【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一態様によれば、Akt3関連病態の予防、阻害又は治療に有用な医薬化合物を選択する方法が提供される。この方法は、試験対象として一群の候補医薬化合物を提供するステップと、試験系においてAkt3活性に対する候補医薬化合物の効果を試験するステップと、Akt3活性の阻害に基づき候補医薬化合物を選択するステップと、を含む。
【0027】
或いは本発明は、転移性癌又は薬剤耐性癌の治療に有用な候補医薬化合物を選択する方法を提供する。この方法は、試験対象として一群の候補医薬化合物を提供するステップと、試験系においてAkt3活性に対する候補医薬化合物の効果を試験するステップと、Akt3活性の阻害に基づき候補医薬化合物を選択するステップと、を含む。
【0028】
別の態様によれば、EMTの予防又は阻害に有用な候補医薬化合物を選択する方法が提供される。この方法は、試験対象として一群の候補医薬化合物を提供するステップと、試験系においてAkt3活性に対する候補医薬化合物の効果を試験するステップと、Akt3活性の阻害に基づき候補医薬化合物を選択するステップと、を含む。
【0029】
インビボ応答を予測するために、インビトロ試験系で候補医薬化合物の有効レベルを決定できることは、極めて有利である。これにより、医薬化合物の有効最小投薬レベルの決定が容易になり、また、用量依存的な方法での薬物標的の検証が容易になる。医薬品に対するインビボ応答の予測に特に有用な手法は、RNA干渉を用いた標的遺伝子の条件付き選択的ノックアウトによるものである。かかる方法で使用するヌクレオチドの効果的な生成は、特許文献8に記載されている。
【0030】
本発明の別の態様によれば、Akt3関連病態の予防、阻害又は治療に有用な候補医薬化合物を選択する方法が提供される。この方法は、試験細胞におけるAkt3の発現を選択的に低下させるステップと、試験細胞を候補医薬化合物と接触させるステップと、該候補医薬化合物のAkt3活性の阻害に対する効果を決定するステップと、を含む。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、Akt3関連病態の予防、阻害又は治療に有用な化合物を選択する方法が提供される。この方法は、インビトロ試験系においてAkt3の発現を低レベルまで選択的に低下させるステップと、試験系を候補医薬化合物と接触させるステップと、Akt3活性を阻害する候補医薬化合物を選択するステップと、を含む。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、Akt3関連病態を有する対象を特定する方法が提供される。この方法は、対象又は対象から得た試料におけるAkt3の発現レベル又は活性レベルを評価するステップを含む。概して、対象又は対象から得た試料における発現レベル又は活性レベルは、本明細書に記載されるように、対照試料と比較して決定することができる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、転移性癌又は薬物耐性癌を発症する特定のリスクを有する対象を特定する方法が提供される。この方法は、対象又は対象から得た試料におけるAkt3の発現レベル又は活性レベルを評価するステップを含み、Akt3の発現レベル又は活性レベルの増加が、該対象の転移性癌又は薬物耐性癌発症リスクの増加を示す。
【0034】
本発明のさらなる態様によれば、対象における癌幹細胞(Cancer Stem Cell:CSC)の存在を特定する方法が提供される。この方法は、対象又は対象から得た試料におけるAkt3の発現レベル又は活性レベルを決定するステップを含み、Akt3の発現レベル又は活性レベルの増加が、CSCの存在を示す。
【0035】
本発明のさらなる態様によれば、EMTが起きている対象を特定する方法が提供される。この方法は、対象又は対象から得た試料におけるAkt3の発現レベル又は活性レベルを決定するステップを含み、Akt3の発現レベル又は活性レベルの増加が、EMTの発生を示す。
【0036】
本発明のさらなる態様によれば、対象における癌関連転帰を予知する方法が提供される。この方法は、対象又は対象から得た試料におけるAkt3活性又は発現を評価するステップを含む。
【0037】
一部の実施形態では、対照試料対比のAkt3活性又は発現の増加が、癌治療剤による治療に対する感受性、例えばEMTを阻害する又は逆転する能力の指標となる。薬剤は、本明細書に記載されるように、例えばAkt3阻害薬又はAxl阻害薬であってもよい。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、Axl活性を特定する方法が提供される。この方法は、対象又は対象から得た試料におけるAkt3の発現レベル又は活性レベルを決定するステップを含み、Akt3の活性レベル又は発現レベルの増加はAxl活性と相関する。
【0039】
予想外にも、Akt3の発現レベル又は活性レベルがAkt2の発現レベル又は活性レベルと逆相関することが見出された。本発明の方法及び使用は、対象又は対象から得た試料におけるAkt2の発現レベル又は活性レベルを評価するステップを含む。Akt2の発現レベル又は活性レベルの低下は、(i)対象がAkt3関連病態を有すること、(ii)転移性癌又は薬物耐性癌の発症リスクの増加、(iii)癌幹細胞の存在及び/又は(iv)EMTの発生、を示すことができる。
【0040】
一部の実施形態では、Akt2とAkt3の両方の発現レベル又は活性レベルが評価される。2つの逆相関するバイオマーカーを評価することにより、アッセイの信頼度を高めることができる
【0041】
一部の実施形態では、Akt3の発現レベルは、Akt3をコードする遺伝子のコピー数を対照試料と比較して決定することにより評価される。ここで、コピー数の増加は、Akt3の発現レベルの増加を示す。コピー数(即ち遺伝子複製イベント)は、当該技術分野において既知の標準技法、例えばJiang他(非特許文献8)に記載されるようなDNAチップを使用して、決定することができる。
【0042】
一部の実施形態では、Akt3(又はAkt2)の発現レベルは、Akt3(又はAkt2)のタンパク質レベル又はmRNAレベルを決定することにより評価される。タンパク質レベル及びmRNAレベルの決定方法は当該技術分野において既知であり、本明細書に記載される。
【0043】
一部の実施形態では、Akt3活性は、Akt3のリン酸化を決定することにより評価され、ここでAkt3のリン酸化は活性Akt3を示す。Akt3リン酸化は、本明細書に記載されるように、セリン472で決定されてもよい。代替又は追加として、リン酸化は、スレオニン305及び/又はチロシン174で決定されてもよい。この番号はAkt3配列を参照する。すなわち、対応するAkt1残基は、それぞれS473、T308及びY176である。
【0044】
理論によって限定されるものではないが、スレオニン305におけるリン酸化は、チロシン174及びセリン472におけるリン酸化及びAkt3の活性化をもたらす核へのAkt3の局在化において重要であると考えられる。一部の実施形態では、Akt3活性は、Akt3タンパク質の細胞内局在性を決定することにより評価され、ここで核における局在が活性Akt3を示す。
【0045】
一部の実施形態では、Akt3活性は、下流標的、例えばEMTに関連する遺伝子の発現レベルを決定することにより評価される。さらなる実施形態では、Akt3キナーゼ活性が、例えばTuomi他(非特許文献9)に記載されるように、基質タンパク質(例えばSNAIL)又はペプチドのリン酸化を決定することにより評価されてもよい。
【0046】
本発明の別の態様によれば、Akt3関連病態を有する対象を治療する方法が提供される。この方法は、Akt3阻害薬又は本発明の第1の態様に係る方法により得られる候補化合物として選択されるか若しくは該候補化合物に由来する医薬化合物に、対象を接触させるステップを含む。
【0047】
本発明のさらなる態様は、対象におけるEMTを阻害する方法を含む。この方法は、Akt3活性の阻害能を有する化合物に対象を接触させるステップを含む。
【0048】
本発明のさらなる態様は、対象における癌幹細胞を阻害する方法を提供する。この方法は、Akt3活性の阻害能を有する化合物に対象を接触させるステップを含む。
【0049】
本発明はまた、癌を有する対象における薬剤耐性を予防又は阻害する方法を提供する。この方法は、Akt3活性の阻害能を有する化合物に対象を接触させるステップを含む。
【0050】
本発明はまた、Akt3関連病態、例えば癌の治療におけるAkt3阻害薬の使用を提供する。
【0051】
本発明はまた、EMTの阻害におけるAkt3阻害薬の使用を提供する。
【0052】
本発明はまた、本明細書に記載されるような治療方法に使用されるAkt3阻害薬を提供する。
【0053】
本発明のさらなる態様によれば、癌を有する対象における薬剤耐性の予防、阻害又は治療における、Akt3活性の阻害能を有する化合物の使用が提供される。この方法は、Akt3活性の阻害能を有する化合物に対象を接触させるステップを含む。
【0054】
本発明における方法により特定されるAkt3阻害薬又は本発明における方法又は使用において使用されるAkt3阻害薬は、単剤療法として使用されてもよいし、以下に記載するような他の癌治療との併用療法で使用されてもよい。
【0055】
好適な化学療法剤としては、以下が挙げられる。すなわち、
スルホン酸アルキル(例えばブスルファン)等のアルキル化剤、
ナイトロジェンマスタード(例えばクロラムブシル、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラムスチン)、エチレンイミン誘導体(例えばチオテパ)、
