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特開2017-135097コネクタを加工するための着脱可能カセットおよびこれを有する圧着工具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-135097(P2017-135097A)
(43)【公開日】2017年8月3日
(54)【発明の名称】コネクタを加工するための着脱可能カセットおよびこれを有する圧着工具
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/042 20060101AFI20170707BHJP
【FI】
   H01R43/042
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-201640(P2016-201640)
(22)【出願日】2016年10月13日
(31)【優先権主張番号】104133572
(32)【優先日】2015年10月13日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】516307507
【氏名又は名称】サルスター テクノロジーズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SULLSTAR TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】ハング、ウェン−ルン
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063CA03
5E063CB01
5E063CC04
5E063CD25
5E063CD29
5E063XA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来の工具はそれぞれ、特定の仕様のコネクタとケーブルを圧着できるのみである。よって、異なる仕様のコネクタとケーブルを圧着するためには、ユーザはいくつかの異なる圧着工具を持ち歩く必要がある。
【解決手段】カセット200は、ヘッド130および駆動素子140を有する工具本体100に着脱可能に配置される。駆動素子の動きの方向は、第一の軸を画定する。カセットは、カセット本体210および加工ブロック220を備える。カセット本体は、工具本体のヘッドの開口に着脱可能に配置され、中に加工開口214を有する。加工ブロックは、第一の軸に沿って摺動可能にカセット本体に配置され、工具本体の駆動素子に着脱可能に係合される係合素子222を有する。係合素子を介して、駆動素子は加工ブロックを、第一の軸に沿って摺動するよう駆動し、加工開口に向かってまたは加工開口から離れるように動かす。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具本体に着脱可能に配置される、コネクタを加工するためのカセットであり、前記工具本体はヘッドと駆動素子とを備え、前記駆動素子の動きの方向は第一の軸を画定する、カセットであって、
前記工具本体の前記ヘッドの開口に着脱可能に配置され、その中に加工開口を有するカセット本体と、
前記カセット本体に摺動可能に配置され、前記工具本体の前記駆動素子に着脱可能に係合される係合素子を有する加工ブロックと、を備え、
前記係合素子を介して、前記駆動素子は、前記加工ブロックを、前記第一の軸に沿って摺動するよう駆動して、前記加工開口に向かってまたは前記加工開口から離れるように動かす、カセット。
【請求項2】
前記駆動素子は雄構造であり、前記係合素子は雌構造であり、前記カセット本体はその中にスロットを設けられ、前記加工ブロックは前記スロット内に摺動可能に配置される、請求項1に記載のカセット。
【請求項3】
前記加工ブロックは、前記カセット本体の一方側に配置された圧着構造と、前記カセット本体の他方側に配置されたせん断構造と、を備え、
前記加工ブロックが稼働位置へと駆動されると、前記圧着構造は、前記加工開口の一方側に部分的に重なり、前記せん断構造は、前記加工開口の他方側に完全に重なる、請求項2に記載のカセット。
【請求項4】
前記工具本体は、前記開口の内部側面に配置された第一の接続構造をさらに備え、前記カセット本体は、その上に配置された第二の接続構造をさらに備え、
前記第一の接続構造は、前記カセット本体が前記工具本体内に固定されるように、前記第二の接続構造と係合する、請求項3に記載のカセット。
【請求項5】
