【課題】被検査類の検出、例えば紙葉類へのテープ類の貼付の有無、及び、セキュリティスレッドの正常・異常の検出を、非接触で高速及び高効率に容易に低コストで行うTHz帯を用いた検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置1は、被検査類2に偏光したTHz波を照射するTHz波照射部3と、被検査類2に照射された偏光したTHz波の透過波4又は反射波22を検出するTHz波検知部5と、透過波4又は反射波22の強度データから、被検査類2の透過波4又は反射波22の強度分布を得る情報処理部10と、を備え、情報処理部10は、透過波4又は反射波22の二次元の強度分布を取得し、異物7の付着がなくまた正規のセキュリティスレッド6を有する被検査類2を検出したときの強度分布と検査時に被検査類2を検出したときの検査時強度分布とを比較することで、検査時の被検査類2に異物7が付着されているか否か及び/又はセキュリティスレッド6に異常があるか否かを検出する。被検査類2は、例えば紙幣、有価証券などの紙葉類である。
前記THz波照射部は、THz波発振器と、該THz波発振器から照射されるTHz波を走査する集光用光学部品及び走査素子と、を含む、請求項1又は2に記載の検査装置。
前記THz波検知部は、THz波検知器と前記紙葉類に照射されたTHz波の前記透過波又は前記反射波を集光する集光用光学部品と、を含む、請求項2に記載の検査装置。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る検査装置を説明する図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るTHz帯を用いた別の検査装置を説明する図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るさらに別の検査装置を説明する図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る検査装置を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る別の検査装置を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る検査装置を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態の変形例1に係る検査装置を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態の変形例2に係る検査装置を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態の変形例3に係る検査装置を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
【
図10】本発明の第3実施形態の変形例4に係る検査装置を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。
【
図11】本発明の第3実施形態の変形例5に係る検査装置を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
【
図12】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を透過したTHz波の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図13】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図12に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図14】本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した
図12と同じ紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図15】本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分において、紙葉類の位置を
図14に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図16】本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した
図12と同じ紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッドの長手方向を
図12の反対のY方向とした別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図17】本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分において、紙葉類の位置を
図16に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図18】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した
図12とは異なる紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図19】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図18に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図20】本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図21】本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図20に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図22】本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した
図12及び
図18とは異なる別の紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布を示す図である。
【
図23】本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した
図12及び
図18とは異なる紙葉類を透過したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布を示す図である。
【
図24】
図18と同じ紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置を示す図である。
【
図25】本発明の検査装置で入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えて取得した
図24の紙葉類を透過したTHz波の二次元の強度分布を示し、(a)0°、(b)5°、(c)10°、(d)15°、(e)20°、(f)25°、(g)30°、(h)35°、(i)40°、(j)45°である。
【
図26】本発明の検査装置1で入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えたときに
図24のセキュリティスレッド領域で観察される干渉縞の本数を示す図である。
【
図27】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した
図12と同じ紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図28】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図27に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図29】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッドの長手方向を
図27の反対のY方向とした別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図30】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図29に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図31】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で反射角度を45°として取得した
図12と同じ紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である
【
図32】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図31に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図33】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で反射角度を45°として取得した
図12と同じ紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッドの長手方向を
図31の反対のY方向とした別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。
【
図34】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図33に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布での別の一例ある。
【
図35】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した
図18と同じ紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図36】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図35に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類おけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図37】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で垂直入射でハーフミラーの反射角度を45°として取得した
図18と同じ紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。
【
図38】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図37に対して左に90°回転したときのさらに別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。
【
図39】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した
図12と同じ紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図40】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図39に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類おけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図41】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッドの長手方向を
図39の反対のY方向とした一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図42】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図41に対して右に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図43】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で反射角度を45°として取得した
図12と同じ紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図44】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元において、紙葉類の位置を
図43に対して左に90°回転したときの強度分布の別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の反射波強度分布である。
【
図45】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で反射角度を45°として取得した
図12と同じ紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッドの長手方向を