ニトロソウレア(例えばカルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン)、トリアゼン(例えばダカルバジン、プロカルバジン、テモゾロミド)、
白金化合物(例えばシスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、オンナプラチン(onnaplatin)、テトラプラチン、スプリオプラチン(sprioplatin)、イプロプラチン、クロロ(ジエチレンジアミノ)−白金(II)クロリド、ジクロロ(エチレンジアミノ)−白金(II)、ジアミノ(2−エチルマロナト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)マロナト白金(II)、(4−カルボキシフタロ)−(1,2−ジアミノシクロヘキサン)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−(イソシトラト)白金(II)、(1,2−ジアミノシクロヘキサン)−cis−(ピルバト)白金(II))、
抗葉酸剤(例えばメトトレキサート、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、トリメトレキサート)等の代謝拮抗薬、
ピリミジン類似体(例えばアザシチジン、カペシタビン、シタラビン、エダトレキサート、フロクスウリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、トロキサシタビン)、
プリン類似体(例えばクラドリビン、クロロデオキシアデノシン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン)、
抗腫瘍抗生物質(例えばブレオマイシン、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、ポルフィロマイシン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン)等の天然生成物、
有糸分裂阻害薬(例えばビンカアルカロイド、ビンブラスチン、ビンベシル(vinvesir)、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、
酵素(例えばL−アスパラギナーゼ、PEG−L−アスパラギナーゼ)、
微小管ポリマー安定剤(例えばタキサン、パクリタキセル、ドセタキセル)、
トポイソメラーゼI阻害薬(例えばカンプトテシン、イリノテカン、トポテカン)、
トポイソメラーゼII阻害薬(例えばポドフィロトキシン、アムサクリン、エトポシド、テニポシド、ロソキサントロン、アクチノマイシン)、
アンドロゲン(例えばフルオキシメステロン、テストラクトン)等のホルモン及びホルモン拮抗薬、
抗アンドロゲン薬(例えばビカルタミド、シプロテロン、フルタミド、ニルタミド)、
コルチコステロイド(例えばデキサメタゾン、プレドニゾン)、
アロマターゼ阻害薬(例えばアミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ホルメスタン、レトロゾール)、
エストロゲン(例えばジエチルスチルベストロール)、
抗エストロゲン薬(例えばフルベストラント、ラロキシフェン、タモキシフェン、トレミフェン)、
黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)作用薬及び拮抗薬(例えばアバレリックス、ブセレリン、ゴセレリン、ロイプロリド、ヒストレリン、デスロレリン、酢酸ナファレリン、トリプトレリン)、
プロゲスチン(例えば酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール)、
甲状腺ホルモン(例えばレボチロキシン、リオチロニン)、
PKB経路阻害薬(例えばペリホシン、エンザスタウリン塩酸塩、トリシリビン)、
P13K阻害薬(例えばセマフォア(semaphore)、SF1126)、
MTOR阻害薬(例えばラパマイシン及び類似体)、
CDK阻害薬(例えばセリシクリブ、アルボシジブ、7−ヒドロキシスタウロスポリン)、
COX−2阻害薬(例えばセレコキシブ)、
HDAC阻害薬(例えばトリコスタチンA、スベロイルアニリドヒドロキサム酸、クラミドシン)、
DNAメチラーゼ阻害薬(例えばテモゾロミド)、
その他の薬剤(例えばアルトレタミン、三酸化ヒ素、サリドマイド、レナリドマイド、硝酸ガリウム、レバミゾール、ミトタン、ヒドロキシウレア、オクトレオチド、プロカルバジン、スラミン、光線力学的化合物(メトキサレン、ポルフィマーナトリウム等)、プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ等))、
等が挙げられる。
【0056】
分子標的療法剤としては、以下が挙げられる。すなわち、
遺伝子療法剤等の機能性治療剤、
アンチセンス療法剤、
チロシンキナーゼ阻害薬(例えばエルロチニブ塩酸塩、ゲフィチニブ、メシル酸イマチニブ、セマクサニブ)、
Raf阻害薬(例えばソラフェニブ)、
レチノイド、レキシノイド等の遺伝子発現修飾物質(例えばアダパレン、ベキサロテン、trans−レチノイン酸、9−cis−レチノイン酸、N−(4−ヒドロキシフェニル)レチンアミド)、
モノクローナル抗体(例えばアレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、イブリツモマブチウキセタン、リツキシマブ、トラスツズマブ)、免疫毒素(例えばゲムツズマブオゾガマイシン)、放射性免疫複合体(例えばI−トシツモマブ(tositumobab))等の表現型特異的療法剤、
癌ワクチン、
等が挙げられる。
【0057】
生物学的療法剤としては、以下が挙げられる。すなわち、
インターフェロン(例えばインターフェロン−[α]2a、インターフェロン−[α]2b)、
インターロイキン(例えばアルデスロイキン、デニロイキンジフチトクス、オプレルベキン)、
等が挙げられる。Axl阻害剤としては、例えば、1−(6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2−c]ピリダジン−3−イル)−N3−((7−(S)−ピロリジン−1−イル)−6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−ベンゾ[7]アヌレン−2−イル)−1H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジアミン(BGB324/R428)、CH5451098(Roche)、並びに特許文献9、特許文献10及び特許文献11(参照により本明細書に援用される)に記載されるAxl阻害薬等が挙げられる。
【0058】
癌細胞に対してする作用することが意図されるこれらの薬剤に加え、抗癌療法には、保護剤又は補助剤の使用が含まれる。該保護剤又は補助剤には、
細胞保護剤(例えばアミホスチン、デクスラゾキサン)、
ホスホン酸塩(例えばパミドロネート、ゾレドロン酸)、
刺激因子(例えばエポエチン、ダルベポエチン、フィルグラスチム、PEG−フィルグラスチム、サルグラモスチム)、
等が含まれる。
【0059】
多くの併用化学療法レジメン、例えば、カルボプラチン/パクリタキセル、カペシタビン/ドセタキセル、フルオロウラシル(fluorauracil)/レバミゾール、フルオロウラシル(fluorauracil)/ロイコボリン、メトトレキサート/ロイコボリン、及びトラスツズマブ/パクリタキセルの組み合わせであって、単独か、又はカルボプラチンなどとさらに併用するものが、当該技術分野で知られている。
【0060】
本発明のさらなる態様によれば、Akt3関連病態の治療対象として、患者、好ましくはヒトの患者を選択する方法が提供される。この方法は、Akt3の活性又は発現が上昇した患者を特定するステップと、特定された患者を治療対象として選択するステップと、を含む。患者は、本明細書に記載されるような本発明の方法により特定されてよい。
【0061】
好ましくは、Akt3関連病態は癌である。癌は、以下の癌の1つ以上であってよい。すなわち、白血病(例えば急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病(骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病、赤白血病、骨髄異形成症候群等)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒性)白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病等))、真性赤血球増加症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病等)、多発性骨髄腫(くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、孤立性形質細胞腫、髄外性形質細胞腫等)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症、良性単クローン性免疫グロブリン血症、重鎖病、骨及び結合組織の肉腫(骨肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨線維肉腫、脊索腫、骨膜性肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(angiosarcoma)(血管肉腫(hemangiosarcoma))、