(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-136095(P2017-136095A)
(43)【公開日】2017年8月10日
(54)【発明の名称】液体食品組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20170714BHJP
A23L 2/38 20060101ALI20170714BHJP
【FI】
A23L2/00 B
A23L2/38 Q
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-98990(P2017-98990)
(22)【出願日】2017年5月18日
(62)【分割の表示】特願2013-67285(P2013-67285)の分割
【原出願日】2013年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2012-81864(P2012-81864)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】疇地 里衣
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄太郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 真理子
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC03
4B117LK17
4B117LK19
4B117LL01
(57)【要約】
【課題】嗜好性の高い魚類抽出物配合の液体食品組成物を提供する。
【解決手段】A:ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート、B:リナロール及びリナリルアセテート、C:カルボン及びリモネン、D:シトロネロール及びシトロネラール、E:シトロネロール及びゲラニオール、F:炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール、G:炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンを、魚類抽出物を含有する液体食品組成物に配合する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記の何れかの化合物群を含む魚類由来物含有液体食品組成物。
D:シトロネロール及びシトロネラール
E:シトロネロール及びゲラニオール
A:ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート
G:炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノン
【請求項2】
少なくとも化合物群E及び化合物群Gを含む請求項1に記載の液体食品組成物。
【請求項3】
少なくとも化合物群A及び下記化合物群Fを含む請求項1に記載の液体食品組成物。
F:炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール
【請求項4】
魚類由来物が、魚類の生態組織の酵素処理物及び/または溶媒抽出処理物である、請求項1〜3のいずれかに記載の液体食品組成物。
【請求項5】
魚類由来物が、魚卵及び/または卵巣外皮若しくは卵巣膜の酵素処理物である請求項4に記載の液体食品組成物。
【請求項6】
pHが2〜6である請求項1〜5のいずれかに記載の液体食品組成物。
【請求項7】
少なくとも下記の何れかの化合物群を配合することにより、魚類由来物を配合した液体組成物の魚類臭をマスキングする方法。
D:シトロネロール及びシトロネラール
E:シトロネロール及びゲラニオール
A:ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート
G:炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、魚類由来物を配合した嗜好性の高い液体食品組成物に関する。より詳細には、魚類由来物を配合した液体食品組成物において、特定の化合物を配合することにより、摂取時の魚臭さをマスキングし、嗜好性を高めた液体食品組成物に関する。さらには、魚類由来物を配合した液体食品組成物の魚類臭のマスキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚臭さ(生臭さ)はその原因となる臭い化合物の閾値が低いいため、魚類由来の食品原料から魚臭さを完全に除去することは、コスト的な観点から困難である。食品における魚臭さをマスキングする方法は種々検討されている。例えば、香味剤を配合することで解決する提案やその他の食品成分を配合することで臭い分子の拡散を抑制することなどにより解決する提案がある。具体的には、前者の例としては、ジンシャーフレーバーを配合する方法(特許文献1)、ほうじ茶及びミント香料を配合する方法(特許文献2)、酸味料、梅酢粉末、甘味料およびフレーバーから二種以上を配合する方法(特許文献3)が、後者の例としては、シャロットやオニオン抽出物を配合する方法(特許文献4)、難消化性デキストリンを配合する方法(特許文献5)が挙げられる。
【0003】
一方、飲料は通常の食品と比較して、組成物の匂いを感じ取り易い剤形であることから魚類由来物を配合すると、多くの場合、飲用時の魚臭さが飲料の嗜好性を大きく低下させる。従って、如何に魚臭さを低減若しくは防止するかが大きな課題点となる。しかしながら、従来から提案されている方法では、未だ解決されていない。
【0004】
【特許文献1】特開平6−189717号公報
【特許文献2】特開2008−154546号公報
【特許文献3】特開2008−148610号公報
【特許文献4】特開2004−357648号公報
【特許文献5】特開2006−180812公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、魚類由来物を配合したにもかかわらず、摂取前及び摂取直後に感じる魚臭さをマスキングした液体食品組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組み合わせ、リナロール及びリナリルアセテートの組合せ、カルボン及びリモネンの組合せ、シトロネロール及びシトロネラールの組合せ、シトロネロール及びゲラニオールの組合せ、炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノールの組合せ、炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンの組合せの何れかの化合物群を含有させると、魚類由来物を配合した液体食品組成物の、摂取前後に感じる魚類臭が効果的に防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本願発明は、特に以下の項1〜7の組成物、食品または方法を提供するものである。
項1.
