【解決手段】超音波信号を送受信する複数の超音波ユニット803が順に配列された超音波プローブ802を具備し、複数の超音波ユニット803から送受信される超音波を用いる超音波システムであって、それぞれ配列順に異なるアドレスが割り当てられた超音波プローブ802の複数の超音波ユニット803を、少なくとも1つ以上のアドレスの間隔が開くように起動させる起動制御モジュール33、を備える。
前記設定モジュールは、連続した複数の前記アドレスにおいてN(整数)=1の間隔を開けた奇数の前記アドレスに対応する奇数パラメータを選び出して一つの奇数起動リストを構成すると共に、偶数の前記アドレスに対応する偶数パラメータを選び出して他の一つの偶数起動リストを構成する、第1のセレクトモジュールを有し、
前記起動制御モジュールは、前記第1のセレクトモジュールで設定した前記奇数起動リストと前記偶数起動リストとに基づいて、前記超音波プローブの複数の前記超音波ユニットを起動することを特徴とする請求項1に記載の制御システム。
前記設定モジュールは更に、連続した複数の前記アドレスにおいてN=2又は2以上の間隔を開けて選択された前記アドレスに対応するパラメータを複数含む複数の起動リストを作成する、第2のセレクトモジュールを有し、
前記起動制御モジュールは、前記第1のセレクトモジュール又は前記第2のセレクトモジュールのいずれかで設定した前記起動リストに基づいて、前記超音波プローブの複数の前記超音波ユニットをそれぞれ順を追って起動することを特徴とする請求項2に記載の制御システム。
前記プローブ制御器は、前記起動制御モジュールが、連続した前記アドレスの前記超音波ユニットに対して前記起動信号を順を追って出力したか否か検出し、前記起動制御モジュールが連続した前記アドレスの前記超音波ユニットに対して前記起動信号を出力したことが検出された場合、前記起動制御モジュールの動作を停止させる、検出モジュールを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御システム。
医療用超音波検査機器に含まれて用いられる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御システムに用いられる制御方法であって、前記制御システムは、連続する所定の第1の順番に配列された超音波信号を送受信する複数の超音波ユニットを備えた超音波プローブを制御するプローブ制御器を含み、各前記超音波ユニットは、それぞれが前記第1の順番に対応して連続したアドレスを具備し、
前記制御方法は、
生成モジュールが、複数の前記超音波ユニットの前記アドレスのそれぞれに対応するパラメータを生成する、ステップAと、
設定モジュールが、前記ステップAにて生成された前記パラメータを所定の第2の順番に配列するように選択して複数の前記パラメータの集合で形成される起動リストを設定し、前記起動リストにおける隣接する前記パラメータに対応する前記アドレスは連続しないものであり、前記第2の順番とは、前記複数のパラメータの集合で形成される前記起動リストを設定し、前記起動リストにおける隣接する前記パラメータに対応する前記アドレスが連続しないように選択された順番である、ステップBと、
起動制御モジュールが、前記ステップBにて設定された前記起動リストにおける複数の前記パラメータのそれぞれに基づいて対応する起動信号を生成し、所定の時間間隔を以って前記起動信号を順を追って前記超音波プローブに送信し、各前記起動信号に基づいて、対応する各前記超音波ユニットに対して超音波信号の送受信をするように駆動制御する、ステップCと、を備えていることを特徴とする制御方法。
前記ステップBでは、連続した複数の前記アドレスにおいてN(整数)=1の間隔を開けた奇数の前記アドレスに対応する奇数パラメータを選び出して一つの奇数起動リストを構成すると共に、偶数の前記アドレスに対応する偶数パラメータを選び出して他の一つの偶数起動リストを構成するサブステップを有し、
前記ステップCでは、前記サブステップで設定した前記奇数起動リストと前記偶数起動リストとに基づいて、前記超音波プローブの複数の前記超音波ユニットを起動することを特徴とする請求項6に記載の制御方法。
前記ステップBでは更に、連続した複数の前記アドレスにおいてN=2又は2以上の間隔を開けて選択された前記アドレスに対応するパラメータを複数含む複数の起動リストを作成する、サブステップを有し、
前記ステップCでは、前記サブステップのいずれかで設定した前記起動リストに基づいて、前記超音波プローブの複数の前記超音波ユニットをそれぞれ順を追って起動することを特徴とする請求項7に記載の制御方法。
