【解決手段】流体封入ピストンシリンダユニットは、長手方向軸(3)を有し、内部(8)を有するハウジング(2)と、長手方向軸(3)に沿って変位可能で、ハウジング(2)から密閉状態で引き出るピストンロッド(6)と、内部(8)を第1サブ内部(12)と第2サブ内部(13)に分割するピストンロッド(6)に接続されたピストン(10)とを備える。
前記ピストンロッド(6)の変位方向(23,32)に応じて、前記第2流路を密封する外側シール要素(19)を特徴とする、請求項1又は2に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記外側シール要素(19)は、前記長手方向軸(3)に沿って間隔をおいて配置された前記ピストン(10;10a;10b;10c;10d;10e;10f)の第1ラジアルウェブ(17)と第2ラジアルウェブ(18)の間の前記第2流路に沿って配置されることを特徴とする請求項3に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記外側シール要素(19)は、前記第2流路を密閉状態で密封するように、前記第2ラジアルウェブ(18)上に配置可能であることを特徴とする請求項4に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記ピストンバルブ(24;24a;24b;24c;24d;24e;24f)は、前記長手方向軸(3)及び/又はバルブシート(25;25a;25b;25c;25d;25e)及び/又はばね要素(31;31a;31b;31c;31d;31e;31f)に沿って変位可能である閉鎖要素(30;30a;30b;30c;30d;30e;30f)を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記ばね要素(31;31a;31b;31c;31d;31e;31f)が、前記ピストンバルブ(24;24a;24b;24c;24d;24e;24f)を閉じるために、前記閉鎖要素(30;30a;30b;30c;30d;30e;30f)にばね作用を及ぼし、
前記ばね作用が、前記バルブシート(25;25a;25b;25c;25d;25e)に少なくとも釣り合って向けられていることを特徴とする請求項6に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記ピストンバルブ(24;24a;24b;24c;24d;24e;24f)は、前記ピストンバルブ(24;24a;24b;24c;24d;24e;24f)を閉じるために、前記閉鎖要素(30;30a;30b;30c;30d;30e;30f)が支える内部シール要素(26;26a;26b;26c;26d;26e;26f)を有し、
特に、前記内部シール要素(26;26a;26b;26c;26d;26e)が、前記バルブシート(25;25a;25b;25c;25d;25e)の近傍に配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記閉鎖要素(30d;30e)は、前記ピストンバルブ(24d;24e)を閉じるためのシール層を有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記閉鎖要素(30;30a;30b;30c;30d;30e;30f)は、シリンダピストン又は球形要素として形成されることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか一項に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記ピストンロッド(6)から離れた端部の前記スリーブ要素(14;14c;14d;14e;14f)が、内側に、特に半径方向に曲がるカラー(29)を有することを特徴とする請求項2乃至12のいずれか一項に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記スリーブ要素(14;14a;14b;14c;14d;14e;14f)は、前記ピストンロッド(6)に取り外し可能に接続されており、特に前記ピストンロッド(6)のスピゴット(11)にねじ込まれていることを特徴とする請求項2乃至13のいずれか一項に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
前記ピストンバルブ(24a;24b)を解放する流体圧力を可変に調整するための設定要素(35)を特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の流体封入ピストンシリンダユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡略化した流体封入ピストンシリンダユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。本発明の核心は、流体封入ピストンシリンダユニットが、第1流路及び第2流路を有するハウジング内で移動されるピストンを有することにある。それら流路は、いずれの場合も流体がハウジングの第1サブ内部から第2サブ内部へ流れることを可能にし、その逆もまた同様である。そのピストンは、第1流路を閉鎖するとともに、流体圧力により第1流路を開くピストンバルブを有する。そのピストンバルブは、他のサブ内部に対する一方のサブ内部の過剰な圧力に応じて、サブ内部間の圧力をバランスさせることができる。特に差圧により、ピストンバルブは、サブ内部間で切り替わる。流体封入ピストンシリンダユニットは、特にガススプリングであり、より詳細には、圧力リリーフバルブを備える。ガススプリングは、液圧補助装置としても知られている。液圧補助装置は、重量をバランスさせることができる、すなわち可傾可能な構成要素であり、例えばテールゲートを開放位置に保持することができる。本発明のピストンシリンダユニットの過度の圧力機能により、開放位置に液圧補助装置を保持すること、特に手動で行うことを無効にすることができる。