図43の反対のY方向とした一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図46】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図45に対して右に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の反射波強度分布である。
【
図47】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した
図18と同じ紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図48】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図47に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の反射波強度分布であり、(c)はY方向偏光の二次元の反射波強度分布である。
【
図49】本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した
図18と同じ紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッドの長手方向を
図47の反対のY方向とした一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【
図50】本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図49に対して右に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はX方向偏光の二次元の反射波強度分布であり、(c)はY方向偏光の二次元の反射波強度分布である。
【
図51】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で反射角度を45°として取得した
図18と同じ紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープとセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例であり、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。
【
図52】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図51に対して左に90°回転したときの一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例であり、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。
【
図53】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で反射角度を45°として取得した
図18と同じ紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッドの長手方向を
図51の反対のY方向とした一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例である。
【
図54】本発明の共焦点光学系を用いた検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類の位置を
図53に対して右に90°回転したときの一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッドとの位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明するが、本発明の範囲は実施形態に限定されることなく、適宜変更することができる。特に、図面に記載した各部材の形状、寸法、位置関係などについては概念的な事項を示すに過ぎず、その適用場面に応じて変更することができる。各図において、同一の又は対応する部材、ユニットには同一の符号を付している。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る検査装置1を説明する図である。
図1に示すように、本発明の検査装置1は、被検査類2にTHz波を照射するTHz波照射部3と、被検査類2に照射されたTHz波の透過波4を検出するTHz波検知部5と、THz波が照射された被検査類2の透過波4の強度データから、被検査類2の透過波4の強度分布を得る情報処理部10と、を含んで構成されている。被検査類2は、例えば紙葉類である。被検査類2に付着する異物7は例えば、樹脂性のテープである。本明細書では、被検査類2は紙葉類とし、異物7は樹脂性のテープとして説明する。
【0020】
紙葉類には、目視では視認できないセキュリティスレッドが設けられている場合がある。本明細書では、紙葉類2には、異物7の他にセキュリティスレッド6が設けられているとして説明する。
【0021】
THz波照射部3は、THz波発振器3aと、THz波発振器3aから照射されるTHz波3cを被検査類2に集光する集光用光学部品3eを含んで構成される。THz波照射部3は、所定の向きの偏光したTHz波3cを発生する。本発明では、THz波3cは、周波数として30GHz(GHzは10
9Hz)〜12THzの周波数帯である。
【0022】
THz波発振器3aに用いる発振素子としては、ガンダイオード、IMPATT(インパット)ダイオード、タンネットダイオード等の各種ダイオード、Si、GaAsやInPのような化合物半導体から形成されるトランジスタを使用することができる。発振素子としては、上記ダイオードやトランジスタからなる集積回路を用いてもよい。このような集積回路としては、GaAs等の化合物半導体からなる集積回路や、SiやSiGeを用いたCMOS集積回路が挙げられる。Siを用いたCMOS集積回路は、ミリ波CMOSICとも呼ばれている。
【0023】
THz波発振器3aから照射されるTHz波3cが、集光用光学部品3eとしてのレンズを介して紙葉類2に照射される。集光用光学部品3eとしては、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ等や鏡を用いた集光器を用いることができる。鏡としては、半透鏡や放物面鏡等を用いることができる。レンズ3eの材料としては、フッ素樹脂やガラス等を用いることができる。THz波発振器3aから照射されるTHz波3cが、紙葉類2の垂直方向(厚さ方向)に対して入射角度(θ)をつけて照射することが望ましい。θが0度の場合が垂直入射である。垂直入射又は垂直入射に近い場合には、紙葉類2からの反射波と入射波の干渉による透過強度の周期的な強度パターンが現れ、貼付物を識別する際の障害となるので好ましくない。この入射角度は、数度〜50度とすることができる。入射角度は、概ね10度以上が好ましい。
【0024】
集光されたTHz波3fは、紙葉類2を透過して、集光用光学部品となるレンズ5aを介して透過波4を検出するTHz波検知部5に入射される。レンズ5aとしては、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ等や鏡を用いた集光器を用いることができる。鏡としては、半透鏡や放物面鏡等を用いることができる。レンズや鏡の材料としてはフッ素樹脂やガラス等を用いることができる。THz波検知部5としては、紙葉類を透過したTHz波4を検知できる素子やTHz波受信回路を使用することができる。THz波検知部5に用いるTHz波検知素子5cとしては、点接触ダイオードやショットキーバリヤダイオード、受信用ICを用いることができる。受信用ICは、ヘテロダイン又はホモダイン検波方式を用いることができる。受信用ICがホモダイン検波方式の場合には、THz波照射部3のTHz波発振器3aから分岐した信号を、受信用ICの局部発振器用の信号としてもよい。
【0025】
THz波検知部5は、紙葉類2を透過した偏光したTHz波4を検知するように構成されている。
【0026】
被検査類2の透過波4の強度分布を得る情報処理部10は、マイクロプロッセッサ、マイクロコントローラ等のマイコンやパーソナルコンピュータを含んで構成されている。THz波検知部5からの出力は、A/D変換器10aや入出力インターフェース(I/O)10bを介してマイコンやパーソナルコンピュータに入力される。必要に応じてディスプレイ10cや記憶装置10dを備えてもよい。
【0027】
情報処理部10は、透過波4の二次元の強度分布を取得し、異物7の付着がなく、かつ正規のセキュリティスレッド6が設けられた紙葉類2を検出したときの強度分布と、検査時に紙葉類2を検出したときの検査時強度分布とを比較することで、検査時の被検査類2に異物7が付着されているか否か及び/又はセキュリティスレッド6に異常があるか否かを検出することができる。情報処理部10は、透過波強度や後述する反射波強度変化を、高感度で検出するために異なる階調で二次元表示する機能を備えていることが好ましい。
異物7の付着がなく、かつ、正規のセキュリティスレッド6を有する被検査類2は、例えば正規の紙葉類である。つまり真の紙葉類2である。セキュリティスレッド6の異常とは、正規の紙葉類2と比較して、セキュリティスレッド6を有していない紙葉類2やセキュリティスレッドの形成される位置やセキュリティスレッドの透過波強度や後述する反射波強度が正規の紙葉類2とは異なる場合を示す。
【0028】
情報処理部10は、異物7の付着しない紙葉類2の透過波4を検出したときの二次元強度分布を予め測定したデータを、参照データとして、情報処理部10の記憶装置10dに記憶させてもよい。紙葉類2の種類に応じた複数の参照データを、情報処理部10の記憶装置10dに記憶させてもよい。又、実施例で示すセキュリティスレッド6の透過波の強度を異物7と共に記憶装置10dに記憶させてもよい。
二次元強度分布において、異物7の付着がなく、かつ、正規のセキュリティスレッド6を有する紙葉類2のセキュリティスレッド6のある箇所の位置と強度と、検査時の被検査類2のセキュリティスレッド6の位置と強度を比較する場合、紙葉類2の真偽は、以下のようにして、判別することができる。
(1)検査時の紙葉類2のセキュリティスレッド6の位置と強度が、正規のセキュリティスレッド6を有する紙葉類2と一致する場合には、正規な紙葉類2と判定することができる。
(2)検査時の紙葉類2のセキュリティスレッド6の位置が、正規のセキュリティスレッド6を有する紙葉類2と異なる場合又は検出されない場合には、紙葉類2のセキュリティスレッド6が異常であると判別する。
(3)検査時の紙葉類2のセキュリティスレッド6の位置が正規の紙葉類2と一致するが、強度が著しく異なる場合には、紙葉類2が異常、即ち不正規であると判別する。この場合、セキュリティスレッド6の強度は、二次元強度分布における階調を変化させて検出すればよい。
尚、二次元強度分布における異物7や正規のセキュリティスレッド6を有しているか異常であるか、つまり真偽の判別は、後述する反射波強度の二次元強度分布の判定にも適用できる。
【0029】
図2は、本発明の第1実施形態に係るTHz帯を用いた別の検査装置20を説明する図である。
図2に示すように、THz帯を用いた検査装置20が、
図1のTHz帯を用いた検査装置1と異なるのは、THz波検知部5が、THz波の紙葉類2への透過波4ではなく、反射波22を検出する点である。他の点は、
図1のTHz帯を用いた検査装置1と同じであるので、説明は省略する。
【0030】
THz帯を用いた検査装置20は、紙葉類2に照射されたTHz波の反射波22を測定するが、上記した透過波4の測定と同様に、紙葉類2に付着したメンディングテープ7aのような異物7は、異物7の屈折率と異物7の付着のない被検査類2の屈折率との差のレンズ効果に基づく強度変化から検出することができる。
【0031】
図3は、本発明の第1実施形態に係るさらに別の検査装置25を説明する図である。
この検査装置25が、
図2の検査装置20と異なるのは、ハーフミラー9をさらに追加した点にある。ハーフミラー9としては、THz帯を透過する材料が好ましく、例えばSi基板を用いることができる。
【0032】
THz波発振器3aから照射されるTHz波3cが、レンズ3eを介して、ハーフミラー9とレンズ3hを介して、紙葉類2に照射される。THz波3iは、例えば45°の角度でハーフミラー9に入射される。ハーフミラー9を通過したTHz波は、紙葉類2の垂直方向(厚さ方向)に照射される。
【0033】
紙葉類2で生じた反射波は、レンズ3hを通過した後、ハーフミラー9で反射され、レンズ5aを介して、
図3の下方に配設されたTHz波検知部5に入射される。図示の場合、THz波3jは、ハーフミラー9で反射された後、レンズ5aとピンホール12を介してTHz波検知素子5cに入射される。ピンホール12としては、THz波帯用のアパーチャーを用いることができる。
【0034】
検査装置25によれば、紙葉類2に照射されたTHz波の反射波の二次元分布を、所謂共焦点光学系により測定することができ、検査装置20よりも分解能や感度を、下記のように向上させることができる。
(1)THz波発振器3aが導波管等を用いた場合には、THz波の形状が点状であるため紙葉類2に隣接する横方向からの迷光が生じない。