前記ステップCの後では更に、画像生成モジュールが、前記ステップCにて得られた各前記起動リストにおけるパラメータによって前記超音波ユニットを起動して画像を得るステップDと、
画像合成モジュールが、前記ステップDで得られた複数の前記起動リストのそれぞれに対応する前記画像を一つの超音波画像に合成して取得するステップEと、を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の制御方法。
前記ステップCの後では更に、検出モジュールが、連続した前記アドレスの前記超音波ユニットに対して前記ステップCにて送信された前記起動信号を順を追って出力した否か検出し、連続した前記アドレスの前記超音波ユニットに対して前記起動信号を出力したことが検出された場合、前記起動信号の送信を停止させる、ステップFを有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の制御方法。
前記制御方法は、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実装された前記制御システムを用いて実行されることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1、
図2を参照して、本発明に係る制御システムの一実施例を説明する。
図1は本発明に係る制御システムを含む医療用超音波検査機器としての一例であり、
図2は制御システムの一例の機能ブロック図である。図示の如く、医療用超音波検査機器800は、この例では、本発明に係る制御システム1を含むように構成されており、主としては、機器本体801と、機器本体801に信号の送受信が可能に連結された超音波プローブ802を備えている。機器本体801は例えば光を点滅させるランプ又はスピーカーでその旨を知らせる音を発生させるアラーム手段(図示せず)や、タッチ操作可能なタッチスクリーン804を備える。
【0010】
超音波プローブ802は、所定の第1の順番、例えば1、2、3、・・・、63、64の順でアレイ状に配列された複数、例えば64個の超音波ユニット803を備える。超音波ユニット803は、超音波信号の送受信をするもので、受信した超音波信号を電気信号に変換して出力する。各超音波ユニット803は、それぞれが第1の順番に対応すると共に連続したアドレス、例えば数字の1、2、3、・・・64が付与されている。この例では、超音波プローブ802は、64個の超音波ユニット803を含んで構成されたものとして説明したが、超音波ユニット803の数量はこの例に制限されず、128個であってもよく、256個であってもよい。
【0011】
なお、超音波ユニット803は、例えばピエゾ素子であり、電気信号が加えられることにより振動し(電気−力変換)、超音波信号を出力するように構成されるものである。また、ピエゾ素子に加える電気信号を停止すると、ピエゾ素子の振動は残留振動が終了した後に停止するが、図示しない検査対象物からの反射信号を受信すると、反射信号の影響でピエゾ素子が振動して電気信号を生成する(力−電気変換)。なお、超音波ユニット803の超音波信号の出力方法と受信方法はこれに限られるものではなく、超音波信号を送受信できれば、必ずしもピエゾ素子等の圧電素子を利用する必要はなく、どのような部品で構成しても差し支えない。
【0012】
制御システム1は、
図2に示すように、超音波プローブ802を制御するプローブ制御器3と、プローブ制御器3と電気的に連結され、超音波プローブ802による超音波信号を受信し、受信した超音波信号に基づいた画像を得られるように処理する、画像処理器4とを含む。
【0013】
プローブ制御器3は、本例では
図1に示すように、超音波プローブ802に内蔵されているが、プローブ制御器3は、機器本体801側に設けられていても差し支えない。なお、アラーム手段は、異常信号を検出した場合に警告するために用いられるものである。また、タッチスクリーン804は、ユーザーがスクリーンに接触することにより操作可能だが、必ずしもこれに限られず、通常のスクリーンを利用すると共に、別途用意したキーボード、マウス等で操作しても差し支えない。
【0014】
プローブ制御器3は、