液圧補助装置はまた、動的に減衰されるハウジングに対して、ピストンロッドのその長手方向軸に沿った変位運動を可能にする。流体で封入された本発明のピストンシリンダユニットは、頑強で動作が安定している。保持されるべき部品の重さ、その重心位置、及びピストンシリンダユニット内のガス圧の変動及び/又は公差は、ガススプリングの支持機能に不利な影響を及ぼさない。遮断可能なガススプリングの機能は、追加のピストンバルブによって生成される。ガススプリングの遮断は、例えば手動で、特に調整可能な力面を閉方向に無効にすることで、克服することができる。無効にされる力面は、サブ内部の間の差圧、及び摩擦負荷、バネ付勢されたバルブの開放力に対応する。本発明のピストンシリンダユニットの機能が改善される。この構造は複雑でなく、したがって簡易化される。互いに分離された2つの流路が設けられているので、流路は、互いに別々に使用することができ、特に、互いに別々に閉鎖することができる。特に、第1流路は、第2流路と独立して閉鎖することができる。特に、別個のシール要素がこの目的に役立ち、それによりシール機能、特にピストンバルブの過負荷機能が改善される。本発明のピストンシリンダユニットは、著しい未定義の密封状態を明示していない。特にピストンバルブは、ピストンシリンダユニット内に柔軟に一体化できる。ピストンシリンダユニットの所望の目的のために、ピストンバルブの作動方向に適合させること、特にその反転を行うことが可能である。
【0006】
このことは、ピストンを有するピストンロッドがハウジング内に押し込まれたときに、ピストンバルブが基本的に閉鎖され、可変の流体圧力が超過したとして、接続されたピストンを有するピストンロッドが引き抜かれるときに、ピストンバルブが開放するように構成できることを意味する。反対に、ピストンバルブは、流体圧力が超過したとして、ピストンを有するピストンロッドが押し込まれたときに、特に第1流路が開放され、そのピストンロッドの引き抜き動作で閉鎖されるように構成できることを意味する。
【0007】
請求項2に記載のピストンは、複数流路の単純な分離を確実にする。スリーブ要素によって、外側の環状の部分空間が、スリーブ要素とハウジングの間に形成される。外側の部分空間は、第2流路として使用することができる。特に第1流路として使用することができる、実質的に管状の内部部分空間は、スリーブ要素内で利用可能である。
【0008】
請求項3に記載の外側シール要素は、ピストンロッドの変位方向に応じて第2流路を直接密封することを可能にする。第2流路のシールは複雑でない。
【0009】
請求項4に記載のピストンは、外側シール要素のシール機能を単純化する。ピストンの第1及び第2ラジアルウェブは、外側シール要素の軸方向の変位を制限する働きをする。外側シール要素は、長手方向軸に沿って移動させることができる。
【0010】
請求項5に記載の、外側シーリング要素と第2ラジアルウェブとの相互作用により、第2流路を直接密封することができる。特に、外側シール要素との接触によって密封され得る環状の半径方向間隙が、第2ラジアルウェブとハウジングの間に確実に生じる。特に、第1ラジアルウェブは、外側シール要素との接触によって第2流路が密封されないように構成されている。第1ラジアルウェブ上にある外側シール要素によって、第2流路に沿って流体の流れが確保される。この目的のために、第1ラジアルウェブは、例えば、特に環状の外側シール要素によって密封することができない少なくとも1つの貫通孔を備えて構成することができる。
【0011】
請求項6に記載のピストンバルブの構成は、信頼性が高く、複雑でない実施形態を保証する。軸方向に変位可能な閉鎖要素は、バルブシートに対して密封状態で載置することができる。ピストンバルブは、バルブシート無し、すなわちシートレスで設計することもできる。ばね要素は、バルブシート上の閉鎖要素の確実な着座を保証する。ばね要素は、特にコイルばねで構成され、具体的には金属、特にばね鋼で作られている。
【0012】
請求項7に記載のばね要素は、閉鎖要素に対して適切なばね作用を保証する。ピストンバルブの閉鎖機能は、特にピストンシリンダユニットの非作動状態において保証される。ばね作用は、バルブシート向けて、特にハウジングの長手方向軸に平行に、少なくとも釣り合って向けられている。ばね要素によって加えられるばね作用は、複数のサブ内部のうちの1つの内部圧力に対抗して作用する。
【0013】
流体封入ピストンシリンダユニットがピストンロッドの対応する変位方向に操作されると、サブ内部の圧力差によってばね作用に逆らった流体力が生じ、ばね作用が超過するとピストンバルブが開く。ばね要素のばね作用は流体圧力を決定し、それに応じてピストンバルブが第1流路を開放する。特に、ばね作用は調節可能である。ばね作用は、例えば、ばね要素を交換することによって調整することができる。異なる材料及び/又は異なる幾何形状のばね要素は、異なるばね定数を有し、それにより、閉鎖要素への異なるばね作用が生じる。付加的又は代替的に、ばね要素がピストンバルブに組み込まれる際のバイアスを、意図的に影響させることができる。ばね要素がピストンバルブに取り付けられたときのバイアスに応じて、考慮されるバイアスは重要である。
【0014】
請求項8に記載のピストンバルブは、第1流路を確実にシールすることを可能にする。閉鎖要素は、内部シーリング要素に対し直接載せることができる。特に、閉鎖要素の寸法を小さくすることができる。閉鎖要素の寸法が小さいほど、閉鎖要素と後部シール要素の間のシール点における許容偏差、及び/又は適用されるべきばね作用に関する許容偏差を低減することができる。バルブシートの近傍に内部シール要素を配置することにより、第1流路を直接かつ確実に密封することができる。
【0015】
請求項9に記載の閉鎖要素の実施形態は、接着効果及び/又は閉鎖要素のピストンロッドへの接着を防止する。この目的のために、前面側の閉鎖要素は、ドーム状、半球状、切頭ピラミッド形状及び/又は円錐形状を有することができる。
【0016】
