(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-133715(P2017-133715A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】天井埋込型空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/00 20110101AFI20170707BHJP
F24F 13/32 20060101ALI20170707BHJP
F04D 29/44 20060101ALI20170707BHJP
【FI】
F24F1/00 306
F24F1/00 426
F04D29/44 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-12015(P2016-12015)
(22)【出願日】2016年1月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】阿部 愼也
【テーマコード(参考)】
3H130
3L049
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC11
3H130BA68A
3H130CA04
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DJ02Z
3H130EB01A
3H130EB05A
3L049BB05
3L049BB08
3L049BC03
3L049BD01
(57)【要約】
【課題】ベルマウス7の内面にできるパーティングラインPLが通風抵抗とならない天井埋込型空気調和機を提供する。
【解決手段】天井内に設置される本体ユニット内にターボファン6とベルマウス7とが配置され、ベルマウス7はターボファン6に向かって漸次縮径するラッパ状に形成された吸込案内部72と、吸込案内部72に連続して形成され漸次拡径する拡径部73を有し、ベルマウス7の内面で吸込案内部72と拡径部73の境に有するパーティングラインPL上には、拡径部73が吸込案内部72よりも外側に凹む段部75が設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井内に設置される本体ユニット内にターボファンとベルマウスとが配置され、前記ベルマウスは上記ターボファンに向かって漸次縮径するラッパ状に形成された吸込案内部と、前記吸込案内部に連続して形成され漸次拡径する拡径部を有し、前記ベルマウスの内面で前記吸込案内部と前記拡径部の境にパーティングラインを有する天井埋込型空気調和機において、
前記パーティングライン上には、前記拡径部が前記吸込案内部よりも外側に凹む段部が設けられたことを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項2】
前記段部の奥行Dは0mm<D≦0.2mmとなることを特徴とする請求項1に記載の天井埋込型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井埋込型空気調和機に関し、さらに詳しく言えばベルマウスの形状に関する。
【背景技術】
【0002】
天井埋込型空気調和機は、天井内に設置される直方体形状をなす本体ユニットを有し、本体ユニットの底面には、空気吸込口と空気吹出口とを有し、化粧パネルが取り付けられる。
【0003】
通常、空気吸込口は、化粧パネルの中央に配置され、その周りに長方形状をなす空気吹出口が配置されている。また、化粧パネルの空気吸込口には、除塵フィルタを有する吸込グリルが設けられている。
【0004】
本体ユニット内には、その中央部分に送風機としてのターボファンが配置され、ターボファンの周りを囲むように熱交換器が配置されている。空気吸込口とターボファンとの間にはベルマウスが設けられている。
【0005】
ベルマウスは、空気吸込口の形状に合致する外形を有する取付基部と、取付基部の中央からターボファンに向かって漸次縮径するラッパ状に形成された吸込案内部と、吸込案内部に連続して形成されターボファンのシュラウドの内側に位置してシュラウドに沿って漸次拡径する拡径部を備えている。空気吸込口から本体ユニット内に取り込まれた空気はベルマウスの内側の吸込案内部から拡径部に続く空気吸込通路を通りターボファンに案内される。
【0006】
ところで樹脂製のベルマウス100の場合、
図5に示すように漸次縮径した吸込案内部101と漸次拡径した拡径部102の境目は金型の合わせ目(パーティングライン)103となる。成形時に金型がずれて拡径部102が吸込案内部101よりも空気吸込通路104に突出した段差105が発生した場合は、段差105が通風抵抗となりターボファンが空気を吸いこみにくくなり、ターボファンに掛る負荷が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−213800号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、ベルマウスの内面にできるパーティングラインが吸込空気の抵抗とならないようにすることで、通風効率の低下を防ぐ天井埋込型空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、天井内に設置される本体ユニット内にターボファンとベルマウスとが配置され、前記ベルマウスは上記ターボファンに向かって漸次縮径するラッパ状に形成された吸込案内部と、前記吸込案内部に連続して形成され漸次拡径する拡径部を有し、前記ベルマウスの内面で前記吸込案内部と前記拡径部の境にパーティングラインを有する天井埋込型空気調和機において、前記パーティングライン上には、前記拡径部が前記吸込案内部よりも外側に凹む段部が設けられたことを特徴としている。
【0010】
また、前記段部の奥行Dは0mm<D≦0.2mmとなることも含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ベルマウスの内面にできるパーティングラインが吸込空気の抵抗とならないようにパーティングライン上に段部を設けることで通風効率の低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1と