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、転移性癌、神経鞘腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫等)、脳腫瘍(神経膠腫、星状細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏突起膠腫、非神経膠腫、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、原発性脳リンパ腫等)、乳癌(腺癌、小葉(小細胞)癌、腺管内癌、髄様乳癌、粘液性乳癌、管状乳癌、乳頭癌、原発性癌、パジェット病、炎症性乳癌等)、副腎癌(褐色細胞腫、副腎皮質癌等)、甲状腺癌(乳頭様又は濾胞性甲状腺癌、甲状腺髄様癌、未分化甲状腺癌等)、膵癌(インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン産生腫瘍、カルチノイド又は膵島細胞腫等)、下垂体癌(クッシング病、プロラクチン産生腫瘍、先端巨大症、尿崩症等)、眼癌(眼メラノーマ(例えば虹彩メラノーマ、脈絡膜メラノーマ、毛様体メラノーマ)、網膜芽細胞腫等)、腟癌(扁平上皮癌、腺癌、黒色腫)、外陰癌(扁平上皮癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、パジェット病等)、子宮頸癌(扁平上皮癌、腺癌等)、子宮癌(子宮内膜癌、子宮肉腫等)、卵巣癌(卵巣上皮癌、境界型腫瘍、胚細胞腫瘍、間質性腫瘍等)、食道癌(扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、いぼ状癌、燕麦細胞(小細胞)癌等)、胃癌(腺癌、菌状(ポリープ状)、潰瘍性、表在拡大型、びまん性散在性、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、癌肉腫等)、結腸癌、直腸癌、肝癌(肝細胞癌、肝芽腫等)、胆嚢癌(腺癌等)、胆管癌(乳頭状、結節性、びまん性等)、肺癌(非小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌、小細胞肺癌等)、精巣癌(生殖細胞腫瘍、セミノーマ、未分化、古典的(典型的)、精母細胞性、非セミノーム性、胚性癌腫、奇形癌腫、絨毛癌(ヨークザック腫瘍)等)、前立腺癌(腺癌、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫等)、性器癌(陰茎癌等)、口腔癌(扁平上皮癌等)、基底癌、唾液腺癌(腺癌、粘表皮癌、腺様嚢胞癌等)、咽頭癌(扁平上皮癌、いぼ状等)、皮膚癌(基底細胞癌、扁平上皮癌及び黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、黒子型悪性黒色腫、末端性黒子性黒色腫等)、腎癌(腎細胞癌、腺癌、副腎腫、線維肉腫、移行細胞癌(腎盂及び/又は子宮)等)、ウィルムス腫瘍、膀胱癌(移行上皮癌、扁平上皮癌、腺癌、癌肉腫等)のうちの1以上であってよい。加えて、癌には、粘液肉腫、骨肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽細胞腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性肺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌等が含まれる。好ましくは、癌は、乳癌、黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、肺癌又は神経膠腫から選択される。より好ましくは、癌は転移性乳癌である。
【0062】
転移性癌の治療は、原発腫瘍がどこに位置するかに依存する。例えば乳癌が肺に広がる場合、それは依然として乳癌であり、治療は、乳房の範囲内の転移性癌原発部位により決定され、それが現在肺にあるということによって決定されるのではない。時間全体の約5パーセントは転移性癌が発見されるが、原発腫瘍は特定することができない。このような転移性癌の治療は、その原発部位でなく、その位置に左右される。転移性癌は、原発腫瘍の組織(分かる場合)により命名される。例えば、脳に広がった乳癌は、脳への転移性乳癌と呼ばれる。
【0063】
本発明の方法により特定又は選択された患者は、治療されてもよいし、治療対象として選択されてもよい。例えば、Akt3発現が原発腫瘍で上方制御されることが示された場合、これを用いて転移確率の増加を推測することができる。この情報は、治療の選択肢、即ちより積極的な外科的抗癌治療、化学療法的抗癌治療又は放射線療法的抗癌治療、例えば根治的乳房切除術に向けた指針として使用することができる。一部の実施形態では、治療は、任意選択で本明細書に記載される治療剤又は当該技術分野において公知のさらなる治療剤と組み合わせた、Akt3及び/又はAxl阻害薬の投与を含む。好ましくは、Axl阻害薬はBGB324/R428である。
【0064】
本発明はまた、EMTの阻害薬に対して感受性を示す細胞株を提供する。この細胞株は、EMTを妨げるには不十分なAkt3発現レベルを有する。好ましくは、細胞株はヒト細胞株である。
【0065】
本発明はまた、Akt3活性を阻害する化合物を特定する方法を提供する。この方法は、本発明に係る細胞株由来の細胞を試験化合物に接触させるステップと、細胞におけるAkt3活性の阻害を決定するステップと、を含む。
【0066】
本発明の一態様は、対象における上皮間葉転換(Epitherial−to−Mesenchymal Transition:EMT)の発生を検出するためのバイオマーカーとしてのAkt3の使用に関する。一部の実施形態では、EMTの発生は、Akt3の発現及び/又は活性化の増加により示される。
【0067】
遠隔部位への転移は、固形腫瘍による死亡の最も一般的な原因である(Gupta 2006,Sporn 1996)。これを達成するため、腫瘍細胞は上皮の拘束を捨て、結合複合体を再定義し、浸潤運動性を獲得することにより、基底膜境界を突破する。次に、このような転移性細胞はリンパ及び血行循環へと血管内侵入し、身体の遠隔部位に広がる。これらの転移性細胞のごく一部が毛細血管壁を通って血管外遊出することに成功し、まれな例では異組織間質を定着させる(Weinberg他)。この悪性の過程は、上皮間葉転換(EMT)、即ち、原腸形成及び器官形成の間に上皮細胞が一過性に間葉表現型をとり、単細胞が浸潤性の移動により上皮層から離れることが可能となる発生プログラムによって促進される(Hall,1985;Thierry,2002)。EMTプログラムは、Twist、Snail、Slug、Zeb2等の転写調節因子の発現を誘導するモルフォゲンシグナル伝達経路のコンテクストによる活性化により惹起され、これらの転写調節因子により、結合複合体タンパク質の発現が変化する(Thiery and SLeeman、2006)。EMT遺伝子発現プロファイルは、表現型シフト、E−カドヘリン及びサイトケラチンの抑制と、ビメンチン及びN−カドヘリンの誘導を反映する(Weinberg他、2007)。
【0068】
用語「マーカー」又は「バイオマーカー」は、本明細書では、上皮間葉転換(EMT)が起こったときに、細胞又は哺乳動物に由来する試料中におけるその発現が変化し又は調節される(例えば上方制御又は下方制御される)遺伝子又はタンパク質を指して使用される。バイオマーカーがタンパク質である場合、発現の調節又は変化は、種々の翻訳後修飾を介した調節を包含する。
【0069】
翻訳後修飾は、タンパク質分解切断によるか又は1つ以上のアミノ酸に対する修飾基の付加によりタンパク質の特性を変化させる共有結合性のプロセシングイベントである。一般的な翻訳後修飾には、リン酸化、アセチル化、メチル化、アシル化、グリコシル化、GPIアンカー、ユビキチン化などが含まれる。かかる修飾及び検出方法のレビューは、非特許文献10を参照することができる。
【0070】
また、本明細書には、Axlの発現及び/又は活性化を検出するためのバイオマーカーとしてのAkt3の使用が提供される。ここで、Axlの発現及び/又は活性化の増加は、Akt3の発現及び/又は活性化の増加により示される。
【0071】
用語「発現」は、遺伝子のDNA鋳型を転写して対応するmRNAを産生し、このmRNAを翻訳して対応する遺伝子産物(即ち、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質)を産生することと、翻訳後修飾を受けた場合もあり得る1以上の形態のタンパク質の「発現」とを指す。
【0072】
遺伝子発現等の発現レベルの検出は、当該技術分野において公知の方法のいずれか1つにより、特にマイクロアレイ解析、ウエスタンブロッティング又はQPCR等のPCR技法により行われてよい。発現の変化はまた、本明細書に記載されるようにELISA、PET、SELDI−TOF MS等の方法を用いて、また、2Dゲル電気泳動などのさらなる解析手法を用いて、試料のタンパク質含量を分析することによって検出されてもよい。このような技法は、選択的な翻訳後修飾された形態のタンパク質の形で発現の変化を検出するのに特に有用であり得る。
【0073】
好適な試料としては、限定はされないが、組織試料(生検、血液、尿、口腔内擦過物等)、血清、血漿、組織培養上清試料等が挙げられる。一実施形態において、遺伝子発現は好ましくは、腫瘍細胞(乳癌、肺癌、胃癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、腎癌、膵癌、子宮癌、肝癌、膀胱癌、子宮内膜癌、前立腺癌等)及び白血病に由来する細胞又はリンパ球等の血球細胞、好ましくはPBMCなどの末梢リンパ球に由来する細胞において検出される。
【0074】
