【解決手段】 その筐体に無線通信用のチューナブルアンテナを搭載した情報処理装置であって、前記チューナブルアンテナの共振周波数を調整する制御部と、前記チューナブルアンテナの近傍に配置され、人体の近接を検出するための検出部と、を備え、前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記人体の近接に起因する前記チューナブルアンテナの共振周波数のズレを補正する。
前記制御部は、前記検出部の検出結果に基づいて、前記チューナブルアンテナのインピーダンスを切り替えるインピーダンス切替部を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、この発明に係る情報処理装置、そのアンテナ制御方法、及びコンピュータが実行可能なプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、システム及び方法の実施形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システム及び方法についての選択した実施形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、又は他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの又は実質的に同一のものが含まれる。
【0018】
以下、本発明に係る情報処理装置を適用したノートPCについて説明する。
図1は、本実施の形態に係るノートPCの概略の外観構成を示す外観図である。
図2は、
図1のA−A断面図である。
図3は、
図1のノートPCの使用状態を説明するための図である。
【0019】
図1において、ノートPC1は、いずれも略直方体である本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3を備えている。本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部の中央で連結部(ヒンジ)4によって回転可能に連結されている。本体側筐体2及びディスプレイ側筐体3は、例えば、GFRP(例えば、比誘電率=4.0)等のプラスチック材料で構成することができる。
【0020】
ディスプレイ側筐体3は、各種情報を表示するための液晶表示装置(LCD)11を備える。
【0021】
本体側筐体2は、上面に、キーボード装置10A及びポインティング・デバイス10Bを備えた入力部10と、パームレスト12とを備える。また、本体側筐体2は、バッテリ、各種電気部品、基板が内蔵されている。また、
図2に示すように、本体側筐体2の内部には、パームレスト12の下方(近傍)に配置されるアンテナ100と、アンテナ100の近傍に配置される近接センサ(Proximity Sensor)17と、が搭載されている。
【0022】
アンテナ100は、例えば、出力が30mW/A以下のWiFi(登録商標)のチューナブルアンテナであり、インピーダンスを所定の値に調節することで、同調周波数(共振周波数)を希望する周波数に一致させることが可能となっている。近接センサ17は、人体がアンテナ100に近接しているか否かを判断するための検出部として機能する。近接センサ17は、例えば、静電容量型の近接センサを使用することができる。アンテナ100と近接センサ17は、別個のモジュールとして構成してもよいし、一体のモジュールとして構成してもよい。
【0023】
例えば、
図3に示すように、ユーザがノートPC1を使用する場合は、パームレスト12に手を置いてキーボード装置10Aやポインティング・デバイス10Bを操作する。アンテナ100はパームレスト12の近傍に配置されているため、手(例えば、手の非誘電率=25.7,手の導電率=1.32(S/m))がパームレスト12に接触した場合は、アンテナ100のインピーダンスが変化することにより、アンテナ100の共振周波数が所望の周波数からずれアンテナ特性が劣化してしまう。
【0024】
そこで、本実施の形態では、詳細を後述するように、アンテナ100への人体の近接を近接センサ17で検出した場合には、アンテナ100の共振周波数のズレを補正することで、アンテナ特性の劣化を防止している。
【0025】