図2において、生成モジュール31と、設定モジュール32と、起動制御モジュール33と、検出モジュール34とを有する。なお、プローブ制御器3は、これらのモジュールに相当する機能を備えるようにソフトウェア及びハードウェアの組み合わせにより実現されるが、例えばパーソナルコンピュータにこれらの機能を実現し得るソフトウェアをインストールすることによりこれらの機能を実現しても差し支えない。
【0015】
続いて、プローブ制御器3の詳細な構成を、超音波ユニット803の数量が64個である場合を例として説明する。生成モジュール31は、複数の超音波ユニット803のそれぞれに対応して付与された連続したアドレスのそれぞれに対応する所定のパラメータを生成する。なお、例えばディップスイッチ等を用いて予め超音波プローブ802の複数の超音波ユニット803に対応するパラメータを割り当てておくことにより、生成モジュール31は、省略しても差し支えない。
【0016】
設定モジュール32は、パラメータが入力されるように生成モジュール31に電気的に連結され、各アドレスに対応するパラメータを選択して組み合わせてそれぞれが所定の第2の順番に配列して少なくとも2つの起動リストを設定する。ここで、各起動リストにおける隣接するパラメータに対応するアドレスは連続しないようにする。また、第1の順番とは、1、2、3、・・・、64という連続する順番をいい、第2の順番とは、複数のパラメータの集合で形成される起動リストを設定し、起動リストにおける隣接するパラメータに対応するアドレスが連続しないように選択された順番をいう。
【0017】
設定モジュール32は、本例においては、第1のセレクトモジュール321と、第2のセレクトモジュール322を備え、これらは例えばタッチスクリーン804に対する入力操作によって選択的に切り替えられ、第1のセレクトモジュール321及び第2のセレクトモジュール322のいずれかの一方が動作する。
【0018】
なお、本実施例では、第1のセレクトモジュール321は奇数起動リストを先に作成し、偶数起動リストを後から作成するが、その順番は逆でも差し支えない。
【0019】
一方、タッチスクリーン804に対する入力操作で、第1のセレクトモジュール321に替えて、第2のセレクトモジュール322を利用することができる。第2のセレクトモジュール322は(N+1)間隔による起動リストを複数作成する。ここで、Nは2以上であって例えば64より小さい数値であるが(但し、63のように大きな値を設定する場合は128個又は256個の超音波ユニット803を使用する場合となる。)、超音波信号の干渉の影響が少なくなる程度に隣り合う超音波ユニット803の間隔が開いていれば差し支えないので、64個の超音波ユニット803の場合、例えば「2」や「3」等の比較的小さい整数である場合が多い。
【0020】
ここで、N=2を例にとり説明すると、例えばタッチスクリーン804に対する入力操作に従って、第2のセレクトモジュール322を利用して、1、4、7、10...64のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む第1の起動リストを作成する。続いて、2、5、8、11...62のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む第2の起動リストを作成し、3、6、9、12...63のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む第3の起動リストを作成する。即ち、間隔N=2では全部で3個の起動リストを作成することとなる。なお、起動リストの作成順序はこの順番でなくとも、例えば第2の起動リスト、第3の起動リスト、第1の起動リストの順となる異なる3個の起動リストを作成してもよい。
【0021】
また、N=3のときは、タッチスクリーン804に対する入力操作に従って、第2のセレクトモジュール322は、1、5、9、13...61のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む起動リストを作成し、続いて、2、6、10、14...62のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む起動リストを作成し、3、7、11、15...63のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む起動リストを作成し、最後に4、8、12、16...64のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む起動リストを作成する。即ち、N=3のときは全部で4個の起動リストを作成することとなる。
