特開2017-136736(P2017-136736A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-136736(P2017-136736A)
(43)【公開日】2017年8月10日
(54)【発明の名称】シートプレス用成形金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/32 20060101AFI20170714BHJP
【FI】
   B29C51/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-18767(P2016-18767)
(22)【出願日】2016年2月3日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308039838
【氏名又は名称】テクノハマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋田 典男
(72)【発明者】
【氏名】石田 智也
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AC03
4F202AG01
4F202CA17
4F202CB01
4F202CD16
4F202CK84
4F202CL02
(57)【要約】
【課題】少ない工程で熱可塑性樹脂シートから樹脂成形品を製造できるシートプレス用成形金型を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂シートMに対して型締めによる熱プレスを施すことで所望する形状に樹脂成形品Wを成形するシートプレス用成形金型1の一方の金型30には、型締め状態のまま熱可塑性樹脂シートMにおける不要部分Sをカットする第1のバリ処理機構32aが設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂シートに対して型締めによる熱プレスを施すことで所望する形状に樹脂成形品を成形するシートプレス用成形金型であって、
一方の金型には、
型締め状態のまま熱可塑性樹脂シートにおける不要部分をカットする第1のバリ処理機構が設けられているシートプレス用成形金型。
【請求項2】
請求項1に記載のシートプレス用成形金型であって、
他方の金型にも、
一方の金型の第1のバリ処理機構に対して対向する第2のバリ処理機構が設けられており、
この他方の金型の第2のバリ処理機構は、型開きすると他方の金型に退行すると共に、型締めすると他方の金型から進出するシートプレス用成形金型。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれかに記載のシートプレス用成形金型であって、
一方の金型および/または他方の金型には、
カットされた不要部分をさらにカットする外周バリ処理機構が設けられているシートプレス用成形金型。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のシートプレス用成形金型であって、
型締め方向は、上下方向であり、
一方の金型と他方の金型の縁のうち、下側に位置する型の縁には、カットした不要部分を落下させる傾斜面が形成されているシートプレス用成形金型。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートプレス用成形金型に関し、詳しくは、熱可塑性樹脂シートに対して型締めによる熱プレスを施すことで所望する形状に樹脂成形品を成形するシートプレス用成形金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のフェンダーライナやアンダーカバー等の樹脂成形品は、シートプレス用成形金型による型締めによって熱可塑性樹脂シートに対して熱プレス(熱プレス工程)を施すことで所望する形状に成形されている。このように成形された樹脂成形品は、熱プレス工程の冷却の後、例えば、トリミング工程を経て熱可塑性樹脂シートから不要部分(バリ)がカットされて製品として出荷されている。これにより、樹脂成形品を簡便に大量に製造できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2006−327043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、トリミング工程は、熱プレス後に冷却した熱可塑性樹脂シートに対して行われている。そのため、不要部分をカットした樹脂成形品の縁にバリが生じてしまうことがあった。したがって、このバリを除去するバリ外し工程が必要となることがあった。結果として、熱可塑性樹脂シートから樹脂成形品を製造するにあたって、熱プレス工程、トリムカット工程およびバリ外し工程といった多くの工程(3工程)が必要となっていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、少ない工程で熱可塑性樹脂シートから樹脂成形品を製造できるシートプレス用成形金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂シートに対して型締めによる熱プレスを施すことで所望する形状に樹脂成形品を成形するシートプレス用成形金型である。一方の金型には、型締め状態のまま熱可塑性樹脂シートにおける不要部分をカットする第1のバリ処理機構が設けられている。