図2に示すように、天井埋込型空気調和機1(以下空気調和機とする)は本体ユニット10を備えている。本体ユニット10は正方形の四辺を長辺とし、正方形の四つの角を面取りしてできた四辺を短辺とする略八角形となる板金で形成された天板13と、天板13の外周から下方に延在する側板11とで外郭が形成される。側板11には、天板13の短辺に沿って位置する側板11aの4箇所に吊下金具12が固着されている。本体ユニット10は、この吊下金具12を図示しない天井裏壁面に埋め込まれた複数の吊りボルトにて吊り下げることで天井T内に設置される。
【0015】
なお、
図2における本体ユニット10に沿わした座標軸において、Y方向を上面または上方、−Y方向を下面または下方として以下説明する。各部品においても同様である。
【0016】
本体ユニット10の中央には、後述するターボファン6に空調室Kの空気を導く空気吸込通路16が形成されており、後述する熱交換器25から吹出口31の間に空気吹出通路17が形成されている。
【0017】
本体ユニット10の底面101には、化粧パネル30が吊下金具12にネジで取り付けられている。化粧パネル30は、中央に本体ユニット10の空気吸込通路16に連通する複数の吸込孔321を設けた四角形状の吸込グリル32が設けられている。吸込グリル32の吸込孔321の空気吸込通路16側には除塵フィルタ322を備える。吸込グリル32の周りには、長方形状をなす吹出口31が、吸込グリル32の各辺に沿って4箇所に配置されている。吹出口31は空気吹出通路17に連通している。
【0018】
各吹出口31には、それぞれ風向板33が設けられている。この風向板33は、図示しない回動手段によって空気調和機1の運転時に所定角度に開かれる。
【0019】
本体ユニット10の天板13と側板11の内周面には断熱材による内箱14が設けられる。また、天板13の中央内側にはネジによりファンモータ21が固定され、ファンモータ21から下方に伸びるシャフト22にターボファン6のハブ61が軸支される。ターボファン6はハブ61とシュラウド63とハブ61とシュラウド63に挟まれた複数のブレード62とからなる。シュラウド63の中央には開口部64が設けられている。
【0020】
ターボファン6の周囲には熱交換器25がターボファン6を取り囲むように四角枠状に配置される。熱交換器25は、冷房運転と暖房運転とが可能な可逆式の冷凍サイクル回路を有する図示しない室外機に接続されており、冷房運転時には蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には凝縮器として機能して室内空気を加熱する。
【0021】
熱交換器25の下端側には、熱交換器25で生成される結露水を受け止めるドレンパン19が設けられている。ドレンパン19は、熱交換器25の下端側が収納される樋部191を有し、熱交換器25から滴下する結露水が樋部191で受け止められ、例えば図示しないドレンポンプによって汲み上げられて室外に排水される。
【0022】
ドレンパン19の中央部分は開口され吸込口15となる。吸込口15には吸込口15とターボファン6とを繋ぐベルマウス7が配置される。また、ベルマウス7の吸込口15側には、吸込口15を通る空気の妨げにならないようにL字状に形成された電装品箱18が配置される。電装品箱18内には空気調和機1を制御する電装部品(図示なし)が収納される。
【0023】
ファンモータ21で回転駆動されるターボファン6により、化粧パネル30の吸込孔321から吸いこまれた空気は、吸込口15から本体ユニット10内に吸い込まれ、空気吸込通路16となるベルマウス7の内面に沿ってターボファン6に導かれ、ターボファン6のハブ61とシュラウド63の間から外周方向に向かって吹き出される。
【0024】
図3を合わせて参照して、ベルマウス7は樹脂製(高衝撃性ポリスチレン)でなり、吸込口15の形状に合わせて四角形状に形成された取付基部71と、取付基部71の中央部分からターボファン5に向かって漸次縮径するラッパ状に形成された吸込案内部72と吸込案内部72に連続して形成され漸次拡径する拡径部73を有する。拡径部73はターボファン6のシュラウド63の開口部64の内側に位置する。拡径部73はシュラウド63の形状に沿って漸次拡径する形状となることで、吸込案内部72から導かれた空気が拡径部73の面に沿って滑らかにシュラウド63に導かれ通風効率が向上する。
【0025】
ベルマウス7の取付基部71の一部には、電装品箱18を配置するための収納部74が形成されている。収納部74は、取付基部71の一部分を本体ユニット10の内方に向けて凹設され、電装品箱18の形状に合わせてL字状に形成されたものである。
【0026】
次に
図4を参照して、ベルマウス7を成形する際は、自ずと漸次縮径する吸込案内部72と漸次拡径する拡径部73の境目に上下の金型の合わせ目(以下パーティングラインとする)PLができる。
【0027】
このパーティングPLで金型のずれにより吸込案内部72が拡径部73よりも空気吸込通路16に突出することを防ぐため、予め金型のずれの誤差を考慮してパーティングラインPL上に拡径部73が吸込案内部72よりも外側に凹む段部75を設ける。段部75はパーティングラインPLに沿ってベルマウス7の内面を一周するように設けられる。
【0028】
また、段部75の奥行(段差)Dは0mm<D≦0.2mmとなるように設定する。
【0029】
ベルマウス7の内面のパーティングラインPL上に敢えて段部75を設けることで、空気吸込通路16を流れる空気はパーティングラインPLが吸込空気の抵抗とならずにシュラウド63に導かれることで通風効率の低下を防ぐことができるようになる。
【0030】
また、ベルマウス7の肉厚7aは略2.0mmとしているが、段部75の奥行Dを、0mm<D≦0.2mmとすることで、拡径部73の肉厚73aが他の部分よりも特に薄肉となることもなく強度に影響を与えることはない。
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、ベルマウス7の内面のパーティングラインPL上に拡径部73が吸込案内部72よりも外側に凹む段部75を設けたことで、空気吸込通路16を流れる空気は吸込案内部72から段部75を抵抗なく通過し拡径部73の面に沿って滑らかにシュラウド63に導かれることで、通風効率の低下を防ぐことができる天井埋込型空気調和機を提供することができる。
【符号の説明】
【0032】
1:天井埋込型空気調和機、10:本体ユニット、15:吸込口、16:空気吸込通路
30:化粧パネル、32:吸込グリル、321:吸込孔
6:ターボファン、63:シュラウド、64:開口部
7:ベルマウス、71:取付基部、72:吸込案内部、73:拡径部、74:収納部、75:段部
K:空調室、PL:パーティングライン、D:奥行