装置:Hysitron Inc.製 Tribo Indenter
使用圧子:Berkovich(三角錐型)
測定方法:単一押し込み測定
測定温度:25℃
押し込み深さ設定:約300nm
押込み速度:約10nm/sec
測定雰囲気:空気中
試料サイズ:約1cm×約1cm
(測定方法)
上記の装置を使用し、バーコビッチ型ダイヤモンド製圧子を粘着剤層の表面から深さ300nmまで垂直に押し込んだ。解析ソフト「Triboscan Ver.9.2.12.0」を用いて、圧子を除去した後に得られた変位、荷重と理論的に算出された圧痕面積から、表面の弾性率を求めた。
【0086】
2、粘着力
JIS−Z−0237(2000年)に準じて粘着力を測定した。
23℃の環境下において、粘着テープを作製直後から1時間以上、被着体としてのSUS430BA板とともに、放置した。その後、粘着テープの粘着剤層面とSUS430BA板とを、2kgローラー1往復で圧着し、23℃の環境下で30分間経過した後に、引張速度0.3m/分、剥離角度180°にて、粘着テープの粘着力(初期粘着力)を測定した。
また、粘着テープの粘着剤層面とSUS430BA板とを、2kgローラー1往復で圧着し、50℃の環境下で2日間経過した後に、23℃の環境下において、引張速度0.3m/分、剥離角度180°にて、粘着テープの粘着力(保存粘着力)を測定した。
【0087】
3、LEDチップのピックアップ試験
以下の条件でLEDチップのピックアップ試験を行い、ピックアップ成功率を求めた。
(評価装置及び評価条件)
装置:M.P.I製 Mapping Sorter M6600
評価用LEDチップ:Lateral型LEDチップ
LEDチップのサイズ:14milx28mil、26milx30mil、45milx45mil
LEDチップと粘着剤層の接触面:非電極面
測定温度:23℃(室温)
ニードル位置:LEDチップのセンター
ピックアップ速度:1pcs/秒
(評価方法)
評価用LEDチップ(10個)を粘着テープの粘着剤層上に配列し、上記の条件でLEDチップのピックアップを試み、ピックアップ成功率を求めた。このようにして、LEDチップ配列直後のピックアップ成功率(初期ピックアップ性)、LEDチップ配列後、50℃の環境下で2日経過させた後のピックアップ成功率(保存ピックアップ性)を求めた。
なお、下記1)または2)となった場合はピックアップ不可と判断し、成功率を算出した。
1)評価用粘着テープからLEDチップが剥がれず、ピックアップできない
2)ピックアップしソーティングできたが、所定の位置に整列できない
ピックアップ成功率の算出式:(成功個数/ピックアップ試験個数)×100=成功率(%)
【0088】
〔製造例1〕:軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)の製造
重合度P=1050のポリ塩化ビニル100重量部に対してDOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス社製)27重量部を含んだ軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)をカレンダー法によって製膜した。得られた軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)の厚みは70μmであり、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される弾性率(MD)が250MPa、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される最大伸び(MD)が400%であった。また、製造直後の算術平均表面粗さRaは0.1μmであった。
【0089】
〔製造例2〕:軟質ポリ塩化ビニルフィルム(2)の製造
重合度P=1050のポリ塩化ビニル100重量部に対してDOTP可塑剤(テレフタル酸(2−エチルヘキシル)、ADEKA社製、商品名「アデカサイザーD−810」)27重量部を含んだ軟質ポリ塩化ビニルフィルム(2)をカレンダー法によって製膜した。得られた軟質ポリ塩化ビニルフィルム(2)の厚みは70μmであり、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される弾性率(MD)が250MPa、JIS−K−7127(1999年)に従って測定される最大伸び(MD)が400%であった。また、製造直後の算術平均表面粗さRaは0.1μmであった。
【0090】
〔実施例1〕
(非粘着層)
シリコーン樹脂(信越化学工業社製、商品名「KS−723A」)60重量部、シリコーン樹脂(信越化学工業社製、商品名「KS−723B」)40重量部、アクリル共重合ポリマー(メチルメタクリレート(MMA)/ブチルアクリレート(BA)/ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)=70/30/10)50重量部、スズ系触媒(信越化学工業社製、商品名「Cat−PS3」)10重量部を、溶液状態で混合して、混合溶液(1)を得た。混合溶液(1)中のシリコーンと(メタ)アクリル系ポリマーの混合比は、重量比で、シリコーン:(メタ)アクリル系ポリマー=2:1であった。