前記第二の接続構造は、ストッパと、第一のフックと、第二のフックと、を備え、
前記ストッパは、前記カセット本体が前記工具本体の前記ヘッドの前記開口に配置される際、前記工具本体の前記ヘッドの第一の面および第二の面の一つに、前記第一の軸に垂直な第二の軸に沿って当接し、
前記第一のフックおよび前記第二のフックは、前記カセット本体の二つの側面にそれぞれ配置され、前記第二の軸に略平行な方向に、前記ストッパから離れるように延在する、請求項4に記載のカセット。
【請求項6】
前記第一のフックおよび前記第二のフックは、前記カセット本体の前記二つの側面に、前記第一の軸の方向に沿って非対称に配置され、前記工具本体の前記ヘッドの前記第一および第二の面の他方と係合する、請求項5に記載のカセット。
【請求項7】
前記第一の接続構造は、第一の切欠きと、第二の切欠きと、第三の切欠きと、第四の切欠きと、を備え、
前記第一の切欠きおよび前記第三の切欠きは、前記ヘッドの前記開口の一方の内部側面に配置され、前記第二の切欠きおよび前記第四の切欠きは、前記ヘッドの前記開口の他方の内部側面に配置され、
前記第一の切欠きおよび前記第二の切欠きは、前記ヘッドの前記第二の面からのくぼみを形成し、前記第三の切欠きおよび前記第四の切欠きは、前記ヘッドの前記第一の面からのくぼみを形成する、請求項6に記載のカセット。
【請求項8】
前記第一の切欠きおよび前記第四の切欠きは、同じ第一の高さにあり、前記第二の切欠きおよび前記第三の切欠きは、同じ第二の高さにあり、前記第一の高さは、前記第二の高さよりも高く、
前記カセット本体が前記ヘッドの前記第二の側面側から前記ヘッドに挿入されると、前記第一のフックおよび前記第二のフックは、前記第一の切欠きおよび前記第二の切欠きにそれぞれ係合し、前記カセット本体が前記ヘッドの前記第一の側面側から前記ヘッドに挿入されると、前記第一のフックおよび前記第二のフックは、前記第三の切欠きおよび前記第四の切欠きにそれぞれ係合する、請求項7に記載のカセット。
【請求項9】
圧着工具であって、
工具本体であって
第一のハンドルと、
前記第一のハンドルに枢動可能に接続された第二のハンドルと、
前記第一のハンドルに接続されたヘッドと、
前記第二のハンドルに接続されかつ前記第二のハンドルによって作動される駆動素子であって、前記駆動素子の動きの方向は第一の軸を画定する、駆動素子と、を備える工具本体と、
カセットであって、
前記工具本体の前記ヘッドの開口に着脱可能に配置され、その中に加工開口を備えるカセット本体と、
前記カセット本体に摺動可能に配置され、前記工具本体の前記駆動素子に着脱可能に係合される係合素子を有する加工ブロックであって、前記係合素子を介して、前記駆動素子は、前記加工ブロックを、前記第一の軸に沿って摺動するよう駆動して、前記加工開口に向かってまたは前記加工開口から離れるように動かす、加工ブロックと、を備えるカセットと、を備える圧着工具。
【請求項10】
前記駆動素子は雄構造であり、前記係合素子は雌構造であり、前記カセット本体はその中にスロットを設けられ、前記加工ブロックは前記スロット内に摺動可能に配置される、請求項9に記載の圧着工具。
【請求項11】
前記加工ブロックは、前記カセット本体の一方側に配置された圧着構造と、前記カセット本体の他方側に配置されたせん断構造と、を備え、
前記加工ブロックが稼働位置へと駆動されると、前記圧着構造は、前記加工開口の一方側に部分的に重なり、前記せん断構造は、前記加工開口の他方側に完全に重なる、請求項10に記載の圧着工具。
【請求項12】
前記工具本体は、前記開口の内部側面に配置された第一の接続構造をさらに備え、前記カセット本体は、その上に配置された第二の接続構造をさらに備え、
前記第一の接続構造は、前記カセット本体が前記工具本体内に固定されるように、前記第二の接続構造と係合する、請求項11に記載の圧着工具。
【請求項13】
前記第二の接続構造は、ストッパと、第一のフックと、第二のフックと、を備え、
前記ストッパは、前記カセット本体が前記工具本体の前記ヘッドの前記開口に配置される際、前記工具本体の前記ヘッドの第一の面および第二の面の一つに、前記第一の軸に垂直な第二の軸に沿って当接し、
前記第一のフックおよび前記第二のフックは、前記カセット本体の二つの側面にそれぞれ配置され、前記第二の軸に略平行な方向に、前記ストッパから離れるように延在する、請求項12に記載の圧着工具。
【請求項14】
前記第一のフックおよび前記第二のフックは、前記工具本体の前記ヘッドの前記第一および第二の面の他方と係合し、前記カセット本体の前記二つの側面に、前記第一の軸の方向に沿って非対称に配置される、請求項13に記載の圧着工具。
