【解決手段】ピックアップ装置は、錠剤5が充填されたポケット部2を有してなる容器フィルムの上方に配置されるとともに、複数の吸着部51Aを外周に有し、かつ、搬送される容器フィルムに合わせて回転可能な回転ドラム51と、各吸着部51Aを個別に吸着状態又は非吸着状態に切換可能な電磁切換弁と、容器フィルムを回転ドラム51側へと持ち上げ可能に構成されたリフト装置55とを備える。リフト装置55は、吸着部51Aによる吸着対象の錠剤5の吸着時に、容器フィルムを持ち上げて、吸着対象の錠剤5を吸着部51Aに接近させた状態とする一方、前記吸着時以外のときに、吸着部51Aから錠剤5を離間させた状態とする。
所定の物品が充填されたポケット部を有してなる帯状の容器フィルムの上方に配置されるとともに、複数の吸着部を外周に有し、かつ、搬送される前記容器フィルムに合わせて回転可能な回転ドラムと、
前記各吸着部を個別に吸着状態又は非吸着状態に切換可能であり、所定の吸着ポジションに配置された前記吸着部を吸着状態とすることにより前記吸着部に対し前記物品が吸着される一方、前記吸着ポジションに配置された前記吸着部を非吸着状態とすることにより前記吸着部に対し前記物品が吸着されないようにすることが可能な吸着状態切換手段とを備えたピックアップ装置であって、
前記吸着部による吸着対象となる前記物品を決定する吸着対象決定手段と、
前記容器フィルムを前記回転ドラム側へと持ち上げ可能に構成されたリフト手段と、
前記リフト手段の動作を制御可能なリフト制御手段とを具備し、
前記リフト手段は、前記吸着部による吸着対象の前記物品の吸着時に、前記容器フィルムを持ち上げて、吸着対象の前記物品を前記吸着部に接近させた状態とする一方、前記吸着時以外のときに、前記吸着部から前記物品を離間させた状態とするように前記リフト制御手段によって制御されるように構成されていることを特徴とするピックアップ装置。
前記リフト手段は、前記容器フィルムの搬送に合わせて回転可能であり、前記容器フィルムを持ち上げるときに外周面が前記容器フィルムに接触する回転ローラを有することを特徴とする請求項1に記載のピックアップ装置。
前記吸着部は、前記回転ドラムの外周面から突出する方向に延びるとともに、この突出方向に沿って伸縮可能な筒状の蛇腹部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のピックアップ装置。
前記固定ドラムは、常に負圧が供給されるとともに、前記吸着部が前記吸着ポジションを通過してから前記吸着部に吸着された前記物品の回収を行う回収ポジションに到達するまでの間において、当該吸着部の前記吸引孔と連通する負圧空間部を備え、
前記発光手段は、前記負圧空間部に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のピックアップ装置。
前記切換空間部は、前記吸着ポジションの手前に前記吸着部が配置された状態において、当該吸着部の前記吸引孔と連通するように構成されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載のピックアップ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、吸着部によって物品をより確実に吸着するという観点では、前記吸着ポジションにおいて吸着部と物品とが接触するように構成することが好ましい。
【0008】
しかしながら、前記吸着ポジションにおいて吸着部と物品とが常に接触するように構成した場合には、吸着部の消耗(摩耗や劣化)が生じやすくなってしまい、吸着部が適切な状態で維持される期間(寿命)が短くなってしまう可能性がある。特に、吸着時において物品に対し付与される負荷を低減すべく、吸着部を比較的柔らかい材料により形成した場合には、吸着部の消耗が進みやすくなってしまい、寿命がより短くなってしまう可能性がある。
【0009】
また、吸着部の接触に伴い、吸着対象でない物品に対しダメージを与えてしまったり、異物や汚れを付着させてしまったりすることも考えられる。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸着部の消耗や物品の破損等をより確実に防止しつつ、吸着部によって物品をより確実に吸着保持することを可能とするピックアップ装置及びブリスタ包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.所定の物品が充填されたポケット部を有してなる帯状の容器フィルムの上方に配置されるとともに、複数の吸着部を外周に有し、かつ、搬送される前記容器フィルムに合わせて回転可能な回転ドラムと、
前記各吸着部を個別に吸着状態又は非吸着状態に切換可能であり、所定の吸着ポジションに配置された前記吸着部を吸着状態とすることにより前記吸着部に対し前記物品が吸着される一方、前記吸着ポジションに配置された前記吸着部を非吸着状態とすることにより前記吸着部に対し前記物品が吸着されないようにすることが可能な吸着状態切換手段とを備えたピックアップ装置であって、
前記吸着部による吸着対象となる前記物品を決定する吸着対象決定手段と、
前記容器フィルムを前記回転ドラム側へと持ち上げ可能に構成されたリフト手段と、
前記リフト手段の動作を制御可能なリフト制御手段とを具備し、
前記リフト手段は、前記吸着部による吸着対象の前記物品の吸着時に、前記容器フィルムを持ち上げて、吸着対象の前記物品を前記吸着部に接近させた状態とする一方、前記吸着時以外のときに、前記吸着部から前記物品を離間させた状態とするように前記リフト制御手段によって制御されるように構成されていることを特徴とするピックアップ装置。
【0013】
上記手段1によれば、物品を吸着するときに、リフト手段によって、容器フィルムが持ち上げられた状態となり、物品が吸着部に接近した状態とされる。そのため、吸着部によって物品をより確実に吸着することができ、ひいては物品をより確実に回収することができる。
【0014】
また、吸着部に対し物品を接近させるにあたって、重量が大きく、構造が複雑な回転ドラムを上下動させるわけではない。そのため、大掛かりな機構を設ける必要がなく、装置の製造等に係るコストの低減や、より安定的で、かつ、より高速な動作の実現などを図ることができる。
【0015】
さらに、上記手段1によれば、物品の吸着時以外のときには、吸着部から物品が離間した状態とされる。そのため、吸着部の消耗(摩耗や劣化)を効果的に抑制することができ、吸着部をより長期間に亘って適切な状態で維持することができる。また、吸着部が物品から離間した状態となることで、吸着部の接触に伴う物品の破損や汚損をより確実に防止することができる。
【0016】
尚、上記手段1によれば、吸着部のうち少なくとも物品と接触する部位を比較的柔らかい材料により形成することができる。このように構成することで、吸着時において物品に与える負荷を低減することができ、物品をより良好な状態で回収することができる。一方、吸着部のうち少なくとも物品と接触する部位を比較的柔らかい材料により形成すると、吸着部の消耗が進みやすくなることが懸念されるが、上記手段1によれば、このような懸念を払拭することができる。
【0017】
手段2.前記リフト手段は、前記容器フィルムの搬送に合わせて回転可能であり、前記容器フィルムを持ち上げるときに外周面が前記容器フィルムに接触する回転ローラを有することを特徴とする手段1に記載のピックアップ装置。
【0018】
上記手段2によれば、容器フィルムの搬送に合わせて回転可能な回転ローラによって、容器フィルムが持ち上げられる。従って、持ち上げ時に容器フィルムへと傷がついてしまうことをより確実に防止でき、ブリスタシートの品質向上を図ることができる。
【0019】
尚、回転ローラは、容器フィルムへの接触に伴い回転する自由回転可能な従動ローラであってもよいし、所定の駆動手段からの動力により、容器フィルムの搬送に合わせて回転する駆動ローラであってもよい。
【0020】
手段3.前記吸着部は、前記回転ドラムの外周面から突出する方向に延びるとともに、この突出方向に沿って伸縮可能な筒状の蛇腹部を備えることを特徴とする手段1又は2に記載のピックアップ装置。
【0021】
上記手段3によれば、物品を吸着したときに、蛇腹部が縮むことによって、物品に加わる負荷をより低減することができる。これにより、物品を一層良好な状態で回収することができる。
【0022】
ところで、物品を吸着するときに容器フィルムを持ち上げた状態とすると、結果的に、吸着部とポケット部とが接近した状態となる。そのため、吸着された物品が、回転ドラムの回転に伴いポケット部から出る際に、ポケット部へと接触しやすくなってしまうことが考えられる。ポケット部に物品が接触してしまうと、吸着部から物品が外れてしまったり、物品が損傷してしまったりするおそれがある。
【0023】