製造例1で得られた軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)の片方の面に、上記混合溶液(1)を塗布して、乾燥し、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmの非粘着層(1)を形成させた。
(粘着剤層)
ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)=85/15/2.5(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、DIC社製、商品名「スーパーベッカミンJ−820−60N」)10重量部、エポキシ系架橋剤(1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)ジクロルヘキサン、三菱ガス化学社製、商品名「テトラッドC」)1.0重量部、パラトルエンスルホン酸(1級、キシダ化学社製)0.7重量部、DOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス社製)40重量部を含む粘着剤溶液(1)を調製した。この粘着剤溶液(1)を、上記軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)の非粘着層(1)と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層(1)を形成した。
(粘着テープ)
以上のようにして、非粘着層(1)/軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)/粘着剤層(1)から構成される粘着テープ(1)を製造した。得られた粘着テープ(1)を上記評価1〜3に供した。結果を表1に示す。
【0091】
〔実施例2〕
(非粘着層)
実施例1と同様にして、混合溶液(1)を調製した。
製造例2で得られた軟質ポリ塩化ビニルフィルム(2)の片方の面に、上記混合溶液(1)を塗布して、乾燥し、厚さ1.0μm、算術平均表面粗さRa=0.5μmの非粘着層(1)を形成させた。
(粘着剤層)
エポキシ系架橋剤の配合量を3重量部とし、DOP可塑剤40重量部に代えてDOTP可塑剤(テレフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ADEKA社製、商品名「アデカサイザーD−810」)80重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤溶液(2)を調製した。この粘着剤溶液(2)を、上記軟質ポリ塩化ビニルフィルム(2)の非粘着層(1)と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層(2)を形成した。
(粘着テープ)
以上のようにして、非粘着層(1)/軟質ポリ塩化ビニルフィルム(2)/粘着剤層(2)から構成される粘着テープ(2)を製造した。得られた粘着テープ(2)を上記評価1〜3に供した。結果を表1に示す。
【0092】
〔実施例3〕
(非粘着層)
実施例2と同様にして、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(2)上に非粘着層(1)を形成した。
(粘着剤層)
エポキシ系架橋剤の配合量を6重量部としたこと以外は、実施例2と同様にして、粘着剤層(3)を形成した。
(粘着テープ)
以上のようにして、非粘着層(1)/軟質ポリ塩化ビニルフィルム(2)/粘着剤層(3)から構成される粘着テープ(3)を製造した。得られた粘着テープ(3)を上記評価1〜3に供した。結果を表1に示す。
【0093】
〔比較例1〕
(非粘着層)
実施例1と同様にして、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)上に非粘着層(1)を形成した。
(粘着剤層)
ブチルアクリレート(BA)/アクリロニトリル(AN)/アクリル酸(AA)=85/15/2.5(重量比)から構成されるアクリル共重合ポリマー100重量部、メラミン系架橋剤(ブタノール変性メラミンホルムアルデヒド樹脂、DIC社製、商品名「スーパーベッカミンJ−820−60N」)10重量部、DOP可塑剤(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、ジェイプラス社製)60重量部からなる粘着剤の粘着剤溶液(4)を調製した。この粘着剤溶液(4)を、上記軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)の非粘着層(1)と反対側の面に塗布した後、130℃×90秒で乾燥し、厚み10μmの粘着剤層(4)を形成した。
(粘着テープ)
以上のようにして、非粘着層(1)/軟質ポリ塩化ビニルフィルム(1)/粘着剤層(4)から構成される粘着テープ(4)を製造した。得られた粘着テープ(4)を上記評価1〜3に供した。結果を表1に示す。
【0094】
【表1】