【実施例1】
【0011】
図1〜
図14は、この発明の実施例1を示すものである。
図1に示すように、バインダー1は、バインダー表体2に、とじ具3を取り付けて構成される。とじ具3は、複数枚の被ファイル部材Pを重ねてとじるとともに、重ねられた被ファイル部材Pに邪魔されることなく、一枚の被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを可能にするものである。
被ファイル部材Pには、長手方向Xで、とじ側端Eに所定の間隔で離れた一対のとじ穴H・Hが形成される。とじ穴Hは、とじ側端Eへ末広がり状に形成された開口H1と、開口H1に連通した連通溝H2と、連通溝H2に連通し且つ連通溝H2の幅よりも大きな直径の内部孔H3とからなる。
ここで、被ファイル部材Pとしては、各種用紙、樹脂製のファイル用補助板などの各種の部材からなるものである。
【0012】
バインダー表体2は、背面部4と裏面部5と表面部6とからなる。バインダー表体2においては、裏面部5に対して背面部4及び表面部6が離れる開き状態又は近づく閉じ状態となるように揺動する。
とじ具3は、長手方向Xに沿って背面部4の近くの略中央部位に配置され、所定の箇所に配置された複数(例えば4つ)の固定具7・7・7・7によって裏面部5の内面に固定される。これにより、とじ具3は、バインダー表体2に取り付けられる。
【0013】
図1、
図2に示すように、とじ具3は、筺体8と、一対のとじ足9・9と、変角部材10と、蓋部11と、操作手段12とを備える。
【0014】
図3〜
図5に示すように、筺体8は、とじ足9・9を回転自在に支持するものであって、背側壁13と裏側壁14と表側壁15と裏側傾斜壁16と表側傾斜壁17からなり、内部空間Sを有して断面C字形状に形成される。また、筺体8は、
図5に示すように、平面視において、長手方向Xが短手方向Yよりも所定に長い長方形状に形成される
【0015】
背側壁13には、長手方向Xで、被ファイル部材Pの一対のとじ穴H・H間の距離だけ離れた箇所で整列案内突部18・18が形成される。整列案内突部18・18は、それぞれ、背側壁13の一部に切り目を入れて内部空間S内へ突出するように変形され、平面視で断面三角形状に形成される。
整列案内突部18・18は、被ファイル部材Pがとじ足9・9に差し込まれる際に、被ファイル部材Pのとじ穴H・Hの内部孔H3・H3の中心がとじ足9・9の中心と一致するように案内するものである。
【0016】
図1に示すように、裏側壁14は、上記の複数の固定具7により、裏面部5の内面に固定されるものである。
図3、
図4に示すように、裏側壁14には、裏側窪部19・19が形成される。裏側窪部19・19は、背側壁13の整列案内突部18・18と一致する箇所で所定の間隔に配置され、また、裏面部5の内面側に開放する裏側空間20・20を形成するように、裏面部5の内面側から所定の深さに形成される。裏側窪部19・19には、とじ足9・9の一端を挿通する裏側足回転孔21・21が形成される。
図6(A)に示すように、裏側窪部19には、裏側足回転孔21の周辺で、とじ足9が回転した際に、とじ足9を一定の回転角度(例えば90度)で停止する一対の裏側回転停止部22・22が形成される。
【0017】
図3〜
図5に示すように、表側壁15には、裏側窪部19・19に対峙する箇所で、表側窪部23・23が形成される。表側窪部23・23は、表面部6側に開放する表側空間24・24を形成するように、表面部6側から所定の深さに形成される。表側窪部23・23には、裏側足回転孔21・21に対峙して表側足回転孔25・25が形成される。
図6(B)に示すように、表側窪部23には、裏側窪部19の裏側回転停止部22と同様に、表側足回転孔25の周辺で、とじ足9が回転した際に、とじ足9を一定の回転角度(例えば90度)で停止する一対の表側回転停止部26・26が形成される。
また、
図5に示すように、表側壁15には、背側壁13側の一側端に沿って複数(3つ)の蓋部取付用長孔27・27・27が所定の間隔で直列に形成されるとともに、背側壁13から離れた側の他側端に沿って複数(3つ)の蓋部取付用突部28・28・28が所定の間隔で且つ所定の高さで形成される。
【0018】
