【解決手段】開口部2を有する中空部材1を固定するダイス20と、中空部材1内に挿入され、ダイス端面20aと略平行な一軸方向に往復移動すると共に、ダイス端面20aと略垂直な軸部35,36を中心に回動するパンチ42を有する切断部材40と、切断部材40を往復移動させる第1パンチ駆動手段31と、切断部材40を回動させる第2パンチ駆動手段32,33と、を有し、パンチ42の一軸方向の両端部には、切断部材40の往復移動により、中空部材1を内側から突き破る突破り切断部42aが設けられており、その間の両縁部には、中空部材1を一軸方向に突き破った状態で軸部35,36を中心に回動することによって、突き破った箇所から中空部材1を反対側に向けて切断する回動切断部42bが設けられている中空部材1の切断装置10とした。
前記中空部材の断面が細長い偏平形状であり、前記パンチは細長い形状を呈しており、当該パンチの長手方向が前記一軸方向に沿っていることを特徴とする請求項1に記載の中空部材の切断装置。
前記回動切断部は、前記突破り切断部で突き破った箇所から前記中空部材を反対側に向けて半分以上切断するようになっていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の中空部材の切断装置。
前記中空部材の断面が細長い偏平形状であり、前記パンチは細長い形状を呈しており、当該パンチの長手方向が前記一軸方向に沿っていることを特徴とする請求項5に記載の中空部材の切断方法。
前記回動切断部が、前記突破り切断部で突き破った箇所から前記中空部材を反対側に向けて切断する工程の少なくとも一方では、前記中空部材を反対側に向けて半分以上切断することを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載の中空部材の切断方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記したような方法であると、外部からの力で中空部材を変形させてしまったり、切断装置の構造が非常に複雑になってしまう等の不具合があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、中空部材の端面を変形なく切断することができる中空部材の切断装置及び切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、開口部を有する中空部材を固定するダイスと、前記ダイスに固定されて当該ダイスから前記開口部側が突出した前記中空部材内に挿入され、前記ダイス端面と略平行な一軸方向に往復移動すると共に、前記ダイス端面と略垂直な軸部を中心に回動するパンチを有する切断部材と、前記切断部材を往復移動させる第1パンチ駆動手段と、前記切断部材を回動させる第2パンチ駆動手段と、を有し、前記パンチの前記一軸方向の両端部には、前記切断部材の往復移動により、前記中空部材における前記一軸方向の両側を内側から突き破る突破り切断部が設けられており、前記パンチの前記突破り切断部同士の間の両縁部には、前記中空部材を前記一軸方向に突き破った状態で前記軸部を中心に回動することによって、当該突き破った箇所から前記中空部材を反対側に向けて切断する回動切断部が設けられている中空部材の切断装置としたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明に加え、前記中空部材の断面が細長い偏平形状であり、前記パンチは細長い形状を呈しており、当該パンチの長手方向が前記一軸方向に沿っている中空部材の切断装置としたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明に加え、前記パンチが細長い形状を呈し、その中心より前記一軸方向に沿った両側に離間した位置にそれぞれ前記回動切断部の回動の中心となる一対の前記軸部が設けられており、一対の前記軸部のうち、前記突破り切断部で突き破った箇所から離間した方の前記軸部を中心として回動させて前記回動切断部で切断を行うようになっている中空部材の切断装置としたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の発明に加え、前記回動切断部は、前記突破り切断部で突き破った箇所から前記中空部材を反対側に向けて半分以上切断するようになっている中空部材の切断装置としたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、開口部を有する中空部材を固定するダイスと、前記ダイスに固定されて当該ダイスから前記開口部側が突出した前記中空部材内に挿入され、前記ダイス端面と略平行な一軸方向に往復移動すると共に、前記ダイス端面と略垂直な軸部を中心に回動するパンチを有する切断部材と、を有する中空部材の切断装置を用いた中空部材の切断方法であって、前記パンチを前記開口部側から前記中空部材内の所定位置に挿入する工程と、前記パンチを前記一軸方向の一方にスライド移動させて、前記パンチの前記一軸方向の両端部に設けられた突破り切断部の一方で