魚類由来物を配合する組成物において、少なくとも下記の何れかの化合物群を配合したことを特徴とする液体食品組成物。
A:ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート
B:リナロール及びリナリルアセテート
C:カルボン及びリモネン
D:シトロネロール及びシトロネラール
E:シトロネロール及びゲラニオール
F:炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール
G:炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノン
項2.
魚類由来物が、魚卵及び/またはその周辺組織(卵巣外皮、卵巣膜)の酵素処理物であることを特徴とする項1記載の液体食品組成物。
項3.
飲料であることを特徴とする項1または2の何れか1項に記載の液体食品組成物。
項4.
項1〜3の何れか1項に記載の液体食品組成物を密封容器に充填したことを特徴とする容器詰液体食品。
項5.
下記の何れかの化合物群を配合することにより、魚類由来物を配合した液体組成物の魚類臭をマスキングする方法。
A:ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート
B:リナロール及びリナリルアセテート
C:カルボン及びリモネン
D:シトロネロール及びシトロネラール
E:シトロネロール及びゲラニオール
F:炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール
G:炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノン
項6.
魚類由来物を配合する組成物において、少なくとも下記の何れかの化合物群が主要成分に含まれる香料を配合したことを特徴とする液体食品組成物。
A:ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート
B:リナロール及びリナリルアセテート
C:カルボン及びリモネン
D:シトロネロール及びシトロネラール
E:シトロネロール及びゲラニオール
F:炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール
G:炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノン
項7.
少なくとも下記の何れかの化合物群を主成分として含む香料を配合することにより、魚類由来物を配合した液体組成物の魚類臭をマスキングする方法。
A:ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート
B:リナロール及びリナリルアセテート
C:カルボン及びリモネン
D:シトロネロール及びシトロネラール
E:シトロネロール及びゲラニオール
F:炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール
G:炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノン
【発明の効果】
【0008】
本願発明は、嗜好性が高い、魚類由来物を配合した液体食品組成物を提供することを可能とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願発明に用いる魚類由来物は、魚類の生体組織の酵素処理及び/または溶媒抽出処理して得られるものを意味する。魚類の生体組織とは、具体的に、魚鱗、魚皮、魚骨、魚軟骨、魚卵、卵巣及び/またはその周辺組織、その他の内臓組織が挙げられ、このうち鼻軟骨、魚卵、卵巣及び/またはその周辺組織(卵巣膜、卵巣外皮)が好ましい。魚種としては特に限定しないが、サケ科サケ属、サケ科タイセイヨウサケ属、タラ科コマイ属、タラ科スケトウダラ属、タラ科マダラ属が上げられる。これらの具体例としては、アマゴ(サツキマス)、カラフトマス、カットスロートトラウト、ギンザケ、コマイ、サケ、シロザケ、シートラウト(ブラウントラウト)、スケトウダラ、スチールヘッドトラウト(ニジマス)、タイセイヨウダラ、太平洋サケ、ヒメマス、ビワマス、ベニザケ、マスノスケ、マダラ、ヤマメ(サクラマス)が挙げられる。酵素処理で用いられる酵素としては、加水分解系の酵素であり、具体的には、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼなどが挙げられる。溶媒抽出処理で用いられる溶媒は、水若しくは水とエチルアルコールの混合液が挙げられ、水抽出物が好ましく用いられる。抽出方法は常法であれば特に限定はない。組成物に対する配合量は、固形分換算で液体食品組成物全量に対して、0.005〜5質量%程度であり、0.01〜2質量%程度が好ましく、0.03〜1質量%程度が最も好ましい。
【0010】
本願発明において魚類由来物のマスキングのために配合される化合物群は、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せ、リナロール及びリナリルアセテートの組合せ、カルボン及びリモネンの組合せ、シトロネロール及びシトロネラールの組合せ、シトロネロールとゲラニオールの組合せ、炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノールの組合せ、炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンの組合せである。