この点、上記手段3によれば、蛇腹部が縮むことによってポケット部から物品が持ち上げられた状態となり、この状態でポケット部から物品が出ることになる。そのため、ポケット部に物品が接触してしまうことをより確実に防止でき、吸着ミスや物品の損傷を効果的に抑制することができる。すなわち、上記手段3によれば、上記手段1等を採用するが故に生じ得るデメリットを解消させるという、単に上記手段3の技術事項のみを採用した場合には生じ難い、上記手段1等と相俟ったことによる特別な作用効果が発揮される。
【0024】
手段4.前記吸着部は、前記回転ドラムの回転軸に対し放射状に延びる吸引孔を有し、
前記回転ドラムは、その回転軸方向に延びる円筒状をなすとともに、前記吸引孔が内周から外周に貫通し、
前記回転ドラムの内周に移動不能な状態で配設されるとともに、前記吸着ポジションに配置された前記吸着部の前記吸引孔と個別に連通可能に構成された外周側に開口する切換空間部を有する円筒状の固定ドラムと、
前記切換空間部に対し負圧を供給可能な負圧供給手段とを備え、
前記吸着状態切換手段は、前記負圧供給手段から前記切換空間部に対する負圧の供給及び非供給を切換えることで、前記吸着部を吸着状態又は非吸着状態に切換可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれか1項に記載のピックアップ装置。
【0025】
各吸着部を吸着状態又は非吸着状態に切換可能とする手法としては、例えば、センターバルブ方式が考えられる。このセンターバルブ方式とは、複数の切換空間部を備えてなる固定バルブを、回転ドラムの軸方向端面を覆うようにして設けるとともに、各吸着部の吸引孔が各切換空間部に対し個別に連通するように構成した方式である。この方式では、切換空間部に対する負圧の供給及び非供給を切換えることにより、各吸引孔に対する負圧の供給及び非供給が切換えられ、ひいては各吸着部が吸着状態又は非吸着状態とされる。また、この方式において、各吸引孔は、回転ドラムの内部において、回転ドラムの軸方向に沿って平行に延びるとともに、回転ドラムの軸方向端面(固定バルブ側の端面)にて開口するように形成される。
【0026】
しかしながら、この方式では、各吸引孔を上記のように設けるために、回転ドラムを大型化(大径化)させる必要がある。
【0027】
また、必要に応じて、吸引孔や切換空間部などに物品のかけらなどの異物が存在しないように、回転ドラムや固定バルブを分解した上で、両者の洗浄が行われ得るが、上記方式では、吸引孔が回転ドラムの軸方向に延びるため、その内部を確認することは容易ではなく、ひいては洗浄後における異物の残存確認が困難となってしまう可能性がある。
【0028】
この点、上記手段4によれば、吸引孔は回転ドラムの回転軸から放射状に延びる形状とされている。従って、吸引孔を形成するために回転ドラムを大型化(大径化)させる必要はなく、装置の小型化を図ることができる。
【0029】
また、回転ドラムは、円筒状をなすとともに、吸引孔が回転軸から放射状に延びる形状をなしている。さらに、固定ドラムは、円筒状をなすとともに、切換空間部が外周側に開口した形状をなしている。従って、回転ドラム及び固定ドラムを分解した後には、吸引孔の内部や切換空間部などを容易に確認可能となる。その結果、洗浄後の異物の残存確認などを容易に行うことができ、利便性を高めることができる。
【0030】
手段5.前記回転ドラムの内部に設けられ、前記吸引孔を通過して前記回転ドラムの外部へと光を照射可能な発光手段と、
前記回転ドラムの外部に設けられ、前記発光手段からの光を検知可能な受光手段と、
前記受光手段における検知結果に基づき、前記吸着部に対する前記物品の吸着に関する良否を判定する吸着良否判定手段とを備えることを特徴とする手段4に記載のピックアップ装置。
【0031】
上記手段5によれば、吸着部に対し物品が吸着されている場合には、物品によって発光手段からの光が遮られた状態となり、一方、吸着部に対し物品が吸着されていない場合には、発光手段からの光は遮られることなく、外部に出ることとなる。そのため、受光手段において検知される光は、物品の有無により相違することとなり、吸着良否判定手段は、この検知される光の相違に基づき、吸着部に対する物品の吸着に関する良否を判定する。従って、吸着対象の物品が吸着部へと吸着されているか、吸着対象でない物品が吸着部へと誤って吸着されていないか等についての判定を精度よく、かつ、容易に行うことができる。
【0032】
尚、物品自体を検知可能なセンサによって、吸着部に対する物品の吸着及び非吸着を判定することも考えられるが、この場合には、回転ドラムの回転方向に沿った吸着部の間隔(ピッチ)を比較的狭くしたときに、判定精度が低下してしまう可能性がある。吸着部の間隔が狭くなることに伴い、吸着された物品の間隔も狭くなり、センサによる物品の検知が難しくなるためである。これに対し、上記手段5によれば、回転ドラムの回転方向に沿った吸着部の間隔(ピッチ)が比較的狭い場合であっても、上記判定を精度よく、かつ、容易に行うことができる。
【0033】
手段6.前記固定ドラムは、常に負圧が供給されるとともに、前記吸着部が前記吸着ポジションを通過してから前記吸着部に吸着された前記物品の回収を行う回収ポジションに到達するまでの間において、当該吸着部の前記吸引孔と連通する負圧空間部を備え、
前記発光手段は、前記負圧空間部に配置されていることを特徴とする手段5に記載のピックアップ装置。
【0034】
上記手段6によれば、吸着ポジションを通過してから回収ポジションに到達するまでの間において、吸着部をより確実に吸着状態で維持することができる。そのため、物品をより確実に吸着したまま、回収ポジションへと搬送することができる。その結果、搬送時における物品の落下を効果的に抑制することができ、物品をより確実に回収することができる。
【0035】
また、上記手段6によれば、発光手段は負圧空間部に配置されているため、発光手段に対し、物品のかけらなどの異物が付着しにくくなる。これにより、吸着対象の物品が吸着部へと吸着されているか等についての判定を一層精度よく行うことができる。
【0036】
手段7.前記切換空間部は、前記吸着ポジションの手前に前記吸着部が配置された状態において、当該吸着部の前記吸引孔と連通するように構成されていることを特徴とする手段4乃至6のいずれかに記載のピックアップ装置。
【0037】
上記手段7によれば、吸着ポジションの手前にて、物品を吸着する予定の吸着部の吸引孔に対し負圧が供給され始める。従って、吸着ポジションに到達した時点で吸着部をより確実に吸着可能状態とすることができ、物品の吸着ミスをより生じにくくすることができる。
【0038】
手段8.手段1乃至7のいずれかに記載のピックアップ装置と、
前記回転ドラムの上流側にて、前記ポケット部に対し前記物品を充填する充填手段と、
前記回転ドラムの下流側にて、前記容器フィルムに対し前記ポケット部を塞ぐように帯状のカバーフィルムを取着し、前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着されてなるブリスタフィルムを得るシール手段と、
当該シール手段の下流側にて、前記ブリスタフィルムをシート単位に打抜いて所定のブリスタシートを得る打抜手段と、
前記充填手段及び前記回転ドラム間に位置する、最終的に前記ブリスタシートとなるシート予定部に対し、前記物品の良否に係る項目を含む複数の検査項目について良否判定を行う検査手段とを備えたブリスタ包装機であって、
前記検査手段により少なくとも1つの前記検査項目について不良と判定された前記シート予定部と不良シート部としたとき、
前記吸着対象決定手段は、前記不良シート部の前記ポケット部に充填された前記物品のうち、前記検査手段により前記物品の良否に係る項目において良品と判定されたものを吸着対象として決定可能に構成されていることを特徴とするブリスタ包装機。
【0039】
上記手段8によれば、容器フィルムに対しカバーフィルムが取着される前に、不良と判定されたシート予定部(不良シート部)から、良品と判定された物品を吸着し、回収することができる。従って、良品の物品を有効に再利用することができ、生産コストの抑制を図ることができる。
【0040】
また、上記手段8によれば、シール手段へと至る前に物品が吸着されるため、吸着対象の物品に対し、搬送に伴う振動が長期間に亘って加わってしまうことや、シール手段による熱等の影響が及んでしまうことをより確実に防止できる。これにより、物品を一層良好な状態で回収することができ、回収した物品における安全性や信頼性をより確実に担保することができる。また、このように良好な状態の物品を回収できるため、再利用前の回収した物品の再検査などを省略することができ、生産コストの抑制をより効果的に図ることができる。
【0041】
加えて、上記手段8によれば、シール手段へと至る前の比較的早い段階で物品が回収される。そのため、物品が吸湿性を有するもの(例えば錠剤等)である場合において、物品における吸湿を抑えることができる。
【0042】