【0022】
起動制御モジュール33は、設定モジュール32で設定した起動リストに基づいて、超音波プローブ802の複数の超音波ユニット803をそれぞれ順を追って起動する。また、本願の実施例では隣り合う超音波ユニット803は同じタイミングでは一同に動作させないので、時間的な制御が必要となる。例えば、奇数のアドレス(1、3、5、7...63)が割り振られた超音波ユニット803を、例えば1μsecの間隔を開けつつ順を追って起動して必要に応じた所定の待ち時間が経過した後、改めて偶数のアドレス(2、4、6、8...64)が割り振られた超音波ユニットを起動する。
【0023】
この所定の待ち時間として必要な時間は、「残留振動の影響をほとんど受けない」という時間であって、隣接する超音波ユニット803、又は第2のセレクトモジュール322を利用して間隔を指定した場合には一番近い(N=2の場合には例えばアドレス1に対してアドレス4)超音波ユニット803からの残留振動の影響が完全にゼロとなる必要はなく、後述する
図4A、
図4Bの超音波画像を表示した際に、残留信号の影響がノイズに埋もれてしまう程度に収束された状態になるまでの時間をいう。
【0024】
つまり、奇数起動リストに対応する超音波ユニット803の残留振動の影響をほとんど受けなくなってから、偶数起動リストに対応する超音波ユニット803を起動すれば足り、超音波ユニット803となるピエゾ素子の構成やピエゾ素子に加える電気信号の強さ等により、残留振動の影響が収まるまでの時間差はそれぞれ異なるため、起動制御モジュール33はこの点を踏まえて、必要な待ち時間及び超音波プローブ802に出力する電気信号の強さを適宜調整するものとする。
【0025】
具体的には、奇数起動リストに対応する超音波ユニット803を順を追って起動した後、偶数起動リストの最初のアドレスである「2」が割り振られた超音波ユニットを起動することになるが、アドレス2を起動する際に、「2」に隣り合うアドレス3の残留振動の影響をほとんど受けないことが必要である。ここで、「残留信号の影響がノイズに埋もれてしまう程度に収束された状態になるまでの時間」が、例えば50μsecであれば、奇数のアドレス(1、3、5、7...63)を起動するのに、全部で31μsec必要であり、そのうち、アドレス1とアドレス3の待ち時間である1μsecは無視できる(なぜならアドレス3の方が後から動作するので、アドレス1の残留振動は考慮する必要がない。)ので、31μsec−1μsec=30μsecとなり、50μsec−30μsec=20μsecの時間を、奇数起動リストに対応する超音波ユニット803を起動し終わってから、偶数起動リストに対応する超音波ユニット803を直ちには起動せずに待つ必要がある。なお、「残留信号の影響がノイズに埋もれてしまう程度に収束された状態になるまでの時間」が、31μsec未満ならば直ちに偶数起動リストを起動しても差し支えない。
【0026】
検出モジュール34は、起動制御モジュール33が、連続したアドレス、即ち隣接するアドレスの超音波ユニット803に対して起動信号を順を追って出力した否か検出し、起動制御モジュール33が連続したアドレスの超音波ユニット803に対して起動信号を出力したことが検出された場合、該起動制御モジュール33の動作を停止させる。
【0027】
画像処理器4は、プローブ制御器3からの起動リスト毎に起動して得られた超音波ユニット803の超音波信号による画像を得て、起動リスト毎の画像を合成処理し、一つの超音波画像を得るものであり、例えば機器本体801側に設けられ、画像生成モジュール41と画像合成モジュール42を有する。画像生成モジュール41は、各起動リストにおけるパラメータによって起動された超音波ユニット803の画像を得る。画像合成モジュール42は複数の起動リストのそれぞれの画像を一つの超音波画像に合成して取得する。
【0028】
次に、医療用超音波検査機器に含まれて用いられる制御システムに用いられる制御方法について
図3を参照しながら説明する。なお、本発明に係る制御方法は、本発明に係る制御システムをソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実装されることにより実現されるが、例えばパーソナルコンピュータにこれらの機能を実現し得るソフトウェアをインストールすることによりこれらの機能を実現しても差し支えない。
【0029】
ステップAでは、生成モジュール31を用いて、複数の超音波ユニット803の連続するアドレスのそれぞれに対応するパラメータを生成する。
