【解決手段】熱交換器から滴下した結露水は、ドレンパン50の溝55a,b,c,dにドレン水として一旦貯留された後、矢印A,Bに示すように流下して表面に金属プレート58が敷設された溝角部56及び窪み部57に貯留される。室内機が冷房運転中の場合、室内機が冷房運転を停止(サーモOFF)してから所定時間が経過していない場合、室内機の周囲が暗くなっている場合及び化粧パネル(蓋またはエアフィルタ)が取り外されていない場合に、LED23を点灯してドレン水70に向かって深紫外線を照射する。
前記発光素子は、前記室内機が冷房運転の場合、または/及び、前記室内機が冷房運転を停止してから所定時間が経過するまでの間、前記ドレンパンに貯留したドレン水に向けて紫外線を照射する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の空気調和機の除菌装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機100の全体斜視図である。本発明の室内機100は、熱交換器40(
図2参照)で生成された結露水をドレン水として貯留するドレンパン50(
図2参照)が設けられており、該ドレンパン50内に貯留されたドレン水を抗菌する機能を有しているものである。
なお、空気調和機の室内機100は、化粧パネル102を有し、この化粧パネル102が露出する天井埋込形であるものとして説明するが、室内機100全体が天井裏に設置される天井埋込形、室内機100全体が露出する天吊り形及び壁掛け形等でもよく、特に、限定されるものではない。
【0020】
図1に示すように、室内機100は、略箱形の室内機本体101を有し、その下面に化粧パネル102が取り付けられて、外部筐体を構成している。化粧パネル102には、中央部周辺に略正方形の吸込口105が形成されている。この吸込口105には、蓋108が取り付けられており、この蓋108には、グリル106と、室内機100内に取り込む空気の塵等を除去するための網目状のエアフィルタ107が設けられている。
【0021】
また、化粧パネル102は、室内機本体101に対して着脱自在に設けられ、蓋108は、化粧パネル102に対して着脱自在に設けられ、エアフィルタ107は、蓋108に対して着脱自在に設けられている。なお、エアフィルタ107は、化粧パネル102に対して着脱自在に設けるように構成してもよい。
【0022】
また、略四角形の吸込口105(蓋108)の周囲には、四辺に対応するように略長方形の吹出口104が形成されている。この吹出口104には、吹き出す空気の方向を調整するための風向ベーン103が設けられている。
なお、室内機100は、略箱形であるものとして説明するが、特に、限定されるものではない。さらに、吸込口105が、略正方形で、吹出口104が、略長方形であるものとして説明しているが、特に、限定されるものではない。
【0023】
図2は、室内機100から化粧パネル102を取り外したときの、室内機本体101の分解略図である。室内機本体101は、外部筐体を構成するケーシング10と、ケーシング10の内部に設けられる照射器20、ドレンポンプ30、熱交換器40、ドレンパン50、送風機60とを有している。
【0024】
ケーシング10は、樹脂の材料で下面が開口した内部が中空の箱状に形成され、その側面10Aの外側には、ドレンポンプ30により吸い上げたドレン水を排水するためのドレン配管接続管11が突設されている。ドレン配管接続管11は、その一端がケーシング10内でドレンポンプ30と図示しないホースで接続され、他端が図示しないドレン配管に接続されるようになっている。
【0025】
また、ケーシング10の側面10Aの内側には、後述する照射器20及びドレンポンプ30が配設されている。なお、照射器20とドレンポンプ30は、一体的にケーシング10の側面10A(詳しくは、側面10Aから内側に突出した図示しない取り付け用平板)に取り付けられるようになっている。
また、ケーシング10の側面10Bの内側には、後述する本体基板15が付設されている。この本体基板15は、照射器20、ドレンポンプ30、送風機60などの機器の動作を制御する基板である。
【0026】
熱交換器40は、冷房運転時において、蒸発器として機能して空気を冷却し、暖房運転時において、凝縮器(放熱器)として機能して空気を加熱するものである。熱交換器40は、
図2に示すように、平面視すると略四角形であって、その上下が開放された内部が中空の箱状に形成されている。この熱交換器40の中空部分には、送風機60が配設されるようになっている。
