【解決手段】それぞれバッテリィを搭載した携帯式電子機器100a、100bが電力伝送路101、制御データ伝送路103およびネットワーク・データ伝送路で連絡して電力融通システムを構成する。電力伝送路101は、非接触充電または接触充電のいずれを構成してもよい。携帯式電子機器100a、100bには、電力融通のための基準値を設定する。残容量が基準値より低下した携帯式電子機器100aが携帯式電子機器100bに対して充電リクエストをする。充電リクエストに応じて携帯式電子機器100bが携帯式電子機器100aに残容量が基準値に上昇するまで充電電力を供給する。携帯式電子機器100bは、残容量が基準値まで低下すると充電を停止する。
前記第2の電子機器が充電電力の供給を停止したときに、前記第1の電子機器が充電リクエストに応じた第3の電子機器から充電電力を受け取るステップを有する請求項4に記載の方法。
前記充電可能なレスポンスが、各電子機器が搭載するバッテリィの残容量率を含み、前記選択するステップは前記残容量率が最大の電子機器を選択するステップを含む請求項7に記載の方法。
非接触電力伝送をするための第1のインターフェース面と第1のバッテリィ・ユニットを備える第1の電子機器と、前記非接触電力伝送をするための第2のインターフェース面と第2のバッテリィ・ユニットを備える第2の電子機器が充電電力を融通する方法であって、
前記第1の電子機器が前記第1のバッテリィ・ユニットを放電する送電モードに遷移するステップと、
前記第2の電子機器が前記第2のバッテリィ・ユニットを充電する受電モードに遷移するステップと、
前記第1のインターフェース面と前記第2のインターフェース面を接触させたことに応じて前記第1の電子機器から前記第2の電子機器に充電電力を供給して前記第2のバッテリィ・ユニットを充電するステップと
を有する方法。
前記送電モードに遷移するステップおよび前記受電モードに遷移するステップが、それぞれ前記第1のインターフェース面と前記第2のインターフェース面の姿勢に応じて前記送電モードまたは前記受電モードに遷移する請求項12に記載の方法。
前記第1のインターフェース面が上を向いたときに前記送電モードに遷移し、前記第2のインターフェース面が下を向いたときに受電モードに遷移する請求項13に記載の方法。
前記第1のバッテリィ・ユニットと前記第2のバッテリィ・ユニットの残容量率が等しくなったときに前記第1の電子機器および前記第2の電子機器またはいずれか一方が充電を停止するステップを有する請求項12に記載の方法。
筐体の表面に搭載したフラット・パネル型ディスプレイを備え、前記他の携帯式電子機器と電力を交換するためのインターフェース面を前記フラット・パネル型ディスプレイに対向する前記筐体の背面に形成した請求項17に記載の携帯式電子機器。
前記筐体の姿勢を検出する姿勢センサを備え、前記切換部は前記インターフェース面の向きによって前記電力モジュールを前記送電モードまたは前記受電モードに切り換える請求項18に記載の携帯式電子機器。
前記受電部を通じて受け取った変調信号から、前記他の携帯式電子機器の満充電容量と残容量を取得して前記他の携帯式電子機器に融通する電力量を設定する通信制御部を有する請求項17に記載の携帯式電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[定義]
本明細書で使用する特別な用語を説明する。携帯式電子機器は、バッテリィだけを電力源とする動作に加えて、交流電源から電力供給を受けながら動作するものでもよいが、少なくとも充電電力を融通する際にはバッテリィだけを電力源にして動作するものをいう。固定式電子機器は、バッテリィを搭載してもよいが、少なくとも充電電力を融通する間は交流電源を電力源にするものをいう。
【0024】
接触電力伝送は、電気接点、コネクタまたはケーブルを介して電力を伝送する方式をいい、非接触電力伝送は電磁波を介して電力を伝送する方式をいう。非接触充電とは充電式のバッテリィを搭載する電子機器に非接触電力伝送で充電電力を供給することをいう。充電電力は携帯式電子機器が搭載するバッテリィを充電する電力をいい、さらにバッテリィの充電と同時にシステムに供給する電力も含む。
【0025】
連携動作とは、複数の携帯式電子機器、または複数の携帯式電子機器と固定式電子機器を含んだ複数の電子機器が、協働してまとまりのあるジョブ(連携ジョブ)を実行している状態をいう。連携ジョブが完遂するまで連係動作をする携帯式電子機器がバッテリィで動作を継続する必要がある点で連携ジョブと連係動作は関連する。バッテリィの満充電容量とは、使用を開始して劣化が進行したときに蓄積可能な最大の電気量をいい、使用開始時の満充電容量は定格容量に相当する。
【0026】
残容量率とは、その時点において、バッテリィが蓄積している電気量(残容量)の満充電容量に対する割合をいう。電気量と充電電力量は同じ物理量を示しているが、主として前者はバッテリィが蓄積する物理量の意味で使用し、後者は電力伝送路を通過する物理量の意味で使用する。充電電力の相互融通とは、充電電力を供給したあともバッテリィで動作する必要がある電子機器が、所定の電気量だけ他の電子機器に充電電力を供給することをいう。
【0027】
[電力融通システムの構成要素]
図1は、本実施の形態にかかる電力融通システム10の概要を説明するための図である。
図1には電力融通システム10を構成する複数の携帯式電子機器100と複数の固定式電子機器150を示している。以後、携帯式電子機器100と固定式電子機器150を区別する必要がないときは単に電子機器ということにする。携帯式電子機器100は動作時間がバッテリィの残容量に依存する。固定式電子機器150は、電力源に起因して動作時間の制約を受けることはない。電力融通システム10において、複数の携帯式電子機器100はそれぞれ、固定式電子機器150から充電電力の供給を受けることができるが、充電電力の融通は複数の携帯式電子機器100の間で発生する。