これら化合物群の中でもベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せ、リナロール及びリナリルアセテートの組合せ、シトロネロール及びシトロネラールの組合せ、シトロネロール及びゲラニオールの組合せ、炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノールの組合せ、炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンの組合せから選ばれる一種以上が効果的で、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せ、シトロネロール及びシトロネラールの組合せ、シトロネロール及びゲラニオールの組合せ、炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノールの組合せ、炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンの組合せから選ばれる一種以上がより効果的で、さらにこれらの組み合わせである「シトロネロール及びゲラニオールの組合せ」と「炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンの組合せ」との併用、若しくは、「ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せ」と「炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール」との併用が最も効果的である。各々の組み合わせにおける比率は特に限定されないが、少なくとも、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せの場合は、ベンジルベンゾエートよりもベンジルアセテートの存在比率が高く、カルボン及びリモネンの組合せの場合は、リモネンよりカルボンの存在比率が高く、シトロネロール及びゲラニオールの組合せの場合は、ゲラニオールよりもシトロネロールの存在比率が高い。なお、リナロール及びリナリルアセテートの組合せの場合は、特に限定はないが、同量程度の存在比率が好ましい。また、これらの効果をより一層高めるために、植物由来のフレーバー(香料)や植物抽出物に前記化合物の組合せを含有させたうえで配合しても良い。具体的には、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せの場合は、ジャスミンフレーバーやジャスミン抽出物、リナロール及びリナリルアセテートの組合せの場合はラベンダーフレーバーやラベンダー抽出物、カルボン及びリモネンの組合せの場合は、スペアミントフレーバーやスペアミントオイル、シトロネロール及びシトロネラールの組合せの場合は、レモングラスフレーバーやレモングラス抽出物、シトロネロール及びゲラニオールの組合せの場合は、ローズフレーバーやローズ水、ローズ抽出物が挙げられる。これら組合せの化合物の合計配合量は、魚類由来物の精製度や配合量によっても異なるが、通常、液体食品組成物全量に対して、0.005〜0.5質量%である。特に、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せの場合は、組成物全量に対して、0.005〜0.5質量%程度、リナロール及びリナリルアセテートの組合せの場合は、0.008〜0.05質量%程度、カルボン及びリモネンの組合せの場合は、0.02〜0.3質量%程度、シトロネロール及びシトロネラールの組合せの場合は、0.003〜0.05質量%程度、シトロネロール及びゲラニオールの組合せの場合は、0.002〜0.5質量%程度、炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノールの組合せの場合は0.002〜0.5質量%程度、炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンの組み合わせの場合は0.001〜0.5質量%程度が好ましい。
【0011】
本願において容器詰液体食品とは、本発明の液体食品組成物を容器に充填し、密封した状態で流通させ、消費者に提供できる商品を指す。容器としては密封性を確保できるものであれば特に限定しないが、例えば、紙製カートン容器、PET製容器や高密度ポリエチレン製容器などの合成樹脂製容器、パウチ、金属缶、ガラス瓶などが挙げられ、このうち密封性が高く保存期間を長く設定できる合成樹脂製容器、金属缶およびガラス瓶が好ましい。
【0012】
さらに、本願発明に係る技術は、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートの組合せ、リナロール及びリナリルアセテートの組合せ、カルボン及びリモネンの組合せ、シトロネロール及びシトロネラールの組合せ、シトロネロール及びゲラニオールの組合せ、炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノールの組合せ、炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンの組合せの化合物群を配合することで、魚類由来物を配合した液体食品組成物の摂食前後に感じる魚類臭をマスキングする方法をも開示する。
【0013】
本願発明の液体食品組成物のpHは特に限定するものではないが、2〜8とすることができ、このうち、2〜6が好ましく、3〜5がより好ましく、3〜4がもっとも好ましい。液体食品組成物のpHの測定は、例えばpH複合電極を用いて測定することができる。測定は希釈等を行なわず、液体食品組成物そのままの状態でpH電極を組成物に浸漬することにより行なう。測定温度は20℃で測定時間は2分とする。また、組成物のpHを調整する場合は、通常使用されるpH調整剤、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルクロン酸、フマル酸、グルタミン酸、アジピン酸、およびこれらの塩や、重炭酸ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することができる。