【請求項15】
前記第一の接続構造は、第一の切欠きと、第二の切欠きと、第三の切欠きと、第四の切欠きと、を備え、
前記第一の切欠きおよび前記第三の切欠きは、前記ヘッドの前記開口の一方の内部側面に配置され、前記第二の切欠きおよび前記第四の切欠きは、前記ヘッドの前記開口の他方の内部側面に配置され、
前記第一の切欠きおよび前記第二の切欠きは、前記ヘッドの前記第二の面からのくぼみを形成し、前記第三の切欠きおよび前記第四の切欠きは、前記ヘッドの前記第一の面からのくぼみを形成する、請求項14に記載の圧着工具。
【請求項16】
前記第一の切欠きおよび前記第四の切欠きは、同じ第一の高さにあり、前記第二の切欠きおよび前記第三の切欠きは、同じ第二の高さにあり、前記第一の高さは、前記第二の高さよりも高く、
前記カセット本体が前記ヘッドの前記第二の側面側から前記ヘッドに挿入されると、前記第一のフックおよび前記第二のフックは、前記第一の切欠きおよび前記第二の切欠きにそれぞれ係合し、前記カセット本体が前記ヘッドの前記第一の側面側から前記ヘッドに挿入されると、前記第一のフックおよび前記第二のフックは、前記第三の切欠きおよび前記第四の切欠きにそれぞれ係合する、請求項15に記載の圧着工具。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本発明は、2015年10月13日出願の台湾出願番号104133572“コネクタを加工するための着脱可能カセットおよびこれを有する圧着工具”の優先権の利益を主張し、その内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、物品を加工するための装置に関し、特に、コネクタを加工するための着脱可能カセットおよびこれを有する圧着工具に関する。
【背景技術】
【0003】
ケーブルまたはワイヤは、電子機器間で信号を送信するためによく使われる。例えばケーブルは、テレビ、電話、コンピュータ等からそれらに信号を送信するために使われる。これらの信号は、映像信号、音声信号、およびパックデータを含む。コネクタは、ケーブルを電子機器と接続するために使われ、通常ケーブルの端部に配置される。これらのコネクタは、RJ−45コネクタ、8P8Cモジュールコネクタとして規格化されたコネクタ、およびRJ−11コネクタ、電話接続用コネクタ等を含む。コネクタハウジングが、ワイヤの内部位置を固定するよう圧着される際、その内部に収容された電気接触ブレードはまた、それらが、関連した雌コネクタのソケットの対応する接点のブレードに噛合係合する位置を取る。US5941120に記載されたプライヤ等の従来の圧着工具は、絶縁ケーブルとコネクタを、それらが電気的および物理的に接続されるよう圧着するために使われる。さらに、台湾特許公開番号534510は、絶縁ケーブルをせん断、剥離、および絶縁ケーブルをその異なる部分とそれぞれ圧着できる、ケーブルコネクタを圧着するための工具を開示する。
【0004】
しかしながら、これらの従来の工具はそれぞれ、特定の仕様のコネクタとケーブルを圧着できるのみである。よって、異なる仕様のコネクタとケーブルを圧着するためには、ユーザはいくつかの異なる圧着工具を持ち歩く必要があり、これはユーザにとって不便かつ面倒である。
【0005】
上記のことから、異なる仕様のコネクタとケーブルを圧着できる単一の圧着工具が必要となる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の一実施形態では、コネクタを加工するためのカセットが提供される。カセットは、ヘッドおよび駆動素子を有する工具本体に着脱可能に配置される。駆動素子の動きの方向は、第一の軸を画定する。カセットは、カセット本体および加工ブロックを備える。カセット本体は、工具本体のヘッドの開口に着脱可能に配置され、中に加工開口を有する。加工ブロックは、第一の軸に沿って摺動可能にカセット本体に配置され、工具本体の駆動素子に着脱可能に係合される係合素子を有する。係合素子を介して、駆動素子は加工ブロックを、第一の軸に沿って摺動するよう駆動し、加工開口に向かってまたは加工開口から離れるように動かす。
【0007】