ところで、ブリスタシートにおける安全性や信頼性を向上させるという点では、検査手段による検査感度を高めることが望ましいが、検査感度を高めると、誤って不良と判定されるケースが多くなってしまう。このように不良と判定されるケースが増大してしまうと、不良品のブリスタシートをそのまま廃棄する手法を採用した場合、不良品のブリスタシートに含まれる多くの良品の物品が無駄になってしまい、コストが極端に増大してしまうおそれがある。この点、上記手段8によれば、良品と判定された物品は回収されるため、検査感度を高めたとしても、多くの物品が無駄になってしまうといった事態は生じない。従って、コスト増を招くことなく、ブリスタシートにおける安全性や信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0045】
まず、ブリスタシートとしてのPTPシート1について説明する。
図1及び
図2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0046】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の熱可塑性樹脂材料やアルミ箔等によって形成されている。
【0047】
一方、カバーフィルム4は、例えばポリエステル樹脂等からなるシーラントが表面に塗布された不透明材料(例えば、アルミニウム箔等)により構成されている。
【0048】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されており、シート長手方向に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、物品としての錠剤5が1つずつ収容されている(
図2参照)。
【0049】
PTPシート1は、帯状の容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成されたブリスタフィルムとしてのPTPフィルム6(
図3参照)が打抜かれることで、シート状に製造される。
【0050】
次に、上記PTPシート1を製造するためのブリスタ包装機としてのPTP包装機11の概略について
図4を参照して説明する。
【0051】
PTP包装機11の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に捲回されている。ロール状に捲回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール13に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール13の下流側において間欠送りロール14に掛装されている。間欠送りロール14は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0052】
ガイドロール13と間欠送りロール14との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置15及びポケット部形成装置16が順に配設されている。そして、加熱装置15によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置16によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が成形される。ポケット部2の成形は、間欠送りロール14による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0053】
間欠送りロール14から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。これにより、容器フィルム3は、テンションロール18及びフィルム受けロール20間において、停止することなく連続搬送される。
【0054】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21、検査手段としてのシール前検査装置22、及び、ピックアップ装置23がこの順序で配設されている。
【0055】
錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0056】
シール前検査装置22は、上流側より順に、第一検査装置T1、第二検査装置D及び第三検査装置Aを備えている。これら各検査装置T1,D,Aにより、錠剤5や容器フィルム3(シート部分)に関する異常が検査される。また、各検査装置T1,D,Aは、図示しないエンコーダからの信号によって、容器フィルム3の搬送量を特定できるようになっている。各検査装置T1,D,Aのより詳細な構成に関しては後述する。
【0057】
ピックアップ装置23は、搬送される容器フィルム3から特定の錠剤5をピックアップして回収する機能を有する。ピックアップ装置23の構成については後に詳述する。
【0058】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に捲回されている。
【0059】
ロール状に捲回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール26によって加熱ロール27の方へと案内されている。加熱ロール27は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,27間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,27間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム6が製造されるようになっている。本実施形態では、フィルム受けロール20及び加熱ロール27によって、シール手段が構成される。
【0060】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール28及び間欠送りロール29の順に掛装されている。間欠送りロール29は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール28は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール29との搬送動作の相違によるPTPフィルム6の弛みを防止してPTPフィルム6を常時緊張状態に保持する。
【0061】
間欠送りロール29から送り出されたPTPフィルム6は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム6を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム6を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール29,32間でのPTPフィルム6の弛みを防止する。
【0062】
間欠送りロール29とテンションロール31との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、スリット形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。スリット形成装置33は、PTPフィルム6の所定位置に切離用スリットを形成する機能を有する。刻印装置34は、PTPフィルム6の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0063】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム6は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム6の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム6をPTPシート1単位にその外縁を打抜く打抜手段としての機能を有する。
【0064】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア38によって搬送され、完成品用ホッパ39に一旦貯留される。尚、上記検査装置T1,D,Aのいずれかによって不良判定された場合、不良判定となったPTPシート1は、取出しコンベア38の搬送経路に沿って設けられた不良シート排出機構40によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送される。
【0065】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。そして、シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残った残材部(スクラップ部)を構成する不要フィルム部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。尚、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、前記不要フィルム部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41は、不要フィルム部42を所定寸法に裁断しスクラップ処理する機能を有する。このスクラップはスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0066】