請求項10に記載の閉鎖要素のシール層は、より単純な構造を可能にする。内部シール要素は不要である。閉鎖要素はそれ自身のシール層を有するので、閉鎖要素は、第1流路を密閉するためのピストンバルブのバルブシートに直接載せることができる。閉鎖要素は、例えば金属、特に鋼製であり、外部コーティング、例えばゴムコーティングを有する。
【0017】
請求項11に記載の閉鎖要素の実施形態は、ピストンシリンダユニットが作動されたとき、特にピストンバルブが操作されるときに、安定した軸方向変位と、バルブシート、特に内部シール要素との確実な密封接触との両方を保証し、また、特にコイルバネとして構成された、ばね要素上の信頼できる、特に案内された接触を保証する。
【0018】
請求項12に記載の閉鎖要素により、ピストンシリンダユニットからの不穏な流動音が回避できる。特に、ピストンバルブは、明確に規定された方法で移動させることができる。閉鎖要素は流れ遷移領域を有することができ、それにより、ピストンバルブを開放する際の絞り通路の流れ横断面が開かれ、特に中断することなくスロットルで調整される。流れ断面の急激で、完全な開放は回避される。特に、反復的な開閉操作によって引き起こされる流動音による振動が回避される。内側シール要素から持ち上がる閉鎖要素により、最大流れ面の急激な開放が防止される。流れ遷移領域は、特に所々で円錐形状であり、及び/又は長手方向軸に沿って延びる少なくとも1つの傾斜面を有するように構成されている。追加的又は代替的に、絞り通路は、半径方向に穿孔又は開口されてもよい。特に、非直線状凹部(特に半球状に構成されている)を設けることもできる。このように構成された閉鎖要素を備えたピストンシリンダユニットは、特に無騒音運転に適している。
【0019】
請求項13に記載のスリーブ要素の実施形態は、コンパクトな構造を保証する。スリーブ要素を遮断するための追加要素は不要である。
【0020】
請求項14に記載の接続は、ピストンシリンダユニットの簡単な組立を保証する。
【0021】
請求項15に記載のばね設定要素は、ピストンバルブが第1流路を開く際の流体圧力の可変調整を可能にする。特に、ばね設定要素は、長手方向軸に沿って可変に配置可能な設定要素として構成されている。ばね設定要素は、特に、ピストンのスリーブ要素の上/内にねじ込むことができるねじ要素として構成されている。ばね設定要素を内/上にねじ込むことにより、長手方向軸に沿って軸方向に無段階に動かすことが可能であり、結果として、ピストンバルブのばね要素のバイアスの無数のバリエーションが可能となる。
【0022】
本発明のさらなる有利な構成、追加の特徴及び詳細は、次の図に基づいて以下の6つの例示的な実施形態の説明から明らかになる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1〜
図3に図示されるガススプリングは、ピストンシリンダユニット1である。そのピストンシリンダユニット1は封入、すなわち、ガスで流体封入されている。ピストンシリンダユニット1は、長手方向軸3を備える実質的に円筒形のハウジング2を有する。ハウジング2は内部8を有する。圧力流体、すなわちガスが内部8に配置される。ハウジング2は、
図1の右側に示される、第1端部に第1締結部4を備える。第1締結部4は、ピストンシリンダユニット1が接続される第1部位に連結する役割をもつ。第1端部において、ハウジング2は、一体成形されたカバー5によって封鎖される。第1締結部4は、カバー5に配置されている。カバー5は通常、ハウジング2の端部に関して封鎖されていない。封鎖されていない端部では、ピストンロッド6がハウジング2から引き出される。ハウジング2の開放された端部の近辺には、ガイド/シーリングユニット7がハウジング2に一体化されている。ガイド/シーリングユニット7によって、ピストンロッド6は、密封された状態でハウジング2から引き出される。ガイド/シーリングユニット7は、ピストンロッド6の長手方向軸3に平行な案内(移動)を保証する。
【0025】
ガイド/シーリングユニット7は、詳細には記載されていない、いくつかの案内及びシール要素を有する。ガイド/シーリングユニット7は、ハウジング2内において長手方向軸3に関して軸方向に保持されている。
【0026】
ピストンロッド6は、実質的に中実のシリンダとして構成されている。
図1の左側に図示される、第1端部における第2締結部9は、ピストンロッド6に一体成形されている。第2締結部9は、ハウジング2の外側に配置されている。ピストンロッド6の反対側の端部は、ハウジング2内に配置されている。第2締結部9は、第2部分上のピストンシリンダユニット1と連結するのに役立ち、その移動、特にその変位は、ピストンシリンダユニット1により動力補助及び/又は減衰された第1部分に関して移動可能に設計されている。この端部において、ピストン10が、ピストンロッド6上にあるピストンロッド6のスピゴット11にねじ込まれる。ピストンロッド6は、ハウジング2内に案内される長手方向軸3に沿って、ピストン10とともに移動することができる。ピストン10は、ハウジング2内を密閉状態で移動することができる。ピストン10は、内部8を第1サブ内部12と第2サブ内部13に分割する。第1サブ内部12は、ハウジング2(すなわち、液圧シリンダの外衣壁)、カバー5、及びピストン10によって画定されている。第2サブ内部13は、ピストン10、ハウジング2の液圧シリンダの外衣壁、及びガイド/シーリングユニット7によって画定されている。
【0027】
ピストン10は、
図2に示されるスリーブ要素14を備える。スリーブ要素14は、ハウジング2内において長手方向軸3に対して同心円状に配向されている。スリーブ要素14は一体に構成され、より具体的には金属製である。スリーブ要素14は、第1サブ内部12を実質的に環状の外側部分空間15と、内側の実質的に円筒形の部分空間16とに分割する。外側部分空間15は、長手方向軸3に関して半径方向に、ハウジング2の内壁とスリーブ要素14の外壁により区切られている。外側では、第1ラジアルウェブ17及び第2ラジアルウェブ18が、スリーブ要素14上に一体成形されている。第1ラジアルウェブ17と第2ラジアルウェブ18は、いずれもハウジング2の内径に実質的に対応する外径を有する。長手方向軸3に沿って、第1ラジアルウェブ17と第2ラジアルウェブ18は、互いに距離をもって離間している。長手方向軸3に沿って、外側シール要素19が、第1ラジアルウェブ17と第2ラジアルウェブ18の間に配置されている。外側シール要素19は、シールリングとして、特に、例えばゴム及び/又はシリコンのようなシール材で作られたOリングとして構成されている。