図4は、ノートPC1のハードウェアの概略構成を示すブロック図である。CPU21は、ノートPCの中枢機能を担う演算処理装置で、例えば、OS、BIOS、デバイス・ドライバ、あるいはアプリケーション・プログラムなどを実行する。CPU21は、CPUブリッジ22及びI/Oブリッジ23を中心に構成されるチップ・セットにさまざまなバスを経由して接続された各デバイスを制御する。
【0026】
CPUブリッジ22は、メイン・メモリ24へのアクセス動作を制御するためのメモリ・コントローラ機能や、CPU21と他のデバイスとの間のデータ転送速度の差を吸収するためのデータ・バッファ機能などを含む。メイン・メモリ24はCPUブリッジ22に接続され、CPU21が実行するプログラムの読み込み領域、処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。ビデオ・コントローラ28はCPUブリッジ22に接続され、ビデオ・チップ(図示せず)及びVRAM(図示せず)を実装しており、CPU21からの描画命令を受けて描画すべきイメージを生成してVRAMに書き込み、VRAMから読み出したイメージを描画データとしてLCD11に送る。
【0027】
無線LANモジュール30は、I/Oブリッジ23、選択モジュール31、及びアンテナ100に接続されている。無線LANは、割り当てられた周波数帯域の中に複数のチャネル(CH)が設定されており、各々のチャネルには中心周波数と帯域幅が規定されている。無線LANモジュール30は、所定範囲の周波数帯域で複数のチャネルを使用して無線通信を行うことが可能となっている。ここでは、説明の簡略化のため1つのチャンネルを使用して通信を行う場合を説明する。無線LANモジュール30は、アンテナ100を作動させるための制御信号(例えば、アンテナ100を作動させる場合「1」、アンテナ100を作動させない場合「0」)を選択モジュール31に出力する。
【0028】
また、I/Oブリッジ23は、シリアルATAインターフェース及びUSBインターフェース(図示せず)としての機能も含み、シリアルATAを介してハードディスク・ドライブ(HDD)29、及び光学ドライブ(図示せず)などと接続される。HDD29には、OS、デバイス・ドライバ、あるいはアプリケーション・プログラムなどが格納される。さらにI/Oブリッジ23には、LPCバス40を介してエンベデッド・コントローラ(EC)25、I/Oコントローラ27などが接続されている。I/Oコントローラ27にはLCD11が接続されている。I/Oコントローラ27はLCD11の動作を制御する。エンベデッド・コントローラ(EC)25には入力部10及び電源装置26等が接続されている。エンベデッド・コントローラ25は、入力部10及び電源装置26等の動作を制御する。
【0029】
近接センサ17は選択モジュール31に接続されている。人感センサ17は、アンテナ100に人体が近接したか否かを検出し、判断結果である検知結果(近接検出「1」、近接不検出「0」)を選択モジュール31に出力する。
【0030】
選択モジュール31は、本体側筐体2に設けられ、近接センサ17から出力される検出結果に基づいて選択信号を生成して、アンテナ100のインピーダンス切替回路(
図6参照)に出力する。
【0031】
次に、
図5〜
図8を参照して、アンテナ100に関連する構成及びアンテナ100への人体の近接に伴うアンテナ100の共振周波数のズレを補正する原理及び動作を説明する。
図5は、本実施の形態において、アンテナ100への人体の近接に伴うアンテナ100の共振周波数のズレを補正する原理を説明するための図である。
【0032】
図5において、横軸は周波数[GHz]、縦軸はアンテナ100のS11(反射係数)[dB]を示している。ここでは、所望の共振周波数を2.45GHzとして説明する。
図5(A)に示すように、人体(例えば、手)がアンテナ100に近接しておらずユーザ(人体)の影響を受けない場合には、所望の共振周波数=2.45GHzとすることができる。一方、
図5(B)に示すように、人体がアンテナ100に近接すると、アンテナ100のインピーダンスが低下して(アンテナ10の静電容量が増加して)、アンテナ100の共振周波数が低周波数側にシフトしてしまう。そこで、本実施の形態では、近接センサ17で人体の近接を検出した場合には、アンテナ100のインピーダンスが高くなるように補正(アンテナ10の静電容量が低下するように補正)することで、
