(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-133313(P2017-133313A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】床下断熱材用固定具
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20170707BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20170707BHJP
E04B 5/43 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
E04G23/02 H
E04B1/76 400J
E04B5/43 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-16289(P2016-16289)
(22)【出願日】2016年1月29日
(71)【出願人】
【識別番号】390039295
【氏名又は名称】株式会社コシイプレザービング
(74)【代理人】
【識別番号】100075409
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
(74)【代理人】
【識別番号】100129757
【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久彦
(74)【代理人】
【識別番号】100115082
【弁理士】
【氏名又は名称】菅河 忠志
(74)【代理人】
【識別番号】100125243
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩彰
(72)【発明者】
【氏名】清水 岳祥
(72)【発明者】
【氏名】辻本 吉寛
【テーマコード(参考)】
2E001
2E176
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA12
2E001GA12
2E001GA29
2E001HA32
2E001HA33
2E001HD02
2E001HD03
2E001HD04
2E001HD09
2E176AA09
2E176AA21
2E176BB25
(57)【要約】
【課題】床下の断熱改修工事等で使用する床下断熱材を簡単、且つ確実に固定するための固定具を提供する。
【解決手段】床板下の根太間に配置される床下断熱材を支持するための床下断熱材用固定具であって、該固定具は、根太の内部に埋没する埋没部と、該埋没部が挿入された根太の両側にある床下断熱材の下面に配置され、これらの床下断熱材を支える支持部と、該埋没部の最下部と該最下部よりも下方にある該支持部とを繋ぐ後退部とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床板下の根太間に配置される床下断熱材を支持するための床下断熱材用固定具であって、
前記固定具は、前記根太の内部に埋没する埋没部と、
前記埋没部が挿入された根太の両側にある床下断熱材の下面に配置され、これらの床下断熱材を支える支持部と、
前記埋没部の最下部と該最下部よりも下方にある前記支持部とを繋ぐ後退部と、
を有することを特徴とする固定具。
【請求項2】
前記支持部は、前記埋没部が挿入された根太の片側の床下断熱材を支える第1支持部と、他の片側の床下断熱材を支える第2支持部を有する請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記埋没部と前記後退部と前記支持部とは、一体形成されたものである請求項1または2に記載の固定具。
【請求項4】
前記後退部には、前記埋没部の埋没深さを規制するストッパー部を有する請求項1〜3のいずれかに記載の固定具。
【請求項5】
前記埋没部には、前記ストッパー部よりも小さい抜け防止部が形成されている請求項4に記載の固定具。
【請求項6】
前記埋没部は、少なくとも2つ存在し、
前記2つの埋没部は、前記最下部において最も近接しており、埋没方向に向かって互いに離間している請求項1〜5のいずれかに記載の固定具。
【請求項7】
前記支持部と前記後退部との間に、前記固定具を前記根太に取付ける打込み部を備えており、
前記打込み部は円弧状であり、
該円弧の半径がr/5〜4r/5(rは支持部又は後退部の肉厚)である請求項6に記載の固定具。
【請求項8】
床板と、該床板下の複数の根太と、該根太間に配置されている床下断熱材と、該床下断熱材を支持している請求項1〜7のいずれかに記載の固定具とを有する床下断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下の断熱改修工事等で使用する、床下断熱材を固定するための固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