【0028】
外側シール要素19の外径は、特にハウジング2の内径よりも僅かに大きい。外側シール要素19は、ハウジング2の内壁に接合した状態で接することができる。外側シール要素19は、長手方向軸3に沿ってハウジング2内を移動することができる。外側シール要素19の厚さdは、第1ラジアルウェブ17の内側にある前面と第2ラジアルウェブ18の間の距離Dよりも小さい。
【0029】
第1ラジアルウェブ17は、少なくとも1つの貫通開口20を有する。その貫通開口20は、例えば、長手方向軸3に沿った軸方向穴として構成することができる。貫通開口20は、たとえ
図2で示される前側の外側シール要素19が、第1ラジアルウェブ17に当接しないとしても、外側シール要素19によって覆われないように構成されている。第1貫通開口20は、外側シール要素19の内径よりも小さい、長手方向軸3への半径方向距離rを有する。
【0030】
外側部分空間15、第2ラジアルウェブ18の外面とハウジング2の内壁との間のシールされていない環状隙間21、及び貫通開口20は、第2流路を画定する。圧力流体は、示された例示的な実施形態にしたがって、第1サブ内部12から第2サブ内部13へ第2流路に沿って流れることができる。この流体の流れは、
図2の矢印22によって表される。流体流れ22、すなわち第1サブ内部12から第2サブ内部13への流れは、ピストン10を備えたピストンロッド6が押し込み方向23に移動されるときに生じる。押し込み方向23は、長手方向軸3に平行に向けられており、
図2にしたがって左から右に向けられている。ピストン10は、押し込み方向23、すなわちカバー5に向かってハウジング2内に移動される。
【0031】
ピストンバルブ24がスリーブ要素14内に設けられている。そのピストンバルブ24は、内部部分空間16を通る流体の流れを遮断する働きをする。ピストンバルブ24は、図示された例示的な実施形態したがって、階段状の接触肩部として具体化されたバルブシート25を有する。その接触肩部は、半径方向内側に突き出た凹部によって構成されており、その上に内部シール要素26が軸方向に保持される。内部シール要素26は、バルブシート25の近傍に配置されている。内部シール要素26は、Oリングであり、これは内側スリーブ27及びワッシャ28によって軸方向に保持される。ワッシャ28は環状ワッシャである。ワッシャ28の近傍において、スリーブ要素14は半径方向内側に曲げられたカラー29を有する。カラー29はワッシャ28を軸方向に保護する働きをする。
【0032】
さらにピストンバルブ24は、長手方向軸3に沿って移動可能な閉鎖要素30を有する。閉鎖要素30は、バルブシート25に対して密封接触の働きをする。コイルばねの形態であるばね要素31によって、閉鎖要素30は、バルブシート25に向けて加圧される。ばね要素31は閉鎖要素30にばね作用を及ぼし、ピストンバルブ24を閉じる。ばね作用は長手方向軸3に平行で、押し込み方向23の反対に向けられている。閉鎖要素30は、シリンダピストンとして構成されている。
【0033】
内部シール要素26に隣接して、内側スリーブ27はガイド部を有する。そのガイド部は、閉鎖要素30を長手方向軸3に沿って案内する働きをする。閉鎖要素30の長手方向への案内の結果として、閉鎖要素30の傾斜が防止される。ピストンバルブ24の閉鎖機能が保証される。ガイド部は、内側スリーブ27の残りの部分に関し、拡大された壁の厚さが提供される点で特徴付けられる。ガイド部内の拡大された壁厚により、閉鎖要素30の案内された変位が可能になる。特に内径は、内側スリーブ27の案内部分内において、閉鎖要素30の外径と適合している。
【0034】
示された例示的な実施形態によれば、特にハウジング2、スリーブ要素14及び閉鎖要素30は、それぞれ円筒形状を有する。これは、ハウジング2の内部輪郭、スリーブ要素14の内側輪郭と外側輪郭、及び閉鎖要素30の外側輪郭が、いずれの場合も長手方向軸3に垂直な1つの平面内に環状に構成されていることを意味する。結果として、密封機能は、簡略化され改良された方法で実施され得る。原理的には、上記の構成要素及び/又は1つの平面上にあるピストンシリンダユニット1のさらなる構成要素は、長手方向軸3に垂直な非円形の輪郭を有することもまた考えられる。
【0035】
内部部分空間16は、第1流路を画定し、その第1流路は、
図3による開弁の場合に、バルブシート25からある距離をおいて配置された閉鎖要素30の周りの流れを可能にし、したがって流体は、第2サブ内部13から第1サブ内部12に流れることができる。
【0036】
ピストンバルブ24を備えるピストンシリンダユニットの機能について、以下に詳述する。ピストンシリンダユニット1の改良された、特に増加した静止摩擦係数の説明も、
図15に基づいて説明する。ピストンシリンダユニット1の配置に基づいて、ピストンが接続されたピストンロッド6は押し込み方向23に沿って、すなわちハウジング2のカバー5に向かって、右方向に移動される。第1サブ内部12の容積は、ピストン10を備えるピストンロッド6が移動される結果として減少する。供給されたガスは圧縮される。第1サブ内部12のガス圧が上昇する。第1サブ内部12における増加したガス圧は、ピストンロッド6が第2外部流路に沿って第2サブ内部13へと押し込み方向23に操作されるとき、流体流れ22に沿ってガスが流れることを意味する。
【0037】