血清中、詳細には患者の血漿試料中のタンパク質の検出では、試料が採取され、本明細書に記載されるように、フローサイトメトリー、ELISA、PET、SELDI−TOF MSなどのタンパク質解析手法に供される。
【0075】
好ましい一実施形態において、この方法は、前記試料からRNAを抽出するステップと、QPCRにより遺伝子発現を検出するステップと、を含む。
【0076】
一実施形態では、タンパク質産物を例えばウエスタンブロットにより検出することにより、遺伝子発現が検出される。
【0077】
本発明のさらなる態様は、試料において上皮間葉転換(EMT)の発生を検出する方法を提供する。前記方法は、細胞、細胞群、動物モデル又はヒトから単離された試料における対照試料対比のAkt3の発現レベル又は活性化レベルを決定するステップを含み、ここで対照試料対比のAkt3の発現レベル又は活性化レベルの増加が、上皮間葉転換(EMT)の発生の指標となる。
【0078】
本発明のさらなる態様は、上皮間葉転換(EMT)を阻害又は逆転する能力を有する薬剤を特定する方法に関する。この方法は、細胞、細胞群又は動物モデルに前記薬剤を投与するステップと、Akt3の活性化及び/又は発現をモニタリングするステップと、を含む。
【0079】
一実施形態において、この方法は、
(i)ヒトにではなく、細胞、細胞群又は動物モデルに薬剤を投与するステップと、
(ii)処理済み及び未処理の細胞又は動物モデルに由来する試料において、Akt3発現及び/又はAkt3活性化を測定するステップと、
(iii)上皮間葉転換(EMT)を阻害又は逆転する能力の指標として、未処理試料と比較して、処理済み試料におけるAkt3の発現及び/又は活性化の増加を検出するステップと、
を含む。
【0080】
一部の実施形態では、動物モデルはヒトではない。
【0081】
一部の実施形態では、Akt3の発現レベルは、Akt3をコードする遺伝子のコピー数を対照試料と比較して決定することにより評価され、ここでコピー数の増加は、Akt3の発現レベルの増加を示す。
【0082】
一部の実施形態では、Akt3の発現レベルは、Akt3のタンパク質レベル又はmRNAレベルを決定することにより評価される。
【0083】
一部の実施形態では、Akt3活性は、Akt3のリン酸化を決定することにより評価され、ここでAkt3のリン酸化はAkt3活性を示す。Akt3リン酸化は、本明細書に記載されるように、セリン472で決定されてよい。代替又は追加として、リン酸化は、スレオニン305及び/又はチロシン174で決定されてもよい。
【0084】
一部の実施形態では、Akt3活性は、Akt3タンパク質の細胞内局在性を決定することにより評価され、ここで核における局在は活性Akt3を示す。
【0085】
一部の実施形態では、Akt3活性は、下流標的、例えばEMTに関連する遺伝子の発現レベルを決定することにより評価される。さらなる実施形態において、Akt3キナーゼ活性が、例えば非特許文献9に記載されるように、基質タンパク質(例えばSNAIL)又はペプチドのリン酸化を決定することにより評価されてもよい。
【0086】
Akt3
Akt3(PKBγとしても知られる)は、ヒトにおいて2つのアイソフォーム、即ちアイソフォーム1及びアイソフォーム2で存在する。「カノニカル」な配列であるアイソフォーム1(Q9Y23、バージョン1)の配列は、以下のとおりである。
【化1】
【0087】
アイソフォーム2は以下の配列を有する。
【化2】
【0088】
遺伝子/タンパク質マーカーの発現変化の測定
遺伝子及びタンパク質の発現レベルは、複数の異なる技法を用いて決定されてよい。
【0089】
(a)RNAレベルにおいて
遺伝子発現はRNAレベルで検出することができる。RNAは、例えば、酸性フェノール/グアニジンイソチオシアネート抽出(RNAzol B;Biogenesis)、RNeasy RNA調製キット(Qiagen)又はPAXgene(PreAnalytix、スイス)を使用することを含むRNA抽出技法を用いて細胞から抽出されてよい。リボ核酸ハイブリダイゼーションを利用する典型的なアッセイフォーマットとしては、核ランオンアッセイ、RT−PCR、RNアーゼ保護アッセイ(非特許文献11)、ノーザンブロッティング及びインサイチュハイブリダイゼーションが挙げられる。遺伝子発現はまた、以下に記載するようにマイクロアレイ解析によっても検出することができる。
【0090】
ノーザンブロッティングは、初めに変性条件下でのアガロースゲルにおける電気泳動によってRNA試料をサイズで分離する。次にRNAを膜に移し、標識プローブと架橋及びハイブリダイズさせる。非同位体又は高比活性放射標識プローブを、ランダムプライミングされるか、ニックトランスレーションされるか、又はPCR生成されたDNAプローブ、インビトロ転写RNAプローブ、及びオリゴヌクレオチドを含め、使用することができる。加えて、一部のみ相同性を有する配列(例えば、異なる種由来のcDNA又はエクソンを含み得るゲノムDNA断片)を、プローブとして使用してもよい。
【0091】
ヌクレアーゼ保護アッセイ(リボヌクレアーゼ保護アッセイ及びS1ヌクレアーゼアッセイの両方を含む)は、特異的なmRNAを検出及び定量化するための極めて感度の高い方法を提供する。NPAの基本は、アンチセンスプローブ(放射性標識又は非同位体)とRNA試料との溶液ハイブリダイゼーションである。ハイブリダイゼーション後、一本鎖のハイブリダイズされていないプローブ及びRNAがヌクレアーゼによって分解される。残りの保護された断片がアクリルアミドゲルで分離される。NPAは、いくつかのRNA種の同時検出を可能にする。
【0092】
インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)は、細胞又は組織において特定のmRNAを局在化させるための強力で多目的なツールである。細胞又は組織内でプローブのハイブリダイゼーションが行われる。手順全体にわたり細胞構造が維持されるため、ISHは、組織試料内のmRNAの局在に関する情報を提供する。
【0093】
この手順は、中性緩衝ホルマリン中に試料を固定し、組織をパラフィン包埋することから始まる。次に試料を薄切片にスライスし、顕微鏡スライドにマウントする。或いは、組織は切片化し、凍結し、パラホルムアルデヒドに後固定してもよい。一連の洗浄により切片を脱ろう及び再水和した後、プロテイナーゼK消化を実施してプローブの接触し易さを高め、次に標識プローブを試料切片とハイブリダイズさせる。スライド上で乾燥させた液膜により放射標識プローブを視覚化し、一方、非同位体標識プローブを好都合には比色試薬又は蛍光試薬により検出する。この後者の検出方法は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)の基礎である。
【0094】
用いることのできる検出方法としては、放射性標識、酵素標識、化学発光標識、蛍光標識及び他の好適な標識が挙げられる。
【0095】
典型的には、RT−PCRを使用してRNA標的を増幅する。このプロセスでは、逆転写酵素を使用してRNAを相補DNA(cDNA)に変換し、次にこれを増幅して検出を促進することができる。相対定量RT−PCRには、内部標準を目的の遺伝子と同時に増幅することが含まれる。内部標準を使用して試料を正規化する。正規化後、全試料にわたって特定のmRNAの相対存在量の直接比較を行うことができる。一般に用いられる内部標準としては、例えば、GAPDH、HPRT、アクチン及びシクロフィリンが挙げられる。
【0096】
多くのDNA増幅方法が知られており、そのほとんどは酵素連鎖反応(ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、又は自家持続配列複製法など)に頼るものか、又はそれがクローニングされたベクターの全て又は一部の複製によるものである。
【0097】
多くの標的及びシグナル増幅法(TAS)が、文献、例えば非特許文献12及び非特許文献13におけるこれらの方法の総論的レビューに記載されている。
【0098】
PCRは、とりわけ特許文献12及び特許文献13に記載される核酸増幅法である。PCRを使用することにより、診断のコンテクストにおいてあらゆる既知の核酸を増幅することができる(非特許文献14)。自家持続配列複製法(3SR)はTASの変化形であり、これには、逐次的な逆転写酵素(RT)ラウンドを介した核酸鋳型の等温増幅、酵素カクテル及び適切なオリゴヌクレオチドプライマーにより媒介されるポリメラーゼ及びヌクレアーゼ活性が関わる(非特許文献15)。ライゲーション増幅反応又はライゲーション増幅系は、DNAリガーゼと、標的鎖毎に2つずつの、4つのオリゴヌクレオチドとを使用する。この技法は、非特許文献16により記載されている。Qβレプリカーゼ法では、非特許文献17により記載されるように、一本鎖RNAを複製するバクテリオファージQβ用のRNAレプリカーゼを使用して標的DNAを増幅する。
【0099】
定量的PCR(Q−PCR)は、試料中における転写物の相対量の決定を可能にする技法である。QPCRの好適な実施方法は、本明細書に記載される。
【0100】
本発明では選択的増幅法を利用することができる。例えば、ローリングサークル増幅(非特許文献18)は市販の増幅法であり(RCAT(商標))、これはDNAポリメラーゼによって駆動され、等温条件下で線形的或いは幾何学的動力学で環状オリゴヌクレオチドプローブを複製することができる。さらなる技法の鎖置換増幅(SDA;非特許文献19)は、特定の標的に固有の特異的に定義された配列から始める。
【0101】