図5(C)に示すように、人体の影響によりずれる共振周波数を所望の共振周波数=2.45GHzとなるように補正する。
【0033】
なお、この共振周波数の補正は、人体が近接した場合に、アンテナ利得を高くする方向の補正となるが、アンテナ100として、例えば30mW/A以下の出力のアンテナを使用することで、SAR(Specific Absorption Rate)の許容量以下とすることができ、SARについての特段の対策は不要となる。
【0034】
図6は、本実施の形態に係るノートPC1のアンテナ100の全体的な構造を示す斜視図である。アンテナ100は、印刷回路基板に対してフォト・リソグラフィとエッチング処理を行い、誘電体基板101の主体面103に形成したアンテナ・パターンと、主体面103上のアンテナ・パターンにそれぞれ半田で接続される水平延長部パターン109cとグランド・プレーン115の3つの部材で構成している。水平延長部パターン109cが存在する平面は誘電体基板101の主体面103と90度で交差する。
【0035】
誘電体基板101の形状は、アンテナ・パターンを形成する領域を提供する主体面103と、4つの側面105を有する薄板状の直方体となっている。主体面103には、励振素子107、放射素子109、及びグランド素子113のパターンが形成されている。グランド素子113はグランド・プレーン115の1つの直線状の縁に平行に延びる直線状のパターンでグランド・プレーン115を接続する領域を有する。グランド素子113には、長手方向のほぼ中央部にグランド側の給電部121bが形成されている。
【0036】
アンテナ・パターンは所定の周波数帯の範囲で無線LANの所定のチャネルに適応する無給電型の放射素子109と、放射素子109に静電結合及び電磁結合で電磁波エネルギーを供給する励振素子107を含む。
【0037】
放射素子109は、後述するようにグランド素子113との間に接続するリアクタンスを変更することで、所定のチャネルの周波数帯に適応することができる。
【0038】
励振素子107は、1/4波長で共振する直線状のモノポール・アンテナでグランド素子113に平行に延びている。励振素子107の開放端107aは、放射素子109の垂直部109aから所定の間隔が空くように長さを短くして電波干渉を抑制している。励振素子107は、放射素子109の全体の帯域の中心である基本周波数の3次高調波の1/4波長で共振するように長さが設定されている。なお、本明細書においては、垂直と水平の方向はグランド素子113に対する方向を示すものとする。
【0039】
開放端107aと反対側の位置における励振素子107には、電圧側の給電部121aが形成されている。給電部121a、121bは、無線LANモジュール30と同軸ケーブルで接続され、無線LANモジュール30から給電される。
【0040】
グランド素子113の一方の端部の近辺には、垂直に延びる放射素子109の垂直部パターン109aが配置されている。垂直部パターン109aとグランド素子113とは直接連絡しておらず、両者の間にはインピーダンス切替回路201が設けられている。インピーダンス切替回路201の周囲には複数の異なる静電容量のコンデンサが配置されている。インピーダンス切替回路201は、選択モジュール31から選択信号を受け取って、垂直部パターン109aとグランド素子113との間を異なる複数のコンデンサのいずれかと接続する。
【0041】
垂直部パターン109aには水平部パターン109bが連絡している。水平部パターン109bは、グランド素子113に平行に開放端109dまで延びている。水平部パターン109bは、主体面103に対して90度で交差する平面上に配置された水平延長部パターン109cを含む。なお、交差角度の90度はノートPCに収納する際の最も好ましい例であり、水平延長部パターン109cが主体面103に対して90度より大きな角度で交差する平面上に配置されていてもよい。
【0042】
水平延長部パターン109cは平坦な薄板状の導体で形成され、誘電体基板101の側面105に沿って配置されている。水平延長部パターン109cは、水平部パターン109bに半田で接続されている。水平延長部パターン109cは、グランド素子113に平行に水平部パターン109bの開放端109dよりさらに先にある開放端109eまで延びている。本実施例では別の部材として製作した水平延長部パターン109cと水平部パターン109bを半田で接続しているが、両者を一体化したパターンとして形成してから折り曲げるようにしてもよい。放射素子109はグランド素子113から開放端109eまでのパターンの長さとそのとき接続されるコンデンサの容量に応じた電気長で共振周波数が決まり、逆L型1/4波長モノポール・アンテナとして電磁波を放射又は受信する。