(2)焦点位置だけの情報がピンホール12やTHz波帯用のアパーチャーを通過してTHz検出素子5cに到達し、焦点位置以外の光はピンホール12でカットされるため、深さ方向(Z方向、つまり紙葉類2の厚さ方向)に分解能が生じ、光学的断層像を得ることができる。これは反射波を検出する検査装置20では実現できない。
従って、反射波を検出する検査装置20よりも点像強度分布(PSF:Point Spread Function)がよりシャープになり、XYZ分解能が向上する。
【0035】
透過波4や反射波22の強度は、紙葉類2の厚さや材質、セキュリティスレッド6、異物7やの厚さや材質等で変化する。また、透過波4や反射波22の強度は、用いるTHz波の周波数や偏光方向、紙葉類2へのTHz波の入射角度により変化する。従って、検査する紙葉類2や検出するセキュリティスレッド6、異物7に応じて、用いる周波数、偏光、紙葉類2への入射角度の何れか又はこれらの組み合わせにより調整することが望ましい。THz波発振器3aは、様々な紙葉類2を検査する場合に、各紙葉類2に最適なTHz波を発生できるように、複数の周波数を発生できるTHz発振器を備えてもよい。紙葉類2に入射されるTHz波の偏光に合わせて、THz波検知部5の偏光状態も感度が良く検出されるように調整すればよい。THz波発振器3a及び/又はTHz波検知部5の偏光状態は、情報処理部10により制御してもよい。
【0036】
上記検査装置1、20、25によれば、1台のTHz波照射部3により紙葉類2を走査し、紙葉類を透過したTHz波が、THz波検知素子である各ショットキーバリヤダイオードで検知され、紙葉類2に入射される二次元の透過波4や二次元の反射波22,3jの二次元強度分布から紙葉類2に付着した異物7やセキュリティスレッド6の検出を、偏光を利用して、非接触で高速及び高効率に容易に行うことができる。つまり、紙葉類2に異物7が付着されているか否か及び/又はセキュリティスレッド6に異常があるか否かを判別できる。異物7やセキュリティスレッド6の検出は、THz波照射部3の偏光、紙葉類2の向き等を調整することで感度を高めることができる。また、透過波の入射角度や透過波測定で生じる干渉縞の利用、反射波の検出する角度、共焦点光学系による反射波測定等により感度を高めることができる。
【0037】
次に、本発明の第2及び第3実施形態として、紙葉類2を幅方向に垂直な方向(Y方向)に搬送させながら走査して、紙葉類2に付着した異物7及び/又はセキュリティスレッド6を検出できる検査装置について説明する。
なお、特に断らない限り、第1実施形態と同様に、THz波照射部は被検査類に偏光したTHz波を照射し、THz波検知部は、被検査類に照射された偏光したTHz波の透過波又は反射波を検出する。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態として、紙葉類2を幅方向に垂直な方向(Y方向)に搬送させながら走査して、紙葉類2に付着した異物7及び/又はセキュリティスレッド6を検出できる検査装置30について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る検査装置30を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。この検査装置30は、紙葉類2を搬送する紙葉類搬送部32と、紙葉類搬送部32による紙葉類2の移動方向と直交する方向にTHz波を照射するTHz波照射部33と、紙葉類2に照射されたTHz波の透過波34を検出するTHz波検知部35と、紙葉類搬送部32の搬送方向と直交する方向にTHz波が照射された紙葉類2の透過波34の強度データから、紙葉類2の透過波34の強度分布を得る情報処理部40と、を含んで構成されている。
【0039】
図4に示すように、THz波照射部33は、THz波発振器33aと、THz波発振器33aから照射されるTHz波33cを走査する走査素子33dを含んで構成されている。THz波発振器33aはガンダイオードを用いた発振器からのTHz波33cが、レンズ33e等で集光され、走査素子33dにより、紙葉類2の幅方向(X方向)に左端から右端まで走査され、さらに、フレネルレンズ33f等を介して、紙葉類搬送部32によって搬送される紙葉類2に照射される。
【0040】
走査素子33dとしては、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、デジタルミラー素子の何れかを用いることができる。
【0041】
フレネルレンズ33fは、走査素子33dにより走査されるTHz波33sを、紙葉類2に垂直に対してやや角度を付けた入射角(θ)を持って、平行な透過光34として照射する機能を有している。ここで、垂直に対してやや角度を付けた入射角とは、好ましくは、上述したように数°〜50°、さらに好ましくは概ね10°〜50°である。
【0042】
紙葉類2を透過したTHz波34は、集光用光学部品35aと、レンズ35bを介してショットキーバリヤダイオード等からなるTHz波検知素子35cで検知される。レンズ35bとしては、フレネルレンズ、凸レンズ、凹レンズ等や鏡を用いた集光器を用いることができる。鏡としては、半透鏡や放物面鏡等を用いることができる。
【0043】
集光用光学部品35aとしては、フレネルレンズ等を用いることができる。フレネルレンズは、紙葉類2を所定の角度で透過し平行な透過光となったTHz波34を、レンズ35bに集光する機能を有している。
【0044】
紙葉類搬送部32は、紙葉類2を搬送する図示しない搬送機構を含んで構成されている。紙葉類搬送部32は、紙葉類2がTHz波により走査されるX方向に垂直な方向、つまり、紙葉類2のY方向に紙葉類2を搬送する。紙葉類搬送部32では、紙葉類2の搬送のための部材の材料そして、樹脂やガラス38を用いることができる。つまり、紙葉類2を搬送するために、紙葉類2の上面及び/又は下面には、THz波を透過する材料からなる部材を配設する。ガラス38としては、THz波を透過する無機ガラスや有機ガラスを用いることができる。透過波34や後述する反射波52の強度を屈折率差によるレンズ効果で増大するためには、樹脂やガラス38の屈折率は、紙葉類2の屈折率よりも大きいことが望ましい。紙葉類2の搬送方向はY方向としたが、X方向でもよい。
【0045】
情報処理部40は、紙葉類2に異物7の付着がなく、かつ、正規のセキュリティスレッドを有する紙葉類2を検出したときの透過波34の二次元強度分布と、検査時に異物7が付着した紙葉類2を検出したときの透過波34aの二次元強度分布とを比較することで、紙葉類2に異物7が付着されているか否か及び/又はセキュリティスレッド6に異常があるか否かを検出することができる。
【0046】
図5は、本発明の第2実施形態に係る別の検査装置50を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。
この検査装置50が、
図4に示す検査装置30と異なるのは、THz波の反射波52を検知している点である。THz波の反射波52を検出するTHz波検知部55は、紙葉類2を反射したTHz反射波52の集光用光学部品55aと、レンズ55bを介してショットキーバリヤダイオード等からなるTHz波の反射波52を検出するTHz波検知素子55cで検知される。THz波検知部55の構成は、
図4のTHz波検知部35と同様であるが、紙葉類搬送部32の上部側に配設されている。他の構成は、
図4に示した検査装置30と同じであるので、説明は省略する。
【0047】
図4、
図5の第2実施形態に係る検査装置30,50においては、情報処理部40は、検査装置1、20と同様に、マイクロプロッセッサ、マイクロコントローラやパーソナルコンピュータを含んで構成されている。THz波検知部35,55からの出力は、A/D変換器40aや入出力インターフェース(I/O)40bを介してマイクロプロッセッサやパーソナルコンピュータに入力される。情報処理部40は、さらに、ディスプレイ40cや記憶装置40dを備えてもよい。
【0048】
情報処理部40には、THz波検知部35,55からの出力と、紙葉類搬送部32からの紙葉類2の搬送位置等に関する情報が入力される。
【0049】
紙葉類搬送部32は、THz波照射部33から照射されるTHz波が、紙葉類2の幅方向(X方向)を左端から右端迄走査すると、紙葉類2を、次の走査位置に搬送する。つまり、紙葉類2は次の走査位置となるY方向に移動する。この紙葉類2の移動は、図示しないベルトとモータによる搬送機構やステップモータを用いた搬送機構により行うことができる。
【0050】
各紙葉類2のY方向の搬送は、走査される位置を紙葉類2が通過するか否かで判定してもよい。紙葉類2のY方向への通過は、紙葉類搬送部32に備えたフォトカップラやフォトインタラプタにより検出することができる。
【0051】
紙葉類2のY方向への通過が、紙葉類の一端から他端まで行われると、それまでに、出力されたTHz透過波34または反射波52の強度信号から紙葉類2で透過または反射されたTHz波の二次元強度分布が計算される。
【0052】
このように、情報処理部40には、THz波検知部35、55からの出力と、紙葉類搬送部32からの紙葉類2の搬送位置等に関する情報が、紙葉類搬送部32の制御回路32aから入力され、紙葉類搬送部32を通過する紙葉類2からのTHz波の透過波34または反射波52による二次元強度分布を出力する。
【0053】
紙葉類搬送部32を通過する紙葉類2からのTHz波の透過波34や反射波52による二次元強度分布により、正常な紙葉類2ではないと判断された場合には、異常が判定されたとして、回収部において回収してもよい。
【0054】
この検査装置30,50によれば、1台のTHz波発振器33aにより紙葉類2の一辺(X方向)を走査し、他の辺(Y)の方向に順次紙葉類2を移動すれば、紙葉類2に入射される二次元の透過波34や反射波52の二次元強度分布から紙葉類2に異物7が付着されているか否か及び/又はセキュリティスレッド6に異常があるか否かの検出を、非接触で高速及び高効率に容易に行うことができ、かつ、低コストである。従って、1台のTHz波発振器33aにより紙葉類2の一辺を走査できるので、走査のために複数のTHz波発振器やTHz波検知器が不要となる。
さらに、上記検査装置50では、紙葉類2の表面からのTHz波の反射波52を検出するようにしたが、さらに紙葉類2の裏面からのTHz波の反射波を検出するために、別のTHz波照射部53及びTHz波検知部55を、紙葉類搬送部32の下部側にさらに設けてもよい。
【0055】
(第3実施形態)
次に、複数のTHz波発振器又は複数のTHz波検知器を使用した検査装置について説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る検査装置60を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。この検査装置60は、
図4に示す検査装置30と同様に透過波34を検出する構成であるが、複数のTHz波発振器63a−63dからなるTHz波照射部63を備えている点で異なっている。他の構成は、
図4に示した検査装置30と同じであるので、説明は省略する。
【0056】
具体的には、THz波照射部63は、複数のTHz波発振器63a,63b,63c,63dと、複数のTHz波発振器63と紙葉類搬送部32との間に挿入されるレンズ63eを含んで構成されている。各THz波発振器63a,63b,63c,63dからのTHz波が、対応する各レンズ63eで集光され、紙葉類搬送部32によって搬送される紙葉類2の幅方向(X方向)に照射される。
【0057】
複数のTHz波発振器63a,63b,63c,63dは、紙葉類2の幅方向(X方向)に所定の順にパルス発振をするように、情報処理部40により制御されてもよい。例えば、THz波発振器63a,63b,63c,63dの順にパルス発振をさせて、次に紙葉類2を搬送方向(Y方向)に所定の距離を搬送した後に、再度、THz波発振器63a,63b,63c,63dの順にパルス発振をさせる。この操作を繰り返すことにより、紙葉類2を二次元で走査することができる。
【0058】
THz波検知部65の構成は、
図4のTHz波検知部35と同様に構成されており、フレネルレンズ等からなる集光用光学部品65aと、レンズ65bを介してTHz波検出素子65cであるショットキーバリヤダイオード等からなるTHz波検知部65で検知される。他の構成は、
図4に示した検査装置30と同じであるので、説明は省略する。
【0059】
THz波検知部65においては、紙葉類2の幅方向(X方向)に配設された各THz波発振器63a,63b,63c,63dからのTHz波の透過波34が順に入射され、紙葉類2を二次元で走査することによりTHz波の透過波34の二次元の信号分布が得られる。
【0060】
第3実施形態に係る検査装置60によれば、THz波照射部63が複数のTHz波発振器63a,63b,63c,63dと複数のレンズ63eとから構成され、走査素子を含まない構成であるので、小型化が図られる。さらに、駆動部を有している走査素子を用いないので信頼性が向上する。
【0061】
(第3実施形態の変形例1)
図7は、本発明の第3実施形態の変形例1に係る検査装置70を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。この検査装置70が、
図5に示す検査装置50と同様に反射波52を検出する構成であるが、複数のTHz波発振器からなるTHz波照射部73を備えている点で異なっている。他の構成は、
図5に示した検査装置50と同じであるので、説明は省略する。
【0062】