本明細書で特定されるAkt3又はAkt2の発現の検出に好適なプローブは、好都合には、検査キットの形で好適な容器にパッケージ化されてもよい。かかるキットでは、プローブが固体支持体に結合していてもよく、ここでキットの設計のアッセイフォーマットにはかかる結合が必要である。キットはまた、プローブする試料の処理、プローブと試料中の核酸とのハイブリダイズに好適な試薬、対照試薬、説明書なども含んでよい。好適なキットは、例えば、QPCR反応用のプライマー又はFISHの実施用の標識プローブを含んでよい。
【0102】
(b)ポリペプチドレベルにおいて
遺伝子又はタンパク質発現の変化はまた、Akt3又はAkt2遺伝子によりコードされるポリペプチドを測定することによっても検出されてよい。これは、Akt3又はAkt2遺伝子によりコードされるポリペプチドに結合する分子を使用して達成することができる。タンパク質の存在を検出するため直接、或いは間接的にポリペプチドと結合する好適な分子/薬剤には、ペプチド及びタンパク質、例えば抗体などの天然に存在する分子が含まれ、又はそれは合成分子であってもよい。
【0103】
Akt3又はAkt2遺伝子又はタンパク質に対する抗体は商業的供給元から得られてもよく、又は当業者が熟知している技法を用いて得られてもよい。一実施形態において、発現の変化が、翻訳後修飾された形態のタンパク質バイオマーカーの変化の発現によって現れる場合、それらの種々の形態に特異的な抗体が使用されてよい。
【0104】
抗体の産生方法は当業者に公知である。ポリクローナル抗体が望ましい場合、選択された哺乳動物(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等)が、あるポリペプチドのエピトープを有する免疫原性ポリペプチドで免疫される。免疫動物の血清が採取され、公知の手順に従い処理される。ポリペプチドのエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する血清が他の抗原に対する抗体を含有する場合、そのポリクローナル抗体は、イムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。ポリクローナル抗血清の産生及び処理技法は当該技術分野において公知である。より広い免疫原性反応を生じさせるため、ポリペプチド又はその断片を、動物又はヒトにおける免疫原として使用される別のポリペプチドとハプテン化してもよい。
【0105】
ポリペプチドにおけるエピトープに対するモノクローナル抗体は、当業者が容易に生成することもできる。ハイブリドーマによりモノクローナル抗体を作製するための一般的手法が周知されている。細胞融合により、また、腫瘍原性DNAによるBリンパ球の直接形質転換、又はエプスタイン・バーウイルスによるトランスフェクションなどの他の技法によっても、不死化抗体産生細胞株を作成することができる。本発明のポリペプチドにおけるエピトープに対して産生されるモノクローナル抗体のパネルを、様々な特性;即ち、アイソタイプ及びエピトープ親和性に関してスクリーニングすることができる。
【0106】
代替的な技法には、ファージディスプレイライブラリをスクリーニングすることが含まれ、ここで例えばファージは、多種多様の相補性決定領域(CDR)を有するその外被の表面上にscFv断片を発現する。この技法は当該技術分野において周知されている。
【0107】
この発明の目的上、用語「抗体」は、反する旨が明記されない限り、全抗体、又は標的抗原に対するその結合活性を保持する全抗体の断片を含む。かかる断片には、Fv、F(ab’)及びF(ab’)
2断片、並びに一本鎖抗体(scFv)が含まれる。さらに、抗体及びその断片は、例えば特許文献14に記載されるようなヒト化抗体であってもよい。例えば、モノクローナル及びポリクローナル抗体、組換え抗体、抗体のタンパク質分解性及び組換え断片(Fab、Fv、scFv、ダイアボディ)、シングルドメイン抗体(VHH、sdAb、ナノボディ、IgNAR、VNAR)、抗体と無関係なタンパク質であって抗体様特異的結合を有するように構成されているもの等がある。例を以下に挙げる(名称とベースとなっているものを列挙する)。
Affibody プロテインA、Zドメイン 6kDa
Affitin Sac7d(スルホロブス・アシドカルダリウス(Sulfolobus acidocaldarius)由来) 7kDa
Anticalin リポカリン 20kDa
DARPin アンキリン反復モチーフ 14kDa
Fynomer Fyn、SH3ドメイン 7kDa
Kunitzドメインペプチド 様々なプロテアーゼ阻害薬 6kDa
モノボディ フィブロネクチン
【0108】
上記に記載したような免疫ブロット法などの標準的な実験技術を使用して、同じ細胞集団における未処置細胞と比較したときのAkt3又はAkt2活性レベルの変化を検出することができる。
【0109】
遺伝子発現はまた、ポリペプチドの翻訳後プロセシング又は核酸の転写後修飾の変化を検出することによって決定されてもよい。例えば、ポリペプチドの示差的リン酸化、ポリペプチドの切断又はRNAの選択的スプライシングなどを測定してよい。ポリペプチドなどの遺伝子産物の発現、並びにその翻訳後修飾のレベルは、2Dポリアクリルアミドゲル電気泳動などの有標のタンパク質アッセイ又は技術を使用して検出されてよい。
【0110】
Akt3又はAkt2発現の検出には、抗体が用いられてよい。該検出は、(a)抗体を提供するステップと、(b)抗体抗原複合体の形成を可能にする条件下で生体試料を該抗体と共にインキュベートするステップと、(c)該抗体を含む抗体抗原複合体が形成されるかどうかを判定するステップと、を含む方法により行われてよい。
【0111】
好適な試料としては、脳、乳房、卵巣、肺、結腸、膵臓、精巣、肝臓、筋肉及び骨組織などの組織の抽出物、又はかかる組織に由来する腫瘍性成長からの抽出物が挙げられる。他の好適な例には、血液又は尿試料が含まれる。
【0112】
Akt3又はAkt2タンパク質に特異的に結合する抗体を、当業者に公知の診断又は予知方法及びキットに使用して、体液又は組織におけるAkt3又はAkt2タンパク質の発現を検出又は定量化することができる。これらの試験結果を使用して、癌の発生又は再発及び他の細胞運動性又は細胞生存介在性疾患を診断又は予測することができ、又は薬物投薬量及び治療の有効性を評価することができる。
【0113】
抗体は、当該技術分野において公知の任意の方法により、免疫特異的結合についてアッセイすることができる。用いることのできるイムノアッセイとしては、限定はされないが、ウエスタンブロット、免疫組織化学、ラジオイムノアッセイ、ELISA、サンドイッチイムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル内拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、イムノラジオメトリックアッセイ、蛍光イムノアッセイ及びプロテインAイムノアッセイなどの技法を用いる競合及び非競合アッセイシステムが挙げられる。かかるアッセイは当該技術分野では常法である(例えば、非特許文献20(参照により全体として本明細書に援用される)を参照のこと)。
【0114】
本発明において使用される抗体は、好ましくは固体支持体に結合され、及び/又はキットとして好適な容器に、好適な試薬、対照標準、説明書などと共にパッケージ化される。
【0115】
他の方法としては、限定はされないが2D−PAGEが挙げられ、しかしながらこれは、大規模スクリーニングにはそれほど好適でない。最新の技法には、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF MS)が含まれる。MALDI−TOF分析では、複合混合物中のタンパク質が固体金属マトリックスに固着され、パルスレーザービームで脱離されることにより気相イオンが生成され、この気相イオンがフィールドフリー飛行管を横断し、次にその質量依存速度に応じて分離される。個々のタンパク質及びペプチドは、情報科学ツールを使用してタンパク質及びペプチド配列データベースを検索することにより特定されてよい。表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型MS(SELDI−TOF MS)は親和性ベースのMS法であり、タンパク質が化学修飾固体表面に選択的に吸着され、不純物が洗浄により取り除かれ、エネルギー吸収マトリックスが加えられ、タンパク質がレーザー脱離質量分析により特定される。
【0116】
SELDI−TOF−MSは、特定のタンパク質のインタクトなタンパク質又は断片のいずれの出現/消失の検出にも使用することができる。加えて、化学基の付加/除去によって質量に差が生じるため、SELDI−TOF−MSはタンパク質の翻訳後修飾の検出にも使用することができる。従って単一の残基のリン酸化が、リン酸基に起因して80Daの質量シフトを引き起こし得る。翻訳後修飾に帰することのできる分子量のデータベースは、インターネット上で自由にアクセス可能である(http://www.abrf.org/index.cfm/dm.home?avgmass=all)。さらに、特定のポリペプチドを、SELDI−TOF−MSを使用する親和性ベースの手法により、翻訳後修飾された形態のタンパク質を特異的に認識する抗体、又はあらゆる形態のタンパク質を同等に十分に認識することのできる抗体を用いて捕捉することができる。
【0117】
アレイ
アレイ技術並びにそれに関連する様々な技術及び応用は、概して数多くのテキストブック及び文献に記載されている。それらとしては、非特許文献21、非特許文献22、非特許文献23、非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26、非特許文献27、及びまた様々なワールドワイドウェブサイトが挙げられる。
【0118】