送風機60は、主に、送風ファン61とファンモータ62とから構成される。ファンモータ62は、送風ファン61を駆動する駆動手段である。ファンモータ62が駆動すると、送風ファン61により空気の流れ(
図2の矢印A参照)が生成される。
【0027】
熱交換器40には、図示しない室外ユニットから冷媒ガス配管41または冷媒液配管42(これらを総称して冷媒配管43と呼ぶ)を介して冷媒(冷房時は冷媒液、暖房時は冷媒ガス)が供給される。そして、この熱交換器では、空気がその冷媒と熱交換を起こすことにより冷却または加熱され、調和空気が生成される。
すなわち、送風機60から送り込まれる空気は、
図2の矢印Aに示すように熱交換器40の冷媒配管43を流れる冷媒と熱交換して、冷却または加熱されるようになっている。なお、熱交換器40は、例えば伝熱管と多数のフィンとにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型またはコイル型熱交換器で構成するとよい。
【0028】
ところで、熱交換器40は、特に、冷房運転時において空気中の水分が表面に付着して結露水(ドレン)が生じ、その結露水が重力により滴下する。そのため、熱交換器40の下方には、熱交換器40で生成される結露水を確実に受け止めてドレン水として貯留することができるようにドレンパン50が設けられている。
このドレンパン50は、断熱性に富んだ発泡スチロールを所定の形状に形成したものの表面をABS樹脂等の樹脂で覆い、一体形成して構成されている。具体的には、ドレンパン50は、
図2に示すように、略四角形の皿状に形成され、ケーシング10と対向するように配設されている。そして、ドレンパン50の底板52の中央部分は、円形状の切欠部51が形成されている。
【0029】
なお、ドレンパン50は、仮に、発泡スチロールだけで構成すると、軽量性、断熱性は確保できるが、貯留されたドレン水が浸透して漏れしてしまう恐れがある。そこで発泡スチロールをABS樹脂等の樹脂で覆う(厚さは、例えば、0.5mm〜3mm)ことで、ドレン水が浸透して漏れてしまうことを防止している。このドレン水の漏れ防止は、ABS樹脂等の樹脂に限らず、ドレン水の浸透を防ぐ材料であれば、特に、限定されるものではない。
しかして、ドレンパン50に貯留されたドレン水は、熱交換器40から滴下した結露水の分だけ増加し、この増加したドレン水は、適宜ドレンポンプ30によって排水されるようになっている。
【0030】
ここで、
図3,4を用いて、照射器20、ドレンポンプ30、ドレンパン50の構成について詳述する。
図3は、照射器20、ドレンポンプ30、ドレンパン50の取り付け状態を示す模式図、
図4(a)は、ドレンパン50の平面図、
図4(b)は、
図4(a)のA−A断面の要部拡大図であって、LED23から発せられる光がドレン水70を照射する状態を模式的に表した説明図である。
ドレンパン50は、
図4(a)に示すように、四角形の外側周辺箇所に設けられた周囲壁53a,b,c,dと、円形の切欠部51の周囲に設けられた周囲リブ54とを有している。そして、周囲壁53a,b,c,dと周囲リブ54との間には、断面コ字状の溝55a,b,c,dが形成されている。
【0031】
熱交換器40は、その下端部が溝55a,b,c,dと対向するように設けられており、この構成により、熱交換器40から滴下した結露水は、ドレンパン50の溝55a,b,c,dにドレン水として一旦貯留される。
また、溝55aと溝55bとの略境界部分である溝角部56には、ドレン水を貯めるための略円形状の窪み部57が設けられている。この窪み部57は、
図3,4(b)に示すように、平状の底部57aと、底部57aの縁に設けられた傾斜状の周部57bとで略皿状に形成されている。
【0032】
ここで、溝55a,b,c,dの底部には、所定の勾配(例えば、4〜6度)が設けられた傾斜面となっており、熱交換器40からの結露水のうち、溝55b,cに滴下した結露水は、
図4(a)の矢印Aに示すように流下して窪み部57にドレン水として貯留される。一方、溝55a,dに滴下した結露水は、
図4(a)の矢印Bに示すように流下して窪み部57にドレン水として貯留される。
【0033】
つまり、
図3,4(b)に示すように、溝55aの底部には、溝角部56(窪み部57)に向かって所定の下り勾配が設けられており、溝55dの底部には、溝55aに向かって所定の下り勾配が設けられている。また、同様に、溝55bの底部には、溝角部56(窪み部57)に向かって所定の下り勾配が設けられており、溝55cの底部には、溝55bに向かって所定の下り勾配が設けられている。
この、溝55a,b,c,dの底部に形成された勾配と、略皿状に形成された窪み部57とにより、熱交換器40から滴下した結露水は、溝55a,b,c,dを流下して窪み部57にドレン水として貯留される。