【0028】
携帯式電子機器100は一例として、ラップトップ、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話、外部記憶装置、外部キーボード、外部マウス、オーディオ・デバイス、ゲーム・プレイヤーなどとすることができる。固定式電子機器150は一例において、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップまたはタブレット端末などの機能拡張装置(ドッキング・ステーション)、プロジェクタ、プリンタ、および大型スクリーンなどとすることができる。
【0029】
電力融通システム10を構成する各電子機器は、他の電子機器と有線および無線またはいずれか一方で構成した電力伝送路、制御データ伝送路、およびネットワーク伝送路で連絡する。
図2は、携帯式電子機器100を代表する携帯式電子機器100a〜100cが、相互に物理的な電力伝送路101、制御データ伝送路103、およびネットワーク・データ伝送路105で連絡している様子を示している。
【0030】
携帯式電子機器100a〜100cは相互に直接連絡している必要はなく、それぞれ、他の携帯式電子機器を経由して連絡していてもよい。たとえば、携帯式電子機器100aと携帯式電子機器100cは、携帯式電子機器100bを経由して連絡してもよい。接触電力伝送をする有線の電力伝送路101は主としてケーブル接続に代表される。非接触電力伝送をする無線の電力伝送路101は、電磁誘導式、電磁界共鳴式、または電波式(マイクロウェーブ式)などの送電方式に代表される。
【0031】
制御データ伝送路103は、充電電力の融通をする際の充電リクエストやネゴシエーションのための制御データ、および充電電圧または充電電流などの充電パラメータを転送する。ネットワーク・データ伝送路105には、WiGig、無線LAN、WiMax、無線WANまたはBluetooth(商標)などの現在利用可能な無線通信規格および将来開発される無線通信規格を適用することができる。
【0032】
無線の制御データ伝送路103は、無線の電力伝送路101または無線のネットワーク・データ伝送路105と共用することができる。有線の制御データ伝送路103は、有線の電力伝送路101または有線のネットワーク・データ伝送路105を構成するケーブルの中に構築することができる。携帯式電子機器100は、固定式電子機器150との間でも、電力伝送路101、制御データ伝送路103、およびネットワーク・データ伝送路105で連絡することができる。
【0033】
図3は、携帯式電子機器100の構成を説明するための機能ブロック図である。図において要素間を結ぶ太いラインは電力の流れを示し、細いラインは信号の流れを示している。上位システム201は、ラップトップ、タブレット端末といった各携帯式電子機器の本来の機能を発揮するハードウェアおよびソフトウェアの複合体である。管理データ記録部205および電力管理部203は、上位システム201を構成するCPU、システム・メモリなどのハードウェアとOSおよび本実施の形態にかかるプログラムの協働により構成することができる。
【0034】
電力管理部203および管理データ記録部205は、
図5を参照して説明する集中管理型の電力融通システム10aのマスタまたはスレーブとなる携帯式電子機器、
図9を参照して説明する分散管理型の電力融通システム10bを構成する携帯式電子機器のそれぞれにおいて異なる機能を含むが、ここではそれらを包括的に説明し、相違点は
図7、
図10の説明で明らかにする。
【0035】
電力管理部203は、上位システム201から定期的にバッテリィ・ユニット209の残容量を取得する。電力管理部203は、ネットワーク・インターフェース207または電力インターフェース213を通じて、他の携帯式電子機器100から充電パラメータを取得することができる。充電パラメータは、バッテリィ・ユニット209の充電電力を電力融通システム10の融通ポリシーに基づいて融通するために必要な満充電容量、充電電圧、充電電流、残容量、
図6を参照して説明する融通基準値(%)および要求する充電電力量などを含む。電力管理部203は自らの充電パラメータおよび他の携帯式電子機器の充電パラメータを管理データ記録部205に記録する。
【0036】
電力管理部203は残容量または残容量率が所定値よりも低下したときに、他の携帯式電子機器100および固定式電子機器150と通信して充電リクエストをする。電力管理部203は、電力インターフェース213を通じて受け取った充電電力でバッテリィ・ユニット209を充電するように電力制御部211を制御する。他の携帯式電子機器から充電リクエストを受け取った電力管理部203は、電力インターフェース213を通じてバッテリィ・ユニット209の電力を他の携帯式電子機器に融通するように電力制御部211を制御する。
【0037】
電力制御部211は、電力管理部203の指示により、バッテリィ・ユニット209に対する充電または放電を制御する。電力制御部211は、直接電力伝送路101で連絡していない携帯式電子機器の間で行う充電電力を融通するときに、電力管理部203の指示で電力伝送路101を中継することができる。電力制御部211は電力インターフェース213が一つのときは、一旦一方の携帯式電子機器から受け取った充電電力をバッテリィ・ユニット209に充電し、その後他の携帯式電子機器に送る。電力制御部211は電力インターフェース213が複数のときは、一方の電力インターフェースで受け取った充電電力を同時に他方の電力インターフェースから出力する。
【0038】
