(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-13346(P2017-13346A)
(43)【公開日】2017年1月19日
(54)【発明の名称】化粧板、該化粧板に用いられる木口化粧材および化粧板の製造方法
(51)【国際特許分類】
B27M 3/00 20060101AFI20161222BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20161222BHJP
B27D 5/00 20060101ALI20161222BHJP
【FI】
B27M3/00 N
B32B27/00 E
B27D5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-131870(P2015-131870)
(22)【出願日】2015年6月30日
(71)【出願人】
【識別番号】390030340
【氏名又は名称】株式会社ノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】大石 剛
【テーマコード(参考)】
2B002
2B250
4F100
【Fターム(参考)】
2B002AA03
2B002AA04
2B002AA11
2B002BB12
2B250BA03
2B250CA11
2B250FA28
2B250FA33
2B250GA03
2B250GA06
2B250HA01
4F100AP02B
4F100AP03B
4F100AT00B
4F100BA02
4F100DB01
4F100EC18
4F100GB08
4F100HB00A
4F100HB01A
(57)【要約】
【課題】濃淡を含む木目柄模様を有する化粧シートを基板に貼着してなる化粧板において違和感のない化粧を施す。
【解決手段】濃淡を含む木目柄模様を有する化粧シート10(
図3)を基板表面11aから木口11b,11bを覆うように貼着した後、化粧シートが貼着されずに基材が露出したままの状態で残されている上下木口4,5に、化粧シートをカットして得た木口化粧材8,9をそれぞれ貼着して、階段踏板2用の化粧板とする。木口化粧材は、化粧シートを木目濃淡10a,10bが繰り返される方向Yにおいて上下木口の幅に対応する幅Wおよび上下木口の長さ合計以上の長さLにカットして得たものであり、これを、既に基板表面に貼着されている化粧シートにおける木目濃淡の繰り返しに略合致するような位置で上下木口に貼着することにより、木目濃淡が連続して観察され、違和感のない化粧が施された化粧板となる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の木目方向を有すると共に該木目方向に対して略直交する方向に濃淡が繰り返し表現された木目柄模様を有する化粧シートが基板に貼着されてなる化粧板であって、基板の表面およびその第一の方向に延長する第一の木口面には、該第一の方向に木目方向が略合致するように前記化粧シートが貼着され、基板の前記第一の方向とは異なる第二の方向に延長する第二の木口面には、前記化粧シートを前記濃淡が繰り返される方向において該第二の木口面と略同一の幅および長さにカットして得た木口化粧材が、基板の表面に貼着された前記化粧シートにおける濃淡の繰り返しに略合致するように貼着されることを特徴とする化粧板。
【請求項2】
請求項1記載の化粧板において前記第二の木口面に貼着される前記木口化粧材。
【請求項3】
所定の木目方向を有すると共に該木目方向に対して略直交する方向に濃淡が繰り返し表現された木目柄模様を有する化粧シートを、基板の表面およびその第一の方向に延長する第一の木口面に、該第一の方向に木目方向が略合致するように貼着する第一の工程と、基板の前記第一の方向とは異なる第二の方向に延長する第二の木口面には、前記化粧シートを前記濃淡が繰り返される方向において該第二の木口面と略同一の幅および長さにカットして得た木口化粧材を、基板の表面に貼着した前記化粧シートにおける濃淡の繰り返しに略合致するように貼着する第二の工程と、を有することを特徴とする化粧板の製造方法。
【請求項4】