なお、
図4(b)における70は、窪み部57に貯留されたドレン水を示している。
【0034】
また、溝角部56及び窪み部57の表面には、
図3,4に示すように、所定形状の金属プレート58が敷設されている。
上記したように、ドレンパン50は、発泡スチロールをABS樹脂等の樹脂で覆うことで形成されているが、本発明では、後述するように、照射器20のLED23から貯留されたドレン水に向かって光を照射することにより、該ドレン水を除菌するようになっている。
【0035】
すなわち、ドレンパン50に貯留されたドレン水は、空気中の雑菌やカビが入り込んで繁殖しやすい状態となっており、ドレン水に雑菌やカビが繁殖すると、粘性が大きくなってスライム化したり、生成物が発生したりして、ドレンポンプ30やドレン配管等が詰まりやすくなる。
そこで、本発明では、ドレンパン50に貯留されたドレン水に向かってLED23の光を照射することにより、該ドレン水を除菌するようになっている。
【0036】
ただし、LED23からの光がドレンパン50にも照射されると、ドレンパン50表面の樹脂が硬化してしまい、その結果、ドレンパン50からドレン水が浸透して漏れてしまう恐れが高くなる。金属プレート58は、このようなドレンパン50からのドレン水の浸透を抑止するために設けられるもので、
図4(b)に示すように、LED23からの光がドレンパン50に直接照射されてしまうことを抑止するように機能する。
そして、この金属プレート58は、ドレンパン50の一部、すなわち溝角部56及び窪み部57の表面のみに設けるようにしたので、ドレンパン50の軽量性を維持することができる。
なお、具体的な金属プレート58を敷設する手段としては、例えば、接着剤を用いて金属プレート58を溝角部56及び窪み部57の表面に貼り付ける構成等が挙げられる。
【0037】
ドレンポンプ30は、吸水口31がドレンパン50の窪み部57と近接して対向するように配設され、空気調和機の稼働中はモータ(図示省略)が常時オンされ、窪み部57に貯留されたドレン水を吸水口31から吸収して排水口32から排出するようになっている。
排水口32は、図示しないホースと接続され、この排水口32と接続されたホースは、ケーシング10に設けられたドレン配管接続管11と接続されており、排水口32から排出されたドレン水は、ドレン配管接続管11を介して最終的にドレン配管に排出されるようになっている。
【0038】
図3において、33は、ドレンポンプ取付部であり、このドレンポンプ取付部33は、略矩形箱状に形成されてドレンポンプ30本体の上部に取り付けられている。
ドレンポンプ30は、ドレンポンプ取付部33により、ケーシング10の側面10Aに取り付けられるようになっている。
【0039】
また、ドレンポンプ取付部33には、ドレンポンプ30をケーシング10の側面10Aに取り付けるためのドレンポンプ取付板としてのL字金具34が設けられている。そして、このL字金具34を介して、照射器20が側面10Aに取り付けられている。具体的には、照射器20の基板21をL字金具34の上板に重ね合わせ、ネジ22a,bで基板21とL字金具34を共締めする。これにより照射器20及びドレンポンプ30は、一体的に共通の取付手段でケーシング10に取り付けられる。
なお、仮に照射器20を取り付けない場合には、ケーシング10の側面10A(取り付け用平板)にネジ22a,bでL字金具34を直に螺着することで、ドレンポンプ30のみを取り付ければよい。すなわち、照射器20のケーシング10への取り付けは、既設のL字金具34とネジ22a,bを利用したものであり、これにより構成を簡素にして部品点数を低減し、コストダウンをはかることができる。
【0040】
照射器20の基板21は、略矩形板状に形成され、基板21の略中央部には、LED基板24が設けられている。LED基板24には、単数または複数の発光素子からなるLED23が設けられており、
図4(b)に示すように、LED23からの光がドレンパン50の窪み部57に貯留されたドレン水70に照射されるようになっている。
【0041】
ここで、このLED23が照射する光は、255nm〜350nmの波長を有する深紫外線であり、すなわちLED23は、紫外線LED(UV−LED)として構成されている。このLED(UV−LED)23が本発明における発光素子の一例である。
また、LED23が照射する光は、指向性が略90度程度のものが用いられ、窪み部57に貯留されたドレン水70を中心に照射されるように構成されている。
【0042】
次に、
図5を用いて、室内機100の電気的構成について説明する。