管理データ記録部205には、電力管理部203が充電パラメータを記憶し、電力融通をする際に参照する。ネットワーク・インターフェース207は、ネットワーク・データ伝送路105に対するデータ転送を制御する有線または無線のネットワーク・コントローラを含む。電力インターフェース213は、電力伝送路101を通じて接触電力伝送および非接触電力伝送またはいずれかをするためのモジュールに相当する。電力インターフェース213は、電力伝送路101を構築して、他の携帯式電子機器100との間で充電電力を相互融通し、固定式電子機器150から充電電力を受け取る。ここでは、制御データ伝送路103が電力インターフェース213に接続されている例を示しているがこれに限定する必要はない。
【0039】
バッテリィ・ユニット209は、充電式のバッテリィを搭載するものであれば特に限定しない。バッテリィ・ユニット209は、携帯式電子機器100の上位システム201を含む各要素に電力を供給する。外部電力源215は電力インターフェース213に代えて、バッテリィ・ユニット209に充電電力を供給する容量の大きな直流電源または交流電源である。ただし、携帯式電子機器100が電力融通をしている間は、外部電力源215が充電電力を供給することはない。
【0040】
図4は、固定式電子機器150の構成を説明するための機能ブロック図である。固定式電子機器150は、上位システム251、電力管理部253、電力制御部257、外部電力源261、ネットワーク・インターフェース255および電力インターフェース259を含んでいる。固定式電子機器150は、外部電力原261から電力の供給を受けて動作するため、必ずしもバッテリィ・ユニットを搭載しなくてもよい。固定式電子機器150は、充電電力の供給能力に制限がないため、電力融通システム10が固定式電子機器150を含むときは、携帯式電子機器100は電力伝送路101を通じて満充電容量まで充電することができる。固定式電子機器150の各要素は、携帯式電子機器100の要素に対応するため説明を省略する。
【0041】
[集中管理型の電力融通システム]
図5は、電力融通システム10の一例である集中管理型の電力融通システム10aの論理的なトポロジーを示している。電力融通システム10aは、マスタとなる携帯式電子機器100aと、スレーブとなる携帯式電子機器100b〜100dおよび固定式電子機器150aとの間にネットワーク・データ伝送路105または制御データ伝送路103でスター型の論理的なチャネルを形成している。本実施の形態では、携帯式電子機器100aが、マスタとしての機能とスレーブとしての機能を発揮する例で説明するため、以下においては、適宜、携帯式電子機器100aをマスタ100aといい、携帯式電子機器100b〜100dおよび固定式電子機器150aをスレーブ100b〜100d、150aということにする。
【0042】
図5はネットワーク・データ伝送路105の論理的なチャネルを示しており、電力伝送路101、制御データ伝送路103およびネットワーク・データ伝送路105の物理的な接続は必ずしもスター型にする必要はなく、バス型、リング型などの他のネットワーク・トポロジーを採用することができる。スレーブ100b〜100dはみずからのバッテリィ・ユニット209の残容量を管理し、充電が必要になったときにマスタ100aに充電リクエストをする。
【0043】
電力融通システム10aが連係動作をしているときは、携帯式電子機器100a〜100dのバッテリィ・ユニット209による動作時間が一致することが望ましい。そのためにマスタ100aは充電電力の融通の際に、各携帯式電子機器100a〜100dの残容量または残容量率を所定の融通ポリシーに基づいて均衡するように管理する。
【0044】
融通ポリシーは、充電リクエストをした携帯式電子機器100a〜100dに対して供給する電気量を規定する。融通ポリシーはまた、充電リクエストに応じて充電電力を融通する携帯式電子機器100a〜100dの選択方法を規定する。充電電力の融通では、融通元が保有する電気量が、融通先が要求する電気量より少ない場合に両者が一致しない場合がある。そこで融通ポリシーはさらに充電電力を融通する携帯式電子機器100a〜100dが融通する電気量を規定する。
【0045】
一例においてマスタ100aは携帯式電子機器100a〜100dに対して同一の残容量または残容量率の基準値を設定する。他の例でマスタ100aは、充電リクエストをする携帯式電子機器100a〜100dに優先度をつけ、優先度の高い順番により大きな残容量または残容量率の基準値を設定することもできる。一例において充電リクエストをした携帯式電子機器100a〜100dは、設定した基準値に上昇するまで電気量を受け取ることができる。また、融通元の携帯式電子機器100a〜100dは、設定した基準値に低下するまで送電することができる。
【0046】
マスタ100aは、充電電力を供給する携帯式電子機器100a〜100dの選択方法の一例として、充電リクエストがあった時点で最も残容量または残容量率の高い携帯式電子機器を供給源に選択することができる。他の例でマスタ100aは、設定した基準値まで融通が可能な最大の電気量を保有する携帯式電子機器を選択することができる。あるいはマスタ100aは、充電リクエストがあった時点での消費電力と残容量から予測した動作時間の最も長い携帯式電子機器を選択してもよい。
【0047】
マスタ100aは、電力融通システム10aに参加しているすべての携帯式電子機器100a〜100dの残容量を定期的に取得して融通ポリシーを実現する。マスタ100aはバッテリィ・ユニット209を搭載することでスレーブ100b〜100dと充電電力の相互融通をすることができるが、スレーブ100b〜100dにおける充電電力の相互融通を管理する上では、バッテリィ・ユニット209を搭載しなくてもよい。
【0048】
図6は、管理データ記録部205に記録する充電パラメータの一例を説明するための図である。携帯式電子機器100a〜100dは、それぞれ満充電容量209a〜209dのバッテリィ・ユニット209を搭載している。携帯式電子機器100a〜100dの電力管理部203は、それぞれ残容量351a〜351dを定期的に管理データ記録部205に記録する。マスタ100aは、電力融通システム10aに参加するスレーブ100b〜100dから識別子と満充電容量209a〜209dを取得する。