図7(A)、
図7(B)に示すように、とじ足9は、薄い板状の本体部29を備える。
本体部29の一端には、裏側空間20内に配置される一側折曲片30A・他側折曲片30Bが形成される。一側折曲片30A・他側折曲片30Bは、裏面部5の内面上で且つ裏側空間20内で回転自在に配置される。一側折曲片30Aと他側折曲片30Bとにあっては、本体部29の一面に対して一側折曲片30Aが所定の角度(例えば90度)で折り曲げて形成されるとともに、本体部29の他面に対して一側折曲片30Aから外れた箇所で他側折曲片30Bが所定の角度(例えば90度)で折り曲げて形成される。これにより、とじ足9の一端が裏側足回転孔21から抜けるのを防止できる。
本体部29の他端には、所定の角度θで捩られた捩れ部31を介して平板状の変角案内部32と、変角案内部32の中央部位で軸方向へ延びる支持軸33とが形成される。つまり、変角案内部32は、
図7(C)に示すように、平面視において、本体部29の面に対して所定の角度θ(例えば45度)で回転して形成される。なお、変角案内部32は、平面視で、本体部29の面に対して、所定の角度θで時計方向又は反時計方向のいずれかの方向へ捩られて形成されるものである。
【0019】
図2に示すように、表側窪部23・23の表側空間24・24内には、とじ足9・9の捩れ部31・31に嵌装された環状部材34・34が配置される。環状部材34は、ゴム製で弾性変形するものであって、捩れ部31を挿通させる挿通孔35を備えている。また、環状部材34は、表側壁15の面から突出しないように、表側空間24内に収容される。従って、変角部材10は、表側壁15及び環状部材34の面上でスムーズに往復動される。
【0020】
図8(A)、
図8(B)に示すように、変角部材10は、とじ足9・9の回転角度が変化するように筺体8の表側壁15上で滑るように動かされるものであり、細長い板状に形成される。
変角部材10には、とじ足9・9に対応する箇所で変角案内孔として、半径R・Rの円弧状の変角案内長孔36・36が形成される。変角案内長孔36・36は、とじ足9・9の変角案内部32・32を挿通して係合させるものであって、板状の変角案内部32・32の両面を挟むような所定の幅に形成される。また、変角案内長孔36・36は、変角部材10の長手方向Xに長く且つ短手方向Yの一方へ突出するような円弧形状に形成される。
また、変角部材10の一面には、変角案内長孔36・36間で、移動支持用溝37・37が所定の間隔に形成される。移動支持用溝37は、変角部材10の一面で短手方向Yに向かって所定の幅且つ所定の深さで楕円形状に形成される。
【0021】
図9(A)、
図9(B)に示すように、蓋部11は、変角部材10を覆うように、細長い形状に形成され、中央部38の周縁で一側短手部39と他側短手部40と一側長手部41と他側長手部42とが折り曲げられて形成される。
蓋部11の一側長手部41には、表側壁15の蓋部取付用長孔27・27・27に係止される複数(3つ)の固定用取付部43・43・43が水平方向で突出して直列に形成される。他側長手部42の外側面は、表側壁15の蓋部取付用突部28・28・28に係止される。
蓋部11の中央部38には、長手方向Xの中央軸線G上で所定の長さで且つ所定の幅で長方形状のスライド操作用長孔44が形成される。また、蓋部11の中央部38には、スライド操作用長孔44の長手方向Xの両側端において、一側操作部節度用溝45A・45Aと他側操作部節度用溝45B・45Bとが、平面視で三角形状に形成される。
また、蓋部11の中央部38には、スライド操作用長孔44の両端側で、内部に突出する支持用窪部46・46が形成される。支持用窪部46・46には、とじ足9・9の支持軸33・33を挿通させるための支持孔47・47が形成される。
【0022】
操作手段12は、とじ足9・9の回転角度が変化するように変角部材10を長手方向Xへ動かすためのものであり、この実施例1において、スライド操作体48を備える。
スライド操作体48は、
図10(A)、
図10(B)、
図10(C)に示すように、基部49と、基部49から突出する操作突出部50とが、一体的になって形成される。スライド操作体48は、変角部材10を筺体8の表側壁15の面上で往復動するように、スライド移動可能なものである。