本発明の他の実施形態では、工具本体およびカセットを備える圧着工具が提供される。工具本体は、第一のハンドル、第二のハンドル、ヘッド、および駆動素子を備える。第二のハンドルは、第一のハンドルに枢動可能に接続される。ヘッドは、第一のハンドルに接続される。駆動素子は、第二のハンドルに接続されかつ前記第二のハンドルによって作動される。駆動素子の動きの方向は、第一の軸を画定する。カセットは、カセット本体および加工ブロックを備える。カセット本体は、工具本体のヘッドの開口に着脱可能に配置され、中に加工開口を備える。加工ブロックは、カセット本体に第一の軸に沿って摺動可能に配置され、工具本体の駆動素子に着脱可能に係合される係合素子を有する。係合素子を介して、駆動素子は加工ブロックを、第一の軸に沿って摺動するよう駆動し、加工開口に向かってまたは加工開口から離れるように動かす。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】休止状態にある、本発明の一実施形態の圧着工具を示す模式図。
図1B】稼働状態にある、本実施形態の圧着工具を示す模式図。
図2A】休止状態にある本発明の一実施形態のカセットを示し、せん断構造が示される模式図。
図2B】休止状態にある本実施形態のカセットを示し、せん断構造が示される他の模式図。
図3A】休止状態にある本実施形態のカセットを示し、圧着構造が示されるさらなる模式図。
図3B】休止状態にある本実施形態のカセットを示し、圧着構造が示されるさらなる模式図。
図4A】稼働状態にある本実施形態のカセットを示し、せん断構造が示される模式図。
図4B】稼働状態にある本実施形態のカセットを示し、せん断構造が示される他の模式図。
図5A】稼働状態にある本実施形態のカセットを示し、圧着構造が示されるさらなる模式図。
図5B】稼働状態にある本実施形態のカセットを示し、圧着構造が示されるさらなる模式図。
図6A】せん断および圧着される前のコネクタおよびケーブルを示す模式図。
図6B】せん断および圧着された後のコネクタおよびケーブルを示す模式図。
図7A】カセットが工具本体のヘッドの開口に、その一方側から挿入される、本発明の一実施形態を示す模式図。
図7B】カセットが工具本体のヘッドの開口に、その他方側から挿入される、本発明の一実施形態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特性、主題、利点、および効果が、本発明の実施形態および付属の図面を参照して以下に詳細に説明される。以下の説明において参照される図面は、単に説明目的であり、必ずしも実施形態の実際の比率および正確な構成を示すものではないことが理解される。よって、図面に示される比率および構成は、本発明の範囲を限定または制限すると見なされるべきではない。
【0010】
図1Aおよび1Bを参照されたい。図1Aは、休止状態にある、本発明の一実施形態の圧着工具10示し、そのハンドル110、120は拡張位置にある。図1Bは、稼働状態にある圧着工具10を示し、本実施形態の圧着工具10のハンドル110、120は収縮位置にある。図1Aおよび1Bに示すように、圧着工具10は、工具本体100およびカセット200を備える。工具本体100は、第一のハンドル110、第二のハンドル120、ヘッド130、および駆動素子140を備える。第二のハンドル120は第一のハンドル110に枢接されており、第二のハンドル120は、第二のハンドル120が第一のハンドル110から離れる第一の位置(図1Aに示す)と、第二のハンドル120が第一のハンドル110に近接する第二の位置(図1Bに示す)との間の回転経路に沿って枢動する。ヘッド130は第一のハンドル110に接続され、カセット200を受容するための開口131を有する。駆動素子140は、第二のハンドル120に接続され、第二のハンドル120によって作動する。ユーザがハンドル110、120を握ると、第二のハンドル120は駆動素子140を上方に動くよう促し、カセット200が作動してコネクタおよびケーブルをせん断および/または圧着するなどして加工する。圧着工具10はその際、休止状態から稼働状態に切り替えられる。ユーザがハンドル110、120を放すと、二つのハンドル110、120のピボットに設けられたスプリングが第二のハンドル120を付勢することで、ハンドル110、120は拡張位置へと促され、駆動素子140は元の位置へ後退する。圧着工具10はその際、稼働状態から休止状態に切り替えられる。上記の動作時、駆動素子140の動きの方向(すなわち上方向または下方向)は、第一の軸(L1)を画定する。
【0011】