【0049】
マスタ100aは、電力融通システム10aに対して融通基準値(%)356を設定する。マスタ100aは、ネットワーク・データ伝送路105または制御データ伝送路103を通じて融通基準値(%)356をスレーブ100b〜100dに通知する。融通基準値(%)356は、携帯式電子機器100a〜100dの満充電容量の合計に対するその時点で保有すべき電気量の合計の割合に相当する。
【0050】
各携帯式電子機器100a〜100dは、満充電容量209a〜209dに融通基準値(%)356を乗じた電気量に相当する融通基準値353a〜353dを計算して、管理データ記録部205に記録する。融通基準値353a〜353dは、充電電力を供給する携帯式電子機器および充電電力を受け取る携帯式電子機器の双方に対して融通する電気量を決めるために利用することができる。
【0051】
マスタ100aは、融通基準値(%)356をあらかじめ1個の固定値として設定してもよいが、本実施の形態では、電力融通システム10aの全体の残容量にもとづいてダイナミックに設定する。そのためには、スレーブ100b〜100dは、定期的に残容量351b〜351dをマスタ100aに通知する。
【0052】
マスタ100aは、定期的に満充電容量209a〜209dの合計に対する残容量351a〜351dの合計の割合(系の残容量率)を計算する。マスタ100aは、系の残容量率に対して、所定の充電ファクタα(α<1)を乗じて融通基準値(%)356を計算し管理データ記録部205に記録する。シャットダウン値357a〜357dは、携帯式電子機器100a〜100dが、スリープ状態またはソフトオフ状態に遷移する残容量351a〜351dに相当する。
【0053】
携帯式電子機器100a〜100dは、残容量351a〜351dがシャットダウン値357a〜357dに到達しないようにするためのシャットダウン値357a〜357dより大きく、融通基準値353a〜353dより小さい充電要求値355a〜355dを管理データ記録部205に記録する。なお、残容量351a〜351d、融通基準値353a〜353d、および充電要求値355a〜355dは、バッテリィの温度と端子電圧などの他の物理量で代用することができる。
【0054】
図7は、電力融通システム10aの動作手順を示すフローチャートである。ブロック301で、携帯式電子機器100a〜100dはバッテリィで動作し、それぞれの消費電力の大きさに応じて残容量351a〜351dが低下していく。固定式電子機器150aは外部電力源261で動作している。マスタ100a、スレーブ100b〜100dは、電力融通のためのグループを構成している。
【0055】
グループは、電力融通を許容することが可能な個人または特定の組織に帰属する複数の携帯式電子機器で構成することができる。マスタ100aの電力管理部203は、スレーブ100b〜100d、150aの識別子を取得して認証してからグループへの参加を許可することができる。スレーブ100b〜100dは、グループに参加する際に、マスタ100aに満充電容量209b〜209dを含む充電パラメータを通知する。
【0056】
連係動作をするときは、少なくともマスタ100a、スレーブ100b〜100dがネットワーク・データ伝送路105または制御データ伝送路103を通じてデータ交換をし、連係動作の完遂のために、マスタ100aおよびスレーブ100b〜100dがすべて同じ時間だけ動作を継続する必要があると想定する。マスタ100aの管理データ記録部205には、識別子に対応付けた満充電容量209a〜209d、現在の残容量351a〜351d、現在の融通基準値(%)356、および電力伝送路101の物理的な連係状態を示す情報が登録されている。
【0057】
ブロック303でスレーブ100b〜100dは、それぞれ定期的にバッテリィ・ユニット209の残容量351b〜351dをマスタ100aに送る。マスタ100aは定期的にバッテリィ・ユニット209の残容量351aを取得して、残容量351a〜351dを管理データ記録部205に記録する。ブロック305でマスタ100aは、定期的に系の残容量率から新しい融通基準値(%)356を計算して管理データ記録部205に記録し、スレーブ100b〜100dに通知する。
【0058】
マスタ100a、およびスレーブ100b〜100dは、新たな融通基準値(%)356から新たな融通基準値353a〜353dを計算して、管理データ記録部205に記録する。ブロック307でたとえばスレーブ100bの残容量351bが、充電要求値355b未満になったときに、スレーブ100bは、マスタ100aに充電リクエストをする。このときスレーブ100bは、充電リクエストに充電要求値355bと融通基準値353bの差に相当する充電電気量を含めることができる。
【0059】
ブロック309でマスタ100aは、電力融通システム10aが、固定式電子機器150aを含んでいるときはブロック341に移行し、含んでいないときはブロック311に移行する。ブロック311でマスタ100aは、電力融通システム10aが、スレーブ100bの要求に応じることができるか否かを判断する。マスタ100aは、現在の系の残容量率が、融通基準値(%)356を超えているときに充電可能と判断することができる。
【0060】
充電可能と判断したときはブロック313に移行し、現在の融通基準値(%)356では充電できないと判断したときはブロック343に移行する。ブロック313でマスタ100aは、スレーブ100bに充電電力を供給する融通元の決定と、融通元からスレーブ100bまでの電力伝送路101を決定する。マスタ100aは、残容量が融通基準値を超えている携帯式電子機器を電力融通が可能な携帯式電子機器と認定することができる。
【0061】