ばね要素31によってバルブシート25に押し付けられる閉鎖要素30は、第1流路を密封する。流体は、第1流路を通って第1サブ内部12から第2サブ内部13に流れることができない。第1サブ内部12の増加したガス圧力により、外側シール要素19は、操作方向とは逆方向に、すなわち第1ラジアルウェブ17に向かって押し込み方向23に向かって変位する。その結果、第2外部流路が開放される。流体流れ22が可能となる。ピストンロッドが押し込み方向23に操作されると、第2流路を介してもっぱら流体流れ22のみが生じる。第1流路は遮断される。さらに、ピストン10を備えるピストンロッド6の押し込み移動の結果として、第1サブ内部の増加したガス圧力は、ばね作用の助けとなる力成分を生じ、バルブシートに対する閉鎖要素30の追加の圧力を引き起こす。
【0038】
ピストン10を備えるピストンロッド6が
図3に示すように、押し込み方向と反対の引き抜き方向32に操作されると、第2サブ内部13の容積が減少する。第2サブ内部13に供給されたガスは圧縮される。第2サブ内部13のガス圧力が上昇する。第2サブ内部13のガス圧力の上昇により、外側シール要素19が第2ラジアルウェブ18に向かって移動される。外側シール要素19は、第2ラジアルウェブ18に密封状態で載っている。ピストン10を備えるピストンロッド6が引き抜き方向32に沿って操作されると、第2外部流路に沿った流体の流れが防止される。第2流路は閉じられている。
【0039】
第2サブ内部13の増加したガス圧力により、圧縮力が閉鎖要素30の前面33に作用する。圧縮力は引き抜き方向32と反対方向と、特にばね要素31によって引き起こされるバネ作用に向いている。ピストン10を備えるピストンロッド6の変位の増加は、第2サブ内部13の容積の減少量を増加させ、したがって、第2サブ内部13内のガス圧力上昇量の増加を引き起こす。第2サブ内部13内のガス圧力の上昇により、結果として閉鎖要素30に生じる圧縮力が十分に大きくなることで、閉鎖要素30がばね作用に抗して、特に引き抜き方向32に対して変位可能になるとすぐに、閉鎖要素30がバルブシート25から持ち上げられる。
図3に示される構成において、閉鎖要素30は、バルブシート25から、特に内部シール要素26からある距離をおいて離間されている。内部の第1流路は開放されている。
【0040】
ピストン10を有するピストンロッド6が引き抜き方向32に沿って操作されるとき、第2サブ内部13から第1サブ内部12への流体流れ34が可能となる。第2サブ内部13から第1サブ内部12への流体の流れは、少なくとも1つの図示しない流路、特に2つの流路を介して生じ、それは、長手方向軸3と実質的に平行に延在し、その軸に対して偏心して配置されている。それら流路は、特に、長手方向軸3と正反対に配置されている。流路は、ピストン10の雌ねじの近傍を通り、その雄ねじによりピストン10がピストンロッド6のスピゴット11にねじ込まれている。
【0041】
バルブシート25からのばね作用に抗して、閉鎖要素30を解放するのに十分な圧力は、第2サブ内部13と第1サブ内部12の間の最小差圧である。この最小差圧は、過剰圧力としても知られている。ピストンシリンダユニット1は、ガススプリングである。ピストンバルブ24は、圧力リリーフバルブである。ピストンバルブ24によりガススプリングは、例えば手動で、ピストン10を有するピストンロッド6をさらに操作すると、無効化されるブロッキング機能を有する。ピストンバルブ24は、特にばね要素31によって加えられるばね作用が、閉鎖要素30を引き抜き方向32へ作用するので、引き抜き方向32への圧力リリーフバルブとして作用する。ばね作用は、押し込み方向23と逆に作用する。
【0042】
図4を参照して、本発明の第2実施形態を以下に説明する。構造的に同一の部分には、第1実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照記号を付してその後にaを付ける。
【0043】
先の実施形態と比較して、ピストンシリンダユニット1aの主な相違点は、第1サブ内部12から離れる方向に向けられた前面のスリーブ要素14aが、設定要素35を有するというピストン10aの設計にある。示された実施形態による設定要素35は、ねじボルトとして構成されている。ねじボルトは、雄ねじ、特に雄の細目ねじを有し、それはスリーブ要素14aの対応する雌ねじに対応する。
【0044】
ばね要素31は、設定要素35によって軸方向に保持される。設定要素35のスリーブ要素14aへのねじ突起により、ばね要素31のばね移動と、したがってばね要素の付勢が可変的に調整される。設定要素35のスリーブ要素14a内への更なる回動により、ばね要素31の付勢と、したがって、閉鎖要素30がバルブシート25に押圧されるばね作用が増大する。その結果、ピストンバルブ24を開くために必要な過剰圧力が増大する。ピストンバルブ24を解除又は開放させる圧力は、設定要素35によって可変に調節可能である。
【0045】
図5及び
図6を参照して、本発明の第3実施形態を以下に説明する。構造的に同一の部分には、先の2つの実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にbを付ける。
【0046】
第1実施形態と比較した主な相違点は、内部シール要素26bが閉鎖要素30bのジャーナル状シール部分36によって保持されることである。閉鎖要素30bが軸方向に変位すると、内部シール要素26bが同時に移動する。閉鎖要素30bは、内部シール要素26bから外れる端部において、一体成形されたスリーブ部分37を有する。ばね要素31bは、スリーブ部分37に当接する。ばね要素31bは、長手方向軸3に関して軸方向と半径方向の両方でガイド部37によって案内される。
【0047】
閉鎖要素30bの外径は、スリーブ要素14bの内径に適合される。特に一体化された案内部を有する別個の内側スリーブは不要である。
【0048】
スリーブ要素14bの後端には、ワッシャ式の閉鎖要素28bが設けられている。ワッシャ要素28bは、圧着によってスリーブ要素14bに軸方向に保持される。この目的のために、ワッシャ要素28bは、スリーブ要素14bの外壁が可塑的に形成された循環外溝38を有する。スリーブ要素14bは、ワッシャ要素28bに恒久的かつ強固に接続されている。ばね要素31bの偏りは、長手方向軸3に沿ったワッシャ要素28bの軸方向位置の結果として規定することができる。