、前記中空部材の一側を内側から突き破る工程と、前記中空部材の前記一側を突き破った状態で、前記パンチが前記軸部を中心に回動することで、前記突破り切断部同士の間の両縁部に設けられた回動切断部で、当該突き破った箇所から前記中空部材を他側に向けて切断する工程と、前記パンチを前記一軸方向の他方にスライド移動させて、前記突破り切断部の他方で、前記中空部材の他側を内側から突き破る工程と、前記中空部材の前記他側を突き破った状態で、前記パンチが前記軸部を中心に回動することで、前記回動切断部で当該突き破った箇所から前記中空部材を前記一側に向けて切断して前記中空部材の端部が繋がっている残りの箇所を切断し、前記中空部材から前記端部を切断する工程と、を有する中空部材の切断方法としたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明に加え、前記中空部材の断面が細長い偏平形状であり、前記パンチは細長い形状を呈しており、当該パンチの長手方向が前記一軸方向に沿っている中空部材の切断方法としたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明に加え、前記パンチが細長い形状を呈し、その中心より前記一軸方向に沿った両側に離間した位置にそれぞれ前記回動切断部の回動の中心となる一対の前記軸部が設けられており、一対の前記軸部のうち、前記突破り切断部で突き破った箇所から離間した方の前記軸部を中心として回動させて前記回動切断部で切断を行う中空部材の切断方法としたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、請求項5乃至7の何れか一項に記載の発明に加え、前記回動切断部が、前記突破り切断部で突き破った箇所から前記中空部材を反対側に向けて切断する工程の少なくとも一方では、前記中空部材を反対側に向けて半分以上切断する中空部材の切断方法としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び5に記載の発明によれば、突破り切断部と回動切断部の双方を有するパンチを備え、開口部から中空部材内に挿入した当該パンチの往復移動と回動によって、中空部材の端部を切断するようになっているため、簡単な構造及び方法で、中空部材の端部を変形なく切断することができる。また、中空部材を突破り切断部で突き破った後に、当該突き破った箇所から回動切断部で回動して切断するようになっているため、より小さい力で切断を行うことができる。また、突破り切断部と回動切断部を有するパンチで内側から中空部材を切断するため、バリが中空部材の内側に出ず、バリ取りを容易に行うことができる。
【0015】
また、請求項2及び6に記載の発明によれば、断面が細長い偏平形状という特徴を有する中空部材に対して、簡単な構造及び方法で、中空部材の端部を変形なく切断することができる。
【0016】
また、請求項3及び7に記載の発明によれば、1つのパンチに設けられた2つの突破り切断部とその間に設けられた回動切断部と2つの軸部を用いて、中空部材の端部の切断を行うため、簡単な構造かつ効率良い動きで、中空部材の端部を変形なく切断することができる。
【0017】
また、請求項4及び8に記載の発明によれば、突破り切断部で中空部材における一軸方向両側の少なくとも一方を突き破った状態から、回動切断部で当該中空部材を反対側に向けて半分以上切断するようになっているため、少ない動作で確実に中空部材の端部を変形なく切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る中空部材の切断装置を示す平面図である。
【
図2】同実施の形態に係る中空部材の切断装置を示す正面図である。
【
図3】同実施の形態に係る中空部材の切断装置を示す側面図である。
【
図4】同実施の形態に係る中空部材の切断装置における下型ベースを示す(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図5】同実施の形態に係る中空部材の切断装置におけるパンチプレートを示す(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図6】同実施の形態に係る中空部材の切断装置におけるパンチを示す(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図7】同実施の形態に係る中空部材の切断装置におけるワークガイドを示す(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図8】同実施の形態に係る中空部材の切断装置における中空部材を示す(a)正面図,(b)平面図及び(c)側面図である。
【
図9】同実施の形態に係る中空部材の切断装置における揺動ブロック受けを示す(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図10】同実施の形態に係る中空部材の切断装置における揺動ブロックを示す(a)平面図及び(b)正面図である。