具体的には、THz波照射部73は、複数のTHz波発振器73a,73b,73c,73dと、複数のTHz波発振器73と紙葉類搬送部32との間に挿入されるレンズ73eを含んで構成されている。各THz波発振器73a,73b,73c,73dからのTHz波が、レンズ73eで集光され、紙葉類搬送部32によって搬送される紙葉類2の幅方向(X方向)に照射される。
【0063】
複数のTHz波発振器73a,73b,73c,73dは、紙葉類2の幅方向(X方向)に順にパルス発振をするように、情報処理部40により制御されてもよい。例えば、THz波発振器73a,73b,73c,73dの順にパルス発振をさせて、次に紙葉類2を搬送方向(Y方向)に所定の距離を搬送した後に、再度、THz波発振器73a,73b,73c,73dの順にパルス発振をさせる。この操作を繰り返すことにより、紙葉類2を二次元で走査することができる。
【0064】
THz波検知部75の構成は、
図4のTHz波検知部35と同様に、フレネルレンズ等からなる集光用光学部品75aと、レンズ75bと、THz波検知素子75cとしてショットキーバリヤダイオードを使用しており、THz波の反射波52を検出するようにTHz波検知部75は、紙葉類搬送部32の上方に配設されている。
【0065】
THz波検知部75においては、紙葉類2の幅方向(X方向)に配設された各THz波発振器73a,73b,73c,73dからのTHz波の反射波52が順に入射され、紙葉類2を二次元で走査することによりTHz波の反射波52の二次元の信号分布が得られる。
【0066】
この検査装置70によれば、THz波照射部73が複数のTHz波発振器73a,73b,73c,73dと複数のレンズ73eとから構成され、走査素子を含まない構成であるので、小型化が図られ、また、駆動部を有している走査素子を用いないので、信頼性が向上する。
【0067】
上記検査装置70では、紙葉類2の表面からのTHz波の反射波52を検出するようにしたが、さらに紙葉類2の裏面からのTHz波の反射波を検出するために、別のTHz波照射部73及びTHz波検知部75を、紙葉類搬送部32の下部側にさらに設けてもよい。
【0068】
(第3実施形態の変形例2)
図8は、本発明の第3実施形態の変形例2に係る検査装置80を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。この検査装置80は、
図4に示す検査装置30と同様に透過波34を検出する構成を有している。THz波照射部83は
図4に示すTHz帯を用いた検査装置30と同様に構成されているが、THz波検知部85が複数のTHz波検知素子85a,85b,85c,85dを備えている点で
図4に示す検査装置30とは異なっている。
【0069】
THz波検知部85は、紙葉類搬送部32の下方に配設され、THz波が走査されて紙葉類2を透過する位置に対応して、複数のレンズ85eと複数のTHz波検知素子85a,85b,85c,85dであるショットキーバリヤダイオードとが配設されている。
【0070】
上記検査装置80によれば、1台のTHz波発振器83aにより紙葉類2の一辺(X方向)を走査し、紙葉類を透過したTHz波が、THz波検知素子85a,85b,85c,85dである各ショットキーバリヤダイオードで検知される。他の辺(Y)の方向に順次紙葉類2を移動すれば、紙葉類2に入射される二次元の透過波34の二次元強度分布から紙葉類2に異物7が付着されているか否か及び/又はセキュリティスレッド6に異常があるか否かの検出を、非接触で高速及び高効率に容易に行うことができる。
【0071】
上記検査装置80によれば、THz波検知部85は、複数のTHz波検知素子85a,85b,85c,85dと複数のレンズ85eを使用するが、フレネルレンズのような光学部品を使用しないので、小型化が図れる。
【0072】
(第3実施形態の変形例3)
図9は、本発明の第3実施形態の変形例3に係る検査装置90を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。この検査装置90は、
図5に示す検査装置50と同様に反射波52を検出する構成を有している。THz波照射部93は
図9に示す検査装置50と同様に構成されているが、THz波検知部95が複数のTHz波検知素子95a,95b,95c,95dを備えている点で
図5に示す検査装置50とは異なっている。
【0073】
THz波検知部95は、反射波52を検出するために紙葉類搬送部32の上方に配設され、走査される反射波52の位置に複数のレンズ95eと、複数のTHz波検知素子95a,95b,95c,95dであるショットキーバリヤダイオードとが配設されている。
【0074】
この検査装置90によれば、1台のTHz波発振器93aにより紙葉類2の一辺(X方向)を走査し、紙葉類で反射したTHz波が、THz波検知素子95a,95b,95c,95dである各ショットキーバリヤダイオードで検知される。他の辺(Y)の方向に順次紙葉類2を移動すれば、紙葉類で反射される反射波52の二次元強度分布から紙葉類2に異物7が付着されているか否か及び/又はセキュリティスレッド6に異常があるか否かの検出を、非接触で高速及び高効率に容易に行うことができる。
【0075】
上記検査装置90によれば、THz波検知部95は、複数のTHz波検知素子95a,95b,95c,95dと複数のレンズ95eを使用するが、フレネルレンズのような光学部品を使用しないので、小型化が図れる。
【0076】
検査装置90では、紙葉類2の表面からの反射波52を検出するよう構成したが、紙葉類2の裏面からの反射波を検出するために、別のTHz波照射部93及びTHz波検知部95を、紙葉類搬送部32の下部側にさらに設けてもよい。
【0077】
(第3実施形態の変形例4)
図10は、本発明の第3実施形態の変形例4に係る検査装置100を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図である。この検査装置100は、
図4に示す検査装置30と同様に透過波34を検出する構成を有しており、紙葉類搬送部32の上方に配設される複数のTHz波発振器103a,103b,103c,103d,103eからなるTHz波照射部103と、複数のTHz波検知器105a,105b,105c,105d,105eからなるTHz波検知部105等を含んで構成されている。
【0078】
具体的には、THz波照射部103は、
図6に示す検査装置60と同様に、複数のTHz波発振器103a,103b,103c,103d,103eと、該THz波発振器103a,103b,103c,103d,103eと紙葉類搬送部32との間に配設される対応する複数のレンズ103fから構成されている。
【0079】
THz波検知部105は、
図8に示す検査装置80と同様に、紙葉類2の幅方向(X方向)の透過波34が照射される各位置に複数のレンズ105fと、複数のTHz波検知素子105a,105b,105c,105d,105eであるショットキーバリヤダイオードとが配設されている。
【0080】
複数のTHz波発振器103a,103b,103c,103d,103eは、紙葉類2の幅方向(X方向)に所定に順にパルス発振をするように、情報処理部40により制御されてもよい。例えば、THz波発振器103a,103b,103c,103d,103eの順にパルス発振をさせて、次に紙葉類2を搬送方向(Y方向)に所定の距離を搬送した後に、再度、THz波発振器103a,103b,103c,103d,103eを順にパルス発振をさせる。この操作を繰り返すことにより、紙葉類2を二次元で走査することができる。
【0081】
THz波検知部105においては、紙葉類2の幅方向(X方向)に配設された各THz波発振器103a,103b,103c,103d,103eからのTHz波の透過波34が対応するTHz波検知素子105a,105b,105c,105d,105eに入射され、紙葉類2を二次元で走査することによりTHz波の透過波34の二次元の信号分布が得られる。
【0082】
上記検査装置100によれば、THz波照射部103が複数のTHz波発振器103a,103b,103c,103d,103eと複数のレンズ103fとから構成され、走査素子を含まない構成であるので、小型化が図られる。さらに、駆動部を有している走査素子を用いないので信頼性が向上する。また、THz波検知部105が複数のTHz波検知器105a,105b,105c,105d,105eと複数のレンズ105fとから構成され、集光用光学部品を含まない構成であるので、小型化が図られると共に、信頼性が向上する。
【0083】
(第3実施形態の変形例5)
図11は、本発明の第3実施形態の変形例5に係る検査装置110を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。この検査装置110は、
図7に示す検査装置70と同様に反射波52を検出する構成を有しており、紙葉類2の表面側及び裏面側を検査するために、第1及び第2のTHz波照射部113A,113Bと、第1及び第2のTHz波検知部115A,115B等を含んで構成されている。
【0084】
第1のTHz波照射部113Aは、
図7に示すTHz波照射部73と同様に構成されており、THz波発振器113a,113b,113c,113d,113eと複数のレンズ113fとを含んで構成されている。同様に、第2のTHz波照射部113Bは、THz波発振器113a’,113b’,113c’,113d’,113e’と複数のレンズ113fとを含んで構成されている。
【0085】
第1のTHz波検知部115Aは、
図10に示すTHz波検知部105と同様に構成されており、THz波検知素子115a,115b,115c,115d,115eと複数のレンズ115fとを含んで構成されている。同様に、第2のTHz波検知部115Bは、THz波検知素子115a’,115b’,115c’,115d’,115e’と複数のレンズ115fとを含んで構成されている。
【0086】
紙葉類2の表面側及び裏面側を検査するために、制御部40は第1及び第2のTHz波照射部113A,113Bを制御し、第1及び第2のTHz波照射部113A,113Bからの照射タイミング信号が入力される。
【0087】
紙葉類2の上方を紙葉類2の表面とした場合、第1のTHz波照射部113Aから照射されて紙葉類2の表面で反射したTHz波は、第1のTHz波検知部115Aにより検知される。
【0088】
これにより、紙葉類2の表面にある異物7は、第1のTHz波照射部113Aから照射され紙葉類2の表面で反射したTHz波が、第1のTHz波検知部115Aにより検知されて、制御部40によりTHz帯の反射波52の二次元の強度分布が取得される。
【0089】
紙葉類搬送部32の下部に配設された第2のTHz波照射部113BからTHz波が照射される。紙葉類2の裏面で反射したTHz波は、第2のTHz波検知部115Bにより検知される。これにより、紙葉類2の裏面にある異物7は、第2のTHz波照射部113Bから照射され紙葉類2の裏面で反射したTHz波が、第2のTHz波検知部115Bにより検知される。異物7は、制御部40によりTHz帯の反射波52の二次元の強度分布として取得される。
【0090】
この検査装置110によれば、紙葉類2の表面及び裏面に異物7が付着されているか否かを検出できる。さらに、セキュリティスレッドに異常があるか否かも併せて検出することができる。
なお、第1のTHz波照射部113AによるTHz波の照射と第1のTHz波検知部115AによるTHz反射波の検出及び第2のTHz波照射部113BによるTHz波の照射と第2のTHz波検知部115BによるTHz反射波の検出は、所定の順で照射と検知を繰り返す。
【0091】
上記検査装置110によれば、第1及び第2のTHz波照射部113A,113B及び第1及び第2のTHz波検知部115A,115Bが、走査素子を含まない構成であるので小型化が図られると共に、駆動部を有している走査素子を用いないので信頼性が向上する。さらに、上記検査装置110によれば、紙葉類2の表面及び裏面を同時に測定できるという特徴を有している。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0092】
(140GHzにおける透過波の測定例)
図1の検査装置1を用い、140GHzにおける透過波を測定した実施例1について説明する。
THz波発振器3aとしては、140GHzの連続発振(CW発振)のIMPATTダイオードを用いた発振器(ELVA−1社製、モデルCIDO−06/140/20)を使用した。紙葉類2をステージに載置し、紙葉類2の紙面垂直方向に対して45°の方向から入射させ、透過波4を測定した。出力は大凡10mWである。IMPATTダイオード発振器3aからのTHz波3cの出力は、テフロン(登録商標)製のレンズ3eで集光し、紙葉類2に照射した。紙葉類2aを透過したTHz波の透過波4は、テフロン(登録商標)製のレンズ5aで集光し、ショットキーバリヤダイオード5c(ELVA−1社製、モデルZBD−06)で強度を検出した。
ここで、ステージの二次元走査を行い、140GHzの透過波の二次元強度分布を測定した。
【0093】
IMPATTダイオードを用いた発振器3aと、ショットキーバリヤダイオード5cの導波路の向きは、同じ偏光方向となるように設定した。IMPATTダイオードを用いた発振器3aとショットキーバリヤダイオード5cの導波路は、何れもこれらの素子が収容される導波管及び導波管に接続されるホーンアンテナからなる。
【0094】
紙葉類2をステージに載置して、ステージの二次元走査を行い、140GHzの透過の強度分布を測定した。