【0049】
バルブシート25bは、円錐形状の接触面として形成されている。バルブシートとしての円錐形状の接触面は、Oリングとして構成された内部シール要素26bの接触のための有利な自動センタリング効果を有する。
【0050】
図7及び
図8を参照して、本発明の第4実施形態を以下に説明する。構造的に同一の部品には、先の3つの実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照記号を付してその後にcを付ける。
【0051】
前述の実施形態と比較して、ピストンシリンダユニット1cの主な相違は、ばね要素31cが押し込み方向23に作用する閉鎖要素30cにばね作用を引き起こすことである。これは、ピストンバルブ24cが押し込み方向23に圧力リリーフバルブとして作用することを意味する。
【0052】
それに応じて、ピストンロッド6に対向するピストン10cの端部のバルブシート25cが形成される。バルブシート25cは、特にワッシャ28cによって設けられている。軸方向において、内側シール要素26cは、ガイド部分を有する内側スリーブ27cによって保持される。ガイド部分は、長手方向軸3に沿って閉鎖要素30の案内された移動を提供する。
【0053】
図9及び
図10を参照して、本発明の第5実施形態を以下に説明する。構造的に同一の部分には、先の4つの実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にdを付ける。
【0054】
第1実施形態と比較して、ピストンシリンダユニット1dの主な違いは、閉鎖要素30dが球形要素として形成されていることである。球形要素は金属ボール、例えば鋼球として構成され、例えばゴム層の形態のシール層を有する。シール層は、閉鎖要素30dがバルブシート25dに直接接触することを可能にする。ピストン10、特にピストンバルブ25dの構造上の仕組みは単純化されている。別個の内部シール要素は不要である。
【0055】
第1実施形態に係るばね要素31は、ばね作用が引き抜き方向32に沿って作用するように配置されている。ピストンシリンダユニット1dは、引き抜き方向にオーバーライド(無効)機能を有する。
【0056】
図11及び
図12を参照して、本発明の第6実施形態を以下に説明する。構造的に同一の部品には、先の5つの実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照記号を付してその後にeを付ける。
【0057】
第1実施形態と比較した主な相違点は、閉鎖要素30eがシール層を有する円筒として構成されていることである。したがって、閉鎖要素30eは、正面側のバルブシート25eに直接当接することができる。シール機能は単純化される。要素の構成が単純化される。別個の内部シール要素は不要である。
【0058】
ばね要素31によって及ぼされるばね作用は、引き抜き方向32に向けられる。
【0059】
図13及び
図14を参照して、本発明の第7実施形態を以下に説明する。構造的に同一の部分には、先の6つの実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にfを付ける。
【0060】
ピストンシリンダユニット1fは、実質的にピストンシリンダユニット1bに対応する。閉鎖要素30fは、ピストンロッド6に向かう前方シール部分36fを有する。シール部分36fの近傍では、閉鎖要素30fは、内部シール要素26fがある循環外溝を有する。閉鎖要素30fは、ばね要素31のための後方ガイド部分37を有する。第1サブ内部12に向かう後端において、スリーブ要素14fは、ワッシャ28によって区切られている。内部シール要素26fは、スリーブ要素14fの内部液圧シリンダジャケット壁に対し半径方向に当接している。内部液圧シリンダジャケット壁は、内部シール要素26fのためのシール面を形成する。ピストンシリンダユニット1fの場合、シーリングシートは不要である。
【0061】
スリーブ要素14fのシール面は、長手方向軸3に沿ってシール長さ1
1にわたり延びている。スリーブ要素14fの流れ面は、長手方向軸3に沿ってシール面に接合する。流れ面は、内部液圧シリンダジャケット面の増大した内径により、シール面と異なる。流れ面近傍におけるスリーブ要素14fの増加した内径は、内部シール要素26fが第1流路をシールできないことを意味する。内部シール要素26fを有する閉鎖要素30fが流れ面近傍に配置されるとすぐに、第1流路の閉鎖は不可能となる。このような構成では、第2サブ内部13から第1サブ内部12への流体の流れは、第1流路を介して確保される。スリーブ要素14fの内壁の流れ面は、全体的に増加した内径が設けられることにより、形成されると考えられる。示された例示的な実施形態によれば、流れ面は、スリーブ要素14fの内部液圧シリンダジャケット面の外周に沿って均等に分配された4つの長手方向スロット39によって形成される。
【0062】
ばね要素31によって引き起こされるバネ作用は、引き抜き方向32に沿って作用する。
【0063】
前述の例示的な実施形態と比較したさらなる相違点は、長手方向軸3に対し偏心して配置された幾つかの貫通路40が設けられ、第2サブ内部13から第1サブ内部12への第1内部流路に沿って流体が直接流れるようにすることである。例えば、4つ、特に6つ、更に特別には8つの貫流開口40を、ピストンロッド6のスピゴット11周りの外周に沿って設けることができる。
【0064】
本発明によるピストンシリンダユニットが有する増加した静止摩擦係数の機能は、
図15に基づいて以下に説明される。