その上でマスタ100aは、残容量率が最も大きい携帯式電子機器100cを融通元として選択することができる。あるいはマスタ100aは、残容量と融通基準値の差が最も大きい携帯式電子機器100cを融通元として選択することができる。つぎに、マスタ100aは、融通元の携帯式電子機器100cと充電リクエストをした携帯式電子機器100bの間で充電電力を伝送するための電力電送路101を決める。携帯式電子機器100cと携帯式電子機器100bの間に直接の電力伝送路101が構築されている場合は両者間の電力伝送路が一律に決まる。しかし、両者間に直接の電力伝送路101が構築されていないときは、マスタ100aは、利用する電力伝送路101を指定することができる。たとえば、マスタ100aは、携帯式電子機器100dを介在させて電力伝送路101を構築することができる。
【0062】
ブロック315でマスタ100aは、携帯式電子機器100cに対して携帯式電子機器100bに充電電力を供給するように依頼する。電力融通の依頼には、携帯式電子機器100bが要求する充電電力量を含めることができる。また、マスタ100aは必要に応じて携帯式電子機器100dに対して携帯式電子機器100cが供給する充電電力を中継して携帯式電子機器100bに送るように依頼する。その後、携帯式電子機器100cは携帯式電子機器100bに対する充電を開始する。
【0063】
ブロック317で携帯式電子機器100bは、残容量351bが融通基準値353bに到達したときに、ブロック347でマスタ100aまたは携帯式電子機器100cに充電停止要求をする。マスタ100aが充電停止要求を受け取ったときは、携帯式電子機器100cに送電を停止するように依頼する。他の例では、携帯式電子機器100cは、携帯式電子機器100bが要求する充電電力量だけ送電したと判断したときに、マスタ100aに充電終了の通知をするとともに送電を停止するようにしてもよい。
【0064】
携帯式電子機器100cの残容量351cが融通基準値353cに到達するまでの間に充電が終了する場合と、充電が終了する前に残容量351cが融通基準値353cまで低下して携帯式電子機器100cが強制的に送電を停止する場合がある。充電が終了したときはブロック347で融通動作は終了する。強制的な送電の停止で充電が終了しないときはブロック303に戻って手順が繰り返される。携帯式電子機器100cが充電を強制的に停止してブロック303に戻るときは、マスタ100aはブロック313で電力の融通が可能な他の携帯式電子機器を選択することができる。
【0065】
充電が継続している間、連係動作をしている電力融通システム10aは系の残容量率が低下する。ブロック311でマスタ100aは、系の残容量率が現在の融通基準値(%)356より低下したと判断したときにブロック343に移行する。ブロック343でマスタ100aは、系の残容量率に充電ファクタαを乗じて計算した新しい融通基準値(%)358(
図8)を管理データ記録部205に記録するとともに、スレーブ100b〜100dに通知する。マスタ100aは、系の残容量率が低下するに伴って融通基準値(%)を系として融通可能な値まで徐々に低下させる。
【0066】
ブロック345で系として融通可能な最低の融通基準値(%)に到達したときはブロック347に移行し、新たに設定した融通基準値(%)358で充電できるときはブロック313に移行する。ブロック341ではマスタ100aがブロック313と同じ手順で、固定式電子機器150aと携帯式電子機器100bの間の電力伝送路101を指定し、ブロック342で固定式電子機器150aが携帯式電子機器100bを充電する。
【0067】
充電電力の融通を繰り返すと、携帯式電子機器100a〜100dの残容量率が、マスタ100aが設定した新しい融通基準値(%)358に収束しながら低下する。
図8にこのときの様子を示す。
図8(A)では、携帯式電子機器100aの残容量351aが融通基準値353aより低下し、携帯式電子機器100bの残容量351bが充電要求値355bまで低下している。携帯式電子機器100c、100dの残容量351c、351dは融通基準値353c、353dを超えている。
【0068】
マスタ100aは、たとえば残容量率が最大の携帯式電子機器100cを融通元に選択する。
図8(B)は、携帯式電子機器100cから携帯式電子機器100bに対する充電が終了した状態を示している。充電リクエストをした携帯式電子機器100bの残容量351bは、融通基準値353bまで上昇している。この間、携帯式電子機器100a、100dは電力を消費して残容量351a、351dが低下する。
【0069】
図8(C)は、携帯式電子機器100a、100b、100dの残容量351a、351b、351dが融通基準値353a、353b、353dより低下し、携帯式電子機器100cの残容量351cが充電要求値355cまで低下している。この時点でマスタ100aは、いずれの携帯式電子機器100a、100b、100dも電力融通ができないと判断する。
図8(D)は、マスタ100aが融通基準値(%)356を融通基準値(%)358まで低下させて各携帯式電子機器100a〜100dに設定した様子を示している。
【0070】
ここでは、携帯式電子機器100a、100bの残容量351a、351bが融通基準値353a、353bを超えているため、マスタ100aはいずれかを融通元として選択することができる。マスタ100aは融通基準値(%)を、電力融通ができる携帯式電子機器が存在している間に、残容量351a〜351dの合計値の低下に応じて低下させるようにしてもよい。
【0071】
融通基準値(%)356は、あらかじめ最も小さくできる固定した値に設定することもできる。この場合、充電リクエストをしたバッテリィの電気量は融通基準値が上限になるため、系の残容量に余裕があっても、十分に電力を融通できないことになる。本実施の形態ではマスタ100aが融通基準値(%)356を徐々に低下させるため、充電リクエストをした携帯式電子機器100bが電力融通システム100aから離脱して単独でバッテリィ動作をする場合に、当該バッテリィ・ユニット209は融通基準値(%)に相当する電気量を保有することができる。
