(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-137851(P2017-137851A)
(43)【公開日】2017年8月10日
(54)【発明の名称】炭素内燃機関装置
(51)【国際特許分類】
F02D 19/04 20060101AFI20170714BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20170714BHJP
【FI】
F02D19/04
C01B31/02 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【全頁数】3
(21)【出願番号】特願2016-29337(P2016-29337)
(22)【出願日】2016年2月1日
(71)【出願人】
【識別番号】516051024
【氏名又は名称】荒井 聖哉
(72)【発明者】
【氏名】荒井 聖哉
【テーマコード(参考)】
3G092
4G146
【Fターム(参考)】
3G092AA01
3G092AB11
3G092HB01Z
4G146AA01
4G146AB01
4G146AD34
(57)【要約】
【課題】 本発明は、環境への負荷が少なく高効率の性能を有する内燃機関の作製の為に、燃料を持続可能な炭素粉末とする炭素内燃機関装置を得ることにある。
【解決手段】 燃料となる炭素粉末の粒子の大きさを可能な限り小さくし、燃焼反応に用いる気体中の酸素濃度を調整することで、機関内部で粉塵爆発を人工的に起こし燃料を完全に燃焼させることにより動作する動力機関として炭素内燃機関装置を構成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境への負荷が少なく高効率の性能を有する内燃機関の作製の為に、燃料を持続可能な炭素粉末とし、燃焼反応に用いる気体中の酸素濃度を調整することで、機関内部で粉塵爆発を人工的に起こし燃料を完全に燃焼させることにより動作する内燃機関装置。(ただし、通常の空気も酸素濃度が調整された燃焼反応に用いる気体として含まれる。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境への負荷が少なく高効率の性能を有する内燃機関の作製の為に、燃料を持続可能な炭素粉末とし、燃焼反応に用いる気体中の酸素濃度を調整することで、機関内部で粉塵爆発を人工的に起こし燃料を完全に燃焼させることにより動作する内燃機関装置を開発する技術に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来の内燃機関装置では、その燃料が化石燃料に限られ、燃料は限られた国でしか産出されず、我が国では燃料を他国に依存し続けてきた。また、そのいわゆる化石燃料を使用すると二酸化炭素のみならず、硫黄酸化物や窒素酸化物なども排出され、環境に対して悪影響が生じる。さらに、化石燃料はいつ枯渇するとも知れない代物であるため、持続可能な燃料とは呼べない。石油の代替品としてバイオエタノールというものも存在するが、それを製造するには広大な土地が必要であり、我が国においては実現の可能性は低い。燃料問題において我が国は八方塞であることが実状だ。
【0003】
我が国の純国産の燃料といえば、かすかに石炭と豊富な森林から得られる木炭くらいしか存在しない。いま化石燃料が枯渇したのならば、我々に残された燃料は木炭くらいしかないのである。そこで、戦時中の燃料の限られた時代をふり返ってみると、自動車やバスが木炭で走っていたことが分かる。蒸気機関車は石炭で走っていたが、自動車やバスは木炭で走っていたのだ。それならば、今の時代であれば木炭を燃料とするにしても、更に効率の良い内燃機関を作製できるのではないかと思い、今回の発明を考案したのである。
【0004】
燃料の燃焼方法に焦点を当てて考察すると、燃料の反応速度が内燃機関の燃焼効率に深くかかわっていることが分かる。炭をそのまま燃焼させるのは緩やかな反応。ガソリンエンジンは、ガソリンを気化させて爆発させる急激な反応。ファンヒーターは気化器によって灯油を噴出させて反応を急にしている。この3つの例から分かることは、燃料の燃焼反応を爆発的な急激な反応にする為には、燃料となる物質を小さい粒子状にして分散させる必要があるということである。粒子が小さい程に燃焼反応の速度が速くなる。ガス爆発のように、細かい粒子を充満させることで起こる粉塵爆発現象を内燃機関に応用することが今回の私の発明である。
【0005】
私の知るところでは、古くから炭素粉末を用いた内燃機関の開発は行われていたようだが、実用化に至ったものは存在しないらしい。炭素粉末でエンジンのシリンダーやピストンが磨耗して、エンジン本体が傷んでしまうことが原因という。そして、そこまでして炭素粉末を用いたエンジンを開発せずとも、化石燃料を使用する高性能のエンジンが存在するため、作製する理由がなく開発する意味が無い。つまり、化石燃料の存在する限り、人間はそれに依存し続けるということである。しかし、国産の燃料が木炭くらいしかない我が国だからこそ、炭素内燃機関装置を発明する意味があり、開発する価値もあると私は思っている。
【発明の概要】
【0006】
理論的には、炭素粉末を内燃機関(エンジン)のシリンダー内に噴出させて、酸素ガスのように酸素濃度を調整させた気体、もしくは単なる空気と混合状態となるようにした上で、スパークプラグにより混合気に点火して爆発を起こすことで動作する内燃機関ということになる。ピストンの上下運動を回転運動へ換える一般的なエンジンと構造は基本的に変わらない。問題の一つは、炭素粉末をシリンダー内部に充満させる為の噴出器を取り付けること、もしくはシリンダー内部ではなく外部で先に反応させる気体と炭素粉末を混合状態とした上で、シリンダー内部にその混合気を送り出す装置を取り付けることである。つまりは、粉塵爆発を炭素粉末によって起こす為に、シリンダー内部の環境を人工的に整えることが必要であるということだ。問題の二つめは、不完全燃焼による一酸化炭素の発生防止と爆発反応の増大の為に、酸素ガスのように酸素濃度を調整させた気体、もしくは単なる空気を燃焼反応に用いるということである。反応させる気体について表現があいまいになるのは、シリンダー内部で粉塵爆発を起こすために必要な酸素の濃度がわからないためであるが、酸素ガスを用いることが最も燃焼効率を高められると思われる。粉塵爆発という特殊な現象の応用であるから、この装置の作製には高度な工学技術が求められるであろう。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の内燃機関装置では、炭素粉末を用いて動作させると、炭素粉末を完全に燃焼することが出来ないため、エンジン内部が傷み正常に動作できなかった。問題は、炭素粉末の粒子の大きさと不完全燃焼にある。そこで本発明では、機関内部の燃焼室に送り込んだ炭素粉末が完全に燃焼して、二酸化炭素のみが発生するように燃焼反応を起こすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
燃焼反応を確実に起こすために、燃料となる炭素粉末の粒子の大きさを可能な限り小さくし、九十三式酸素魚雷のように燃焼反応に用いる気体を、酸素ガスのように酸素濃度を調整させた気体にすることで、炭素粉末を完全に燃焼させて二酸化炭素のみを発生させる。炭素粉末の量や粒子の大きさと、反応させる気体中の酸素濃度とは、完全燃焼を起こせるように調整する必要がある。場合によっては単なる空気を反応させる気体として用いることもできる可能性はあるが、高性能の内燃機関の作製が目的であるから、酸素ガスを用いて過不足なく燃焼反応を起こすことのほうが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
炭素は有機物を炭化させることで得られるため、木材や草から生成でき、国内十分に燃料を確保できる。有機物は空気中の二酸化炭素から生成されるので、石炭から炭素粉末を製造する場合を除いて、炭素粉末を使用することでは、化石燃料とは違い新たな二酸化炭素を大気中に放出することとはならない。また、この炭素内燃機関装置を使用した際に発生するのは二酸化炭素のみであることから、現在の自動車や工場等のように硫黄酸化物や窒素酸化物を排出することがないため、環境に与える影響は小さいといえる。