図1に示すように、紙葉類2の位置等の保持を容易にするために、紙葉類2の両面には、
図1に示すTHz波を透過する光学用樹脂膜8a,8bを配置した。光学用樹脂膜8a,8bとしては、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン製、ZEONEX(登録商標))を用いた。
【0095】
図12は、本発明の検査装置1で入射角度を45°として取得した紙葉類2Aを透過したTHz波の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図12(a)は、紙葉類2Aに貼り付けたテープ類と、セキュリティスレッド6の位置を示している。テープ類は、上から下方向に、メンディングテープ7aとポリプロピレンテープ7bと、セロファンテープ7cを紙葉類2Aの長手方向(X方向)に平行に貼り付けた。つまり、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。ここで、X方向は、矩形導波管の短辺に平行な方向である。
【0096】
図12(c)は、
図12(b)に対して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Aを透過した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
【0097】
図12(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Aのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、テープ類やセキュリティスレッド6が配設された領域の透過光強度が低いことが分かる。これらのデータから、入射角度が45°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がX方向のテープ類と長手方向がY方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0098】
図13は、本発明の検査装置1で入射角度を45°として取得した紙葉類2Aを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Aの位置を
図12に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図13(a)に示すように、紙葉類2Aを
図12(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0099】
図13(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Aのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、テープ類やセキュリティスレッド6が配設された領域の透過光強度が低いことが分かる。これらのデータから、入射角度を45°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がY方向のテープ類と長手方向がX方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0100】
次に、入射角度を15°として取得した紙葉類2Aを透過したTHz波の二次元の強度分布を示す。
図14は、本発明の検査装置1で入射角度を15°として取得した紙葉類2Aを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図14(a)に示すように、テープ類2Aとセキュリティスレッド6の配置は、
図12と同様である。つまり、紙葉類及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0101】
図14(c)は、
図14(b)に対して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Aを透過した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
【0102】
図14(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Aのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、セキュリティスレッド6が配設された領域の透過光強度が低いことが分かる。
【0103】
これらのデータから、入射角度が15°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がY方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0104】
図15は、本発明の検査装置1で入射角度を15°として取得した紙葉類2Aを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分において、紙葉類2Aの位置を
図14に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図15(a)は、
図14(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0105】
図15(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Aのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、特にセキュリティスレッド6の領域の透過光強度が低いことが分かる。これらのデータから、入射角度を15°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がX方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0106】
次に、入射角度を15°として取得した紙葉類2Aを透過したTHz波の二次元の強度分布の別の一例を示す。テープ類の貼り付け方向は、
図14及び15とは異なり、紙葉類の短手方向に平行である。
図16は、本発明の検査装置1で入射角度を15°として取得した紙葉類2Aを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向を
図12の反対のY方向とした別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図16(a)に示すように、紙葉類2Aの長手方向はX方向に平行であり、テープ類の長手方向はY方向に平行である。
【0107】
図16(c)は、
図16(b)に対して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Aを透過した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
【0108】
図16(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Aのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、セキュリティスレッド6が配設された領域の透過光強度が低いことが分かる。
【0109】
これらのデータから、入射角度を15°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がY方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0110】
図17は、本発明の検査装置1で入射角度を15°として取得した紙葉類2Aを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分において、紙葉類2Aの位置を
図16に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図17(a)に示すように、紙葉類2Aを
図16(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2Aの長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0111】
図17(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Aのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、特にセキュリティスレッド6の領域の透過光強度が低いことが分かる。これらのデータから、入射角度を15°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がX方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0112】
(紙葉類2Bの45°透過波の測定例)
図18は、本発明の検査装置1で入射角度を45°として取得した紙葉類2Bを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。なお、紙葉類2Bは、紙葉類2Aとは異なる種類の紙葉類である。
図18(a)に示すように、テープ類及び紙葉類2Bの長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0113】
図18(b)は、入射角度が45°でX方向偏光における紙葉類2Bを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布を示す図であり、
図18(c)は、
図18(b)に対して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Bを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布を示す図である。
【0114】
図18(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Bのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、テープ類やセキュリティスレッド6が配設された領域の透過光強度が低いことが分かる。これらのデータから、入射角度を45°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がX方向のテープ類と長手方向がY方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0115】
図19は、本発明の検査装置で入射角度を45°として取得した紙葉類2Bを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Bの位置を
図18に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図19(a)に示すように、紙葉類2Bを
図18(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0116】
図19(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Bのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、テープ類やセキュリティスレッド6が配設された領域の透過光強度が低いことが分かる。これらのデータから、入射角度を45°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がY方向のテープ類と長手方向がX方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0117】
(紙葉類2Bの15°透過波の測定例)
図20は、本発明の検査装置1で入射角度を15°として取得した紙葉類2Bを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図20(a)に示すように、テープ類は、
図12と同様に、紙葉類2Bの長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0118】
図20(c)は、
図20(b)に対して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Bを透過した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
【0119】
図20(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Bのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、セキュリティスレッド6が配設された領域の透過光強度が低いことが分かる。これらのデータから、入射角を15°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がY方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0120】
図21は、本発明の検査装置1で入射角度を15°として取得した紙葉類2Bを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Bの位置を