前記第二の工程が、前記化粧シートを前記濃淡が繰り返される方向において前記第二の木口面と略同一の幅および該第二の木口面の長さより大きい長さにカットして長尺木口化粧材を得る工程と、この長尺木口化粧材を、前記第二の木口面に貼着したときに基板の表面に貼着された前記化粧シートにおける濃淡の繰り返しに略合致するような部分を選択して該第二の木口面の長さと略同一の長さにカットする工程とを含むことを特徴とする、請求項3記載の化粧板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に化粧シートが貼着されてなる化粧板、該化粧板に用いられる木口化粧材および化粧板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合板、木質繊維板、パーティクルボード、無垢材などの基板に、紙や合成樹脂シートなどの基材シートの表面に木目模様が印刷された化粧シートが貼着されてなる化粧板は、様々な建材や家具材などに広く用いられている。
【0003】
このような化粧板の製造は、主としてラッピング装置を用い、所定の形状および寸法にカットした基板をラッピング装置の搬送装置に、その長手方向側端が搬送方向と平行になるように置いて行われる。基板が搬送されるにつれて、化粧シートを巻いたロールから化粧シートが送り出され、接着剤が塗布された後、基板表面に重ねられる。送り出された化粧シートは、基板の長さ寸法に合わせて切断され、ロールから切り離される。化粧シートが重ねられた基板に対して、表面からは加圧ローラで、長手方向に沿う木口面および裏面にはピンチローラで、それぞれ押圧して、基板表面および長手方向木口面の全面を被覆し且つ裏面の一部にまで回り込むように、化粧シートが貼着される。また、特許文献1に記載されるように、ラッピング装置を使用せずに化粧シートを貼着する簡易な方法も実施されている。
【0004】
このようなラッピング方法によると、搬送方向に直交する方向に沿う木口面(搬送方向前方および後方の木口面)には化粧シートが貼着されず、該木口面がそのまま露出した状態で残されることになる。化粧板の施工状態において該木口面が壁面や他部材などに隠蔽されて外部に露出しない場合はこのままで問題ないが、施工状態において該木口面が外部に露出して観察される場合は、該木口面にも化粧シートを貼着して化粧を施す必要がある。
【0005】
たとえば、
図1に示す階段1に用いられる側板(側桁)2は概して長尺の板材であるが、その長手方向に延長する木口(長手小口)3が階段1の傾斜角度に沿って施工されるのに対して、上木口4は上階や廻り部の床面に対して略面一(水平)になるように施工され、下木口5は床面に対して略垂直に立ち上がり、る。これら上下木口4,5は長手木口3に対して一定の角度をなしていて、上記ラッピング方法では化粧シートを貼着することができないが、これらの木口4,5は、階段1の施工状態において外部から観察される位置にあるので、これら木口4,5にも化粧材を貼着して化粧を施す必要がある。
【0006】
この場合、従来は、既述したようにして側板2の表面(階段1の内面7)から長手木口3を経て裏面(階段1の側面6)の一部に化粧シートを回り込ませるように貼着した後、この時点では化粧シートが貼着されずに基材が露出している上下木口4,5にそれぞれ別に用意した木口化粧材8,9を貼着して化粧を施していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002―103491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、化粧シート貼り化粧板における木質感をさらに高めるために、木目模様だけでなく、天然木が持つ色調の濃淡や節、入り皮、照りなどをも表現した化粧シートを用いることが行われるようになってきている。特にオーク、ウォルナット、タモなどの天然木は濃淡が鮮明に表れるので、これらの木質感を表現するためには濃淡を含む木目柄模様が印刷された化粧シートを用いることが好ましい。木材の材色は幹の成長速度が季節によって異なることで変化するので、木目の繊維方向に略直交した方向において濃淡が繰り返されることになる。
【0009】