【0043】
水平部パターン109bは励振素子107と主体面103上で平行になるように配置されており静電結合及び電磁結合をして励振素子107から電磁波エネルギーを受け取る。放射素子109は、励振素子107が共振する3次高調波の周波数で共振する。放射素子109の垂直部パターン109aのグランド素子113側の開放端から水平延長部パターン109cの開放端109eまでの長さは、放射素子109が放射する所定のチャネルの基本周波数(例えば、2.45GHz)よりやや高い周波数の波長の1/4波長で共振するように設定されている。
【0044】
グランド素子113にそれぞれ平行な2つのパターンがグランド素子113に対して垂直な方向からみたときに重なりあるように延びていることをオーバーラップしているという。水平部パターン109bと励振素子107は電気的に結合し電磁波エネルギーの送受が可能なように主体面103上にオーバーラップして配置されている。
【0045】
つぎに
図7を参照して周波数シフト回路を説明する。周波数シフト回路は主として、インピーダンス切替回路201と3個のコンデンサで構成されている。コンデンサ203は、一端が垂直部パターン109aに接続され他端がインピーダンス切替回路201に接続されている。コンデンサ205a、205bは、それぞれ一端がインピーダンス切替回路201に接続され他端がグランド素子113に接続されている。インピーダンス切替回路201の内部は、コンデンサ203と2つのコンデンサ205a、205bから選択した一方のコンデンサを接続するマルチプレクサで構成されている。
【0046】
コンデンサ203は、放射素子109に流れる直流成分を遮断する目的で挿入している。コンデンサ205a、205bは、放射素子109の容量性のリアクタンスを調整するためのものである。
【0047】
端子251a、251bは選択モジュール31に接続される。端子251c、251dにはインピーダンス切替回路201を動作させるための直流電源が接続される。端子251a〜251dは、誘電体基板101の図示しない主体面103上のパターン及びビアで接続された裏面のパターンによりインピーダンス切替回路201及びグランド素子113に接続される。なお、この周波数シフト回路にはさらに抵抗やコンデンサが接続されるが、動作の説明には必要がないため図からは省略している。
【0048】
インピーダンス切替回路201は、端子251a、251bで選択モジュール31から受け取った選択信号に基づいて、コンデンサ205a、205bから選択したいずれかのコンデンサとコンデンサ203を接続する。その結果、垂直部パターン109aとグランド素子113との間はコンデンサ203とコンデンサ205a、205bのいずれかのコンデンサの直列回路で接続されることになる。
【0049】
コンデンサ205a、205bは、容量が小さくなるほど放射素子109の同調周波数が高くなる。コンデンサ205aは、人体の影響を受けない状態(人体がアンテナ100に近接していない状態)で、所定の共振周波数(例えば、2.45GHz)となるような容量となっている。コンデンサ205bは、コンデンサ205aより小さな容量を有している。コンデンサ205bは、実験又はシミュレーションにより、人体の影響を受ける場合(人体がアンテナ100に近接している状態)に、所定の共振周波数(例えば、2.45GHz)となるような容量に設定している。
【0050】
つぎに、アンテナ100の挙動を説明する。給電点121a、121bに同軸ケーブルを接続して無線LANモジュール30から高周波電圧を給電する。無線LANを利用するときは、無線LANモジュール30は制御信号「1」を選択モジュール31に送出し、無線モジュール31は、無線LANモジュール30から制御信号「1」が入力されると、近接センサ17から出力される検出結果に基づいて選択信号を生成して端子251a、251bに送る。インピーダンス切替回路201は、垂直部パターン109aをコンデンサ205dでグランド素子113に接続する。
【0051】