図15は力と距離の関係を概略的に示し、縦軸は力Fであり、横軸はピストン10を有するピストンロッドの6の長手方向軸3に沿った変位距離Xである。従来技術から知られているピストンシリンダユニットの力と距離のグラフ42が、一点鎖線で示されている。力と距離のグラフ42は、実質的に4点の力(有意な力最小値F3及びF4と、それらに対応し、押し込み方向23に生じる引き抜き方向32の力最小値F1及びF2)で特徴付けられる。それぞれの力の差ΔFは、押し込み方向23に沿って実質的に一定である。この力の差ΔFは、静止摩擦係数を規定する摩擦力を規定する。最先端の技術から知られているピストンシリンダユニットの場合、摩擦係数は、例えば約30Nである。
【0065】
図15には、本発明によるピストンシリンダユニット1の力と距離のグラフ43が実線で追加して示されている。原理的には、力と距離のグラフ43は、最先端の技術による力と距離のグラフ42と同様である。力と距離のグラフ43の場合との主な相違点は、摩擦力、すなわち押し込み方向23における力最小値F3’、F4’と引き抜き方向32における力最小値F1’、F2’の力差分ΔF’が増加することである。示された例示的な実施形態によれば、力差分ΔF’は、例えば200N以上に達することができる。本発明によるピストンシリンダユニット1は、より高い静止摩擦係数を有する。これは、ピストンシリンダユニット1が押し込み方向23に操作されている間に、外側のOリング19の差圧を追加して無効化することが必要であるという事実の結果として生じる。
【0066】
押し出し方向32においては、ばね要素31に起因する内部バルブシートに対するばね作用の無効化が、摩擦力とともに必要である。
【0067】
図16及び
図17を参照して、本発明の第8実施形態を以下に説明する。構造的に同一な例には、先の7つの実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にgを付ける。
【0068】
前述の例示的な実施形態との相違点は、ピストンバルブ24gがシートレスに設計されている点にある。これは、バルブシートが設けられていないことを意味する。Oリングとして構成された内部シール要素26gは、閉鎖要素30gの外側輪郭に沿って外周にシール様式で作用する。
【0069】
閉鎖要素30gは、実質的にシリンダピストンの形態で構成され、シリンダ部分がばね要素31に向けられ、流れ遷移領域41が内部シール要素26gに向けられる。長手方向軸3に沿って延びる流れ遷移領域41において、閉鎖要素30gの外側輪郭は可変に構成されている。閉鎖要素30gの可変に構成された外側輪郭は、いくつかの凹部42が閉鎖要素30gの外側領域に沿って設けられていることによる。流れ遷移領域41内では、閉鎖要素30gの外側輪郭は完全に円形ではない。流れ遷移領域41では、内部シール要素26g上の閉鎖要素30gの完全なシール接触が防止される。
【0070】
示された例示的な実施形態によれば、閉鎖要素30gの長手方向軸3に対して、それぞれ正反対で対に構成された4つの凹部42が設けられている。
【0071】
凹部42は、それぞれくさび形に構成されている。凹部42の近傍における閉鎖要素30gの表面は、傾斜角度nで長手方向軸3に向けられた均一な輪郭を有する。示された例示的な実施形態による傾斜角度nは、15°に達する。傾斜角度nは、特に5°から45°の間にある。
【0072】
閉鎖要素30gの外周に沿って、4つより多くの、又はより少ない凹部も配置することができる。示された例示的な実施形態によれば、凹部42は、それぞれ同一である。凹部42を他の方法、すなわち傾斜面の異なる幅及び/又は異なる傾斜角度で実施することが考えられる。
【0073】
流れ遷移領域41において、閉鎖要素30gの断面は、シリンダ領域の後で連続的に減少する。したがって、閉鎖要素30gの外側輪郭と内部シール要素26gの内部輪郭との間の結果として生じる流れ断面はより大きくなる。閉鎖要素30gと内部シール要素26gとの間にある凹部42のそれぞれの空き空間の結果として、可変で、特に長手方向軸3に沿って連続的に可変な絞り通路が形成される。特に、流れ断面は、長手方向軸3に沿ってばね要素31から離れる方向に増加するように構成されている。
【0074】
閉鎖要素30gの少なくとも1つの絞り通路は、サブ作業空間の間の流体接続の連続的な開放を可能にする。少なくとも1つの絞り通路は閉鎖可能である。特に、少なくとも1つの絞り通路は、閉鎖要素30gが軸方向に変位することによって閉鎖され、閉鎖要素30gは密封態様で内部シール要素26gに当接する。
【0075】
ピストンバルブ24gが接続されたピストンロッド6が引き抜き方向32に沿って移動されると、閉鎖要素30gは、内部シール要素26gからばね要素31によるばね作用に抗して持ち上げられる。これは
図16にしたがって、閉鎖要素30gが引き抜き方向32に対し、長手方向軸3に沿って右に移動されることを意味する。凹部42の近傍において、内部シール要素26gはもはや密封態様で閉鎖要素30gに当接することはない。したがって、凹部42の領域には、流体が流れることができる貫通流路が形成される。閉鎖要素30gを引き抜き方向32にさらに変位させることにより、横断面を通る流れは、凹部42の傾斜した構成により連続的により大きくなる。閉鎖要素30gの凹部42によって区切られ、周方向で内部シール要素26g内に画定される貫通流路は、絞り通路を形成する。
【0076】
さらなる相違点は、ピストンロッド6に向かう前面33g上の閉鎖要素30gが、不均一に構成されていることである。その面33gは、特にドーム形状である湾曲した輪郭を有する。その結果、閉鎖要素30gがスピゴット11に接触する接触領域が減少する。閉鎖要素30gの面33gとスピゴット11との間の接触領域をさらに減少させるために、その自由前面を曲線で設計することが考えられる。スピゴット11と閉鎖要素30gの2つの対向する正面がそれぞれ凸面であると有利である。ピストンバルブ24gは、引き抜き方向32の圧力リリーフバルブとして作用する。
【0077】
図18を参照して、本発明の第9実施形態を以下に説明する。構造的に同一の例には、先の8つの実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にhを付ける。
【0078】
この実施形態、特に閉鎖要素30hは、第8実施形態のものに実質的に対応する。