従来は、このように濃淡を含む木目柄模様を有する化粧シートが貼着された化粧板を階段1の側板2などに使用する場合、化粧シートが貼着されずに基材が露出したままになっている上下木口4,5を、長手木口3および側面6に貼着されている化粧シートの濃淡および木目柄模様と違和感のないように木口化粧材8,9を貼着することができなかった。
【0010】
よって、本発明が解決しようとする課題は、濃淡を含む木目柄模様を有する化粧シートを基板に貼着してなる化粧板において、化粧シートが貼着されずに基材が露出したままになっている木口面に、既に基板表面および長手方向木口面に貼着されている化粧シートの濃淡および木目柄模様と違和感のないように木口化粧材を貼着するための新規の技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明は、所定の木目方向を有すると共に該木目方向に対して略直交する方向に濃淡が繰り返し表現された木目柄模様を有する化粧シートが基板に貼着されてなる化粧板であって、基板の表面およびその第一の方向に延長する第一の木口面には、該第一の方向に木目方向が略合致するように前記化粧シートが貼着され、基板の前記第一の方向とは異なる第二の方向に延長する第二の木口面には、前記化粧シートを前記濃淡が繰り返される方向において該第二の木口面と略同一の幅および長さにカットして得た木口化粧材が、基板の表面に貼着された前記化粧シートにおける濃淡の繰り返しに略合致するように貼着されることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項2に係る発明は、請求項1記載の化粧板において前記第二の木口面に貼着される前記木口化粧材である。
【0013】
本願の請求項3に係る発明は、所定の木目方向を有すると共に該木目方向に対して略直交する方向に濃淡が繰り返し表現された木目柄模様を有する化粧シートを、基板の表面およびその第一の方向に延長する第一の木口面に、該第一の方向に木目方向が略合致するように貼着する工程と、基板の前記第一の方向とは異なる第二の方向に延長する第二の木口面には、前記化粧シートを前記濃淡が繰り返される方向において該第二の木口面と略同一の幅および長さにカットして得た木口化粧材を、基板の表面に貼着した前記化粧シートにおける濃淡の繰り返しに略合致するように貼着する第二の工程と、を有することを特徴とする化粧板の製造方法である。
【0014】
本願の請求項4に係る発明は、請求項3記載の化粧板の製造方法において、前記第二の工程が、前記化粧シートを前記濃淡が繰り返される方向において前記第二の木口面と略同一の幅および該第二の木口面の長さより大きい長さにカットして長尺木口化粧材を得る工程と、この長尺木口化粧材を、前記第二の木口面に貼着したときに基板の表面に貼着された前記化粧シートにおける濃淡の繰り返しに略合致するような部分を選択して該第二の木口面の長さと略同一の長さにカットする工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基板の表面および第一の木口面には、通常のラッピング方法により、第一の方向に木目方向が略合致するように化粧シートが貼着され、このラッピング方法では化粧シートが貼着されずに基材が露出した状態になっている第二の木口面には木口化粧材が貼着されるので、表面および各木口面に対して好適に化粧が施された化粧板となる。
【0016】
第二の木口面に貼着される木口化粧材は、基板の表面および第一の木口面に貼着される化粧シートを所定の幅および長さにカットして得られるので、別の化粧シートを用意する必要がない。しかも、このようにして得た木口化粧材は、その長さ方向に化粧シートの濃淡が繰り返されたものとなるので、これを、基板の表面に貼着された化粧シートの濃淡の繰り返しに略合致する位置で第二の木口面に貼着することにより、濃淡が基板の表面から第二の木口面へと実質的に連続して観察され、天然木であるかのような自然で違和感のない外観を与えることができる。
【0017】
本発明による化粧板は、既述した階段の側板だけでなく、カウンター、膳板(窓の下枠に室内側に突出するように取り付けられる化粧材)、ドアなど広く建材に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】階段構造の一例を示す斜視図である。この図において化粧シートは図示省略されている。