尚、上記各ロール14,19,20,29,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、各ロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、基本的には、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が各ロール14等の凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0067】
次いで、各検査装置T1,D,Aについて説明する。
図5に示すように、各検査装置T1,D,Aは、それぞれ照明装置70、カメラ71及び処理実行装置72などを備えている。
【0068】
照明装置70は、ポケット部2の開口部側又は突出部側から、容器フィルム3や錠剤5(特に最終的にPTPシート1となる部位)に対し所定の光(例えば近赤外光や可視光)を照射する。
【0069】
カメラ71は、照明装置70により光の照射された容器フィルム3等を撮像する。本実施形態では、カメラ71として、照明装置70から照射される光の波長領域に感度を有するCCDカメラが採用されている。これに限らず、CMOSカメラを採用してもよい。尚、第三検査装置Aなど一部の検査装置のカメラ71には、色識別可能なようにカラーCCDカメラが採用されている。
【0070】
そして、カメラ71によって撮像された画像データ(輝度画像データ又はカラー画像データ)は、カメラ71内部においてデジタル信号に変換された上で、デジタル信号の形で処理実行装置72に入力される。
【0071】
処理実行装置72は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えた、いわゆるコンピュータシステムとして構成されており、画像処理等の各種処理を実行可能となっている。
【0072】
処理実行装置72は、画像メモリ73、検査結果記憶装置74、判定用メモリ75、データメモリ76、カメラタイミング制御装置77、及び、CPU及び入出力インターフェース78を備えており、二値化処理や塊処理などの各種画像処理や、不良判定処理(検査処理)等を実施可能となっている。
【0073】
画像メモリ73は、カメラ71から出力される画像データを記憶する。この画像メモリ73に記憶された画像データに基づいて検査が実行される。勿論、検査の実行に際し、画像データに対し加工処理を施してもよい。例えばマスキング処理や、シェーディング補正などの処理を施すことが考えられる。シェーディング補正は、容器フィルム3等の撮像範囲全体を照明装置70の光で均一に照らすことは技術的に限界があることから、位置の相違により生じる光の明度のばらつきを補正するためのものである。尚、検査時において画像データに対し二値化処理が行われた二値化画像データや、マスキング処理が行われたマスキング画像データなども、画像メモリ73に記憶される。
【0074】
検査結果記憶装置74は、イメージデータに関する座標等のデータ、検査対象に対する良否判定結果のデータ、及び、該データを確率統計的に処理した統計データなどを記憶するものである。また、各検査装置T1,D,Aの検査結果記憶装置74には、
図6〜8に示すように、所定の錠剤番号J1〜J10(
図9参照)で指し示される各錠剤5と、シート部分とに対する所定の検査項目X1〜X9,Y1,Z1,Z2における良否判定結果を示す情報が、最終的にPTPシート1となるシート予定部7(
図9参照)を特定するための通し番号LA1,LA2・・・(
図9参照)とともに記憶される。錠剤番号は、シート予定部7の各錠剤5に対応して個別に設定される。尚、
図6〜8等においては、良品判定を「○」で示し、不良判定を「×」で示す。
【0075】
尚、検査項目X1〜X9は、錠剤5の良否に関する項目である。検査項目Y1は、シート部分(容器フィルム3)の良否に関する項目である。検査項目Z1,Z2は、錠剤5及びシート部分の双方の良否に関する項目である。各検査項目X1〜X9,Y1,Z1,Z2については、後に詳述する。
【0076】
図5に戻り、判定用メモリ75は、検査に用いられる判定値(閾値等)を記憶するものである。判定値は、検査項目毎に設定される。検査に用いられる判定値には、例えばPTPシート1やポケット部2、錠剤5などの寸法、各種検査領域を画定するための各種ウインドウ枠の形状や寸法、二値化処理に係る閾値、面積判定に係る判定値、色識別検査に係る色基準値などが含まれる。
【0077】
データメモリ76は、例えば、ハードディスク装置により構成されている。データメモリ76には、不良判定の日時、検査に用いられた検査条件などが記憶される。
【0078】
さらに、本実施形態において、データメモリ76には、錠剤5の二次元的な位置に対するポケット部2の二次元的な位置に関するデータが予め記憶されている。加えて、データメモリ76には、ポケット部2とPTPシート1の外縁との位置関係に関する設計上のデータも予め記憶されている。これらデータを用いることで、錠剤5の位置に基づき、容器フィルム3におけるポケット部2の位置、ひいては、容器フィルム3におけるシート予定部7の位置を特定できるようになっている。
【0079】
カメラタイミング制御装置77は、カメラ71の撮像タイミングを制御する。かかる撮像タイミングは前記エンコーダからの信号に基づいて制御され、容器フィルム3を所定量送るごとにカメラ71による撮像が行われる。
【0080】
CPU及び入出力インターフェース78は、各検査装置T1,D,Aにおける各種制御を司り、得られた画像データに基づきシート予定部7における錠剤5やシート部分の良否を判定する。また、CPU及び入出力インターフェース78は、画像データにおけるポケット部2や錠剤5の位置に基づいて、検査対象となるシート予定部7を特定する。そして、特定されたシート予定部7に対し、容器フィルム3の搬送順序に従った前記通し番号を設定する。シート予定部7の前記通し番号は、搬送方向上流側に向けて1つずつ増大していく態様となっている。
【0081】
次に、それぞれの検査装置T1,D,Aの構成についてより詳しく説明する。
【0082】
第一検査装置T1は、シール前に容器フィルム3のポケット部2突出部側(錠剤5の表面側)から検査を行う透過光式の検査装置である。第一検査装置T1では、照明装置70が容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置され、カメラ71が容器フィルム3のポケット部2突出部側に設けられている。そして、照明装置70から照射される光(近赤外光)のうち、容器フィルム3を透過した光を二次元撮像する構成となっている。
【0083】
第一検査装置T1では、検査項目X1〜X6に関する検査が行われる。
【0084】
検査項目X1は、いわゆる「錠剤割れ」に関する項目であり、この項目では、錠剤5に割れが発生しているか否かが判定される。
【0085】
検査項目X2は、いわゆる「錠剤破片混入」に関する項目であり、この項目では、ポケット部2内に、錠剤5の破片など、錠剤5以外の異物が存在するか否かが判定される。
【0086】
検査項目X3は、いわゆる「欠錠」に関する項目であり、この項目では、ポケット部2内に錠剤5が充填されているか否かが判定される。
【0087】
検査項目X4は、いわゆる「錠剤形状・大きさ違い」に関する項目であり、この項目では、錠剤5の形状や大きさが、製造品種と適合しているか否かが判定される。
【0088】
検査項目X5は、いわゆる「錠剤欠け」に関する項目であり、この項目では、錠剤5に欠けが発生しているか否かが判定される。
【0089】
検査項目X6は、いわゆる「錠剤表面剥離」に関する項目であり、この項目では、錠剤5の表面層が剥離しているか否かが判定される。
【0090】
第二検査装置Dは、シール前に容器フィルム3のポケット部2開口部側(錠剤5の裏面側)から検査を行う反射光式の検査装置である。第二検査装置Dでは、照明装置70及びカメラ71が容器フィルム3のポケット部2開口部側に配置されている。そして、照明装置70から照射される光(近赤外線)のうち、錠剤5に反射した光を二次元撮像する構成となっている。
【0091】
第二検査装置Dでは、前記検査項目X1〜X5に加えて、検査項目X7,X8に関する検査が行われる。
【0092】
検査項目X7は、いわゆる「錠剤上毛髪」に関する項目であり、この項目では、錠剤5上に、毛髪などの線状異物が存在するか否かが判定される。
【0093】
検査項目X8は、いわゆる「錠剤上異物」に関する項目であり、この項目では、錠剤5上に、大きさが数mm(例えば5mm)以上という大きな異物が存在するか否かが判定される。