図16及び
図17に示される例示的な実施形態と比べて主な相違点は、ばね要素31が押し込み方向23に作用する閉鎖要素30hにバネ作用を及ぼすことである。ピストンバルブ24hは、押し込み方向23の圧力リリーフバルブとして作用する。
【0079】
図19を参照して、本発明の第10実施形態を以下に説明する。構造的に同一の例には、先の9つの実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にiを付ける。
【0080】
閉鎖要素30iの場合、流れ遷移領域41iは実質的に変化しない外側輪郭を有する。閉鎖要素30iの場合、閉鎖要素30iの内側にある流路によって、絞り流路としての貫通流路44が構成されている。流路44は、ばね要素31から外れる前面33iから長手方向軸3に沿って閉鎖要素30iの中に延びる軸方向断面45を有する。本実施形態の場合、前面33iは、ほぼ均一である。流路44は、長手方向軸3と同軸に閉鎖要素30i上に配置されている。軸方向断面45は幾つかの流れに関して、示される実施形態にしたがって、4つの半径方向断面46と連絡している。
【0081】
図19に示される閉鎖要素30iの実施形態の場合、流路44、特に半径方向断面46は内部部分空間16で流れに関して連通していないので、ピストンバルブ24iの内部部分空間16を介して流体接続が不可能となるように、閉鎖要素は長手方向軸3に沿って配置されている。ピストンバルブ24iが接続されたピストンロッド6が引き抜き方向32に沿って操作されると、流体圧力は、ばね作用に抗して、及びばね要素31により生じたばね作用、すなわち引き抜き方向32に抗して、閉鎖要素30iの前面33iに軸方向の力を生じる。その結果、閉鎖要素30iは、
図18にしたがって、引き抜き方向32に抗して長手方向軸3に沿って右に移動される。
【0082】
半径方向断面46を有する閉鎖要素30iが、内部シール要素26iを過ぎて軸方向に変位するとすぐに、流体流が流路44を通って流れることが可能である。内部シール要素26iを通過する前面33iを有する閉鎖要素30iのさらなる変位は、閉鎖要素30iの完全な横断面が開放され、実質的に妨げられない流体の流れが許容されることを意味する。これは、示された実施形態によるピストンバルブ24iが、流体流れ、すなわち断続的に可変な流れを漸進的に増加させることを意味する。
【0083】
図20を参照して、本発明の第11実施形態を以下に説明する。構造的に同一の例には、先の10の実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にjを付ける。
【0084】
この実施形態、特に閉鎖要素30jは、第10実施形態のものに実質的に対応する。
図18に示す実施形態との主な相違点は、ばね要素31が閉鎖要素30jにばね作用を加え、閉鎖要素30jが押し込み方向23に作用するということにある。ピストンバルブ24jは、押し込み方向23に圧力リリーフバルブとして作用する。
【0085】
図21を参照して、本発明の第12実施形態を以下に説明する。構造的に同一の例には、先の11の実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にkを付ける。
【0086】
この実施形態の主な違いは、凹部42kの構成にある。この実施形態による凹部42kは、ばね要素31に向けられた放出領域47を有する軸方向スロットとして構成されている。放出領域は、凹部42kの近傍における最大溝深さに至る、閉鎖要素30kの最大外径の遷移を構成する。凹部42kは、凹部42kの溝底に対して傾斜した側方フランク48を有する。
【0087】
全部で4つの凹部42kが、閉鎖要素30kの外周に沿って設けられている。長手方向軸3に沿って、溝深さは実質的に一定である。
【0088】
図22を参照して、本発明の第13実施形態を以下に説明する。構造的に同一の例には、先の12の実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にlを付ける。
【0089】
この実施形態、特に閉鎖要素30lは、第12実施形態のものに実質的に対応する。
図21に示す実施形態の主な相違点は、ばね要素31が閉鎖要素30lにばね作用を加え、閉鎖要素30lが押し込み方向23に作用することにある。ピストンバルブ24lは、押し込み方向23の圧力リリーフバルブとして作用する。
【0090】
図23及び
図24を参照して、本発明の第14実施形態を以下に説明する。構造的に同一の例には、先の13の実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照符号を付してその後にmを付ける。
【0091】
図16の実施形態との主な相違点は、凹部42mがいずれの場合も円錐形であることである。これは、凹部42mが閉鎖要素30mの外側輪郭に関して、凹状であることを意味する。また、その輪郭は、長手方向軸3に対して傾斜角度nで構成されている。
【0092】
また、閉鎖要素は、凹状の窪みの代わりに凸状の隆起を有することにより、窪み自体が凸状の隆起の間に位置する間隙によって形成されることも考えることができる。
【0093】
また、1つの閉鎖要素上に、真直ぐなもの、凹状の窪み及び/又は凸状の隆起を組み合わせることも考えることができる。
【0094】
図25を参照して、本発明の第15実施形態を以下に説明する。構造的に同一の例には、先の14の実施形態と同じ参照符号を付して、その説明を参照する。構造的に異なるが、機能的に均質な部分には、同じ参照記号を付してその後にnを付ける。
【0095】
この実施形態は、
図18によるものと実質的に対応する。そこにおいて幾つかの、図示された実施形態4によれば、軸方向に延在し、長手方向軸3に対して偏心して配置された4つの流路が設けられている。流路44の軸方向断面45は、外周全体に沿って環状溝として構成された外側溝49内に開口する。外側溝49は、一定半径の断面を形成する。この実施形態の機能モードは、
図19の実施形態の機能モードに実質的に対応する。