図2A、2B、3A、3B、7A、および7Bに示すように、カセット200は、カセット本体210および加工ブロック220を備える。カセット本体210は、工具本体100のヘッド130の開口131に着脱可能に配置され、その中に加工開口214を有する。カセット本体210は、その中にスロット212が設けられ、加工ブロック220は、第一の軸(L1)に沿ってスロット212に摺動可能に配置される。この着脱可能な設計で、本発明の一実施形態の圧着工具10は、対応するカセット200を使うことによって、異なる仕様のコネクタおよびケーブルを圧着することが出来る。カセット200の加工開口214は、特定のコネクタ(例えばRJ−45コネクタ、RJ−11コネクタ等)およびケーブルに嵌合する。異なるカセットは、異なる仕様のコネクタおよびケーブルと使うことができる。つまり、本発明の一実施形態は、異なる加工開口のカセットと使うことが出来る工具本体100を提供する。これらのカセットのカセット本体は、同じ工具本体100の開口131に全てが嵌合できるような、同じまたは同様の外形をしている。
【0012】
カセット本体210のスロット212に摺動可能に設けられた加工ブロック220と、工具本体100の係合素子222とが相互接続される。加工ブロック220は、工具本体100の駆動素子140と着脱可能に係合されるための係合素子222を有する。係合素子222を介して、駆動素子140は、加工ブロック220を駆動して、第一の軸(L1)に沿って摺動して加工開口214に向かってまたは加工開口214から離れるように動くようにする。ハンドル110、120が押圧されて互いに向かって動くと、第二のハンドル120は、駆動素子140を上方に動くよう促し、駆動素子140は、駆動素子140と係合素子222との係合を介して、加工ブロック220を押し上げて第一の軸(L1)に沿って上方に摺動させ、コネクタおよびケーブルを加工するようにする。本発明の一実施形態では、駆動素子140はT形突起などの雄構造であり、係合素子222は、T型突起と合致する溝などの雌構造である。T形構造は、駆動素子140が係合素子222から容易に係脱するのを防ぐ。このように、加工ブロック220は、駆動素子140によって、スロット212内で第一の軸(L1)に沿って上方または下方に摺動するよう作動される。
【0013】
図2A−5Bに示すように、加工開口214は、コネクタを加工するためのカセット本体210内に設けられる。加工開口214に対応して、加工ブロック220は、少なくとも一つの加工構造224を備える。動作時、係合素子222が駆動素子140によって作動されることにより、係合素子222を有する加工ブロック220は、加工開口214に関連して、スロット212内を第一の軸(L1)に沿って摺動する。加工ブロック220が稼働位置へと駆動されると、少なくとも一つの加工構造224が、加工開口214に少なくとも部分的に重なる。このように、少なくとも一つの加工構造224が、電話接続またはローカルエリアネットワーク(LAN)用のケーブルを有するコネクタを圧着またはせん断するなど、加工開口214に置かれたコネクタを加工する。
【0014】
一実施形態では、少なくとも一つの加工構造224は、二つの加工構造、すなわちカセット本体210の一方側に配置された圧着構造224a、およびカセット本体210の他方側に配置されたせん断構造224bを備える。図3A、3B、5A、および5Bに示すように、圧着構造224aは、クリスタルジョイント(コネクタ)を圧着するための構造である。図2A、2B、4A、および4Bに示すように、せん断構造224bは、切断するためのブレードである。図4A、4B、5A、および5Bに示すように、加工ブロック220が稼働位置へと駆動されると、圧着構造224aは加工開口214の一方側に部分的に重なり、せん断構造224bは、加工開口214の他方側に完全に重なる。
【0015】
図6Aおよび6Bに示した実施形態では、クリスタルコネクタ50を圧着するための圧着構造224aは、圧着機能を同時に行う二つの圧着ブロックP1、P2を備える。第一の圧着ブロックP1は、クリスタルコネクタ50の本体を圧着するためのものであり、第二の圧着ブロックP2は、第一の圧着ブロックP1とせん断構造224bとの間に設けられ、クリスタルコネクタ50の中に含まれる電気接触ブレード54を、ケーブル60のコア62に固定するためのものである。加工ブロック220が駆動素子140によって稼働位置へと駆動されると、圧着構造224aは、加工開口214の一方側に部分的に重なり、圧着構造224aの第一の圧着ブロックP1は、クリスタルコネクタ50の底部の隆線52を押圧することで、隆線52は変形し、折れる。変形し、折れた隆線52は、ケーブルの最も外側の絶縁体を押しつぶすことで、ケーブル60は、クリスタルコネクタ50の内部に固定される。このように、クリスタルコネクタ50の一部はケーブル60を保持し、クリスタルコネクタ50は、ケーブル60の一端に強固に固定される。同時に、第二の圧着構造P2は、クリスタルコネクタ50の電気接触ブレード54を押し上げて上方に動かし、ケーブル60のコア62の絶縁体を貫通して穴をあけてケーブル60のコア62と電気接触するようにすることで、信号がコア62からクリスタルコネクタ50を介して対応する雌コネクタへと送信できるようになる。