【0007】
請求項1の発明によれば、シートプレス用成形金型を型締めした状態のまま不要部分のカット(トリムカット工程)が行われる。すなわち、熱プレス工程とトリムカット工程とが同時に行われることとなる。そのため、熱可塑性樹脂シートが熱い状態のまま不要部分のカットが行われることとなる。したがって、従来技術とは異なり、不要部分をカットした樹脂成形品の縁にバリが生じてしまうことがない。すなわち、バリ外し工程を必要が必要となることがない。結果として、少ない工程(1工程)で熱可塑性樹脂シートから樹脂成形品を製造できる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートプレス用成形金型であって、他方の金型にも、一方の金型の第1のバリ処理機構に対して対向する第2のバリ処理機構が設けられている。この他方の金型の第2のバリ処理機構は、型開きすると他方の金型に退行すると共に、型締めすると他方の金型から進出する。
【0009】
請求項2の発明によれば、一方の金型の第1のバリ処理機構と他方の金型の第2のバリ処理機構と(例えば、上下から熱可塑性樹脂シートを挟み込むこと)によってトリムカットを行うことができる。したがって、このトリムカットを確実に実施できる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1〜2のいずれかに記載のシートプレス用成形金型であって、一方の金型および/または他方の金型には、カットされた不要部分をさらにカットする外周バリ処理機構が設けられている。
【0011】
請求項3の発明によれば、外周バリ処理機構によりカットされた不要部分をさらに細かくカットできる。したがって、不要部分が樹脂成形品の周縁にリング状に残ってしまうことを防止できる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のシートプレス用成形金型であって、型締め方向は、上下方向である。一方の金型と他方の金型の縁のうち、下側に位置する型の縁には、カットした不要部分を落下させる傾斜面が形成されている。
【0013】
請求項4の発明によれば、駆動源等を必要とすることなく細かくカットされた不要部分を回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例に係るシートプレス用成形金型の断面図である。
図2図1のシートプレス用成形金型の平面模式図である。
図3図1の主要部の拡大図である。
図4図1に示すシートプレス用成形金型によって樹脂成形品を製造する工程を説明する図である。
図5図4の次工程を説明する図である。
図6図5の次工程を説明する図である。
図7図6の次工程を説明する図である。
図8図7の次工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜8を用いて説明する。まず、図1〜3を参照して、本発明の実施例に係るシートプレス用成形金型1を説明する。このシートプレス用成形金型1は、図1〜2から明らかなように、略矩形の下型(固定型)10と、この下型10に対して駆動源(図示しない)を介して上下方向に型締め型開き可能に対を成す略矩形の上型(可動型)30とから構成されている。以下に、これら下型10と上型30とを個別に説明していく。
【0016】
まず、下型10から説明していく。この下型10には、このシートプレス用成形金型1を型締めしたときのキャビティCを形成する凹凸10aがPL面10bに形成されている。このキャビティCは、熱可塑性樹脂シートMから成形する樹脂成形品Wが所望する形状を成すように形成されている。また、この下型10の縁には、PL面10bが下り傾斜を成すように(下り傾斜を成す傾斜面10c)形成されている。この傾斜面10cは、後述するように、4分割にカットされた不要部分Sをその自重により落下させることができるように形成されている。
【0017】
この下型10には、後述する上型30のメイン入れ子32の矩形の四辺に対向するように第1の押出ブロック12、第2の押出ブロック14、第3の押出ブロック16、第4の押出ブロック18がそれぞれ油圧シリンダ20を介して設けられている。これにより、このシートプレス用成形金型1を型開きすると、これら各押出ブロック12、14、16、18を下降させることができる。また、このシートプレス用成形金型1を型締めすると、これら各押出ブロック12、14、16、18を上昇させることができる。