無線LANモジュール30は、給電点121a、121bに高周波電圧を給電する。励振素子107は共振し、水平部パターン109bに電磁結合及び静電結合で電磁波エネルギーを供給する。放射素子109は、コンデンサ205aから開放端109eまでの電気的な長さにおいて、水平部パターン109bが受け取った電磁波エネルギーにより共振する。
【0052】
図8を参照して、アンテナ100に人体が近接した場合に共振周波数を補正する処理を説明する。
図8は、アンテナ100に関連するソフトウェア及びハードウェアの機能構成を示す図である。
【0053】
図8において、HDD29(
図4参照)に格納された無線LANアプリケーション51、OS52、無線LANドライバ53は、ノートPC1が起動されるとメイン・メモリ24に読み込まれ、CPU21によって実行される。無線LANアプリケーション51は、OS52上で動作するアプリケーション・プログラムであり、メイン・メモリ51に常駐して以下に説明する処理の中心的な役割を果たす。なお、無線LANアプリケーション51と各デバイス・ドライバの間のデータもしくはコマンドの送受信には、OS52が介在する。
【0054】
無線LANドライバ53は、無線LANモジュール30に対応したデバイス・ドライバである。無線LANアプリケーション51は、無線LANドライバ53を経由して無線LANモジュール30を制御することにより無線LANへの接続、切断、及び再接続などを行うことができる。
【0055】
無線LANモジュール30は、無線LANアプリケーション51の指示に従って、アンテナ100を動作させるための制御信号を選択モジュール31に送出する。
【0056】
近接センサ17は、アンテナ100に人体が近接したか否かを検出し、検知結果(近接検出「1」、近接不検出「0」)を選択モジュール31に出力する。近接センサ17は、例えば、静電容量検出式のセンサであり、検出した静電容量が所定値以上の場合に、アンテナ100に人体が近接しているとして、近接検出「1」を出力し、他方、検出した静電容量が所定値以上でない場合に、アンテナ100に人体が近接していないとして、近接不検出「0」を出力する。
【0057】
選択モジュール31は、無線LANモジュール30から制御信号「1」が入力されると、近接センサ17から出力される検出結果に基づいて選択信号を生成してアンテナ100のインピーダンス切替回路201に出力する。選択モジュール31は、例えば、論理回路やコントローラで構成することができる。
【0058】
具体的には、選択モジュール31は、人感センサ17の検出結果が近接不検出「0」の場合は、選択信号「10」をインピーダンス切替回路201に出力する。他方、選択モジュール31は、人感センサ17の検出結果が近接検出「1」の場合は、選択信号「11」をインピーダンス切替回路201に出力する。選択モジュール31は、人感センサ17の検出結果が変化する毎に選択信号を切り替える。
【0059】
インピーダンス切替回路201は、選択モジュール31から入力される選択信号に従って、アンテナ100のインピーダンスを変化させることで、アンテナ100の共振周波数を補正することができる。
【0060】
具体的には、インピーダンス切替回路201は、選択信号が「10」の場合にはコンデンサ205aを選択する。これにより、上記
図5(A)に示したように、アンテナ100の共振周波数は2.45GHzとなる。
【0061】
また、インピーダンス切替回路201は、選択信号が「11」の場合にはコンデンサ205bは選択する。これにより、アンテナ100に人体が近接した場合でも、共振周波数のズレが補正され、上記
図5(C)に示したように、アンテナ100の共振周波数は2.45GHz近傍となる。
【0062】
上記構成において、無線LANアプリケーション51、OS52、無線LANドライバ53、無線LANモジュール30、選択モジュール31、及びインピーダンス切替回路201は、アンテナ100の共振周波数を調整する制御部を構成する。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態によれば、チューナブルアンテナ(アンテナ100)の共振周波数を調整する制御部と、チューナブルアンテナの近傍に配置され、人体の近接を検出するための検出部(近接センサ17)と、を備え、制御部は、検出部の検出結果に基づいて、人体の近接に起因するチューナブルアンテナの共振周波数のズレを補正することとしたので、人体の近接に起因するチューナブルアンテナの共振周波数のズレを補正することができ、人体の近接に起因するチューナブルアンテナのアンテナ特性の劣化を防止することが可能となる。