【0030】
ステップBでは、設定モジュール32としての例えばタッチスクリーン804に対する入力操作に従って、パラメータを所定の第2の順番に配列するように選択して複数のパラメータの集合で形成される起動リストを設定する。起動リストにおける隣接するパラメータに対応するアドレスは連続しないものである。第2の順番とは、複数のパラメータの集合で形成される起動リストを設定し、起動リストにおける隣接するパラメータに対応するアドレスが連続しないように選択された順番である。この例では、例えば設定モジュール32における第1のセレクトモジュール321を選択的に駆動させて、超音波ユニット803の起動リストを作成する。上述のように、第1のセレクトモジュール321は、起動リストとして、奇数のアドレス(1、3、5、7...63)が割り振られた超音波ユニット803に対応するパラメータをそれぞれ含む奇数起動リストと、偶数のアドレス(2、4、6、8...64)が割り振られた超音波ユニット803に対応するパラメータをそれぞれ含む偶数起動リストを作成する。
【0031】
この際、
図1のタッチスクリーン804の図示しないユーザーインターフェースを介して、第1のセレクトモジュール321を選択するか、又は第2のセレクトモジュール322を選択すると共にNの値を入力するようにしても差し支えない。
【0032】
このように、起動制御モジュール33を用いて、奇数起動リストと偶数起動リストとが入力されると、奇数起動リストと偶数起動リストとに基づいて超音波ユニット803に対してそれぞれ順を追って電気信号を出力して駆動する。
【0033】
起動制御モジュール33は、超音波を出力するための所定の時間が経過した後、超音波ユニット803への電気信号の供給を停止する。起動制御モジュール33からの超音波ユニット803への電気信号の停止によって超音波ユニット803の「電気―力」の変換は終了する。超音波ユニット803から出力された超音波は図示しない検査対象物で少なくとも一部の成分が反射され、反射信号となり、超音波ユニット803のピエゾ素子に入力される。この際、超音波ユニット803のピエゾ素子は入力された信号を「力−電気」変換して、この電気信号は検出モジュール34に出力される。
【0034】
第1のセレクトモジュール321を利用した場合、パラメータは、上述のように1、3、5、7...63、2、4、6、8...64のアドレスに対応するパラメータの集合(起動リスト)となるが、これらを利用して奇数のアドレスが割り当てられた超音波ユニット803の全てを同時に起動しても差し支えないが、例えばアドレス1が割り振られた超音波ユニット803とアドレス3が割り振られた超音波ユニット803を起動する際に所定の時間差(例えば1μsec)を設けて、時間差を設けながら1、3、5、7...63、2、4、6、8...64のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む起動リストに従って順に超音波ユニット803を順番に起動しても良い。
【0035】
いずれにせよ、アドレス1とアドレス3の両者の間にあるアドレス2が割り当てられた超音波ユニット803は上述のように残留振動の影響をほとんど受けない時間差を空けてから動作させるので、アドレス1とアドレス3の超音波ユニット803を起動する際に時間差を設ける理由は、プローブ制御器3及び機器本体801のハードウェアの処理能力の影響、及びどの超音波ユニット803が受信した反射信号であるかを識別するのが容易だからであり、アドレス1とアドレス3の超音波ユニット803間の残留振動の影響を考慮したものではない。
【0036】
なお、上述のようにプローブ制御器3は超音波プローブ802に内蔵されていてもよい。
【0037】
ステップCの後に、更にステップFでは、検出モジュール34を用いて、超音波ユニット803から出力された電気信号を受信し、連続したアドレスの超音波ユニット803に対してステップCにて送信された起動信号を順を追って出力した否か検出し、連続したアドレスの超音波ユニット803に対して起動信号を出力したことが検出された場合、起動信号の送信を停止させる。なお、検出モジュール34は図示しないが、例えば、超音波ユニット803から入力された電気信号をオペアンプを介して電圧を増幅し、バッファを介してピークの電圧をホールドし、A/Dコンバータを利用して、反射信号の強度に応じたデジタル信号に変換することによって検出を行う。なお、検出モジュール34自体を画像処理器4側に設けても差し支えなく、要するに、アナログの電気信号である反射信号を受信して、上述したデジタル信号に変換して画像を生成できれば、検出モジュール34自体は何処に設けても良い。