図20に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図21(a)に示すように、紙葉類2Bを
図20(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX向に平行である。
【0121】
図21(b)及び(c)から明らかなように、紙葉類2Bのテープ類やセキュリティスレッド6が配設されていない領域の透過光強度が高く、セキュリティスレッド6が配設された領域の透過光強度が低いことが分かる。これらのデータから、入射角度を15°程度にすれば、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がX方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0122】
(紙葉類2Cの15°透過波の測定例)
図1の検査装置1を用い、紙葉類2Cにおいて、140GHzにおける透過波の測定例について説明する。
図22は、本発明の検査装置1で入射角度を15°として取得した紙葉類2Cを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Cにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布を示す図である。なお、紙葉類2Cは、紙葉類2A及び紙葉類2Bとは異なる種類の紙葉類である。
【0123】
図22(a)に示すように、紙葉類2Cの長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。検査範囲は、
図22(a)に実線で示す四角の箇所である。
【0124】
図22(b)から明らかなように、テープ類の透過波強度が高く、セキュリティスレッド6からの透過波強度が低いことが分かる。
【実施例2】
【0125】
(90GHzの透過波測定)
図1の検査装置1を用い、90GHzにおける透過波を測定した実施例2について説明する。
図1の検査装置1において、THz波発振器3aとしては、90GHzの連続発振(CW発振)のガンダイオード発振器(SPACEK LABS社製、モデルGW−900P)を使用した。ガンダイオード発振器の出力は、約10mWである。ガンダイオード発振器3aからのTHz波3cの出力は、テフロン(登録商標)製のレンズ3eで集光し、紙幣類2Cに照射し、紙幣類2Cを透過したTHz波4は、テフロン(登録商標)製のレンズ5aで集光し、ショットキーバリヤダイオード(millitech社製、モデルDXP−10−RPF0)で透過したTHz波4の強度を検出した。ガンダイオードを用いた発振器3aと、ショットキーバリヤダイオード5cの導波路の向きは、同じ偏光方向となるように設定した。ガンダイオードを用いた発振器3aとショットキーバリヤダイオード5cの導波路は、何れもこれらの素子が収容される導波管及び導波管に接続されるホーンアンテナからなる。他の構成は、140GHzの透過波測定と同じであるので、説明は省略する。なお、紙葉類2Cは、紙葉類2A及び紙葉類2Bとは異なる種類の紙葉類である。
【0126】
図23は、本発明の検査装置で入射角度を15°として取得した紙葉類2Cを透過したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Cにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布を示す図である。
図23(a)に示すように紙葉類2Cの長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。検査範囲は、
図23(a)に実線で示す四角の箇所である。
【0127】
図23(b)から明らかなように、テープ類の透過波強度が高く、セキュリティスレッド6からの透過波強度が低いことが分かる。
【実施例3】
【0128】
(入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えたときの透過波の二次元分布)
図1の検査装置1を用い、入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えたときの90GHz及び140GHzの透過波の二次元分布を測定した実施例3について説明する。
図24は、紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置を示す図である。紙葉類2Bの長手方向は、Y方向に平行である。テープ類は、上から下方向に、セロファンテープ7cと、ポリプロピレンテープ7bと、メンディングテープ7aと、セロファンテープ7cを紙葉類2Bの短長手方向(X方向)に平行に貼り付けた。セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。つまり、テープ類7及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。導波路の偏光方向は、Y方向である。
【0129】
周波数を90GHzとし、入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えたときの透過波の二次元分布を取得した。
【0130】
図25は、本発明の検査装置1で入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えて取得した紙葉類2Bを透過したTHz波の二次元の強度分布を示し、(a)0°、(b)5°、(c)10°、(d)15°、(e)20°、(f)25°、(g)30°、(h)35°、(i)40°、(j)45°である。
図25(a)〜(j)に示すように、入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えて取得した紙葉類2Bを透過したTHz波の二次元の強度分布では、セキュリティスレッド6を明瞭に識別することができた。そして、セキュリティスレッド6の領域において干渉縞が観測され、この干渉縞の本数は、角度と共に増大した。
【0131】
(140GHzにおける干渉縞)
本発明の検査装置1で周波数を90GHzから140GHzに変化して、入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えて紙葉類2Bを透過したTHz波の二次元の強度分布を、上記と同様に測定した。140GHzにおいても、90GHzと同様にセキュリティスレッド6を明瞭に識別することができた。そして、セキュリティスレッド6の領域において干渉縞が観測され、この干渉縞の本数は、角度と共に増大した。
【0132】
図26は、本発明の検査装置1で入射角度を0°〜45°まで5°毎に変えたときに
図24のセキュリティスレッド領域で観察される干渉縞の本数を示す図である。図の横軸は入射角度(°)、縦軸は50mm中の干渉縞数である。90Gzは、□印で示し、140Gzは、◇印で示している。
図26に示すように、140GHzの干渉縞数は、90GHzよりも多く、また両周波数で干渉縞数は角度に比例して増加することが分かる。
【0133】
さらに、140GHzの干渉縞数は、90GHzの約1.6倍程度であるので、干渉縞数は、周波数に比例して増大していることが判明した。この干渉縞は、周波数が高いほど、そして入射角度が大きいほど多数生じるので、紙葉類2Bに入射する入射波と、紙葉類2Bの表面で反射する反射波による干渉縞と推定される。
【実施例4】
【0134】
(140GHzの反射波測定例1)
図2の検査装置20を用い、140GHzにおける反射波を測定した実施例4について説明する。
140GHzにおける反射測定は、紙葉類2Aの紙面垂直方向から45°の方向で入射させ、反射波22の測定をした。発振器3aとショットキーバリヤダイオード5cは、
図3に示した透過波測定と同じである。
【0135】
図27は、本発明の検査装置20で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図27(a)に示すように、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0136】
図27(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0137】
図27(c)は、
図27(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Aを反射した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
図27(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0138】
図27(b)及び(c)から明らかなように、反射角度を45°の反射波検出の場合には、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がX方向のテープ類と長手方向がY方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0139】
図28は、本発明の検査装置20で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Aの位置を
図27に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図28(a)に示すように、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0140】
図28(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低いことが分かる。さらに、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0141】
図28(c)は、
図28(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Aを反射した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
図28(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が
図28(b)と比較すると判別し難いことが分かる。
【0142】
図28(b)及び(c)から明らかなように、反射角度が45°の反射波検出の場合には、X方向偏光及びY方向偏光の何れの場合も、長手方向がX方向のテープ類と長手方向がY方向のセキュリティスレッド6の存在が明瞭に判別できる。
【0143】
図29は、本発明の検査装置20で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向を
図27の反対のY方向とした別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。テープ類の貼り付け方向は、
図27とは異なり、紙葉類の短手方向に平行である。
【0144】
図29(a)に示すように、紙葉類の長手方向はX方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0145】
図29(b)は、反射角度が45°でX方向偏光における紙葉類2を反射した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
図29(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0146】
図29(c)は、
図29(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2を反射した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
図29(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いが、
図29(b)と比較すると判別し難いことが分かる。
【0147】
図30は、本発明の検査装置で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Aの位置を
図29に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【0148】
図30(a)に示すように、紙葉類2Aの長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0149】
図30(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0150】
図30(c)は、
図30(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2を反射した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
図30(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いが、
図30(b)と比較すると判別し難いことが分かる。
【実施例5】
【0151】
(140GHzの反射波測定例2)
図3の検査装置25を用い、140GHzにおける反射波を測定した実施例5について説明する。共焦点光学系のピンホール12として、THz波帯用のアパーチャーを用いた。