基部49は、蓋部11のスライド操作用長孔44の幅よりも大きな幅であって、蓋部11内に配置されてスライド操作用長孔44から抜けないような形状に形成される。
操作突出部50は、スライド操作用長孔44の幅よりも小さな幅に形成され、スライド操作用長孔44に内方から挿通され、且つスライド操作用長孔44内で移動可能である。また、操作突出部50は、長手方向Xの長さが、例えば、スライド操作用長孔44の長さの略半分に形成される。
操作突出部50は、両端で、人手の指を係止させる一対の係止用突部51・51を備える。これにより、スライド操作体48がスムーズにスライド移動され、そして、とじ足9・9がスムーズに回転される。
【0023】
スライド操作体48の基部49の底面には、
図10(C)に示すように、スプリング収容穴52と、ピン支持穴53・53とが形成される。
スプリング収容穴52は、底面から所定の幅・長さ・深さで長方形状に形成される。
支持穴53・53は、基部49の両端側で、所定の直径で且つ所定の深さで形成されている。支持穴53・53には、
図2に示すように、変角部材10の移動支持用溝37・37に位置する連結部材としての連結ピン54・54の一端が挿着される。
連結ピン54は、変角部材10とスライド操作体48とを連結するものであって、他端が変角部材10の移動支持用溝37・37内で移動自在である。移動支持用溝37は、連結ピン54の他端が移動自在となるように、内部の底面域が連結ピン54の直径よりも大きく設定される。操作手段12は、この実施例1では、スライド操作体48と連結ピン54とを備える。
また、スライド操作体48には、操作突出部50の一側面で、スプリング収容穴52に連通するスプリング突出用孔55が水平方向に開口して形成される。
スプリング収容穴52には、
図10(C)に示すように、節度用スプリング56が収容して配置される。
節度用スプリング56は、板状バネであって、所定の波形に形成され、両端側でスプリング収容穴51の内面に接する端側丸み57・57と、中央部位で操作突出部50のスプリング突出用孔55から外方へ突出する中央突部58とならなる。節度用スプリング56は、スライド操作体48がスライド操作用長孔44の一端又は他端に当接したときに、中央突部58が蓋部11の一側操作部節度用溝45A・45A又は他側操作部節度用溝45B・45Bに係止することにより、スライド操作体48に節度感を持たせるものである。
【0024】
図1に示すように、バインダー表体2の表面部6には、誤動作防止機構(ロック機構)59を構成するように、長方形状の操作体貫通孔60が形成される。操作体貫通孔60は、とじ足9が被ファイル部材Pの差し込み又は抜け出しが不可能の状態で且つ表面部6が閉じ状態の際に、操作突出部50を挿通させ、変角部材10及びとじ足9・9が動かないように保持するとともに、操作突出部50が表面部6の閉じ状態を邪魔しないようにするものである。
この実施例1において、誤動作防止機構59は、表面部6の操作体貫通孔60とスライド操作体48の操作突出部50とで構成される。
【0025】
次に、この実施例1に係るとじ具3の使い方について説明する。
図11に示すように、とじ足9・9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを可能とする場合には、スライド操作体48を長手方向Xで前方向Fとは反対方向へ移動させると、変角部材10が反時計方向へ円弧を描くように移動し、このとき、円弧状の変角案内長孔36・36に係合しているとじ足9・9の変角案内部32・32が変角案内長孔36・36の存在によって反時計方向へ回転することから、とじ足9・9の本体部29・29も共に回転する。
そして、スライド操作体48の操作突出部50が蓋部11のスライド操作用長孔44の一端に接してスライド操作体48の移動が停止するととともに、
図12に示すように、とじ足9・9の本体部29・29が回転して裏側回転停止部22・22及び表側回転停止部26・26に当接すると、とじ足9・9の本体部29・29の平面が背側壁13に対して直交方向(短手方向Y)に向くことから、被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを可能とする。