【
図11】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の加工準備工程を示す平面図である。
【
図12】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の加工準備工程を示す正面図である。
【
図13】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の加工準備工程を示す側面図である。
【
図14】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の一側の突破り工程を示す平面図である。
【
図15】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の一側の突破り工程を示す正面図である。
【
図16】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の一側の回動切断工程を示す平面図である。
【
図17】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の一側の回動切断工程を示す平面図である。
【
図18】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の他側の突破り工程を示す平面図である。
【
図19】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の他側の回動切断工程を示す平面図である。
【
図20】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の他側の回動切断工程を示す平面図である。
【
図21】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の加工終了状態を示す平面図である。
【
図22】同実施の形態に係る中空部材の切断装置による中空部材の加工状態を推移を示す平面図である。
【
図23】同実施の形態に係る中空部材の切断装置による中空部材の加工状態を推移を示す平面図である。
【
図24】同実施の形態に係る中空部材の切断装置の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、
図1〜
図24を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施の形態の中空部材の切断装置10は、
図1〜
図3,
図8に示すように、開口部2を有する中空部材1の開口部2側の端部3を開口部2の内側から切断する装置であり、本実施の形態では特に開口部2の断面が細長い偏平形状の略矩形に形成された底付きの中空部材1の開口部2側の端部3を所定量切断する装置となっている。
【0021】
また、本実施の形態の中空部材の切断装置10は、
図1〜
図3に示すように、上型11と下型12とを有しており、上型11には、主にダイス20が設けられており、下型12には、主に切断部材40が設けられており、上型11のダイス20に保持された中空部材1を下型12に設けられた切断部材40によって切断するようになっている。
【0022】
詳述すると、上型11は、
図1〜
図3に示すように、上型ベース13に中空部材1を保持するダイス20が設けられている。このダイス20は、第1ダイス21と第2ダイス22とを有しており、上型ベース13に対して第1ダイス21と第2ダイス22の双方が開閉する方向に可動自在となっており、
図1〜
図3に示すような開いた状態から
図11〜
図13に示すような閉じた状態にしたときに中空部材1を保持できるように、内壁23,24が中空部材1の外形と略一致するように構成されている。
【0023】
そして、
図2及び
図3に示すように、ワークガイド34を内部に嵌合させた状態の中空部材1を配置し、
図12及び
図13に示すように、第1ダイス21と第2ダイス22を閉じて図示しない固定手段で固定することで、上型11のダイス20に中空部材1を保持するようになっている。なお、このとき、ダイス20の下方の端面20aとワークガイド34の下方の端面34aは略一致するように配置され、ダイス20の端面20aから、切断する分だけ中空部材1の端部3を突出させた状態で、中空部材1を固定するようになっている。
【0024】
また、
図7に示すように、ワークガイド34の下面には所定形状の孔34aが設けられており、この孔34aに後述するパンチ42から延びるワークガイド用ピン42cが挿入されることでワークガイドの位置決めがなされるようになっている。なお、ワークガイド34の孔34aはワークガイド用ピン34が所定の移動をしたときに,その移動を許容できるような形状に構成されている。
【0025】
また、下型12は、
図1〜
図3に示すように、下型ベース30(
図4参照)に中空部材1を切断する切断部材40が設けられている。この切断部材40には、パンチプレート41、パンチ42、揺動ブロック43(