アレイ技術は、概して「1回の実験で1つの遺伝子」に基づき作業する結果としてスループットが低くなり、且つ遺伝子機能の「全体像」を理解することができないという分子生物学の従来方法の欠点を解消する。現在、アレイ技術の主な用途としては、配列(遺伝子/遺伝子突然変異)の特定及び遺伝子の発現レベル(存在量)の決定が挙げられる。遺伝子発現プロファイリングは、アレイ技術を任意選択でプロテオミクス技術と組み合わせて利用してよい(非特許文献28、非特許文献29、非特許文献30)。アレイ技術の他の用途もまた当該技術分野において公知である;例えば、遺伝子発見、癌研究(非特許文献31、非特許文献32、非特許文献33)、SNP解析(非特許文献34)、創薬、ファーマコゲノミクス、疾患診断(例えば、マイクロフルイディクス装置を利用する:非特許文献35)、毒物学(非特許文献36、非特許文献37)及びトキシコゲノミクス(機能ゲノミクスと分子毒性学との掛け合わせ)。トキシコゲノミクスの目標は、毒物に対する毒性反応と、かかる毒物に曝露された対象の遺伝子プロファイルの変化との間の相関を見出すことである(非特許文献38)。
【0119】
本発明との関連においてアレイ技術は、例えば、Akt3又はAkt2タンパク質又はmRNAの発現解析に使用することができる。一実施形態では、アレイ技術を使用してAkt3活性に対する候補化合物の効果をアッセイしてよい。
【0120】
一般には、任意のライブラリ又は一群の試料が、ライブラリ又は群のメンバーを空間的に分けることにより、秩序立った方法でアレイに並べられてよい。配列するのに好適なライブラリの例としては、とりわけ、核酸ライブラリ(DNA、cDNA、オリゴヌクレオチド等のライブラリを含む)、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質ライブラリ、並びに任意の分子を含むライブラリ、例えばリガンドライブラリが挙げられる。従って、本文書で「ライブラリ」に言及する場合、文脈上別段の指示がない限り、かかる言及は、アレイの形態のライブラリに対する言及を含むものと解釈されなければならない。
【0121】
試料(例えばライブラリのメンバー)は、概して、試料の拡散及び混合を制限するため固相、好ましくは固体基板に固定又は不動化される。好ましい実施形態において、DNA結合リガンドのライブラリが調製されてもよい。詳細には、このライブラリは、膜及び非多孔質基板、例えばプラスチック及びガラスを含めた略平面固相に不動化されてよい。さらに、試料は好ましくは、索引付け(即ち、特定の試料への参照又はアクセス)が促進されるような方法で並べられる。典型的には試料は格子状編成のスポットとして加えられる。一般的なアッセイシステムを本目的に適合させることができる。例えば、アレイはマイクロプレートの表面に、あるウェルに複数の試料を含んで、又は各ウェルに単一の試料を含んで不動化されてもよい。さらに、固体基板は、膜、例えばニトロセルロース又はナイロン膜(例えばブロッティング実験で使用される膜)であってもよい。代替的な基板としては、ガラス、又はシリカをベースとする基板が挙げられる。従って、試料は当該技術分野において公知の任意の好適な方法により、例えば、電荷相互作用によるか、又は壁若しくはウェル底面、又は膜の表面との化学的カップリングにより、不動化される。
【0122】
他の配列及び固定手段、例えば、ピペッティング、ドロップタッチ(drop−touch)、圧電手段、インクジェット及びバブルジェット(登録商標)技術、静電印加等が用いられてもよい。シリコンベースのチップの場合、試料をチップ上に配列及び固定するためにフォトリソグラフィが利用されてもよい。
【0123】
試料は、固体基板上に「スポッティングする」ことにより並べられてもよい;これは、手作業で、又はロボティクスを利用して試料を堆積させることにより行われてよい。一般に、アレイはマクロアレイ又はマイクロアレイとして記載することができ、違いは試料スポットのサイズである。マクロアレイは、典型的には約300ミクロン又はそれ以上の試料スポットサイズを含み、既存のゲル及びブロットスキャナにより容易に画像化することができる。マイクロアレイにおける試料スポットサイズは、典型的には直径200ミクロン未満であり、これらのアレイは、通常、数千個のスポットを含む。従って、マイクロアレイには、特注の必要があり得る特殊なロボティクス及び画像化機器が必要となり得る。機器類については、概して非特許文献39によるレビューに記載される。
【0124】
不動化したDNA分子ライブラリの作製技術は、当該技術分野で記載がなされている。概して、ほとんどの先行技術の方法が、一本鎖核酸分子ライブラリをどのように合成するか、例えばマスキング技術を使用して固体基板上の様々な個別の位置に様々に並び替えた配列を作り上げることについて記載した。特許文献15(この内容は参照により本明細書に援用される)は、極めて大規模な集積化技術に基づきシリコン基板に不動化されたDNAアレイを作製する改良された方法を記載する。詳細には、特許文献15は、基板上の空間的に定義された位置に特定のプローブセットを合成する「タイリング」と呼ばれる戦略について記載しており、これは本発明の不動化されたDNAライブラリの作製に用いられてよい。特許文献15はまた、同様に用いられ得る先行技術に関する文献も提供する。
【0125】
ペプチド(又はペプチド模倣体)のアレイはまた、表面上で、アレイにおける別々の所定位置に個別の各ライブラリメンバー(例えばユニークなペプチド配列)を置く方法で合成することもできる。各ライブラリメンバーのアイデンティティは、アレイにおけるその空間的位置によって決定される。アレイにおいて、所定の分子(例えば標的又はプローブ)と反応性のライブラリメンバーとの間の結合相互作用が起こる位置が決定され、それにより空間的位置に基づいて反応性のライブラリメンバーの配列が特定される。これらの方法は、特許文献16、特許文献17、特許文献18、非特許文献40及び非特許文献41に記載される。
【0126】
検出を支援するため、標的及びプローブは、任意の容易に検出可能なレポーター、例えば、蛍光、生物発光、リン光、放射性等のレポーターで標識されてよい。かかるレポーター、その検出、標的/プローブとのカップリング等は、本文書の他の部分で考察される。プローブ及び標的の標識はまた、非特許文献42にも開示されている。
【0127】
DNAアレイの具体的な例としては、以下が挙げられる:
フォーマットI:プローブcDNA(約500〜約5,000塩基長)が、ロボットスポッティングを使用してガラスなどの固体表面に不動化され、別々に、或いは混合物中において一組の標的に曝露される。この方法は、スタンフォード大学(Stanford University)で開発されたものとして広く認められている(非特許文献43)。
【0128】
フォーマットII:オリゴヌクレオチドのアレイ(約20〜約25merオリゴ)又はペプチド核酸(PNA)プローブが、インサイチュ(オンチップ)で、或いは従来の合成と、続くオンチップ不動化により合成される。標識された試料DNAにアレイが曝露され、ハイブリダイズされ、相補配列のアイデンティティ/存在量が決定される。かかるDNAチップはAffymetrix,Inc.によりGeneChip(登録商標)の商標で販売されている。
【0129】
いくつかの市販のマイクロアレイフォーマットの例が、例えば、非特許文献44に詳説されている。
【0130】
データ解析もまた、アレイが関わる実験の重要な一部分である。マイクロアレイ実験の生データは典型的には画像であって、これは遺伝子発現行列に変換する必要があり、遺伝子発現行列は、行が例えば遺伝子を表し、列が例えば様々な試料、例えば組織又は実験条件を表すテーブルであり、各細胞における数値が、例えば特定の試料中における特定の遺伝子の発現レベルを特徴付ける。根底にある生物学的過程に関する任意の情報が抽出されるべき場合には、これらの行列をさらに分析する必要がある。データ解析方法(教師付き及び教師なしデータ解析並びにバイオインフォマティクス手法を含む)は、非特許文献45に開示されている。
【0131】
上記に開示されるように、タンパク質、ポリペプチド等もまたアレイに不動化されてよい。例えば、タンパク質チップを使用したプロテオームのマイクロアレイ解析において抗体が使用されている(非特許文献46)。ポリペプチドアレイについては、例えば、非特許文献47にレビューされる。
【0132】
医薬組成物
さらなる態様は、薬学的に許容可能な希釈剤、賦形剤又は担体と混合された、上述の方法のいずれかにより特定されるAkt3阻害薬又は他の薬剤を含む医薬組成物に関する。
【0133】
本発明に係る使用に関して、薬剤は、化合物又はその生理学的に許容可能な塩、エステル若しくは他の生理学的に機能性の誘導体を、1つ以上の薬学的に許容可能な担体及び任意選択で他の治療用及び/又は予防用成分と共に含む医薬製剤として提供されてもよい。担体は、製剤の他の成分と適合性を有し、且つそのレシピエントにとって有害でないという意味で、許容されるものでなければならない。医薬組成物は、ヒト及び獣医学におけるヒト使用又は動物使用に向けたものであってよい。
【0134】
本明細書に記載される種々の異なる形態の医薬組成物に好適なかかる賦形剤の例は、非特許文献48を参照することができる。
【0135】
治療用途に許容可能な担体又は希釈剤は薬学の技術分野で周知されており、例えば、非特許文献49に記載されている。
【0136】
好適な担体の例としては、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ソルビトールなどが挙げられる。好適な希釈剤の例としては、エタノール、グリセロール及び水が挙げられる。
【0137】