そして、とじ足9・9に対して被ファイル部材Pを差し込む際には、整列案内突部18・18は、被ファイル部材Pのとじ穴H・Hの開口H1・H1から連通溝H2・H2を案内し、その後、被ファイル部材Pの内部孔H3・H3の中心がとじ足9・9の中心に一致するように案内する。そして、被ファイル部材Pの内部孔H3・H3は、とじ足9・9に嵌装される。
反対に、とじ足9・9に対して被ファイル部材Pを抜き出す際には、被ファイル部材Pをとじ足9・9から抜き出すことにより、被ファイル部材Pのとじ穴H・Hがとじ足9・9から外れる。
【0026】
一方、
図13に示すように、とじ足9・9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを不可能とする場合には、スライド操作体48を長手方向Xで前方向Fへ移動すると、変角部材10が時計方向で円弧を描きながら移動し、このとき、円弧状の変角案内長孔36・36に係合しているとじ足9・9の変角案内部32・32が変角案内長孔36・36の存在によって時計方向へ回転することから、とじ足9・9の本体部29・29も共に回転する。
そして、スライド操作体48の操作突出部50が蓋部11のスライド操作用長孔44の他端に接してスライド操作体48の移動が停止するとともに、
図14に示すように、とじ足9・9の本体部29・29が回転して裏側回転停止部22・22及び表側回転停止部26・26に当接すると、とじ足9・9の本体部29・29の平面が背側壁13に対して平行方向(長手方向X)に向くことから、被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを不可能とする。
そして、表面部6が表側壁15を覆うように閉じ状態となる際に、操作体貫通孔60に内方から操作突出部50を挿通させ、スライド操作体48が動かないように保持して変角部材10及びとじ足9・9の誤動作を防止するとともに、操作突出部50が表面部6の閉じ状態を邪魔しないようにすることができ、表面部6を完全な閉じ状態、つまり、蓋部11の表面に表面部6の内面が当たるようにすることができ、収納や保管などでその取り扱いを容易とする。
【0027】
この結果、この実施例1の構造においては、とじ足9・9の回転角度を変化させるために、操作手段12のスライド操作体48を長手方向Xへスライド移動してとじ足9・9を回転させるので、変角部材10の操作性を向上し、被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを容易にすることができる。
【0028】
なお、この実施例1においては、単一のとじ足9のみを回転させるように、一つのとじ足9に対してのみ回転させる変角部材10を設けることも可能である。
【実施例2】
【0029】
図15〜
図18は、この発明の実施例2を示すものである。
以下の実施例においては、上述の実施例1と同一機能を果たす箇所には、同一符号を付して説明する。
この実施例2の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、操作手段12は、変角部材10の長手方向Xの一つの端部、つまり、前方向Fの端部位と一体に形成された操作部61を備える。
この実施例2において、とじ足9・9の変角案内部32・32は、上記の実施例1の場合と比較して、本体部29・29の面に対して所定の角度θ(例えば45度)で逆方向へ回転して形成される。これに伴い、裏側窪部19・19の裏側回転停止部22・22及び表側窪部23・23の表側回転停止部26・26は、上記の実施例1の場合と比較して、90度だけ回転した位置に形成される。
操作部61は、変角部材10の端部位に延設した固定側把持部62と固定側把持部62に覆い被さるように配置された可動側把持部63とが、湾曲形状のスプリング部64によって連結して構成される。スプリング部64は、可動側把持部63が固定側把持部62から離れるように、弾発力を発生する。