【0038】
奇数のアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む奇数起動リストに従って複数の超音波ユニット803の反射信号の受信が終了すると、これらに隣り合うアドレスに対応するパラメータをそれぞれ含む偶数起動リストに従って、偶数のアドレスの超音波ユニット803についても奇数の場合と同様の方法で動作させ、検出モジュール34で反射信号の大きさを検出するが、ステップFに示すようにアドレス1、2、3・・という具合に起動信号が出力されていた場合には、その旨を検出して上述したように動作を停止しても良い。
【0039】
ステップDでは、画像処理器4における画像生成モジュール41を用いて、図示しない信号線を介して検出モジュール34から入力されたデジタル信号の大きさに基づいて、奇数起動リストに基づいたパラメータを含む超音波ユニット803の画像及び偶数起動リストに基づいたパラメータを含む超音波ユニット803の画像をそれぞれ生成する。
【0040】
ステップEでは、画像処理器4における画像合成モジュール42を用いて、奇数起動リストと偶数起動リストとによるそれぞれの画像に基づいて一つの超音波画像を合成して取得する。
【0041】
なお、この実施例では、奇数起動リストと偶数起動リストとによって、各超音波ユニット803をそれぞれ1回のみ動作させて一つの超音波画像が得られたが、これは、1回の測定では超音波プローブ802で受信する反射信号に外部の影響による変動が生じることが考えられる。例えば、検査対象の人間が無意識に動いたり、検査対象の人間の近くでなんらかの衝撃が生じたりした場合である。
【0042】
このような不測の事態を予め見越して、1回限り測定するのではなく、例えば100回、1000回と測定を繰り返して、これらの測定結果を図示しない加算器で加算した後、この加算値を平均化して、平均化された超音波画像を画像合成モジュール42で生成して
図1のタッチスクリーン804に表示させても良い。
【0043】
以上のように、本発明に係る制御システム及び制御方法によれば、起動リストにおける隣接するパラメータに対応するアドレスが連続しないように選択されたパラメータによる起動信号で複数の超音波ユニットを動作させるので、隣接する超音波ユニットによる残留振動の影響を少なくすることができ、超音波ユニット相互間の相互干渉の影響を軽減することができる効果を有する。
【0044】
なお、通常は、生成モジュール31で設定したソートされたアドレスの順番(例えば第1のセレクトモジュール321を選択した場合には1、3、5、7...63、2、4、6、8...64)で超音波ユニット803が動作する分には、検査上大きな問題は生じないが、起動リストどおりに何らかの原因で動作しない場合(例えばソフトウェア上のトラブルでアドレス1、2、3、4、5・・・63、64に対応するパラメータの順序で動作した場合)には、検出モジュール34で実際に検出した反射信号と図示しない記憶部に記憶された理論上の反射信号の大きさを比較し、比較の結果理論上の反射信号と大きな差があり、残留振動の影響を受けていると思われる場合には、検出モジュール34は検査を一時中断し、機器本体801のランプ(図示せず)に表示し、又はスピーカー(図示せず)でその旨を知らせる音を発生させることもできる。
【0045】
また、検出モジュール34は起動制御モジュール33が生成する起動信号を受信して、超音波プローブ802に出力される起動信号を常に監視しても良く、2つの相隣り合うアドレスの超音波ユニットが順序に基づいて起動信号を受信したか否か検出し、相隣り合うアドレスの超音波ユニットの起動信号を受信したとき(例えば、アドレス1に続いてアドレス2を動作させる起動信号を受信した場合)、動作を停止することもできる。
【0046】
なお、本実施例では第1のセレクトモジュール321を利用した場合を例にとり動作を説明したが、第2のセレクトモジュール322を選択した場合にも基本的には同様の動作となる。例えば、第2のセレクトモジュール322を選択し、N=2を設定したときは1、4、7、10...64、2、5、8、11...62、3、6、9、12...63の順序で動作させる点を除き同様である。
【0047】