木造建築物の床下構造は、大引きに対して直交する複数の根太が所定間隔で配置されており、それら複数の根太が床板を支持する構造である。この構造において、所定間隔で配置された根太の間には板状等の断熱材を設けることで、室内と室外との断熱が行なわれている。
【0003】
当該断熱材としては、グラスウールやロックウール、アスベスト等の工業無機繊維を主材とした定形断熱材や、化学反応にて発泡させたポリスチレンボ−ド、ポリウレタンボード、イソシアヌレートボ−ド、フェノールボード等の定形の合成樹脂発泡体が一般的に用いられるが、最近では、グラスウール等の断熱材の下面に水蒸気の通過を確保するための透湿性不織布を付けた不織布付断熱材を用いることが知られている。
【0004】
床下断熱材を床下側から固定するものとして、種々の床下断熱材用固定具が知られている。例えば、特許文献1には、根太に対して下方から装着される基体と、該基体の上端に一体的に連設されて断熱材を受止する受体とを備える断熱材保持具が開示されている。この保持具によれば、基体を根太に装着した際に、受体が根太の上面よりも断熱材の厚みに相当する寸法だけ下方に配置されることになる。そして、受体に断熱材を受止させた場合には、断熱材の上面と根太の上面とが略面一状態となり、しかも根太の上面には金具類等が何ら存在しないこととなり、上面に張り渡される床板は根太に対して確実に密着した状態を維持することになり、床鳴りの発生が効果的に防止されるといわれている。
【0005】
特許文献1の記載によれば、床下断熱材用固定具の具体的構造として、基体の両側面部を平板状若しくは波形状とした上で、この両側面部に各々、固定部材(釘等)を挿通するための貫通孔を形成し、固定部材を貫通孔に挿通して根太に打ち込むことで、断熱材保持金具を固定部材によって確実に根太に固定支持できるといわれている。また、両側面部に各々、内方に突出する凸部を形成し若しくは下方が上方よりも内方に突出する複数の傾斜状凸部を形成することで、該断熱材保持金具の根太からの下方への脱落が凸部若しくは傾斜状凸部の作用によって確実に阻止されるといわれている。
【0006】
また、特許文献2には、根太の下面に沿って受け部材を取付けると共に受け部材の両側の受け片を根太の幅方向の両側の側面より側方に突出させ、床暖房パネルの端縁の下面を受け片に載置し、根太の上面に直接フローリング材を載置してフローリング材を根太に固定する床暖房装置が開示されている。この床暖房装置によれば、フローリング材を根太に固定する時に、従来のように金属の部材が介在されることなくフローリング材を簡単且つ確実に固定できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平04−011858号公報
【特許文献2】特開平11−304168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の床下断熱材用固定具や特許文献2の固定構造は強度が十分ではなく、また、長期にわたる載荷によりクリープ変形が発生して耐荷重性が十分なものではなかった。また、最近、根太の床下方向における厚みに対して、断熱材の床下方向における厚みを大きくして断熱性能を向上させた床下断熱材を取付ける施工技術が検討されており、この場合、該床下断熱材を固定するための固定具は十分なものではなかった。
【0009】
本発明は上記の事情に着目してなされたものであって、その目的は、床下の断熱改修工事等で使用する床下断熱材を簡単、且つ確実に固定するための固定具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決し得た本発明の固定具は、床板下の根太間に配置される床下断熱材を支持するための床下断熱材用固定具であって、該固定具は、前記根太の内部に埋没する埋没部と、該埋没部が挿入された根太の両側にある床下断熱材の下面に配置され、これらの床下断熱材を支える支持部と、該埋没部の最下部と該最下部よりも下方にある該支持部とを繋ぐ後退部と、を有する点に特徴を有する。
【0011】
本発明の固定具において、支持部は、埋没部が挿入された根太の片側の床下断熱材を支える第1支持部と、他の片側の床下断熱材を支える第2支持部を有することが好ましい。
【0012】
本発明の固定具において、埋没部と後退部と支持部とは、一体形成されたものであっても良い。
【0013】
本発明の固定具において、後退部には、埋没部の埋没深さを規制するストッパー部を有することが好ましい。
【0014】
本発明の固定具において、埋没部には、ストッパー部よりも小さい抜け防止部が形成されていることが好ましい。