図31は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz(140GHz)波の二次元の強度分布の別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。テープ類の貼り付け方向は、
図27と同じである。
図31(b)及び(c)は、それぞれ、走査の開始時におけるテープ類の反射強度を調べ、その最大値と最小値が得たときの二次元の反射強度分布である。後述する
図32も同様である。
【0152】
図31(a)に示すように、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0153】
図31(b)及び(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0154】
図32は、本発明の検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Aの位置を
図31に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。テープ類の貼り付け方向は、
図28と同じである。
【0155】
図32(a)に示すように、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0156】
図32(b)及び(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0157】
図33は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向を
図31の反対のY方向とした別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。テープ類の貼り付け方向は、
図29と同じである。
【0158】
図33(a)に示すように、紙葉類2Aの長手方向はX方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0159】
図33(b)及び(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0160】
図34は、本発明の検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Aの位置を
図33に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布での別の一例ある。テープ類の貼り付け方向は、
図30と同じである。
【0161】
図34(a)に示すように、紙葉類2Aの長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
図34(b)及び(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
図33(b)と比較すると、セキュリティスレッド6からの反射波強度がより高いことが分かる。
図31〜34に示した本発明の検査装置25で測定した反射波3jは、
図27〜30に示した本発明の検査装置20で測定した反射波22よりも、線状のセキュリティスレッド6を、高分解能で検出できることが分かる。これは、本発明の検査装置25で測定した反射波は、共焦点配置により、THz波が紙葉類2Aに垂直入射しているので、P偏光とS偏光の区別がなく、線状のセキュリティスレッド6の方向の偏光に対する相対的位置関係がどのようであっても、その両方、つまり、P偏光とS偏光の結果が得られることに起因している。
【実施例6】
【0162】
(140GHzの反射波測定例3)
図2の検査装置20を用い、紙葉類2Bを用い、140GHzにおける反射波を測定した実施例6について説明する。
図35は、本発明の検査装置20で反射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図35(a)に示すように、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0163】
図35(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0164】
図35(c)は、
図35(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Bを反射した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
【0165】
図35(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いが、
図35(b)と比較すると判別し難いことが分かる。
【0166】
図35(b)及び(c)から明らかなように、反射角度を45°の反射波検出の場合には、
図35(b)に示すX方向偏光の場合が、
図35(c)に示すY方向偏光の場合よりも、長手方向がX方向のテープ類と長手方向がY方向のセキュリティスレッド6の存在がより明瞭に判別できる。
【0167】
図36は、本発明の検査装置20で入射角度を45°として取得した紙葉類2Bを透過したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Bの位置を
図35に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【0168】
図36(a)に示すように、紙葉類2Bを
図35(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0169】
図36(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0170】
図36(c)は、
図36(b)に対して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Bを反射した140GHzの二次元の強度分布を示す図である。
図36(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低いが、セキュリティスレッド6からの反射波強度は
図36(b)と比較すると判別し難いことが分かる。
【実施例7】
【0171】
(140GHz反射波測定例4)
図3の検査装置25を用い、140GHzにおける反射波を測定した実施例7について説明する。
図37は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で垂直入射でハーフミラー9の反射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。テープ類の貼り付け方向は、
図35と同じである。
【0172】
図37(a)に示すように、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0173】
図37(b)から明らかなように、セキュリティスレッド6の下側からの反射波強度が低く、セキュリティスレッド6の上側から反射波強度が高いことが分かる。又、テープ類からの反射波強度が高いことが分かる。
図37(c)から明らかなように、セキュリティスレッド6の下側からの反射波強度が高く、セキュリティスレッド6の上側から反射波強度が低いことが分かる。又、テープ類からの反射波強度が高いことが分かる。
【0174】
図38は、本発明の検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(140GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Bの位置を
図37に対して左に90°回転したときのさらに別の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。テープ類の貼り付け方向は、
図36と同じである。
【0175】
図38(a)に示すように、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0176】
図38(b)から明らかなように、テープ類からの反射波強度が高いことが分かる。さらに、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
図38(c)から明らかなように、セキュリティスレッド6からの反射波強度が低く、テープ類からの反射波強度が高いことが分かる。
図37及び38に示した本発明の検査装置25で測定した反射波3jは、
図35及び36に示した本発明の検査装置20で測定した反射波22よりも、線状のセキュリティスレッド6を、高分解能で検出できることが分かる。これは、上述した紙葉類2Aの測定結果と同様である。本発明の検査装置25で測定した反射波3jは、共焦点配置により、THz波が紙葉類2Bに垂直入射しているので、P偏光とS偏光の区別がなく、線状のセキュリティスレッド6の方向の偏光に対する相対的位置関係がどのようであっても、その両方、つまり、P偏光とS偏光の結果が得られることに起因している。
【実施例8】
【0177】
(90GHzの反射波測定例1)
図2の検査装置20を用い、90GHzにおける反射波を測定した実施例8について説明する。
90GHzにおける反射測定は、紙葉類2Aの紙面垂直方向から45°の方向から反射させ、反射波の測定をした。
【0178】
図39は、本発明の検査装置20で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図39(a)に示すように、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0179】
図39(b)から明らかなように、テープ類とセキュリティスレッド6からの反射波強度が判別し難いことが分かる。
【0180】
図39(c)は、
図39(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Aを反射した90GHzの二次元の強度分布を示す図である。
図39(c)から明らかなように、テープ類とセキュリティスレッド6からの反射波強度が判別し難いことが分かる。
【0181】
図40は、本発明の検査装置20で入射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Aの位置を
図39に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【0182】
図40(a)に示すように、紙葉類2Aを
図39(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0183】
図40(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
図40(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いが、
図40(b)に示すセキュリティスレッド6からの反射波強度よりも低いことが分かる。
【0184】
(90GHzの反射波測定例2)
図41は、本発明の検査装置20で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向を
図39の反対のY方向とした一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図41(a)に示すように、紙葉類2Aの長手方向はX方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0185】
図41(b)から明らかなように、テープ類とセキュリティスレッド6からの反射波強度が判別し難いことが分かる。
【0186】
図41(c)は、
図41(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Aを反射した90GHzの二次元の反射波の二次元強度分布を示す図である。
図41(c)から明らかなように、テープ類とセキュリティスレッド6からの反射波強度が判別し難いことが分かる。
【0187】
図42は、本発明の検査装置20で入射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Aの位置を
図41に対して右に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【0188】
図42(a)に示すように、紙葉類2Aを
図41(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2Aの長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0189】
図42(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0190】
図42(c)は、
図42(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2を反射した90GHzの二次元の反射波の二次元強度分布を示す図である。
図42(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が高く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が低いことが分かる。
図42に示すような紙葉類2の向きとし、THz波の偏光方向を調整することにより、テープ類とセキュリティスレッド6を、