図10参照)、揺動ブロック受け44(
図9参照)、揺動ヨーク47,48等が設けられている。
【0026】
下型ベース30には、
図1に示すように、駆動手段として、第1シリンダ31,第2シリンダ32及び第3シリンダ33の3つのシリンダが固定されている。また、この下型ベース30には、パンチプレート41が可動自在に取り付けられている。そして、このパンチプレート41には、パンチ42と揺動ブロック43が一体的に設けられており、パンチプレート41の動きとパンチ42及び揺動ブロック43の動きは一致するようになっている。
【0027】
一方、第1パンチ駆動手段としての第1シリンダ31の第1ピストン31aが揺動ブロック受け44に接続されており、下型ベース30上をダイス20の端面20aと略平行な一軸方向(ここでは、
図1の左右方向。以下X軸方向とする)にスライド移動可能に設けられている。また、揺動ブロック受け44には、ダイス20の端面20aと略平行でX軸方向と直交する方向(ここでは、
図1の上下方向。以下Y軸方向とする)を長手方向とする湾曲形状の挿入孔44aが設けられており、ここに揺動ブロック43が挿入されてY軸方向に対して略円弧状に移動可能にされている。
【0028】
また、
図5に示すように、パンチプレート41には、X軸方向に延びる横長孔41aが設けられている。また、パンチプレート41には、横長孔41aと重なるように、Y軸方向に延びる第1縦長孔41bと第2縦長孔41cが所定間隔を空けて並んで設けられている。そして、下型ベース30から突出形成された第1軸部35と第2軸部36の一対の軸部が横長孔41aに挿入され、この2つの軸部35,36をガイドにしてパンチプレート41がX軸方向にスライド移動するようになっている。
【0029】
また、
図6に示すように、パンチ42は、細長い形状を呈しており、当該パンチ42の長手方向がX軸方向に沿うように構成されている。このパンチ42には、長手方向の両端部に、切断部材の往復移動により中空部材1の両端を内側から突き破る突き破り切断部42aが設けられている。また、パンチ42における当該突破り切断部42a同士の間の両縁部には、中空部材1を突き破った状態で第1軸部35又は第2軸部36を中心に回動することで、当該突き破った箇所から中空部材1を反対側に向けて切断する回動切断部42bが設けられている。
【0030】
また、第1ピストン31aによって揺動ブロック43と共にパンチプレート41がX軸方向にスライド移動する際に、最も
図1の左側寄りにパンチプレート41が位置したときに、第2軸部36が横長孔41aの右端に位置するようになっている。そのときには、第1軸部35が丁度パンチプレート41の第1縦長孔41bの位置になるように構成されている。これにより、当該位置では、第2軸部36を中心としてパンチプレート41の左側が回動可能に構成される。
【0031】
また、第1ピストン31aによって揺動ブロック43と共にパンチプレート41がX軸方向にスライド移動する際に、最も
図1の右側寄りにパンチプレート41が位置したときには、第1軸部35が横長孔41aの左端に位置するようになっている。そのときには、第2軸部36が丁度パンチプレート41の第2縦長孔41cの位置になるように構成されている。これにより、当該位置では、第1軸部35を中心としてパンチプレート41の右側が回動可能に構成される。
【0032】
また、パンチプレート41における横長孔41aのさらに外側の双方には、第1ピン45と第2ピン46の2つのピンが設けられており、左右方向にパンチプレート41が移動することで、パンチプレート41が左方向に移動したときに当該パンチプレート41の左側に設けられた第1揺動ヨーク47の第1挿入溝47aに第1ピン45が挿入可能となっており、パンチプレート41が右方向に移動したときに当該パンチプレート41の右側に設けられた第2揺動ヨーク48の第2挿入溝48aに第2ピン46が挿入可能となっている。また、第1揺動ヨーク47は第2パンチ駆動手段としての第2シリンダ32の第2ピストン32aに接続されてY軸方向に移動可能となっており、第2揺動ヨーク48は同じく第2パンチ駆動手段としての第3シリンダ33の第3ピストン33aに接続されてY軸方向に移動可能となっている。
【0033】
また、第1揺動ヨーク47は、第2シリンダ32の第2ピストン32aに接続されており、下型ベース30上をY軸方向にスライド移動可能に設けられている。そして、パンチプレート41の第1軸部35が当該パンチプレート41の横長孔41aの右端に位置するときに、第1揺動ヨーク47の第1挿入溝47aに第1ピン45が挿入されて、第1揺動ヨーク47がY軸方向に移動することで、第1挿入溝47aに挿入された第1ピン45を介してパンチプレート41が第1軸部35を中心に回動するようになっている。
【0034】