【0015】
本発明の固定具において、埋没部は、少なくとも2つ存在し、該2つの埋没部は、最下部において最も近接しており、埋没方向に向かって互いに離間していることが好ましい。
【0016】
本発明の固定具において、支持部と後退部との間に、固定具を根太に取付ける打込み部を備えており、該打込み部は円弧状であり、該円弧の半径がr/5〜4r/5(rは支持部又は後退部の肉厚)であることが好ましい。
【0017】
本発明の固定具を有する床下断熱構造において、床板と、該床板下の複数の根太と、該根太間に配置されている床下断熱材と、該床下断熱材を支持している固定具とを有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の固定具によれば、根太の内部に埋没する埋没部と、該埋没部が挿入された根太の両側にある床下断熱材の下面に配置され、これらの床下断熱材を支える支持部と、該埋没部の最下部と該最下部よりも下方にある該支持部とを繋ぐ後退部とを有する構成であることから、該床下断熱材を簡単、且つ確実に固定することができる。さらに、該固定具を有する床下断熱構造は、耐震性に対する強度が十分であり、また、長期にわたる載荷によるクリープ変形の発生を抑え、耐荷重性を十分備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る固定具を有する床下断熱構造の断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る固定具を有する床下断熱構造の拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態2に係る固定具を有する床下断熱構造の拡大断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態2に係る固定具を示す。(a)は断面図、(b)は平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態3に係る固定具を有する床下断熱構造の拡大断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態3に係る固定具を示す。(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。
【0021】
本発明の固定具は、床板下の根太間に配置される床下断熱材を支持するためのものであり、該固定具は、該根太の内部に埋没する埋没部と、該埋没部が挿入された根太の両側にある床下断熱材の下面に配置され、これらの床下断熱材を支える支持部と、該埋没部の最下部と該最下部よりも下方にある該支持部とを繋ぐ後退部とを有する。本発明の固定具によれば、床下断熱材の固定を簡単な構成で、且つ確実に行なうことができる。さらに、該固定具を有する床下断熱構造は、耐震性に対する強度が十分であり、また、長期にわたる載荷によるクリープ変形の発生を抑え、耐荷重性を十分備えることができる。
【0022】
また、本発明の固定具において、支持部は、埋没部が挿入された根太の片側の床下断熱材を支える第1支持部と、他の片側の床下断熱材を支える第2支持部を有することが好ましい。埋没部が挿入された根太の両側には床下断熱材が当接しており、それぞれ、該第1支持部と該第2支持部により該床下断熱材を支えることができることから、該床下断熱材の固定を確実に行なうことができる。
【0023】
本発明の固定具は、埋没部と後退部と支持部とが一体形成されたものであることが好ましい。該一体形成された構成を有することで、長期にわたる載荷に起因する応力集中に対する強度をさらに向上させることができ、また、耐震性に対しても十分な強度を保つことができる。
【0024】
本発明の固定具において、後退部には、埋没部の埋没深さを規制するストッパー部を有することが好ましい。該ストッパー部を有することで、振動・衝撃等による埋没部の抜けを防止すると共に、埋没部の埋没深さを所望の深さに調整することができ、種々の床下断熱材の構造に適用させることが可能となる。
【0025】
また、本発明の固定具において、埋没部には、ストッパー部よりも小さい抜け防止部が形成されていることが好ましい。該抜け防止部を有することで、振動・衝撃等による埋没部の抜けを確実に防止することができる。
【0026】
また、本発明の固定具において、埋没部は少なくとも2つ存在し、該2つの埋没部は、最下部において最も近接しており、埋没方向に向かって互いに離間していることが好ましい。埋没部が上記の構成を有することで、長期にわたる載荷に起因して発生する応力集中を分散させることができ、耐荷重性や耐震性をさらに向上させることができる。
【0027】