図5は、室内機100の電気的構成を示すブロック図である。
上記したように、室内機本体101のケーシング10には、室内機100の電気的機器を制御する本体基板15が付設されている。室内機100は、図示しない電源から交流100〜200Vを電源基板17で受け、電源基板17が備えるAC/DCアダプターによりDC12Vに変換して本体基板15に電気を供給する。
【0043】
本体基板15は、周知のマイクロコンピュータなどで構成された制御回路を有し、その入力側には、水位センサ80、照度センサ81、リミットスイッチ82、リモコンスイッチ83、温度センサ85が接続され、出力側には照射器20、ドレンポンプ30、送風機60、サーモスタット86、風向ベーン103が接続されている。
【0044】
水位センサ80は、ドレン水の水位を検知するものであって、ドレンパン50の窪み部57に貯留されたドレン水の水位が満杯(満水)になったことを検知した場合、当該ドレン水の水位が満杯になった旨を外部に報知(満水警報)するセンサである。
なお、これは、水位センサ80に変えて、ドレン水の重量を検知する重量センサとしてもよい。
ここで、ドレン水の水位が満杯になるのは、空気調和機が冷房運転中(後述のサーモON状態)の場合であることが想定される。そして、冷房運転中にドレン水の水位が満杯になった場合には、冷房運転を停止(後述のサーモOFF状態)した後、ドレンポンプ30のモータ(図示省略)を引き続き駆動してドレン水を排出させ、その後、ドレン水の水位が所定レベルまで低下したら、冷房運転を再開するようになっている。
【0045】
照度センサ81は、室内機100の周囲の明るさを検知するものであって、化粧パネル102などに取り付けられ、周囲が暗くなったことを検知した場合、照射器20(LED基板24)のLED23を点灯させて、ドレンパン50の窪み部57に貯留されたドレン水に向かって光を照射させるセンサである。
【0046】
リミットスイッチ82は、マイクロスイッチなどで構成され、室内機本体101から化粧パネル102が取り外されたことを検知するものであって、室内機本体101から化粧パネル102が取り外されたことを検知した場合、照射器20(LED基板24)のLED23の照射を停止させるセンサである。
なお、リミットスイッチ82は、化粧パネル102から蓋108が取り外されたことを検知する、または、蓋108からエアフィルタ107が取り外されたことを検知するようにしてもよい。
【0047】
リモコンスイッチ83は、ユーザーによって操作された各ボタンの押下信号を本体基板15に入力するものであって、本体基板15は、リモコンスイッチ83から入力された押下信号に基づいて送風機60(ファンモータ62)や風向ベーン103を制御する。具体的には、電源のオン/オフ、冷房/暖房、風量、風向きの切り替えや、温度調節(設定)などである。
なお、リモコンスイッチ83によって、照射器20(LED基板24)のLED23を強制的にオン/オフできるようにしてもよい。
【0048】
温度センサ85は、サーミスターなどで構成され、室内温度(室内機100の周囲温度)がリモコンスイッチ83で設定された温度に達したか否かを検知するものであって、設定した温度に達していない場合には、サーモスタット86をオン状態(以下、サーモONともいう)にして冷房、暖房運転を継続する。一方、設定した温度に達した場合には、サーモスタット86をオフ状態(以下、サーモOFFともいう)にして冷房、暖房運転を停止する(例えば、送風運転を行う)。
より具体的には、図示しない室外ユニットの圧縮機を、サーモON状態では運転し、サーモOFF状態では運転停止するようになっている。ここで、圧縮機は、室外ユニットから冷媒配管43を介して熱交換器40に冷媒を供給する装置である。従って、圧縮機の運転が停止すると、熱交換器40への冷媒の供給が停止する。
【0049】
次に、
図6,7を用いて、室内機100の本体基板15が行う処理について説明する。
図6は、本体基板15が行うメイン処理を示すフローチャート、
図7は、本体基板15が行うLED制御処理を示すフローチャートである。
メイン処理が行われると、本体基板15は、ステップS10で、リモコンスイッチ83から入力された押下信号に基づいてリモコンスイッチ入力処理を行う。このリモコンスイッチ入力処理は、上記したように、電源のオン/オフ、冷房/暖房、風量、風向きの切り替えや温度調節(設定)などを行うために、送風機60のファンモータ62や、風向ベーン103の図示しないモータ等の駆動手段を制御する。
【0050】