【
図2】この階段構造の側板基板(化粧シート貼着前)の平面図(a)およびA−A断面図(b)である。
【
図3】本発明の化粧板に用いる化粧シートの柄模様の一例を示す平面図である。
【
図4】
図2の階段側板基板に
図3の化粧シートを貼着した状態を示す平面図(a)およびB−B断面図(b)である。
【
図5】木口化粧材を
図4の階段側板の化粧シート非貼着部分(上下木口)に貼着する工程を説明する図であり、(a)は
図3の化粧シートを所定幅および所定長さにカットして得た木口化粧材を示す平面図、(b)はこれをカットして得た上木口用の木口化粧材および下木口用の木口化粧材を示す平面図、(c)は基板に
図3の化粧シートを貼着した状態の階段側板の部分斜視図、(d)はその化粧シート非貼着木口(下木口)に該化粧シートをカットして得た木口化粧材を貼着して完成させた状態の階段側板の部分斜視図である。
【
図6】本発明による化粧板をカウンターに適用した実施例を示し、(a)は基板に
図3の化粧シートを貼着した状態の部分斜視図、(b)はその化粧シート非貼着木口に該化粧シートをカットして得た木口化粧材を貼着して完成させた状態の部分斜視図である。
【
図7】本発明による化粧板を膳板に適用した実施例を示し、(a)はその施工状態正面図、(b)は基板に
図3の化粧シートを貼着した状態の部分斜視図、(c)はその化粧シート非貼着木口に該化粧シートをカットして得た木口化粧材を貼着して完成させた状態の部分斜視図である。
【
図8】本発明による化粧板をドアに適用した実施例を示し、(a)は基板に
図3の化粧シートを貼着した状態の斜視図、(b)はその化粧シート非貼着木口に該化粧シートをカットして得た木口化粧材を貼着して完成させた状態の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
この実施例は、
図1に示す階段構造1における側板2として本発明を適用したものであり、基材(
図2)の表面(階段内面7)から長手方向に延長する木口3(施工状態において上方および下方に位置する一対の長手木口3,3)を被覆し且つ裏面側(階段側面6)の一部まで回り込むように化粧シート10(
図3)を貼着し、且つ、上下木口4,5にはそれぞれ木口化粧材8,9を貼着してなる階段側板2(
図4)である。
【0021】
化粧シート10は、紙や合成樹脂シートなどの基材シートの表面に濃淡を含む木目柄模様が印刷形成されたものであり、
図3に詳細に示されるように、略X方向に延長する木目を有すると共にY方向に濃淡が繰り返された木目柄模様として表現されている。図中、符号10aが濃い木目部分を示し、符号10bが薄い木目部分を示す。この図では、木目がX方向に延長する平行線として示されているが、天然材の木目に近似させるために曲線状、蛇行状、湾曲状などに表現されたものであっても良い。また、この図では、木目の濃淡10a,10bが一定のピッチPで規則的に繰り返されているが、必ずしもこのように規則的に繰り返す濃淡でなくても良く、X方向において異なるピッチPで濃淡が繰り返されたものや、X方向に表現される濃淡が微妙に異なりながら一定またはランダムなピッチPで繰り返されたものであっても良い。また、木目とは別に、基材シートの表面に色調の濃淡を表現する塗装を施すことによって濃淡10a,10bが繰り返されるものであっても良い。すなわち、
図3に示す化粧シート10の木目柄模様は図示および説明の便宜のために簡略化したものであり、略所定の方向Xに延長する木目を有すると共に、この木目方向Xに略直交する方向Yに濃淡10a,10bが繰り返し表現された木目柄模様が塗装などにより形成されたものであれば、広く本発明において化粧シート10として使用可能である。
【0022】
この化粧シート10を、合板、木質繊維板、パーティクルボード、無垢材などの基板11(
図2,
図4)の表面11aから長手木口11b,11bを経て裏面11cの一部に回り込ませるように貼着する(
図4(b))。これは、従来技術に関連して既述した公知のラッピング装置を用いて行うことができる。このとき、基板11の長手方向が化粧シート10の木目方向Xに略合致するように、化粧シート10を貼着する。
【0023】