【0016】
一実施形態では、せん断構造224bは、コア62の余剰部分をせん断するためのブレードである。加工ブロック220が駆動素子140によって稼働位置へと駆動されると、ブレード224bは、圧着構造224aと反対の加工開口の側に完全に重なるまで第一の軸(L1)に沿って動き、同時に、クリスタルコネクタ50の一端から突出するコア62の端部をせん断する。好適な実施形態では、ブレード224はまた、図6Aおよび6Bに示すように、コア62の突出部分およびクリスタルコネクタ50の付属物56の両方をせん断するために構成できる。このように、せん断されたコア62の端部は、クリスタルコネクタ50のせん断された端部と同一平面上にある。本発明の代替の実施形態では、クリスタルコネクタ50に対するせん断構造224bの位置は、特定のユーザの必要にしたがって配置することができ、図6Aおよび6Bに示したものと異なってよい。
【0017】
加工ブロック220が、コネクタおよび/またはケーブルを加工する際に安定しておよび適切に稼働することを確実にするために、カセット200は、工具本体100のヘッド130の開口131内に強固に設置されるべきである。図7Aおよび7Bに示すように、工具本体100のヘッド130は、開口131の内部側面に配置された第一の接続構造132をさらに備え、カセット200のカセット本体210は、その上に配置された第二の接続構造216をさらに備え、第一の接続構造132は、カセット本体が工具本体100内に固定されるように、第二の接続構造216と係合する。以下に説明するような、第一の接続構造132と第二の接続構造216との係合の設計は、カセット220と、工具本体100のヘッド130の開口131との係合が強固になるという利点に加えて、カセット200を工具本体100のヘッド130に容易に組み付けられ、カセット200を工具本体100のヘッド130から容易に取り外せるという利点を有する。
【0018】
第二の接続構造216は、カセット本体210が工具本体100のヘッド130の開口131に配置される際、工具本体210のヘッド130の第一の面130aおよび第二の面130bの一つに、第一の軸(L1)に垂直な第二の軸(L2)に沿って当接するストッパ216aを備える。第二の接続構造216は、カセット本体210の二つの側面にそれぞれ配置された第一のフック216bおよび第二のフック216cを備える。第一のフック216bおよび第二のフック216cは、第二の軸(L2)に略平行な方向に、ストッパ216から離れるように延在する。ストッパ216aが、工具本体210のヘッド130の第一の面130aおよび第二の面130bの一つに当接すると、第一のフック216bおよび第二のフック216cは、工具本体100のヘッド130の第一の面130aおよび第二の面30bの他方と係合し、カセット200を工具本体100のヘッド130に固定する。
【0019】
図7Aおよび7Bを参照すると、本発明の一実施形態は、右利きのユーザおよび左利きのユーザの両方に便利な圧着工具10を提供する。具体的には、カセット200は、工具本体100のヘッド130の開口131に、工具本体100のヘッド130の第一の面130aまたは第二の面130bのいずれからでも挿入することができる。第二のハンドル120は、第一のハンドル110に関して、第一のハンドル110と第二のハンドル120との接合部に設けられたピボットについて枢動可能であるため、第一のハンドル110は静止ハンドルとして定義され、第二のハンドル120は移動ハンドルとして定義される。右利きのユーザが圧着工具10を使う際は、図7Aに示すように、カセット200は、工具本体100のヘッド130の開口131に、ヘッド130の第二の面130bから挿入されうる。このように、右利きのユーザは、その左手を使ってケーブルを有するコネクタを保持してそれをカセット200の加工開口214内に設置し、その右手を使って圧着工具10を操作することができる。第一のハンドル110は、第一のハンドル110が静止して保持されるよう、右手の親指と手のひらの間に置かれ、それらに当接する。右手の他の四本の指は、第二のハンドル120を押圧して第一のハンドル110に向かって動かすために、第二のハンドル120上に置かれる。右のハンドル120が第一のハンドル110の近郊へ(もしくはそれに当接するよう)動かされると、加工ブロック220は、駆動素子140によって稼働位置へと駆動され、ケーブルを有するコネクタが加工される。