【0072】
[分散管理型の電力融通システム]
図9は、電力融通システム10の他の例である電力融通システム10bの論理的なトポロジーを示している。携帯式電子機器100a〜100dは相互にいずれとも制御データ伝送路103またはネットワーク・データ伝送路105を通じて通信できるように構成している。電力融通システム10bは、固定式電子機器150aを含んでもよい。電力融通システム10bでは、携帯式電子機器100a〜100dが互いに対等の関係にある。
【0073】
電力伝送路101、制御データ伝送路103、およびネットワーク・データ伝送路105の物理的な接続には、スター型、バス型、またはリング型などのいずれのネットワーク・トポロジーを採用してもよい。電力融通システム10bでは、系全体の残容量を管理するマスタが存在しないため、電力の融通はピアツーピアでネゴシエーションして行う。各携帯式電子機器100a〜100dはみずからのバッテリィの残容量を管理し、充電が必要になったときにリクエスタとして他の携帯式電子機器に充電リクエストを送る。そして、他のいずれかがそれに応じて充電電力を供給するレスポンダになる。このときの手順を、
図10を参照して説明する。
【0074】
図10は、電力融通システム10bの動作手順を示すフローチャートである。ブロック401で、携帯式電子機器100a〜100dは、ネットワーク・データ伝送路105または制御データ伝送路103を通じてデータ交換をしている。連携動作はしていてもしていなくてもよい。携帯式電子機器100a〜100dは、電力管理部203が電力融通をするためのグループを構築する。最初にたとえば携帯式電子機器100aがネットワーク・データ伝送路103で接続されている他の携帯式電子機器に、グループの構築を呼びかけ、たとえば携帯式電子機器100bがそれに応じることで最小単位の電力融通システム10bを構築する。
【0075】
新規にグループを結成し、または既存のグループに参加するためには、グループに参加する資格の確認のための認証および電力融通に必要な電力伝送路101の種類および充電パラメータなどの確認をしてペアリングをする。ペアリングが完了した携帯式電子機器100a、100bは、電力融通をする相手の識別子をそれぞれ管理データ記録部205に記録する。
【0076】
新たに参加する携帯式電子機器100cは、すでにグループを構成した携帯式電子機器100a、100bのそれぞれと同様の手順で順番にペアリングをして相手の識別子を管理データ記録部205に記録する。順番に新たな携帯式電子機器がグループに参加すると、グループに参加しているすべての携帯式電子機器100a〜100dは、管理データ記録部205に他の携帯式電子機器の識別子を記録していることになる。携帯式電子機器100a〜100dはバッテリィで動作しながらそれぞれの消費電力の大きさに応じて残容量351a〜351dが低下していく。
【0077】
ブロック403でたとえば、携帯式電子機器100aの残容量351aが、充電要求値355aまで低下する。ブロック405で携帯式電子機器100aは、他の携帯式電子機器100b〜100dに充電リクエストを送る。以後、携帯式電子機器100aを適宜リクエスタ100aという。充電リクエストには、充電を要求する電気量に相当する融通基準値353aと充電要求値355aの差と充電要求の強さを示す要求レベルを含めることができる。
【0078】
リクエスタ100aは最初の充電要求の際に設定する要求レベルを最低にする。リクエスタ100aは、他の携帯式電子機器100b〜100dに順番に充電リクエストを送ってレスポンスを待つ。
図6を参照して説明した融通基準値353a〜353dは、一例において各携帯式電子機器100a〜100dが独自に設定する。携帯式電子機器100a〜100dは、要求レベルの強さに応じて融通基準値353a〜353dをダイナミックに変更することができる。
【0079】
ブロック407で融通基準値よりも多い残容量のある携帯式電子機器は融通可能を示すレスポンスを返し、融通基準値よりも少ない残容量の携帯式電子機器は融通不可能を示すレスポンスを返す。融通可能なレスポンスには、融通可能な電気量(充電電力量)に相当する融通基準値353b〜353dと残容量351b〜351dの差および残容量率を含んでもよい。ブロック409でいずれかの携帯式電子機器100b〜100dが融通可能なレスポンスをしたときはブロック411に移行し、いずれの携帯式電子機器100b〜100dも融通不可能を示すレスポンスをしたときはブロック451に移行する。
【0080】
ブロック451でリクエスタ100aは、要求レベルを強化してブロック405に戻る。要求レベルが強化された充電リクエストを受け取った携帯式電子機器100b〜100dは、前回よりも融通基準値353b〜353dを下げてレスポンスを返す。融通基準値353b〜353dを下げることで、いずれかの携帯式電子機器100b〜100dが融通できる可能性が高くなる。ブロック411で融通可能なレスポンスが複数のときは、リクエスタ100aはレスポンダを選択する。リクエスタ100aは、たとえば残容量または残容量率が最も大きな携帯式電子機器100bをレスポンダ100bとして選択することができる。
【0081】
ブロック413で、レスポンダ100bからリクエスタ100aへの送電を開始する。レスポンダ100bからリクエスタ100aまでの電力伝送路101が無線の場合は、相互間でネゴシエーションをして電力伝送路101を構築する。ブロック415でリクエスタ100aの残容量351aが融通基準値353aに到達するとリクエスタ100aは充電が終了したと判断して、ブロック453に移行し、レスポンダ100bに充電の終了を通知する。充電が終了しないときはブロック417に移行する。