次に、ステップS20に移行して、本体基板15は、満水処理を行う。この満水処理では、ドレンパン50の窪み部57に貯留されたドレン水の水位が満杯になったことを水位センサ80が検知した場合、本体基板15は、当該ドレン水の水位が満杯になった旨を外部に報知(満水警報)するとともに、室内機100の稼働を停止する。その後、ドレンポンプ30を駆動してドレン水を排出させてから、室内機100を稼働させる。
【0051】
次に、ステップS25に移行して、本体基板15は、サーモON−OFF処理を行う。このサーモON−OFF処理では、本体基板15は、温度センサ85が、室内温度(室内機100の周囲温度)が設定された温度に達していないことを検知した場合、サーモスタット86をオン状態(サーモON)にし、室内温度(室内機100の周囲温度)が設定された温度に達したことを検知した場合、サーモスタット86をオフ状態(サーモOFF)にする。
この場合、サーモOFF状態で、例えば室内温度(室内機100の周囲温度)と設定された温度の差が±1度になると、サーモON状態とするように構成してもよい。
【0052】
次に、ステップS30に移行して、本体基板15は、
図7に示すLED制御処理を行う。このLED制御処理が実行されると、本体基板15は、まずステップS31で室内機100が冷房運転中(サーモON)か否かを判定する。
ステップS31において冷房運転中(サーモON)でないと判定された場合には(ステップS31:YES)、ステップS32に移行して、本体基板15は、冷房運転が停止してから、すなわちサーモOFF状態に移行してから所定時間(例えば5〜20分)が経過したか否かを判定する。
【0053】
ステップS32においてサーモOFF状態に移行してから所定時間が経過したと判定された場合には(ステップS32:YES)、つまり、暖房運転中(暖房運転後の停止中を含む)または冷房運転が停止してから所定時間が経過した場合には、ステップS39に移行して、本体基板15は、LED23を消灯し、ドレンパン50の窪み部57に貯留されたドレン水70へのLED23からの光の照射を停止する。
なお、ステップS39では、既にLED23が消灯している場合は、何も処理されない。
【0054】
一方、ステップS31において冷房運転中(サーモON)である、または、ステップS32においてサーモOFF状態に移行してから所定時間が経過していないと判定された場合には(ステップS31:YESまたはステップS32:NO)、ステップS33に移行して、本体基板15は、照度センサ81がオンしたか否かを判定する。
ステップS33において照度センサ81がオンしていないと判定された場合には(ステップS33:NO)、つまり、室内機100の周囲(例えば室内機100が設置されている部屋)が暗くなっていないと判定された場合には、上記したステップS39に移行して、本体基板15は、LED23を消灯する。
【0055】
一方、ステップS33において照度センサ81がオンしていると判定された場合には(ステップS33:YES)、つまり、室内機100の周囲が暗くなっていると判定された場合には、ステップS35に移行して、本体基板15は、リミットスイッチ82がオンしたか否かを判定する。
ステップS35においてリミットスイッチ82がオンしていると判定された場合には(ステップS35:YES)、つまり、室内機本体101から化粧パネル102が取り外されたと判定された場合には、上記したステップS39に移行して、本体基板15は、LED23を消灯する。
なお、ステップS35の処理では、化粧パネル102に変えて蓋108またはエアフィルタ107が取り外されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0056】
一方、ステップS35においてリミットスイッチ82がオンしていないと判定された場合には(ステップS35:NO)、つまり、室内機本体101から化粧パネル102(蓋108またはエアフィルタ107)が取り外されていないと判定された場合には、ステップS37に移行して、本体基板15は、LED23を点灯し、LED23からドレンパン50の窪み部57に貯留されたドレン水70に向かって光を照射する。なお、ステップS37では、既にLED23が点灯している場合は、何も処理されない。
そして、ステップS37またはステップS39の処理を終えると、本体基板15は、このLED制御処理を終了する。
【0057】
以上の説明から明らかなように、LED制御処理においては、室内機100が冷房運転中(サーモON)または室内機100が冷房運転を停止(サーモOFF)してから所定時間が経過していない場合、照度センサ81がオンした場合及びリミットスイッチ82がオンしていない場合に、LED23を点灯し、LED23からドレンパン50の窪み部57に貯留されたドレン水70に向かって光を照射するようになっている。