【0094】
第三検査装置Aは、シール前に容器フィルム3のポケット部2突出部側及び開口部側(錠剤5の表裏面側)から検査を行う透過光式及び反射光式の両機能を備えた検査装置である。第三検査装置Aでは、照明装置70が容器フィルム3のポケット部2突出部側及び開口部側の両側に1つずつ配置され、2つのカメラ71が容器フィルム3のポケット部2開口部側に設けられている。そして、ポケット部2突出部側の照明装置70から照射される光(可視光)のうち、容器フィルム3を透過した光が一方のカメラ71により二次元撮像され、ポケット部2開口部側の照明装置70から照射される光(可視光)のうち、錠剤5に反射した光が他方のカメラ71(カラーCCDカメラ)により二次元撮像される構成となっている。
【0095】
第三検査装置Aでは、前記検査項目X1〜X5に加えて、検査項目X9,Y1,Z1,Z2に関する検査が行われる。
【0096】
検査項目X9は、いわゆる「錠剤色」に関する項目であり、この項目では、錠剤5の色が、製造品種と適合しているか否かが判定される。
【0097】
検査項目Y1は、いわゆる「シート上錠剤粉」に関する項目であり、この項目では、容器フィルム3上に、錠剤粉など大きさが数mm(例えば5mm)未満の小さな異物が存在するか否かが判定される。
【0098】
検査項目Z1は、いわゆる「シート上毛髪」に関する項目であり、この項目では、容器フィルム3上に、毛髪などの線状異物が存在するか否かが判定される。
【0099】
検査項目Z2は、いわゆる「シート上異物」に関する項目であり、この項目では、容器フィルム3上に、大きさが数mm(例えば5mm)以上という大きな異物が存在するか否かが判定される。
【0100】
次いで、ピックアップ装置23の構成について説明する。
【0101】
ピックアップ装置23は、
図4に示すように、回転ドラム51と、固定ドラム52と、負圧供給手段としての真空ポンプ53と、吸着状態切換手段としての電磁切換弁54と、リフト手段としてのリフト装置55と、吸着対象決定手段、リフト制御手段及び吸着良否判定手段としての制御装置56とを備えている。
【0102】
回転ドラム51は、
図10〜13に示すように、円筒状をなしており、容器フィルム3の搬送経路の直上方に配置されている。回転ドラム51は、図示しない駆動手段により、搬送される容器フィルム3の速度に合わせて連続回転する。回転ドラム51の外周には、吸着部51Aが設けられている。
【0103】
吸着部51Aは、回転ドラム51の外周面から突出する方向に延びる円筒状をなしている。本実施形態において、吸着部51Aは、回転ドラム51の軸方向に沿って、容器フィルム3の幅方向に沿ったポケット部2の数と同数(本実施形態では、5個)設けられ、回転ドラム51の周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、12個)設けられている。また、吸着部51Aの先端側部分は、吸着部51Aの突出方向に沿って伸縮可能な筒状の蛇腹部51Bによって構成されている。蛇腹部51Bは、比較的軟質な材料(例えば、軟質ゴムや軟質樹脂など)によって形成されている。
【0104】
さらに、各吸着部51Aは、蛇腹部51Bの先端から回転ドラム51の内周に貫通する吸引孔51Cを備えている。各吸引孔51Cは、回転ドラム51の回転軸に対し放射状に延びている(回転ドラム51の径方向に延びている)。そして、吸引孔51Cへと負圧が供給されることで、吸着部51Aの先端部において錠剤5が吸着される。尚、錠剤5を吸着した状態における吸着部51Aにおいて、蛇腹部51Bは縮み変形した状態となる(
図11参照)。
【0105】
また、吸着部51Aは、回転ドラム51の回転に伴い、吸着ポジションP1、検査ポジションP2及び回収ポジションP3に対し順次移動する(
図11参照)。
【0106】
吸着ポジションP1は、回転ドラム51の軸の鉛直下方に対応する位置であり、このポジションにおいて吸着部51Aに対し吸着対象の錠剤5が吸着される。
【0107】
検査ポジションP2は、吸着ポジションP1及び回収ポジションP3間における、後述するLED64及び受光センサ65間に対応する位置である。このポジションに配置された吸着部51Aが、吸着対象の錠剤5を実際に吸着しているか否か等の判定対象となる。
【0108】
回収ポジションP3は、吸着ポジションP1に対し回転ドラム51の回転方向に沿って約270°ずれた位置であり、当該ポジションにおいて吸着部51Aによる錠剤5の吸着が解除される。尚、回収ポジションP3に対応して錠剤回収箱61が設けられており、吸着解除された錠剤5は、当該錠剤回収箱61へと回収される。
【0109】
また、回転ドラム51には、図示しないエンコーダが設けられており、当該エンコーダから制御装置56へと回転ドラム51の回転角度に関する信号が一定時間毎に出力されている。
【0110】
固定ドラム52は、円筒状をなしており、回転ドラム51の内周に移動不能な状態で設けられている。固定ドラム52は、
図11〜16に示すように、それぞれ固定ドラムの外周側に開口する空間である、負圧空間部S1、開放空間部S2及び切換空間部S3を備えている。また、固定ドラム52は、内周と各空間部S1〜S3とを貫通する直線状の貫通孔52Aを有している。尚、
図11等では、両ドラム51,52間に隙間が形成された状態となっているが、実際には、両ドラム51,52間に隙間はほとんど存在しない。
【0111】
負圧空間部S1は、吸着ポジションP1をやや過ぎた位置から、回収ポジションP3の手前の位置までの、検査ポジションP2を含む範囲に吸着部51Aが配置されたときに、当該吸着部51Aの吸引孔51Cと連通する空間である。負圧空間部S1は、貫通孔52Aと当該貫通孔52Aに連通する所定の通気管62とを介して、前記真空ポンプ53から常に負圧が供給された状態(真空引きされた状態)となっている(
図19参照)。また、負圧空間部S1は、固定ドラム52の軸方向に沿って比較的大きな幅を有している。そのため、負圧空間部S1は、回転ドラム51の軸方向に沿って一列に並んだ吸引孔51Cと一度に連通可能となっている。
【0112】
開放空間部S2は、回収ポジションP3に吸着部51Aが配置されたときに、当該吸着部51Aの吸引孔51Cと連通する空間である。開放空間部S2は、貫通孔52Aを介して、常に大気に開放された状態となっている。
【0113】
切換空間部S3は、吸着ポジションP1の手前の位置から、吸着ポジションP1をやや過ぎた位置までの、吸着ポジションP1を含む範囲に吸着部51Aが配置されたときに、当該吸着部51Aの吸引孔51Cと連通する空間である。切換空間部S3は、固定ドラム52の軸方向に沿って等間隔に複数設けられており、回転ドラム51の回転に伴い、回転ドラム51の軸方向に沿って一列に並んだ各吸引孔51Cのうちの1つと個別に連通するようになっている。尚、固定ドラム52の周方向に沿った切換空間部S3の長さは、回転ドラム51の回転方向に沿った吸引孔51Cの内周側開口の間隔よりも短くされており、1の切換空間部S3に対し2つ以上の吸引孔51Cが同時に連通しないように構成されている。
【0114】
また、各切換空間部S3は、貫通孔52Aとこれに連通する所定の通気管63とを介して前記真空ポンプ53と接続されている(
図19参照)。但し、通気管63には、前記電磁切換弁54が設けられている。そして、当該電磁切換弁54により、切換空間部S3に対し真空ポンプ53から負圧が供給されている状態と、切換空間部S3が大気に開放されている状態とが切換えられるようになっている。切換空間部S3の状態を切換えることで、吸着ポジションP1に配置された各吸着部51Aを吸着状態又は非吸着状態に個別に切換えることができるようになっている。また、電磁切換弁54は、前記制御装置56と電気的に接続されており、電磁切換弁54の動作は、制御装置56によって制御されるようになっている。
【0115】
さらに、固定ドラム52の外周には、発光手段としてのLED64が負圧空間部S1に配置された状態で設けられている。LED64は、吸着ポジションP1から回収ポジションP3までの吸着された錠剤5の搬送経路に対応して設けられており、本実施形態では、検査ポジションP2に対応する位置に配置されている。LED64は、回転ドラム51の軸方向に沿った吸引孔51Cの間隔と等しい間隔で、固定ドラム52の軸方向に沿って複数(本実施形態では、5つ)設けられている。そして、LED64の正面に吸引孔51Cが配置されたとき、LED64からの光が当該吸引孔51Cを通って回転ドラム51の外部へと照射されるようになっている。
【0116】
そして、回転ドラム51の外部であって、LED64と相対する位置には、受光手段としての受光センサ65が設けられている(
図11等参照)。受光センサ65は、LED64から照射される光を検知する機能を備えており、当該光を検知すると、制御装置56に対し受光信号を送信するように構成されている。
【0117】