【0014】
本願発明の液体食品組成物は、液体状若しくは液状の食品組成物であれば特に限定するものではないが、この中でも液体状のものがより好ましく、飲料形態が最も効果を発揮し易いため好ましい。また、本発明における液体食品組成物は、一般食品だけでなく、病者用食品、嚥下困難者用食品、特定保健用食品などの特定用途食品や栄養機能食品及びいわゆる栄養補助食品として使用することができる。
【0015】
本願発明の液体食品組成物には、上記化合物のほかに、本願発明の効果を損なわない範囲であれば、通常、食品で使用され得る成分をさらに配合してもよい。
【0016】
界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤を配合することができる。具体的には、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンステロール、アルキルグルコシド、リン脂質等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0017】
甘味剤としては、例えばサッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビアエキス、ステビオサイド、スクラロース、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、ソウマチン、アスパルチルフェニルアラニンメチルエステル、メトキシシンナミックアルデヒド、トレハロース、エリスリトール、ソルビトール、パラチノース、パラチニット、キシリトール、マルトース、ラクチトール、還元パラチノース、スクロース、ハチミツ、水飴、フルクトース、異性化糖(ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖など)などが挙げられる。これら甘味剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
有用成分としては、植物抽出物、ビタミン類、ミネラル類、ペプチド類などが挙げられ、これらは、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
【0020】
飲料組成物における魚類臭マスキング効果の評価(1)
表1に示す処方に従って、飲料組成物のベースを調製した。次に、表2に記載の化合物を含むフレーバーまたは抽出物(エキス)を0.2質量%となるようにベースに混合し、被検体を調製した。評価は専門パネル3名により行った。すなわち、約3mlを飲用し、飲用直前、直後の魚類臭の程度を下記の3段階で評価した。評価結果は集計し、マスキングの程度を下記に示す3段階で評価した。結果を表2に示す。
飲用直前、直後の魚類臭の程度(評点)
臭いが十分にマスキングできている 2点
魚類臭は感じられるが嗜好性に影響を与えない程度 1点
魚類臭が感じられ、嗜好性に悪影響を与える程度 0点
総合評価
飲用直前及び飲用直後の3名の評価点の合計値で判定する
11点以上 ◎ (マスキング効果が非常に優れている)
8〜10点 ○ (マスキング効果が優れている)
7点以下 × (マスキング効果が劣っている)
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
表2に示したとおり、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート、リナロール及びリナリルアセテート、カルボン及びリモネン、シトロネロール及びシトロネラール、シトロネロール及びゲラニオール、炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール、炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンを含むフレーバーは優れた結果を示した。一方、上記組合せを有さないフレーバーには十分満足できるマスキング効果が得られなかった。
【0024】
飲料組成物における魚類臭マスキング効果の評価(2)
表1に示す処方に従って、飲料組成物のベースを調製した。次に、表3に記載の化合物を含むフレーバーまたは抽出物(エキス)を0.2質量%となるようにベースに混合し、被検体を調製した。評価は専門パネル6名により行った。すなわち、約3mlを飲用し、飲用直前、直後の魚類臭の程度を下記の4段階で評価した。評価結果は集計し、マスキングの程度を下記に示す3段階で評価した。結果を表3に示す。
飲用直前、直後の魚類臭の程度(評点)
臭いが十分にマスキングできている 3点
魚類臭が若干感じられる程度 2点
魚類臭は感じられるが嗜好性に影響を与えない程度 1点
魚類臭が感じられ、嗜好性に悪影響を与える程度 0点
総合評価
飲用直前及び飲用直後の6名の評価点の合計値で判定する
31点以上 ◎ (マスキング効果が非常に優れている)
21〜30点 ○ (マスキング効果が優れている)
20点以下 × (マスキング効果が劣っている)
【0025】
【表3】
【0026】
表3に示したとおり、ベンジルアセテート及びベンジルベンゾエート、シトロネロール及びゲラニオール、炭素数5〜6のエチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール、炭素数4〜10のエチルエステル化合物及び炭素数9〜12のヘキシルエステル及びβイオノンを含むフレーバー単独よりも、炭素数5〜6エチルエステル及びエチルマルトール及びヘキセノール及びベンジルアセテート及びベンジルベンゾエートを含有するフレーバー、と炭素数4〜10エチルエステル化合物及び炭素数9〜12ヘキシルエステル及びβイオノン及びゲラニオール及びシトロネロールを含有するフレーバーには特に優れたマスキング効果があることがわかった。