また、本発明の固定具において、支持部と後退部との間に、該固定具を根太に取付ける打ち込み部を備えており、該打ち込み部は円弧状であり、該円弧の半径がr/5〜4r/5(rは支持部又は後退部の肉厚)であることが好ましく、より好ましくは3r/10〜7r/10、更に好ましくは2r/5〜3r/5が良い。該円弧の半径がr/5以上の場合、例えば、該固定具の2つの埋没部が最下部において最も近接し、埋没方向に向かって互いに離間するような構成を容易に達成することができる。また、該円弧の半径が4r/5以下の場合、打込み部をハンマー等で斜方に打ち込む際に、打込み焦点が絞りやすくなる。
【0028】
さらに、本発明の固定具を有する床下断熱構造において、床板と、該床板下の複数の根太と、該根太間に配置されている床下断熱材と、該床下断熱材を支持している固定具から構成されていることが好ましい。該構成を有することで、耐震性に対する強度が十分であり、また、長期にわたる載荷によるクリープ変形の発生を抑え、耐荷重性を十分備えることができる。
【0029】
以下、より詳細な具体例を説明するが、本発明は以下の具体例のみに限定されず、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0030】
図1に、本発明の固定具を有する床下断熱構造の断面図を示す。該床下断熱構造は、床板1下に配置された複数の根太2の間に複数の床下断熱材3を配置する構成であり、該床下断熱材3を床下側から支持するための固定具4を備えたものである。固定具4を設置することにより、根太2に隣接する2箇所の床下断熱材3を同時に支持することができる。
【0031】
(実施の形態1)
図2に、本発明の実施の形態1に係る固定具4Aを有する床下断熱構造の拡大断面図を示す。固定具4Aは、根太2の内部に埋没する埋没部4Aaと、埋没部4Aaが挿入された根太2の両側にある床下断熱材3の下面に配置され、これらの床下断熱材3を支える支持部4Ab(
図2には、第1支持部4Ab
1、第2支持部4Ab
2を示す)と、埋没部4Aaの最下部4Aaxと該最下部4Aaxよりも下方にある該支持部4Abとを繋ぐ後退部4Acとを有している。
【0032】
埋没部4Aaの形状としては、根太2の内部に確実、且つ、容易に嵌まり込むように、例えば
図2に示す先端が針状のものや、ネジ状を有するものが好ましいが、特に限定されるものではない。材質としては、耐久性、防食性の観点からステンレス製、真鍮製が好ましい。
【0033】
支持部4Abの形状としては、床下断熱材3の下面に配置され、これらの床下断熱材3を支えることができるように、例えば
図2に示す平板状のものや円板状が好ましいが、特に限定されるものではない。材質としては埋没部4Aaと同様に、耐久性、防食性の観点からステンレス製、真鍮製が好ましい。
【0034】
後退部4Acの形状としては、埋没部4Aaと支持部4Abを確実に繋ぐことができるように、例えば
図2に示す円柱状のものや、角柱状のものが好ましいが、特に限定されるものではない。材質としては埋没部4Aa、支持部4Abと同様に、耐久性、防食性の観点からステンレス製、真鍮製が好ましい。
【0035】
支持部4Abは、
図2に示すように、床下断熱材3の固定を確実に行なうことを考慮して、埋没部4Aaが挿入された根太の片側の床下断熱材3を支える第1支持部4Ab
1と、他の片側の床下断熱材3を支える第2支持部4Ab
2を有しても良い。埋没部4Aaが挿入された根太の両側には床下断熱材3が当接しており、それぞれ、該第1支持部4Ab
1と該第2支持部4Ab
2により該床下断熱材3を支えることができることから、該床下断熱材3の固定を確実に行なうことができる。
【0036】
また、本発明の固定具4Aは、長期にわたる載荷に基づく応力集中に対する強度をさらに向上させることを考慮して、埋没部4Aaと後退部4Acと支持部4Abとが一体形成されたものでも良い。該一体形成された構成を有することで、長期にわたる載荷に基づく応力集中に対する強度をさらに向上させることができ、また、耐震性に対しても十分な強度を保つことができる。
【0037】
(実施の形態2)
図3に、本発明の実施の形態2に係る固定具4Bを有する床下断熱構造の拡大断面図、
図4に、本発明の実施の形態2に係る固定具4Bを示す。(a)は断面図、(b)は平面図である。
【0038】
実施の形態1と異なる点は、固定具4Bの後退部4Bcには、埋没部4Baの埋没深さを規制するストッパー部4Basを有していることである。該ストッパー部4Basを有することで、振動・衝撃等による埋没部4Baの抜けを防止すると共に、埋没部4Baの埋没深さを所望の深さに調整することができ、種々の床下断熱材3の構造に適用させることが可能となる。さらに、埋没部4Baには、ストッパー部4Basよりも小さい抜け防止部4Bapを形成させても良い。該抜け防止部4Bapを有することで、振動・衝撃等による埋没部の抜けを確実に防止することができる。