リフト装置55は、容器フィルム3の搬送経路の下方に配置されており、回転ドラム51の回転軸の鉛直下方に位置している。リフト装置55は、図示しない駆動手段を備えており、当該駆動手段によって、容器フィルム3と接触してこれを一定量(例えば、1mm〜3mm)だけ持ち上げる上方位置(
図18参照)と、容器フィルム3から離間した下方位置とに移動可能となっている。そして、リフト装置55を前記上方位置へと配置した状態においては、吸着ポジションP1に配置された吸着部51Aが錠剤5と接近する(本実施形態では、両者が接触する)ようになっている。一方、リフト装置55を前記下方位置へと配置した状態においては、吸着ポジションP1に配置された吸着部51Aは錠剤5から離間するようになっている。
【0118】
また、リフト装置55は、制御装置56と電気的に接続されており、リフト装置55の昇降動作は、制御装置56によって制御されるようになっている。
【0119】
さらに、リフト装置55は、
図17に示すように、容器フィルム3の幅方向に延びる一対の回転ローラ55A,55Bを備えている。回転ローラ55A,55Bは、自由回転可能な従動ローラであり、リフト装置55による容器フィルム3の持ち上げ時には、その外周面が容器フィルム3へと接触する。そして、回転ローラ55A,55Bは搬送される容器フィルム3への接触に伴い回転する。
【0120】
また、両回転ローラ55A,55Bの外周には、回転ローラ55A,55Bの周方向に延びる環状の溝部55Cが、回転ローラ55A,55Bの軸方向に沿って、容器フィルム3の幅方向に沿ったポケット部2の数と同数設けられている。回転ローラ55A,55Bの軸方向に沿った溝部55Cの形成間隔は、容器フィルム3の幅方向に沿ったポケット部2の間隔とほぼ同一とされている。また、溝部55Cの幅は、ポケット部2の外径よりも大きなものとされ、溝部55Cの深さは、ポケット部2の高さよりも大きなものとされている。そのため、リフト装置55を前記上方位置に配置し、容器フィルム3を持ち上げた状態としたときには、溝部55Cにポケット部2が配置されることとなり、ポケット部2の潰れ変形などが抑制されるようになっている。
【0121】
尚、本実施形態では、回転ローラ55A,55Bを前記下方位置へと配置した状態においても、溝部55Cにポケット部2が配置されるように構成されている。そのため、前記下方位置から前記上方位置までのリフト装置55の移動距離を比較的小さくすることができる。その結果、容器フィルム3の持ち上げを迅速に行うことができ、錠剤5の吸着をより確実に行うことできるようになっている。
【0122】
制御装置56は、上記処理実行装置72と同様に、いわゆるコンピュータシステムにより構成されている。制御装置56は、各検査装置T1,D,Aとそれぞれ電気的に接続されており、これらに記憶された検査結果に関する情報を受信可能に構成されている。そして、制御装置56は、検査装置T1,D,Aから受信した検査結果に関する情報に基づき、
図20に示すように、シート予定部7ごとに、前記錠剤番号J1〜J10で指し示される各錠剤5及びシート部分に対する、各検査項目X1〜X9,Y1,Z1,Z2に関する良否判定結果を特定・把握できるようになっている。
【0123】
尚、本実施形態では、各検査装置T1,D,Aにて実行される検査項目の一部が重複しているが、制御装置56は、重複している検査項目に関しては、少なくとも1つの検査装置T1,D,Aにて不良と判定されていれば、当該検査項目については不良と特定する。例えば、検査項目X1において、ある錠剤5が、検査装置T1,Dでは良と判定され、検査装置Aでは不良と判定された場合、制御装置56は、前記ある錠剤5は検査項目X1において不良であると特定する。
【0124】
また、制御装置56は、シート予定部7の良否判定結果(
図20参照)に基づき、電磁切換弁54及びリフト装置55を制御し、不良と判定されたシート予定部7から良品の錠剤5のみを吸着部51Aへと吸着するように電磁切換弁54及びリフト装置55を制御する。
【0125】
詳述すると、制御装置56は、まず、シート予定部7の良否判定結果に基づき、電磁切換弁54の切換予定及びリフト装置55の昇降予定を設定する処理(動作予定設定処理)を行う。設定された電磁切換弁54及びリフト装置55に係る動作予定は、制御装置56におけるRAMの動作予定テーブルKT(
図21参照)に追加して記憶される。
【0126】
尚、
図21では、切換空間部S3に負圧が供給されるように電磁切換弁54を動作させることを「Y」で示し、切換空間部S3が大気に開放されるように電磁切換弁54を動作させることを「N」で示す。つまり、錠剤5を吸着するときを「Y」で示し、錠剤5を吸着しないときを「N」で示す。また、上方位置に配置されるようにリフト装置55を動作させることを「Y」で示し、下方位置に配置されるようにリフト装置55を動作させることを「N」で示す。さらに、
図21では、説明を容易にすべく、動作対象となる電磁切換弁54に対応する錠剤5の錠剤番号J1〜J10を合わせて示す。
【0127】
さらに、制御装置56は、所定のタイミング毎(例えば、吸着部51Aの吸引孔51Cが切換空間部S3に対し非連通となった直後のタイミング毎)に、動作予定テーブルKTのデータをシフトさせることで、回転ドラム51の軸方向に一列に並んだ吸着部51Aに対応する電磁切換弁54の切換予定、及び、リフト装置55の昇降予定に関するデータを所定の実施テーブルJT1,JT2(
図21参照)へと順次シフトさせる。
【0128】
その上で、制御装置56は、実施テーブルJT1のデータに対応する各吸着部51Aの吸引孔51Cが切換空間部S3へと到達する直前のタイミングにおいて、実施テーブルJT1のデータに基づき、電磁切換弁54及びリフト装置55の動作を制御する。尚、電磁切換弁54及びリフト装置55の動作制御の実行タイミングは、回転ドラム51の前記エンコーダからの信号に基づき決定される。
【0129】
さらに、制御装置56は、実施テーブルJT2のデータに対応する各吸着部51Aが検査ポジションP2へと到達したタイミングにおいて、実施テーブルJT2のデータ、及び、受光センサ65からの受光信号の有無に基づき、吸着対象の錠剤5が吸着部51Aに対し実際に吸着されているか否か、及び、吸着対象でない錠剤5が吸着部51Aに対し誤って吸着されていないか否か等について判定する。尚、吸着対象の錠剤5が吸着部51Aに対し吸着されていない等の吸着異常が生じている場合、制御装置56は、吸着異常処理を実行する。吸着異常処理としては、例えば、PTP包装機11の動作を緊急停止させる処理や、吸着異常が生じた旨を報知する処理などを挙げることができる。
【0130】
次いで、電磁切換弁54の切換予定及びリフト装置55の昇降予定の設定処理(動作予定設定処理)、及び、錠剤5の吸着判定に関する制御処理(吸着判定処理)について説明する。
【0131】
まず、
図22を参照して、動作予定設定処理について説明する。動作予定設定処理では、まず、ステップS11において、1のシート予定部7の検査結果(1シート分の検査結果)が各検査装置T1,D,Aから入力されたか否かを判定する。そして、1シート分の検査結果が入力されるまでステップS11の処理を繰り返し、1シート分の検査結果が入力されると(ステップS11:YES)、ステップS12に移行する。
【0132】
続くステップS12では、検査装置T1,D,Aから入力された検査結果に基づき、1のシート予定部7における各錠剤5及びシート部分の検査項目X1〜X9,Y1,Z1,Z2に関する良否を特定する(
図20参照)。
【0133】
次いで、ステップS13において、特定された各錠剤5及びシート部分に対する各検査項目X1〜X9,Y1,Z1,Z2についての良否に基づき、シート予定部7の良否を判定する。本実施形態では、各錠剤5及びシート部分において、全ての検査項目X1〜X9,Y1,Z1,Z2で不良判定がない場合(ステップS13:YES)、シート予定部7を良品シート部として特定し、続くステップS14において、通常動作設定処理を行い、ステップS11へと戻る。
【0134】
通常動作設定処理では、良品シート部から錠剤5を回収せず、かつ、リフト装置55を下方位置へと配置させるように、電磁切換弁54及びリフト装置55の動作予定が設定される。
【0135】
具体的には、吸着ポジションP1において、良品シート部に対応する各吸着部51Aの吸引孔51Cが大気に開放された状態となるように、電磁切換弁54の切換予定を設定する。例えば、通し番号LA1で指し示されるシート予定部7が良品シート部である場合、この良品シート部に供給された錠剤5に対応する各吸着部51Aにおいて、吸引孔51Cが大気に開放されるように、対応する電磁切換弁54の切換予定を設定する。また、リフト装置55が下方位置に配置されるように、リフト装置55の昇降予定を設定する。その上で、設定された電磁切換弁54及びリフト装置55の動作予定を、動作予定テーブルKTに追加して記憶する。
【0136】