化粧シート10が貼着された時点では、階段側板2の上下木口4,5となる木口面は基材11が露出したままの状態となっているので、これらの木口面にそれぞれ木口化粧材8,9を貼着するが、これらの木口化粧材には、
図3に点線で示すようにして化粧シート10をカットして得た木口化粧材12を用いる。
【0024】
より詳しくは、
図3と共に
図5を参照して、木口化粧材12は、化粧シート10を、木目の濃淡10a,10bが繰り返される方向Yにおいて、上下木口4,5の幅に対応する幅Wおよび上下木口4,5の長さL1,L2の合計以上の長さLにカットして得たものであり(
図5(a))、その後、この木口化粧材12を上木口4の長さL1にカットして上木口4用の木口化粧材8とし、さらに下木口5の長さL2にカットして下木口5用の木口化粧材9として(
図5(b))、これらを、化粧シート10が貼着されずに基材11が露出したままとなっている(
図5(c))上下木口4,5にそれぞれ貼着して、階段側板2として用いられる化粧板が得られる(
図5(d))。
図5(c)および
図5(d)には下木口5のみが示されているが、上木口4についても同様に上木口4用の木口化粧材8が貼着されることは言うまでもない。なお、
図5(b)中の符号13は、木口化粧材8,9を得た後の余剰長さ分の化粧材であり、不要であるので廃棄する。
【0025】
上記したようにして化粧シート10からカットして得られる木口化粧材12は、化粧シート10の木目濃淡10a,10bが長手方向に繰り返されたものとなる(
図5(a))から、これを所定の長さにカットして得られる上下木口4,5用の木口化粧材8,9においても、木目濃淡10a,10bが長手方向に繰り返されている(
図5(b))。このような木口化粧材8,9を上下木口4,5に貼着するに際しては、
図5(d)に示すように、既に基板表面11a(側面6)に貼着されている化粧シート10における木目濃淡10a,10bの繰り返しに略合致するようにする。これを容易にするために、木口化粧材8,9の長さを上下木口4,5の長さL1,L2に対して十分に余裕のある寸法とし、基板表面11aに貼着されている化粧シート10における木目濃淡10a,10bに略合致するように位置合わせしてカットし、貼着することが好ましい。したがって、化粧シート10からカットして得る木口化粧材12の長さは、上下木口4,5の長さ合計L1+L2に対して十分に余裕のある寸法に形成することが好ましい。
【0026】
なお、以上の説明においては、化粧シート10からL≧(L1+L2)の長さを有する木口化粧材12をカットした後にさらにこれをカットして木口化粧材8,9に分割して上下木口4,5に貼着するものとしたが、上木口4用にL1以上の長さを有する木口化粧材および下木口5用にL2以上の長さを有する木口化粧材の計2本の木口化粧材12を化粧シート10からカットしてそれぞれ上下木口4,5に貼着するようにしても良い。あるいは、左右一対の階段側板2,2の上下木口4,5に貼着するように2×(L1+L2)以上の長さを有する木口化粧材12を化粧シート10からカットして得た後にそれぞれの長さにカットしたり、2×L1以上の長さを有する木口化粧材12と2×L2以上の長さを有する木口化粧材12とを別々に化粧シート10からカットして得た後にそれぞれを2分割して、2枚の上木口4用木口化粧材8と2枚の下木口5用木口化粧材9を得るようにしても良い。
【0027】
このようにして得られる階段側板2は、下木口5について
図5(d)に明りょうに示されるように、木口化粧材8,9が、基板表面11a(階段内面7)に貼着された化粧シート10の木目濃淡10a,10bの繰り返しに略合致する位置で上下木口4,5に貼着されるので、濃淡が階段内面7から上下木口4,5へと実質的に連続して観察される。上下木口4,5に貼着される木口化粧材8,9は、無垢材を繊維方向に対して角度をなす方向に切断したときの切断面と略同様の木目方向および濃淡を表現することになるので、天然木であるかのような自然で違和感のない外観を与える。
【実施例2】
【0028】
図6は、本発明による化粧板をカウンターに適用した実施形態を示す。このカウンター13は、基板14の表面14aから曲面状の前木口14bを被覆するように
図3の化粧シート10を貼着し(