すなわち、本実施形態の室内機100は、冷房運転中並びに冷房運転後所定時間内の場合、周囲が暗くなっている場合及び化粧パネル102(蓋108またはエアフィルタ107)が取り外されていない場合に、ドレン水に向かって深紫外線を照射する構成となっている。
なお、上記のLED制御処理では、室内機100が冷房運転中の場合及び冷房運転後所定時間内の場合、照度センサ81がオンした場合且つリミットスイッチ82がオンしていない場合というように、これら3つの条件が全て満たされた場合のみLED23を点灯するようにしたが、これは、少なくとも1つの条件が満たされていれば、LED23を点灯してドレン水に向かって深紫外線を照射する構成としてもよい。
【0058】
<効果>
以上、説明したように、本実施形態の空気調和機の室内機100は、熱交換器40で生じたドレン水にLED23からの深紫外線を照射することにより、ドレンパン50に貯留したドレン水を除菌することが可能になっている。
これにより、ドレン水において、雑菌やカビが繁殖したり、粘性が大きくなったり、生成物が発生したりすることを抑制することができ、室内機100が設置された部屋の空気を清潔に保つことができる。
従って、本発明は、飲食店(厨房)や食品製造工場、特にイースト菌や天然酵母の発酵によりドレン水がスライム化しやすいパン製造工場等に室内機100を設置する場合に、好適となる。
【0059】
また、ドレンパン50には、ドレン水を貯留する箇所(溝55a,bの一部、溝角部56、窪み部57)の表面に金属プレート58を敷設したので、つまりLED23からの深紫外線が照射される箇所に金属プレート58を敷設したので、ドレンパン50を形成する樹脂が硬化してドレンパン50からドレン水が浸透して漏れることを抑止できる。
加えて、金属プレート58は、ドレンパン50の一部のみに設けるようにしたので、ドレンパン50の軽量性を維持することもできる。
【0060】
さらに、ドレンパン50には、ドレン水が流れる溝55a,b,c,dに下り勾配を設けて、ドレン水が一カ所に溜まるように構成したので、LED23からの照射は該ドレン水が溜まっている箇所に集中して行えばよい。
これにより、LED23の照射範囲を限定して、部品点数を減らすことができるとともに、少ないエネルギーで効率良くドレン水を除菌することができる。
【0061】
また、本実施形態の空気調和機の室内機100は、冷房運転中の場合にLED23からの深紫外線をドレン水に向かって照射するようにしている。ドレン水は、室内機100が冷房運転中の場合に最も多く発生するので、雑菌やカビが繁殖しやすい。
よって、冷房運転中の場合にのみLED23を照射することにより、少ないエネルギーで効率良くドレン水を除菌することができる。
【0062】
さらに、室内機100が冷房運転を停止(サーモOFF)してから所定時間が経過していない場合に、LED23からの深紫外線をドレン水に向かって照射するようにしている。これは、室内機100が冷房運転を停止(サーモOFF)した直後は、ドレン水の水位は高い(貯留量が多い)ことが想定され、従って、室内機100が冷房運転を停止(サーモOFF)した後、直ちにLED23の照射を停止してしまうと、この残存しているドレン水に雑菌やカビが繁殖しやすくなるからである。
よって、冷房運転を停止(サーモOFF)後も、所定時間が経過するまでLED23を照射することにより、ドレン水の除菌効果をさらに高めることができ、好適である。
【0063】
また、本実施形態の空気調和機の室内機100は、周囲が暗くなっている場合にLED23からの深紫外線をドレン水に向かって照射するようにしている。室内機100の周囲が暗くなっている場合は、室内機100が設置されている部屋等に人がいないと想定される。
よって、LED23の照射は人がいない場合にのみ行われるので、すなわち、人がいる場合にはLED23の照射は停止されるので、安全を保ちながら少ないエネルギーで効率良くドレン水を除菌することができる。
【0064】
また、本実施形態の空気調和機の室内機100は、化粧パネル102(蓋108またはエアフィルタ107)が取り外されていない場合に、LED23からの深紫外線をドレン水に向かって照射するようにしている。化粧パネル102(蓋108またはエアフィルタ107)が取り外されていない場合は、室内機100の近くに人がいないと想定される。
よって、LED23の照射は人が近くにいない場合にのみ行われるので、すなわち、人が近づいたらLED23の照射は停止されるので、極めて安全である。
【0065】