【0082】
レスポンダ100bは、充電終了前に残容量351bが融通基準値353bに到達して充電電力の供給ができなくなる場合がある。このときブロック417でレスポンダ100bはリクエスタ100aに通知して強制的に送電を停止することができる。その場合は、ブロック405に戻ってリクエスタ100aは、融通元になり得る別の携帯式電子機器を探す。グループに参加する携帯式電子機器100a〜100dが上記のルールに従って電力融通をすると、各携帯式電子機器100a〜100dの残容量率は均衡しながら低下する。
【0083】
[電力伝送方法の一例]
図11は、非接触充電をするスマートフォン500の概要を説明するための図である。スマートフォン500は、筐体の表面に液晶や有機ELのフラット・パネル・ディスプレイ(FPD)501を搭載し、内部には回路基板507、1次コイルの磁束を遮蔽するシールド508、送電用の1次コイル503および受電用の2次コイル505を実装している。1次コイル503と2次コイル505は、一つのコイルを切換スイッチで切り換えて共用するようにしてもよい。筐体の背面は1次コイル503および2次コイル505による充電電力の送受のためのインターフェース面509を構成している。
【0084】
図12は、スマートフォン500の概略的な機能ブロック図である。スマートフォン500は、システム・ユニット521、パワー・トランスミッタ525、パワー・レシーバ535、充電回路541、およびバッテリィ・ユニット543を含んでいる。システム・ユニット521は、スマートフォン500を実現するハードウェアおよびソフトウェアに加えて、FPD501、加速度センサ545およびユーザ・インターフェース547を含んでいる。
【0085】
パワー・トランスミッタ525は、インバータ525a、1次コイル503、電流検出回路525b、および通信制御ユニット525cを含み、電力を送電する際に動作する。インバータ525aは、充電回路541から受け取った直流電圧を通信制御ユニット525cからの指示で所定の範囲の周波数およびデューティ比の交流電圧に変換して1次コイル503に印加する。1次コイル503は図示しないキャパシタとともに所定の範囲の周波数に対する共振回路を形成して、インターフェース面509を通過する交番磁界を発生する。1次コイル503は交番磁界による電磁誘導で、他のスマートフォンに電力を供給する。
【0086】
1次コイル503に流れる電流は、電力を受電する他のスマートフォンのパワー・レシーバ535が負荷を変化させて送った変調信号で変化する。電流検出回路525bは、1次コイル503に流れる電流を検出する。通信制御ユニット525cは、電流検出回路525bが検出した電流をデコードして電力を受電する他のスマートフォンと通信し、さらにシステム・ユニット521と通信して送電動作を制御する。
【0087】
パワー・レシーバ535は、2次コイル505、整流回路535a、スイッチ回路535b、変調回路535cおよび通信制御ユニット535dを含む。整流回路535aは、電磁誘導で2次コイル505に誘起された交流電圧を直流電圧に変換する。スイッチ回路535bは、他のスマートフォンから2次コイルを通じて受電した電力の充電回路541への供給を制御する。変調回路535cは、電力を送電する他のスマートフォンの1次コイルに流れる電流を変調して変調信号を送る。
【0088】
通信制御ユニット535dは、変調回路535cを通じて他のスマートフォンに変調信号を送って通信し、さらにシステム・ユニット521と通信して受電動作を制御する。通信制御ユニット535dは、整流回路535aの一次側および二次側の電圧を検出して送電するスマートフォンに変調信号を送る。充電回路541は充電器を含みパワー・レシーバ535から受け取った電力でバッテリィ・ユニット543を充電する。加速度センサ545は、スマートフォン500の筐体の重力に対する姿勢を検出する。ユーザ・インターフェース547は、ユーザがアクセスするFPD501のタッチ・スクリーンまたは操作ボタンで構成することができる。
【0089】
図13は、スマートフォン500aと500bの間で充電電力を相互融通するときの様子を示す図である。スマートフォン500a、500bを説明するときは、いずれにも
図11、
図12の参照番号を適用する。
図13(A)では、インターフェース面509が上を向いたスマートフォン500bと、インターフェース面509が下を向いたスマートフォン500aが、インターフェース面同士で接触している。この状態で、スマートフォン500bからスマートフォン500aに電力が供給される。
【0090】
図13(B)では、スマートフォン500aと500bの上下方向の姿勢が逆になっている。この状態で、スマートフォン500aからスマートフォン500bに電力が供給される。スマートフォン500a、500bのインターフェース面509の重力に対する向きは、加速度センサ545が検出することができる。また、インターフェース面509同士を接触させた状態で上下方向を変更することで、充電電力の送電方向を自動的に変更することができる。
【0091】
図14は、スマートフォン500a、500bが充電電力を相互融通するときの手順を示すフローチャートである。ここでは、
図13(B)のように、スマートフォン500aが送電側となりスマートフォン500bが受電側となって充電電力を融通するときの手順を説明する。なお、スマートフォン500a、500bの構成の説明には、いずれにも
図11、
図12の参照番号を使用する。ブロック601からブロック617までは、スマートフォン500a(送電側)の動作を示し、ブロック651からブロック665までは、スマートフォン500b(受電側)の動作を示している。
【0092】