一方、ステップS13で否定判定された場合には、ステップS15において、不良判定された検査項目が、検査項目Z1又は検査項目Z2であるか否かを判定する。ここで、検査項目Z1又は検査項目Z2にて不良と判定されている場合(ステップS15:YES)、ステップS14へと移行し、通常動作設定処理を行う。つまり、本実施形態では、「シート上毛髪」又は「シート上異物」の検査項目で不良と判定された場合には、不良シート部における全ての錠剤5が仮に検査項目X1〜X9で良と判定されていても、シート予定部7からの錠剤5の回収を行わないように設定されている。これは、いずれかの錠剤5に対し、毛髪や異物が接触している可能性を考慮したものである。
【0137】
一方、検査項目Z1,Z2の双方にて不良と判定されていない場合(ステップS15:NO)、ステップS16に移行し、不良判定に係るシート予定部7を不良シート部として特定する。例えば、通し番号LA2で指し示されるシート予定部7における錠剤5のうちの少なくとも1つが不良判定されている場合には、このシート予定部7を不良シート部として特定する。
【0138】
続くステップS17では、特定された良否に関する情報に基づき、回収動作設定処理を行い、ステップS11へと戻る。回収動作設定処理では、吸着ポジションP1において、不良シート部に対応する各吸着部51Aの吸引孔51Cのうち、良品判定された錠剤5に対応するものへと負圧が供給される一方、不良判定された錠剤5に対応するものが大気に開放された状態となるように電磁切換弁54の切換予定を設定する。
【0139】
また、設定された切換予定に基づき、リフト装置55の昇降予定を設定する。具体的には、回転ドラム51の軸方向に一列に並んだ吸着部51Aの吸引孔51Cの全てが大気に開放された状態となるように電磁切換弁54の切換予定が設定されている場合、下方位置に配置されるようにリフト装置55の昇降予定を設定する。一方、前記一列に並んだ吸着部51Aの吸引孔51Cの少なくとも1つに負圧が供給されるように電磁切換弁54の切換予定が設定されている場合、上方位置に配置されるようにリフト装置55の昇降予定を設定する。その上で、設定された電磁切換弁54及びリフト装置55の動作予定を、動作予定テーブルKTに追加して記憶する。
【0140】
次いで、
図23を参照して、吸着判定処理について説明する。尚、ここでは、検査ポジションP2に配置された各吸着部51Aのうちの1つを対象とした判定処理について説明するが、実際には、検査ポジションP2に配置された各吸着部51Aの全てに対し同様の判定処理が行われる。
【0141】
吸着判定処理では、まず、ステップS21において、吸着部51Aが検査ポジションP2に到達したか否か、すなわち、判定タイミングであるか否かを繰り返し判定する。尚、判定タイミングは、回転ドラム51の前記エンコーダからの信号に基づき判定される。
【0142】
判定タイミングとなった場合には(ステップS21:YES)、ステップS22において、受光センサ65から受光信号が入力されているか否かについて判定する。受光信号が入力されている場合には(ステップS22:YES)、ステップS23へと移行し、受光信号が入力されていない場合には(ステップS22:NO)、ステップS24へと移行する。
【0143】
ステップS23では、実施テーブルJT2のデータを参酌し、吸引孔51Cが大気に開放されるように電磁切換弁54の切換予定が設定されているか否かを判定する。吸引孔51Cが大気に開放されるように電磁切換弁54の切換予定が設定されている場合には(ステップS23:YES)、ステップS25へと移行する。そして、ステップS25において、吸着対象でない錠剤5が誤って吸着された状態とはなっていないとして、吸着正常と判定し、ステップS21へと戻る。
【0144】
一方、電磁切換弁54の切換予定が吸引孔51Cに対し負圧を供給するように設定されている場合には(ステップS23:NO)、ステップS26へと移行する。そして、ステップS26において、吸着対象の錠剤5が吸着されていないとして、吸着異常処理を実行し、ステップS21へと戻る。
【0145】
また、ステップS24では、実施テーブルJT2のデータを参酌し、吸引孔51Cが大気に開放されるように電磁切換弁54の切換予定が設定されているか否かを判定する。ここで、吸引孔51Cが大気に開放されるように電磁切換弁54の切換予定が設定されている場合には(ステップS24:YES)、ステップS26へと移行する。そして、ステップS26において、吸着対象でない錠剤5が誤って吸着された状態となっているとして、吸着異常処理を実行し、ステップS21へと戻る。
【0146】
一方、電磁切換弁54の切換予定が吸引孔51Cに対し負圧を供給するように設定されている場合には(ステップS24:NO)、ステップS25へと移行する。そして、ステップS25において、吸着対象の錠剤5が正常に吸着されているとして、吸着正常と判定し、ステップS21へと戻る。
【0147】
以上詳述したように、本実施形態によれば、錠剤5を吸着するときに、リフト装置55によって容器フィルム3が持ち上げられた状態となり、錠剤5が吸着部51Aに接近した状態とされる。そのため、吸着部51Aによって錠剤5をより確実に吸着することができ、ひいては錠剤5をより確実に回収することができる。
【0148】
また、容器フィルム3の搬送に合わせて回転可能な回転ローラ55A,55Bによって容器フィルム3が持ち上げられるため、持ち上げ時に容器フィルム3へと傷がついてしまうことをより確実に防止でき、PTPシート1の品質向上を図ることができる。
【0149】
さらに、吸着部51Aに対し錠剤5を接近させるにあたって、重量が大きく、構造が複雑な回転ドラム51や固定ドラム52等を上下動させることはない。そのため、大掛かりな機構を設ける必要がなく、装置の製造等に係るコストの低減や、より安定的で、かつ、より高速な動作の実現などを図ることができる。
【0150】
加えて、錠剤5の吸着時以外のときには、吸着部51Aから錠剤5が離間した状態とされる。そのため、吸着部51Aの消耗(摩耗や劣化)を効果的に抑制することができ、吸着部51Aをより長期間に亘って適切な状態で維持することができる。また、吸着部51Aが錠剤5から離間した状態となることで、吸着部51Aの接触に伴う錠剤5の破損や汚損をより確実に防止することができる。
【0151】
また、本実施形態において、吸着部51Aのうち少なくとも錠剤5と接触する部位(蛇腹部51B)は比較的柔らかい材料により形成されている。従って、吸着時において錠剤5に与える負荷を低減することができ、錠剤5をより良好な状態で回収することができる。尚、吸着部51Aのうち少なくとも錠剤5と接触する部位を比較的柔らかい材料により形成すると、吸着部51Aの消耗が進みやすくなることが懸念されるが、上記の通り、吸着部51Aの消耗抑制を効果的に図ることができるため、このような懸念を払拭することができる。
【0152】
さらに、錠剤5を吸着したときに、蛇腹部51Bが縮むことによって錠剤5に加わる負荷をより低減することができる。これにより、錠剤5を一層良好な状態で回収することができる。また、蛇腹部51Bが縮むことによってポケット部2から錠剤5が持ち上げられた状態となり、この状態でポケット部2から錠剤5が出ることになる。そのため、ポケット部2に錠剤5が接触してしまうことをより確実に防止でき、吸着ミスや錠剤5の損傷を効果的に抑制することができる。
【0153】
加えて、吸引孔51Cは回転ドラム51の回転軸から放射状に延びる形状とされている。従って、吸引孔51Cを形成するために回転ドラム51を大型化(大径化)させる必要はなく、装置の小型化を図ることができる。
【0154】
また、回転ドラム51及び固定ドラム52を分解した後には、吸引孔51Cの内部や切換空間部S3などを容易に確認可能となる。その結果、洗浄後の異物の残存確認などを容易に行うことができ、利便性を高めることができる。
【0155】
さらに、吸引孔51Cを通過可能な光を照射するLED64と、LED64からの光を受光可能な受光センサ65とを用いた吸着判定処理により、吸着対象の錠剤5が吸着部51Aへと吸着されているか、吸着対象でない錠剤5が吸着部51Aへと誤って吸着されていないか等についての判定を精度よく、かつ、容易に行うことができる。また、本実施形態によれば、回転ドラム51の回転方向に沿った吸着部51Aの間隔(ピッチ)が比較的狭い場合であっても、上記判定を精度よく、かつ、容易に行うことができる。
【0156】
さらに、本実施形態では、LED64は負圧空間部S1に配置されているため、LED64に対し、錠剤5のかけらなどの異物が付着しにくくなる。これにより、吸着対象の錠剤5が吸着部51Aへと吸着されているか等の判定を一層精度よく行うことができる。
【0157】
加えて、吸着ポジションP1を通過してから回収ポジションP3に到達するまでの間において、吸着部51Aの吸引孔51Cは負圧空間部S1に連通するため、当該吸着部51Aをより確実に吸着状態で維持することができる。そのため、錠剤5をより確実に吸着したまま、回収ポジションP3へと搬送することができる。その結果、搬送時における錠剤5の落下を効果的に抑制することができ、錠剤5をより一層確実に回収することができる。