また、本実施形態の空気調和機の室内機100は、LED23が設けられた照射器20が、既設のドレンポンプ30の取り付け部品(L字金具34、ネジ22a,b)を利用して該ドレンポンプ30と一体的に取り付けられている。
これにより、室内機100の構成を簡素にして部品点数を低減し、コストダウンをはかることができる。
【0066】
<他の実施形態1>
次に、他の実施形態1について、
図8を用いて説明する。
図8は、他の実施形態1に係わるドレンパン50の平面図であって、LED23からドレン水に向けて発する光を、光ファイバー95、95a,b,cを介して照射する状態を模式的に表した説明図である。
この他の実施形態1において、照射器20は、上述した実施形態と同様にケーシング10の側面10Aに取り付けられ、従ってLED23は、溝角部56の上方に配置されている。
【0067】
ここで、LED23の周囲には、4本の光ファイバー95、95a,b,cの一端が臨んでおり、光ファイバー95の他端は、ドレン水が貯留される溝角部56の窪み部57の略真上に臨むように配設されている。
また、光ファイバー95aの他端は、溝55aと溝55dとの略境界部分である溝角部90aに、光ファイバー95bの他端は、溝55bと溝55cとの略境界部分である溝角部90bに、光ファイバー95cの他端は、溝55cと溝55dとの略境界部分である溝角部90cに、それぞれ臨むように配設されている。
なお、これらの光ファイバー95、95a,b,cは、図示は省略するが、ドレンパン50の溝55a,b,c,dに略対向するように、ケーシング10に取り付けられるようになっている。
【0068】
従って、このように構成される他の実施形態1に係わる室内機100においては、一の光源(LED23)にてドレンパン50の複数箇所を、しかもピンポイントで照射することが可能となる。
ドレン水は、上述したように雑菌やカビが繁殖すると、粘性が大きくなってスライム化するので、ドレン水の通り道となるドレンパン50の溝55a,b,c,dに下り勾配を設けていても、完全に窪み部57に集めることは困難で、どうしてもドレン水の通り道に残滓が発生する。
そこで、この他の実施形態1に係わる室内機100では、光ファイバー95、95a,b,cを用いてドレンパン50の所望の箇所に、例えば狭い場所でもピンポイントで照射することができ、ドレン水が貯留される窪み部57以外の場所でも、ドレン水を除菌することが可能となる。その結果、ドレン水に対する除菌効果を極めて高くすることができる。加えて、一の光源で実施することができるので、極力、コストを抑えることもできる。
【0069】
なお、この他の実施形態1に係わる室内機100では、光ファイバーを4本設けてLED23からの深紫外線を4カ所に照射するようにしたが、これは限定することなく、適宜、所望する箇所の数に応じて光ファイバーを設けて照射することが可能である。
また、上記の例では、窪み部57以外の照射する場所を溝角部90a,b,cとしたが、これも限定するものではない。
さらに、LED23の照射角度を調整して、該LED23から発せられる深紫外線が直接窪み部57に照射することも可能である。そして、この場合には、光ファイバー95は省略することができ、コストダウンとなる。
【0070】
<他の実施形態2>
次に、他の実施形態2について、
図9を用いて説明する。
図9は、他の実施形態2に係わる照射器20及びドレンポンプ30の取り付け状態を示す説明図である。
この他の実施形態2において、照射器20は、上述した実施形態と同様に、基板21をL字金具34の上板に重ね合わせて、ドレンポンプ30と一体的にケーシング10に取り付けられるようになっているが、上述した実施形態と相違する点は、基板21の水平方向の取り付け角度を変更できるように該基板21を取り付けた点にある。
【0071】
照射器20には、ドレンパン50の窪み部57に貯留したドレン水に向けて深紫外線を照射するためのLED23が設けられているが、諸条件(例えば、照射器20の大きさ、取り付け角度、取り付け位置、LED23の指向性など)によって、照射器20が固定されているとLED23から発せられる深紫外線がうまく貯留したドレン水に照射できない恐れがある。
そこで、この他の実施形態2においては、基板21の水平方向の取り付け角度を変更できるようにして、上記した問題点を解消できるように構成したもので、
図9(a)に示すものは、照射器20とドレンポンプ30を一体的にケーシング10に取り付けるためのネジ22a,bに対する基板21のネジ穴97a,bを、緩やかな円弧状の長穴(ネジ穴97aと97bは対称形状)に穿設して構成したものである。
また、
図9(b)に示すものは、ネジ22a,bに変えて、1本のネジ98で照射器20とドレンポンプ30を取り付けるように構成したものである。