この場合、可動側把持部63は、スプリング部64の弾発力によって固定側把持部62から離れるように付勢され、スプリング部64を中心として固定側把持部62に対して接離するように揺動される。また、可動側把持部63の先端部63Aは、変角部材10が前方向Fに移動したときに、蓋部11の中央部38の端部38A内に所定の長さで重なるように配置され、スプリング部64の弾発力によって中央部38の端部38Aの内面に強く押し付けられる。
固定側把持部62・可動側把持部63には、人手の指が滑らないように、固定側滑り防止用窪部65・可動側滑り防止用窪部66が形成される。
この実施例2において、とじ具3には、誤動作防止機構59が設けられる。
誤動作防止機構59は、
図15に示すように、操作部61の可動側把持部63の先端部63Aに形成された係止孔67と、
図16に示すように、変角部材10を覆う蓋部11の中央部38の端部38Aに形成されて係止孔67を係止させる係止爪68とからなる。誤動作防止機構59は、とじ足9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しが不可能な状態で、係止孔67が係止爪68に係止するように構成される。
【0030】
次に、この実施例2に係るとじ具3の使い方について説明する。
図17に示すように、とじ足9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを可能とする場合に、先ず、可動側把持部63をスプリング部64の弾発力に抗して固定側把持部62側に押し込んで誤動作防止機構59を解除させ、そして、操作部61を把持して変角部材10を長手方向Xで前方向Fへ移動すると、変角部材10が時計方向へ円弧を描くように移動し、このとき、円弧状の変角案内長孔36・36に係合しているとじ足9・9の変角案内部32・32が変角案内長孔36・36の存在によって時計方向へ回転することから、とじ足9・9の本体部29・29も共に回転する。
そして、変角部材10の変角案内長孔36・36の一端がとじ足9・9の変角案内部32・32に接して変角部材10の移動が停止するととともに、とじ足9・9の本体部29・29が回転して裏側回転停止部22・22及び表側回転停止部26・26に係止し、とじ足9・9の本体部29・29の平面が背側壁13に対して直交方向(短手方向Y)に向くことから、被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを可能とする。
このとき、可動側把持部63の先端部63Aがスプリング部64の弾発力によって蓋部11の中央部38の端部38Aの内面に強く押し付けられることから、変角部材10の誤動作が防止される。
そして、被ファイル部材Pをとじ足9・9に差し込む場合に、被ファイル部材Pをとじ足9・9へ近づけると、整列案内突部18・18は、被ファイル部材Pのとじ穴H・Hの中心がとじ足9・9の中心に一致するように、被ファイル部材Pを案内する。
被ファイル部材Pをとじ足9・9から抜き出す場合には、とじ足9・9に対して被ファイル部材Pを抜き出すことにより、被ファイル部材Pのとじ穴H・Hがとじ足9・9から外れる。
【0031】
一方、
図18に示すように、とじ足9・9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを不可能とする場合に、操作部61を把持して変角部材10を長手方向Xで前方向Fとは反対方向へ移動すると、変角部材10が反時計方向へ円弧を描くように移動し、このとき、円弧状の変角案内長孔36・36に係合しているとじ足9・9の変角案内部32・32が変角案内長孔36・36の存在によって反時計方向へ回転することから、とじ足9・9の本体部29・29も共に回転する。
そして、とじ足9・9の本体部29・29が回転して裏側回転停止部22・22及び表側回転停止部26・26に係止すると、とじ足9・9の本体部29・29の平面が背側壁13に対して平行方向(長手方向X)に向くことから、被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを不可能とする。
そして、操作部61の可動側把持部63を押さえている指の力を抜くことにより、可動側把持部63の係止孔67が蓋部11の係止爪68に係止し、誤動作防止機構59がロック状態となり、変角部材10の動きが防止される。これにより、変角部材10が動かないように保持し、変角部材10及びとじ足9・9の誤動作を防止することができる。