ブロック601、651でスマートフォン500a、500bのパワー・トランスミッタ525とパワー・レシーバ535はスリープ状態に遷移している。ブロック603、653で通信制御ユニット525c、535dがウェイクアップする。このときユーザは、ユーザ・インターフェース547を操作して通信制御ユニット525c、535dをウェイクアップさせることができる。あるいは通信制御ユニット525c、535dは、タイマで定期的にウェイクアップすることができる。
【0093】
ブロック605で、インターフェース面509が上向きであることを検出した送電側の通信制御ユニット525cは送電モードで動作し、ブロック655でインターフェース面509が下向きであることを検出した受電側の通信制御ユニット535dは受電モードで動作する。送電モードでは、パワー・トランスミッタ525が動作し、受電モードではパワー・レシーバ535が動作する。
【0094】
ブロック607、657で、ユーザが
図13(B)のように両者のインターフェース面509を接触させる。ブロック609で送電モードに遷移してから所定時間内に、送電側の通信制御ユニット525cがインバータ525aを動作させて1次コイル503から所定の周波数の電磁波を放射する。ブロック659で受電モードに遷移してから所定時間内に受電側の通信制御ユニット535dが2次コイル505に誘起された電圧から所定の周波数を検出したときはブロック661に移行し、検出しないときはパワー・レシーバ535がローパワー・モードに遷移してブロック653に戻る。
【0095】
ブロック661で受電側の通信制御ユニット535dは、変調回路535cを制御して、送電側の通信制御ユニット525cに電力信号を検出したことを示す応答パケットを返す。応答パケットは、受電側のスマートフォン500bから送電側のスマートフォン500aに対する充電リクエストに相当する。ブロック611で送電側の通信制御ユニット525cが所定の時間内に応答パケットを検出したときは、ブロック613に移行する。
【0096】
所定の時間内に応答パケットを検出しないときはブロック617で送電側の通信制御ユニット525cがパワー・トランスミッタ525をローパワー・モードに遷移させてブロック603に戻る。ブロック663で、応答パケットを送信してから所定の時間内に受電側の通信制御ユニット535dは、充電パラメータを送電側の通信制御ユニット525cに送る。
【0097】
ここで、スマートフォン500a、500bにおいて、残容量またはバッテリィ動作時間の重要性が対等な関係にあるときは融通する充電電力量が問題になる。限定する趣旨ではないが、スマートフォン500aからスマートフォン500bに対する充電が完了した時点で、両者の残容量率が一致することは対等関係にあるスマートフォン500a、500bにおいては公平で合理的である。
【0098】
スマートフォン500a、500bはそれぞれがパワー・トランスミッタ525とパワー・レシーバ535を備えているため、それらの動作を切り換えて双方向に制御データを転送し充電電力量を決め細かくネゴシエーションすることができる。したがって、スマートフォン500aが融通する充電電力量は、送電を開始する前にスマートフォン500bの満充電容量と現在の残容量を取得して両者の残容量率が同一になるように設定することができる。
【0099】
あるいは、送電側のユーザ・インターフェース547を通じてバッテリィ・ユニット543に確保する最低限の残容量を設定し、受電側のスマートフォン500bから充電リクエストがあったときに送電側の現在の残容量と最低限の残容量の差だけ融通できることを受電側に宣明することもできる。
【0100】
充電パラメータを受信した送電側の通信制御ユニット525cは、ブロック613で送電を開始する。送電側のシステム・ユニット521はインバータ525aに電力を供給するように指示する。受電側の通信制御ユニット535dは、スイッチ回路535bを閉じて充電回路541に充電電力を供給する。受電側のシステム・ユニット521は、充電回路541にバッテリィ・ユニット543を充電するように指示する。
【0101】
充電中に受電側の通信制御ユニット535dは、充電電圧、充電電流、および充電電力量を監視し、必要に応じて充電電流や充電電圧の変更を要求する。ブロック665で受電側の通信制御ユニット535dは、所定の充電電力量を充電したときまたは残容量率が同じになったときに送電側の通信制御ユニット525cに送電停止の要求をして充電を停止する。あるいは、送電側の通信制御ユニット525cは、所定の充電電力量を送電したときまたは残容量率が同じになったときに受電側に送電停止を通知して送電を停止する。
【0102】
いずれかの方法によりブロック615で送電側の通信制御ユニット525cは送電を停止する。スマートフォン500aから500bに電力を供給している間に、
図13(A)のように上下方向が反転したときの動作は以下のとおりである。通信制御ユニット525c、535dは、加速度センサ545の出力が姿勢の反転を示したときに、それまでの動作モードの原因となった事象が変化したと判断して、一旦充電電力の送電を停止し新しい動作モードに遷移する。
【0103】
ブロック605で、インターフェース面509が上向きであることを検出した通信制御ユニット525cは送電モードで動作して、ブロック655でインターフェース面509が下向きであることを検出した通信制御ユニット535dは受電モードで動作する。送電側となるスマートフォン500bの通信制御ユニット525cが、反転した動作モードで動作してから所定の時間内に応答パケットを受け取ることで、スマートフォン500bから500aに送電することができる。インターフェース面509同士が離れてブロック659で電力信号を検出できないとき、またはブロック611で応答パケットを受信できないときは、ブロック603、653から同じ手順を繰り返す。
【0104】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。