【0020】
同様に、左利きのユーザが圧着工具10を操作する際は、図7Bに示すように、カセット200は、工具本体100のヘッド130の開口131に、ヘッド130の第一の面130aから挿入されうる。よって、左利きのユーザは、その右手を使ってケーブルを有するコネクタを保持してそれをカセット200の加工開口214内に設置し、その左手を使って圧着工具10を操作することができる。第一のハンドル110は、第一のハンドル110が静止して保持されるよう、左手の親指と手のひらの間に置かれ、それらに当接する。左手の他の四本の指は、第二のハンドル120を押圧して第一のハンドル110に向かって動かしてコネクタを加工するために、第二のハンドル120上に置かれる。
【0021】
本発明の一実施形態では、第一のフック216bおよび第二のフック216cは、カセット本体210の二つの側面に、第一の軸(L1)に沿って非対称に配置される。第一の接続構造132は、第一の切欠き132a、第二の切欠き132b、第三の切欠き132c、および第四の切欠き132dを備え、第一の切欠き132aおよび第三の切欠き132cはヘッド130の開口131の一方の内部側面に配置され、第二の切欠き132bおよび第四の切欠き132dはヘッド130の開口131の他方の内部側面に配置される。第一の切欠き132aおよび第四の切欠き132dは同じ第一の高さにあり、第二の切欠き132bおよび第三の切欠き132cは、同じ第二の高さにある。第一の高さは、第二の高さよりも高い。第一の切欠き132aおよび第二の切欠き132bはヘッド130の第二の面130bからのくぼみを形成し、第三の切欠き132cおよび第四の切欠き132dはヘッド130の第一の面130aからのくぼみを形成する。
【0022】
上記の構造で、図7Aに示すように、カセット200が工具本体100のヘッド130の開口131にヘッド130の第二の面130bから第二の軸(L2)に沿って挿入されると、第一のフック216bおよび第二のフック216cは、第一の切欠き132aおよび第二の切欠き132bにそれぞれ係合する。第一のフック216bおよび第二のフック216cのヘッドは、最終的にヘッド130の第一の面130aに当接し、ストッパ216aは、ヘッド130の第二の面130bに当接する。同様に、図7Bに示すように、カセット200が工具本体100のヘッド130の開口131にヘッド130の第一の面130aから第二の軸(L2)に沿って挿入されると、第一のフック216bおよび第二のフック216cは、第四の切欠き132dおよび第三の切欠き132cにそれぞれ係合する。第一のフック216bおよび第二のフック216cのヘッドは、最終的にヘッド130の第二の面130bに当接し、ストッパ216aは、ヘッド130の第一の面130aに当接する。従って、カセット200は、ヘッドの開口131に、ユーザの習性に依って、ヘッド130の第一の面130aまたは第二の面130bのいずれからでも挿入することができる。二つの組み付け方法のいずれにおいても、手工具100は同じ圧着および/またはせん断機能を十分に行う。
【0023】
上述の利点に加えて、加工ブロック220に設けられた圧着構造224aおよびせん断構造224bの両方を用いて、圧着工具100は、クリスタルコネクタ50をケーブル60に固定することと、クリスタルコネクタ50の電気接続ブレード54をケーブル60のコア62に電気接続することと、コア62の突出部分およびクリスタルコネクタ50の付属物56の両方をせん断することと、を同時に一つのステップで行うよう使われることができる。
【0024】
前述の実施形態は、当業者がここに開示された内容に関する洞察を得て本発明を適宜に実施できるようにするため、本発明の技術概念および特徴を説明するものである。しかしながら、実施形態は本発明の範囲を制限することを意図するものではないことが理解される。ゆえに、開示された実施形態に、本発明の精神および原則から外れることなく為されたの全ての同等の変更または変形は、付属のクレームの範囲内に入るべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【外国語明細書】
2017135097000001.pdf