【0032】
この結果、この実施例2によれば、変角部材10と一体に操作部61を設けたことにより、操作性を向上し、また、部品点数を低減して構成を簡単にすることができ、さらに、誤動作防止機構59によって被ファイル部材Pをとじ足9・9に堅固に保持させ、収納や保管などでその取り扱いを容易とすることができる。
【実施例3】
【0033】
図19、
図20は、この発明の実施例3を示すものである。
この実施例3の特徴とするところは、以下の点にある。即ち、とじ具3において、とじ足9を回転させるための変角部材10は、
図19に示すラック・ピニオン機構71、又は
図20に示すラック・ピニオン機構81によって構成される。
【0034】
図19に示すように、この実施例3の変形例1に係るラック・ピニオン機構71は、単一のとじ足9に取り付けられて外周面にピニオン歯72Aを備えるピニオン72と、ピニオン72のピニオン歯72Aの一側に噛み合うように所定の長さで形成されたラック歯73Aを備えてとじ足9を回転するように往復動するラック73とからなる。ラック73の長手方向Xの一方の端部(前方向Fの端部)には、操作部74が一体的に形成される。
また、操作部74・蓋部11には、上記の実施例2の場合と同様に、誤動作防止機構59を設けることも可能である。
なお、この場合、ピニオン72には、一側のみならず他側との双方でラック73を配置することも可能である。
【0035】
次に、この実施例3の変形例1に係るとじ具3の使い方について説明する。
とじ足9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを可能とする場合には、ラック73を長手方向Xの一方へ移動させ、とじ足9の本体部29の平面が背側壁13に対して直交方向へ向くようする。
一方、とじ足9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを不可能とする場合には、ラック73を長手方向Xの他方へ移動させ、とじ足9の本体部29の平面が背側壁13に対して平行に、つまり、長手方向Xへ向くようする。
この実施例3の変形例1の構造によれば、とじ足9がラック・ピニオン機構71によって回転されることから、とじ足9の回転をスムーズにすることができ、操作性を向上でき、また、構造の簡素化を図ることができる。
【0036】
図20に示すように、この実施例3の変形例2に係るラック・ピニオン機構81は、一対のとじ足9・9に対して連動するように、一対の支持軸33・33に取り付けられて外周面にピニオン歯82A・82Aを備える一対のピニオン82・82と、一対のピニオン82・82のピニオン歯82A・82Aの一側に噛み合うように所定の長さで形成されたラック歯83A・83Aを備えてとじ足9・9を回転するように往復動するラック83とからなる。ラック82の長手方向Xの一方の端部(前方向Fの端部)には、操作部84一体的に形成される。
また、操作部84・蓋部11には、上記の実施例2の場合と同様に、誤動作防止機構59を設けることも可能である。
なお、この場合、一対のピニオン82・82には、一側のみならず他側との双方でラック83を配置することも可能である。
【0037】
次に、この実施例3の変形例2に係るとじ具3の使い方について説明する。
とじ足9・9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを可能とする場合には、ラック83を長手方向Xの一方へ移動させ、とじ足9・9の本体部29・29の平面が背側壁13に対して直交方向へ向くようする。
一方、とじ足9・9に対して被ファイル部材Pの差し込み又は抜き出しを不可能とする場合には、ラック83を長手方向Xの他方へ移動させ、とじ足9・9の本体部29・29の平面が背側壁13に対して平行に、つまり、長手方向Xへ向くようする。
この実施例3の変形例2の構造によれば、一対のとじ足9・9が一つのラック・ピニオン機構81によって回転されることから、とじ足9・9の回転をスムーズにすることができ、操作性を向上させ、また、構造の簡素化を図ることができる。