医薬担体、賦形剤又は希釈剤の選択は、意図する投与経路及び標準的な薬務に関連して選択することができる。医薬組成物は、担体、賦形剤又は希釈剤として、又はそれに加えて、任意の好適な結合剤、潤滑剤、懸濁剤、コーティング剤、可溶化剤、緩衝剤、香味剤、表面活性剤、増粘剤、保存剤(抗酸化剤を含む)など、及び製剤を意図するレシピエントの血液と等張性にする目的で含められる物質を含んでよい。
【0138】
好適な結合剤の例としては、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えばグルコース、無水ラクトース、易流動性ラクトース、βラクトース、コーンシロップ、天然及び合成ゴム、例えば、アカシア、トラガカント又はアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0139】
好適な潤滑剤の例としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。
【0140】
保存剤、安定剤、色素及びさらには香味剤が、医薬組成物中に提供されてもよい。保存剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられる。抗酸化剤及び懸濁剤もまた用いられてよい。
【0141】
医薬製剤には、経口、局所(経皮、頬側及び舌下を含む)、直腸内又は非経口(皮下、皮内、筋肉内及び静脈内を含む)、例えば吸入による経鼻及び肺内投与に好適なものが含まれる。製剤は、適切な場合には、好都合には個別の投薬量単位で提供されてもよく、薬学の技術分野において公知の方法のいずれによって調製されてもよい。全ての方法が、活性化合物を液体担体又は微粉化された固体担体又は両方と集合させて、次に、必要であれば、生成物を所望の製剤に成形するステップを含む。
【0142】
担体が固体である場合の経口投与に好適な医薬製剤は、最も好ましくは、所定量の活性薬剤を各々含有するボーラス、カプセル又は錠剤などの単位用量製剤として提供される。錠剤は圧縮又は成形によって、任意選択で1つ以上の補助成分と共に作製されてよい。圧縮錠剤は、好適な機械において、粉末又は顆粒などの易流動性の形態の活性薬剤を、任意選択で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、潤滑剤、界面活性剤又は分散剤と混合して圧縮することにより調製されてよい。成形錠剤は、活性薬剤を不活性な液体希釈剤と共に成形することにより作製されてよい。錠剤は任意選択でコーティングが施されてもよく、コーティングなしの場合、任意選択で割線が設けられてもよい。カプセルは、活性薬剤を単独で、或いは1つ以上の補助成分と混合してカプセルシェルに充填し、次にそれを常法で密封することにより調製されてよい。カシェ剤はカプセルと類似しており、活性薬剤が任意の補助成分と共にオブラート嚢(rice paper envelope)に密封される。活性薬剤はまた、分散性顆粒として製剤化されてもよく、これは例えば投与前に水中に懸濁されてもよいし、食物の上に振り掛けられてもよい。顆粒は、例えばサシェに包装されてもよい。担体が液体である場合の経口投与に好適な製剤は、水性又は非水性液体中の溶液又は懸濁液として提供されてもよいし、水中油型液体エマルションとして提供されてもよい。
【0143】
経口投与用の製剤には、放出制御剤形、例えば、活性薬剤が適切な放出制御マトリックス中に製剤化される錠剤、又は好適な放出制御膜でコーティングされる錠剤が含まれる。かかる製剤は、特に予防用途に好都合であり得る。
【0144】
担体が固体である場合の直腸投与に好適な医薬製剤は、最も好ましくは単位用量坐薬として提供される。好適な担体としては、カカオ脂及び当該技術分野で一般的に使用される他の材料が挙げられる。坐薬は、好都合には、活性薬剤を軟化又は溶融させた担体と混合し、続いて冷却及び型で成形することにより形成されてよい。
【0145】
非経口投与に好適な医薬製剤としては、水性又は油性媒体中にある活性薬剤の無菌溶液又は懸濁液が挙げられる。
【0146】
注射用製剤はボーラス注射又は持続注入用に適合されてよい。かかる製剤は、好都合には単位用量又は複数用量容器に提供され、そうした容器は製剤の導入後、使用のため必要となるまで密封される。或いは、活性薬剤は粉末形態であってもよく、これは使用前に無菌パイロジェンフリー水などの好適な媒体で構成される。
【0147】
活性化合物はまた長時間作用型デポ製剤として製剤化されてもよく、これは、筋肉内注射によるか、又は例えば皮下若しくは筋内への植え込みにより投与されてよい。デポ製剤としては、例えば、好適な高分子若しくは疎水性材料、又はイオン交換樹脂を挙げることができる。かかる長時間作用型製剤は、予防用途に特に好都合である。
【0148】
頬側口腔からの肺内投与に好適な製剤は、活性化合物を含有し、且つ望ましくは0.5〜7ミクロンの範囲の直径を有する粒子がレシピエントの気管支樹に送達されるようにして提供される。
【0149】
1つの可能性として、かかる製剤は微粉砕された粉末の形態であり、これは好都合には、好適には例えばゼラチンの、吸入装置で使用される穿孔可能なカプセルで提供されてもよく、或いは、活性薬剤、好適な液体又は気体推進剤及び任意選択で他の成分、例えば界面活性剤及び/又は固体希釈剤を含む自己推進型製剤として提供されてもよい。好適な液体推進剤としてはプロパン及びクロロフルオロカーボンが挙げられ、好適な気体推進剤としては二酸化炭素が挙げられる。活性薬剤が溶液又は懸濁液の液滴の形態で分注される自己推進型製剤もまた用いられてよい。
【0150】
かかる自己推進型製剤は、当該技術分野において公知のものと類似しており、確立された手順により調製されてよい。好適には自己推進型製剤は、所望の噴霧特性を有する手動で操作可能か或いは自動で機能するバルブを備えた容器に提供される;有利には、バルブは、その動作毎に一定量、例えば25〜100マイクロリットルを送達する定量式である。
【0151】
さらなる可能性として、活性薬剤は、アトマイザー又はネブライザーで使用される溶液又は懸濁液の形態であってもよく、これにより加速気流又は超音波撹拌を用いて吸入用の微細液滴ミストが作られる。
【0152】
経鼻投与に好適な製剤としては、上記に肺内投与に関して記載されるものと略同様の製剤が挙げられる。分注時、かかる製剤は望ましくは、鼻腔に滞留させることが可能であるように、10〜200ミクロンの範囲の粒径を有しなければならない;これは、必要に応じて、好適な粒度の粉末を使用することによるか又は適切なバルブを選択することにより達成されてよい。他の好適な製剤としては、鼻に密接して保持された容器から鼻道を介する急速吸入による投与用の20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗末、及び水性又は油性溶液又は懸濁液中0.2〜5%w/vの活性薬剤を含む点鼻液が挙げられる。
【0153】
薬学的に許容可能な担体は当業者に周知されており、限定はされないが、0.1M、好ましくは0.05Mリン酸緩衝液又は0.8%生理食塩水が挙げられる。加えて、かかる薬学的に許容可能な担体は、水性又は非水性溶液、懸濁液、及びエマルションであってもよい。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブ油、及び注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルである。水性担体としては、水、アルコール溶液/水溶液、エマルション又は懸濁液、例えば生理食塩水及び緩衝媒体が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液又は固定油が挙げられる。例えば、抗菌薬、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどの保存剤及び他の添加剤もまた存在してよい。
【0154】
局所製剤に好適な製剤は、例えばゲル、クリーム又は軟膏として提供されてよい。かかる製剤は、例えば創傷又は潰瘍に対し、その創傷又は潰瘍の表面に直接塗り広げるか、又は好適な支持体、例えば包帯、ガーゼ、メッシュなどに付着させ、それを処置範囲に、そこを覆うように当てて適用されてよい。
【0155】
液体又は粉末製剤が提供されてもまたよく、これは、処置部位、例えば創傷又は潰瘍に直接噴霧又は散布することができる。或いは、包帯、ガーゼ、メッシュなどの担体に製剤を噴霧又は散布して、次にそれを処置部位に当ててもよい。
【0156】
本発明のさらなる態様によれば、上記に記載したような医薬品又は獣医用組成物の調製方法が提供され、この方法は、活性化合物を担体と例えば混合することにより集合させるステップを含む。
【0157】
一般に、製剤は、均一且つ均質に活性薬剤を液体担体又は微粉化された固体担体又は両方と集合させて、次に必要であれば生成物を成形することにより調製される。本発明は、薬剤を薬学的又は獣医学的に許容可能な担体又はビヒクルと集合させるステップを含む、医薬組成物の調製方法にまで及ぶ。
【0158】
投与
本発明の医薬組成物は、直腸、経鼻、気管支内、局所(頬側及び舌下を含む)、腟内又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内、動脈内及び皮内を含む)、腹腔内又は髄腔内投与に適合されてよい。好ましくは、製剤は経口投与製剤である。製剤は好都合には、単位剤形で、即ち、単位用量を含有するか、又は単位用量の複数単位若しくは部分単位を含有する個別の部分量の形態で提供されてよい。例として、製剤は錠剤及び徐放カプセルの形態であってもよく、薬学の技術分野において公知の任意の方法により調製されてよい。
【0159】