すなわち、起動制御モジュール33はアドレス1、4、7、10...64に対応する起動リストの全てを同時に起動しても良いが、相互干渉の影響を低下させるため、アドレス1及びアドレス4が割り当てられた超音波ユニット803を起動する際に所定の時間差(例えば1μsec)を空けても良い。
【0048】
要するに、1、4、7、10...64のアドレスが割り当てられた超音波ユニット803と、これらの超音波ユニット803に隣り合う2、5、8、11...62、及び3、6、9、12...63のアドレスが割り当てられた超音波ユニット803との間に上述した残留振動の影響をほとんど受けない程度の時間差を開ければ差し支えない。
【0049】
また、合成された超音波画像は、
図1のタッチスクリーン804に表示されるが、図示しない記憶装置に超音波画像のデータを記録して、他のモニターでこのデータを用いて表示させても差し支えない。
【0050】
図4Aは従来の超音波プローブを制御するためのシステムの反射信号の波形であり、縦軸がΔV(即ち基準となる電圧との比較でどれだけ電圧が振れたか)を示す。
図4Bは本実施例の超音波プローブを制御するためのシステムの反射信号の波形である。
【0051】
また、
図4A、
図4Bの縦軸の1メモリは5Vなので、P-P(ピークトゥーピーク)は上下に2本の一点鎖線で描かれた範囲の電圧の変動と等しくなり、
図4Aでは28.1Vである。なお、発振周波数は1MHzであるものとする。
図4Aでは、ピークを示す周波数に隣接する(
図4Aでは右隣)超音波ユニット803からの残留振動の影響で、僅かながら波形に段差ができており、本来の超音波画像が得られていない。
【0052】
これに対し、
図4Bでは、
図4Aのように段差が表れていない。また、P-Pは上下に2本の一点鎖線の範囲で描かれる波形のように32.8Vとなる。なお、本実施例の波形についても発振周波数は1MHzである。このように、本実施例は隣接する超音波ユニット803からの残留振動の影響をほとんど受けないように、少なくとも1つ以上間隔を空けて超音波ユニット803を利用するので、
図4Bに示すように、残留振動の影響が少ない超音波画像を得ることができる。
【0053】
なお、本発明は少なくとも1つ以上間隔を空けて超音波ユニット803を利用することが重要であり、
図4Bと異なり、他の実施例としては縦軸を反射信号のパワー、横軸を時間とするような超音波プローブを制御するためのシステムでも本発明を適用し得る。
【0054】
このように、少なくとも1つ以上間隔を空けて超音波ユニット803を利用するので、超音波ユニット803が超音波を出力する際は残留振動の影響が少なく、出力する超音波の信号の質そのものが改善され、更に、超音波信号の反射信号を受信する際も、隣接する超音波ユニット803は動作していないので、隣接する超音波ユニット803による残留振動の影響が少ない状況で反射信号を受信でき、超音波画像に隣接する超音波ユニット803の残留信号による波形の乱れが表れにくい。
【0055】
なお、利用する超音波ユニット803の残留振動が大きい場合には、第1のセレクトモジュール321を用いて1つの間隔を空けて検査する場合でも、2つ隣の超音波ユニット803の影響を受ける場合がある。
【0056】
例えば、アドレス1が割り当てられた超音波ユニット803に対して、アドレス3が割り当てられた超音波ユニットが残留振動の影響を与えてしまう程に、超音波ユニット803に加える電気信号が大きい場合である。そのような場合には、
図1のタッチスクリーン804で超音波ユニット803が出力する電気信号のレベルを小さくすることにより解決できる。
【0057】
また、検査対象の特性上、大きな電気信号で複数の超音波ユニット803を駆動する必要がある場合には、第1のセレクトモジュール321を利用したのでは、超音波ユニット803の間隔が足りないので、
図1のタッチスクリーン804を操作して、
図2の第2のセレクトモジュール322に切り替えて、残留振動の影響を超音波画像で観察できなくなるまでNの数値を増やせば、残留振動の影響が少ない超音波波形を得ることができる。
【0058】
以上のように述べたものは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、これを以って本発明の範囲を実施例に記載した範囲に限定するものではなく、およそ本発明の特許請求の範囲及び明細書に基づいてなされる簡単な作用効果が等しい構成要素の変更や追加についても、本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。