【0018】
すなわち、このシートプレス用成形金型1を型開きすると、これら各押出ブロック12、14、16、18の各メインカッター12a、14a、16a、18aを下型10に対向させることができる。また、このシートプレス用成形金型1を型締めすると、これら各押出ブロック12、14、16、18の各メインカッター12a、14a、16a、18aを下型10から進出させることができる。
【0019】
この各押出ブロック12、14、16、18の内側には、メインカッター12a、14a、16a、18aがそれぞれ設けられている。また、この第1の押出ブロック12の両端には、下型10の最寄の隅(図2において、左上隅、右上隅)に向けて延出部12bが一体を成すように形成されている。この両延出部12bの内側にも、サブカッター12cがそれぞれ設けられている。また、この第3の押出ブロック16の片端には、下型10の最寄の隅(図2において、左下隅)に向けて延出部16bが一体を成すように形成されている。
【0020】
この延出部16bの内側にも、サブカッター16cが設けられている。また、この第4の押出ブロック18の片端には、下型10の最寄の隅(図2において、右下隅)に向けて延出部18bが一体を成すように形成されている。この延出部18bの内側にも、サブカッター18cが設けられている。なお、この下型10には、適宜の箇所に複数のヒータ22が設けられている。これにより、熱プレス工程の前に熱可塑性樹脂シートMを加熱する加熱工程を不要にできる。この下型10が、特許請求の範囲に記載の「他方の金型」に相当する。下型10は、このように構成されている。
【0021】
次に、上型30を説明していく。この上型30にも、このシートプレス用成形金型1を型締めしたときのキャビティCを形成する凹凸30aがPL面30bに形成されている。
【0022】
この上型30には、矩形の枠状に形成されたメイン入れ子32が設けられている。このメイン入れ子32の外側には、上述した各押出ブロック12、14、16、18の各メインカッター12a、14a、16a、18aに対向するメインカッター32aが設けられている。また、この上型30には、メイン入れ子32の四隅と上型30の四隅とをそれぞれ繋ぐように第1のサブ入れ子34、第2のサブ入れ子36、第3のサブ入れ子38、第4のサブ入れ子40が設けられている。
【0023】
この各サブ入れ子34、36、38、40の内側には、上述した各延出部12b、16b、18bの各サブカッター12c、16c、18cに対向するサブカッター34a、38a、36a、40aがそれぞれ設けられている。なお、この上型30には、適宜の箇所に複数のヒータ42が設けられている。これにより、熱プレス工程の前に熱可塑性樹脂シートMを加熱する加熱工程を不要にできる。この上型30が、特許請求の範囲に記載の「一方の金型」に相当する。上型30は、このように構成されている。これら下型10と上型30とからシートプレス用成形金型1は構成されている。
【0024】
続いて、図3〜8を参照して、上述したシートプレス用成形金型1によって樹脂成形品Wを製造する工程を説明する。まず、図3に示す型開き状態のシートプレス用成形金型1に熱可塑性樹脂シートMをセットする作業を行う(図4参照)。次に、この図4に示す状態からシートプレス用成形金型1を型締めしていく作業を行う(図5参照)。次に、この図5に示す状態からシートプレス用成形金型1をさらに型締めしていく作業を行う(図6参照)。
【0025】
これにより、熱可塑性樹脂シートMから所望する形状の樹脂成形品W(キャビティCの形状に沿った樹脂成形品W)が成形されることとなる(熱プレス工程)。このとき、この図6からも明らかなように、各入れ子32、34、36、38、40の各カッター32a、34a、36a、38a、40aが熱可塑性樹脂シートMの表面に食い込んだ状態となっている。
【0026】
次に、この図6に示す状態のまま(シートプレス用成形金型1の型締めした状態のまま)下型10の各油圧シリンダ20を上昇させる作業を行う(図7参照)。これにより、各押出ブロック12、14、16、18も上昇するため、各押出ブロック12、14、16、18の各メインカッター12a、14a、16a、18aとメイン入れ子32のメインカッター32aとにより熱可塑性樹脂シートMから不要部分S(スクラップ)がカットされて樹脂成形品Wが出来上がる(トリムカット工程)。
【0027】
このとき、各押出ブロック12、14、16、18の各サブカッター12c、16c、18cと各サブ入れ子34、36、38、40の各サブカッター34a、36a、38a、40aとによりカットされた不要部分Sがさらに4分割にカットされることとなる。なお、4分割にカットされた不要部分Sは、その自重により下型10の傾斜面10cをに沿って落下させて回収され再利用されることとなる。
【0028】