本発明における経口投与用製剤は、例えば、所定量の活性薬剤を含有するカプセル、ゼラチンカプセル、ドロップ、カシェ、丸薬、錠剤などの個別単位として提供されてもよいし、粉末又は顆粒として提供されてもよいし、水性液体又は非水性液体中の活性薬剤の溶液、エマルション又は懸濁液として提供されてもよいし、水中油型液体エマルション又は油中水型液体エマルションとして提供されてもよいし、ボーラスとして提供されてもよい。好ましくは、これらの組成物は、用量当たり1〜250mgの活性成分を含有し、より好ましくは10〜100mgの活性成分を含有する。
【0160】
経口投与用組成物(例えば錠剤及びカプセル)に関して、用語「許容可能な担体」は、一般的な賦形剤等の媒体を含み、例えば結合剤(例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、スクロース、デンプン)、充填剤及び担体(例えばコーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、アルギン酸)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム及び他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸グリセロール、ステアリン酸、シリコーン液、タルク、ワックス、油、コロイドケイ酸)を含む。ペパーミント、冬緑油、チェリーフレーバーなどの香味剤もまた使用することができる。剤形を容易に識別可能にするため、着色剤を添加することが望ましいこともある。錠剤はまた、当該技術分野において公知の方法によりコーティングされてもよい。
【0161】
錠剤は圧縮又は成形によって、任意選択で1つ以上の補助成分と共に作製されてよい。圧縮錠剤は、好適な機械において、粉末又は顆粒などの易流動性の形態の活性薬剤を、任意選択で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、界面活性剤又は分散剤と混合して圧縮することにより調製されてよい。成形錠剤は、好適な機械において、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を成形することにより作製されてよい。錠剤は任意選択でコーティングが施されるか、又は割線が付けられてもよく、活性薬剤の遅延放出又は制御放出を提供するように製剤化されてもよい。
【0162】
経口投与に好適な他の製剤としては、香味基剤(通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント)中に活性薬剤を含むロゼンジ、不活性基剤(例えばゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシア)中に活性薬剤を含むトローチ、好適な液体担体中に活性薬剤を含む洗口剤等が挙げられる。
【0163】
他の投与形態としては溶液又はエマルションが挙げられ、該溶液又はエマルジョンは、静脈内、動脈内、髄腔内、皮下、皮内、腹腔内又は筋内に注入されてよく、無菌の溶液又は滅菌可能な溶液から調製される。注射用形態は、典型的には用量当たり10〜1000mg、好ましくは10〜250mgの活性成分を含有する。
【0164】
本発明の医薬組成物はまた、坐薬、ペッサリー、懸濁液、エマルション、ローション、軟膏、クリーム、ゲル、噴霧、溶液又は散粉剤の形態であってもよい。
【0165】
代替的な経皮投与手段は、皮膚パッチの使用によるものである。例えば、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルションからなるクリーム中に活性成分を添合することができる。活性成分はまた、1〜10重量%の濃度で、白ろう又は白色軟パラフィン基剤からなる軟膏中に、必要に応じてかかる安定化剤及び保存剤と共に添合することもできる。
【0166】
投薬量
当業者は、必要以上に実験を行うことなく、対象に投与する本組成物の1つの適切な用量を容易に決定することができる。典型的には、医師が、個々の患者に最適な実際の投薬量を決定し、それは、用いる特定の薬剤の活性、当該の薬剤の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全般的な健康、性別、食事、投与の方式及び時間、排泄速度、併用薬物、特定の病態の重症度、及び個々に行われる治療法を含む様々な要因に依存する。本明細書に開示される投薬量は、平均的なケースの例示である。当然ながら、より高い又はより低い投薬量範囲が有利となる個々の場合があってよく、それらは本発明の範囲内である。
【0167】
この発明に従えば、薬剤の有効量を投与することによりAkt3が阻害され得る。当然ながら、この投薬量は薬剤投与のタイプに従いさらに修正されてよい。例えば、救急治療の「有効量」を達成するには、非経口投与が好ましい。水中又は通常生理食塩水中5%デキストロースの化合物、又は好適な賦形剤を含む同様の製剤の静脈内注入が最も効果的であるが、筋肉内ボーラス注射もまた有用である。典型的には、非経口用量は、血漿中薬物濃度をキナーゼの阻害に有効な濃度に維持する方法において約0.01〜約100mg/kg、好ましくは0.1〜20mg/kgであってよい。薬剤は、約0.4〜約400mg/kg/日の総1日用量を達成するレベルで、1日1〜4回投与されてもよい。治療上有効な活性薬剤の正確な量、及びかかる薬剤が最良に投与される経路は、当業者によって、血中薬剤濃度と治療効果を得るために必要な濃度とを比較することにより容易に決定される。
【0168】
この発明の薬剤はまた、本明細書に開示される治療指標の1つ以上を達成するのに十分な薬物濃度となるような方法で患者に経口投与されてよい。典型的には、薬剤を含有する医薬組成物は、患者の病態に合致する方法で約0.1〜約50mg/kgの経口用量で投与される。好ましくは、経口用量は約0.5〜約20mg/kgであってよい。
【0169】
この発明の薬剤は、所与の薬理効果を得るために必要な薬剤の濃度を決定するため、いくつかの生物学的アッセイのうち1つで試験されてよい。
【0170】
パーツキット
本発明の別の態様は、上述の方法のいずれかで使用される、Akt3阻害薬、抗Akt3抗体、Akt3用の核酸プローブ又はAkt3用の少なくとも1つのQPCRプライマーを含むキットに関する。
【0171】
診断及び予知
本発明はまた、特にAkt3阻害薬で治療されている個体における、増殖活性により特徴付けられる疾患の診断又は予知におけるバイオマーカーとしてのAkt3の使用にも関する。
【0172】
本明細書で使用されるとき、用語「予知方法」は、疾患、詳細には癌と診断されたヒト又は動物の疾患の進行に関する予測を可能にする方法を意味する。より具体的には、関心が持たれる癌としては、乳癌、肺癌、胃癌、頭頸部癌、結腸直腸癌、腎癌、膵癌、子宮癌、肝癌、膀胱癌、子宮内膜癌及び前立腺癌並びに白血病が含まれる。
【0173】
用語「診断方法」は、本明細書で使用されるとき、ヒト又は動物における又はそれに関する癌の存在又はタイプの決定を可能にする方法を意味する。好適には、マーカーにより、Akt3阻害薬による治療の奏功を評価することが可能である。上記に考察したように、好適な診断は、例えばQPCRプライマー、FISHプローブなど、本明細書で特定されるような遺伝子のいずれかを対象とするプローブを含む。
【0174】
用語「予知方法」は、本明細書で使用されるとき、対象が特定の薬剤/レジメンによる治療に対して感受性又は応答性を示す可能性の判定を可能にする方法を意味する。かかる予知方法は、特定の治療レジメンの起こり得る転帰に関する情報、例えば、対象が前記治療に応答する可能性、及び/又は特定の治療レジメンの範囲内で個体をどの程度積極的に治療するべきか、及び/又は個体を放射線療法/化学療法などの従来の治療法でどの程度積極的に治療するべきかに関する情報を提供する。従って本明細書に記載される予知方法には、オーダーメイド医療の分野で高い適用性がある。
【0175】
従って好ましい一実施形態は、オーダーメイド医療適用における上記に記載したようなバイオマーカーの使用に関する。
【0176】
好ましい一実施形態において、オーダーメイド医療適用は、対象がAkt3又はAxl阻害薬による治療に対して感受性又は応答性を示すかどうかを判定するためである。
【0177】
好ましい一実施形態において、オーダーメイド医療適用は、対象が特に転移性癌に罹患し易いかどうかを判定するためである。
【0178】
本発明の別の態様は、対象がAkt3又はAxl阻害薬による治療に対して感受性を示すかどうかを判定するための予知方法に関し、前記方法は、前記対象における上皮間葉転換(EMT)の発生を検出するステップを含む。
【0179】
本発明の別の態様は、対象がAkt3又はAxl阻害薬による治療に対して感受性又は応答性を示すかどうかを判定するための、予知用薬剤におけるバイオマーカーとしてのAkt3の使用に関する。
【0180】
本発明の別の態様は、対象が特に転移性癌に罹患し易いかどうかを判定するための予知方法に関し、前記方法は、前記対象における上皮間葉転換(EMT)の発生を検出するステップを含む。
【0181】
本明細書全体を通じ、好ましくは本明細書に記載される方法はインビトロ又はエキソビボで実施される。
【0182】
ここで、限定ではなく例示として、添付の図面を参照することにより本発明をさらに詳細に説明する。本開示の提供により、当業者には多くの等価な改変例及び変形例が明らかとなるであろう。従って、記載される本発明の例示的実施形態は、例示であり、限定するものではないと考えられる。記載される実施形態に対し、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができる。本明細書に引用される全ての文献は、参照によって明示的に援用される。