また、第2揺動ヨーク48は、第3シリンダ33の第3ピストン33aに接続されており、下型ベース30上をY軸方向にスライド移動可能に設けられている。そして、パンチプレート41の第2軸部36が当該パンチプレート41の横長孔41aの左端に位置するときに、第2揺動ヨーク48の第2挿入溝48aに第2ピン46が挿入されて、第2揺動ヨーク48がY軸方向に移動することで、第2挿入溝48aに挿入された第2ピン46を介してパンチプレート41が第2軸部36を中心に回動するようになっている。
【0035】
次に、本実施の形態に係る中空部材1の切断方法について、
図1〜
図24を参照して説明する。以下、各工程について詳細に説明する。
【0036】
まず、
図1〜
図3に示すように、ダイス20が開いた状態で、下型ベース30側から突出した突部39がワークガイド34に設けられた所定形状の孔34aに挿入することで位置決めされた下型12に配置されたワークガイド34の外側に中空部材1を嵌合させ、
図11〜
図13に示すように上型11を締めて中空部材1を上型11に対して固定する(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(a)参照)。
【0037】
次に、
図14及び
図15に示すように、第1シリンダ31の第1ピストン31aで揺動ブロック受けを
図14の左方向にスライド移動させ、これに伴い横長孔41aに沿ってパンチプレート41及びパンチ42をX軸方向のうちの
図1における左方向に移動させる。そして、中空部材1の一側をパンチ42の突破り切断部42aで内側から突き破る。このとき、第2軸部36が横長孔41aの右端に位置し、第1軸部35が丁度パンチプレート41の第1縦長孔41bに位置し、第1揺動ヨーク47の第1挿入溝47aに第1ピン45が挿入された状態となる(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(b)参照)。
【0038】
次に、
図16に示すように、第2シリンダ32の第2ピストン32aで第1揺動ヨーク47をY軸方向のうちの
図1における上方に移動させ、これに伴い第2軸部36を中心としてパンチプレート41及びパンチ42の左側がY軸方向のうちの
図1における上方に回動する。すると、パンチ42に設けられたY軸方向のうちの
図1における上側の回動切断部42bが突き破り箇所を起点に中空部材1の
図1における上部を半分以上の位置まで切断する。また、このとき、第1軸部35は第1縦長孔41bの位置にあるため、パンチ42のY軸方向のうちの
図1における上方への移動を妨げない(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(c)参照)。
【0039】
次に、
図17に示すように、第2シリンダ32の第2ピストン32aで第1揺動ヨーク47をY軸方向のうちの
図1における下方に移動させ、これに伴い第2軸部36を中心としてパンチプレート41及びパンチ42の左側がY軸方向のうちの
図1における下方に回動する。すると、パンチ42に設けられたY軸方向のうちの
図1における下側の回動切断部42bが突き破り箇所を起点に中空部材1の
図1における下部を半分以上の位置まで切断する。また、このとき、第1軸部35は第1縦長孔41bの位置にあるため、パンチ42のY軸方向のうちの
図1における下方への移動を妨げない(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(d)参照)。
【0040】
次に、
図14に示すように、パンチプレート41の回動位置を元に戻し(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(e)参照)、
図18に示すように、第1シリンダ31の第1ピストン31aで揺動ブロック受けを
図18のX軸方向のうちの
図1における右方向にスライド移動させ、これに伴い横長孔41aに沿ってパンチプレート41及びパンチ42をX軸方向のうちの
図1における右方向に移動させる。そして、中空部材1の他側をパンチ42の反対側の突破り切断部42aで内側から突き破る。このとき、第1軸部35が横長孔41aの左端に位置し、第2軸部36が丁度パンチプレート41の第2縦長孔41cに位置し、第2揺動ヨーク48の第2挿入溝48aに第2ピン46が挿入された状態となる(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(f)参照)。
【0041】
次に、
図19に示すように、第3シリンダ33の第3ピストン33aで第2揺動ヨーク48をY軸方向のうちの
図1における上方に移動させ、これに伴い第1軸部35を中心としてパンチプレート41及びパンチ42の右側がY軸方向のうちの
図1における上方に回動する。すると、パンチ42に設けられた上側の回動切断部42bが突き破り箇所を起点に中空部材1の
図1における上部を半分以上の位置まで切断する。また、このとき、第2軸部36は第2縦長孔41cの位置にあるため、パンチ42のY軸方向のうちの
図1における上方への移動を妨げない(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(g)参照)。
【0042】
次に、