図6(a))、さらに、その側木口14eに、化粧シート10の木目濃淡10a,10bが繰り返される方向において化粧シート10を所定の幅および長さにカットして得た木口化粧材15を、基板表面14aにおける化粧シート10の木目濃淡10a,10bに略合致する位置で貼着することにより製造される(
図6(b))。化粧シート10から木口化粧材15を得る工程や、木口化粧材15を側木口14cに貼着する際の位置合わせなどについては、本発明を階段側板2に適用した実施例1において既述した要領で略同様にして行うことができるので、説明を割愛する。
【0029】
なお、カウンター13の後木口14dは、通常の場合、壁面に突き当てた状態で施工されるので、外部から観察されることはないが、基板表面14aとの角部において化粧シート10が剥がれることを防止するために、
図6(a)において、化粧シート10を表面14aから後木口14dの一部まで回り込ませて貼着することが好ましい。裏面14cにおいても、外部から観察される部分をカバーするに十分な位置まで化粧シート10を裏面側に回り込ませて貼着することが好ましい。
【実施例3】
【0030】
図7は、本発明による化粧板を膳板に適用した実施形態を示す。この膳板18は、
図7(a)に示すように、窓17の開口部の下部サッシから室内側に突出するように取り付けられるものであって、基板19の表面19aから前木口19bを被覆するように
図3の化粧シート10を貼着し(
図7(b))、さらに、その両側木口19eに、木目濃淡10a,10bが繰り返される方向において化粧シート10を所定の幅および長さにカットして得た木口化粧材20を、基板表面19aにおける化粧シート10の木目濃淡10a,10bに略合致する位置で貼着することにより製造される(
図7(c))。化粧シート10から木口化粧材20を得る工程や、木口化粧材20を側木口19eに貼着する際の位置合わせなどについては、本発明を階段側板2に適用した実施例1において既述した要領で略同様にして行うことができるので、説明を割愛する。
【0031】
なお、膳板18の後木口19dは、通常の場合、窓17の下部サッシの前面に突き当てた状態で施工されるので、外部から観察されることはないが、基板表面19aとの角部において化粧シート10が剥がれることを防止するために、
図7(b)において、化粧シート10を表面19aから後木口19dの一部まで回り込ませて貼着することが好ましい。裏面19cにおいても、外部から観察される部分をカバーするに十分な位置まで化粧シート10を裏面側に回り込ませて貼着することが好ましい。
【実施例4】
【0032】
図8は、本発明による化粧板をドアに適用した実施形態を示す。このドア21は、基板22の表裏面22a,22bおよび縦木口22c,22dの四周面を完全に包囲するように
図3の化粧シート10を貼着し(
図8(a))、さらに、その上下木口22e,22fに、木目濃淡10a,10bが繰り返される方向において化粧シート10を所定の幅および長さにカットして得た木口化粧材23を、基板表裏面22a,22bにおける化粧シート10の木目濃淡10a,10bに略合致する位置で貼着することにより製造することができる(
図8(b))。図中の符号24は取手を示す。化粧シート10から木口化粧材23を得る工程や、木口化粧材23を上下木口22e,22fに貼着する際の位置合わせなどについては、本発明を階段側板2に適用した実施例1において既述した要領で略同様にして行うことができるので、説明を割愛する。
【符号の説明】
【0033】
1 階段
2 側板
3 長手木口
4 上木口
5 下木口
6 側面
7 内面
8 上木口用の木口化粧材
9 下木口用の木口化粧材
10 濃淡を含む木目柄模様を有する化粧シート
10a 濃い部分
10b 薄い部分
11 基板
11a 表面
11b 長手木口
11c 裏面
12 化粧シートをカットして得た木口化粧材
13 カウンター
14 基板
14a 表面
14b 前木口
14c 裏面
14d 後木口
14e 側木口
15 木口化粧材
17 窓
18 膳板
19 基板
19a 表面
19b 前木口
19c 裏面
19d 後木口
19e 側木口
20 木口化粧材
21 ドア
22 基板
22a,22b 表面
22c,22d 縦木口
22e,22f 上下木口
23 木口化粧材
24 取手