図41の場合よりもより明瞭に判別できることが分かる。
【実施例9】
【0191】
(90GHzの反射波測定例3)
図3の検査装置25を用い、90GHzにおける反射波を測定した実施例9について説明する。
図43は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図43(a)に示すように、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0192】
図43(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0193】
図44は、本発明の検査装置25で入射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(90GHz)の二次元において、紙葉類2Aの位置を
図43に対して左に90°回転したときの強度分布の別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の反射波強度分布である。
【0194】
図44(a)に示すように、紙葉類2Aを
図43(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2A及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0195】
図44(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0196】
図45は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向を
図43の反対のY方向とした一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
図45(a)に示すように、紙葉類2Aの長手方向はX方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0197】
図45(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0198】
図46は、本発明の検査装置25で入射角度を45°として取得した紙葉類2Aを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Aの位置を
図45に対して右に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Aにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の反射波強度分布である。
【0199】
図46(a)に示すように、紙葉類2Aを
図45(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2A類の長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0200】
図46(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
図43〜46に示した本発明の検査装置25で測定した90GHzの反射波3jは、
図39〜
図42に示した本発明の検査装置20で測定した反射波22よりも、線状のセキュリティスレッド6を、高分解能で検出できることが分かる。これは、上述した紙葉類2Aの140GHz測定結果と同様である。本発明の検査装置25で測定した90GHzの反射波3jは、共焦点配置により、THz波が紙葉類2Aに垂直入射しているので、P偏光とS偏光の区別がなく、線状のセキュリティスレッド6の方向の偏光に対する相対的位置関係がどのようであっても、その両方、つまり、P偏光とS偏光の結果が得られることに起因している。
【0201】
(90GHzの反射波測定例4)
次に、90GHzにおける紙葉類2Bを用いた反射測定例4について説明する。
【0202】
図47は、本発明の検査装置20で反射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【0203】
図47(a)に示すように、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0204】
図47(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が高く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が低いことが分かる。
【0205】
図47(c)は、
図47(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Bを反射した90GHzの二次元の反射波強度分布を示す図である。
図47(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が高く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が低いことが分かる。これから、
図47(b)及び(c)では、テープ類の識別が良好にできるが、セキュリティスレッド6の識別はし難いことが分かる。
【0206】
図48は、本発明の検査装置20で入射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Bの位置を
図47に対して左に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の反射波強度分布であり、(c)はY方向偏光の二次元の反射波強度分布である。
【0207】
図48(a)に示すように、紙葉類2Bを
図47(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0208】
図48(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0209】
図48(c)は、
図48(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Bを反射した90GHzの二次元の反射波強度分布を示す図である。
図48(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高く、かつ干渉縞が生じていることが分かる。
【0210】
図49は、本発明の検査装置20で反射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向を
図47の反対のY方向とした一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の強度分布、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布である。
【0211】
図49(a)に示すように、紙葉類2Bの長手方向はX方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0212】
図49(b)から明らかなように、両端のテープ類の反射波強度が高いが、セキュリティスレッド6からの反射波強度が低く識別はし難いことが分かる。
【0213】
図49(c)は、
図49(b)に比較して、導波路の方向を90°変えたY方向偏光における紙葉類2Bを反射した90GHzの二次元の反射波強度分布を示す図である。
図49(c)から明らかなように、両端のテープ類の反射波強度が高いが、セキュリティスレッド6からの反射波強度が低く識別はし難いことが分かる。
【0214】
図50は、本発明の検査装置20で入射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Bの位置を
図49に対して右に90°回転したときの別の一例を示し、(a)は紙葉類2Bにおけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はX方向偏光の二次元の反射波強度分布であり、(c)はY方向偏光の二次元の反射波強度分布である。
【0215】
図50(a)に示すように、紙葉類2Bを
図49(a)の位置とは異なり、90°回転させた配置とした。つまり、紙葉類2類の長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0216】
図50(b)及び(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が高いことが分かる。
図50(b)に示すように、セキュリティスレッド6からの反射光波強度が低いことが明瞭に識別できる。しかしながら、
図50(c)では、セキュリティスレッド6の反射波強度が識別できないことが分かる。
【実施例10】
【0217】
(90GHzの反射波測定例5)
図3の検査装置25を用い、90GHzにおける反射波を測定した実施例9について説明する。
図51は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布の一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープとセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例であり、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。
図51(b)及び(c)は、それぞれ、走査の開始時におけるテープ類の反射強度を調べ、その最大値と最小値を得たときの二次元の反射強度分布である。後述する
図52も同様である。
【0218】
図51(a)に示すように、紙葉類及びテープ類の長手方向はX方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0219】
図51(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
図51(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が高く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が低いことが分かる。
【0220】
図52は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類を反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Bの位置を
図51に対して左に90°回転したときの一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例であり、(c)はY方向偏光の二次元の強度分布の別の一例である。
【0221】
図52(a)に示すように、紙葉類2B及びテープ類の長手方向はY方向に平行であり、セキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0222】
図52(b)及び(c)から明らかなように、テープ類の反射波強度が高く、セキュリティスレッド6が識別し難いことが分かる。
【0223】
図53は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向を
図51の反対のY方向とした一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例である。
【0224】
図53(a)に示すように、紙葉類2Bの長手方向はX方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はY方向に平行である。
【0225】
図53(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド6からの反射波強度が高いことが分かる。
【0226】
図54は、本発明の共焦点光学系を用いた検査装置25で反射角度を45°として取得した紙葉類2Bを反射したTHz波(90GHz)の二次元の強度分布において、紙葉類2Bの位置を
図53に対して右に90°回転したときの一例を示し、(a)は紙葉類におけるテープ類とセキュリティスレッド6との位置、(b)はY方向偏光の二次元の強度分布の一例である。
【0227】
図54(a)に示すように、紙葉類2Bの長手方向はY方向に平行であり、テープ類及びセキュリティスレッド6の長手方向はX方向に平行である。
【0228】
図54(b)から明らかなように、テープ類の反射波強度が低く、セキュリティスレッド66からの反射波強度が高いことが分かる。
図52以外の
図51、53及び54に示した本発明の検査装置25で測定した90GHzの反射波3jは、
図47〜50に示した本発明の検査装置2022で測定した反射波よりも、線状のセキュリティスレッド6を、高分解能で検出できることが分かる。これは、上述した紙葉類2Bの140GHz測定結果と同様である。本発明の検査装置25で測定した90GHzの反射波3jは、共焦点配置により、THz波が紙葉類2Bに垂直入射しているので、P偏光とS偏光の区別がなく、線状のセキュリティスレッド6の方向の偏光に対する相対的位置関係がどのようであっても、その両方、つまり、P偏光とS偏光の結果が得られることに起因している。
【0229】
本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。