図20に示すように、第3シリンダ33の第3ピストン33aで第2揺動ヨーク48をY軸方向のうちの
図1における下方に移動させ、これに伴い第1軸部35を中心としてパンチプレート41及びパンチ42の右側がY軸方向のうちの
図1における下方に回動する。すると、パンチ42に設けられたY軸方向のうちの
図1における下側の回動切断部42bが突き破り箇所を起点に中空部材1の
図1における下部を半分以上の位置まで切断する。また、このとき、第2軸部36は第2縦長孔41cの位置にあるため、パンチ42のY軸方向のうちの
図1における下方への移動を妨げない(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(h)参照)。
【0043】
このようにして、中空部材1の開口部2側の端部3を切断し(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(i)参照)、
図21に示すように、パンチプレート41を元の位置に戻して(このときの中空部材1とパンチ42の状態は
図22(j)参照)、上型11から中空部材1を取り外す。
【0044】
なお、本実施の形態では、パンチ42の突破り切断部42aは所謂ノミのような矩形状の切断部となっており、これにより、突き破った際に、孔状ではなく中空部材1の端部から切り取る面までを切断することができるようになっている。また、このような形状のパンチ42で突き破り、回動して切断することで、切断したゴミを環状ではなく2つの部材に分けることができ、ゴミ廃棄を行い易くなるものである。
【0045】
また、回動切断部42bで中空部材1を切断する際に、左から切断するときと右から切断するときとで回動軸となる軸部35,36を変えて切断するようになっているため、回動切断部42bの回動角度を大きくしなくても、それぞれの方向から中空部材1の半分以上を切断することができるようになっている。
【0046】
このように、本実施の形態に係る中空部材1の切断装置10及び切断方法によれば、突破り切断部42aと回動切断部42bの双方を有するパンチ42を備え、開口部2から中空部材1内に挿入した当該パンチ42の往復移動と回動によって、中空部材1の端部3を切断するようになっているため、簡単な構造及び方法で、中空部材1の端部3を変形なく切断することができる。また、中空部材1を突破り切断部42aで突き破った後に、当該突き破った箇所から回動切断部42bで回動して切断するようになっているため、より小さい力で切断を行うことができる。また、突破り切断部42aと回動切断部42bを有するパンチ42で内側から中空部材1を切断するため、バリが中空部材1の内側に出ず、バリ取りを容易に行うことができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る中空部材1の切断装置10及び切断方法によれば、断面が細長い偏平形状という特徴を有する中空部材1に対して、簡単な構造及び方法で、中空部材1の端部3を変形なく切断することができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る中空部材1の切断装置10及び切断方法によれば、1つのパンチ42に設けられた2つの突破り切断部42aとその間に設けられた回動切断部42bと2つの軸部35,36を用いて、中空部材1の端部3の切断を行うため、簡単な構造かつ効率良い動きで、中空部材1の端部3を変形なく切断することができる。
【0049】
また、本実施の形態に係る中空部材1の切断装置10及び切断方法によれば、突破り切断部42aで中空部材1におけるX軸方向両側の少なくとも一方を突き破った状態から、回動切断部42bで当該中空部材1を反対側に向けて半分以上切断するようになっているため、少ない動作で確実に中空部材1の端部3を変形なく切断することができる。
【0050】
なお、以上説明した各実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。
【0051】
例えば、前記した実施の形態では、切断する中空部材として、開口部2の断面が略矩形の細長い偏平形状の底付き中空部材1を用いて、当該開口部2側の端部3を切断する場合について説明したが、これに限るものではなく、切断する中空部材については、断面が細長い偏平形状でなくても良く、また、断面が略矩形でなくても良く、また、底付きの中空部材でなくても良い。すなわち、断面が偏平より分厚い形状の部材の端部を切断するようになっていても良く、断面が円形や楕円形や三角形等の他の形の部材の端部を切断するようになっていても良く、筒状部材のように底付きでない中空部材の端部を切断するようになっていても良い。
【0052】
また、前記した実施の形態では、回動切断部42bで中空部材1を切断する際に、左右の双方から中空部材1の半分以上を切断するように構成されていたが、これに限るものではなく、一方が半分以上切断して、他方が半分以下を切断するような回動範囲になっていても、双方で確実に中空部材1の全てを切断できるようになっていれば良い。