【0064】
また、制御部は、人体の近接に起因するチューナブルアンテナの所望の共振周波数の低周波側へのシフトを補正して所望の共振周波数となるように補正することとしたので、共振周波数が低周波側へシフトする状況でも所望の共振周波数とすることが可能となる。
【0065】
また、制御部は、検出部の検出結果に基づいて、チューナブルアンテナのインピーダンスを切り替えるインピーダンス切替部を含むこととしたので、簡単な構成で共振周波数のズレを補正することが可能となる。
【0066】
また、チューナブルアンテナは、本体側筐体1のパームレスト12の近傍に配置されているので、パームレスト12に手を置いてノートPC1を操作する場合に、人体の近接に起因するチューナブルアンテナの共振周波数のズレを補正して、人体の近接に起因するチューナブルアンテナのアンテナ特性の劣化を防止することが可能となる。
【0067】
また、チューナブルアンテナは、出力が30mW/A以下であることとしたので、人体が近接した場合でもSAR(Specific Absorption Rate)の許容量以下とすることができ、共振周波数のズレの補正とSARの許容量とを両立させることが可能となる。
【0068】
(変形例)
上記実施の形態では、近接センサ17として、静電容量検出方式の近接センサを使用することにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、赤外線検出式の近接センサを使用することにしてもよい。
【0069】
また、近接センサ17は、検出した静電容量が所定値以上の場合に、アンテナ100に人体が近接しているとして、近接検出「1」を出力し、検出した静電容量が所定値以上でない場合に、アンテナ100に人体が近接していないとして、近接不検出「0」を出力することとしたが、2値の出力ではなく、閾値を複数設け、N値(但し、N≧3)の検出結果を出力してもよい。この場合、
図3において、容量のそれぞれ異なるN個のコンデンサを設けて、インピーダンス切替回路201は、検出結果に応じて、N個のコンデンサのいずれかを選択してもよい。また、近接センサ17の検出結果はアナログ値としてもよい。
【0070】
また、複数個のコンデンサの接続を切り替える構成に限られるものではなく、アンテナ100とグランド間に容量可変型のコンデンサ(リアクタンス素子)を接続し、インピーダンス切替回路201は、近接センサ17の検出結果(2値、N値、又はアナログ値)に基づいて、容量可変型のコンデンサの容量を調整することにしてもよい。
【0071】
また、アンテナ100のインピーダンスを変化させるために、接続するコンデンサを切り替えているが、本発明はこれに限られるものではなく、他の方法を使用してアンテナ100のインピーダンスを切り替えることにしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、アンテナ100を本体側筐体1のパームレスト12の近傍に配置した例を示したが、アンテナ100を他の場所に配置してもよい。
【0073】
本発明に係る情報処理装置をノートPCに適用した場合を一例として示したが、本発明はこれに限られるものではなく、タブレット、スマートフォン、並びにノートPC及びタブレットPCとして使用可能なコンパチブル型PC等の他の情報処理装置にも適用可能である。
【0074】
図9は、情報処理装置の変形例の一例を示す図である。
図9において、タブレット300は、略矩形の筐体301と、筐体301の中央に配置されたタッチパネル表示部302と、筐体301の上辺に配置されたカメラ303と、筐体301の下辺の内部に配置されたアンテナ100及び近接センサ17と、を備えている。
【0075】
また、上記実施の形態では、WiFiについて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、ブルートゥース(登録商標)、他の無線LAN、無線WAN、無線WANN、WiMAX(登録商標)、ワンセグ、UWB等の他の規格(他の周波数バンド)にも適用可能である。また、規格の異なる複数のチューナブルアンテナを搭載することにしてもよい。