本発明の実施例に係るシートプレス用成形金型1は、上述したように構成されている。この構成によれば、シートプレス用成形金型1を型締めした状態のまま不要部分Sのカット(トリムカット工程)が行われる。すなわち、熱プレス工程とトリムカット工程とが同時に行われることとなる。そのため、熱可塑性樹脂シートMが熱い状態のまま不要部分Sのカット行われることとなる。したがって、従来技術とは異なり、不要部分Sをカットした樹脂成形品Wの縁にバリが生じてしまうことがない。すなわち、バリ外し工程を必要が必要となることがない。結果として、少ない工程(1工程)で熱可塑性樹脂シートMから樹脂成形品Wを製造できる。
【0029】
また、この構成によれば、不要部分Sをカットするためのメインカッター12a、14a、16a、18aが下型10の各押出ブロック12、14、16、18にも備えられている。すなわち、このシートプレス用成形金型1を型開きすると、これら各押出ブロック12、14、16、18の各メインカッター12a、14a、16a、18aを下型10に対向させることができる。また、このシートプレス用成形金型1を型締めすると、これら各押出ブロック12、14、16、18の各メインカッター12a、14a、16a、18aを下型10から進出させることができる。そのため、上型30のメインカッター32aと下型10のメインカッター12a、14a、16a、18aと(上下から熱可塑性樹脂シートMを挟み込むこと)によってトリムカットを行うことができる。したがって、このトリムカットを確実に実施できる。
【0030】
また、この構成によれば、下型10には、サブカッター12c、16c、18cが設けられている。また、上型30には、サブカッター34a、36a、38a、40aが設けられている。そのため、各サブカッター12c、16c、18cと各サブカッター34a、36a、38a、40aとによりカットされた不要部分Sをさらに細かく(この例では、4分割に)カットできる。したがって、不要部分Sが樹脂成形品Wの周縁にリング状に残ってしまうことを防止できる。
【0031】
また、この構成によれば、下型10の縁には、PL面10bが下り傾斜を成すように(下り傾斜を成す傾斜面10c)形成されている。この傾斜面10cは、4分割にカットされた不要部分Sをその自重により落下させることができるように形成されている。そのため、駆動源等を必要とすることなく細かく(この例では、4分割に)カットされた不要部分Sを回収できる。
【0032】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
【0033】
実施例では、「一方の金型」が上型30であり、「他方の金型」が下型10である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、「一方の金型」が下型10であり、「他方の金型」が上型30である形態でも構わない。
【0034】
また、実施例では、上型30のメインカッター32aと下型10のメインカッター12a、14a、16a、18aと(上下から熱可塑性樹脂シートMを挟み込むこと)によってトリムカットを行う形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、上型30と下型10とのいずれか一方のメインカッターでトリムカットを行う形態でも構わない。
【0035】
また、実施例では、サブカッター12c、16c、18cが下型10に設けられ、サブカッター34a、36a、38a、40aが上型30に設けられている形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、下型10と上型30とのいずれか一方に設けられている形態でも構わない。
【0036】
また、実施例では、シートプレス用成形金型1の型締め方向は上下方向(縦方向)である形態を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、シートプレス用成形金型1の型締め方向は左右方向(横方向)である形態でも構わない。
【符号の説明】
【0037】
1 シートプレス用成形金型
10 下型(他方の金型)
10c 傾斜面
12a メインカッター(第2のバリ処理機構)
12c サブカッター(外周バリ処理機構)
14a メインカッター(第2のバリ処理機構)
16a メインカッター(第2のバリ処理機構)
16c サブカッター(外周バリ処理機構)
18a メインカッター(第2のバリ処理機構)
18c サブカッター(外周バリ処理機構)
30 上型(一方の金型)
32a メインカッター(第1のバリ処理機構)
34a サブカッター(外周バリ処理機構)
36a サブカッター(外周バリ処理機構)
38a サブカッター(外周バリ処理機構)
40a サブカッター(外周バリ処理機構)
M 熱可塑性樹脂シート
S 不要部分(スクラップ)
W 樹脂成形品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8