【0039】
ストッパー部4Bas、抜け防止部4Bapの形状としては、根太2に埋没する埋没部4Baが振動・衝撃等によるずれや抜け落ちに対して確実に支えることができるように、例えば
図3に示す平板状のものや円板状が好ましいが、特に限定されるものではない。材質としては埋没部4Baと同様に、耐久性、防食性の観点からステンレス製、真鍮製が好ましい。
【0040】
なお、
図3、4に示した固定具4Bは、支持部4Bbが埋没部4Ba、後退部4Bcと一体形性分離した形態となっているが、該固定具4Bに該支持部4Bb(
図3、4には第1支持部4Bb
1、第2支持部4Bb
2を示す)が床下断熱材3の下面を支持する構成であれば、この形態に限定されるものではない。実施の形態1で説明したように、埋没部4Baと後退部4Bcと支持部4Bbとが一体形成されたものと同様に、長期にわたる載荷に起因する応力集中に対する強度を保つことができ、また、耐震性に対しても十分な強度を保つことができる。
【0041】
(実施の形態3)
図5に、本発明の実施の形態3に係る固定具4Cを有する床下断熱構造の拡大断面図、
図6に、本発明の実施の形態3に係る固定具4Cを示す。(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【0042】
実施の形態1と異なる点は、固定具4Cの埋没部4Caは2箇所存在していることである。該2箇所の埋没部4Ca
1、4Ca
2は、最下部4Caxにおいて最も近接しており、埋没方向に向かって互いに離間している。このような構成を有することで、長期にわたる載荷に起因して発生する応力集中を緩和させることができ、耐荷重性や耐震性をさらに向上させることができる。
【0043】
また、埋没部4Caをハンマー等で斜方に打ち込みやすいようにするために、支持部4Cb(
図5、6には第1支持部4Cb
1、第2支持部4Cb
2を示す)と後退部4Cc(
図5、6には第1後退部4Cc
1、第2後退部4Cc
2を示す)との間に、固定具4Cを根太2に取付ける打込み部4Cr(
図5、6には第1打込み部4Cr
1、第2打込み部4Cr
2を示す)が設けられている。該打込み部4Crは円弧状であり、該円弧の半径がr/5〜4r/5(rは支持部又は後退部の肉厚)であることが好ましく、より好ましくは3r/10〜7r/10、更に好ましくは2r/5〜3r/5が良い。該円弧の半径がr/5以上の場合、例えば、該固定具の2つの埋没部が最下部において最も近接し、埋没方向に向かって互いに離間するような構成を容易に達成することができる。また、該円弧の半径が4r/5以下の場合、打込み部をハンマー等で斜方に打ち込む際の打込み焦点を絞りやすい。なお、打込み部4Crの材質としては支持部4Cb、後退部4Ccと同様に、耐久性、防食性の観点からステンレス製、真鍮製が好ましい。
【0044】
なお、本発明の実施の形態で用いる床下断熱材3としては、例えば、グラスウールやロックウール、アスベスト等の工業無機繊維を主材とした定形断熱材や、化学反応にて発泡させたポリスチレンボ−ド、ポリウレタンボード、イソシアヌレートボ−ド、フェノールボード等の定形の合成樹脂発泡体を用いることができるが、伸縮性があって枠体間に密着した状態で挿入でき、材料コストや難燃性等の観点から無機繊維系断熱材(特にグラスウール、ロックウール)を用いることが好ましい。
【0045】
なお、グラスウールやロックウールの規格について、特に限定されるものではないが、柔軟性を有し自己保形性を有することを考慮して、以下の密度のものを用いることが好ましい。グラスウールの密度としては、10〜40kg/m
3のものを用いることが好ましく、より好ましくは、14〜36kg/m
3、さらに好ましくは16〜32kg/m
3が良い。また、ロックウールの密度としては、25〜100kg/m
3のものを用いることが好ましく、より好ましくは、35〜85kg/m
3、さらに好ましくは45〜70kg/m
3が良い。
【符号の説明】
【0046】
1 床板
2 根太
3 床下断熱材
4 固定具
4A 固定具
4B 固定具
4C 固定具
4Aa 埋没部
4Ba 埋没部
4Ca 埋没部
4Ca
1 第1埋没部
4Ca
2 第2埋没部
4Ab 支持部
4Bb 支持部
4Cb 支持部
4Ab
1 第1支持部
4Ab
2 第2支持部
4Bb
1 第1支持部
4Bb
2 第2支持部
4Cb
1 第1支持部
4Cb
2 第2支持部
4Ac 後退部
4Bc 後退部
4Cc 後退部
4Cc
1 第1後退部
4Cc
2 第2後退部
4Aax 最下部
4Bas ストッパー部
4Bap 抜け防止部
4Cr 打込み部
4Cr
1 第1打込み部
4Cr
2 第2打込み部