【0072】
すなわち、照射器20の基板21のネジ穴97a,bを円弧状の長穴に形成すると、ネジ22a,bを若干緩めた状態で、または、1本のネジ98で照射器20の基板21を取り付けるようにすると、ネジ98を若干緩めた状態で、基板21を矢印A(時計回り)または矢印B(反時計回り)に示すように、水平方向に回動させながら調整することで、LED23から発せられる深紫外線を最適な状態で貯留したドレン水に照射することができる。
その結果、ドレン水に対する除菌効果を極めて高くすることができる。また、諸条件(照射器20の大きさ、取り付け角度、取り付け位置、LED23の指向性など)に影響されることがないので、汎用性が高くなり、使い勝手が良くなる。
なお、上記の例では、照射器20は、水平方向に回動させる例を示したが、これは限定することなく、上記の構成に準じて、所定方向に移動可能に設けるようにすればよい。
【0073】
<他の実施形態3>
次に、他の実施形態3について説明する。なお、この他の実施形態3の説明では、図示は省略する。
上述した実施形態では、照射器20は、ドレンポンプ30と一体的にケーシング10に取り付けるように構成したが、この他の実施形態3においては、照射器20は、ドレンパン50に取り付けるように構成したものである。
【0074】
他の実施形態3において、ドレンパン50には受電装置が設けられ、一方、室内機100の本体側(例えばケーシング10)には給電装置が設けられている。そして、受電装置は給電装置から電力が供給され、照射器20は、受電装置から電力の供給を受けて駆動(LED23が点灯)するように構成されている。
ここで、ドレンパン50が室内機100から取り外された場合には、給電装置から受電装置への電力の供給が自動的に遮断されるようになっている。すなわち、この他の実施形態3においては、ドレンパン50が室内機100から取り外された場合には、LED(UV−LED)23への電力の供給が自動的に遮断されて該LED23が消灯するようになっている。
その結果、ドレンパン50が取り外された場合、つまり、室内機100の近くに人がいる場合には、LED23から深紫外線が照射されることを確実に防止するので、安全性が極めて高くなる。
【0075】
なお、受電装置と給電装置の具体的な構成は種々考えられるが、例えば次のように構成してもよい。
すなわち、ドレンパン50と室内機100本体を電気的に接続する受電側のドレンパン側コネクタと給電側の本体側コネクタを設け、ドレンパン側コネクタにはLED23の正極に接続される第1受電側端子と、LED23の負極に接続される第2受電側端子を設ける。一方、本体側コネクタには電源(電源基板17)の正極に接続される第1給電側端子と、電源の負極に接続される第2給電側端子を設ける。
【0076】
しかして、ドレンパン側コネクタと本体側コネクタを接続した場合には、第1受電側端子と第1給電側端子が接触するとともに第2受電側端子と第2給電側端子が接触することで、LED23と電源を接続する回路が形成されて、LED23に電力供給が行われ、該LED23からの紫外線の照射が可能となる。
一方、ドレンパン50を室内機100から取り外すと、第1受電側端子と第1給電側端子が非接触になるとともに第2受電側端子と第2給電側端子が非接触になることで、給電装置から受電装置への電力を供給する回路が切断され、LED23への電力供給が行われなくなる。その結果、LED23から紫外線が照射されることは皆無となる。
【0077】
なお、他の実施形態3では、上記したように受電装置の端子と給電装置の端子が接触することで受電装置側(LED23)に電力が供給される構成を例示したが、これは、電磁誘導などの非接触電力伝送(いわゆる無線給電)の技術を用いて、ドレンパン50が所定の位置に近接したときに、給電装置から受電装置(LED23)へ電力が供給されるように構成されていてもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態に係る空気調和機の除菌装置を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成は実施形態に示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加などがあっても本発明に含まれる。
なお、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。従って、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義も含めて)が優先する。