【0158】
また、本実施形態では、吸着ポジションP1の手前にて、錠剤5を吸着する予定の吸着部51Aの吸引孔51Cが切換空間部S3と連通する。従って、吸着ポジションP1の手前にて吸引孔51Cに対する負圧の供給を開始することができ、吸着ポジションP1に到達した時点で吸着部51Aをより確実に吸着可能状態とすることができる。その結果、錠剤5の吸着ミスをより生じにくくすることができる。
【0159】
さらに、容器フィルム3に対しカバーフィルム4が取着される前に、不良と判定されたシート予定部7(不良シート部)から、良品と判定された錠剤5を吸着し、回収することができる。従って、良品の錠剤5を有効に再利用することができ、生産コストの抑制を図ることができる。
【0160】
また、フィルム送りロール20及び加熱ロール27(シール手段)へと至る前に錠剤5が吸着されるため、吸着対象の錠剤5に対し、搬送に伴う振動が長期間に亘って加わってしまうことや、シールに伴う熱等の影響が及んでしまうことをより確実に防止できる。これにより、錠剤5を一層良好な状態で回収することができ、回収した錠剤5における安全性や信頼性をより確実に担保することができる。また、このように良好な状態の錠剤5を回収できるため、再利用前の回収した錠剤5の再検査などを省略することができ、生産コストの抑制をより効果的に図ることができる。
【0161】
加えて、フィルム送りロール20及び加熱ロール27(シール手段)へと至る前の比較的早い段階で錠剤5が回収されるため、錠剤5における吸湿を抑えることができる。
【0162】
また、不良シート部から良品と判定された錠剤5は回収されるため、PTPシート1における安全性や信頼性をより向上させるべく、シール前検査装置22による検査感度を高めたとしても、多くの錠剤5が無駄になってしまうといった事態は生じない。従って、コスト増を招くことなく、PTPシート1における安全性や信頼性をより向上させることが可能である。
【0163】
さらに、本実施形態では、不良品のPTPシート1として、
図24に示すように、異物Pが検知されたことに伴い、錠剤5が全て回収され、ポケット部2の全てが空になっているものや、
図25に示すように、錠剤5が残っているものが排出され得る。ここで、全てのポケット部2が空になった不良品のPTPシート1は、シート予定部7がシート自体の異常又は一部のポケット部2に錠剤5が収容されていないという異常(いわゆる「欠錠」)により不良と判定された結果、排出されたものである。また、錠剤5が残っている不良品のPTPシート1は、残っている錠剤5の異常によりシート予定部7が不良と判定された結果、排出されたものである。従って、排出されたPTPシート1の状態を見ることで、どのような原因により不良と判定されたのかを容易に判断することができる。また、錠剤5が残っている場合には、残った錠剤5やシート部分を見ることで、生じた異常の特定を容易に行うことができる。その結果、不良の生じた検査項目を容易に特定することができ、適切な措置を早期に実行することができる。
【0164】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0165】
(a)リフト装置55は、容器フィルム3を持ち上げ可能なものであればよく、その構成は上記実施形態のものに限定されない。従って、例えば、
図26に示すように、回転軸から外周までの距離が増減する偏心ローラ81A,81Bを備え、容器フィルム3の持ち上げ時に、前記偏心ローラ81A,81Bが回転することで、当該偏心ローラ81A,81Bにより容器フィルム3が持ち上げられるようにリフト装置81を構成してもよい。この場合には、リフト装置81を上下動させるための駆動手段が不要となるため、装置の小型化や簡素化を図ることができるとともに、装置のより高速な動作などを実現することができる。また、この場合においては、偏心ローラ81A,81Bが容器フィルム3の搬送速度に合わせて回転するように構成することで、容器フィルム3に傷がついてしまうことをより確実に防止でき、PTPシート1の品質向上を図ることができる。
【0166】
(b)上記実施形態では、回収ポジションP3において、吸着部51Aの吸引孔51Cが大気に開放されるように構成されているが、当該吸引孔51Cに対し正圧が供給されるように構成してもよい。この場合には、吸着部51Aによる錠剤5の吸着をより確実に解除することができ、錠剤5をより確実に回収することができる。
【0167】
(c)PTPシート1におけるポケット部2の配列や個数に関しては、上記実施形態(2列、10個)に何ら限定されるものではなく、例えば3列12個のポケット部を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシートを採用することができる。
【0168】
また、PTPフィルム6は、その幅方向に沿って1シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、その幅方向に沿って複数シート分に対応する数のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0169】
また、PTPシート1やPTPフィルム6の形状変更に合わせて、回転ドラム51等の形状(外径など)や吸着部51Aの数、配置等を適宜変更してもよい。
【0170】
(d)上記実施形態では、不良判定されたシート対応部7から良品の錠剤5を回収するために、ピックアップ装置23が用いられているが、ピックアップ装置23の用途はこれに限定されるものではなく、ピックアップ装置23は、種々の用途で利用することができる。例えば、ピックアップ装置23は、所定のポケット部をあえて空けた状態としておきたい場合にも用いることができる。
【0171】
(e)上記実施形態において、シート予定部7における錠剤5の吸着及び非吸着は、当該シート予定部7の良否のみに基づいて決定されている。これに対し、シート予定部7における錠剤5の吸着及び非吸着を、当該シート予定部7自体の良否と、当該シート予定部7の前後(直上流及び直下流)に位置するシート予定部7の良否とに基づいて決定することとしてもよい。例えば、あるシート予定部7の前後に位置するシート予定部7が所定の検査項目(例えば、検査項目Z1,Z2)にて不良と判定された場合、前記あるシート予定部7の良否に関わらず、当該あるシート予定部7における錠剤5の吸着を中止することとしてもよい。この場合、錠剤5を吸着する際に、隣接する不良判定されたシート予定部7の異物等が吸着部51Aへと吸着されてしまうといった事態をより確実に防止できる。これにより、回収された錠剤5における安全性等をより高めることができる。
【0172】
(f)上記実施形態では、物品が錠剤5である場合について具体化しているが、物品の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えば食品や電子部品、医療器具等、物品が錠剤5とは異なるものであってもよい。
【0173】
(g)上記実施形態では、容器フィルム3がPPやPVC等の透明又は半透明の熱可塑性樹脂材料により形成され、カバーフィルム4がアルミニウム箔等を基材として形成されているが、各フィルム3,4の材料は、これらに限定されるものではなく、他の材質のものを採用してもよい。
【0174】
(h)上記実施形態において、回収された錠剤5は錠剤回収箱61へと回収されるようになっているが、回収された錠剤5が錠剤充填装置21側へと直接戻されるとともに、戻された錠剤5が錠剤充填装置21によってポケット部2へと充填されるように構成してもよい。この場合には、回収した錠剤5を錠剤充填装置21側へと戻すための作業が不要となり、生産性を高めることができる。
【0175】
(i)各検査装置T1,D,Aの構成は、上記実施形態に限定されるものではない。また、上記実施形態における検査項目はあくまでも例示であって、適宜変更可能である。
【0176】
(j)上記実施形態では、検査項目Z1又は検査項目Z2において不良と判定された場合、錠剤5を回収しないように構成されているが、このような場合であっても、錠剤5を回収するように構成してもよい。すなわち、各検査項目における良否判定結果と、回収対象として決定される錠剤5との関係を適宜変更してもよい。
【0177】
(k)錠剤充填装置21から回転ドラム51までの間において、容器フィルム3を外気よりも低湿雰囲気下で搬送することとしてもよい。この場合には、錠剤5の吸湿をより効果的に抑えることができ、再利用される錠剤5における安全性や信頼性をより一層確実に担保することができる。
【0178】
尚、低湿雰囲気下とすることは、例えば、錠剤充填装置21及び回転ドラム51間における容器フィルム3の搬送経路を所定のケースで覆うとともに、当該ケース内に外気よりも低湿のガスを供給することにより実現可能である。